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財政投融資分科会(平成31年3月7日開催)議事録

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財政制度等審議会 財政投融資分科会
議事録

平成31年3月7日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政投融資分科会 議事次第

平成31年3月7日(木)9:59〜11:58
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開

  • 2.議案平成30年度財政融資資金運用計画の一部変更について

    • 質疑・応答

  • 3.産業投資の管理運営等について

    • (1)リスクマネー供給を巡る状況と課題
       一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会会長仮屋薗聡一氏
       シニフィアン株式会社共同代表朝倉祐介氏

      質疑・応答

    • (2)産業投資の管理運営について
      • 質疑・応答

  • 4.閉

配付資料

議案平成30年度財政融資資金運用計画の一部変更について
議案説明資料
資料1一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会会長仮屋薗聡一氏
「スタートアップエコシステムの現状および官民ファンドの貢献について」
資料2シニフィアン株式会社共同代表朝倉祐介氏
「スタートアップの成長支援を通じた新産業創出に向けて」
資料3産業投資の管理運営について1(基本的考え方等)

出席者(敬称略)

分科会長

池尾和人

可部理財局長

古谷理財局次長

井口総務課長

橋本財政投融資総括課長

金森管理課長

湯下計画官

若原計画官

谷内資金企画室長

山本財政投融資企画官

委員

土居丈朗

野村浩子

臨時委員

小枝淳子

冨田俊基

林田晃雄

渡部賢一

専門委員

中島厚志

沼尾波子


9時59分開会

〔池尾分科会長〕それでは、若干定刻前ですが、御出席予定の委員の方はおそろいになりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたします。

なお、土居委員は少し遅れて到着とお聞きしております。

本日は、まず平成30年度財政融資資金運用計画の一部変更についてお諮りした後、産業投資の管理運営等について御審議いただきます。

それでは、早速ですが、まず議案の平成30年度財政融資資金運用計画の一部変更について、湯下計画官より御説明をお願いいたします。

〔湯下計画官〕湯下でございます。まず、財政融資資金の年度越しの短期貸付について御説明いたします。

財政融資資金につきましては、交付税特会と年金特別会計に対して短期貸付を行っておりますが、毎年度、年度越しの短期貸付に係る財政融資資金運用計画の一部改正につきまして、分科会にお諮りしているところでございます。御審議いただく議案でございますが、交付税特会に8兆5,170億円、年金特別会計に1兆4,583億円を短期貸付したいと考えております。

それでは、議案説明資料に従いまして御説明させていただきたいと思います。議案説明資料の2ページ目でございます。交付税特会に対する年度越し短期貸付でございます。こちらにつきましては、地方公共団体の財源不足を補塡するため増加してきましたが、平成23年度より償還計画に基づき償還を行ってきているところでございます。今年度は、この償還計画に基づきまして4,000億円が償還され、平成30年度末の財政融資資金からの借入金残高は8兆5,170億円と見込まれておりますので、同額を短期貸付したいと考えております。なお、次の3ページ目でございますが、平成31年度地財対策におきまして、平成31年度の償還額につきましては従来の償還計画額から1,000億円を増額し、5,000億円を償還することといたしまして、最後の償還年度である平成64年度を1,000億円減の、6,173億円とすることとして、現在、法案を御審議いただいているところでございます。

続きまして、5ページ目でございます。年金特別会計に関する年度越し短期貸付でございます。こちらでございますが、昭和48年度末における旧厚生保険特別会計に係る債務及び昭和59年における日雇労働者健康保険が政管健保に統合された際の日雇労働者健康保険事業に係る債務に見合うものということでございます。

これらの債務につきましては、長期にわたって元本の償還がなされておりませんでしたが、分科会からの御意見をいただきまして、平成28年に検討いたしまして、平成28年度から年金特別会計の借入金諸費の一部、つまり利払い費の不用額ということでございますが、これを元本の償還に充てることとしておりまして、今年で3回目ということでございます。平成30年度末におきましても、年金特別会計の利払い費の不用額、現在57.2億円を見込んでおりますが、これを元本償還に充てることとしております。したがいまして、その分を差し引きまして、平成30年度末の債務残高は1兆4,583億円と見込まれておりますので、同額を短期貸付したいと考えております。いずれの特会につきましても、過去から積み上がってきたこのような債務の償還ということでございますけれども、引き続き着実な償還を進めていけるよう関係者と協議して参りたいと考えております。

私からの説明は以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの湯下計画官からの御説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見あるいは御質問いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕御説明ありがとうございました。年金特会の短期貸付について、グラフでは平成3年から平成27年まで、長い間ずっと動かなかったのですが、それ以降、先ほど御説明のような形で、利払い費を一般会計が負担することだけではなしに、利払い費の不用分がここで残高を減らしているということは、少しは進歩があったのだろうなと思います。

それと、財投の交付税特会に対する貸付なのですが、まず、地方分について、来年度は1,000億円返済を増やすということが予定されており、三十数年先は、その分の返済を減らす形になっております。それは、私、平成29年度だったと思うのですが、足元の償還額を減らして、いわゆるリスケを組んで、三十数年先の返済を増やすということをやりました。言いたいことは、そういうふうに交付税特会に対する繰入額というか、交付税特会の返済額、償還額を伸縮自在といったら言い過ぎかもしれませんが、変動させるということは、やはり財政規律を緩めてしまうという作用があると思います。

そういう意味で、この交付税特会の地方短期貸付について、何か計画的に考えていく必要があるのではないか。その際に国のほうは、2ページの説明をいただいたところですけれども、グリーンの棒グラフが平成19年度でなくなったように見えております。これ、実はなくなっていないと思うんです。文中には、30年以内に償還とございます。つまり、国の債務として30年以内に償還というルールを設定されたのだと思うんですけれども、その後のこれの実態如何ということについてお聞きしたい。

それは、国の債務は、国債の場合だと1.6%ずつ60年で償還するので、それよりも早くということがここで企図されているわけですから、申し上げたい点は、それがそうであれば、やはり地方に対する貸付についても伸縮自在にやるのではなしに、何か計画的にできることがあるのではないかということでございます。

〔池尾分科会長〕それでは、一般会計継承分の処理の状況について御説明いただけますか。

〔湯下計画官〕まず、御質問の最初のほうですけれども、一般会計に承継した分につきまして、初年度は除いて均等割で一般会計において毎年償還されております。地方負担分については、まさに冨田委員に御指摘いただきましたけれども、こちらのほうは当初は平成62年まで、40年間で償還を行う予定でございましたが、2年前に2年間延びまして、平成64年までに償還することとなりました。こちらのほうも、まさにこの3ページ目の表でございますが、特別会計法の附則で一応このようにきちんと明記されておりますので、法律事項ということでこれに見合った額を毎年返していただくよう、総務省と主計局両方に、引き続き強く申し入れていきたいと考えております。形式上は毎年の償還計画は財務大臣と総務大臣間の協議で決まっていますけれども、法律に基づいて償還は行われておりますので、自由にその年その年で変えているということではないと思っております。

〔池尾分科会長〕よろしいですか。

他に御意見、あるいは御質問ございませんでしょうか。特に追加で御意見、御質問等ございませんようでしたら、このあたりで審議は終了とさせていただきたいと思いますが、それでは、本議案につきまして、承認していただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔池尾分科会長〕それでは、異議なしということで了承されたということにさせていただきます。

それでは、続きまして、産業投資の管理運営等について御審議いただきたいと思いますが、本日は議事次第にもございますとおり、有識者の方にお越しいただいております。それで、入室の御案内をお願いしたいと思います。少しお待ちください。

(有識者 着席)

〔池尾分科会長〕お越しいただいたのは、一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会会長の仮屋薗聡一様。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会仮屋薗会長〕お願いします。

〔池尾分科会長〕同企画部長の村田祐介様。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会村田企画部長〕よろしくお願いします。

〔池尾分科会長〕それから、シニフィアン株式会社共同代表の朝倉祐介様。

〔シニフィアン株式会社朝倉共同代表〕よろしくお願いします。

〔池尾分科会長〕本日は御多用中のところ、当分科会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。

それでは、リスクマネー供給を巡る状況と課題について審議をしていきたいと思いますので、まずは日本ベンチャーキャピタル協会の仮屋薗様に御説明をお願いしたいと思います。早速ですが、よろしくお願いします。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会仮屋薗会長〕皆様、おはようございます。日本ベンチャーキャピタル協会の仮屋薗と申します。2015年より会長を務めさせていただいております。本日は、スタートアップエコシステムの現状及び官民ファンドの貢献についてということで、短い時間ではございますが、資料が多岐にわたるところもございますため、各ページ、要点をかいつまんでになりますが、御説明をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、1ページ目になります。こちらは本日の全体の総括になりますが、こちらをまず簡単にお話しさせていただければと思います。

まず1点目、日本のリスクマネーの供給量ですが、順調に成長中です。5年で約5倍から6倍という状況になっておりまして、この5、6年の成長は大変著しいものがあります。中でも官民ファンドの貢献は非常に大きく、約2割弱、ずっと民間の下支え、補完をしていただいてきたという経緯がございます。ただし、やはり米国と比較すると差は依然として大きゅうございまして、昨年が4,000億円弱の日本に対しまして、米国は14兆円ということで、米国も相当の成長をしている。これは米国のみならず、中国、インドも同様でございます。

2点目、資金の必要資金量ですが、IT分野は90年代の情報産業革命から20年、世界の成長を引っ張ってきたIT分野、こちらは徐々に日本のエコシステムも整ってまいったということでございます。こちら官民ファンドの貢献があってこそでした。

一方で、今後資金需要が高まるのが、長期かつ大型の資金が必要となるヘルスケア、いわゆる医療関係、それから金融分野及び、現在第4次産業革命という言葉が使われておりますが、全ての事業分野、製造業ですとかサービス業、こちらでテクノロジーを使った事業進化・変革が求められております。AI・IoT等を使った各既存の分野の産業進化への投資が大きくなっていくという状況です。

4点目、最後ですが、これまでの官民ファンドの主な貢献につきましては、まず1つは、VCファンドへの投資です。ベンチャーキャピタルは資金量もそうですが、日本では運用者、投資をして会社を育てるという人材が正直不足しております。こちらの新しいチャレンジを支援していただくというファイナンスです。それから、大型の直接投資です。特に日本は製造業、強い競争力のある産業である技術系ベンチャー及び、昨今世界中でユニコーンという言葉で語られていますが、公開手前に急激に大きくなる会社に対するファンディングが、数十億から数百億に上っております。この分野はまだまだ民間の資金だけでは十分ではないというところもございますので、こちらの大型資金供給の補完に貢献をいただいてきたという経緯がございます。

ページをめくっていただきまして、スタートアップの資金調達の動向について簡単に触れます。3ページ目を御覧いただけますでしょうか。昨年の日本国内におけるスタートアップ企業の調達総額が3,848億円、こちらは震災直後の2012年の638億円から比べまして6倍になっている、順調な成長をしてきております。

