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財政制度等審議会 財政投融資分科会
議事録

平成29年7月25日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政投融資分科会議事次第

平成29年7月25日(火)9:59~11:13
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.理財局長挨拶

  • 3.平成28年度財政融資資金運用報告書

  • 4.平成29年度政策コスト分析

  • 5.質疑・応答

  • 6.閉会

配付資料

資料1-1平成28年度財政融資資金運用報告について
資料1-2平成28年度財政融資資金運用報告書
資料2-1平成29年度政策コスト分析について
資料2-2財政投融資対象事業に関する政策コスト分析(平成29年度)

出席者(敬称略)

分科会長

池尾和人

太田理財局長

市川理財局次長

中村総務課長

冨安財政投融資総括課長

木㔟管理課長

橋本計画官

廣光計画官

谷内資金企画室長

松田財政投融資企画官

委員

川村雄介

土居丈朗

中里透

臨時委員

江川雅子

小枝淳子

冨田俊基

林田晃雄

渡部賢一

専門委員

中島厚志

沼尾波子


9時59分開会

〔池尾分科会長〕それでは、出席予定の方が全員お揃いになりまして、ほぼ定刻ですので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたしたいと思います。

本日は2つ議案がございまして、「平成28年度財政投融資資金運用報告書」と「平成29年度政策コスト分析」、この2案についてご審議をいただきたいと思っております。

それで早速議事に入りたいと思いますが、最初に太田理財局長よりご挨拶をお願いしたいと思います。また、このたび人事異動がございましたので、併せてご紹介いただきたいと思います。 それでは、よろしくお願いします。

〔太田理財局長〕本日は、大変お暑い中、またお忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。私はこのたび理財局長を仰せつかりました太田と申します。理財局の経験は実は初めてでございますので、至らないこともあろうかと存じますが、どうかよろしくお願い申し上げます。

委員の皆様方におかれましては、財政投融資制度等につきまして貴重なご意見を賜っていると承知をしております。心から御礼を申し上げます。

本日の議題は、先ほど池尾会長からお話のあった2つの議題でございますが、これまで同様に忌憚のないご意見を頂戴できればと思います。よろしくお願い申し上げます。

先ほど池尾会長からお許しをいただきましたので、この機会を借りまして、私どものほうで人事異動がございましたので、新任の職員をご紹介させていただければと思います。

委員の先生方からご覧いただきまして、池尾会長の左側におりますのが理財局次長の市川でございます。

〔市川理財局次長〕よろしくお願いします。

〔太田理財局長〕続きまして、財政投融資総括課長の冨安でございます。

〔冨安財政投融資総括課長〕よろしくお願いいたします。

〔太田理財局長〕次に、資金企画室長の谷内でございます。

〔谷内資金企画室長〕よろしくお願いいたします。

〔太田理財局長〕次に計画官の橋本でございます。

〔橋本計画官〕よろしくお願いいたします。

〔太田理財局長〕それから、もう1人の計画官の廣光でございます。

〔廣光計画官〕よろしくお願いいたします。

〔太田理財局長〕それから、反対側になりますが、一番右側になりますけれども、財政投融資企画官の松田でございます。

〔松田財政投融資企画官〕よろしくお願いいたします。

〔太田理財局長〕以上で、今年1年間、財政投融資制度の企画立案、あるいは執行等に当たってまいりたいと思っております。どうかよろしくご指導のほど、お願い申し上げます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは議事に移りたいと思います。説明を先にしていただいて、後でご質問とご意見を述べていただくということで、平成28年度財政融資資金運用報告書につきましては冨安財政投融資総括課長から、平成29年度政策コスト分析については谷内資金企画室長からご説明をお願いいたします。

それではお願いします。

〔冨安財政投融資総括課長〕ありがとうございます。

それでは議題1としまして、平成28年度財政融資資金運用報告書についてご説明をさせていただきます。本報告書につきましては、財政融資資金法第12条におきまして、「財務大臣は、毎年度財政融資資金運用報告書を作成し、当該年度経過後四月以内」、すなわち、この7月中「に審議会に提出しなければならない。」と定められております。

これに対応するものといたしまして、資料1-2につきましては冊子として配付させていただいております。本日のご説明は資料1-1でさせていただきたいと思います。

それでは資料1-1をご覧いただけますでしょうか。まず1ページになります。「1.平成28年度における財政投融資計画の運用状況」でございます。先ほど、財政融資資金につきましては、法律上、「報告書を作成し、審議会に提出しなければならない」と申し上げましたが、財政投融資は財政融資資金に産業投資、政府保証を加えました財政投融資計画となっておりますので、全体像をお示ししております。平成28年度の「財政融資」、「産業投資」、「政府保証」のそれぞれの内訳、それから「当初計画」から「運用残額」に至るまで、それぞれの計数をお示ししてございます。「改定」の計数が4兆4,130億円と例年よりも増えておりますが、昨年の夏の補正、経済対策によります3兆6,022億円、それから地方公共団体への弾力措置による8,108億円の追加によるものでございます。

「前年度繰越額」が2兆1,633億円となっておりますが、これは28年度の地方公共団体の資金需要に対して計画を繰り越して貸し付けるため、財政融資を繰り越していることによるものです。それで「改定後現額」の欄において年度内に運用可能な額が出てまいります。年度内に運用いたしましたのが全体で15兆2,055億円ということですから、「翌年度繰越額」が2兆6,104億円、「運用残額」が2兆2,415億円となっているところでございます。「翌年度繰越額」の大宗につきましては、先ほど申し上げましたが地方公共団体に対する貸付ということになります。

2ページをお開きいただけますでしょうか。2ページにつきましては、(参考1)「年度内運用額の推移」と(参考2)「運用残額の推移」をご覧いただいております。年度内運用額につきましては、補正で追加したこともございまして平成27年度・平成28年度につきましては増加しております。運用残額につきましては、平成21年度及び平成23年度に、それぞれリーマンショック、大震災対応ということで、十分なセーフティーネット枠を確保するということで、運用残額が増加しておりましたが、それ以降につきましては、運用残額のほうは減少傾向にあるところでございます。

