財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録
財政制度等審議会 財政投融資分科会議事次第
平成28年12月21日(水)9:32~11:16
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
1.開会
2.大塚財務副大臣、三木財務大臣政務官挨拶
3.議案説明
- (議案第1号)平成29年度財政投融資計画
- (議案第2号)平成29年度財政融資資金運用計画
- (議案第3号)平成29年度の財政融資資金の融通条件
- 質疑・応答
4.閉会
議案 | |
議案第1号 | 平成29年度財政投融資計画 |
議案第2号 | 平成29年度財政融資資金運用計画 |
議案第3号 | 平成29年度の財政融資資金の融通条件 |
議案関係説明資料 | |
補足説明資料 | |
参考 | |
平成29年度財政投融資計画の機関別概要 | |
平成29年度財政投融資計画の機関別事業計画・資金計画 |
出席者(敬称略)
分科会長 | 冨田俊基 | 大塚財務副大臣 三木財務大臣政務官 佐川理財局長 北村理財局次長 中村総務課長 井口財政投融資総括課長 木㔟管理課長 深澤計画官 花尻計画官 郷財政投融資企画官 勝俣資金企画室長 | |
委員 | 川村雄介 土居丈朗 | ||
臨時委員 | 池尾和人 林田晃雄 | ||
専門委員 | 佐々木百合 中島厚志 沼尾波子 原田喜美枝 |
〔冨田分科会長〕ただいまから、財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。
本日は、大塚副大臣、三木大臣政務官にご出席をいただいております。開催に当たり、ご挨拶を頂戴したいと思います。
最初に、大塚副大臣からご挨拶をお願いいたします。
〔大塚財務副大臣〕おはようございます。年末のお忙しい中、先生方にはまたお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、平成29年度の財政投融資計画案についてご審議をいただくことになっております。本年秋より、委員の皆様から編成過程において活発なご議論の中で多くの貴重なご意見を賜り、それらのご意見を踏まえて審査を進めてまいりました。
詳細につきましては、後ほど、事務方よりご説明させていただきますが、平成29年度財政投融資計画案は、現下の低金利環境を生かし、リニア中央新幹線の全線開業前倒しを図るほか、インフラの海外展開支援をはじめとする成長戦略の着実な実行や、地域活性化に向け、長期のリスクマネーを積極的に供給するものとなっております。
その結果、財投計画の規模は約15兆1,000億円と、当初計画では4年ぶりの増加となっているものの、真に必要な資金需要に適切に対応するため、過去の実績を踏まえ、東日本大震災の対応等について財投規模を縮減するなど、メリハリをつけたものとなっていると考えております。
委員の皆様におかれましては忌憚のないご意見を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。
〔冨田分科会長〕ありがとうございました。
続きまして、三木大臣政務官、お願いいたします。
〔三木財務大臣政務官〕おはようございます。財務大臣政務官の三木亨でございます。本日は、年末のお忙しい中、ご出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
本日は、平成29年度財政投融資計画案についてご審議をいただきますけれども、本年秋より委員の皆様方から多くの貴重なご意見を賜りまして、ようやく本日を迎えることができました。この場をかりて厚く御礼申し上げます。
平成29年度財政投融資計画案のとりまとめに当たっての考え方については、大塚副大臣よりただいまご説明がございました。また、本日は、本年秋の分科会以降にとりまとめられました農業競争力強化支援法、仮称でございますけれども、これに基づく農林漁業成長産業化支援機構等の出融資制度の創設、また、日本学生支援機構の無利子奨学金への財投活用などについてご審議いただくほか、交付税特会への短期貸付けに係る償還計画の変更についてご説明する予定となっております。
委員の皆様におかれましては、本日もご忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げますとともに、引き続き一層のご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
〔冨田分科会長〕ありがとうございました。それでは、議事に移ります。
本日の議題は、平成29年度財政投融資計画等の3案をご審議いただきます。本日は、秋以降、新たな制度改正がとりまとめられました農林漁業成長産業化支援機構、日本学生支援機構の主務省庁であります農林水産省及び文部科学省、また、財投計画には計上されておりませんが、交付税及び譲与税配付金特別会計の主務省庁であります総務省をお呼びしておりますので、審議にかかります質疑にご参加いただきます。
(農林水産省、文部科学省、総務省 着席)
〔冨田分科会長〕それでは、初めに、平成29年度財政投融資計画等、3案について、井口財政投融資総括課長に説明をお願いいたします。
〔井口財政投融資総括課長〕本日は、年末のご多忙のところ、お集まりいただきありがとうございます。分科会長からご説明ありましたとおり、本日お諮りする議案は全部で3つです。
まず、左側の「議案」と書かれた紙の下に、議案第1号としまして「平成29年度財政投融資計画案」、議案第2号といたしまして、財政投融資計画に包含されていますが、「平成29年度財政融資資金運用計画」、第3号議案といたしまして「平成29年度財政融資資金の融通条件」があります。これらにつきましては、「議案関係説明資料」と書かせていただいた下に置いてあります資料を用いまして、私から概括的な説明をします。
また、三木大臣政務官のご挨拶の中にもありましたように、秋の分科会以降にとりまとめられました案件を含め、各機関の論点につきましては、深澤、花尻両計画官の説明の中でご説明します。
まず、議案第1号、第2号関係です。説明資料の後ろにあります「財政投融資計画のポイント(案)」と参考資料を用いてご説明します。
なお、お手元の資料、右肩に「会議後回収」となっていますが、これは明日予定しています閣議後に改めて計数の確定した資料を送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。
最初に、「平成29年度財政投融資計画のポイント(案)」です。大塚副大臣から編成の考え方につきまして説明しておりますが、上段の枠内に、平成29年度財政投融資計画編成に当たっての基本的な考え方をとりまとめています。
まず1点目としましては、「日本経済の成長力を更に高める観点から、現下の低金利環境を活かし、リニア中央新幹線の全線開業前倒しを図るほか、インフラの海外展開支援をはじめとする成長戦略の着実な実行や地域活性化に向け、長期のリスクマネーを積極的に供給」することとしたいと考えています。特に産業投資につきましては、28年度当初計画は2,973億円でございましたが、29年度計画案では3,792億円と前年度比819億円増を計上したいと考えており、これは当初計画といたしましては、26年度の3,172億円を上回った過去最高の規模となっています。
参考資料の下に「平成29年度財政投融資計画(案)の概要」と書かれました計数表がありますが、この2枚目に「産業投資(案)の概要」をつけさせていただいています。3,792億円の内訳を機関ごとに掲げています。
また、ポイントに戻りまして、2点目ですが、財投改革以来のスリム化、重点化の流れに沿いまして、「真に必要な資金需要に適切に対応するため、過去の実績を踏まえ、東日本大震災への対応等について財投規模を縮減」としています。これにより、必要となる政策分野には重点的に対応しつつ、過年度の実績を財政投融資計画に適切に反映させることで、メリハリのついた計画にすることを考えています。これらの結果、29年度計画案は、28年度当初計画13兆4,811億円に対しまして1兆6,471億円、12.2%増の15兆1,282億円となっています。
右下の棒グラフをご覧ください。当初計画ベースで前年度より増加するのは、25年度計画以来4年ぶりで、29年度の計画総額15.1兆円は28、27年度を上回っているものの、26年度の当初計画額16兆1,800億円を1兆円程度下回った水準となっています。
次に、左下の表をご覧ください。政策分野ごとに、主な機関の計画額の案を記載しています。
「1.リニア中央新幹線の全線開業前倒し等」につきましては、平成28年度の2次補正に続きまして、鉄道建設・運輸施設整備支援機構によるリニア中央新幹線向け貸付など1兆5,294億円を計上しています。
「2.国際展開戦略推進」につきましては、JBIC、JICA等により、全体として前年度から4,560億円増加した2兆4,440億円を計上しています。
一方、「3.地域活性化支援」ですが、過去の実績を反映しまして、日本政策金融公庫の危機対応円滑化業務の縮小等によりまして、全体として5,228億円減少した4兆9,207億円を計上しています。
「4.教育・福祉・医療」につきましては、28年度から2,192億円減少しました1兆2,197億円を計上していますが、これにつきましては、日本学生支援機構における対象奨学生の減少や回収金などの自己資金の増、及び、福祉医療機構の事業規模の見直し等を反映したものになっています。