続きまして、4ページ目になります。今度は1社当たりの資金調達額です。こちらも2012年、震災後の資金調達、濃い紺色の平均値になりますが、1回当たりの投資が1億円弱だったものが3億円を超えるようになっており、大型化の傾向が見て取れます。これは第4次産業革命の流れにおいて、資金のかかるイノベーションが大きくなっていることの証左でもあろうかと考えております。

続きまして5ページ目、注目投資分野を御覧ください。こちら、左から、いわゆるセグメントごとの金額になりますが、AI、ヘルスケア・医療ですね、ソフトウエア、製薬/創薬、ロボティクス、フィンテック、それから下のほうに行くと、IoTですとかビッグデータのようなものが並んでおります。5年前は、こちらにいわゆるソフトウエアですとかスマートフォンのアプリですとか、投資額もかさまないITサービスの分野が上位を占めておりました。こちらがこの5年間で大きく、いわゆる情報産業から、日本のオープンイノベーション、第4次産業革命分野への投資がベンチャーキャピタルの重要な役割として変化してきているというのが、足元の状況でございます。

6ページになります。こちらは、昨年2018年とその前の年、2017年の大型資金調達の企業のロゴが入っておりますが、一昨年2017年の第1位がプリファードネットワークスというAIのスタートアップ企業です。こちらが100億円超の資金調達で1位。昨年はシェアリングエコノミー分野のジャパンタクシー。こちらはアプリケーション及びプラットフォーム開発企業で、こちらも100億円を超える調達となっております。以下、やはり目立ちますのが、いわゆる創薬ですとかフィンテック及び素材等々、ITというよりはやはり技術系の大型の資金調達及び資金投下が必要になるような企業でございます。

続きまして、第2項目に入ります。日本ベンチャーキャピタル協会の活動及びオープンイノベーションエコシステムについてです。我々協会の活動がこの3、4年、非常に大きく変化しておりまして、一言で申しますと、ベンチャーキャピタルという、閉じられたといいますか、金融中心のベンチャーへの投資事業からオープンイノベーション活動を支援する金融プラットフォーム的な役目に変わってきておりまして、こちらの話をさせていただければと思います。

まず8ページを御覧ください。日本ベンチャーキャピタル協会は比較的新しい協会でございます。2002年に発足して、現在、17期目に入っております。私は2015年に会長に就任しました。96年にベンチャーキャピタルを立ち上げまして以来、23年、現場実務をずっとやってきている中で就任3年目に入った次第です。

下に、各理事、監事の名前が入っております。副会長に三菱UFJキャピタルですとか、専務理事には産業革新機構の専務の方ですとか、ベンチャーキャピタルとフォーブスジャパンという雑誌の編集長も兼ねていらっしゃるような方にも就いていただいております。さらに、日本最大、かつ最も歴史あるベンチャーキャピタルであるジャフコからも、そして、監査法人は大手3社、あずさ、新日本、トーマツ、それぞれから監事も送っていただきまして、いわゆるベンチャーキャピタルとしての参加率、こちらもほぼ大手から独立系、そして大学系もありますし、簡単に言いますと、スタートアップエコシステムのステークホルダーの総力戦で日本のイノベーションを支援していこうと、そのような体制となっております。

9ページです。こちら、このような体制になりましたのも、実は本当にこの4、5年でございまして、4年前の100社からもうすぐ200社に至るというところになっておりまして、急激に多くの皆様から加入いただいております。その中心はCVC会員で、こちらの様子を次の10ページに図示しております。

従来、2015年までは、いわゆる金融機関系のVCが中心となったベンチャーキャピタルの業界でございました。こちらに動きがありましたのが15年から16年です。独立系といういわゆるパートナーシップで行っているVCや大学系のVC、東大、阪大のような大学に新設されたVCの方々に入っていただいたり、歴史が古く、最大のVCであったジャフコですとかSBIにも入っていただきました。

一方、このタイミングでグローバルのIT企業、右側に、皆様御存じのマイクロソフト、Google、Amazon、salesforceのようなグローバル大企業に日本のイノベーションエコシステムに参画いただいております。さらにこの直近の2年は大きな変化がありました。いわゆるイノベーションを志向する大企業のCVCの設立及びオープンイノベーションの推進ということで、一番右にありますような大企業、金融、インフラ系、そしてコンテンツもあれば製造業もございます。こちらもかつてはベンチャー、スタートアップとはちょっと縁が遠かったような方々と言えそうですが、テクノロジーを活用したイノベーションが本当に重要になってきていることを実感され、VC協会に入ってスタートアップとのエコシステム接点づくり及びスタートアップ企業を活用してどう自社、グループが進化していくべきか、ということを、会話をしながら活動を進めているという状況です。

11ページを御覧ください。こちらはVCの調達金額の推移と、その中でも特に顕著なのは、左上にある事業法人が現在42.5%という数字です。こちらはVCを直近で超えて、最も大きな投資家になってきているという状況でございます。

続きまして12ページ目、こちらは官民ファンドの貢献金額について書いてありますが、約20%弱、左側官民ファンドからのVCへの出資というところもございますが、一方で、右側、日米の差というということで約37倍、こちらが昨年の状況となっております。この資金の背景というのが13ページに記されております。

こちらはVC環境ですが、上に日本、下に米国とございます。一言で申しますと、まず米国は下の左側なんですが、いわゆる年金基金を中心としました機関投資家の資金が大きく入っていること、こちらが日米のリスクマネーの金額の差になっているというところでございます。こちらのデータが3年ほど前のものですが、さらに近年は事業会社の出資も大きくなってきて、14兆円と先ほどのページで申しましたが、年金基金等々の機関投資家に加えて事業会社の出資が大きくなってきているというのが顕著です。日本は、それに比較しましてまだまだ小さい、特に機関投資家及び海外からのリスクマネーの獲得が追いついてないというのが現状ではございます。

続きまして、協会の活動について簡単に触れさせていただきたいと思います。14ページですが、ビジョン、ミッションとしましては、ベンチャーエコシステムの拡大発展を通じて新産業を創造する、そして世界へスタートアップを羽ばたかせていくということですが、まず大事なこととしまして、資金調達量の確保、1つ目にファンドレイズ、2つ目に付加価値活動、ベンチャーを育てるということの能力アップです。それから3つ目、オープンイノベーション、日本の産業発展に資するという観点、そして4つ目、それを支える人材を育てるというところがビジョン、ミッションになっております。

ここからしばらくページがVCの活動になっておりますが、時間の関係もございますので、こちらは割愛しまして、最後のページの幾つかだけお話しさせていただければと思います。

18ページを御覧ください。こちらは、平成27年にございました金商法の改正の際に、日本のイノベーションを支えるための機能としてのVCについて、幾つか特例の部分の措置をとっていただきまして、そして、日本におけるVCの質の向上ということで、東京及び大阪の財務局で、VCのガバナンス、コンプライアンスに関する質の向上のセミナーも実施させていただきました。

それから、20ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは、開始して7回目になりますが、日本の大企業のコーポレートベンチャーキャピタルをお呼びして大きなカンファレンスを行っています。こちらは、産業の垣根を超えて、競合の垣根を超えて、各企業が自社の活動を紹介し合いながら、失敗、成功のナレッジを共有する場になっております。

そして次の21ページ目、こちらは、前回の1月で3回目になりましたが、文科省と共同で大学発ベンチャー創出シンポジウムも行っております。こちらも、大学発ベンチャーというものをさらに大きく育てるために、ベンチャーキャピタルのみならず大企業、それから世界のIT企業も入ってきて大きくしようとしている、そのような活動になっております。

それから、最後、23ページ目になりますが、ベンチャーキャピタルの業界も世界でつながり始めております。2010年来、グローバルベンチャーキャピタルコングレスということで、世界の各VC協会が1年から1年半ごとに集まっております。こちら、世界各国のVCによるイノベーション活動の促進について意見交換をしておりますが、2020は東京で開くという形で、世界のVC協会に対して日本をしっかりとお伝えしていくという機会として、我々としても尽力しているところでございます。

最後に3点目、官民ファンドの貢献のところに話を進めさせてください。25ページ目になります。こちら、産業革新機構です。こちらは日本ベンチャーキャピタル協会でもリーダーシップを専務理事としてとっていただいておりますが、大変相互補完関係になっておりまして、このポイントについて幾つかお話をさせていただければと思います。

まず直接投資でございますが、25ページ目の右側上3つあたりに、いわゆる我々の業界から聞こえる声があります。民間では手が出しづらいテクノロジー分野ですとか資金供給者としての存在意義が大きいという1点目のコメントですとか、2点目、ミドルステージ以降の多額の資金が必要な段階でINCJの規模感を持っての投資参画、こちらが民間資金の不足とのギャップを埋めて、投資先の事業化推進に役立ったというコメント。それから、3点目では、特にテクノロジーベンチャー、アーリー、シードでもございますが、特にミドル、レイターのベンチャーへの投資拡大に対する大きな期待という声が、会員の中からの声として出てきているところではございます。

続きまして、26ページ目をお願いいたします。一方で、いわゆるファンド・オブ・ファンズ、VCファンド投資についてのコメントでございます。良かった点、3点目と4点目にポイントがありますのでコメントできればと思いますが、投資リスクがあるが、日本の産業の発展に資するようなシード、アーリーステージの技術系ベンチャーに対して思い切った投資が可能となった、良かったということで、ファンド出資をいただいたVCが、なかなか資金が獲得できなかったところに大きな資金を供給できるようになったというのが良かった点。4点目は、産業革新投資機構における幅広いネットワーク、機関投資家と大企業とを通じて、ファンドでの出資のみならず、案件のソーシングですとか投資先のアライアンス促進に幅広くサポートいただいていると、このような、いわゆる単に資金の出し手ということだけではなくて、さまざまな育成支援にも相応の力を割いていただいているという声が、会員の中から挙がってきているというところでございます。

27ページ目、こちらは革新機構のみならず、官民ファンドの中でVCファンド出資をいただいているようなところに対するコメントでございますが、良かった点の1点目、一部官民ファンドによるVCファンド投資事業が、いわゆる民間資金の呼び水効果が高いというところがございます。これにより、多くの独立系VCが育つ基盤となったということでございます。世界を見ましても、エマージングマネジャーをサポートする、いわゆる政府系のファンド等々がございますが、ベンチャーキャピタル投資及び育成事業というのは、資金供給のみならず育成の経験値ですとかノウハウが非常に重要でございます。こちら座学で学ぶのみならず、やはり現場、実地の経験をやはり最低でも5年、10年経てこそできるところでございまして、このような人材育成を中期的に行うという観点で非常に重要なのが、ファンド投資ではなかろうかと思っております。

最後の28ページ目になります。官民ファンドに対する今後の期待についてまとめさせていただきました。総括としましては、いわゆる日本のスタートアップエコシステム発展には、やはり米国同様に、国内外の機関投資家マネー、さらには昨今ですと、やはり大企業による戦略的な投資も不可欠だと思います。一方で、日本における現在の資金量、大変成長率が高くなっておりますが、やはり世界と伍して競争していくためには、絶対額としてはまだ足りないというところがあると認識しております。そこにおける官民ファンドの下支えというのは、短期中期では非常に重要ではないかというのが我々の見解でございます。