3ページをご覧ください。(参考3)「平成28年度財政投融資計画の主な機関の運用状況」でございます。左側に機関名がございますが、「日本政策金融公庫」、「地方公共団体」、それから「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」、「国際協力銀行」、「日本政策投資銀行」、これが年度内運用額の上位5機関になり、全体の7割の年度内運用額を占めているところでございます。「改定」の欄は、それぞれ補正で追加したもの及び地方公共団体につきましては弾力措置により追加したものになります。

右側に「運用残額」がございますが、年度内運用額が多い日本政策金融公庫や地方公共団体の運用残額が全体としては多くなっているところでございます。

それから下のほうにまいりまして福祉医療機構の年度内運用額が3,089億円に対しまして運用残額が1,676億円ということになっていますが、資材の高騰あるいは人材不足等で施設整備が遅れているということで、この運用残額になっております。ただ、この運用残額につきましては、平成28年度当初計画額が4,674億円であったところを、平成29年度当初計画額においては3,531億円としており、運用残額の状況を踏まえながら、計画の編成を行っているところでございます。

続きまして(参考4)「財政投融資計画残高の推移」でございます。(参考4)はストックベースの財政投融資計画の残高の推移になります。平成27年度から平成28年度をご覧いただきますと、先ほど年度内運用額が増えたと申し上げたのですが、それぞれ政府保証又は財政融資につきまして平成26年度から平成27年度に、返済額が多いということで、残高ベースで見ると、減少しているところでございます。

続きまして5ページをご覧ください。「財政融資資金の長期運用計画及び実績」でございます。「国」、「政府関係機関」、「独立行政法人等」、それから「地方公共団体」の4つの主体に分けて計数をお示ししております。

続きまして6ページをご覧ください。6ページは「(2)短期運用実績」になります。「平成28年度末現在高」は10兆7,983億円でございまして、持ち回りの分科会においてご了承いただいた交付税特別会計、年金特別会計に対するものが主なもので、それぞれの年度中の推移もお示ししているところでございます。

残高ベースで見ますと交付税特別会計の返済が4,001億円行われているというところでございます。また、従前、余資の運用ということで債券に運用していることがありましたが、昨今のゼロ金利あるいはマイナス金利を反映いたしまして、平成28年度中に日銀現先やFBによる短期運用は行っていないという状況でございます。

7ページをご覧ください。「財政融資資金資産の異動」です。特徴的なのは外国債です。これは平成8年度に買いました20年物の債券が平成28年度中に償還がありましてストックがゼロになったということでございます。それから信託受益権です。これは平成19年度、平成20年度に貸付金の証券化を行った際に取得したものでございますが、平成30年度に貸付金の償還に伴い消滅するというものでございます。

8ページをご覧ください。「4.平成28年度における財政投融資特別会計国債(財投債)の状況」でございます。平成28年中の発行額は、当初発行額に、補正での追加発行額を合わせまして19兆5,988億円でございました。特徴的なのは、昨年の財投計画補正での追加がリニア等に対する非常に長期な貸付であったということで30年債、40年債の発行が増えているということでございます。あと、平成28年度中の償還も、これは偶然ではございますが、19兆4,635億円ということで、大体発行額と同程度の水準ということでございましたので、平成28年度末の残高は微増ということになっております。

9ページをご覧いただけますでしょうか。「5.平成28年度における財政融資資金預託金の状況」でございます。全体の増減については、「平成28年度中増減額」の「合計」欄をご覧いただきますと、マイナス3.8兆円ということでございます。この大宗は「その他」の欄にありますマイナス5.8兆円、そのうちのマイナス4.8兆円が外国為替資金預託金の減少ということでございます。外国為替資金では、それを取り崩しまして自らの負債であるFBの償還を行っているという状況でございます。

それから増減の中で増要因として、「区分」欄の真ん中のほうに「日本政策金融公庫」がございます。1.1兆円ほど増がございます。これはやはり今の市場の運用状況では、市場で運用するよりも財政融資資金に預託をしたほうがいいということで預託のほうが増えているということでございます。

続きまして10ぺージをご覧ください。(参考5)「預託金残高及び財投債発行残高の推移」でございます。財投債は、近年減少してまいりましたが、平成28年度につきましては、先ほど申し上げました補正等の追加もありまして微増となっています。それから預託のほうは減少しておりますので、財投債・預託を合わせたところのストックの推移は減少しているところでございます。

続きまして11ページをご覧ください。「6.平成28年度財政投融資特別会計財政融資資金勘定損益計算書及び貸借対照表」でございます。貸借対照表をご覧いただきますと、本年度利益は3,146億円という状況になっております。この利益につきましては、次年度には金利変動準備金に組み替えられるということになっております。

12ページをご覧ください。「7.平成28年度財政投融資使途別分類表」でございます。先ほど申し上げました財投の運用状況をそれぞれの使途別に若干視覚的に分かりやすいように円グラフにさせていただいたものでございます。社会資本、中小企業、あるいは海外投融資等が大宗を占めているところでございます。

13ページをご覧ください。(参考資料1)「平成28年度における産業投資の運用状況」でございます。これは、産業投資の部分を切り出してお示ししたものでございます。「当初計画」、それから「改定」、これは昨年度の補正での追加になります。年度内運用額が2,780億円、運用残額が昨年よりも減少いたしまして863億円ということになっております。一方、翌年度繰越額のほうはJOGMECのところ、補正で追加したものを含めまして翌年度繰越額となっており、平成29年度中の執行を目指しているところでございます。

14ページをご覧いただけますでしょうか。(参考資料2)「財政投融資特別会計(投資勘定)の資金の流れ」でございます。説明は省略させていただきます。

私からは以上でございます。

〔谷内資金企画室長〕続きまして、平成29年度の政策コスト分析についてご説明申し上げます。資金企画室長の谷内でございます。改めて、よろしくお願いいたします。

資料2-2「財政投融資対象事業に関する政策コスト分析」は分析結果の詳細を記載した公表資料の本体となります。本日の説明には使いませんが、本日はこれを本体資料と呼ばせていただきます。

制度開始以来、説明内容や分析手法の拡充など、年々本体資料が厚くなり、また、技術的な説明も多くなってきているところでございますので、今回は、昨年まで説明に使わせていただいた資料をさらに簡素化させていただいた資料2-1を用意させていただきました。昨年までの資料につきましても、やはり国民目線で見た場合には細かい文字で多数の表とグラフを説明しておりましたので、さらに内容を絞ったものがこの資料でございます。これは本日の説明で使用させていただくことに加えまして、これから理解を深めていただこうとする国民の皆様、それからこの後予定されております記者レクなども念頭に、分かりやすくまとめさせていただいたつもりでございます。

