財政制度等審議会 財政投融資分科会
議事録
財政制度等審議会 財政投融資分科会議事次第
平成29年12月20日(水)16:28~17:57
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
1.開会
2.木原財務副大臣挨拶
3.平成29年度財政投融資計画補正等
(議案第1号)平成29年度財政投融資計画補正
(議案第2号)平成29年度財政融資資金運用計画の一部変更
(議案第3号)平成29年度の財政融資資金の融通条件の改定
質疑・応答
4.平成30年度財政投融資計画等
(議案第4号)平成30年度財政投融資計画
(議案第5号)平成30年度財政融資資金運用計画
(議案第6号)平成30年度の財政融資資金の融通条件
質疑・応答
5.閉会
議案 | |
議案第1号 | 平成29年度財政投融資計画補正 |
議案第2号 | 平成29年度財政融資資金運用計画の一部変更 |
議案第3号 | 平成29年度の財政融資資金の融通条件の改定 |
議案第4号 | 平成30年度財政投融資計画 |
議案第5号 | 平成30年度財政融資資金運用計画 |
議案第6号 | 平成30年度の財政融資資金の融通条件 |
議案関係説明資料 | |
補足説明資料 | |
参考 | |
平成29年度財政投融資計画の機関別事業計画・資金計画 |
出席者(敬称略)
分科会長 | 池尾和人 | 木原財務副大臣 太田理財局長 市川理財局次長 冨安財政投融資総括課長 木㔟管理課長 橋本計画官 廣光計画官 谷内資金企画室長 松田財政投融資企画官 | |
委員 | 川村雄介 土居丈朗 中里 透 野村浩子 | ||
臨時委員 | 冨田俊基 冨山和彦 渡部賢一 | ||
専門委員 | 中島厚志 沼尾波子 原田喜美枝 |
〔池尾分科会長〕それでは、定刻までまだ1、2分ありますが、出席予定の委員の方全員おそろいになりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたしたいと思います。
それでは、本日は木原財務副大臣にご出席いただいております。つきましては、開催に当たり木原副大臣からご挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
〔木原財務副大臣〕分科会長はじめ委員の皆様方におかれましては、年末のお忙しい中、財務省までお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。御礼申し上げます。
本日は、平成30年度財政投融資計画案及び平成29年度計画補正案につきましてご審議をいただきます。来年度計画につきましては、先に、委員の皆様方に「編成上の論点」をご審議いただき、その際に頂戴したご意見やご指摘を踏まえまして、これまで編成作業を進めてまいりました。
詳細につきましては、後ほど、事務方よりご説明させていただきますが、この平成30年度財政投融資計画案は、「生産性革命」実現に向けて、長期資金を積極的に供給することとし、具体的には競争力向上、地域活性化に取り組む事業者や規模拡大に取り組む農業者の設備投資支援、物流ネットワークの核となる高速道路整備の加速等に取り組み、あわせて、国際展開戦略推進に向け、必要なリスクマネーを供給するものとなっております。
また、29年度財政投融資計画補正案は、足下の旺盛な設備投資意欲に鑑み、所要の長期資金を追加支援するものとなっております。
委員の皆様方におかれましては、本日は忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げますとともに、引き続き、一層のご指導を賜りますようお願い申し上げます。
以上です。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
なお、本日は予算案の決定を間近に控えて非常に忙しい時期ですので、木原副大臣及び事務方の方が途中で出入りされたりすることがあり得ますので、それはやむを得ずそうなりますので、委員の皆様におかれましては、あらかじめご了承ください。
それでは、議事に移りたいと思います。
ただいまのご挨拶の中にもありましたが、本日は大きく2つ、平成29年度財政投融資計画の補正等の3案及び平成30年度財政投融資計画等の3案をそれぞれご審議いただきます。
初めに平成29年度財政投融資計画補正等の3案につきまして、冨安財政投融資総括課長からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
〔冨安財政投融資総括課長〕ありがとうございます。
今、会長からお話がございましたように、議案第1号、議案第2号、議案第3号は補正に係るものでございます。議案第1号は財投計画の補正、議案第2号が財政融資資金運用計画の一部変更、それから議案第3号が財政融資資金の融通条件の改定になります。
資料は議案第1号、第2号及び第3号関係をご覧ください。「平成29年度補正予算における財政投融資計画の追加について(案)」ということで、生産性向上に取り組む事業者の旺盛な設備投資等を背景に、日本政策投資銀行(DBJ)に対する資金需要が増大しております。枠の中にございますように、日本経済は景気拡大が続いておりますけれども、設備投資や地域活性化等の取組が引き続き重要と考えております。DBJの投融資につきましては、上期におきまして過去10年で最高水準の執行となっており、当初計画を大幅に上回る資金需要が寄せられているところであり、これらの資金需要に対応する必要があろうかと考えております。
また、どのような資金需要が増大しているかという点につきましては、下部の四角にございますけれども、人材・IT投資関連、それから地域活性化関連、事業基盤再構築と技術開発関連、あるいはインフラ再構築等、多岐にわたる分野について資金需要があり、年度内に資金が出ていく見込みということでございます。
また、議案第3号の融通条件につきましては、資料の次のページに、新旧対照表がついておりますけれども、平成29年度融通条件の政投銀の段落にあります本貸付けにつきまして、増額分も20年以内の貸付けとさせていただきたいと思いますので、金額を2,800億円増額改定させていただいているところでございます。補正予算についての説明は以上でございます。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
それでは、本議案に関しまして、ご質問あるいはご意見等ございましたら、ご自由にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
中島委員、お願いします。
〔中島委員〕ご説明どうもありがとうございます。一般的な意見ということですけれども、資金需要が旺盛ということもよく承知しておりますし、また今回の資金需要の内訳を拝見すると、確かに一般的な設備等への融資ではないということで、財投が取り組むに足る資金という点もおおむね分かります。ただ、こういう時期は民間の金融機関も積極的に資金需要に応じるという状況になっていると思いますので、ぜひ民業圧迫にならないようにという点を改めて指摘しておきたいと思います。以上です。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
ほかにご意見、ご質問等ございませんでしょうか。
どうぞ、川村委員。
〔川村委員〕とても細かいことで確認的なのですが、今出ているペーパーの一番下の四角の中の資金需要が見込まれる主な分野として、「人材・IT投資関連」がありますが、その2つ目のポツに「経営人材の活用によるコーポレートガバナンスの強化」という項目が上がっているのですが、これの資金需要というのは具体的にどういうものなのでしょうか。
〔冨安財政投融資総括課長〕お答え申し上げます。「経営人材の活用によるコーポレートガバナンスの強化」でございますけれども、基本的にファンドと協働いたしましてファンドが投資するときにDBJがファンドにお金を入れて投資先に投資をするのですけれども、経営人材もあわせて投資先に送るというようなやり方ですとか、投資先企業にDBJが投資するときに、人材あるいはノウハウ支援も一緒に行うということで、要するに投資先企業にお金と同時に経営のノウハウを提供するようなものを含めた投資ということでございます。
〔池尾分科会長〕これ、私もイメージが湧かなくて事務局に調べていただいたのですけれども、経営人材の活用によるコーポレートガバナンス強化を伴う投融資という感じの内容のようなのですね。強化のために何かお金をかけるというのではなくて、強化措置を伴う形の投融資を行うというふうなイメージで、どうもそうらしい。
ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
特に追加でご意見、ご質問等ございませんようでしたら、審議はここまでとしたいと思いますが。それで、繰り返しになりますが、議案第1号、第2号、第3号は実質的に1つのものですので、議案3案をまとめましてご承認いただけますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔池尾分科会長〕それでは、ご異議ございませんようですので、本分科会として承認したということにさせていただきます。どうもありがとうございました。
続きまして、平成30年度財政投融資計画等、これも3案について、冨安財政投融資総括課長から、まずご説明をお願いします。
〔冨安財政投融資総括課長〕ありがとうございます。引き続きまして、平成30年度財政投融資計画についてご説明させていただきます。
議案でございますが、議案第4号は、平成30年度財政投融資計画、これは機関ごとの財政投融資の措置を全てお示ししているものでございます。それから、議案第5号は、平成30年度財政融資資金運用計画、これも機関ごとに全てお示ししているものでございます。それから、議案第6号は、平成30年度の財政融資資金の融通条件についてお示ししているものでございます。
説明につきましては、「平成30年度財政投融資計画のポイント(案)」をご覧ください。上の枠の中に平成30年度計画額14兆4,631億円と書かせていただいております。内訳は財政融資で10.9兆円、産業投資で0.4兆円、政府保証で3.2兆円でございます。財政融資と産業投資は基本的に前年度とほぼ同水準でございます。一方、政府保証は、後でご説明しますけれども、マイナス0.6兆円となっております。また、右下の棒グラフをご覧いただきますと、小さい字で恐縮でございますけれども、29年度が15.1兆円、遡りまして28年度が13.5兆円、27年度が14.6兆円ということで、当初計画ということでは、ここのところ14兆円から15兆円の間で推移してきており、大体例年の実力と同水準ということかと思っております。
内訳につきましては、左下の表をご覧いただけますでしょうか。まず、政府として今「生産性革命」ということで生産性向上につながるような施策を推進しておりますけれども、財投におきましてもそういった施策に十分な資金供給をしたいと考えております。1.で「生産性向上」という柱を立てておりますけれども、30年度当初の計数をご覧いただきますと7.6兆円ということで全体の半分強をこちらに充てさせていただいております。
その中の「地域活性化」ということで、具体例でございますが、日本政策金融公庫がございます。特に「農林水産業者向け」というところをご覧いただきますと、29年度当初は2,350億円。これにつきまして、先般の分科会で弾力追加をご承認いただいたところでございますけれども、30年度も引き続き需要が強いということでございまして、当初計画比で見ると倍増の4,830億円とさせていただいております。また、日本政策投資銀行につきましても、設備投資需要が旺盛ということで必要な資金供給をさせていただいております。また後で産業投資をご説明する際にちょっと補足させていただきます。
それから、「交通インフラの整備」でございますけれども、これも12月8日に開催されました分科会でご審議いただきましたけれども、日本高速道路保有・債務返済機構に、通常の政府保証に加えまして財政融資を1.5兆円措置させていただいております。この財政融資1.5兆円は31年度から35年度までの政府保証合計予定額を1.5兆円減額と申しましょうか、財政融資に置き換えることになるわけです。それによりまして、大都市圏環状道路の整備加速、あるいは安心・安全の観点からの高速道路の橋梁の耐震強化等を行ってまいりたいと考えております。
続きまして、「国際展開戦略推進」でございます。2兆4,000億円から2兆円となっておりますけれども、特に国際協力銀行の欄をご覧いただきますと、昨年度に比べ減少しております。ただ、これは分科会でもご審議いただきましたけれども、国際協力銀行におきまして円貨ないし外貨の余裕金があるということで、まずはその手元の余裕金を活用することで、政府保証で調達しなくてもいいということが可能ということになりまして、それにより3,000億円程度減少しているところでございます。その他、JICAにつきましては必要な資金を確保させていただいております。官民ファンドにつきましては、後で産業投資をご説明する際に、また補足させていただきたいと思います。
「教育・福祉・医療」でございますが、日本学生支援機構、福祉医療機構、あと分科会でご審議ありました国立病院機構につきましては必要な資金を確保させていただいております。
それから、「地方」でございますけれども、ここも減少しておりますけれども、地方公共団体金融機構が旧公庫時代から引き受けた債務について借換えをしており、借換えの際に政府保証を付与しております。その借換額が29年度比べ30年度は約2,000億円減少することから、政府保証も機械的に減少するということでございます。
以上により、財政投融資計画は、トータルで14.5兆円ということでございます。冒頭、政府保証でマイナス0.6兆円になっていると申し上げましたけれども、先ほど申し上げました、JBICの手元資金の活用、地方公共団体金融機構の借換額の減少といった要因で政府保証が減少しているということでございます。財政融資と産業投資は前年度と同水準でございますので、基本的に実体経済に与える影響という意味では実力は昨年度と同程度と思っているところでございます。
2枚目に、ただいま申し上げましたことを文章で書いておりますけれども、後で計画官から補足の説明もさせていただきますので、この2枚目は省略させていただきたいと思います。
続きまして、「平成30年度財政投融資計画(案) 産業投資の概要」をお開きいただけますでしょうか。産業投資の平成29年度と平成30年度の当初計画を並べております。産業投資につきましては、平成29年度、現行年度でございますけれども、3,800億円程度措置させていただきました。一方、要求の概要をご説明した分科会でもご紹介しましたけれども、平成30年度の要求額は6,000億円程度という状況でございました。
そこで、産業投資の財源事情がどういう状況だったかということを簡単に触れさせていただきますと、通常の財源でありますJT株やNTT株の配当、あるいはJBICの納付金などにつきましては、30年度は前年度に比べ増えるにしても微増にとどまるところでございまして、また従前より重要な財源となっております前年度剰余金がございますけれども、これが29年度に対し30年度は1,000億円程度減少するという状況がございました。したがいまして、要求は6,000億円程度で、なおかつ一方で財源は平成29年度より要求の時点で1,000億円程度少ないという状況でございました。
予算編成過程におきまして、既往の出資金等で回収できるものはないかどうかを精査いたしましたところ、2つのものにつきまして回収ないし返還をさせていただくということにいたしております。1つは地域経済活性化支援機構、いわゆるREVICでございますけれども、預金保険機構経由で産投出資130億円が入っております。現在REVICは今後の業務について見直しないし今後の重点業務についての議論が行われておりますけれども、今後人材・ノウハウ支援等を中心に行っていくということで、産投出資の役割は終了したということが整理できるのではないかということになりまして、産投出資130億円につきましては返還していただくということになります。
それから、日本政策投資銀行でございますけれども、平成24年度に「競争力強化ファンド」に対し産投貸付を措置させていただいております。DBJが行いました事業につきましては既に新規案件の採択は終了し、大半の出融資先からの回収を終えております。この産投貸付の償還期限は到来してないので、DBJにまだ790億円滞留しているという状況がございました。その790億円につきまして、期限前でございますけれども、返していただくということにいたしました。これにより合わせて1,000億円弱の財源を確保いたしまして、何とか昨年度並みの計画が措置できる財源を確保いたしまして、30年度は3,600億円程度の計画を今考えているところでございます。
産業投資の中身について簡単に申し上げますと、日本政策投資銀行でございますけれども、地域活性化や競争力強化のためのリスクマネーを供給する特定投資業務がございますけれども、先ほど申し上げました「競争力強化ファンド」からの償還金等も踏まえながら前年度比790億円の増とさせていただいているところでございます。一方、商工組合中央金庫でございますけれども、ここにつきましては、財投分科会でもいろいろご議論いただきましたけれども、要求官庁から30年度の要求については取り下げるとの申出がございましたので、ここについてはゼロということにさせていただいております。