その中で、3点、ポイントを書かせていただきました。1点目は、やはりエコシステムということで、日本VC協会もVC会員が150社にも至るようなところまで来ておりますが、ますますしっかりとスタートアップを発掘し、投資し、支援する人材及び運用者を育てるという観点では、ファンド・オブ・ファンズの重要性について改めてお願いしたいというところが1つ目でございます。

2点目、今世界では、小さな種から技術を発掘するということのみならず、巨大化したユニコーン企業をいかに世界のナンバー1に持っていくかというような競争が各国で行われております。この観点では、やはり未公開段階で、数十億から数百億、米国では昨年、兆を超える金額が1つの企業に投資されました。未公開企業にです。このような企業としっかり伍していくだけの直接投資ということも必要だと思っています。これは民間の補完という意味になります。

最後になりますが、やはりこのような活動を通じて、機関投資家マネー、世界の中でも大きく動いています機関投資家の呼び込みのための触媒機能としての役割につきましても、我々の業界としましては、これまで行っていただいた中、引き続きお願いできればということを挙げさせていただいております。

以上、若干時間が延びてしまい失礼しましたが、VC協会からの発表とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、続きましてシニフィアン株式会社の朝倉様からプレゼンテーションをお願いいたします。

〔シニフィアン株式会社朝倉共同代表〕シニフィアン株式会社の朝倉と申します。私たち、シニフィアンなんですけれども、どういった活動をしている会社なのかと申しますと、スタートアップの成長支援を通じた社会課題を解決するような事業の創出。もう一つ、そういった事業の創出を通じて、次世代に残せるような新しい産業をつくっていこうと、こういったことをテーマに掲げて活動を行っております。

具体的には、スタートアップに対する経営支援、アドバイザリーと、少額の出資等々も行っております。

一つ特色といたしましては、スタートアップと呼んだ際にも未上場企業だけではなくて、上場した後の会社も幅広く、成長企業という意味ではスタートアップと捉えておりまして、上場後もなお支援していこうということを掲げている会社でございます。

2ページ目に進んでいただきまして、新産業創出に向けて公的資金が果たす役割についてということで、私どもの考えを述べさせていただきます。議論の前提として、財政投融資、特に産業投資に関して申しますと、いわゆる官民ファンドと呼ばれるようなものをメーンにお話しすると思うのですが、多面的な機能がおありだと思っております。業界再編等々も含めた機能もお持ちだと思いますが、私たちの知見といたしましては、あくまで新産業創出に向けた新興企業の成長支援、この点にフォーカスしてお話をさせていただければと思っております。

加えて、新産業創出に向けては、先ほど仮屋薗さんからも御説明がございましたが、スタートアップを取り巻くエコシステム、スタートアップが生まれやすい環境を作っていくことが非常に重要だと捉えております。大きく3つほどテーマがあるのではないかと思っておりまして、1つが起業家の絶対数の増加。まず、チャレンジする人の数をいかに増やしていくかということ。もう一つは、出口の部分なんですけれども、日本の場合はM&Aによって生まれたスタートアップが買収されていくという流れが非常に少ない状況にありまして、これも一つ重要なポイントだろうと思っております。

3点目が、上場したスタートアップが、その後も力強く継続成長していくこと。この3点がそろって、スタートアップエコシステムというものが機能していくのではないかと私どもは考えております。今回に関しては特に3点目、上場した後もスタートアップが継続して成長していくためには、どういった環境を整える必要があるか、そういった観点からお話しさせていただければと考えております。

それでは、3ページ目に進んでください。これは近年の日本におけるベンチャー投資額並びにIPO社数です。これは先ほどの御説明にもございましたが、近年、非常にベンチャー投資額が増えております。私自身のバックグラウンドでいいますと、もともと零細スタートアップの経営者をしており、2010年当時に自分の会社が資金調達をしておりましたが、当時の年間ベンチャー投資額は700億円に満たない状況でした。それが去年ですと、4,000億円に迫るところまで伸びてきているということでして、たかだか7、8年で隔世の感があるという状況でございます。加えて、IPO社数も非常に増えてきております。2009年が4社ですので、そこから比べると、これはマザーズです、いわゆる新興企業が上場しやすいマザーズですが、これが去年で言うと63社と非常に伸びてきていると。こういった点で言いますと、大まかに見て非常に活発な状況になってきているということが言えるわけなんですけれども、一方で、スタートアップの成長促進を図る社会的な意義というのは何かということを改めて考えると、時代の変化に即した事業を通じて社会課題を解決するということ、また、そうした事業を通じて新しい産業を創出していくこと、この点にあると考えております。そういったことを考えると、いたずらにIPO数を、いわばKPIと捉えて目標数値と捉えるのは、そもそもの意義を見失うことになるのではないかと考えております。

それを踏まえて、次のページなのですが、これは何かと申しますと、日本におけるスタートアップの成長イメージです。いわゆるスタートアップと一般に呼ばれる非公開株の段階ですね。日本の場合は、大体、時価総額100億円前後で市場に上がると。そこから私どもが、Post−IPOスタートアップと呼んでおりますようなステージに入りまして、資本市場の世界では、いわゆる小型株と呼ばれる世界ですね。そこからより成長して、時価総額が1,000億円を超えてくると中型、大型株に成長してくるという状況なのですが、この一連の流れにおいて、日本における新産業創出のボトルネックはどこなのかということを考えてみると、私どもは、このPost−IPOスタートアップ、小型株のステージなのではないかと考えております。

その背景は何かといいますと、1つは投資家層の有無というところが非常に大きいのかと思っております。まず、非公開株、スタートアップに関して言いますと、先ほどのベンチャー投資額が増えているというような案内にもありましたとおり、非常にエンジェル投資家等並びにVCの方々が増えてきて、リスクマネーが供給をされています。そういった方々がプロの審美眼を持ってスタートアップを評価し、なおかつ、VCの方によってはハンズオンでスタートアップの成長に貢献なさる方々もいらっしゃるという状況です。今度は飛んで、中型株・大型株にまで成長してくると、徐々に経営も安定して、より成長が巡航速度に入ってくるというところと、近年のコーポレートガバナンスコードの制定等々もございまして、ロングの機関投資家が入ってきて、そこでプロの企業価値評価にさらされる。ないしはガバナンスが効いて、ある種、規律の効いた経営というものが実現されるという状況なんですけれども、問題は、この小型株のところ、具体的には時価総額1,000億円以下程度のことを想定しておりますが、ここを支える、いわばプロの投資家がいらっしゃらないという状況です。原則として、スタートアップに投資するようなVCの方々というのは、基本的にはスタートアップが上場すると徐々に退出していかざるを得ない。それがビジネスモデルであります。また同時に、機関投資家の方々が、この小型株に投資をしようとすると、後述するような理由があって、なかなか投資がしづらいという状況にあります。では、一体こういった小型株の投資家はどういった方々が担っていらっしゃるのかというと、いわゆる個人投資家ですね。個人の方々が担っていらっしゃる。これはもう少し厳しい表現をすると個人の投機家に近いような方々、今日買って明日売るという、そういった方々がより主体のマーケットになっている状態です。

そうなると、やはり四半期ごとの決算に振り回されて、何でもっと黒字が出ないんだ、何で今期は赤字なんだとか、会社の成長という視点よりも、今日、株価が上がったのか、下がったのかだとか、そういった短期的な事業に目線が寄りがちになってしまうといったところがポイントかと思っております。

やはりそういった投資家の方々の声に、経営者、私自身も以前上場企業の経営者を務めておりましたけれども、そういったことに左右されてしまう側面もどうしてもございますので、そこで成長が少し遅れてしまったりだとか、ないしは失速してしまう会社が少なくないのではないかというのが、私たちが持っている実感でございます。

こうした新産業創出のボトルネックのことを私どもは「第二の死の谷」と呼んでいるのですが、これをいかにして越えていくか。スタートアップ、未上場の段階でいうと、お金の巡りが7、8年前に比べて大分よくなってきて、それはそれで良かったのですけれども、ここからさらにもう一段成長するためには何をすべきなのかということを考えることが非常に今日的なテーマなのかなと考えております。

このためには、大きく2つ道筋があると思っております。1つは、ベンチャー、VC、スタートアップの投資でいうところのレイターステージですね。初期のステージではなくて、より成長してきたステージに対するリスクマネーの供給ないしは経営のサポートを手厚くして、いわば大きく産んで大きく育てる。この表でいうところの中型株になる程度まで育てて、そこで上場するということで、上場して以降もスムーズな移行を図っていく。これが1つです。

もう一つは、小型株で上場したPost−IPOスタートアップを、リスクマネー面、並びに経営面でサポートするような仕組み作り、環境作りがあれば、もう少しPost−IPOスタートアップの停滞期を短く乗り越えることができるのではないか。こういった2つの道筋があるのではないかと考えております。

5ページ目に進んでいただきまして、では具体的にスタートアップが上場後、直面する課題がどういったものなのかということをここに列記しております。これは、未上場スタートアップが直面する課題とは一部違うような、やや異なるテーマかと思います。

まず、経営人材・知見というところなのですが、まずもって上場前の状況でいいますと、経験の少ない経営陣をVC陣の方々等々がハンズオンでサポートしてくださる、ないしはストックオプション等々のインセンティブがあることによって、優秀な経営人材が採用しやすい。一方、上場してしまいますと、日本の場合、多くのスタートアップの経営者というのは上場企業の経験がない方々ですので、初めての状況に直面しやすい。なおかつ、ストックオプションのようなインセンティブが効かせづらい状況になる。そのため、採用候補者から見ると会社は上場してしまうと、ただの上場銘柄、一上場銘柄になってしまうんです。ですので、スタートアップに入って大きくしていきたいといった野心を持った方を引きつけようと思うと、むしろ未上場の段階のほうが人の採用はしやすいのではないかと感じております。これが1つ。

あと、組織面。上場前でいいますと、日本の場合、100人未満ぐらいで上場する会社が、50人前後の会社が多いのかなと思っています。100人以下というのは、社長が全社員を見渡せる組織の規模でして、背中を見せれば何とかなるということです。また、事業の成長が組織全体のインセンティブとして機能しやすい。一方、上場を境にしてその前後、大体時を同じくして、組織規模の拡大にミドルマネジメント層の育成が追いつかないといった組織面の課題に行き着きます。また、上場というイベントで区切りがつくことですとか事業が徐々に成熟していくことによって現場の士気が低下しがちであるということが起こりがちなことなのかなと思っております。

事業面に移りますと、未上場の会社というのは多くの場合、ほぼほぼ単一事業で会社を運営していることが多くて、経営というよりはチーム一丸となって執行を行っているという状態かと考えております。一方、上場するあたりのタイミングで既存事業もだんだん成長率が鈍化してくるわけですし、新規事業への投資等々が必要になってくる。そうなってくると、事業を複線化していく必要が出てきまして、全員チーム一丸となって執行をやっていた段階から、ポートフォリオマネジメント的な経営を行っていかなければいけないフェーズに直面します。ここで今までのやり方とは違った所作に苦労していらっしゃる方々が多いということです。