前置きが長くなりました。ご覧いただいている資料、次のページに目次がございますが、これを飛ばしていただいて2ページ目でございます。よろしいでしょうか。

これはコスト分析の経緯と目的を記載しておりますが、本日この場での説明は省略させていただきます。

続きまして3ページでございます。コスト分析の基本的な枠組みでございますが、これも省略させていただきます。

続いて4ページでございます。ここでは主な分析手法を並べてございます。若干補足させていただきますと、平成11年度に制度を開始しました後、当分科会におけるご議論を踏まえまして、このように分析手法の拡充をしてまいったところでございます。(1)の経年比較分析につきましては、前年度と前提条件を合わせて比較できるようにするもので、これは平成15年度から、また次の(2)の感応度分析、これは金利、貸倒れ、事業収入といったリスク量を把握するために実施しているもので、平成13年度から、また(3)の発生要因別の内訳につきましては融資系の機関のコストを分解してお示しするもので、これも平成15年度から行っているところでございます。

5ページにお進みください。平成29年度の分析結果がこのページからになります。まず金利ですが、右下にございますとおり、例年どおり予算概算決定日の国債流通利回りで設定しております。水準はグラフのとおりでございますが、29年度は日銀のマイナス金利政策の影響もございまして史上最低のものとなっております。ご覧いただいておりますように、期間10年のところでは、28年度の約3分の1の水準、また20年以上の期間では2分の1程度の水準となっておりまして、これが次のページ以降でご説明いたします政策コストの金額などに大きな影響を与える要因となってございます。

6ページにお進みください。29年度の分析対象は25機関でございますが、複数の勘定を持っている日本政策金融公庫等もございますので、各勘定もカウントいたしますと延べ32の主体に対して分析を行っております。先ほど低金利の状況が結果に大きな影響を与えたと申し上げましたが、真ん中の表をご覧いただきますと、29年度の政策コストは全体でマイナス1兆4,280億円となりました。国に利益をもたらす結果となってございますが、このように全体がマイナスコストになりますのは27年度のマイナス約6,000億円以来、2年ぶり2度目ということになります。

内容の説明に入ります前に、表の下の脚注をご覧いただきますと、それぞれの年度で分析対象や前提条件が異なりますので、総額の増減のみで事業を評価することは適当ではないという記載をさせていただいております。これは委員の皆様にとっては当たり前のことではございますが、一般の皆様に対しまして、政策コストがマイナス1.4兆円になったから財投事業がよくなったとか、あるいは1のところをご覧いただきますと、国からの補助金が約1兆円の増加となっておりますが、1兆円も増えたので悪くなったとか、そういったような誤解を与えないようにつけさせていただいております。

それでもなお、この表をもって本日の説明ですとか、かねてから本体資料にも使わせていただいておりますのは、29年度に何が起こったかという現象面をご理解いただくにはこの表が有効であるということで、今年も使わせていただいております。

1の国からの補助金等をご覧いただきますと、その増減欄ですが、約1兆円の増加となっております。これは大部分が整備新幹線に係るものでございます。ただし、ご案内のとおり、整備新幹線は国の負担、すなわち国民負担を前提として、28年度以前から建設が進められておりますので、この1兆円は29年度に新たに生じたものではございませんが、平成28年度の第2次補正予算において財政投融資が新たに投入されることとなり、政策コスト分析の対象となった結果、このような形で広く情報が開示されるということになったものでございます。

まさにこの点は、将来の国民負担に関するディスクロージャーの充実という、政策コスト分析の目的・意義に沿ったものであると考えております。繰り返しになりますが、このような意味も含めまして、先ほどご紹介した脚注をつけさせていただいているところでございます。

続きまして、2の国への納付金等、これは増減欄を見ていただきますと約1兆円減少してマイナス6.5兆円なっております。これは主に事業系の機関が影響を及ぼしております。事業系の機関につきましては、事業収入が金利の変動にかかわらず安定的に得られるのに対しまして、金利が低下いたしますと支払利息が減少いたします。この結果、損益が好転することになって、ご覧のような結果につながっております。

次に3、国にとっての機会費用の増減欄を見ていただきますと、これも前年度からはマイナス1.6兆円と大幅に減少しています。これは融資系・事業系を問わず国から多額の出資金を受けている機関ですとか、期中に剰余金が発生するような機関のコストが大幅に減少された結果を示しております。金利の低下に伴いまして、分析期間の終了時点に国に戻ってくる出資金ですとか、最後に納付される剰余金の現在価値を求める際に割り引かれる金額が減少したことによるものでございます。

後ほど感応度分析の結果をご説明いたしますが、金利が1%上昇すると全体で5.5兆円のコスト増になるという結果が出ております。したがいまして、今般、マイナス1.4兆円となりました、この政策コストは、1%の金利上昇で5.5兆円増加して仕上がりとしてはプラス4兆円という結果になると推定されます。今般の分析を通じまして、改めまして金利水準の変化がもたらす影響の大きさを認識したところでございます。

7ページにお進みください。主な機関の政策コストをお示ししてございます。左下のURのマイナス4.3兆円と、その2つ上の鉄道・運輸機構は、先ほど申し上げましたとおりの背景でこのような数字となっています。URは事業系機関の特性が顕著に出ているという結果でございます。

あと、このページで触れておきたい機関のうちの1つが、左上にございます日本政策金融公庫でございます。8,421億円のコストとなっておりますが、このうち6,999億円、大部分でございますが、危機対応円滑化業務勘定のものでございます。大規模災害による被害に係る資金需要などに対応するためのツーステップローンの指定金融機関に対する利子補給、それから損害担保の費用などが、政策コストとしてカウントされております。

さらに右上の高速道路機構、ここは事業系の機関ではございますが、先ほど申し上げました事業系機関の特性による要因ではございませんで、多額に保有している出資金等の機会費用が金利低下の影響を受けた結果、前年度の1.7兆円から約半分くらいの水準、8,387億円に減少しております。