それから、官民ファンドの関係でございます。官民ファンドにつきましても、当分科会におきましてこれまでの産投の計画額あるいは措置額、それから投資額等について資料をお示ししてご議論いただきました。例えば、農林漁業成長産業化支援機構につきましては、過去に措置した金額がある程度残っているということもございまして、30年度に必要な事業規模は確保しつつ、一方、手元資金の活用が可能ということで、ここについてはゼロとさせていただいております。
下の「国際展開戦略推進」の欄に官民ファンドがございます。海外需要開拓支援機構につきましても、農林漁業成長産業化支援機構と同様に、まず手元にある過去の措置した金額で足りない分について産投措置させていただくということで135億円の措置とさせていただいているところでございます。また、JOIN、JICTにつきましても、案件の執行確度等を精査しながら財投措置額を検討させていただいているところでございます。産投につきましては、以上でございます。
引き続きまして、融通条件について簡単にご説明させていただきます。「平成30年度財政融資資金の融通条件の主な改定について」をご覧ください。大きな改定は1つでございまして、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構につきまして、新たな措置を設けますので、こちらにつきまして40年の貸付けで30年の据置期間後に元金均等償還を行うという条件にしたいと思います。2ページ以降は新旧対照表になっておりますけれども、基本的にこれまでの措置の金額が変わるものについては金額が変わる、あるいは年度が変わるということで機械的に修正したものでございますので、実質的な変更ではございません。実質的な変更は1枚目のこの道路機構のところだけでございます。
私からは以上でございますけれども、続きまして担当計画官からこれまでご議論いただきました各機関の編成上の論点に関わる説明等の補足説明をさせていただきます。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
それでは、続きまして橋本計画官から補足説明をお願いします。
〔橋本計画官〕補足説明資料をご覧いただければと思います。私から1番と2番をご説明申し上げます。
1ページ目に国際協力銀行がございます。ご指摘として政府保証外債の発行につきまして、平成26年6月の当分科会におきまして「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について」をご議論していただいてまとめていただいたのですけれども、この時点においては「起債時点における調達可能な他の資金と比較して、発行コストが廉価であること」というのがその条件とされておりましたけれども、その条件が厳密に確保されていない場合であっても、発行・調達すべきではないかというご議論がございました。足下の状況でございますが、条件設定時と比較しまして現在発行規模は大幅に増加しておりまして、上記条件が確保されていないことを以って起債が行えないということになれば資金繰りに重大な影響を与えかねないためJBICは余裕金を積み増しているという状況がございまして、したがってむしろそれが資金効率として望ましくない方向に行っているという議論でありました。したがいまして、今後の運用といたしましては、政府保証外債の発行条件である「起債時点における調達可能な他の資金と比較して、発行コストが廉価であること」という要件を廃し、「償還が十分に確実であると見込まれること」に改めることといたしたいと考えております。
引き続きまして、2ページ目でございます。もう一点目のJBICに対するご指摘として、平成30年度財投計画におけるJBICの特別業務勘定に係る産投出資は、平成23年度財投計画における産投出資と性質的に同様か、あるいは変化しているのかというようなご質問がございました。これにつきましては、23年度財投計画に計上された産投出資は、円高メリットを活用した日本企業の海外投融資支援を行うために創設された「JBICを活用した戦略的海外投融資」の事業規模に対するリスクバッファーとして措置されたものでございました。これに対して、最近は他機関もそうなのですけれども、30年度財投計画に計上しているJBICの特別業務勘定に係る産投出資は、リスクバッファーではなく、30年度中のディスバースが想定される個別・具体的な案件に係る財源を措置しているものであって、措置の考え方が基本的に異なるものということでございます。
引き続きまして、補足説明資料2でございます。JOGMECにつきまして、冨山委員から資源開発分野において収益性を確保できるポートフォリオを構築するには、多種多様な案件を相当数積み上げることが必要。どのように案件を積み上げていくのか、長期的なフレームワークを示していただきたいとのご意見を頂戴いたしました。その後、私どもと資源エネルギー庁、JOGMECとご相談した結果、以下の取組を今後実施していきたいと考えております。まず1番目といたしまして、JOGMEC内に設置する外部有識者を構成員とする部会において、保有資産の評価やポートフォリオにおける特定のリスク集中度等について、年に1度評価・意見を聴取する体制を整備いたします。この意見を各事業部にフィードバックいたしまして、各年度の案件組成方針や投資判断に反映していく。これに基づいて事業をいたしまして、各事業部は案件組成の状況や評価を翌年の専門部会に報告して、専門部会は報告に基づき資産ポートフォリオの状況を分析・評価して各事業部に対して意見をする。このようなサイクルを毎年度繰り返すことによって、JOGMECの案件組成に資産ポートフォリオの状況を反映させていくという枠組みを設けてご指摘に対応してまいりたいと考えております。私からは以上です。
〔池尾分科会長〕ありがとうございました。
それでは、さらに引き続きまして、廣光計画官からご説明をお願いします。
〔廣光計画官〕よろしくお願いします。私からは「平成30年度財政投融資計画の参考資料」に沿ってご説明したいと思います。
16ページをお開きいただければと思います。日本学生支援機構でございますが、貸与基準を満たす希望者全員の貸与に必要な規模を計上することとしておりまして、30年度におきましてはこれに必要となる貸付規模として6,937億円、それから財政融資資金は7,075億円を計上しております。
1枚飛ばして18ページにお進みいただければと思います。国立病院機構でございますけれども、11月1日の分科会におきまして28年度決算が独法化後初の経常赤字となったことから、機構のおかれた医療環境や財務状況を踏まえまして、経営改善に向けた課題として実効性のある経営改善への取組の必要性や、適切な投資規模の検討を提示させていただきました。委員の皆様からは、収益に見合った適正な人員管理や地域医療構想に沿った病床再編など様々なご意見をいただきました。今後機構においては頂戴したご意見も踏まえながら経営改善に取り組むこととしております。機構の30年度計画につきましては、分科会における議論も踏まえまして、設備投資については優先順位を考え、真に必要なものに限定して実施することにしておりますが、過年度に着工済みとなっていた建替えが30年度に完了するものが多くなっていることから、事業規模は29年度と比して319億円増の1,014億円を計上しております。
19ページにお進みいただければと思います。地方公共団体でございますが、地方公共団体への貸付けにつきましては、地方債計画に定められた地方の資金ニーズに対しまして、災害復旧等の国が責任を持って対応する分野や、上下水道等の住民生活に密着した社会資本整備を中心に、地方公共団体へ財政融資資金を供給しております。30年度につきましては、引き続き臨財債について抑制的な対応をしたことなどから、財政融資資金の総額は578億円減少しまして、2兆8,102億円となっております。なお、11月に分科会でもご議論いただきましたが、近年頻繁に発生する大規模な災害に鑑み、地方公共団体の防災・減災の取組を支援する観点から、地方単独で行う防災事業に対する財政融資資金の供給を開始することになりました。また、資料には書いておりませんが、過疎対策事業債につきましては、これまで財政融資資金と民間資金のみで貸付けを実施しておりましたが、共助としての機能を有する地方公共団体金融機構も資金供給を開始することになっております。