あと、市場との対話という意味でいいますと、上場前のタイミング、取締役会等々にほぼほぼVCの方々もオブザーバーで出席していらっしゃいますので、実質、毎月株主総会をやっているのに近いような状況にあるわけですけれども、上場してしまうと、そもそも顔も見たことのない投資家の方々に囲まれてしまって、あまり事業について理解のない方からいろいろな突っ込みを受ける。こういった上場前後のコミュニケーションギャップに苦労していらっしゃる方が非常に多いなとお見受けしております。

最後、資金調達なのですが、現在、未上場でも以前に比べて大きな金額の資金調達がわりとしやすくなってきたかなと。一方、上場後、まだまだ成長していかなければいけないPost−IPOスタートアップの段階でいうと、市場を活用した資金調達の機会は極めて限定的で、結局のところ、マザーズから東証一部に鞍替えするタイミングぐらいしか実質的に資金、リスクマネーを調達するタイミングがありません。本来、市場を使って成長資金を得るために上場しているはずなんだけれども、むしろ上場したほうが資金調達しづらくなっているのではないかという、ややあべこべのような状況が起こっているように見受けております。

先ほどレイター、あとPost−IPOのところに対するリスクマネー、経営知見の供給が必要ではないかというお話をしたんですが、6ページを御覧いただきますと、日本とアメリカのシード、アーリーと呼ばれるような初期段階のスタートアップに関する投資と、あとレイター、これは非常に大きくなってきた、アメリカで言うところの今のリフトだとかウーバーのような会社に対する投資が行われているステージ、この投資の規模感を投資金額で比較しております。

これは一目瞭然なのですが、日本の場合はシード、アーリーが非常に手厚くて、レイターが少ないという状況です。投資金額で比較すると、本来であれば米国型になるはずなんです。と申しますのは、スタートアップが成長してきたほうが、より調達する資金が多くなるからです。シード段階であれば、せいぜい数百万円、数千万円、アーリーであれば数千万から1億、2億といった状況から、レイターステージとなりますと数十億、場合によっては100億円といったような調達額になってきますので、金額比率で見れば、本来はレイターのほうが厚くなるはずです。ですが、日本の場合はそうなっていない。

これはなぜかといいますと、一部はレイターステージの投資家の役割をマザーズが担っている。ですから、これはニワトリと卵なんですけれども、レイターステージの投資家の方々がいらっしゃらないからマザーズに上場しようということになりますし、マザーズがあってスタートアップがみんなそこに上場してしまうから、なかなかレイターステージの投資家が登場しづらいといった環境にあるかと思います。

あともう一つ、先ほどの御案内にもありましたとおり、VCに対して大規模な資金を提供する機関投資家が極めて限定的であるということです。日本の場合、かなりの部分を事業会社がVCに対する資金提供、LPを担っていらっしゃいます。こうなると何が起こるかというと、事業会社の方々というのは、必ずしも投資した資金の最大化を狙っているわけではありません。それ以上に、より政策的な用途、VCに投資することによって情報、知見を得るということが非常に重要なポイントになってきます。そうなると、レイターステージに限られたスタートアップに対して多額のお金を投資するよりも、なるべく早い段階のスタートアップに少額でたくさんの数を投資したほうが、結局、得られる知見、情報が多くなるので、どうしても資金を運用する側としてもシード、アーリーに投資するインセンティブが働きやすい構造なのかと考えております。

右側のPost−IPOのところなのですが、まずもって投資家の方々から見て投資対象として難点があるということです。極めて流動性が低い。例えば時価総額100億円の会社で、1日の流動比率1%だとすると1億円です。1億円のうち、自分たちの投資額が市場に影響を与えない程度で投資できる限界は30%程度ですので、こうなると1日3,000万円ということになります。仮に1,000億円、2,000億円運用しているような機関投資家の方々が、1日3,000万円しか売買できないような会社に投資するためにリサーチコストをかけるかというと、これは非常に難しい状況かと。それよりは、一気に数十億単位の資金を投資できるような大型株に目が向きがちなのは極めて自然な流れかと思います。

また、経営知見という意味でいいますと、供給側のスキルセットが不足している点もあろうかと思います。要は、上場企業経営経験をして、投資家に転じている人間がなかなか少ないということですね。

こうしたことも踏まえて、何かしらレイター、Post−IPO期のスタートアップに対して、リスクマネーと経営知見が注がれるような仕組み作りが必要ではないかということを考えているところです。

7ページに進んでいただきまして、翻って産業革新機構の活動がどのようなものだったかということを改めて見てみると、まずもって、左側なんですけれども、ベンチャー投資における呼び水となったという点においては非常に実績があったのではないかと考えております。2009年から2013年までと2014年から2018年までという5年間で切り分けていますけれども、2009年から2013年において国内のベンチャー投資額の実に25%をINCJが担っていらした。リーマンショック後の本当に資金の供給が乾き切ったタイミングにおいて非常に重要な役割を果たされて、その結果何が起こったかというと、どんどんスタートアップに注目が集まって2014年から2018年においては、相対的に低いポーションになっていたと。これは確実に民間の資金を呼び込む呼び水になったという言い方ができるのではないかと思っております。このほかVCへのLP投資も実施しているという状況です。

一方、どういったステージに投資をなさっているかということを見ていると、右側のさらに右の棒グラフですけれども、主にシード、アーリーが中心で、レイターに回っている投資していらっしゃる比率は18%であるということで、レイター期への投資割合は相対的に低い状況なのかなと思っております。

シード、アーリー期を中心にした投資の意味においては、非常に重要な役割を果たされ、今後においては、よりレイターステージ、Post−IPOへの産業投資が求められているのではないかというのが今考えられる点です。

最後のスライドになります。以上を踏まえて、公的な機関といいますか、産業投資が担うべき役割、どういった点があるのかというのを、少々突っ込んだ話になってしまいますが、私どもなりに考えている点を挙げさせていただきました。

まず、検討すべきポイントです。スタートアップに対する公的資金提供がそもそも必要であるのかどうなのかという点。2点目は、仮にそれが必要であるとした場合に、資金提供方法はどのような姿であるべきかという点です。

まず1点目において申しますと、今まで中長期のリスクマネー供給を担っていらした産業革新機構が一定の役割を今終えられた状況であるわけですけれども、こうした資金が今後停滞することによってスタートアップのエコシステムに及ぼす影響は決して小さくないだろうと。下手をすれば5年前、6年前のような状態に逆戻りしかねないのではないかということを考えております。

また、直近ですと、先ほど仮屋薗さんからも御説明がございましたとおり、投資の分野が従来のIT分野から、より多岐にわたってきつつあります。IoTデバイスですとかモビリティ、ロボティクス、バイオ、環境、航空、宇宙などですね。これは経産省のJ−Startupに掲げられているようなカテゴリーですけれども、特徴といたしましては、今までのITスタートアップとは桁違いの資金供給が必要であるという点です。そういう意味においても、リスクマネーの量はより必要になってくるであろうということです。

また加えて、先ほど申し上げたとおり、レイター、Post−IPOというところは民間任せではなかなか投資領域として拡大しづらい状況にあろうかということ。また、景気動向が不透明化しかねない状況における公的リスクマネーの役割というのは非常に大きかろうということです。

2点目、資金提供方法のあるべき姿なのですが、まずもって投資チーム組成の実現可能性ですね。いわゆる官民ファンドという色合いで考えたときどうあるべきかというところですが、優秀な現役世代の投資チームを今そろえることができる実現可能性がどの程度あるのかというのは1つ考慮すべきかと思っております。また、ある種、政策色的な点があるということを踏まえると、アセットオーナー、LPですね、これは国のお金ということになるわけですが、国のお金がGP、ファンドを運用している方々に対して、投資方針に対して積極的関与することを今までであれば前提とされていたのかなと感じるわけなんですけれども、こうなるとファンド運用者としては、自分自身の判断に基づいてトラックレコードを築いていくというよりも、上からの指示によって、ある種、自分の投資判断とは違ったところにもある程度資金提供しておかなければいけないということで、なかなか自分のトラックレコードが築きづらい。そうなると、そういったトラックレコードがなかなか築きづらいところに本当に優秀な現役世代が入ってくるのかどうかということです。

あと、これはどちらかというと投資されている直接投資を受けているスタートアップ側からよく聞かれる声ですけれども、レポーティング負担が非常に大きいと。経営チームもまだまだ小さい中において、どうしても公的な性質の高いお金を受けるとレポーティングを行わなければいけないわけですけれども、その負担が非常に大きいということです。これらを踏まえると、我々としては現実解として、産業投資は「ファンド」ではなく、「エクイティ型産業振興プログラム」と位置付けて、民間の知見と目利きを活用した資金の提供、これを主にレイターステージ、Post−IPOに対して行っていくべきではないかと考えております。

ファンドなのかそうじゃないのかというのは、ある種、言葉遊びに聞こえるかもしれませんが、積極的に投資の目利きをして資金を提供し、なおかつ経営をサポートするといったような積極的な役割と、必要なところに資金だけをマッチアップ型で拠出するような動き方というのは、全く異なるものです。後者はファンドと呼ぶべきものではないのではないかと。「ファンド」という呼称によって想起されるイメージが人によって異なるために、誤解や齟齬を招いているのではないかというのが、外から見ていて感じることです。

最後に留意点です。今、積極的な目利きを担わないと申しましたが、具体的にはVC等々に対する資金の拠出、ファンド・オブ・ファンズ、あるいはVCを含めた民間の投資家が投資した際に、その資金にマッチングするようなマッチング拠出型の投資、こういったことを行うことによって、目利き力を伴わず、民間の知見を活用してリスクマネーの提供ができるのではないかということが1つ。

あと、もう一つ最後に注意すべきは、資金のばらまきを避けるということですね。スタートアップの世界、リスクマネーの増加が単純に成功数の増加に直結するわけではないと思っています。経営基盤が脆弱なところにいたずらに資金を増やしても、かえってエコシステムを不健全化するだけですので、そこはあくまで本当に良い先なのかといったところは、民間の知見を活用しつつ、規律の効いた資金の活用をすべきではないかということが私どもの考えていることでございます。

少し長くなってしまいましたが、私からは以上でございます。ありがとうございました。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、お二方の御説明を踏まえまして、委員の皆様から御意見、御質問ということで、質疑応答を行いたいと思います。

渡部委員、お願いします。

〔渡部委員〕皮切りに2点ほど質問させていただければと思います。

1点目は、民間のベンチャーキャピタルの今後の課題がいろいろある中で、大きさという意味では、アメリカとの比較で小さいというお話がございましたけれども、どれが一番大きな課題でしょうか。1つは、ファンド、資金の調達。ステージ別のお話がありましたけれども、日本の年金等を含む機関投資家の参画度合等を含めて、これが一番大きいのでしょうか。