また、その2つ下の地方公共団体金融機構につきましては、昨年12月の大臣間の合意で機構が保有する金利変動準備金から、地方創生のために今後3年間で9,000億円の範囲内で国庫納付することが決まりました。この結果、分析終了まで蓄積する前提となっていた剰余金が前倒しして国庫納付される。この前倒し効果によりまして機会費用が前年度よりも減少して仕上がりとしてマイナス6,314億円と、マイナス幅が増加した結果となってございます。

8ページにお進みください。経年比較分析でございます。これは新規事業や収入・費用の経年変化がどのように政策コストに影響を与えるかを見るための分析でございます。特にトピック的な動きはございませんが、右の下から2番目、地方公共団体金融機構は、先ほど申し上げた事情による変化が見て取れます。また経年変化が一番大きかった左上のJICAでございますが、この機構は政府出資金と財政投融資を活用して財投金利を下回る低水準の金利で円借款をしておりますので、新規事業には必ず国民負担が伴います。ちなみに1,594億円のうち861億円が29年度の新規出融資1兆2,720億円に係る国民負担と申しますか、政策コストでございまして、これに大口与信先の信用格付けの低下などによるコストを加えました結果が実質増減として表れております。

9ページにお進みください。ここでは感応度分析の結果として、金利を1%上昇させた場合の影響額を示してございます。先ほども説明いたしましたとおり、ご覧のように左側の事業系の機関は金利の変化を大きく受ける結果となっております。ただし、1つだけ鉄道・運輸機構がマイナスコストになっておりますが、これは整備新幹線に係る貸付は既に実行済みでございますので、支払利息につきましては金利変動による影響を受けずに、他方で今後投入される予定のフローの補助金については金利の上昇によって現在価値が低下いたしますので、コストがマイナスになるという結果となっています。

右側の融資系機関につきましては、金利が上昇しても貸付金利と調達金利の双方が同様に変化いたしますことから、基本的に経常収益への影響はないわけでございますが、JICA以下、国際協力銀行までの機関は多額の政府出資金を受けてございますので、先ほど説明いたしましたように金利の上昇に伴いまして、これに係る機会費用が増加する結果となっております。

また、右下の学生支援機構、私立学校振興・共済事業団、福祉医療機構の3つ、福祉系・文教系の機関でございますが、これは学生に対する奨学金が在学期間中を無利子としていましたり、災害復興などに係る融資につきましては当初数年間を無利子としたりしているため、金利の上昇に伴ってその期間の利子補給金が増加するという結果が表れております。

続きまして10ページ、貸倒償却、事業収入に係る感応度分析でございます。リスク量をこのような形で分析してございますが、お時間の都合でこの場での説明は省略させていただきます。

次に11ページ、融資系機関において行っております発生要因別の政策コストでございます。それぞれ繰上償還、貸倒れ、利ざやなどに分けまして影響額を算出しております。右側の「その他(利ざや等)」の欄でございますが、基本的には利差益を得ている機関はマイナスコスト、政策的に金利を抑えて利子補給を受けている機関はプラスコストとなっております。なお、この真ん中に繰上償還による影響でマイナスコストとなっている機関が2機関ございます。学生支援機構と住宅機構でございますが、これは低金利の状況が長く続いたことに加えまして、今回の分析が史上最低の金利水準でのものとなりましたこともございまして、かつてのように高金利のものが繰上償還をされて収支が悪化するという状況にも変化が生じてきていることが伺える結果なのではないかと考えます。

最後に、本体資料の変更点を紹介させていただきます。次の12ページにお進みいただきますと、これは本体資料では3ページの部分でございますが、下の方に「参考」の表をつけさせていただきました。細かくて恐縮でございますが、本年度は金利水準の変化が政策コストに大きな影響を与えましたために、この現象を一般の方にもご理解いただきやすいようにということで加えさせていただいた解説でございます。

それから、13ページ、これは本体資料も13ページになりますが、このページの下にも、「参考」の表を追加させていただきました。これは公共事業実施機関につきましては経済便益を試算しているわけでございますが、そのベネフィットをどのようなマニュアルを用いて算出しているかを示したものでございまして、この部分を詳しくお知りになりたい方が容易にアクセスできるようにということで、本年度から記載を追加させていただいたものでございます。

以上の2つはほんの小さな改善ではございますが、私どもといたしましては本日の説明に使わせていただいたような簡潔な資料や本体資料の拡充などを通じまして、政策コスト分析に対するご理解が深まるよう努力を続けてまいりたいと考えております。

私からは以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、これまでのご説明の内容に関しましてご意見あるいはご質問等がございましたら、どなたからでも結構ですのでよろしくお願いします。中島委員。

〔中島委員〕ご説明どうもありがとうございました。

最初の運用報告について3点、それからコスト分析について1点質問があります。まず、運用報告についてで、この資料の5ページ目ですが、これは少しご説明いただきたいところなのですが、地公体です。前年度の繰越金が2兆1,500億円あって、翌年度への繰越金が2兆3,800億円あると。金額的に似たような2兆円台の数字になっているわけで、これを見ると、28年度予算、繰り入れた額と翌年度に繰り越す額がほとんど同じなわけです。この辺は最初の予定のときに予算を組むときにもっと工夫して、そもそもこの繰入れと繰越しをもう少し減らすような努力ができないものかどうか、そこについて伺えればと思います。

それからこの運用報告の2点目が11ページです。11ページのこの投融資資金の勘定の貸借対照表です。こちらについては金利変動準備金の繰入率が1000分の50ということで、5,700億円余りとされていて、それで本年度利益の3,100億円が加わるということなのですが、両方足してもそれにたどり着かない、ましてかつての繰入率1000分の100には大きくたどり着かないということです。もちろんこれは財務省だけの努力でできる話でもないのですが、もう少し全体としてここのところを引き上げる必要が、特に今の低金利というのが歴史的な低金利で、これ以上の低金利というのはもう限界的にしか見込めないという現状から見ると、必要になっているのではないかということなのですが、そこについてどういうふうに見たらいいのか、教えていただければというのが2点目です。

それからこの運用報告の3点目がありまして、それが一番最後の財投資金の投資勘定のところなのですが、これは毎年というか、昨年度も出た話ではあるのですが、この投資勘定自体が従来のJT等の配当等で賄い切れず、一般会計から2,590億円受け入れて、結果として一般会計に1,244億円繰り入れるという形をとっているわけですが、基本的に普通の財投の投資勘定であれば、その中で回すのが趣旨であって、一般会計から受け入れるとかいう形になると、いわゆる国債で賄うのと同じということになって、その意味では普通の財投とも同じ、財投債で賄うのとも同じということになってしまうということで、あまり好ましくない形になっていると思います。