20ページをご覧いただければと思います。財政投融資計画には直接は関係しませんが、11月に当分科会でも議論いただきました上下水道コンセッションについてでございます。まず、上の支援の趣旨でございますが、本年6月の閣議決定に基づきまして、時限措置として今後の横展開の呼び水となる先駆的取組を支援することといたしております。対象事業は「先駆的取組」として、厳しい経営環境にあり自助努力を行っている地方公共団体の上下水道事業としてございます。対象期間については、平成33年度までに実施方針条例を制定した地方公共団体としております。当初は、32年度までに条例を制定としておりましたが、国会における水道法改正の遅れを勘案し、33年度としております。また、早期の導入を促進する観点から、導入時期によって免除額に差をつけてございます。対象債権でございますが、金利3%以上の旧資金運用部資金が引き受けているものでありまして、一括払いで受け取る運営権対価の額を繰上償還の上限としております。なお、地方公共団体金融機構資金においても同様の措置が講じられることになります。
11月の当分科会でも触れましたが、19年度から24年度までに実施した補償金免除繰上償還は、地方公共団体の公債費負担対策という側面があった一方で、今回の措置は一部地方公共団体への政策誘導と位置付けられることから、補償金免除に要する額については、その財源として、総務大臣との折衝におきまして、地方公共団体金融機構の管理勘定の公庫債権金利変動準備金を活用することといたしました。詳細は「補足説明資料3」にございますが、これはちょっと細部にわたるものでございますので、説明は割愛させていただきますが、1点だけ、11月の分科会でもご指摘があった点ですが、「7.経営改善計画の執行状況のフォローアップ」にありますとおり、内閣府ともども理財局においても執行状況のフォローアップをしてまいりたいと思っております。私からは以上です。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、以上の説明を踏まえた上で、委員の皆様方から本議案に対してご意見、ご質問いただきたいと思います。いかがでしょうか。
じゃあ、冨田委員。
〔冨田委員〕まず、最初のポイントの1枚の紙がありましたね。そこで30年度計画のところの、ちょっとごめんなさい。そこで「手元資金」という言葉が出てまいります。その効率的な云々というふうにあります。それから、ご説明の中で「余裕資金」の話がございました。この「手元資金」とか「余裕資金」という言葉の使い方ですけれども、「余裕資金」は何となく年度の中で発生した余裕資金だと思うのですが、「手元資金」となると、会計法で全ての歳入は国庫に納めねばならないとかですね、それをまた国会でというか、財投計画なり予算の過程できっちり配分するわけですよね。だから、ここで言っておられる「手元資金」というのは一体どういうものなのか。
また、それと関係するのですけれども、事業規模のところで「自己資金等」というのがありまして、括弧で財投機関債による調達の何かがあるのですが、その「自己資金」という言葉の使い方もちょっとよく分からないので、この際どこかにはっきり書いたほうがいいような気がいたします。それが1点、中身を教えてもらうことと一つの提言ですね。
それから、もう一つは、産投出資について官民ファンドがかなりこれまでの執行率が非常に低いということの中で、今回非常に抑制的になっているように思いますが、論点のところで議論があったのですけれども、制度要求があったところですね。それはどのようになったか。確かJICTのソフトのインフラのところと、A-FIVEの流通構造改革向けの出資についてのところとか、そこらがどうなって今度の計画になったかということをお教えいただきたい。以上です。
〔池尾分科会長〕お答えいただけますか。
〔冨安財政投融資総括課長〕用語の問題で「余裕資金」・「手元資金」ということでございますけれども、今回大別すると2つの類型があると思っています。1つは官民ファンドのように過去に産投措置をしたものの、実際に案件組成が進まなくて、要するに官民ファンドに滞留しているものと、一方はJBICのように、例えば、万が一外債発行が不調だったときのために持っておかなければいけない資金としての外貨預金ですとか、あるいは通貨スワップのときに保証金として円資金を持っておかなければいけないというものでございます。こちらは、例えば外債発行が円滑に進むのでしたら外貨預金は要らなくなりますし、円資金のほうも実際に保証金を積まなければいけないときにどこかから資金融通が可能であるようでしたら、あらかじめそれだけの多額の円資金を持っておかなくていいということで、今回吐き出すというものになります。
〔市川理財局次長〕補足いたしますと、この後者のJBICのような例は、外債発行等不調な場合には外為特会から借りられるという算段をすれば、これまでの備えのためのお金は「余裕資金」になるであろうということでございます。ところが、前者の官民ファンドの例は、余裕とかそういう概念ではなくて、ただ今までのディスバースで溜まっていたお金ということでございまして、その2つは若干性格が違うものですから、その2つを統合して「手元資金」と、こちらの表では使わせていただきました。
それから、私どもが「自己資金」と言うときには、これは事業に充てるお金としての財投機関債の発行収入金や、あるいは過去の貸付けの回収金等でございます。こちらは元々事業の中に組み込んで使うお金でございますので、このときには「自己資金等」という言葉を使ってございます。若干いろいろな用語を混ぜて使ってしまって分かりにくかったかもしれませんが、気持ちとしてはそういうことでございます。どうも大変失礼しました。
〔冨田委員〕いや、気持ちとしてはというか、財投資金というのは5年以上ですよね。それと「手元資金」を活用してそんな長期のものに使えるはずがないというふうに読むわけですよ、私はね。だから、この表現は、「手元資金」と言うと何か短期のお金なのだけれども、それを財投資金を効率的に配分というふうな形でつなげているところはちょっとどうかなと。資金の性格が違うじゃないのということなので、ちょっと工夫があればと思って申し上げたのです。
〔橋本計画官〕制度要求についてご質問がありましたのでお答えいたしたいと思います。
まず、JICTの制度要求につきまして、インフラ整備を伴わない事業についての制度要求がございました。分科会でのご議論を踏まえて、その後私どもと総務省、JICTと議論してまいりまして、候補として可能性がある案件についてどのようなものがあるのか等について確認をいたしましたところ、現時点においてそういったものが見込まれる地域や件数等の概要を把握する段階にも至っていなかったということでございましたので、今回の要求については認めないことといたしたいと考えております。ただ、こういった状況を把握して、また制度要求を行う準備ができてくるということであれば、来年度予算編成を必ずしも待たずにもご相談に乗りたいと考えておるところでございます。
また、A-FIVEの要求につきましては、流通構造改革についての新規要求ということでありまして、こちらにつきましては、結論としては認めることといたしたいと考えております。これは、やはり一定程度留意点はあろうかと思いますけれども、機構は6次産業化を通じてそういった流通分野の現状等についても一定の識見はあるのではないかというようなことと、あと、農業者目線に立った流通の合理化が図られるということで、農林漁業者の所得向上等が見込まれるという点においては、現在行っている6次産業化と共通点があるのではないかといった点から、これについては認めることといたしました。
〔池尾分科会長〕それでは、原田委員、お願いします。
〔原田委員〕2点お伺いをさせてください。
財源の確保ということで今日もご説明いただいたところになります。配当金の収入が柱になるところでありますが、この配当金については今回は微増であるというふうにご説明いただいております。どのくらいなのかということをお伺いしたいと思いました。JT、NTTなどというふうにもご説明いただいたかと思うのですけれども、この2つ以外にあったのかというところが少し気になるところでありまして、NTT株とJT株だけでほぼ全てではないかと思うのですが、そこのところも少し確認をさせてください。そして、その配当ですけれども、持ち株を売却して大分減っているかと思うのですけれども、株式分割などもあったりして今現状どのぐらいの保有なのかということもちょっとお教えいただきたいなと思ったところになります。保有義務が確か今も3分の1かと思うのですが、これももし間違っていたらお教えください。それがまず1点目になります。
