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財政制度分科会(平成29年10月4日開催)記者会見

平成29年10月4日
財政制度等審議会 財政制度分科会


 

〔田近分科会長代理〕 本日の財政制度等審議会財政制度分科会の様子をお伝えしたいと思います。

 本日の議題は、まず有識者からのヒアリングとして、慶應義塾学事顧問の清家先生からご報告いただき、続いて社会保障の全体像、総論について事務局説明の後に審議を行い、最後に東京大学総長の五神先生からお話しいただいたと、そういう運びになっています。

 清家学事顧問は、ご存じのとおり社会保障制度改革国民会議の会長もされていた方ですが、「社会保障制度を将来世代に伝える」というテーマでお話しいただきました。テーマとして力点を置かれたのは2つあり、1つ目が、高齢化していく中で日本の労働力率を高めていくことが重要だということです。わかりやすく言えば、高齢者にもっと働いてもらいたい、そして女性の社会参加も高めるべきだということです。そのため、社会保障給付を全世代型に変えていくことを含め、必要な制度の見直しを行っていくべきだということが第1点でした。それから、大きな柱の第2番目は、医療・介護の提供体制の重点化、効率化ということでした。公的年金、医療・介護等の現在と将来の間の給付の伸び率等を示された後に、医療・介護の重点化、効率化の必要性をお話になりました。

 それに対して、委員の方からご発言がありました。いつものとおり、名前を伏して発言を紹介させていただきます。

 清家先生のお話は労働参加率を高めること、それから医療・介護の提供体制の重点化、効率化でしたが、それを受けて、寿命が延びている状況を踏まえて、定年を延長して健康な高齢者には社会の支え手になっていただくことも重要だというようなご意見もありました。また、それにふさわしい、様々な賃金、年金等の改革も必要だというご意見でした。

 それから、労働力がそれでも減っていくということで、外国の人に来てもらう、移民もより重要になるのではないかという発言がありました。

 それとあわせて、労働参加率を上げていく、高齢者に働いてもらうことは大切だが、60歳代等、高齢の労働者の生産性を考慮した制度設計も重要ではないか、という質問も出ました。

 以上が清家先生のご報告に対する意見等でした。

 社会保障の総論についても意見が幾つか出ました。いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者になり始める2022年までには、社会保障の改革を済ませておかないと間に合わないのではないかというご意見がありました。

 それから、平成30年度予算、つまり来年度の予算編成では、社会保障関係費の自然増の抑制をしていかなければならないわけですが、その際、医療・介護、そして保育を一体的に改革して、2016年度、2017年度、2018年度の3年間で社会保障関係費の伸びを1.5兆円におさめるべきだという意見も出されました。

 それから、今後議論は深まっていくわけですが、現段階でも、医療費と介護費が急速に増加していく中で、自己負担のあり方についても議論する必要があるのではないかというご意見もありました。

 それから、保育について、平成28年度から開始された企業主導型保育を拡充し、少子化対策に充てていくべきではないかという意見が出ました。

 それから、人口について議論がありました。人口ピラミッドというが、もはやピラミッドではない、人口の年齢別の図をご覧になればわかりますが、「団塊の世代」の後に団塊ジュニア世代がありますが、団塊ジュニアのジュニアが見えないではないかという意見でした。団塊の世代の「こぶ」や、団塊ジュニア世代の「こぶ」はありますが、団塊ジュニアのジュニアの「こぶ」がない。つまり、長期的に見ると、それだけ社会の担い手が少なくなっているということです。

 3番目のアジェンダとして、東京大学総長の五神先生からお話がありました。テーマは「Society5.0(知識集約型社会)への社会変革と大学の役割」ということでお話をいただきました。

 かいつまんで紹介しますと、産業・社会構造のパラダイムシフトが進む中で、短期、中期、長期の視点に立って効果的、戦略的な投資を実現していくことが重要だというお話でした。わかりやすく言うと、日本の強みを活用するような戦略が重要だということです。東京大学においては、産学の連携強化と言うと古くさい言葉ですけれども、いわゆるオープンイノベーション、大学と企業がともにイノベーション、技術開発、技術革新を起こしていく。それが第1点。