したがって、この点については今後、何らかの形でおさめていく必要があると思うのですが、その点についての見方を教えていただきたい、これが3点です。

それからもう1つの政策コスト分析のほうですが、これは冒頭お話があったように、毎年いろいろな指摘等を踏まえて拡充していただいて、本当に立派なものができ上がったと思いますので、あとはどう使うかということだと思います。

それに絡まないわけでもないのですが1点だけ、11ページです。発生要因別の政策コスト内訳で見ると、先ほど来、ご説明が幾つかあったところではあるのですが、一番大きな政策金融公庫については、8,421億円となっている。これを個別の全体の政策コスト分析の資料2-2で拝見すると、一昨年度と同じような政策コストが出てきているということなのです。

それで、基本的には金利低下の影響とかで、全体として見ると、ほかの機関は、大きいところを見ても政策コストが減っている中で、ほぼ横ばいという状況になっていて、かつ金額が大きいということであります。もちろんこの政策コスト自体は多年度の分を全部集計しているものですから、1兆円近い負担がすぐ出るとか、そういうことにはならないのですが、ただいずれにしろ、危機対応という趣旨は大変よく分かるとしても、組織全体として、金融公庫としてもっと収益力をつけるとか、リスク対応としての自己資金というものを配慮する必要があるのではないかと思います。

その観点で見ると、確かに貸倒引当金の繰入増とか、そういうものがあるのですが、ただいずれにしても、もっと収益力を上げて内部留保を増やすような形での対応というのが、ここから伺えるところではないかなという気もいたしまして、そういう点をどう見たらいいのか、その点も伺えればと思います。

いずれにしても、こういう形で個別含めて大変詳細な政策コスト分析が出て来ておりますし、今、私が申し上げたような点も見えるところでもありますので、ぜひ国民の皆様及び各機関にもうまくコスト分析を理解して生かしてもらいたいと思う次第です。

以上です。

〔池尾分科会長〕今の中島委員のご質問に直接関連するようなご質問はありますか。少し別になりますか。では、お答えいただけますか。

〔冨安財政投融資総括課長〕運用状況の報告について3点ご質問をいただきました。

まず、5ページの地方公共団体の前年度繰越し、あるいは翌年度繰越しの関係でございます。地方公共団体につきまして、5ページの長期運用予定額のA欄をご覧いただきますと、28年度当初の地方公共団体への長期運用予定額は2兆8,335億円になっております。これは地方公共団体が事業を行うために起債をして、それに対して財投を貸し付ける仕組みとなっておりますが、実際に地方公共団体が起債するのは、平成28年度の自らの資金の活用状況を把握しつつ、事業計画も組み立てて、平成28年度中はなるべく民間金融など短期で資金調達して、出納整理期間になります平成29年の4月、5月に長期の借入れになります地方債を起こして、短期資金から財投資金に切り換えるということになります。

したがいまして、例えばD欄の16兆1,654億円のうち、翌年度繰越額の2兆3,812億円は平成29年の4月、5月に使われるということで、繰り越しているというものになります。要は、地方公共団体がどれくらい財政融資資金からの資金を年度内に使って、また年度越しで使うかというのは、やはりこの3月、4月、5月くらいになってみないと全体像は見えてこないという状況がございます。

一方、この前年度繰越額(B欄)というのは、まさに平成27年度の運用予定のうち、やはり平成28年の3月、要するに27年度末を越えて平成28年4月、5月の出納整理期間で地方公共団体において地方債起債額がようやくその辺で確定してきますので、平成28年度に繰り越して、財投から見ると貸付を行う予定額ということで計上しているということでございまして、どうしても地方債事業全体が見えてくるのが年度末、さらには地方債を実際に起債して調達するのが年度を越えた4月、5月の出納整理期間というような事情がございまして、確かに先生がおっしゃいますように、一見すると年度当初に繰り越していて、翌年度また繰り越している額がほぼ同額で、毎年同じようなことが起きているじゃないかということでございますが、実はその予定したものの大宗を財投が貸すのが年度を越えた次の4月、5月というのが実情でございまして、どうしてもこの時点で全てそれを相殺するということが見込める状況にはなっていないということでございます。

少し技術的な説明になってしまいますが、よろしければ、また後で詳しくご説明させていただければと思います。

それから2点目の金利変動準備金の話でございます。11ページにありますとおり、5,746億円でございます。実はこの5,746億円という額は、130兆円という資産に対しまして、先ほど先生からご指摘がございました1000分の50の水準に全く達しておりません。

と申しますのは、準備率を1000分の100から1000分の50に変更して以降、それこそ一般会計、あるいは国債整理基金特会に繰入れを行ってきまして、今は1000分の4という状況にございます。そういう意味では非常に脆弱な状況にあると私どもは認識しております。

本年度利益3,146億円が翌年にこの金利変動準備金に加わるとしても9,000億円程度でございますので、さほど準備率も上がらないということでございます。今後の金利変動リスクに対しまして、まさにこの金利変動準備金は重要でありますことから、ALMの管理をしっかり行っていくなどの最低限の対応をしなければいけないと考えているところでございます。

それから14ページの一般会計からの受入れの話でございます。これはもう平時において行っているわけではございません。過去においては、リーマンショックのときなどに行っております。経済対策で、昨年の場合はJOGMEC、JBICの財務基盤の強化ということで、通常にないメニューで産業投資の追加を行うことになりました。

産業投資は、基本的には配当金収入や納付金を財源にいたしておりますので、毎年、枠に余裕はそれほどない状況にございます。したがいまして、ここは、通常のものということではなくて、経済対策であるということで、産業投資を追加するには財源を一般会計から受け入れるしかないという状況だったということでございます。繰り返しになりますが、状況にはよりますが、毎年行うような話ではないと考えております。

〔谷内資金企画室長〕続きまして、政策コストのお答えを申し上げます。この11ページの表でございますが、日本政策金融公庫につきましては、勘定別に分けずに全体の合計のみをお示しいたしましたので、分かりにくいものになってしまったと反省をしているところでございます。