もう一つは、今回の目玉の1.5兆円のところですけれども、40年の超長期で固定で財政融資1.5兆円追加というところになります。1.5兆円は大きいですので、この日本高速道路保有・債務返済機構への財投からのお金の残高はどのくらいで、利払いがここしばらくどうなっているのかですとか、ちょっと細かいことになって恐縮ですけれども、その辺の規模感をお教えいただければと思いました。以上になります。
〔冨安財政投融資総括課長〕配当につきましては、29年度1,478億円に対しまして、30年度1,673億円ということでプラス195億円となっております。内訳を申し上げますと、JT配当金が747億円、それからNTT配当金が815億円でございます。それ以外にDBJ配当金が104億円、商中配当金が8億円ということでございます。
それから、保有義務につきましては、JT、NTTにつきまして3分の1ということでございます。
〔原田委員〕この配当は近年安定しているのですか。誰が持っているかによって配当性向などの要求も変わってくるところがあるかと思うのですけれども、近年増えているという認識でよろしいでしょうか。
〔市川理財局次長〕JTにつきましては、配当性向は割りと近年高めになっております。
〔冨安財政投融資総括課長〕NTTも配当性向は上がっております。
〔原田委員〕ありがとうございます。
〔橋本計画官〕あと、保有機構についてご質問がございまして、ちょっと利払い等の細かい数字というのは手元に持ち合わせていないですけれども、28年度末の機構の債務残高ということで申し上げますと、道路会社からの引受債務として2.4兆円ほどございまして、機構の借換債務が政府保証債で19.4兆円、財投機関債で5.2兆円。民営化時の承継債務として1.1兆円程度ございまして、合計27.9兆円となっているところでございます。
〔市川理財局次長〕若干補足して申し上げますと、元々40兆円の債務を45年、計画が変わりまして60年でゼロにしていこうという計画でございます。そういう意味で行きますと、今までのところ債務は順調に減っておりますし、それからその分保有機構の純資産は次第に上がってきているという状況でございました。そういうところは前回分科会でご説明させていただきまして、償還確実性という面でも審査できるのではないかということを委員の先生方に見ていただいたところでございます。
〔池尾分科会長〕前回の分科会の資料をまたちょっと見てくださいということで。
ほかに追加で。
どうぞ、中島委員。
〔中島委員〕何点かありまして、1つは今の高速道路保有機構なのですが、ちょっと私も前回出られなかったのでこの議論があったかもしれないのですけれども、財融の1.5兆円追加で40年固定というのは常識的じゃないです。もちろんそのバックになっている財投債自身がこんな超長期じゃない上に、これは固定なので普通であれば途中で見直しが入るのが常識的だと思うので。
もう一つ、これは意見なのですけれども、産投の資金の流れで今もご質問あったのですが、来年度については回収金・償還金を1,000億円弱得て今年度並みというような形をとったのですけれども、この回収金・償還金が毎年同じようなオーダーで出てくるとは限らないので、やはり将来的に見るとこの産投の資金需要と実際の歳入をどういうふうに考えていけばいいのか、ここは何かの機会にご検討いただければと思います。
もう一つは議案の6号の融通条件ですけれども、こちらのほうは個別の融通条件がそれぞれ書いてあって、細かくはちょっとよく分からないところですが、今のこの超低金利の状況において、可能な限りむしろ低利の資金というのをきちっと確保しておくというのが必要ではないかと思われます。もちろん、融通条件ですのでどういうふうに使うかというところとにらみ合わせながらの条件設定ではあるので、ALMそのものとはちょっと違う観点にはなるのですが、せっかくの金融環境ですのでそういうこともしっかり踏まえていっていただければいいなと思った次第です。
それからもう一つが、「平成30年度財政投融資計画参考資料」のところのJBICの資料なのですが、10ページです。これを見ると、戦略的な重点分野の設定として、もちろんJBICの特性から見て当然ということではあるのですが、海外での案件に関する資金供給ということになっております。そのこと自体は全く違和感がないところなのですけれども、外貨で融通するということには財投資金の性格上なってないと思いますけれども、逆にこの為替リスクを全面的にJBICがかぶるということでやっているのかどうかです。そこについて、為替の大きな変動があったときに一体どういうことになっているのか、そこが分かったら教えていただければと思います。以上です。
〔冨安財政投融資総括課長〕まず高速道路保有機構の40年の貸付けの関係でございます。例えば昨年リニアで鉄運機構に40年の貸付けをさせていただいたときに、基本的にはALM管理が合うように、40年債で6,000億円、30年債で9,000億円の財投債を発行させていただきました。今回につきましても、財投債につきましては金利変動リスクを可能な限り低減するために、貸付けに係る平均残存期間に極力一致させるよう、30年債、40年債を組み合わせて発行したいと考えております。
〔池尾分科会長〕だから、40年債を買う投資家に先ほどのことは言ってあげたほうがいい。
〔橋本計画官〕順番が前後しますけれども、最後のご質問のところでJBICについてご質問がございました。資料の1ページ前を見ていただきまして9ページ目でございますけれども、JBICの30年度計画の財政投融資1兆1,724億円ございますけれども、財政融資が2,900億円、産業投資が624億円で政府保証が8,200億円となってございます。もちろん財政融資と産業投資、こちらは円貨でございますけれども、政府保証の8,200億円と申しますのは、これは政府保証外債でございますので、こちらで外貨調達をしていると、こういう構造になっているわけでございます。
〔市川理財局次長〕加えて、円貨で提供されている部分も通貨スワップをかけています。政府保証はほとんど政府保証外債ですから、そういう意味では為替リスクを回避しているということがございます。
〔中島委員〕分かりました。
〔池尾分科会長〕2番目のご指摘は非常に重要なご指摘でありまして、歳入と歳出を決定する要因が全く独立。独立というか別なわけですよね。歳出のほうは政策的必要性で決まってくるわけで、歳入のほうはそういう政策的必要性で歳入が決まってくれるわけではないので、例えばJTとかの業績とかそういう要因で決まるわけですから、これがバランスするという保証はどこにもないわけですよね。だけれども、政策的必要性は充足していかなければいけないということだと、どういうふうな工夫をして歳入を確保するのかということを、先ほどご指摘ありましたようにやっぱりどこかで改めてきっちり議論をするという機会を持ったほうがいいというふうに私も思いますので。
どうぞ。
〔冨山委員〕ちょっと今の関連なんですけれども、私も前から同じようなことを思っていたのですが、これは産投ってある種エクイティファンドなんですよね。これどのファンドでも実は同じでありまして、要はエクイティファンドを使う側の、使っていくのってある種オポチュニティーで投資が生じて、返ってくるのはこれもまたオポチュニティーで回収が進むわけで、この右と左を合わせるのは実は簡単ではなくて。これ、真面目にある種の産投を一つの国営エクイティファンドとして考えちゃうと、やっぱりミスマッチが必ず起きます。そのミスマッチを要は、エクイティファンドのALM的に考えちゃうと、これは確かに重要なポイントで、仮にこれが、産投を使うというのが比較的恒久的にかつ割りと積極的に使っていくとなると、私は積極派なんですけれども、これはサステーナブルな仕組みにしなきゃいけないんで。その辺はやっぱりちゃんと議論してもらったほうがいいのかなという感じは私もしています。
普通、例えば民間のファンドだと実はバッファー分は結構レバレッジ使っちゃったりするんですよ。差額は実は金利が安いことをいいことに、割りと。実は右側にはデットも乗っかっていて左側がエクイティというやり方をして、実はそのレバレッジで儲けちゃっている分があるので、要は、もちろんかけ過ぎちゃうと今度はファンドが危なくなっちゃうんで、ある種のエクイティファンドとしてのALM的なことはやっぱり大事かなと、あとキャッシュフロー管理が大事かなと思っています。これが1つ。
それからあと、ちょっとさっきの道路の件は、私は道路会社の監査役もやっていたんで、何となくなぜお話しているのか分かってるんですけれども、実はすごくキャッシュフローは安定しているんですよ。めちゃめちゃキャッシュフローが安定していて、実は意外と優良なんです。意外とというか、予想どおり極めて優良になっちゃっていて、だから貸す人はいるだろうなっていうのは私もすごくよく分かります。