 それから、若い人材への先行投資や、経営力の強化等のお話がございました。個人的な話になりますが、私が話をお聞きして印象的だったのは、東京大学の教員数に関する数字についてでした。皆さんご存じのとおり、大学はこのごろ、まず5年契約とかいうことで雇いますが、これは任期付です。任期なしというのは、英語で言うとテニュアのジョブです。そうすると、テニュアのついたジョブが減ってきて、任期付きの研究者が増えている。したがって、そのような不安定な状態の研究者、特に若手研究者が多いので、その人たちがオンキャンパスで生計できるような取組が重要だという議論でした。そして、大学の持つ資源を有効に活用して、自律的な大学運営を実現していくというお話もございました。自律的というのは、公的資金等に頼るだけではなくて、まさに先ほど申し上げたような改革が必要ということで、総じて東京大学の試みられていること、それを総長自身のお考えを踏まえて話されたと思いました。

 質問のほうですけれども、今、ノーベル賞のシーズンということもあり、優秀な人材がアジアでも日中韓で取り合いになっているのではないかと、日中韓だけではないと思いますけれども、そのような質問、意見がありました。

 それから、今回の五神先生のお話は、基本的には大学経営、そして次世代の研究者の話でしたが、産業界の悩みは、雇った社員が有能かどうかであり、また、最近はなかなか望ましい若い人を雇えないと言われている。したがって、教育という点も重要ではないですかということを言われました。

 それから、五神先生の発表の中に、たしか東京大学とアメリカ、UCバークレーのバランスシートの資産サイドが出ていました。五神先生がおっしゃったのは、東大とUCバークレーのバランスシートは同じぐらいの大きさだけれども、東京大学のバランスシートで大きいのは、有形・無形固定資産であると。それに対して投資資金は小さい。そのような財務構成になっているため、バランスシートの内容を変えていくことが必要だということを指摘されました。UCバークレーだけではなくて、その他の国の主要な大学と比べても、日本の大学は独自に資金を得る努力が必要というような意見が出ました。

 なお、次回は10月17日を予定しています。議題は、まだ決まっておりません。

 以上です。

〔幹事社〕 幹事社から1点、お伺いします。社会保障の財源を考えたときに、やはり税金というのは一つ、消費税を含め、問題にはなると思いますが、そういったところについて委員の方からの意見や議論がもしありましたら、教えていただけたらと思います。

〔田近分科会長代理〕 基本的に我々財審としてのプラットフォームというのは、2016年度、2017年度、2018年度の「経済・財政再生計画」の集中改革期間の中で社会保障関係費の伸びを3年間で1.5兆円におさめよう、それに向けて来年も粛々とやっていこうということになっております。その点に関して消費税をどうするかという議論はありませんでした。

〔質問〕 先ほど、社会保障についての委員の方のご意見の中で、今、分科会長代理がおっしゃったように、2016年度から2018年度で1.5兆円の伸びに抑えるというお話があったと思います。要は決まっているこの3年間の最終年度をしっかりやろうという話なのか、あるいは19年度以降も同様のペースでやっていこうという趣旨なのか、どのような趣旨のご意見なのでしょうか。

〔田近分科会長代理〕 基本的に財審の議論において、我々の頭に入っているのは、集中改革期間できちんと目安を達成すべきだということであり、それについてこれから建議をまとめるまでの財審の主要トピックとして議論していこうということです。それから先は来年の中間評価を踏まえて議論するということだと思います。

〔主計官〕 委員の先生方の発言の趣旨は、おそらく資料2の29ページを踏まえてのものだと私は理解をしております。平成30年度予算においては、社会保障関係費の伸びを目安の5,000億円におさめるためには、自然増6,300億円からの1,300億円の歳出削減だけではなくて、保育の受け皿の財源確保のための追加的な歳出削減もあわせて行う必要があります。その点について、医療・介護、さらには保育など、各分野における様々な改革努力を積み重ねることにより、平成28年度、平成29年度、平成30年度の集中改革期間の3年間で社会保障関係費の伸びを1.5兆円におさめるという目安をしっかり達成すべきであると、そういう趣旨であったと理解しています。