ご質問の収益力をつけるという点でございますが、この日本政策金融公庫を分解いたしますと、大宗を占めているのが危機対応円滑化業務でございまして、先ほど説明の中でも申し上げましたが、指定金融機関に対する利子補給、それから損害担保に係るコストとなっております。

他方で、国民一般向け、中小企業者向けの業務につきましては、この表の「その他」の部分で利差益が出ておりまして、両勘定ともにマイナスコストになっております。ただし、貸倒れですとか、繰上償還の影響もございますので、国民一般向けも中小企業者向けも、全体としては、若干でございますが、政策コストが発生するという構造になっております。

そこで、お答えでございますが、収益力をつけていくという面では、国民一般向け・中小企業者向けもどちらかというと社会的には弱い立場の方々への融資を行っておりますことから、金利を上げて、利ざやを稼いでいくという方法がなかなかとれないものですから、政策コストを下げるために、収益を確保していくためには貸倒れを低く抑えていくということが求められることになりますので、両勘定ともに貸付先に対するケアをしっかりやっていくことが重要だと思います。

そこで、国民向け・中小企業者向けの貸倒れの償却の状況ですが、双方とも過去の実績から償却率は1%程度となっておりまして、かなり低い水準に抑えているという実情にございます。その点を踏まえますと、これ以上の抑制というのがなかなか難しい中で、委員がおっしゃいますような健全経営を目指していく必要があると考えております。

ちなみに補足いたしますと、制度的に非常に低利の融資メニューをつくるときには、政府から資本増強のために出資金を支出して財務基盤の強化を図ってきていると承知しておりますので、その点も含めてご理解をいただければと思います。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕それでは、川村委員、お願いします。

〔川村委員〕意見と質問と感想をあわせたようなもので恐縮なのですが、主としてこの政策コストに関して、大変年々歳々非常にレベルの高い詳細で、かつ資料的価値があるものをお作りいただいて、大変ありがたいと思います。もう十数年でしょうか。どんどんバージョンアップしてきて、いいなと思うのが、まずあります。

その意味で、次に思いますのは、先ほど一般会計とこの財投との関係での中島委員の論及もございましたが、例えば、ばっと見たときに、この政策コストの金額が、この計算上非常に大きい数字が出てくる。あるいは急に増える。例えばリニアのように急にどんと増えるということのインプリケーションというのは、やはりものすごく政策コストは高いな、だけれども政策目的があるから、やらなければいけないのだなと、多分そういうストーリーになるのだと思うのですが、では、ここまであるレベルを越えたら、これはむしろ有償の投資資金である財投でやるべきものなのか、逆にもう一般会計でやるべきものなのかみたいな、そういう政策判断にも使える。どこのラインがいいかとか、それは別にしても、一方で財投全体はどんどん減らしてきて、ピークの何分の1というときになっている中で、危機対応のときも打ち出の小づちのようにぼんと財投が出てきたわけです。

そうすると、今回の場合は成長戦略なので、より整合的なのかもしれませんが、それにしてもどんと増えたときに、これでいいのかみたいなことを今後政策的に判断していく際に非常に重要な指標になるのではないかと思うことが1つです。

それからもう1つは、他方で、ではこの政策コストが小さければ、それだけ国民負担が少なくて、いい財投機関なのかというと、多分必ずしもそうではなくて、いわば政策コスト率みたいなものの算定はできないものだろうか。

つまり、あくまでも機会費用等、あるいは補助金等の出したもの、そして入ってくるもの、そして機会費用を割り引いて現在価値に直して、それでコストとして認識していくという考え方なので、ではそれを分子としたときに、このコストを分子としたときに何かの分母があって、例えば通常のP/L、B/S上で言えば売上高利益率とか、売上高経費率とか、そんなふうになるので、何政策コスト率なのがいいのかというのは、いろいろ考えなければいけないのだと思うのですが、このがたいの大きいところで、予算も大きければ、ある程度政策コストも大きくなってくる。そういう、何か一見金額は小さいのだけれども、実はかなり政策コスト率が高くて、いかがなものかというようなことというのも、ひょっとしたら出てくるかもしれない。

今の手元の数字では分からないのですが、今後の、これをさらにチューニングアップされる中では、そういった規模の大小に関係なく何か我々のほうで判断できるような、そういう工夫をしていただくと非常にありがたいのかなというのが意見というか、感想です。

〔池尾分科会長〕それはもちろん、だからベネフィットなのですが、今の資料の一番最後のところにベネフィットを測定する各機関の資料を紹介していただいていますが、基準が全然揃わないのですよね。

〔川村委員〕そうそう、そうなんです。だからこの事業系と融資系でそもそも違うし、その融資系の中でも事業系の中でも、それぞればらばらなので、一つ一つ見ていかないといけないので、なかなか共通指標、格付みたいなわけにはいかないと思うのですが、そういうものがあると非常にありがたいと思っているところです。

〔池尾分科会長〕何か追加でありますか。

〔谷内資金企画室長〕池尾会長からご説明いただいた部分とやや重複するかもしれませんが、ベネフィットにつきましては、この制度を開始して以来、委員の皆様方から意見を頂戴しております。そこで公共事業系につきましては、これもいろいろなご議論を経たうえで、事業を着手するときの推計の結果などをお示ししているところでございます。

ただ、そのほかの福祉系や文教系、あるいは融資系の機関に関しては、それがどれだけ役に立っているのかということを数値化して金額ベースでお示しするのがなかなか難しいために、現状のような概念としての説明にとどまっているところでございます。

それを政策判断でどう使うかという点につきましては、まさに我々の財投編成作業の審査の中では償還確実性ですとか、あるいはこれがどれだけ国民のために役立つ事業なのかという目線で要求などを精査しているところでございます。

それから政策コスト率というお話がございましたが、これはベネフィットとも非常に関係してくると思います。お答えになるかどうか、分かりませんが、先ほどの説明で、資料で申し上げますと5ページでございますが、29年度分析はこのような低い率だったのでマイナスコストになりましたという説明でしたが、28年度はこの水準で若干のプラス、さらに27年度分析はこの28年度よりも若干低い水準で、ぎりぎりマイナスコストということで、全体で見ると、大体この28年度あたりの金利水準がプラスとマイナスの分岐点のようなものになっております。川村委員の問題意識に対する直接のお答えにはなっていないと思いますがご参考として補足させていただきました。