あるいは、ソーシングというか、スタートアップ企業を見つけていくこと、発掘するのが大変、あるいはプライシングというか価値をはかるということが大変なのか、あるいは少しお話がありましたけど、3番目なのか2番目と一緒なのか、バリューアップというか、いかにその企業を良くしていくかというアドバイザー機能みたいなところが今後大事なのか、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃるかなというのが1つ目の質問です。

それから2つ目の質問は、先ほどのシニフィアンの方のプレゼンにも出ましたけれども、目利きという業界用語的な目利きですけれども、目利きができる人、個人なのか、あるいはチームなのか、組織なのか、業種によって違うのかもしれないんですけれども、それはどこに存在しているんだろうかという点です。したがって、なかなか実際はいなくて、だからコーポレート型のVCというか、結局、企業側のニーズもあるわけですけれども、やはりそっちにしかないのか、アカデミックのところにいると言われても、言うほどでもないかもしれないですし、あるいは業種によっては規制当局のほうに目利きがあるのか、その人たちの母集団というのかがやはり目利きが少ないというか、どうなんだろうというのが質問させていただきたい2点目です。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

1点目は、いずれも重要だとお答えになるかもしれませんが、いかがでしょうか。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会仮屋薗会長〕では、まず1つ目の質問から3点の優先順位。1点目の資金、2点目のソーシング、プライシング、いわゆる探索及び投資能力、そして3点目が付加価値支援活動ですね。まさにおっしゃられましたとおり、それぞれどれもということではあるんですが、今、世界の潮流としましては、この3つどれか1つというよりも今日本で重要なオープンイノベーション観点、産学連携、大企業連携、もしくは地方創生もそうですし、グローバル連携、このあたりを含めたトータルのエコシステムアプローチというものをもって、簡単に言うと、これら一つ一つの能力の向上と、それらの連携の効率をさらに高めることによって、イノベーションを起こすための社会基盤自体のレベル全体を上げていこうという活動に変わってきているところでございます。

ですから、先ほど渡部先生がおっしゃっていただきました3点はどれも重要なんですが、日本ベンチャーキャピタル協会で行っておりますことは、先ほどの3点、資金面、能力面、経営支援活動面、さらには社会課題解決のための方策面を統合的に、かつ、その4つを連携して行えるような活動を行っております。

例えば目利きに関して申し上げますと、VC協会側の資料の16ページになります。こちらは協会発足以来、もう15、16期目ぐらいに入っておりますが、人材の育成プログラム、ベンチャーキャピタリスト養成講座というものを協会としてやっております。一般的な業界ですと、各社ごとに多分秘伝のノウハウと申しますか、そういうものがあって、なかなか社外に出ないというところであるかと思いますが、ベンチャーキャピタル業界もしくはスタートアップイノベーションのユニークなポイントというのは、投資支援をする際に一緒に投資をするということです。

例えば、必ず3、4社ぐらいが一緒に投資をして、例えば三菱UFJキャピタルさんとSMBCキャピタルさんが一緒に投資をする。更には我々独立系VCも一緒に投資をして大きなリスクをシェアして、一緒に経営支援活動を行って、成功したときのアップサイドもシェアしようということです。業界全体がお互いに相互補完関係になることで全体の成功確率を上げていくというメカニズムなんですね。これがエコシステムというアプローチだと思っております。

そういう観点で、先生がおっしゃられました幾つかの優先課題の中の全体を上げていくための活動が協会活動そのものかなと、まず1点目は思っております。

〔シニフィアン株式会社朝倉共同代表〕2点目、目利き並びにバリューアップ、経営支援できる人材、この点について私からお話しさせていただきます。

まずもって、世の中にどういったところにそういった人がいるのかという点ではあるんですけれども、極めて限られていると思います。その極めて限られている理由は何かというと、やはり人材の流動性がないことです。1つの組織に在籍し続ける、ないしは、創業者の方でも、自分の会社を立ち上げて、それが成長すると、ずっとそこに居続けるというのが、日本でいうと、いわば常識として捉えられているようなキャリアのあり方だと思います。

対して、我々が理想型とするようなアメリカ等々を見てみると、いわゆるプロ経営者の人材プールというものがあって、人材の流動性がある。またスタートアップであれば、早期の段階が終わってくると、一旦、自分たちはそこから退いて、また新しいスタートアップを作っていくといった循環が生まれています。そういった面でいいますと、日本においてはそういった人の流動性がないという点において、現実問題としては極めて限られていると思います。

もう少し解像度を上げて申しますと、人材という点において、いわば上場前の段階、上場前のスタートアップをサポートする方々、主にVCの方々等が中心になるかと思いますが、そこについては、先ほど仮屋薗さんから御説明があったような取組みというものがなされており、非常に層が厚くなってきているのではないかなと、外からは拝察しております。

一方、上場後というところは本当に人がいなくて、なぜかというと、上場企業経営経験のある人間がなかなか外に出てこないからです。これをどうするかというのは非常に課題ではあります。

幾つかアプローチはあると思いますけれども、1つは、ベンチャーキャピタル協会さんのように、育成的な側面を持って人を育てていくということを取り組んでいかなければいけない、これが1つですね。

あともう一つ、人の流動性を上げていくという面において、M&Aというものをより有効活用して活性化できないかと。例えばアメリカでいうと、ベンチャーキャピタルから出資を受けているスタートアップ、エグジットの9割方はM&Aによるものでして、これは日本とアメリカの大きな違いなのですが、M&Aで買収された人材というのは、一定期間、買収された会社にとどまった後、またいろいろなところに散っていくわけです。中には新しいスタートアップを始める方もいますし、それとはまた別に後輩の方々に対する指導といいますか、サポートに当たっていく方々も出てくる。こういった系といいますか、スタートアップを取り巻く環境の充実というものが、いろいろなオプションをもって実現されているというのがアメリカの現状だと思っております。日本とアメリカにはそこにギャップがあると思っておりまして、ここを何とか埋めていかなければなというのが、今の課題認識であります。

〔池尾分科会長〕よろしいですね。ありがとうございました。

では、小枝委員、お願いします。

〔小枝委員〕朝倉様の御報告の4ページ目あたりで、1点質問させてください。

先ほど、Post−IPOスタートアップの投資家層が薄いという話もありましたし、次のページだと上場後の課題ということも御説明されたわけですけれども、こういうことを伺っていると、アメリカと比べると、やはり日本は間接金融と比べて直接金融が小さいという印象を受けます。例えば、アメリカでは、普通に個人の人が貯蓄の選択として小口でミューチュアルファンドとかを買って、それが安定的に支給されているわけです。そういったことを背景に考えると、例えば中型になるまで上場しないだとか、早い時期のM&Aを活発化させるだとか、機関投資家じゃなくて一般の個人の貯蓄の選択としてミューチュアルファンドを育てていくなど、いろいろな方向性があるかと思います。ヨーロッパも日本みたいに間接金融の割合が高くて、もしかすると似たような課題を抱えているのかなと思うんですが、日本型を考える上で、どういう形が適切かという、その辺のお考えがあればお聞かせください。

〔池尾分科会長〕いかがでしょうか。

〔シニフィアン株式会社朝倉共同代表〕ありがとうございます。今、御指摘にあったとおり、間接金融、直接金融の違いなど、マクロ面でいうと、なかなか直接金融にお金が流れてきづらい状況が、特にPost−IPOスタートアップにおいて資金供給というところを停滞させているという点はあろうかと思います。

実際、ここのゾーンで活動していらっしゃる方々がいらっしゃらないわけではなくて、例えばひふみ投信さんですとか、こういった領域に積極的に投資していらっしゃる方々、いらっしゃることはいらっしゃるんですけれども、まだまだ層が薄いのではないかというのが現状かと思います。

日米の差になりますけれども、1つ大きな違いとしては、マザーズという極めて特殊な市場が日本にあるということは大きな違いだと考えております。いわば日本というのは、スタートアップから見ると、世界で一番上場しやすい地域であると。それはマザーズがあるが故なんですよね。先ほど、ややもすると個人投資家の方々に対してネガティブな発言もいたしましたけれども、裏返してみると、そういう新興の若い会社を個人投資家が支える地盤があるという言い方もできるわけです。

2016年マザーズに上場する会社の公募価格ベースの時価総額の平均というのは66億円だったそうなんですけれども、アメリカではこの規模感ではまずもって上場できません。もう少し大きくならないと、400億円、500億円という規模感にならないと上場はできませんので、いわばアメリカ型というのは、大きく産んで大きく育てるような、そういう循環に入っているわけですね。一方で、日本の場合は、小さく産むこともできるということです。

これは環境が違うので、このギャップを埋めていく必要があると思います。1つは、これに対してある種、懲罰的といいますか、マザーズというものの上場基準というもの自体を引き上げるべきだといったような御意見もあります。これは確かに首肯すべき部分も多いんですけれども、一番冒頭に申し上げたとおり、スタートアップのエコシステムということを考えたときに、いかにチャレンジする人の数を増やすかが最大の問題でして、マザーズといったような出口を絞るということは、挑戦する人の数も減らしてしまう。要は、起業意欲を失ってしまうということですよね。せっかくリスクをとって起業したのに、出口がなくなってしまうんだったら、やる意味がないではないかと。ですので、あまり懲罰的に出口を閉めるということは、日本の産業発展という意味において決して得策ではないと考えています。

では、どうするかということです。1つは、アメリカ型に大きく産めるような、そういったレイター投資家の層を拡大していくということ、もう一つは、よりPost−IPOスタートアップと呼ばれるようなところに積極的に投資していくような長期目線の投資家をいかに増やしていくかといったところがあろうかとは思います。これは今現在の民間に任せていた状態ではなかなか増えづらい状態なのかなと。

これは構造的な課題がいろいろあるんですけれども、1点申し上げると、いわゆるアセットオーナー、アセットオーナーというのはファンドに対して資金を提供する方であり、それに対してファンドを運営するのがアセットマネジャーに当たるわけですけれども、アセットオーナー側の制約によって、こういったPost−IPOスタートアップに投資をしようとする意向を持ったアセットマネジャーにお金が集まりづらい状況になっているというのはあると思います。

4ページ、制度上の区分ということで、未上場株式と上場株式と分けておりますけれども、アセットオーナーの方々、自分たちの資産をどういったアセットクラス、リスクに応じて分配するかというところを明確に区切っていらっしゃるわけですね。VC等々を含めたいわゆるプライベートエクイティーはオルタナ投資として見られていまして、流動性は低いけれども、そういうものだと。そのかわり、ハイリスク・ハイリターンだとみなされて、一定程度の資金が拠出されていると。

一方、上場株に期待されているものというのは、もう少し流動性が高くて、解約したいと思えば、即日でも解約できるような資金の預け先です。一方、Post−IPOスタートアップと呼ばれるような小型株のところは、株式の流動性が極めて低いので、現金化したいと思っても、アセットマネジャーがなかなか流動化できないわけです。ですから、お金を返してくださいと言われても、なかなか返せない。そうなると、いわゆる上場株に投資しようとしている人からすると、自分たちのリスクアセットにはなかなか合わないし、かといって、スタートアップ、ベンチャー投資のようなオルタナのアセットクラスとも異なる。したがって、ここにすっぽりはまるようなお金の出どころがないというのが現状です。