「5.地方」につきましては、地方交付税の財源不足に伴う臨時財政対策債の増加等によりまして地方債計画の総額が増加したことにより、財政融資資金による地方債の引受け額も増加したことを反映していまして、前年度795億円増の3兆4,730億円となっています。
「6.その他機関」につきましても、日本高速道路保有・債務返済機構における既存債務の借換えのための政府保証が前年度から4,290億円増加していまして、これにより、全体として、前年度から3,684億円増加しています。これが29年度計画の全体像です。
この資料の2枚目をご覧いただきますと、29年度財政投融資計画の主な施策を分野ごとに記載しています。先ほど申しました両計画官から改めてご説明しますが、機関ごとにとりまとめました「平成29年度財政投融資計画参考資料」とともに簡潔にご説明します。
参考資料の1ページですが、リニア中央新幹線の全線開業前倒し等に関して、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構については、このリニア中央新幹線の貸付けに加えて、民鉄線事業、船舶共有建造事業や、産業投資に計上しています地域公共交通等への出資と合わせまして、全体として対前年度1兆4,852億円増の1兆5,294億円を計上することとしています。
続いて、「2.国際展開戦略推進」につきましては、参考ページの2ページ目から8ページ目にかけて、JBIC、JICA、JOIN、JICT、クールジャパン機構、JOGMEC等に対し総額2兆4,440億円、うち、産業投資2,419億円を計上しています。これにつきましては、後ほど計画官から詳細についてご説明します。
続きまして、「3.地域活性化支援」につきましては、(1)日本政策金融公庫について、参考資料の11ページに国民一般向け、中小企業者向け業務を載せていますが、「中小企業・小規模事業者の資金繰りに十分配慮するとともに、創業・事業再生やインバウンド需要の獲得等の地域活性化に資する取組を支援するため、必要な事業規模及び財政投融資を確保」しており、これについては、過去の実績を踏まえ、国民部門につきましては28年度から960億円減少した1兆9,380億円、中小部門についても、28年度から1,210億円減少した1兆1,190億円を計上することとしています。
また、参考資料12ページの農林水産業者向け業務におきましては、「農林漁業の持続的かつ健全な発展等の取組に加え、『農林水産業・地域の活力創造プラン』を踏まえました『農業競争力強化支援法(仮称)』に基づき、事業再編を通じ、農業資材事業者等が生産性向上を図るための取組に必要な融資制度を創設」しますが、全体としましては、28年度から140億円減少しました2,350億円を計上しています。
日本政策金融公庫全体の規模につきましては、過年度の実績を勘案いたしまして、危機対応円滑化業務、特定事業等促進円滑化業務について、合わせて3,250億円を減少いたしますので、28年度から5,560億円減少した3兆6,140億円を計上したいと思っています。
次に、日本政策投資銀行につきましては、参考資料の13ページですが、事業規模は前年度より増加しているものの、分科会での議論を踏まえ、その財源は政投銀の自己調達により賄うこととし、財政投融資については前年度と同額としています。
また、商工組合中央金庫は参考資料16ページですが、産業投資を活用した3つの貸付制度を実施しています。特に、昨年創設した地場産品などの地域資源を活用する組合・企業連携体の取組を支援する「地域連携支援貸付制度」のほか、「グローバルニッチトップ支援貸付制度」、「地域中核企業支援貸付制度」について、財政投融資、これは産投貸付けですが、28年度比10億円増の240億円を計上することとしたいと考えております。
次に、農林漁業成長産業化支援機構、通称A-FIVEについては、参考資料18ページですが、先ほど、公庫の農林部門でもご説明した農林漁業の6次産業化の推進について、従来やっていましたものに加え、「農業競争力強化支援法(仮称)」に基づく取組について、必要な出融資規模を確保しています。詳細につきましては、後ほど深澤計画官からご説明します。
主な施策「4.教育・福祉・医療」につきましては、日本学生支援機構について、参考資料21ページですが、財政投融資は対前年度から941億円減の7,003億円となっていますが、編成上の論点以後の進展について、花尻計画官から補足説明をします。
最後に、右下の「5.地方」ですが、地方公共団体については、参考資料24ページですが、地方交付税の財源不足に伴う臨時財政対策債の増加等によりまして、29年度地方債計画の総額が増えています。財政融資資金分について、28年度比345億円増の2兆8,680億円となっています。財政融資資金の地方債引受割合については、昨年度より若干引き下げており、同じ公的資金となる地方公共団体金融機構についても同様となっています。
29年度財政投融資計画案の概要につきましては、以上です。
続きまして、議案第3号関係として、平成29年度財政融資資金の融通条件の主な改定についてご説明します。資料(2)「議案第3号関係」とある資料をめくり、「平成29年度財政融資資金の融通条件の主な改定について」があります。
1点目は、独立行政法人国際協力機構(JICA)につきまして、海外インフラ支援に伴います超長期の資金需要に対応するため、従来からの25年元金均等償還等に加えまして、20年満期一括償還を追加するものです。
2点目、日本私立学校振興・共済事業団につきましては、東日本大震災対応の際と同様の措置といたしまして、熊本地震対応のため、災害復旧融資に係る25年元金均等償還を新たに追加するものです。
私からは以上です。
〔冨田分科会長〕ありがとうございました。
続きまして、深澤計画官より補足説明をお願いいたします。
〔深澤計画官〕おはようございます。私からは、当分科会におきましてご議論、ご指摘いただいた8機関について補足説明します。資料については、「平成29年度財政投融資計画参考資料」にお戻りください。これと補足説明資料1を使いましてご説明します。
まず、参考資料の表紙をおめくりいただいて、1ページ目、鉄道建設・運輸施設整備支援機構です。リニア中央新幹線の全線開業前倒しのための貸付けについては、28年度補正と29年度当初で1.5兆円ずつ、計3兆円という多額の、しかも超長期の融資でありますので、11月11日の分科会におきまして、貸付け後のモニタリング体制の整備や、貸し手として進捗状況のチェックを適切に行っていくようご指摘いただいたところであります。
この鉄道・運輸機構のモニタリング体制につきましては、日本政策投資銀行からの出向者を加えて体制を整えるとともに、鉄道・運輸機構において貸付け後も定期的にモニタリングをし、適切に債権管理を行っていく態勢を維持することを改めて確認しています。
また、理財局としましても、貸し手としてしっかりとチェックをしていくために、国交省及び鉄道・運輸機構から工事の進捗、モニタリング結果等について随時報告を受けまして、状況を把握、確認し、引き続き償還確実性の確保に努めることとしています。
続きまして、2ページ目のJBIC、国際協力銀行です。10月26日の分科会におきまして、JBICがインフラ海外展開支援のさらなる推進を行うに当たりまして、一般業務勘定及び、今年10月に業務を開始した特別業務勘定の事業規模及び財務基盤等のあり方やJBICの外貨調達構造のあり方についてさまざまなご意見をいただいています。
まず、事業規模及び財務基盤の問題につきましては、特別業務勘定について、29年度の事業規模3,000億円をベースとして、財務基盤強化を図るために、要求時点では産業投資1,160億円の要求をいただいています。これに対しまして29年度編成におきましては、特別業務勘定の当初3年分のリスクバッファーとして、産業投資330億円を措置した28年度編成の考え方を基本的には踏襲することとしています。
具体的には、JBICの財務の健全性確保の観点から、一定の前提条件のもとで、今後想定されるインフラプロジェクトの見込みを立て、融資、出資、保証といった金融支援の性質に応じて、バーゼル委員会で定められるリスクウエートを乗じた、いわゆるリスク加重資産ベースで見た30年度までの向こう2年間に必要な追加資本として485億円を措置しています。これと一般業務勘定で実施を予定していますアフリカ向けの投資支援やアジア債券市場育成支援といった特定の政策目的に応じた投融資に必要なリスクバッファー等としまして365億円、これら合わせて、全体で産業投資850億円を措置することとしています。
また、JBICの外貨調達のあり方につきましては、要求ベースで1兆円となっていた外為特会からの借入金を3,400億円とし、減額した6,600億円を短期の政府保証外債による外貨調達に切りかえることとしています。さらに、財投で措置する政府保証外債及び財政融資により、従来よりも調達の長期化を図ることとしています。
次に、資料の4ページにありますJOIN、海外交通・都市開発事業支援機構です。11月11日の分科会におきましては、過去の産投の執行率が低い一方で、29年度は要求額が大幅に増加しているという状況で、計画どおりに実績を出せる額であるかどうかということ、また、JOINが出資を実行するに当たって、きちんと民間出資を見込むべきではないかといったご指摘をいただいています。
それらを踏まえまして、まず、29年度に出資が見込まれる案件か否か、事業スケジュールを確認しまして、29年度に真に必要だと考えられる出資規模について要求側と議論を重ねるとともに、官民ファンドであるJOINはあくまでも民間企業の海外展開を支援する機関であることに鑑み、相応の民間出資を見込むこととし、要求額の精査を行っています。この結果、要求時点では財投規模1,800億円余りでしたが、それから700億円余り減少させて、財投計画額としましては、ここに書いてあります1,137億円の計上としています。