〔池尾分科会長〕それでは、小枝委員。

〔小枝委員〕今の川村委員のご意見と関連しておりますが、やはりコスト分析のところで社会的なベネフィットを計測するのは非常に難しい課題であると思います。そこで、今までの指標に加えて、単純にネットキャッシュフローがゼロになるIRRを報告しても参考になると思いました。

もう1点コメントではなく質問です。運用報告のほうですが、4ページの参考4で、これは基本的な質問なのですが、財政投融資計画残高を見てみると、ずっと下がってきております。この辺で安定するという前提で、今後はもっと中身の議論をしていくという方向性なのか、それとも今後どんどん残高は減っていくという方向なのか、そういった議論が今までにありましたら、教えていただければと思います。よろしくお願いします。

〔池尾分科会長〕少し時間が押していますので、先に土居先生。

〔土居委員〕ありがとうございます。

まず、政策コスト分析なのですが、事務局からご説明がなかったので、私がむしろここは称賛すべきところなのではないかというところを1つ申し上げると、本体の資料2-2の37ページに「財投編成における活用の具体例」というのを今回お示しされていて、去年など見たのですが、そこまでは書いておられなかったと思います。

私も長年この分科会で、財投編成で活用していて最終的にはこの場での取りまとめた資料として今年度の政策コスト分析として一般に公表されるということですが、その編成過程においても活用していることは非常に重要なところで、こういう数字は、もちろん精査された形で最終的に固まった財投計画と整合的なものとして、コスト分析が今回ここに公表されていることは、それはそれでもちろん大いに意義があることに加えて、編成過程でも活用されているということも国民の皆さんに知らせるということは、とても意義のあることだと思います。この「参考」というところは地味だとは思いますが、結構重要な情報を提供していただいたということで、私は非常に高く評価したいと思います。

それからもう1つは、今度は財政融資資金の運用報告のほうですが、先ほど中島委員からもお話がありましたように、地方公共団体に対する繰越しは、冨安課長からのご説明どおりだと私も認識しておりまして、その説明を来年度以降かどこかに、まさに出納整理期間で地方の会計処理の仕方と、こちら側の財政融資資金の会計処理の仕方の期間のずれというのが、そういう繰越しという形であらわれているのだという説明を加えると、あらぬ誤解は解消されるものだと思います。

それとともに、運用報告書の中の、資料1-1の8ページになりますが、財投債のマチュリティの満期構成がここに表示されていて、もちろんこれは財政投融資のALMの観点からも非常に重要な資料で、確かに20年、30年、40年債の残高が増えているということとともに、10年債が減って2年・5年債が少し増えているというような形で、そういう意味では今後、金利上昇が懸念されるところで、20年・30年・40年債は固定金利で今の低い金利で長期で借りているということなので、その点のALMに与える好影響というのはありますが、2年・5年債も増えているということなので、そのあたりは今後も注意深くALMをしていただきたいというふうに思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕では冨田委員。

〔冨田委員〕ありがとうございます。皆さんご指摘のコスト分析、特にそれをどう使っておこうかという議論になっていますので、少し私が感じた点を申し上げますと、資料2-2の6ページの下に「参考」といたしまして各年度の政策コストの実質増減額というのが記されております。

これを見ますと、一定の傾向はあるのです。それは何かというと、22年度から本年度に至るまで、ずっと実質増減額が増えているのです。金利の影響を除き、そして対象機関の変化を除いて、1年ごとの前年との比較において、毎年増え続けていると。こういう傾向をどういうふうに評価するかということだと思うのです。

多分、毎年の政策コスト分析を見れば、どういうことが原因でこの実質的なものが増えたか、経年変化を見ることができるのですが、私が問題意識として持っているのは、財投編成における基本方針というものがあるとするならば、こういうことと、この前年対比の実質的な政策コストの増減ということと、どう関係があるのかと。これは事後的な分析ですが、毎年の編成において、こうした政策コスト、もっと言えば国としてどれだけ財投機関のリスクをコスト、つまり国民負担として認識するかという、そういう政策課題だと思うのです。

そういうことに使っていけるかどうか。つまりこの政策コスト分析を巨視的な観点からどういうふうに使っていくか。どういうふうに使うというのはおかしいですが、そもそもは問題意識があったから、こういう手段があるわけですが、そういうことを私はこの6ページで感じました。

もう1点は、先ほど中島委員の議論にもあり、土居委員のお話にもあった、ミクロの個別の財投機関についての翌年度の財投計画の編成において、この政策コスト分析をどう使っていくか。

我々は毎年の財投編成の論点といたしまして新規の事業について、それがどんなリスクを持っているのだろうということに当然ながら議論が集中しておりますが、先ほどの中島委員のお話から続ければ、そういったリスクを当該財投機関が、例えば回収率を引き上げるとか、あるいは利ざやを拡大するとか、そういう操作可能な変数を使いながら、どうやって吸収するかとか、そういったことも本来であれば議論ができるのだろうと思います。

これとの関係で言うと、奨学金の延滞率について、大学別にデータが公表になったということを側聞しております。これは非常に画期的なデータだと思うのです。アメリカにおいてはスチューデントローンの改革ということで、連邦政府が保証する銀行の融資と直接融資で、やはりこの政策コスト分析を行って、どちらが国民負担が小さいかという議論をしているのです。

それと同じように、例えば機関保証と返済率の関係など、何かいろいろなことに使えそうな気がするのです。それはモラルハザードを抑制するという観点からなど、そういうことにも本年度から利用できるようになったのではないかと思います。

少し長くなりましたが。

〔池尾分科会長〕林田さん。

〔林田委員〕時間も押していますので、絞って申し上げます。

政策コストですが、9ページの感応度分析で、金利が1%上昇すると政策コストが5.5兆円も増えるという計算結果でありまして、こんなにも大きいのかというのは正直驚いたところであります。

金利の前提は、今、長期金利0.1%で行っていると思うのですが、この間内閣府が発表した中長期の財政試算によりますと、8年後の長期金利は経済再生ケースで4.3%、ベースラインケースでも1.8%ということですから、これを掛け算すれば相当なコストになると。