先ほどひふみ投信さんのお名前を挙げさせていただきましたけれども、ひふみ投信さんは、その点、基本的には個人の方々から預かっていらっしゃるといったような運用をなさっていますね。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは、中島委員、引き続きお願いします。

〔中島委員〕貴重なお話、どうもありがとうございました。

今までの質問に少し絡むのですが、レイターステージにしても、Post−IPOのスタートアップにしても、今のお答えもそうなのですが、要するに、どういうふうに資金調達するのかという話ですね。ただ、今のお答えの中にもあったのですが、ここら辺のレベルになってくると、純然たるエクイティよりは、やはりデットで対応できる、ですから、両方混ぜ合わせていえば、メザニンファイナンスとかあるわけですね。そういう意味では、従来の金融機関の役割というものを広げるという視点で対応できる面も出てくるのではないかなという気がして伺っていました。

その意味では、官民ファンドというよりは、例えば中小公庫といったところの役割を広げるとか、あるいは政策金融機関の役割を広げるということであれば、金融機関としての能力はもう十分お持ちなので、その面が生かせてくるのではないかと思いますし、また、エコシステムという点でいうと、確かに金融機関、あるいはベンチャーキャピタルだけでもなかなか難しいところがある。今のお話ですと、協会さんも努力されていらっしゃるけれども、まだ足りないところもあるのではないかというふうにも感じたわけで、その意味では、海外、ヨーロッパの事例なんかを見ても、国とか自治体が関与して、補助金だとか、あるいはエコシステムということになれば、まさにインキュベーションみたいな形の中で、いろいろな資金の融通ないしは提供というようなことをやっているところもありますので、必ずしもエクイティの分野に限らない資金の供給が増えてくるステージではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会仮屋薗会長〕まず、私のほうからは、Post−IPOというよりはユニコーンとして、中型に育つまでのところにおけるエクイティかデットかというところのポイントについてお話をさせていただければと思います。

ちょうど朝倉さんの資料における中央の緑のところ、未公開の状況で中型になるまで駆け抜けようとする場合にどんなお金が必要なのかというところなのですが、2点あると思っていまして、1つはグローバル化に向けての部分ですね。日本を超えて世界にシェアを広げていこうとする段階の資金、ローカルの設立からプロダクトのローカル化ですとか、現地における販売促進等々という観点が1つ。

もう一つは、そことも半分絡むのですが、マーケティングという観点になります。昨今、スタートアップ企業も上場前にしっかりとマスマーケティング等々も行って、これは5年、10年前は考えられなかったのですが、いわゆるテレビのみならずさまざまな媒体でしっかりとしたマーケティング、ブランディングを行っていく、そのようなことも行われております。このような資金になってきますと、計画的に売上が立つよう在庫を作って販売をして回収していく、というキャッシュフローが明確に読めるというところではないこともあります。そういう観点で申しますと、やはりバランスのとれたエクイティとデットによる調達ということは、十分可能性はあろうかと思います。

もしくは、中島先生もおっしゃられましたメザニンのような、エクイティ的な要素とデット的な要素を掛けたようなストラクチャー、こういうものによる調達も可能かなと思います。

私どもも、ユニコーンファイナンスの際に、必ずエクイティのベースは必要なのですが、その上にどのような手段のインストルメントを入れるかということによって、もっとクリエイティブに、足りない分を作るということはできようかなと思います。

まず、私のほうからはこの観点を1つ、お伝えさせていただければと思います。

〔シニフィアン株式会社朝倉共同代表〕私のほうから補足的な部分をお話しさせていただきます。御指摘のとおり、シード、アーリーの段階のスタートアップに比べて、レイターステージですとか、あるいはPost−IPOのステージのスタートアップ、資金の調達オプションというのは非常に広がってきます。レイターステージになってくると、一部デットを挟むような、あるいはメザニン的なストラクチャーでの資金調達を行っているスタートアップ、現実に存在します。

一方、Post−IPOのスタートアップというものをどのような会社と捉えるかということですね。東証一部で上がっているような仕上がった会社なのかというと、決してそんなことはなくて、まだまだ実際には時価総額100億円前後の成長途上の段階の会社です。

こうした中には、まだまだ赤字段階の会社も少なくありません。先行投資を要する会社が多数存在します。こうした先行投資を要する会社、今後さらに増えてくると思います。それは先般御説明したとおり、最近での投資分野というのが、いわゆるITだけではなく、IoTデバイス、モビリティー、ロボティクス、バイオ、環境、あと、SaaS等々もそうでうね。そういった、いわば赤字を一定期間掘って、深く潜ってより大きな果実を得るといったタイプの会社が増えてきているからです。

こういったところにデットだけで資金調達をしようとすると、なかなか難しいというのが現状です。もちろん、デットも組み合わせてはいくのですが、それにマッチアップするようなエクイティが必要であると。実際、私が今お付き合いしているスタートアップも銀行からデットで調達をしていますが、やはりどうしても先行投資を要するということで、まだまだ赤字段階で、コベナンツがヒットしそうだと。これをどうやって回避するかが課題になっています。実際、足元の事業は非常に順調に拡大しているんですが、どうしても杓子定規的といいますか、そういった条件にヒットして、デットのキャッシュが引いていくと、そもそもの事業そのものが成り立たなくなってしまうので、そのために、運転資金としては本来必要ないんだけれども、エクイティを厚くしなければいけないといった議論というものはございます。

ですので、やはりレイター、Post−IPOというところで資金調達のオプションが広がっていくというのは確かではあるのですが、さは然りながら、エクイティ性の資金というのはいまだに必要なのではないかというのが考えることです。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会仮屋薗会長〕すみません。協会の企画部長の村田のほうからも一言。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会村田企画部長〕村田でございます。先ほどの朝倉さんの話と少し重なるのですが、成長するスタートアップの中で、特にアメリカのスタートアップは相当投資額が大きくなっていて、大きく赤字を掘りに行きます。売上が右肩に上がっていく中で、営業損失がどんどん拡大していく、扇形に成長していくという形のスタートアップが非常に多い領域が生まれてきていて、日本でもそういった成長をするスタートアップが増えてきているのですけれども、赤字が拡大している会社に対してデットがつきやすいかというと、そうではないという実態もあるかと思います。上場した後も、さらに赤字を掘り込んで、マザーズに上場している間はとにかくトップライン、売上を上げ続けるということが本来は必要になるのではないかと思っていますが、そこになかなかデットはつきづらいという現実も、上場企業とはいえどやはりあるのかなと思います。

ただ、調達できる環境になっているところに関しては、実際にデットが既についているかと思いますし、ただ、その金額が大きいかというと、エクイティで100億円調達できることに対して、デットでは多くとも10億円程度だったりもするので、限界があるのではないかなと思っています。

例えば、逆にアメリカの事例でいきますと、上場する前のテスラが成長できた1つの原資が、それこそ財政投融資枠、政府のバックがついた形で800億円の融資がなされたところが成長の原資になって、最後のステージでトヨタから100億円のエクイティの調達も含めて、これが現状の時価総額に至るまでの成長につながったという意味では、政府による、あるいは民間と協力した形でのデットを政策的に出していくということも、おっしゃるように必要なのではないかと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

どうぞ。

〔沼尾委員〕御説明ありがとうございました。資料1の22ページのところに関係することで1点だけ教えてください。こちらに地方創生ベンチャーキャピタルの懇談会の話が書かれているのですが、おそらく日本の場合、地方でこうした新しい産業創出をやろうとなった場合に、なかなか地域にある資源の種が外に開かれていかないとか、外からもそういった各地域の情報が入りにくいということがあり、また、官民ファンドの役割も、東京でやるのとは違ったものになってくると思うんですけれども、その辺りについて、トータルで今、全体の中で18%資金が入っているというようなお話もあったのですが、こうしたローカルなところの種をこれから大きくしていく上で、官民ファンドの役割や貢献について、何か特筆すべきようなことがあるかどうかということについて、教えていただけますか。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会仮屋薗会長〕御質問ありがとうございます。地方創生につきましては、こちらも我々協会は部会を設立して、今4期目に入っております。

地方については、私どもの非常に重要な要件としまして、あえて委員会に立てたのですけれども、昨年が愛媛、その前は熊本、その前が仙台ということで地方を回っています。

正直申しますと、まず、情報格差が大きいです。資金量はもとよりなんですが、それ以上にどういう投資手法、経営支援をやっていけばいいのかということを、地銀系のVCですとか、地元のVCの皆さんがノウハウはもとより、人材の量についていろいろと頭を悩まされていた経緯がありました。

3、4年前につきましては、我々が地方に行って情報交換もして、そして彼らが東京に来てということもやったのですが、昨今、ユニークな動きが出ておりましたので、1つ御紹介をできればと思います。

いまだにスタートアップの大きな活動は、やはり東京を中心としているところがございます。その中で、東京の企業をあえて地方に連れていく、彼らを招聘するという大型のイベントをやって成功しております。と申しますのは、日本においては、いわゆる地域における中堅企業、もしくはそこにおける大企業のイノベーションを促進することによって、地域活性化であったり、その地域における主体となる企業様のいわゆる第4次産業革命化の支援をするという観点でスタートアップが貢献するということは結構大きいのではないかと思っております。東京のSaaS企業ですとか、新しいサービス企業を九州や関西にイベントで招聘して、新しいサービス、もしくは事業変革のあり方を御説明して、どんどん登用していただくというような活動で、いわゆるマッチングですね、スタートアップ側が地方に行って、そこで地域の代表者様にサービス提供を行っていくというようなマッチング、これがこの1、2年、うまくいっているような感じがございまして、幾つか試行錯誤してなかなかうまくいかなかったことがあったんですが、このあたりをヒントに、もう少し活動を広げていきたいと思っております。

〔池尾分科会長〕それでは、冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕この場所で5年ほど前に我々、いろいろ議論しましたときは、アーリーステージでリスクマネーが不足する。それは、死の谷を越えることができないと。だから、ペイシェントマネーが必要であるということで、アーリーステージに力点を置いた政策が展開されてきたと理解しておりますが、今日お伺いしたのは、出口に達した後、大きな問題があるんだ。新産業創出のボトルネックということでお話をいただいたわけでございますが、今日のお話の中で、株式市場の流動性の話とか、人材の流動性とか、ある意味、我が国経済のシステム全体に関わる話もあるわけですけれども、仮屋薗さんからお話しいただいたオープンイノベーションの重要性とか、何を私が言わんとしているかというと、リスクマネーが不足しているということに力点があるのか、先ほども小枝先生の御指摘にあったような金融制度の特徴とか、そういうものも絡んでいるわけですよね。

したがって、第二の死の谷というものの大きな原因が、リスクマネーが不足していて、公的なリスクマネーの供給が必要ということなのか、あるいは、もっと大きなことが我々に問われているのかもしれない。

そういうことを考える際に、まずは先ほど来、マザーズの話があったわけですけれども、4ページの図で、太い実線のように大きくなった企業と、そうではなしに点々のようになった企業が、それぞれどういうことでそうなったかとか、そういうことで何か御知見ございますれば、お教えいただきたいと思います。私は、そういうものの原因を見ることによって、何が本当に必要なのかということを確認できるような気がいたします。