次に、6ページ目をご覧いただきたいと思います。クールジャパン機構、海外需要開拓支援機構です。11月11日の分科会におきまして、28年度計画額に比して要求が大きく増えていること、その要因や長期収益性の観点から、機構のポートフォリオ・マネジメントをどう考えるかといった論点についてご議論いただいています。
29年度計画におきましては、明日の日本を支える観光ビジョンやアジア健康構想に向けた基本方針などの政府の方針を踏まえまして、クールジャパン機構としましても、インバウンド分野やヘルスケア分野について支援を行うとしているためですけれども、これらにつきまして、真に必要と考えられる出資規模について精査し、観光活性化ファンドへの出資等、政府方針を踏まえて、重要と認められる事業が実施可能な規模を確保しています。この結果、210億円の産業投資を措置することとしています。
機構の長期収益性に係るポートフォリオ・マネジメントについては、今後、機構において、産業分野、地域のリスク分散等を図っていただくということですが、具体的には、これまでゼロから案件をつくっていくといった案件がほとんどであったのですけれども、今後は、既にキャッシュフローが生じている企業への出資やメザニンファイナンス等も検討していただくことが予定されています。
続きまして、資料の8ページ、JOGMECです。10月19日の分科会におきまして、JOGMECの財投計画額につきまして、民間企業の投資動向等を踏まえた要求となっているかどうか、これまで毎年多額の運用残が発生している状況についてどう分析しているかといった論点についてご議論がありました。民間企業の投資動向につきましては、JOGMECが29年度に実施予定の案件について、共同出資が予定されている民間企業の経営方針や中期計画等を確認しまして、各案件に対する企業の方針等を踏まえて、執行確度が高いと考えられる案件を見込んで計画額に反映させています。
また、来年度は多額の運用残が発生しないよう、相手国政府との調整が進まないおそれがある等、過去の運用残要因と同様の状況が発生する懸念がある案件については見込まないといった対応を行いました結果、対前年度計画比で39億円の減になり、530億円を措置しています。
続きまして、13ページです。DBJ、日本政策投資銀行です。10月19日の分科会におきまして、自己調達の引き上げに努力すべきではないかということ、リスクマネーを供給する特定投資業務の評価といった点につきましてご議論をいただいています。
自己調達の問題につきましては、先ほど井口課長から説明のあったところでありますが、具体的には、財投機関債の発行予定額を従来の4,000億円から1,000億円増額するなど、自己調達に努めていただくということにしています。
また、特定投資業務につきましては、分科会のご指摘を踏まえて、DBJが安易に民間金融機関などでも対応できるような案件に参画しないことを確保するために、特定投資業務規程などを変更していただき、DBJが民間金融機関の質的補完の役割を果たすよう、投資要件を明確化することとしているところです。この特定投資業務の原資としましては、産業投資500億円、前年同額を措置しています。
最後に、官民ファンドであるA-FIVEと、日本政策金融公庫の農林水産業者向け業務の2機関に関する制度改正等についてご説明します。別とじになっています、資料が2つ飛びますが、(補足説明資料1)をご覧いただきたいと思います。
この2機関につきましては、29年度から新規の業務として、農業資材メーカー等が事業再編を通じて資材価格の引き下げ等を行うことにより、農業競争力強化の支援を行う取組みのための出融資業務を行うこととしています。
1ページ目をご覧いただきたいのですけれども、まず、その政策的背景から申し上げますと、資料左側の欄にありますとおり、これまで規制改革推進会議等の場におきまして議論されてきましたが、農業の持続的発展を図るためには、農業所得の向上が必要とされています。しかし、日本の農業の現状としましては、肥料、農薬といった農業資材の価格が高い、農産物の流通・加工構造が複雑で効率性が低いといった状況にあり、これらは農業者による努力のみでは解決できない問題であります。
そこで、資料中央の欄にありますとおり、生産者の所得向上につながる生産資材価格の形成の仕組みを見直すとともに、生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立に向けて取組むこととされています。
例えば、配合飼料でありますと、メーカーが乱立状態で過剰供給構造にありますけれども、数多くの銘柄を少量ずつ生産していることから価格が高止まっている状況と認識しています。また、流通・加工業界におきましては、例えば、米の卸売業界では中小規模の企業が乱立する過当競争となっており、利益率が低いと言われています。こうした問題に対しまして、農業生産資材、農産物流通・加工業界の再編を行うことにより、生産資材のコストが削減されるとともに、農産物が少しでも高く販売できる環境が整備され、農業者の所得が向上し、農業の競争力が強化されることを期待しています。これらの事業再編に当たりまして、A-FIVEからの出資と日本公庫からの融資により支援することとしています。続いて、2ページをご覧いただきたいと思います。こちらは、A-FIVEにおける出資業務の概要でありますが、出資対象業種は、資料中段右側にありますとおり、青いところでありますけれども、農業資材関連などであれば、肥料、農薬等々であります。また、食品加工・流通であれば右側の赤いところでありますけれども、卸売、食品加工等々を想定しています。
出資に際して、A-FIVEの出資割合につきましては、6次産業化と同様、民間出資の呼び水となるよう、原則として50%以下とすることとしています。29年度においては、この事業再編等の出資のため、産業投資80億円を措置することとしていまして、資料中段の左側の表にありますとおり、6次産業化とあわせて、A-FIVE全体で産業投資130億円を措置することとしています。
1枚おめくりいただきまして、資料の3ページをご覧いただきたいと思いますが、日本公庫の融資業務の概要です。A-FIVEの出資と同様、農業競争力強化支援法(仮称)に基づき、主務大臣の認定を受けた事業者に対して日本公庫が融資を行うことができることとし、29年度の貸付け規模については80億円を想定しているところです。
資料の4ページ以降、参考資料を添付していますけれども、8ページ目及び9ページ目に、A-FIVEによる出資事業のモデルを図示しています。9ページ目にありますけれども、会社が合併して、古い工場を除却して、新たな生産設備に投資し、生産性、効率性の向上を図るのが典型例と考えています。
その他の資料については、時間の関係上、説明は割愛します。私からの説明は以上です。ありがとうございました。
〔冨田分科会長〕ありがとうございました。
続きまして、花尻計画官より補足説明をお願いいたします。
〔花尻計画官〕おはようございます。花尻です。引き続きまして私からは、分科会でご審議いただいた学生支援機構及び地方向けの財投につき補足申し上げます。
まず、深澤計画官の説明に用いました同じ資料、「29年度財政投融資計画参考資料」、横の二十数ページの紙ですが、その21ページをお開きください。
学生支援機構に関しましては10月の分科会でご議論いただき、所得連動返還型の制度に関して、貸与された奨学金がきちんと回収されることが重要である、そうした観点からシミュレーション、検討を行うべきである。また、無利子、有利子を問わず、貸与型の奨学金に関して、将来返済する、借りるお金としての意識を一層高めるよう、書類への記載も含め周知の強化、金融リテラシーを高める取組みが必要、といったことをはじめ、さまざまなご指摘をいただいています。ありがとうございました。ご指摘いただきました点は、要求省との議論で提起申し上げ、そうした取組みを進めていただく旨、確認しているところです。
また、左側の表をご覧いただきたいのですが、有利子奨学金の財投規模のところですが、少子化、及び近年の無利子奨学金へのシフト拡充の
なお、編成過程で現行の有利子奨学金に加え、新たに無利子奨学金の貸与財源として財政融資資金を活用することとなりました。この点、別の資料で説明申し上げます。今ご覧になっている資料を横に置いたまま、(補足説明資料2)の表紙をおめくりいただき、図をご覧ください。
無利子奨学金の拡充、具体的には、「低所得世帯の子供向けの成績基準の緩和」及び「残存適格者の早期解消」です。これは現在のところ、財融資金を財源とする有利子奨学金の対象者です。現時点においては無利子奨学金が貸与されない方々ですので、そうなっています。ここに、一般会計から利子補給を行うことで無利子化を行い、無利子奨学金とすることとなりました。これが、「今後」という右側の図です。
なお、当該措置は一般会計の財源状況を踏まえた過渡的な措置です。返還金の増等で一般会計の財源状況が好転した時点で、従来の貸与財源である一般会計に戻っていくまでの、それまでの間の過渡的な措置との位置づけです。
規模に関しましては、先ほど、横に置いていただいた資料の29年度計画の人数のところ、3.6万人、大体低所得の方のところが1.6万人、それから、残存適格者の方々のところが2万人程度と見込んでいるところです。