何が言いたいかと言いますと、財投と言うと何か「ただ」の予算みたいな誤解があるけれども、実は大きな、状況によっては政策コストはかかるのだよということを、より幅広く、ここにいる先生方は皆さんご承知ですが、幅広く周知していくべきではないかということを申し上げたかったわけであります。

それから運用報告のほうを1点だけ。13ページ、各機関別の状況を見ますと、巨額の運用を行っている機関がある一方で、見ますと、どうも開店休業ではないかと思われるファンドなども散見されます。もちろん関係者は努力をされていることとは思いますが、設立からの期間、あるいはこれまでの成果などを勘案して、組織の存廃を含めた検討というのもそろそろ必要になってくるのかなというふうに感じておりますが、財投当局としては、そのあたりをどう見ていらっしゃるのか、その点をお伺いしたいと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕今、質問が1つありましたが、それは後で答えていただくことにして、中里委員、お願いします。

〔中里委員〕手短に申し上げます。先日、日銀の「展望レポート」の見せ方が変わって、それが少し話題になりましたが、今回、財投の政策コスト分析についても見せ方が非常に工夫がされてさらによくなったと思います。

それを踏まえて申し上げたいことはこういうことです。政策コストが今年マイナスになったとありますが、これは見え方としてそうなっているということであって、機会費用が大きくずれると、つまりここだと金利が100ベース上方移動すると、非常に大きく増えてしまうわけです。

そうすると、このマイナスコストということの意味をきちんと誤解されないように説明していくこと、もう少し言うと、冨田委員がお話しになられたように、実質コストは増えている、もちろんその是非はいろいろあると思うのですが、そのことをきちんと丁寧に説明しておく必要があると思います。

それからもう1つは、費用便益はケースの見せ方が難しいのですが、今、財投の15兆円のうち5兆円は社会資本ですので、見せ方についていろいろ工夫は必要だと思うのですが、費用便益についてもやはりきちんと、より見えやすいようにしていくとよいかと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕今の政策コストは外挿しているだけですからね。

江川さん。はい。

〔江川委員〕手短に申し上げます。これから来年度の予算編成に入っていくと思うのですが、今回1-1の全体の運用状況を拝見して、産業投資というのがやはり徐々に増えてきているのが印象に残りました。

産業投資に関しては、この場でも何度も議論しているのですが、もちろんイノベーションとか、地方創生だとか、重要な政策意義はあるとはいえ、やはり非常に難しい、構造的に政策コストが高いものではないかと思います。

というのは、もともと民業補完ということなので、より長期、よりリスクの高い難しいプロジェクトに充てなくてはなりません。でもやはり税金を使っているから損失が出せませんということで、非常にナローパスというか、ターゲットゾーンがすごく狭い上に、やはりきちんと一つ一つの機構をつくって、そこに人も張りつけて、チェック体制もつくってということになるので、構造的にコストが大きくなってしまうということを感じます。

ですから全体としてそういう政策を推進するのに、必ずしもベストなやり方とは思えないケースもあるのではないかというのが1点です。

それから2つ目は、昨年こちらの分科会の関係でイノベーションをテーマにアメリカに視察に行かせていただいて、中央政府、公的な機関、あるいは地方政府がどういう形でイノベーションをサポートしているかということをいろいろ視察した中で感じたのは、個別のプロジェクトにお金をつけるよりも、その環境をつくっていく、例えば起業家のための教育だとか、ネットワークをつくるための支援だとか、そういうことにかなりお金を使っているということです。それでその方が効果的だというお話も聞いたので、ここでの議論の範疇を超えることではありますが、環境を整えることの重要性も念頭に置いて政策を考えていただければと思います。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それで、先ほどの林田さんからの質問にお答えいただいて。

〔冨安財政投融資総括課長〕小枝委員から、最初に財投の計画全体の残高が減ってきているという話がございましたので、まず小枝委員にお答えいたします。

まず、今のスタンスは基本的に真に必要な事業があれば、それに対して内容を精査の上財投を措置するというスタンスに立っております。

それで、大きく残高の減少を招いた2つのエポックがあったと思っております。まずは、財投改革の結果、それまで義務預託であった郵貯・年金につきまして義務預託から外しましたことによるものでございます。それは要するに資金が集まってくる分を運用しなければいけないというような相対的に効率的でない運用も生じさせるのではないかという懸念もございましたので、義務預託を外すことで、残高は減少してきたということでございます。次に、資産債務改革等に沿って財政融資資金の貸付金の規模を減らしていきなさいと、国の資産規模を対GDP比で半減しなさいという話もございまして、なるべく対象事業を精査して重点化してきたというような過去の経緯がございます。

今のスタンスといたしましては、もちろん審議会の皆様にお諮りした上でございますが、基本的には資金需要に対して的確に財投を措置することとしております。

それから官民ファンドにつきましては、大変貴重なご指摘をいただきまして、ありがとうございます。運用が進んでいないというのは、殊の外、案件の組成がやはりそれなりにそう容易ではない、あるいはきちんと見ていかなければいけないものを対象としているということだと思います。

過去、研究開発機関などに出資をして、それが財投改革の前後くらいにいろいろと焦げついたというような話もございます。そういった過去の失敗なども、肝に銘じながら、今度は官民ファンドという形で民間の知恵を入れてということで行わせていただいております。

そういう意味では、案件組成が進めばぐっと事業も増えてくると思いますので、今のスタンスでは当初計画では、ある程度予想される枠は確保した上で、案件の組成にしっかり取り組んでくださいということで、行わせていただいているのかなと思っております。

あと、いろいろと機関があるのではないかということでございます。官民ファンドの検証というのは内閣官房も含めて行っておりますし、引き続きそれは行っていかなければいけないと思いますし、我々といたしましても、案件組成をしっかりと行ってくださいという時期だと思いますが、ただ、ご指摘は貴重なご意見として承りたいと思っております。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。時間が足らなくなってしまいまして、まだまだ議論がおありのようですが、追加のご意見・ご質問等につきましては事務局にお寄せいただくということにして、予定の時間を過ぎましたので、本日の会合についてはこれで終了とさせていただきたいと思います。

どうも、お忙しいところをご参集いただきまして、まことにありがとうございました。

それで、本日の議事内容につきましては、この後事務局より記者レクを行います。議事録等につきましては、後日、財務省ホームページに掲載する予定としておりますので、ご了承をお願いいたします。

それでは、どうもありがとうございました。

11時13分閉会