今度逆にちょっと不安だったのは、上下水道の話で。要するにコンセッションの話なんですけれどもね。これ、財投が入るわけじゃないのである意味ではいいっちゃいいんですけれども、これちょっと一般論的な不安として、投資をする側で言っちゃうと、要は道路って読めるんですよ、地上の上なんで。どのくらいの更新があるかも読めるし、大体車の通行量もかなり長期的に予測可能で、大体その予測は当たるんですよね。なんですけれども、水道ってまさに水物でありまして、本当に。昔、三井鉱山が水道を持っていたもんですから、一時水道会社のオーナーもやってたんでよく分かるんですけれども、要するに埋まっちゃってるんで、実はどうなっちゃっているかもよく分かんないし、昔のやつなんてもう何か水が通ってるんだかどうなのか分かんないし、非常に縛って運営権者にやらせると言っているんですけれども、運営権者が破綻しちゃうと結局その話がこっちに戻ってくるので、すみません、本件と直接関係ないんですけれども、今までやってきた、道路もある種のコンセッションなんですね、あれ。ある種のコンセッションを日本型でやっているわけで、あと空港もここまでうまく来ているんですけれども、上下水道に関しては、すみません、あまり気楽にこれで厄介払いができると財務省的にも思われないほうがよろしいんじゃないかということをちょっと思っております。以上です。
〔池尾分科会長〕どうぞ。
〔廣光計画官〕補足的に説明しますけれども、まさにおっしゃっているように地面の中に埋まっている管路の部分、これがどのような状態になっているか各自治体も大変頭を悩ませているところで、まさに御指摘のとおりだと思います。ですから、コンセッションに出すときに、地面に埋まっている管路の部分も含めてコンセッションに出すのか、それとも地面の上の部分だけを取り出してコンセッションに出すのか、いろいろなバリエーションが自治体の判断によってあり得る、そのように考えています。場合によっては、上の部分、比較的手堅いところを民間にお出しして、埋まっている部分については引き続き官でやっていくということも、バリエーションとして出てくると伺っています。
〔池尾分科会長〕じゃあ、野村委員、お願いします。
〔野村委員〕上下水道コンセッションの話が出たところで、前々回も申し上げたかと思いますが、ひとつ意見を申し上げます。このような補償金免除繰上償還という資金面での支援の仕組みを設けるのは必要ですけれども、それだけで従来の上下水道の運営方法を変えることに理解を得る、議会で承認されるというのは非常に難しいように思います。実際に実現に向けて動いている自治体が既にありますので、合意形成をどうしたのかというような事例の共有とワンセットで支援していかないと、これは補償金免除繰上償還だけでは多分浸透していかないのではないかと考えています。以上です。
〔廣光計画官〕よろしいですか。
〔池尾分科会長〕はい。
〔廣光計画官〕いま御指摘の点、非常に大事な点だと思っております。それで、理財局だけではなくて政府全体として見れば、内閣府に民間資金等活用事業推進室という組織ございまして、そこが旗を振って、また、ものによっては技術的な支援もしながら推進していく、そういう体制を政府全体としてはとっておりますので、その中で一つのプッシュする素材、材料として今後コンセッションに対する補償金免除繰上償還が入ってくる、そういう位置付けでございます。我々もその中で一定の役割をこれから担っていくことになりますので、内閣府を中心とする各省連携の中で役割を果たしていくことで、できるだけ先駆的事例が実現をして横展開をされていくように取り組んでまいりたいと思っています。
〔池尾分科会長〕追加でご意見、あるいはご質問。
渡部委員、お願いします。
〔 渡部委員 〕 意見ですけれども、先ほどの投資勘定の資金の流れ、冨山委員等の話があったのですけれども、単純にプライベートエクイティ業務をやっているわけではないので当然右左等を含めた、どうなるんだ、どうしていくんだというのは重要ですけれども、やはり歳出というか投資ないし投融資がありきです。逆に右サイドから一定の限界があるとかいうのは当然あるのですけれども、やはりそうはいっても投資ないし投融資ありきという形での議論というのはやっぱり、単純にPEではないという気がいたします。すみません、意見です。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございます。
何か政策的必要性というのがもちろん財投ですから基本なわけですけれども、ない袖は振れないという問題があるので、そこをどうするかということだと思います。
〔冨安財政投融資総括課長〕まさに産業投資で措置しております官民ファンドあるいは各機関側から、どういう財源で調達するのかを見させていただきながら、そこを投資だけなのか政府保証を活用させていただくのか。ご指摘がございましたように、産投は非常に財源が縛られることもございまして、例えば、短期的に政府保証でやっていただき、将来的にその案件がやっぱり組成されれば長期のものに乗り換えていくとか、そういういろいろな工夫をさせていただきながらやらせていただいていますけれども、ご指摘は常日頃より私どもも非常に真摯に受け止めたいと思っておりますので、また引き続きどうぞご指導よろしくお願いいたします。
〔冨山委員〕実務的な話になっちゃうんですけれども、これ、割りとお金が使えてないところがあるでしょう。自分でやっていたからよく分かるんですけれども、要はこれ、構造的に入りに合わせて出をつくるというプレッシャーが強いと何が起きるかというと、穴をあけちゃいけないって考えるんですよ、やっぱり担当者は。ちょっとストレートに言っちゃうと、機構に来ている財務省の人もそういうふうになるでしょう。やっぱりそれは、立場上財布のひも握ってる、やっぱり管理しなくちゃいけないんで。これやっぱりエクイティ投資の特性としてしょうがないんですが、10打数10安打はあり得ないんですよね。極論すれば、これはもちろんリスク歩合によるんですけれども、リスク歩合が高ければ高いほど10打数3安打で、だけどトータルで勝ちゲームにするというゲームをやらなきゃいけないんですが、結果的に、要はおよそ打席に立たないという方向に行きがちで。そういう誘因が働きやすいんですよ、これ。やっぱり現実にやっていると。要は、そうすると結果的に消化できなくて、本来の政策投資目的が果たせないというちょっとジレンマが現場では起きがちなんですね。
ですから、これは難しいんですけれども、何ていうのかな、要は政策目的として使うべきお金は使ってもらわなければいけないということと、だけれども10のうち6つ、7つは赤字になる投資案件になりますよということと、勝てる3つでがっつりちゃんと回収するという、この幾つかの要件が初めてクリアされて政策目的を最小の政策コストで達成できるというフレームワークでやっているので、要はこれは何が言いたいかというと、いろんな雨後の筍がいっぱいできちゃったわけで、この前ちょっと紙に書きましたけれども、いっぱいできちゃった結果として、私が見ている感じで言うと、今申し上げたジレンマにはまっちゃっている機構が少なからずあって。ですから、個別の機構としてもそれは難しい問題を抱えているし、仮に財投側が総元締めのファンド・オブ・ファンズとして考えると、これをどういうふうに現実問題として上手にマネージしていくかというのは、やっぱりそれは渡部委員のおっしゃるとおりで、簡単じゃないんですよ。なので、この議論はだから単純にお金の出入りの問題だけじゃなくて、ある種実際の現場で動いている人たちのインセンティブというかどういうプレッシャーが働くかとか、どういう思考回路に陥りがちか。その一方で政策目的に達するという観点で、ややトータルに物を考える、特に場所は私はファンド・オブ・ファンズのここしかないと思っているので、それでちょっとある意味で財務省のほうでいろいろなことを考えてもらったらうれしいなと。個々の監督官庁は、個々の機構しか見てないので、トータルで今申し上げたようなことを考えるのは、ちょっと逆に言うとスコープが狭くなっちゃうんで、そこはぜひ理財局の皆さんにお願いしたいと、そういう趣旨であります。
〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。ほか、追加でご意見、ご質問ございませんか。
よろしゅうございますか。
どうぞ、土居委員。