以上の制度変更が財投の規模へどういう影響を及ぼすかということですが、先ほど説明致した、横に置いていただいている21ページの右側の図にありますとおり、これは文部科学省さんの資料を拝借していますが、在学時の奨学金は民間借り入れ等で機構が調達しています。これが左側の在学中のところです。財融の貸付けというのは、奨学生のご卒業時に始まりますため、影響が及ぶのは後年度、4年制の大学であれば4年目ということで、29年度への影響はありません。
また、元来、有利子奨学金として貸し出されている部分に利子補給が行われて無利子奨学金となりますため、財投の役割が有利子から無利子にスイッチするところが基本でして、後年度における総額の変化も、当然、無利子奨学金、有利子奨学金の併用という部分、あり得ますが、財政融資資金の規模への影響は限定的か、と考えているところです。
なお、本日は文部科学省より質疑応答のため、お越しいただいております。
以上が学生支援機構に係る補足です。
次に、同じ財政投融資計画参考資料の24ページをお開きください。地方公共団体向けの財融に関しましては、同じく10月の分科会で、臨時財政対策債は財政力が強い団体により多く配分されるところ、民間資金を増やす余力があり、民間金融機関にとってもメリットがあるのではないか、また、当分科会の前段階の事柄ではあるがということで、財政支出の効率化、歳出の抑制、削減を通じた臨時財政対策債発行額の抑制が必要ではないか等のご指摘をいただいているところです。ご指摘ありがとうございました。
決着いたしました地財対策を踏まえた上で、地方債の引受けについて議論を重ねました。臨時財政対策債の金額は前年度比で2,572億円増加し、4兆452億円となり、これを受けて、財政融資資金における引受けの割合を24.0%と前年度の24.5%より0.5%引き下げましたが、引受け金額は9,708億円ということで、前年度比で409億円の増となっています。
なお、臨時財政対策債、それ以外の地方債ともに、財政融資資金、地方公共団体金融機構資金の双方について引受け割合は低下し、その分、民間等資金の割合が総額ベースで1.2%ほど増加しているところです。
最後に、地方向け財投に関わる事柄として、ご報告を申し上げます。(補足説明資料3)のページをおめくりください。「平成29年度地方財政対策のポイント」です。まず、地方向け財投の前提となる地財対策につき若干申し上げます。引き続き、地方一般財源の総額は前年度と実質的に同水準を確保するとの方針がある中、項目2の2つ目の○ですが、平成29年度は平成28年度編成で地方交付税交付金の大きな財源、約1.3兆円となっていました前年度繰越金が剥落し、財源が不足している状況でした。かかる状況のもと、リーマンショック後に設けられた歳出特別枠の減額による歳出適正化等と併せ、交付税交付金等の増額等による歳入確保策が講じられています。この主計局の資料には明記されておりませんが、この「等」の中には、私ども理財局に関係するものが2点あります。
1つは、地方公共団体金融機構の管理勘定にある金利変動準備金の活用、もう一つは、交付税特会の借入金償還計画の見直しです。1点目の機構準備金の活用は、地方公共団体金融機構から国庫納付していただくための資金繰り、調達が必要になりますので、間接的に29年度財投計画における地方公共団体金融機構の借入れに付している政府保証、この金額につながっているところです。
2点目、交付税特会の借入金償還計画の見直しにつきましては当該借入金は短期でして、平成29年度財投計画に直接表れるのではありません。しかしながら、毎年度、同特会に対する年度越しの短期貸付につき、別途、年度末の前にご意見を伺っているため、本日、補足説明を行うものです。
ページを1枚おめくりいただき、「交付税及び譲与税配付金特別会計借入金残高の推移」をご覧ください。交付税特会の借入金につきましては、これまでもさまざまな経緯がありましたが、平成23年度から現行の償還計画に基づく償還が始まり、足許の平成28年度までは着実に償還が進んでいたところです。しかしながら、平成29年度は、先ほど申し述べたとおり、前年度繰越金を財源として活用できない中、消費税率引き上げの延期に伴って、見込まれていた引き上げ分の地方交付税原資等も得られなくなる状況を踏まえ、交付税特会の償還計画を見直すこととされました。
具体的な見直しの姿につきまして、もう1ページおめくりいただき、「交付税及び譲与税配付金特別会計の償還計画の変更」をご覧ください。平成29年度から平成31年度までの3年間は平成28年度と同額の4,000億円とし、それ以降の年度において段階的に増額していくよう償還計画を見直すこととされました。上の段が現行、下の段が変更案です。今回の償還計画の見直しは、地方財政の規律を保持する観点からの特会借入金の償還と地方交付税総額の確保との両立を図ったものとのことであり、本日は総務省に質疑応答のため、お越しいただいています。
なお、償還財源である交付税原資については、平成32年度以降、消費税率引き上げに伴う消費税に係る地方交付税法定率分の増や地方法人課税の偏在是正に伴う地方法人税の増が見込まれるところであり、すなわち、交付税財源が確保されれば、今回の償還計画に基づき着実に償還していくことが可能ではないかとのお考えであると聞いています。
貸し手である財投の立場といたしましては、償還計画のとおりに残高を減らしていただくこと、これが大原則です。が、この償還計画の見直しは地財対策の折衝の中で定まった事柄であり、特別会計法の附則の改正、法律改正という形で来年の通常国会で立法府にお諮りし、審議、議決もいただくこととされている次第です。正式に手続を踏んでいく事柄ではありますが、中身についてどう考えるべきかという論点はあろうかと存じます。
私からは以上です。ありがとうございました。
〔冨田分科会長〕ありがとうございました。それでは、以上の説明につきまして、ご意見、ご質問等ございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
土居委員、どうぞ。
〔土居委員〕4点ほどありまして、一つ一つ申し上げたいのですけれども、まず、事務局に質問させていただきたいのですが、産業投資が過去最高の規模になるというご説明でした。私も、この分科会の中で、過去、私が記憶している限り、2回同じ質問をして、今度、3回目の質問なのですが、産業投資の原資がNTT株式の配当や、あとJBICなどからの国庫納付などそういうものであることはよく理解しているのですけれども、だんだん産業投資の元手も限りがあるということが、これまで過去の年度でもご説明があったのですが、過去最高の規模の産投を出せるということが、これまでの説明とどう整合的になるのかということを改めて、今年は今年の都合があると思うので、どういう形で、その財源を確保されたのかということをご説明いただきたいのが1つであります。
2点目は、これは財投計画全体のことなのですけれども、確かにメリハリをつけるということで、非常にご尽力されたことに対しては敬意を表したいと思います。ただ、評価ということで言うと、何かと、国民の財投に対する見方がやや一方的といいましょうか、規模が減ればそれでいいと、金額が減れば効率的にできているという見方に、どうもそれで評価軸が定まっているみたいなところがあって、もうそろそろ、規模が減ったからいいでしょうという、そういう時代には財投はもうないのではないかと。つまり、規模だけではなくて、質といいましょうか、量だけではなくて質と。財投でこういうことをやっているということで、どういう政策効果が上がっているかとか、そういうことでメリハリをつけていると。財投計画の段階で、当然成果を期待して出融資するのだけれども、必ずしも想定どおりにならなかったものが一部あるということになるかもしれないけれども、とりあえず物は試しで出してみようという面があることは承知はしているのですけれども、ただ、規模を減らしたということで、スリム化をしているということで財投は健全に運営していますという説明の仕方には、もうそろそろ限界が来ていて、規模が減ったからいいというだけではなくて、規模は増えたけれども、なぜこういう財政投融資で出すことにしたのかということを、もっとしっかり説明をしていただく必要があるのかなと。今ここで説明するというわけではなくて、今後、国民に対して、財投の位置づけというものはどういうものなのかということをしっかり説明を続けていただくことが必要で、それとあわせて、インフラ整備に関連するところで、今回、リニア中央新幹線の話もありますけれども、建設国債と財投債の違いというものも、広く国民ないしは与党の議員の先生方にもしっかり理解していただくことが大事かなと思います。
つまり、建設国債はインフラの整備に充てられるわけですけれども、基本的には返済財源は税金であると。一般会計の中で財源を賄うことになっているわけですけれども、ご承知のように、財投債は事業収入をベースにして返済していただくことになるので、ある種の応益負担といいましょうか、その事業が成り立った後で、便益をお受けになる方からいただく料金収入とかで返済するということなので、やはり建設国債に比べると応益負担の徹底ができているものだと思いますので、この2つの違いをしっかり踏まえていただいて、インフラ整備のために財源を確保することが必要だと思います。
3点目は、簡単にいたしますけれども、参考資料であります。横長の参考資料ですね。これは、大変よくできていると思っていまして、試しに過去のも、今、つらつらと見てみまして、年々進化しているということが、並べて見ると、ありありとよく分かるということで、今年もさらに、財投対象事業で何をしているかということがよりはっきり分かるような図解とかが盛り込まれていて、いいなと思いました。