〔質問〕 念のための確認ですけれども、衆院選の公約において、各党が今、消費増税をどうするのかということで議論していると思いますが、その点に関して、本日の会議では一切やりとりはなかったという理解でよろしいのでしょうか。

〔田近分科会長代理〕 やりとりはないというのは言葉の使い方でしょうけれども、基本的に社会保障の部分で今申し上げたような議論をしており、消費税を云々という発言はなかったと言っていいと思います。ただ、総理がお話しになっている消費税の使い道を変えるということについて、それを制度的にどのような形で進めることができるのかと、そのような質問がありました。

〔主計官〕 少し補足させていただきますと、今、分科会長代理がおっしゃったとおりで、総理が発表された使途の見直しを実施するのであれば、法律的に何か措置をする必要があるのか、といったご質問があり、それに対して、これから中身も含めて整理されていくことです、というやりとりがあったと、そういうことであります。

〔質問〕 春の財審では、2020年度のPB黒字化目標を堅持すべきだというように打ち出していましたが、今回の安倍総理の消費税10%の使い道の変更によって、20年度のPB黒字化は難しくなったということになると思います。そのことに対して何か意見があったのかどうかということと、田近分科会長代理はどうお考えかと思いまして、よろしくお願いします。

〔田近分科会長代理〕 総理の政治的な発言や、それを受けた発表について意見はありましたかということについては、今申し上げたような技術的な質問はありましたけれども、財審としてそれ以上の意見が出たわけではありません。私自身としては、総理のそのような政治的判断等については、財審として評価することはこの段階では差し控えるべきだと思います。

〔質問〕 2点あります。1つは、清家先生が出された資料の中で、最後に「奴雁と公智」という言葉が出てきて、奴雁という言葉は平成25年の社会保障制度改革国民会議の報告書の中でも使われた言葉だと思いますが、この2つの言葉を清家先生がどのような意味合いでお使いになっているかという点を一つお聞きしたい。

 あと、もう一点、医療・介護の自己負担のところで、例えば医療の場合、現役世代だと原則自己負担3割というものがありますけれども、もう少し、どのような議論があったのか教えていただいてよろしいでしょうか。

〔田近分科会長代理〕 奴雁のところは、清家先生の配られた資料の最後にありました。要するに奴雁というのは、世の中いろいろ変化しても、首を高くして世の中のことをしっかり見渡し、変化に左右されずに後日の得失を論じるものなりということでした。今日、右往左往しないで、将来をしっかり考える人が必要ですよと、財審の皆さんは奴雁のつもりで議論してくださいという意味合いで使用されていました。それから、公智のほうは、何が小さい、何が大きいとはおっしゃいませんでしたけれども、日本の将来に深くかかわる大きな問題、社会保障の中でも大きな問題をしっかり考えてくださいという意味合いで用いられたのだと思います。それから、医療・介護については、資料1の図表4で、2012年度と2025年度を比べて、年金給付は12年度に対して25年度の給付費が12%増える。それに対して、医療は54%増、介護に至っては2倍以上に増えるということで、高齢化する以上にこれは高まる。つまり、後期高齢者が増えることで、1人当たり医療費、介護費が年金と比べても非常に大きく増えていくということが第1点。

〔質問〕 委員の方から出された自己負担のところの議論というのはどうでしたか。

〔主計官〕 議論の中で、委員の方から自己負担の話というのは、私が理解する限りは、改革工程表でも書かれておりますけれども、75歳以上の医療費の自己負担は今のままでいいのかという議論をしっかり進めていかなければいけないというものでした。それだけに限った話かどうかは特定できませんが、例えばそのようなことも議論していかなければいけないというご意見だったと理解しております。

〔幹事社〕 ありがとうございました。

 

(以上)

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