〔土居委員〕先ほどからの議論に関連するところで、コンセッションの話ですけれども、私も行政改革推進会議のほうでもこのPFIの議論に関わらせていただいていて、先ほど野村委員からのご懸念もあったと思うんですけれども、やはりこれまで促してきたけれども、特に上下水道のところでは、特に上水道では水道法の改正が伴ってないとかいろいろな意味で、万全を期してはいるものの十分に進んでないという意味で隔靴掻痒のところがあったということで、これから法律改正も進めて積極的にやっていこうということで、必ずしも補償金免除繰上償還だけがドライビングフォースではないわけですけれども、これも一つのツールとして使っていただいて、新たな事業展開をしていただく、その一つのすべとして今回認められる方向の繰上償還をぜひ積極的に使っていただきたいなと思っています。
それから、もう一つは、商工中金ですけれども、結局今回は平成30年度ではゼロ円になっているということですけれども、これはゼロ円なのをここで議論していいのかどうかよく分からないですが、昨年度は240億円の産業投資があったけれども今回はゼロ円だということですが、このあたりはもう少しプロセスといいましょうか要求がそもそもなかったということなのか、あったけれども認めなかったということなのか、取り下げたということなのか、何なのか、少し具体的な話をお聞かせいただければと思いますけれども。
〔橋本計画官〕商工中金についてご質問がありましたので、お答えをさせていただきたいと思います。
委員ご指摘のとおり、昨年度は240億円の予算が計上されておりました。30年度に向けましても当初要求といたしましては170億円の要求があったところでございます。ただ、今回の10月にございました調査結果等を踏まえまして、12月7日に経済産業省から要求を取り下げたいということで、改要求書の提出がございまして、それに基づきまして計上額ゼロというような形で計画を策定させていただいたところでございます。
それに当たりましては、やはり今検討会等で今後の商工中金のあり方というものを議論してございますので、そういったものを踏まえた上で、また31年度以降のあり方については相談させていただきたいと、こういった形でのお話をいただいている状況でございます。
〔土居委員〕財投のプロセスとしてはどうなっているかという。商工中金としてどうかというのは、またちょっとこの……。問わずもがなというか。
〔池尾分科会長〕商工中金も、先ほどの話じゃないですけれども、手元資金があるわけで、回収金とかあるわけですから、平成30年度の業務を停止してしまうわけではなくて、それなりの活動規模は財投からの資金がなくても維持できるという見込みだということですよね。
〔冨山委員〕逆に、去年は何に使うお金だったんですか、240って。
〔橋本計画官〕産業投資で貸付けをしておりまして、それでグローバルニッチトップ企業ですとか地域中核企業ですとか、そういった特定の政策目的に資する中企庁が力を入れているような企業支援というような形で、若干成功報酬的に業績が上がったら多少多目に利払いをいただくというような形で、業績がさほど伸びなければ利払いのところは軽減するというような形で、制度融資を設計させていただいておりまして、この財源としておりました。
〔冨山委員〕言いにくいんだけれども、割りとちょっと独特な商品が出せるようにしてあげたというわけですね。
〔橋本計画官〕そういったことです。
〔池尾分科会長〕どうぞ。
〔川村委員〕別に商工中金のことじゃありませんけれども。
私も感想というか意見というか、せっかくまだお時間も若干あるようなのであれなのですけれども、例えば官民ファンドにしてもこの商工中金にしても、ある金額を配当しました、で、その前提として次年度これだけ、具体的案件を含めてこういうこと、ああいうことがあるからこれだけ必要なのでください、当然そういう予算折衝になります。ところが、何年かやってみると未達のところがあって、甚だしいに至っては貯金ばっかりたまっちゃって人件費だけで費消しているみたいなところも残念ながらあると。その原因について、いろいろよく言われている「民業補完に徹するとマーケットがない」だとか、「やっぱり長期ペイシェントだから時間をかけなきゃいけない」だとか、それぞれの理由だと思うのですが、なかなか扱いにくい問題ではあるが、私、根本は人材の問題だと思うのですね。
人材というのは投資にちゃんと的確な人材がいるかという意味での人材もそうですが、例えばそれを主務官庁等から出てきて、いわばお目付の立場にいる方々が全く投資を知らないと。むしろ、変な話、政治家なんかのほうが意識は高くて、そこでポリティカリーにできたものと、それを現場に落とし込むところでかすがいになる人たちが結果としてブレーキになっちゃっているとかですね。いろいろ因数分解していくと、レポートを書いていただくとすばらしいレポートを書くのだけれども、全く地に足がついていないというか、そういうケースが多分にあるような気がするのですね。それをこの財投分科会で、どのファンドなりどの機構なりどの商工中金なり財投機関なりに、こういう人間を当てはめろという議論をするのは現実的ではもちろんないと思うのですけれども、やはり、じゃあ例えば統合かという話をよく前回か前々回かちょっと議論の端っこで出てきたし、新聞なんか喜んで「統合じゃ、統合じゃ。」って、書き立てるわけですけれども、じゃあその問題って統合したら解決がつくのかと。変な話、人がいないところをもっと足を引っ張る人が大勢になってみたいなことにも、冗談抜きになりかねないのですね。
ですから、この議論というのは形式的な体制論だけじゃなくて、実はいろいろな意味で人の問題がとても強いので、この分科会のリーチの限界というのはあると思うのですけれども、ある段階から僕は議論が虚しいなと思うのは、結局だってできねえやつらばっかり、邪魔するやつばっかり集めて、使うの使わないのへちまのって議論しても何か先に進まないよなという印象は持っております。したがって、ちょっと次年度以降そこまで突っ込めるかどうか分かりませんが、いわゆるモニタリング的なものでも、これは官邸のほうの官民ファンドの幹事会ではそういうことをやっていますけれども、やっぱり人の流れというのでしょうか、人の入り繰りというのでしょうか、パフォーマンスっていうのですか、その辺もちょっと来年以降見ていかないと。ただこういう計画があって、こういう金額で、こういう枠でどれだけ使ったの使わないの、想定されるパフォーマンスがどうだこうだ。前回の幹事会なんか出たら全ファンドが全部儲かるようなシミュレーションを出しているのですね。あり得ないのですよ、正直。だけれども、それぞれのミクロの立場からしたら、それは出さなきゃおまえ首だって話なので出さざるを得ない。だから、絶対矛盾に彼らも置かれているっていうところがあるのですね。
ちょっとああいった横串とか、一番横串は金主の財務省が私はちょっと大人し過ぎるのかなと。つまり、最後の財布を絞る絞らないというところでは絶対閻魔様で怖いのだけれども、やっぱりそういうときの山の神だけじゃなくて、普段から結構小言幸兵衛で、歯磨きなさいの、お風呂入りなさいの、やっぱりやらなきゃいけないのではないかなという感想を持っています。ですから、制度的な限界があるにしても、ちょっと全体の財投機関に対しての今後のモニタリングのあり方というのを考えていただく機会があればなと思う次第です。
〔冨山委員〕すみません、それについていいですか。
〔池尾分科会長〕どうぞ。
〔冨山委員〕私、さる事情で幾つかのファンドの中身をよく知っているんですけれども、これ、くどいですがある種のエクイティ投資なんで、でこぼこ出るんですね。でこぼこ出る。それで、やっぱり現実の運用ってでこが起きることに関してはすごくやっぱりみんなびびるので、したがって投資行動に関してはどっちかというと極めて慎重になりがちという一つのバイアスがあります。
今度逆に、儲かっちゃうと儲かっちゃった分を実はエクイティのゲームというのはがっつり、要するに儲けが最大化のゲームなんですよね、損失の最小化のゲームじゃなくて。ところが、どことは言わないけど、私も関わったある案件でめちゃめちゃ儲かった某ファンドがあって、その某ファンドで何が起きちゃっているかというと、さっきちらっとどなたかがおっしゃっていましたが、何かいっぱい人がいて食い潰しているわけですよ。これね、ちょっとかなわない話で、何でこんないっぱい人がいて、何もしないで食い潰してるんだよって話になるわけで、今年ちょっと百何億は返すのでしょう、なんですけれども、要はあれすごく遠慮してますよね、はっきり言って。だからあれ、元本返してりゃ本当はいいってもんじゃなくて、アップサイドがとれないと全体で絶対合わなくなっちゃうんですよ。
その観点でいっちゃうと、ある種、くどいようですけれども、最初に打席に立つかどうかに関してはすごくある意味で過剰に慎重で、たまたまぽーんとホームラン打てちゃうと、その儲けに関しては意外とみんなルーズというか寛容にそれが消費される状況を放置しているっていうのは、やっぱり今の川村さんの話と本質は一緒なんですけれども、そこがやっぱりガバナンス効いてないとしか言いようがないんですよね。