ただ、褒め過ぎるといけませんので、1点だけ申し上げたいことは、例えば、14ページのURのところで、「事業規模及び財政投融資」という表がありまして、これは今見たら、平成26年度の参考資料とかだと、この表が財投機関によってフォーマットがまちまちだったというのが、縦横も違っていた年があったのですが、今年はみんな必ず、左が28年度当初計画で右が29年度当初計画でそろっているというのはとてもよくて、それは見やすくなっているのですが、次の15ページのところで、沖縄振興開発金融公庫ですけれども、同じ表があるのですけれども、事業規模と資金交付と、あと財投計画での原資という並びのものと、事業規模だけしかないものと、資金交付というと、多分一般の方はすぐに分からない、ぴんとこないのだけれども、例えば、18ページのA-FIVEを見ると、資金交付というのは出融資の実行額のことで契約額とは違うのですということが分かるように書いてあって、ここ、とても親切だと思うのですけれども、こういうような形で微妙にフォーマットが違っているのがあって、そこはできればそろえていただけると、なおいいのかなと思いました。
最後に、地方の話なのですけれども、確かに地方交付税の原資が足らないということで、いろいろ工夫をされて、やり繰りをされて、最後、計画官がご説明されたように、結局は交付税特会の借入金の返済をリスケジューリングする話だということは理解をするのですけれども、短期借りをしていて、今はほぼ金利がゼロだからいいのだけれども、デフレから脱却するということに、もしうまくできれば短期金利は上がってくると後ろ倒しに返済をするということのツケはそこで出てくる可能性があるということは、やはりしっかり踏まえていただかなければいけないと。そのときに、こんな高い金利払えませんとか、払えないから一般会計でサポートしてくれとか、そういうことはもう絶対やめていただきたいわけで、交付税特会はまさにしっかりと、これまでもリスケジューリングは何回かあったけれども、利払いはしっかりこの交付税特会の中で財源を賄ってされていたという、これまでの立派な過去があるわけですから、仮に短期金利が今後上がったとしても、ほかのところから手助けしてもらうなんていうことなく、きちんと利払いをしていただかないと、当然一部は財政融資資金から短期借りの貸付をしているということとの関連もありますので、そこは今後も理財局におかれましては、しっかりモニターをしていただきたいと思います。
以上です。
〔冨田分科会長〕ありがとうございます。
では、続けて、原田委員、そして中島委員の順にお願いいたします。
〔原田委員〕ご説明ありがとうございました。3つ質問させていただきたいことと、細かいことが少しあります。
まず1点目としまして、A-FIVEからの出資と公庫からの融資に関するところであります。10ページになりますか、ページがだんだんよく分からなくなってきました。すみません。ページなしで話をさせていただきますと、農業関連資材に関連するところで出資をする、融資をすることになっているということでして、ポンチ絵などを見ますと、小規模な工場を合併し、新しくすることで生産性が上がるような記述があるのですけれども、どうすれば生産性が上がるのかというところの説明をしていただきたいというのが1点目あります。
疑問に思う理由を申しますと、産投からの出資に合うかという点で考えれば、少し合わないものであります。ただ、官民ファンドから出すお金ということで産投出資になっているということになるかと思うのですけれども、もともとの、これは出資であると、補助金ではないということを踏まえて、有効に活用していただきたいというのがまず1点目お願いしたいことになります。
あと、この追加分といいますのは、これはTPP対策における生産資材の価格が、多分、輸入資材が安く入ってくるからということで急遽対応なさったものなのかどうかというところが少し気になるところでありまして、その辺の事情についてもご説明いただければと思います。
続きまして、先ほど土居委員が褒めていらっしゃった参考資料の2ページ目をご覧ください。先ほどご説明いただいたときには、JBICのバーゼル対応で485億円を自己資本に入れるようなご説明をいただきましたけれども、これは具体的にはどういう形で入るのかなというのが少し気になったところであります。といいますのも、JBICは今国の下にあります政府系金融機関ですので、ソブリンリスクにほぼ連動する形で格付は決まってきますし、今現在、A1で安定的で、金融機関としてはとても高い自己資本比率を持っていると思います。ですので、そこに485億円の資本がどういう形で活用されるのかというところを少しお聞かせいただければと思いました。
そして、4ページ、すみません、これ、少し細かい質問になりますけれども、JOINのところで700億円減ったとご説明をいただきました。何が減ったのかお教えいただければと思います。
そして、最後に、土居委員もおっしゃった交付税特会の借入れの償還計画の変更についてのところになります。もともとの計画というのがありまして、今回変更になっていますけれども、これは安易に計画を変更していただいては財投としては困るというのは大前提としてあると思います。日銀が目指す2%のインフレが今後達成されたとすれば、貸し手はインフレ下でリスクを負うわけですから、この計画案についても、これできちんとやっていけるのかどうかといったところを少しご説明いただければと考えました。
とりあえず、この辺にしておきます。
〔冨田分科会長〕ありがとうございます。
中島委員、どうぞ。
〔中島委員〕詳細なご説明、どうもありがとうございました。土居委員と原田委員とも少し重なるところがあるのですが、3点あります。
1点目は財政投融資全体なのですけれども、こちら、土居委員のお話とも重なるのですが、今回増えているということで、しかも、その内容がインフラであるとか、あるいは将来への海外での展開とか、そういう点であれば、なおさらのこと、その効果というものをしっかり見極める点も必要になるのだと思います。そういう意味では、長期にわたる融資ですから、回収の確実性をしっかり見極めると同時に、どういう効果がきちっと想定どおり出ているのか、こちらも見極めるような形を充実させなければいけないと思います。
2点目は、これに絡んでいることなのですが、先ほど来のお話にも出ているのですが、A-FIVEの農業競争力強化支援法(仮称)に基づく新たな投資事業スキームについてです。こちらで、ほかの資料を拝見していると、国の認定が必要というのがもう一つよく分からなくて、きちっと効果があるような計画を出してくれば、国がそれを認定するというのが必要ないのではないかと思うのですけれども、そちらはさておいて、しっかりこれによって生産性が上がるという効果、コスト削減が図れるという効果が検証されなければ、そもそもこの投資事業スキーム自体、仮に返済されるということがあるとしても、十分にその目的を達しないことになりますので、まさにこのスキーム自体、そういう点をしっかり見極めるというような形をつくっていただければと思います。
3点目は、交付税及び譲与税配付金特別会計の償還計画についてです。先ほど、原田委員からもお話があったのですけれども、消費税引き上げが先送りになったことは理由として分かりますが、それであれば、本来であれば、支出を事前に想定すること自体も先送りされるということであるべきではないかという気がいたします。
何より、この追加部分の償還計画での位置づけなのですけれども、平成37年度から25年間追加部分の返済、償還をしない。平成62年度からやるというのは、金融常識から考えるとあり得ない話でありまして、この間の経済・金融情勢が、あるいは財政状況がどうなるかというのは、全く分からないとしか言いようがない話ですので、常識外としか思えません。通例であれば、損益があるとしても数年というのがせいぜいでありますので、この計画自体、果たして真剣に償還していくものになっているのかどうか疑問に感じざるを得ないところであります。3点目としては、それをぜひ申し上げておきたいと思います。
以上です。
〔冨田分科会長〕ありがとうございます。
では、川村委員、どうぞ。
〔川村委員〕1つは、今の交付税特会の償還計画について、やはり同じような感想を持っています。意見的には各委員のおっしゃったような問題意識がありますけれども、1つ、それに絡めて質問なのは、今度、変更案が法律改正という形でかなりリジッドなものになりますと、その後、そういうことはあり得ないのでしょうけれども、消費税その他の、いい意味で予測しなかった財源等が発生したような場合に、この変更案がまた元に戻るか、場合によっては、もっといい方向になるような弾力的な運用ができるのか、その場合も、法律改正が必要なのかということについて質問です。
というのは、この変更案というのは、理由が消費税見送り等があるにしても、1兆8,000億円へこんだ分が返ってくる平成62年以降は、この会場の方で生き残っている人がほとんどいないぐらいの先。ということは、これを無限にやっていくと永久債みたいな話になってしまって、これが一方で財政の健全化を標榜する中で、こういうたてつけみたいなものが、続くようなことは非常に憂うべきことではないか。だから、制度物は、一度決めてしまうと、あのときやったから同じ方式です、みたいなものがついついやすきに流れるおそれがあるので、そこのところはきっちり把握、認識した上で、今回の制度改正なり、あるいはまた、いい意味でもとに戻れるところの入り口はしっかりしておいていただきたいなというところが1点目です。