〔池尾分科会長〕どうも。少し時間がかなりなくなってきていますので、手短にお願いできたらと思います。

〔シニフィアン株式会社朝倉共同代表〕ありがとうございます。リスクマネーの不足という点、Post−IPOに関していうと、それと加えて、お金であれば誰でもいいというわけでは決してないんですよね。ちゃんと会社の長期的な成長に寄り添ってくれるような、そういった意思を持ったお金が入るかどうかが非常に重要な分かれ目だと思っております。

例えば私はラクスルという会社の社外取締役を務めておりますが、その会社の場合ですと、海外の優良な、長期間保有する機関投資家を積極的に呼び込むというようなことを行ってきました。そういったこともあって、公募時の時価総額400億円ちょっとから、今、1,000億円程度まで上がってきているというのが、昨年上場した会社なのですけれども、現状です。

ですので、いたずらにお金の供給量を増やせばいいというわけではなくて、そこにちゃんと長い間寄り添うというような意思を持ったお金を注ぎ込むということが非常に重要になってくるかと思います。

〔一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会仮屋薗会長〕すみません。一言だけ、よろしいでしょうか。

今のに加えてですが、朝倉さんがおっしゃられた意志を持ったお金という観点は実は非常に重要でして、資金量が足りないのはもとよりですが、4年前のアーリーステージのペイシェントマネー、死の谷のところの資金は、VCファンド、シードファンドが相当できてきたことで、結構リカバリーできてきました。現況の課題は、やはり日本におけるオープンイノベーション、新産業の創出もしくは新産業型への転換なんですね。分野としては医療、金融、インフラ、エネルギー等々になってまいります。ここへお金が足りないのはもとよりなんですが、これらの分野は、やはり政策的な、いわゆるルールセッティングの部分ですとか、どういうプレーヤーをどういうふうに組み合わせて日本における新たな社会構造に進化させていくのかという、政府、各監督省庁主導のディレクションが必ず必要になってくる分野だと思うんですね。ですので、お金と政策が合わさった、こういうふうな供給の仕方をしないと、純粋にお金だけ供給しても事足りない、ということになろうかと思いますので、朝倉さんの言葉にあった、いわゆる意志のあるお金という出し方が重要なのではないかと思っております。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、まだまだ議論は尽きないという感じなんですが、予定している時刻になりましたので、このあたりで質疑を終了させていただきたいと思います。仮屋薗様、村田様、朝倉様、どうもありがとうございました。御退室をお願いします。

(有識者 退席)

〔池尾分科会長〕それでは、続きまして、産業投資の管理運営について、取りまとめに向けて取り上げていきたいと思います。まず最初に、山本企画官から御説明をお願いします。

〔山本財政投融資企画官〕企画官の山本です。よろしくお願いします。私からは、資料3、産業投資の管理運営について1(基本的考え方等)につきまして、御説明いたします。

1枚お進みいただきまして、2ページの目次を御覧ください。今日のこの資料では、産投の管理運営についての今後の検討の進め方、産投の基本的考え方、果たすべき役割について取り上げております。

2枚お進みいただき、4ページを御覧ください。当面のスケジュールでございます。今月から6月まで、毎月1回ペースで分科会を開催し、4月に論点整理、5月に報告案の議論、6月に最終取りまとめを考えております。また、あわせまして、4月の分科会では、官民ファンド、昨年11月の分科会で取り上げた4ファンドの投資計画の御報告、5月の分科会では、ヨーロッパの海外調査がございますので、その御報告をさせていただきたいと思っております。

1枚お進みいただき、5ページを御覧ください。主な課題・検討項目でございます。昨年6月の分科会で取りまとめいただきました「産業投資の管理運営についての検討の進め方」に基づきまして、本日の分科会から6月までの分科会の御議論の基本的な問題意識は、記載にあるとおり、産業投資について、ストックにも重点を置いた管理運営手法を検討するというものでございます。そして、今日のこの資料においては、6月におまとめいただいた検討項目のうち、赤枠で囲った部分について取り上げているものでございます。

2枚お進みいただきまして、7ページを御覧ください。産業投資の意義でございます。何度か御覧いただいたことがあるスライドでございますが、特会法の規定にもありますとおり、産業投資は政策性と収益性の両方を目指す必要があります。なお、政策性については民業補完という要素も入っております。

1枚お進みいただきまして、8ページ、産業投資の原資の性格等を御覧ください。産業投資は、産投機関に出融資を行い、そこから投資収益等を回収し、さらにそれを再度、出融資に回していくというのが基本的な仕組みとなっております。その投資の活用先でございますが、1として融資等のリスクバッファ、2として出資等の直接の原資と2種類ありますが、近年、2の出資等の直接の原資に活用される割合が増加しております。それから、2については、従来よりも収益の変動・リスクが相対的に大きいなどの事情がありますことから、基本的問題意識でありますストックにも重点を置いた管理運営の検討が今、求められているという流れでございます。検討に際しては、出資先の状況に応じたフォローアップの仕組みや、産投全体の収益・リスク等のポートフォリオの管理についての検討が重要と考えております。

2枚お進みいただきまして、10ページを御覧ください。日本経済の状況変化と産業投資の歴史的経緯です。産業投資特別会計が設置されましたのは、昭和28年、1953年でございますが、それ以降の産投の主な対象分野、出資分野の変遷をグラフにしたものです。全体を通じまして、戦後復興、高度経済成長、安定成長といった日本経済の成長、発展等やそのときの状況に応じて国民経済上の重要課題に産投は対応してきました。また、東日本大震災、リーマンショックなどの大規模な自然災害あるいは経済情勢の急激な変化にも対応してきたところでございます。

1枚お進みいただき、11ページを御覧ください。引き続き、状況変化と歴史的経緯についてでございます。内容については、先ほどのグラフを文章化したものですので、同じものになるのですが、産投の対応、役割を大きく分けますと2つに分類することができまして、1つは日本経済・産業の状況変化への対応という平時における対応、もう一つが緊急かつ重大な課題の発生への対応という危機時における対応の2つがあり、平時における対応については、現下の日本経済などの状況を踏まえて産投の果たすべき役割を考える必要があります。

1枚お進みいただきまして、12ページを御覧ください。近年の産業投資の重要課題です。近年、産投がどのような課題に取り組んできたのかという最近の動きを見ますと、例えば、ベンチャー企業の創出、ビジネスの新陳代謝・オープンイノベーション、日本企業の海外展開という3つ等が挙げられるかと思います。

1枚お進めいただき、13ページ、産投の重要課題(「ベンチャー企業の創出」)を御覧ください。産投がベンチャー企業の創出に取り組んでいる背景事情でございますが、左側の縦の棒グラフの表は、ベンチャー企業に対するリスクマネー供給の状況を全世界と日本とで平均を比べていますが、これを見ますと、特にアーリーステージ、レイターステージのベンチャー企業に対する資金供給において日本が少ないという状況にあり、大型のリスクマネーの不足という指摘があります。また、右側の横の棒グラフを御覧ください。これは日本におけるベンチャーキャピタルの投資先分野を件数と金額で示したものですが、いずれで見ましても、IT関連への投資がほかに比べて非常に多いということで、バイオなどの分野への投資が少し不足しているのではないかという指摘がございます。

1枚お進みいただき、14ページを御覧ください。引き続き、ベンチャー企業の創出についてです。各国・地域におけるユニコーン企業の数をまとめたものでございますが、日本は1社と少なく、この背景にはリスクマネーの不足が一因としてあると言われております。

次のページ、15ページを御覧ください。引き続き、ベンチャー企業の創出についてです。民間によるリスクマネー供給の不足について、民間企業・ファンド関係者からの御指摘を例示しております。先ほどの仮屋薗様や朝倉様のプレゼンテーションでも御指摘されている部分でございますが、長期資金、大規模資金の不足の問題、資金供給が不足する分野の問題、エコシステムの問題などの御指摘があり、このような有識者、関係者の方々との深度ある対話を継続的に行った上で産投の運用を行うことが重要ではないかと考えております。

次のページ、16ページを御覧ください。引き続き、ベンチャー企業の創出についてです。先ほど申し上げたようなリスクマネーの不足といった課題に対応して、近年、産投は株式会社INCJなどの産投機関を通じて、記載のような対応をしてきたところでございます。

1枚お進みいただき、17ページを御覧ください。引き続き、ベンチャー企業の創出についてでございます。ベンチャー企業が生まれやすいような人材・資金・経験を循環させるエコシステムの形成が重要ではないかという御指摘がございます。ここでは、左側の図の一番下のところにある産業投資が資金供給することで、エコシステムの形成を補完するというものでございます。ここにあるエコシステムは、左側の図にありますとおり、下側の資金の循環という意味では、資金が投入されて、ある方が企業を起こしまして、成功して資金を獲得してエンジェル投資家になって、また資金を供給される。人材のほうを見ていただきますと、ベンチャー企業を起こして、その方が成功して、その企業を手放して、もう一回、またゼロから会社を起こす、連続起業家、シリアルアントレプレナー化といった形で人材・経験の循環が起こる。そういった資金面、人材・経験面の両面のエコシステムをここでは考えております。

1枚お進みいただきまして、続きまして、産業投資の重要課題(「ビジネスの新陳代謝の促進」)についてでございます。左側のグラフを御覧ください。これは各国の上場企業の時価総額の推移でございますが、時価総額の年平均成長率を見ると、日本のみがマイナスとなっております。このような差の背景には、右側に4社ほど日欧の事例を示しておりますが、事業再編のスピード感や規模感が、欧米に比べると日本は非常に劣っているという事情があり、今後、日本でもそういったM&Aでの事業再編やオープンイノベーションに係る事業再編を進めるためにも、リスクマネー供給の強化が重要ではないかと言われております。

次のページ、19ページを御覧ください。引き続き、ビジネスの新陳代謝の促進でございます。そういった事業再編の新陳代謝、オープンイノベーションをやるためには、日本式のエコシステムを作る必要があるのではないかということが、経済団体からの御指摘としてございます。日本の場合は、アメリカとは違いまして、大企業、既存企業に人材・資金・経験が蓄積されておりますので、そういったものをカーブアウトの形で社外に切り出すと共に社外のベンチャー企業の先端技術等も活用することによって、新しい会社、新しいビジネスを起こして、事業の新陳代謝を進めていくべきではないかと指摘されています。ただ、現状では、既存企業にそういったベンチャーとの協力をするリレーションや経験、スキル、ノウハウが不足しており、民間だけの対応は困難という状況でございます。

1枚お進みいただきまして、20ページを御覧ください。引き続き、新陳代謝の促進でございます。この問題について、これまで産投が取り組んだ内容の御紹介ということで、上のほうがカーブアウト投資のイメージで、大企業から資金・人材・経験を切り出して新会社を作ります。そこにベンチャーの新たな技術を組み合わせていきます。産投機関は、資金供給をしたり、大企業とベンチャーのマッチングをしたりするというような形で役割を果たしているケースです。下のほうはM&Aということで、企業がある企業を買収するときに資金供給などの形で産投がお手伝いをしています。例えば、もし買収された企業の創業者の方が会社を離れて新しく会社を起こせば、先ほどのシリアルアントレプレナー化ということで、これもエコシステムの話になっていくという話でございます。