ですので、そこはやっぱりくどいようですが一つのトータルのポートフォリオ管理なので、もちろん最初から儲からないって分かっていることはやっちゃいけないんですけれども、やっぱりある程度リスクはとらなきゃいけないということと、リスクの果実としてとれたリターンというのはやっぱりがっつり確保して、それは何か知らないけど300人ぐらいで食い潰すというのはちょっとこれはあってはいけないことなんで、むしろそんなんだったらほかにもっとちゃんと儲けられるオポチュニティーにそのお金を持っていって、悪いけど300人のうち200人は辞めてもらったほうがいいんで、はっきり言って。そもそも時限組織なわけですから、誰も終身雇用で雇われようと思って来てないわけだから、そこはもうドライにやるということはちゃんとやっていかないと、どうも見ていると何か知らないけど、産業再生機構のときは5年で辞めるってみんな思ってやっていましたけれども、最近何か何とか機構に来る人ってこの人ここで終身、何か定年まで勤めようと思ってるんじゃないかみたいな人がいっぱい集まってきちゃってるんで、ここはちょっと私はぴりっとしたほうが、すみません、くどいようですがいいと思うので、そういう意味で言うと、官邸のほうのやつも頑張ってもらいたいですし、でもやっぱりお金を見ているのはこっちなんで、ぜひとも理財局長、よろしくお願いします。以上です。
〔土居委員〕今年の11月8日の会議でも私もまさに官民ファンドの方々に対して申し上げたのは、成功しても褒められないし失敗しても褒められないということになっているのではないのかということなわけですね。まさに冨山委員おっしゃったように、成功してもジレンマがありますし、失敗するとまさに政府はなぜそんなところにお金を出したんだっていう話になってしまうという問題が、ジレンマがあって、そのジレンマをどうやってきちっと割り切るかということなのだろうと。もちろん官民ファンドの方々に向かってどう思っていますかと聞いたけれども、そんな答えは出てこないというのはある意味では自明といえば自明で、むしろ理財局というか財政投融資の側で、ある種のハードルレートというか、このファンドに対しては何%ぐらいのリターンを求めるけれども、その中身はもうそのファンドで決めてくれと。だけれどもリターンが返ってこないようじゃ、それは出資するという最初の段階での決断として認められないと、こういう話もあってもいいのかなと思います。
ただ、私も財政を長年研究してきて、我が国における政府出資というのはある意味で都合がいい政策ツールではあるけれども、ぬえ的なニュアンスを持っている。つまりどういうことかというと、まさに配当なり国庫納付が返ってくるということになれば、まさにそれは民間企業がリターンを求めて出資するというのと同じような意味の出資になると。だけれども、全く毀損はしないけれどもリターンがゼロであるというのは、事実上無利子貸付けという形で事後的に返還するという話になるし、毀損してしまうというのは、その毀損した分というのは事実上補助金ということで、これは政府の会計、財政での割り切りという意味で、あれは事後的に補助金ということにしておいても別にそれ自体が違法的な行為だとか、憲法違反のような行為ではないというように、事後的にいろいろ解釈が可能になってしまうような、そういうぬえ的な部分が政府出資という政策ツールには我が国の場合はあって、必ずしもひもつきで、リターンが返ってこなければその出資というのはしてはいけないとか、そういうルールにもなっていませんし、別に全くリターンが返ってこなくても毀損しなくてそのまま回収できたらそれはそれでいいのだけれども、それって事実上無利子貸付けをしているのと同じという結果に事後的にはなるというようなところがあるので、事前にどれぐらいのコミットをして出資をするのかというところについては、今後いろいろ出資というツール、これは、私は今後もあっていいと思っているのですけれども、決して認めないというわけではないのですが、今後出資、エクイティという政策ツールを使うならば、むしろそのハードルレートなり何なり、出資の出資たるゆえんというものを事前にコミットする必要というのもあるのかなと思います。
〔池尾分科会長〕はい。
〔川村委員〕すみません、最後一言にします。
そういう意味で、結局いろいろなファンドの中で、はなからLPで行っちゃっているところって僕はもう論外だろうと思っているのですね。例えば、再生だ、地域あれだっていって200億円がありました、それをそのまま冨山さんの会社に投げて任せるのが一番安全確実だと思うのですね。だけれども、それだったら別に財投資金が直にやればいいわけで、その中二階は要らないわけですよ。僕ははなからLPだけやっている、例えばGPを一応やるけれども自分たちはLPも金額はたくさん出すと、これはいっぱいあってもいいと思うのだけれども、はなから丸投げでLPから行っちゃうってことはファンドマネジャーがいないということを言っているのと一緒じゃないかと私は思いますね。
これ、それこそ幹事会でも私いろいろ申し上げているのですが、どうも各官庁の皆様、あまりそこはぴんと来られない感じがあって。やっぱりなぜファンドマネジャーから何から人の仕掛けから何からあってやっているのに、はなから全部LPっていうのだったら、そういうのって要らないのではないかなというふうに思っているのですね。ちょっとその辺も引き続きチェックしていただければと思います。
〔市川理財局次長〕ある程度利益を確保するツールとしてのLPという使い方も何か考えているようではあるのですけれども。
〔川村委員〕アリバイづくりのためにしょうがなくやるのはあると思うのです。全体ポートフォリオでプラスにしなきゃいけないという、さっき言った絶対的ジレンマの中でやっているので、何とかリターンを稼ぐためにLPをやらざるを得ない、それはよく分かります。僕が言っているのは、右から左、そのままLPみたいなのがあるのではないですか、それはいいのですかと、そういう意味です。
〔池尾分科会長〕産業投資、規模的にはまだ全体から言うと3,000億円とかで小さいといえば小さいのですが、でも質的にはもう今の財政投融資計画の中の実は中核を占めるようになってきているので、前も申し上げましたけれども、土居委員がハードルレートとおっしゃっていましたけれども、産業投資に関わる政策コストってどう考えたらいいのかとか、そういう基本的なところからちょっとやっぱり産投のことはじっくりと議論をしていく必要があると思うので、引き続き積極的なご意見を出していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、時間の関係もありますので、この案件に関して、30年度の計画に関して追加で特にご意見、ご質問があれば最後にお受けしますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
よろしければ、審議はここまでといたしたいと思います。
それでは、平成30年度の財政投融資計画等に関わる3案に関しまして、本分科会として承認するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔池尾分科会長〕それでは、平成30年度財政投融資計画等3案につきまして、本分科会として了承とさせていただきます。
本日の審議はここまでですが、ちょっと最後に連絡事項がございます。
1つは、例年諸外国における財政投融資類似制度に関する調査を委員に行っていただいて、その調査結果を6月頃の分科会でご報告いただいています。本日は欠席されていますが、本年度は翁委員にお願いしたいと考えておりまして、具体的には本分科会でも重点的に取り上げた官民ファンドについて、来年2月にイギリス、ドイツの状況を調査していただく予定になっております。その報告は来年度の6月にいただくということです。
それから、本日使用した資料のうち、議案につきましては22日の閣議終了後でないと公表はできませんので、議案につきましてはそのまま席上に、持ち帰らないで置いたままにしておいていただきたいということです。そして、議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省のホームページに掲載いたすということで、いつものとおりであります。
それでは、本日の分科会はここまでとしたいと思いますが、よろしいですね。
それでは、本日は年末のご多用の中、ご参集いただきまして、そして熱心に議論いただきましてまことにありがとうございました。それでは、これで閉会とさせていただきます。