2点目はやや、これも全体ですが、大きなA3の財投計画のフローチャートを見ていて思うのは、今は当初なので、当初と比べてどうという議論になる。大体、ほぼほぼ毎年、補正や弾力条項が出てきている。そうすると、さっき土居委員もおっしゃったとおりのところを感じるのですが、財投の相場観的な規模ってどのぐらいなのだろうといったときに、当初計画で見ると、ざっくり、どうでしょうね、ここの七、八年見ると、おおむね15兆円を少し切るぐらいなのかなと。ところが、ここにリーマンや東日本大震災は特殊だと言うのですけど、大体日本は3年に一度ぐらい特殊が起こってくるので、そう見ると、いや、実は期末で締めたときの財投の相場観的に言うと、逆にこれをまぜると17兆円などそのぐらいになるのかな。その辺の、2兆円、3兆円という金もばかにならないお金なので、今後、我々が見るときに、補正、弾力条項済みで見るべきなのか、あるいは、当初というのは、とりあえず仮置きみたいに、何となくそうなると癖が出てきてしまうので、そこのところをどう考えるのかなというのが全体的な質問です。
あと、個別については2つあって、1つは学生支援機構のところなのですけれども、他方で、一般会計から給付型が今回導入されると。今度は無利子の部分が出てくるので、そこの部分を財投が補塡しますと。その考え方は過渡的措置ということでよく分かるのですけれども、一方で財投って利子を取るお金なのですよね。ですから、原資が利子を払わなければいけないものなのだけれども、それが利子補給に使われるという、非常に矛盾を感じるわけなのですけれども、となったときに、学生支援機構全体の、これは財投を超える議論ですけれども、こういう奨学金の原資ってどう考えるのか。本当に財投でよいのか。つまり、元本の償還確実性、プラスアルファの若干の利子等を取るのを前提にしている、特に産業投資等はそうなのですけれども、そういうお金の性格と見たときに、今後の奨学金のあり方ってどうなのかなと、この場では解決できない問題ですけれども、そういう問題意識があります。
あと1つだけ、個別のところでA-FIVEなのですけれども、確かに、このポンチ絵、(補足説明資料1)の7ページ等にあって、特に今回は事業再編、新規参入計画認定というか、認定の前に民間が当然プランをつくるわけですけれども、ここで思うのは、そういう人材をどういうふうに確保するのかなと。各官民ファンドとも同じ悩みがあって、ハンズオンということを標榜していながら、民間に手数料を払って、LP出資にぶん投げているケースがいっぱいあるわけですね。私から見ると、そんなことするのだったら、財投が直接やったほうがいいのではないかと。ファンドを通じながら、結局そこにあるコストが生じてしまっているというのが実態としてあるわけで、そうすると、このA-FIVEはそういう人材がいなかったときに、では、どこかそういう専門家のオフィスにお金を払って雇ってみたいな話になるのか。多分、国が認定するといっても、国の各部局の方がこういう農林水産業の再編やM&Aなど、この辺に知見のある担当官が常にいるとは思えないのですね。
それと、国が認定するといっても、ある程度形式審査にならざるを得ないだろう。その手前のところ、実態は誰がやるのですか。A-FIVEにそういう人材を内製するのは無理だと思うのですね。そうすると、どこかにアウトソースしなければいけない。そこでコストが発生してくる。また、どのくらいのレベルか。やはり人材のところは現実問題として大変大きな問題だと思うので、これはよく検討して、対処していただきたいなと思います。
以上です。
〔冨田分科会長〕それでは、ここで一旦切らせていただきまして、まだご質問、ご意見、ご四方から残っておることを踏まえていただいて、お答えいただきたいと思うのです。先に、今日おいでいただいています農水省、文科省、総務省よりお返事をいただいて、事務局より簡潔にお答えいただいて、また、質疑応答に戻りたいと思います。よろしくお願いします。
〔農林水産省食料産業局宮浦企画課長〕農林水産省でございます。
原田委員からのご質問にお答えいたしたいと思います。資料は(補足説明資料1)の10ページをご覧いただきたいと思います。
まず最初に、生産性向上がどのように達成されるかということでございます。10ページは、公庫による融資モデルを記載してございます。2つ事例を記載してございますが、1つは、例えば、飼料事業者、飼料メーカーが合併をする場合、新工場を設置する施設資金の融資に関しての事例でございます。ここの生産性の向上というのは、製造ラインを新しくして、規模を拡大することによって生産性を高める。それから、これに伴って原料調達コストを下げる、こういったような生産性向上が端的には考えられるところでございます。
それから、右側の事業譲渡でございますが、これは製造メーカーなどが販売と製造を兼ねて行っているような場合に、製造事業を他社の製造事業者に譲渡する。この場合の対価に関して融資をするというものでございますが、これも同様に、製造の規模拡大ですとかノウハウの統合、それから、販売事業に特化することに伴う効率化といったことなどを想定いたしております。いずれにいたしましても、これは各事業者の計画、発意に基づくものですので、国側で形式的にはめるものではないと考えているところでございます。
それから、同じ資料の1ページ、改革の必要性というところをご覧いただきたいと思います。左側の背景のところに、先ほど計画官からもご説明がありましたが、今回の、TPPに関連するかどうかということでございますが、これは基本的にはTPP云々ということではなく、今後の食に関する市場を考えた場合には、国内の市場はシュリンクする一方で、世界に目を向ければ市場は拡大することが見込まれるので、農業だけではなくて、川上の飼料ですとか川下の流通・加工ですとか、こういったところを全部含めて、世界市場で闘えるような取組みを進めていこうと、こういうものでございます。
以上です。
〔農林水産省食料産業局森田産業連携課長〕続けて、中島委員と川村委員からの関係、A-FIVE、公庫の関係でございますけれども、A-FIVEの関係で、今回、国の認定が事前にあってということが、そこまで効果があるようだったら要らないのではないかというお話がありましたけれども、法律のスキームとして一般的に、A-FIVEと公庫だけではなくて、ほかの支援施策なども考えておりますので、国の認定を行った上で、実際に出資をするかどうかというのは、投資効果があるかどうかというのは、A-FIVEでさらにもう一回判断するという、6次化の場合と同じような形を考えております。
あと、生産性が上がるかどうか、効果をしっかり検証すべきというお話がありましたけれども、そういう効果については、きちんと検証できるような仕組みを導入していきたいと思っております。
川村委員からの、A-FIVEがこういう業務をやっていく上で人材をどうするかというお話がありましたけれども、今、A-FIVEの中には、こういった業務を行える人材もいると考えておりますけれども、今後そういったことをさらに進めていくに当たっては、社内の体制とかいろいろな人材などについても検討していかなくてはいけないかなと思っております。これからもよろしくお願いいたします。
以上です。
〔文部科学省高等教育局井上学生・留学生課長〕引き続きまして、文部科学省でございます。川村委員から、奨学金の財源のあり方についてご質問がございました。私ども、無利子の奨学金につきましては、この財源は基本的には一般会計であるべきと考えてございます。無利子奨学金につきましては、これまでに事業規模を増やしてまいりました関係で、今後、回収金の増加が見込まれております。これを考えますと、一般会計の措置状況にもよりますけれども、近い将来、平成35年から37年ぐらいまでには、これは全て一般会計に振りかえることが見込まれております。そのように考えております。
そして、もう一つ、今回の措置に伴う利子補給につきましては、全て一般会計で措置することとしておりまして、今回の無利子の部分に関する利子補給は、おおむね1,100万円程度と見込んでございます。
以上でございます。
〔総務省自治財政局前田財政課長〕総務省です。ご発言のあった委員の皆様から共通してご指摘を受けました交付税特別会計の関係のことです。先ほど、理財局の計画官からも説明がありましたことに加えまして、若干補足しておきますと、平成29年度に向けましては、先ほどの資料にもありました、繰越金がないということに加えて、ご案内のとおり、実は骨太の方針の中で、(補足説明資料3)の一番上のところにありますが、地方の一般財源総額を実質的に同水準確保することが、骨太の方針の中に示されております。それにつけ加えて、繰越金が剥落していると。さらに、今回の予算編成の中におきましても、国債の増額をとにかく回避するという諸条件の中で、私どもも地方の財源確保という観点から、主計局とぎりぎりの折衝を行わせていただきまして、今回のような形になったということです。
もとより、この償還計画につきましては、これも先ほど説明がありましたが、法律改正事項でありまして、法律の中に書き込みます。したがいまして、国会の審議を経た上でという、もちろん前提条件にはなりますが、そのこと自体は、私どもも当然重たく受けとめなければならないと認識しているところです。
もとより、毎年度の財政運営を行わなければなりませんので、そうした毎年度の財源確保という観点と、中長期的に見ましても、財政健全化ということは、我々も非常に重要な課題であると認識しておりますので、しっかり肝に銘じて対応してまいりたいと思います。