続きまして、次の21ページを御覧ください。日本企業の海外展開のお話でございます。海外の高い成長力を日本に取り込むことや、エネルギー需給の問題ということから、日本企業の海外展開が重要であると言われておりますが、海外インフラの受注状況、エネルギー自給率、クロスボーダーM&Aの状況を見てみますと、さらに取組みが必要という状況でございます。

続きまして、22ページを御覧ください。海外展開の話でございますが、企業アンケートの結果などを見ますと、やはり相手国企業・マーケットの情報や現地政府とのハイレベルのリレーションが不足しており、そういった機能を補完してくれる、提供してくれる公的機関に対するニーズが、一定程度存在している結果が出ております。

1枚お進みいただき、23ページを御覧ください。これまで産投は、JBICやJOGMECを通じて、相手国政府や地場の金融機関とのリレーションなどを補う形で日本企業の海外展開を支援しております。

続きまして、24ページ、最後でございます。産投が果たすべき役割のまとめです。平時における対応といたしましては、近年はベンチャー企業の創出、ビジネスの新陳代謝の促進、日本企業の海外展開等ということを課題にしてきましたが、一方、歴史が示すとおり、日本経済の状況変化に応じて産投の役割は変わるものでございますので、今後の産投の課題はこの3つなのか、ほかに新たな課題はないのかなどを常に考えた上で産投を活用すべきであろうと思われます。その上で、民間プレーヤーとの深度ある対話・交流を通じて、どのような形で具体的に、進めていくかということを考えて、現下の課題に機動的、戦略的に対応していくことが平時における産投の役割ではないかというものでございます。危機対応については危機に応じて対応ということで、記載のとおりでございます。

私からの説明は以上でございます。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。それでは、ただいまの山本企画官の御説明を踏まえて、質疑をしたいと思います。

では、早速、土居委員、お願いします。

〔土居委員〕御説明、どうもありがとうございました。先ほどのヒアリングのところで質問などができなかったので、まとめて、直接、質問するつもりはないのですが、この関連でコメントをさせていただきたいと思います。

確かに、冨田委員が先ほど御指摘されたように、リスクマネーの供給といっても、以前、この分科会で議論したときと現在とで少し状況が変わっているということが、今回のヒアリングでかなりはっきりしたのだと思います。特に、Post−IPOという話になると、産業投資としての関わり方というのは少し工夫が必要だというか、つまり、ずっと出資した企業の株式を持ち続けるということを前提としたリスクマネーの供給というのは、そもそも産業投資としては前提としていない。官民ファンドは顕著にそうである。設置期間も期限が切られて設けられているわけですから、それまでの間にエグジットするということをある意味で前提とした立てつけになっている。そうすると、IPOだけが全てではないとはいえ、IPOがかなり主だったエグジットの手法として想定されていて、できるだけ出資はするけれども、期限の間にできるだけ成長してもらって、うまくテークオフして、産投としても一旦、資金を回収して、また次の新たな投資につなげていくというようなことが、官民ファンドの設置では想定されていた。

だけれども、先ほどの御説明でも産投の歴史とありましたけれども、よくよく考えてみると、我が国の企業で、IPOが出口としてめきめき、そういうことばかりを想定していたのだろうかというと、先ほど中島委員も御指摘されていましたけれども、必ずしもIPOばかりが企業の成功の全てというわけではないと。実際、非上場企業の中でも、安定して収益を上げ続けている長寿の企業もあるわけですし、しかも、戦後の勃興期に、まさに今みたいなスタートアップ企業として立ち上がって、今日、大企業となっている企業でも非上場企業もあるということからすると、上場だけが民間企業にとっての成功ということでは必ずしもないけれども、では、そういう企業の初期の段階でのリスクマネーの供給というところで産投がどういう役割を果たすのかということになると、産業投資というのは、今のところの制度設計では、IPO、ないしは事実上、いつの日にかは特定の民間企業の株式を売却なり譲渡なりをするということを前提とした制度設計になっている。

もちろん、産業投資が直接、民間企業に出資するということではなくて、官民ファンドなり政策金融機関なりが出資するということではあるわけですけれども、そうしたときに、中島委員の先ほどの指摘は私もそのとおりだと思うのですが、既存の政策金融機関の役割と官民ファンドの役割を、産業投資の中で、位置づけを、役割分担を含めてどういうふうにうまく考えていくかということも、今後、議論する上では必要になってくるかもしれない。場合によっては、非上場でもいいから、初期の段階での資金供給、リスクマネーの供給において産投として直接、間接に役割を果たしていくということが必要だとすると、IPOを想定していないようなリスクマネーの供給も考えなければいけないかもしれない。その場合には、官民ファンドのような、設置期間が設けられて、明らかに時限的な機関だと、非上場ということも想定されるとすれば、いつ特定の民間企業の株式を手放すのかという話がなかなか容易にできないので、そうすると、恒久的な政策金融機関がそれを担うことも考えなければいけないかもしれないし、さらには、いや、そもそもそんな直接、間接に国が特定の民間企業の株式を半永久的に保有し続けるなんていうような制度が許されるのかみたいなことも、そこは私は詳しくないので、法律的にちゃんと大丈夫だという裏づけがあるのか、ないなら、何か新たな仕組みを考えなければいけないということなのかの議論の整理は必要なのかなと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕というよりも、最近は事情が変わってきているのだけれども、ベンチャーキャピタルが利用できる資金量が非常に限定されていたので、やっぱり早く回収したいということで、大して時価総額が大きくないうちに上場させてしまう。そういうことができるマザーズという市場があったということ。だから、早く上場してしまうのではなくて、時価総額300億、500億ぐらいまで育った段階で初めてIPOをする、そのためにはもう少し大きな資金量が要るのではないかというのが、簡単に言うと、問題の構図ではないかと思います。そういうことなので、ずっと持ち続けるということではなく、やっぱりIPOはするんだけれども、500億ぐらいの時価総額になって初めてするということにできないかという話なのだと思います。

中島委員。

〔中島委員〕今の土居委員のお話と、少しだけ絡むのですが、資料の10ページ、11ページのところです。11ページの産業投資の歴史的経緯で、確かに現在ではどういう産業が新しく育つのかを国が率先して見極めるのは大変難しいので、その先兵的な役割として、官民ファンドに活躍してもらうというのは意義があると思うんですね。それと同時に、危機時における対応も、地球温暖化等で増えてきていますので、役割としては政策金融機関を通じてということにはなるとしても、産投の資金供給の役割として大きいものが出てきたと思います。

そうだとすると、10ページなのですが、今のような状況を反映して、過去から比べると、資金供給の額が大変大きくなっているとともに、振れも大きくなっているということが観察されるわけです。本来、日本経済の緩やかな成長を前提にすると、緩やかな産投の資金供給の伸びで済む、すなわち、総論でいえば、経済の伸びが緩やかなのだから、その中での資金供給も緩やかでもバランスするとも言えるんだと思うのです。しかし、先ほど申し上げた地球温暖化、あるいは自然災害が増えているという状況は、日本経済の実力以外のところでの支出増が構造的に増えているんだとすると、これは今日の議題とは少し外れるかもしれないのですが、産投としても、こういうボラティリティが高まるというようなことや、場合によっては資金供給が構造的に増えるということにどのように対応していくかが新たな課題としても出てきたのかなという感じがしています。その意味では、IPOで資金を回収するというところの意義は今後ともあるとしても、一方で、増える資金供給量、あるいは時として大きく増減する資金量に対応する基盤をどのように作るのかというところも、産投の役割の前提として必要ではないかなと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕林田委員、どうぞ。お待たせしました。

〔林田委員〕1つ質問です。8ページだと思うのですが、直接出資の原資とするものが増加しているので、ストックにも重点を置いた管理運営の検討が必要だ、ここまでは分かります。その先で、収益・リスク等のポートフォリオの管理を検討するという立てつけをしているようなのですけれども、この評価をどう考えたらいいのかなと。つまり、どれぐらい手を突っ込んでいくのか、具体的にどういうことを想定されて、この文章はできているのかということが分からないと、これでいいのかどうかが私としてちょっと判断がつかなかったものですから、現時点で結構なのですけれども、どのようなことを具体的に想定されているのか、おっしゃられる範囲で教えていただければと思います。

〔池尾分科会長〕多分、次回、それを正面から議論することになると思うのですけれども、簡単に。

〔橋本財政投融資総括課長〕今、分科会長がおっしゃったとおりでありまして、5ページ目にございますけれども、検討項目として、次回あるいは次々回に産業投資としての「成功」の意味、それについてのガバナンスといったところを御議論いただきたいと考えておりまして、ここでの検討とさせていただきたいと思っております。

〔池尾分科会長〕どうぞ。

〔野村委員〕今、論点整理をしてくださった中で、産投の重要課題でベンチャーの創出と新陳代謝と海外展開の3つが挙げられています。この3つを今後、見直していくにせよ、ベンチャーの創出と海外展開については、先ほどのプレゼンにもありましたように、課題がある程度見えてきたところではないかと思います。私は、ビジネスの新陳代謝というのが今、日本の成長を阻んでいる非常に大きな壁になっていると思います。これに対する公的なサポートが必要だと思うのですが、ここが一番論点が見えないところです。オープンイノベーションという言葉で置き換えて説明すると何となく分かったつもりになってしまいますが、オープンイノベーションは多分、新陳代謝の一つの要素かと。では、新陳代謝を阻んでいるものは一体何なのか、何が課題になっているのかを一度、洗い出す必要があるのではないかと思います。それは金融システムにもあるのかもしれないし、ガバナンスかもしれないし、もしかしたら経営トップの選び方、だとすると指名委員会なのかと、審議会のテーマから外れるところまでかなり広がってしまいます。しかし、それも含めて一度、全部洗い出して、そこで、それに対して産投で働きかけができるものとできないものに仕分けして、できないものは各省庁との連携で取り組めばいいわけです。その上で、産投でできるものに対してお金をどのように振り分けていくかを考えるというような論点整理が必要ではないかと思っております。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ほぼ予定しておりました時刻になりましたので、本日の議事はここまでということにさせていただきたいと思います。

いつも申し上げていますように、議論いただいた内容のほかに追加で御意見、御質問がございましたら、事務局までお寄せいただければと思います。また、本日の議事内容につきましては、今後、事務局より記者レクを行います。議事録につきましては、皆様の御了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

今もありましたが、産投の管理運営等について引き続き議論をする次回ですが、次回は4月17日10時からです。年度が変わりますので、分科会委員の改選に伴う分科会長の互選等もしなければいけないので、よろしくお願いします。それから、産投の管理運営等の議論をするということで予定しておりますので、よろしく御出席ください。

11時58分閉会

財務省の政策