それから、仮に財政状況が非常によくなった場合に、前倒しというのでしょうか、そういった償還のやり方があるのかというご指摘がありました。実は、古い例にはなるのですけれども、いわゆるバブル時代に、地方財政も非常に好転いたしまして、昭和の時代につくった交付税特別会計の借入金を、いわば前倒し的に償還した事例はあります。したがいまして、そういったものも含めて、そのときの財政状況というものも見ながら、先ほども申し上げましたが、財政健全化とのバランスというものはとっていきたいとは思っています。
もっとも、バブル時代のように財政状況が好転することは、今の時代どうなのかというのは、いろいろ議論があろうかと思いますけれども、そうした前例はありますので、そこは繰り返しの話になりますが、毎年度の財政運営と財政健全化というこの2つの課題をしっかり受けとめて対応してまいりたいと思っております。
以上でございます。
〔冨田分科会長〕それでは、事務局、何か、今までの質問で。
〔井口財政投融資総括課長〕私からは、土居委員はじめご質問いただきました産投についてです。産投が、過去最高規模となっているが、この財源はどうなっているかとのご質問でした。これにつきましては、まず、過去と比べますと配当性向が上がっており、JT、NTTも含めて、配当金が増加傾向にあります。平成23年度の予算と比べますと、大体2倍近くの水準になっていることが1つ。
むろん、これだけでは足りない部分がありますので、もう一つは、7月の27年度運用報告でもご報告しましたが、産投の運用残が結果的に翌々年度の財源に当たるので、今年度、海外展開といった需要にもある程度応じることができたということです。現状においては、実績を見ながら必要な産業投資を措置しているので、今後、順調に出資が進んでいきますと、財源がまた足りなくなることも想定されます。したがいまして、産投については引き続き厳しく臨むとともに、この配当金や剰余金が主な財源となっている現状において、さらに何か工夫をしていかないと今後もたないのではないかという問題意識を事務局としては持っています。
また、財投につきましても、量を減らせばいいという時代から質の問題である、あるいは、海外展開支援等について、どういうことを見ていくのかという質の議論、中島先生からも、効果の測定が必要ではないかというご質問がありました。これについては、現在も編成過程の中で、新しいものがあれば、その政策の効果について当然見るべき努力をしていますし、既存のものにつきましても、政府全体としてもやっている政策評価などの活用を一層進めるとともに、財投特有の観点があれば、そうしたものも反映させるべく工夫をしていかなければいけないかと思っています。
補足資料については、お褒めの言葉をいただきましたが、何とか毎年、少しずつでも改善できるように努力していきたいと思っています。
私からは以上です。
〔冨田分科会長〕あと、手短にお願いしたいのは、先ほど原田委員から、JBICの特別業務勘定とJOINの質問があったので、お願いします。
〔深澤計画官〕JBICにつきまして、参考資料の2ページ目に表を載せていますけれども、資料の左側の下段、財政投融資の欄があります。29年度、一番右側のところに特別業務勘定で、そこに産業投資として485億円を計上しているところです。
これについては、特別業務勘定で行う事業といいますのが、従来ではリスクのとり切れなかった格付の低い国における事業ですとか、あるいは需要の見通しがなかなか立ちにくいリスクの高い事業といったことを、この特別業務勘定で実施することになっています。
また、法律上、特別業務勘定で行う事業につきましては、個別の事業についての償還確実性が求められていないという一方、勘定全体として償還確実で収支相償の形にする必要があるといった法律上のたてつけになっています。このため、JBICの格付というよりも、JBICが貸付ける先の、カントリーリスクも含めたリスクというものが非常に高いことになっていまして、これに対応するために、リスクバッファーとしまして、それなりに一般勘定よりも高い自己資本が求められるということで、そのために485億円を29年度に手当てしているところです。
もう1点はJOINです。4ページ目ですが、表に載ってないことを申し上げて大変申し訳なかったですけれども、要求が財投規模で1,800億円余りあったということで、そこから700億円ほど減少させたという説明をさせていただきました。これについては、29年度において、本当にそこまでの金額が必要なのかどうかというところを精査いたしまして、要求時点から金額を落とす形で計上させていただいているところであります。
それから、A-FIVEにつきましては、基本的には産業投資になじむかどうかというところは、先ほど農水省から説明のあったとおりなのですけれども、つけ加えますと、EXITも見通して、きちんとEXITできるものに対して投資をするということを、A-FIVEとして、また、A-FIVEの中の農林漁業成長産業化委員会という投資委員会がございますので、そこで収益性、成長性の見込めると判断されたものに対して出資を出していくというものですので、産投になじむ形で制度設計をしていただいていると認識しています。
以上です。
〔冨田分科会長〕ありがとうございます。それでは、続けて、ご意見、ご質問。
沼尾委員、どうぞ。
〔沼尾委員〕ご説明、ありがとうございました。
まず初めに、今回、この段階で、これまで各財投機関別に話を聞いた後に出てきた変更点や、地方財政に関する短期の融資の変更などについて、改めてお話を聞くという形で、関係省庁の方からご説明をいただけたのはよかったと思いますし、今後もこのようなときには、ぜひこうした対応をしていただけるといいと思いました。その上で、2つ申し上げたいと思います。
まず1つ目はA-FIVEの件なのですけれども、これは、以前にも、意見を申し上げたことがありますが、A-FIVEのスキームは、現場で話を聞くと、なかなか使いづらいという話があります。1つは、今の農業政策が、大規模集約化によって、規模の経済性を図って効率化を進めるというところと、もう一方で、なかなかそれが難しい中山間地域などでは、希少な地域資源を活かして、例えば、観光や加工といった6次産業化も含めて、多角的に高付加価値をつけることも考えながら地域の維持を考えていくという、二つの方向で進んでいると思うのですけれども、今のスキームは、大規模化への対応という点で一定の融資のメニューを出していると思いますが、大規模化が難しいのですが、光っているものについて、なかなか使いづらいところがあると理解しています。
今回の案についても、先ほども中島委員から、効果の検証をというお話がありましたけれども、ある程度大規模化をしていくところについては一定の効果があるのかもしれないのですけれども、これが今後の日本の農業を成長に向けていくためのスキームとしてはどうなのかと考えますと、日本の農業、非常に多角的だと思いますので、そういったところも含めて、本当にこういうふうに、例えば、資材を生産するところを大規模化して、低価格化が図れるのか、またそういうことは意味があることなのか。それは地域の経済循環を考えると、こういう資材についても、農業には地域特性があるので、大量生産し供給してしまうことが本当に有効なのかというような課題もあると思いますので、ぜひ慎重に検討いただけないかと思いました。何か、そのあたりのところで考えていることがあれば、教えていただきたいというのが1点目です。
2つ目としては、こちらの交付税及び譲与税配付金特別会計の借入れに関する償還計画の話なのですけれども、今回こういう形で、総務省自治財政局の方にお越しいただいたのは良かったと思いますが、さらに申し上げれば、今回、主計局も資料を提出してくださっているわけですけれども、本当だったら両方が出てきて、こういうことだと説明されてもいいのではないか。結局、地方財政計画全体の中で、もっと言えば、国と地方の財源をどうするかという枠組みの中で、消費税の増税が先延ばしになった。地方は、地方法人税の改革も含めて、これで消費税が入ってくれば、ようやく臨時財政対策債についても償還が始まるところだったのが、その先送りで完全に計算が違ってしまったから、どうやり繰りするかというところで出てきた苦肉の策なのだろうなと理解をしています。
そう考えたときに、もちろん償還を延ばしていくということは、将来返済できるのかということも含めて考えられねばいけないことなのですけれども、ここで出た話を、改めて主計局や自治財政局などでも考えていただくという枠組みの中で、もう少し財政全体の話として考えていくべきことで、いつもこの話というのは、地財対策が全部終わった後に、最後、ここでどうするのという最後の話だけが出てきてしまうということになっているのですけれども、何か、その逆バージョンで、もう少し全体で話し合うことをやっていかないと、いつまで経っても、最終的に債務がどんどん膨らんでいくことになってしまうのではないかなということを心配しています。
以上です。
〔冨田分科会長〕ありがとうございます。
池尾委員、どうぞ。
〔池尾委員〕先ほど、いろいろな意見が出た中で、川村委員がおっしゃった、当初と改定後の関係をどう考えるかというのが問題提起だけで終わってしまっていたと思うのですけれども、私も当初計画に関して、今ここで、こういう形で、かなりしっかりした議論をさせていただいていると思うのですよね。これと同程度の議論が、補正や弾力に関して必ずしもできていない。過去を見たときに、要するに、極めて短期間でやらなければいけない。弾力条項であれば、趣旨からいってそういうことなので、決まったことを追認するだけみたいな感じに、実際上、審議がなってしまうところがある。これは財投計画だけではなくて、一般会計の予算編成についても指摘されていることかとは思いますけれども、当初計画で極めて慎重に査定していただいて、それで抑制してカットしたものが簡単に復活するみたいなことだと、何のためにここでこれだけの議論をしているのかということがむなしくなる面もある。でも、やはり補正は必要な場合も当然あるわけで、するとしても、そのときの検討について、できるだけ質と中身を確保することをあらかじめいろいろと工夫というか、考えておいていただきたいという、そういう要望です。
〔冨田分科会長〕ありがとうございます。
林田委員、どうぞ。
〔林田委員〕今、池尾委員から、当初についてはいろいろと深い議論があってというお話がありましたけれども、こと今回に限って言えば、例えば、A-FIVEの問題であるとか交付税特会の問題であるとか、どうも長い時間をかけて、いろいろなところをお呼びして聞いた話とは違う話が、この段階へ来て、いきなり出てきているなというのが率直な感想でありまして、別にやり玉に上げるわけではありませんが、例えば、A-FIVEで言いますと、これ、ありていに言えば、農協改革があって、その中で肥料会社であるとか資材会社が生き残っていけるのかと。それはなかなか難しいだろうと。今まで農協の傘の中にあったものが、いきなり競争しろと言われても難しいということで、それではどうしたらいいかということで、国のお財布の中をのぞいてみたら、どうも出しやすいお金があるねということで、今回、A-FIVEに白羽の矢が立ったのだろうと思いますけれども、実際にこの制度の趣旨から言って、A-FIVEがベストの選択だったのかと言いますと、必ずしもそうではないのではないかと。
もともとA-FIVEというのは、6次産業化を進めましょうということでできたものでありますし、実際のそちらの本業が、今回を見ますと、50億円ついていますけれども、うまくいっているのかというあたり、その辺もしっかり聞きたいところでありますけれども、そうした中で、いきなり降って湧いたように、今回の事業再編という使途に使われたのではないのかなと、うまくそこへ、困ったときの財投頼みではありませんけれども、そういう印象がありまして、やや心にわだかまるものがないではないということは言っておきたいと思います。
以上です。
〔冨田分科会長〕ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。
土居委員、どうぞ。
〔土居委員〕もう少し時間があるみたいなので、すみません。手短にいたしますけれども、先ほど池尾委員がおっしゃったことは非常に重要だと思います。私が思うには、我々財投分科会の中でも、財政融資資金の運用報告を受ける機会がありますから、これはもちろん産投は入ってないのですけれども、事実上、実績決算が報告される場であり、どちらかというと、総体として財政融資資金がどうなったかという報告を受けているという感じが、今までの議事の雰囲気だったという気はいたしますけれども、もし時間があれば、その中でも、個別案件でこういう結果になったということを特別に詳細にご報告いただくものも設けていただきながら、ある種の事後検証といいましょうか、そういうものもできるといいのかなと思います。
それから、先ほど沼尾委員がおっしゃった点は、私も地方財政の問題としては極めて重要な焦点だと思うのですけれども、前田財政課長がおっしゃった(補足説明資料3)の1ページの地方一般財源総額を前年度実質同水準確保するという閣議決定があるということこそが、もう全ての始まりで、それに振り回されていると。私はこの審議会の財政制度分科会でも、何でこんな
〔冨田分科会長〕ありがとうございます。
そうしたら、私から1点、文科省に質問させていただきたいのですけれども、無利子奨学金の拡充ということでございます。2つ質問ありまして、成績基準の緩和とあるのですけれども、多分、この図の中で3.5と書いたところに何かそれがあるのでしょうけれども、この3.5というのは、どうやって客観性が担保されているかというか、大学間とか、あるいは1つの大学内でどうだとか、これの現状についてお教えいただきたいのが1点です。
2点目は、この無利子奨学金の返済のモニタリングをどうするかというご計画を立てられているのかどうか。つまり、これまでの有利子奨学金と違った形のものをお考えかどうかということについてお聞きしたいということの2点でございます。
〔農林水産省食料産業局森田産業連携課長〕農林水産省でございますけれども、まず、沼尾委員からの質問でございますが、A-FIVEが大規模なものを対象としていたのではないかというようなお話でしたけれども、大きいところに投資をしたほうが効果も高いということはあるのですけれども、規模の小さいものを排除していたわけではなくて、実際に小さい規模のものも対象としております。
また、単に施設整備だけすればいいようなもの、そういうものが結構規模が小さいものになるのですけれども、そういったものは、交付金とか、また、少し別な政策ツールを用意しておりますので、そういうところで対応しているところもございます。
また、大規模化を進めていくということで、大規模化には意味があるかもしれないけれども、地域の中ではあまり意味がないのではないかというようなご指摘もございましたけれども、そういう意味もありまして、中小のところが結構、今回の施策は対象になると思っていまして、そういう意味では、中小の生産資材業者とかそういったものは地域のまとまりの中で、地域の農家に裨益していくものが出てくるのではないかと考えております。
あと、林田委員からのご質問で、A-FIVEがベストの選択だったのかという話でございました。今回の出資につきましては、農業資材事業者、こういったものへの事業再編などの出資でございますけれども、こういった業務のために新たな官民ファンドを設立するのはなかなか非効率であるかなと考えておりますし、また、A-FIVEは6次産業化のいろいろな事業を通じまして、農業に関わる川上から川下までの知見を有するようになったということで、そういうノウハウも蓄積されておりますので、A-FIVEが適切なのではないかと思っております。
あと、A-FIVEの6次化がそもそも進んでないのではないかというご質問もありました。A-FIVEの6次化でございますけれども、100件を超える出資案件が今出た状況でございます。今後、さらにこういった案件を伸ばしていかないといけないと思っておりまして、今後、直接出資の手法を活用した案件の組成ですとか、あとは、今、運用改善を図っておりまして、6次化に取組む農業法人に対して出資対象に追加していきたいとか、そういったいろいろな施策で、さらに6次化の事業も伸ばしていきたいと思っております。
以上でございます。
〔冨田分科会長〕お願いします。
〔文部科学省高等教育局井上学生・留学生課長〕文部科学省でございます。
まず、成績基準のご質問がございました。現在、無利子奨学金は評定値3.5以上としておりますが、これは各高校で5段階評価をしております。その評定値というものは、これは各高校の校長の責任で個人個人に評定値が明確に出ますので、そこで3.5という基準で切っております。
奨学金全体でございますけれども、高校時に予約を採用する、「予約採用」と申しておりますけれども、高校のときに、大学に進学したら奨学金を借りるという、まず、予約の採用をします。これが7割おりまして、そこは3.5でやっております。在学時、大学等に進学した後に採用するのは、これは各大学長の責任において、基本的には成績基準の上位3分の1という基準でやってございます。
それと、新たに財政融資資金を入れる仕組みを設けるわけでございますが、特にこの返済のモニタリングについては、無利子奨学金の一般会計のところとは分けて、資金管理についても区分経理を行いまして、データについてもきちんと分けてデータ管理をして、この返済の状況についても見ていくという体制をとりたいと思っております。
〔冨田分科会長〕ありがとうございました。
事務局より何かございませんか。
〔井口財政投融資総括課長〕土居先生、池尾先生はじめ、ご意見をありがとうございます。また、今後の審議の充実につきましては、いろいろな形で進めさせていただきたいと思っています。
今年については、先ほど沼尾先生からも、こういう試みはなかなかいいのではないかといただきましたが、できれば、事務局としてはこういうことがないように編成を進めていきたいと思っています。また、補正等については、やはり時間の関係ですとか、あと、先ほど、参考資料の中で、資金交付額が入っている機関と入ってない機関があるとの指摘がございましたが、やはり財投機関もそれぞれの特性があります。先ほど、フォローアップをどうしていくかとの問題提起もありましたけれども、やれることについて引き続き審議の充実を図っていきたいと思っています。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
〔冨田分科会長〕ありがとうございました。
それでは、本日の議論はここまでにしたいと思います。農林水産省、文部科学省及び総務省の皆様にはご退席をいただきます。ありがとうございました。
(農林水産省、文部科学省、総務省 退席)
〔冨田分科会長〕それでは、ご議論いただきました議案3案につきまして、ご異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
〔冨田分科会長〕それでは、本分科会としては了承とさせていただきます。
それでは、本日の分科会はここまでとしたいと思います。
本日使用いたしました資料は、席上に置いてお帰りください。閣議終了後、委員の皆様には事務局から改めて送付いたします。
また、議事録等につきましては、後日、財務省ホームページに掲載する予定としておりますので、ご了承願います。
本日は、年末のご多忙の中、まことにありがとうございました。これにて閉会いたします。