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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和元年10月23日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和元年10月23日(水)13:28~15:23
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開

  • 2.藤川財務副大臣挨拶

  • 3.令和2年度財政投融資計画要求の概要

    質疑・応答

  • 4.令和2年度財政投融資計画の編成上の論点

    • 1株式会社日本政策投資銀行

      質疑・応答

    • 2株式会社日本政策金融公庫
      (国民一般向け業務・中小企業者向け業務)

      質疑・応答

  • 5.閉

配付資料

資料1令和2年度財政投融資計画要求

資料2財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料株式会社日本政策投資銀行

資料3財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料株式会社日本政策金融公庫
(国民一般向け業務・中小企業者向け業務)

出席者(敬称略)

分科会長

池尾和人

藤川財務副大臣

可部理財局長

鑓水理財局次長

嶋田総務課長

湯下財政投融資総括課長

柳町管理課長

柴田計画官

大関計画官

堀納資金企画室長

山本財政投融資企画官

高田 創

野村浩子

渡部賢一

臨時委員

江川雅子

冨田俊基

中里透

林田晃雄

専門委員

川村雄介

工藤禎子

家森信善


13時28分開会

〔池尾分科会長〕定刻のちょっと前ですが、出席予定の委員の方、全員おそろいのようですので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたします。

本日は令和2年度財政投融資計画要求の概要と、それから令和2年度財政投融資計画の編成上の論点という2つの議題について御審議をいただきたいと思っています。要求の概要と編成上の論点について、それぞれ御議論いただきたいと思います。

本日は、藤川財務副大臣に御出席をいただいております。つきましては、開催に当たり、藤川財務副大臣に御挨拶を頂戴したいと思いますが、報道関係者の方が入られます。

(報道カメラ 入室)

〔池尾分科会長〕それでは、藤川財務副大臣、お願いいたします。

〔藤川財務副大臣〕皆様方、改めまして、こんにちは。このたび財務副大臣を拝命いたしました藤川でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

では、財政制度等審議会財政投融資分科会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。理財局の担当となりましたので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、安倍内閣におきまして、これまでの約7年間、経済再生に全力で取り組んでまいりました。その結果、足元の日本経済については、中国経済の減速等の影響が見られるものの、雇用、所得環境の改善、高水準の企業収益など、内需を支えるファンダメンタルズはこれまでと同様にしっかりとしております。消費税率の引き上げに伴う経済の影響につきましては、前回の経験を踏まえ、軽減税率制度の実施、幼児教育・保育の無償化、キャッシュレスのポイント還元やプレミアム付き商品券、住宅・自動車の購入支援などの十二分の対策を講じることにより、消費をしっかりと下支えをし、経済の回復基調を確かなものとしてまいりたいと考えております。

令和2年度の財政投融資につきましては、骨太の方針2019に沿って現下の低金利状況も活用したインフラの早期整備や、リスクマネー供給の強化など、民需主導の経済成長の達成に真に必要な資金需要への的確な対応が期待されております。本日より令和2年度財政投融資計画の編成に関しまして御議論をいただきますが、委員の皆様方におかれましては、財政投融資が期待される役割を最大限発揮できるよう、忌憚のない御意見を賜りますことを心よりお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、報道関係の皆様は御退室をお願いいたします。

(報道カメラ 退室)

〔池尾分科会長〕それでは、議事次第に従いまして、まずは令和2年度財政投融資計画要求の概要について、御審議いただきます。

湯下財政投融資総括課長より御説明をお願いいたします。

〔湯下財政投融資総括課長〕湯下でございます。

まず、令和2年度財政投融資計画要求と書かれている資料をお開けください。

まず、資料の1ページ目、令和2年度財政投融資計画要求の概要でございます。2年度の要求額は11兆7,315億円となり、元年度当初計画比でマイナス1兆3,879億円、10.6%の減となっております。このうち、財政融資につきましては9,208億円の減、長期リスクマネーの供給が求められます産業投資は801億円の増、政府保証につきましては、5,472億円の減となっております。以下、資料、財政投融資計画額の推移でございますが、今回の要求額11.7兆円は、平成13年度の財政投融資改革以降最も低い水準となっております。

次のページをおめくりください。これは主な機関別に要求の増減を示したものでございます。まず、政府関係機関のところからでございますが、日本政策金融公庫のうち国民一般向け業務及び中小企業者向け業務については、近年ニーズが高まっている創業、事業承継等の取組を支援しつつ、中小・小規模事業者の資金需要に引き続き万全の対応を行うため、必要な規模を確保する観点から、国民一般向け業務が7億円の増、中小企業者向け業務が前年同額の要求となっております。また、農林水産業者向け業務が、意欲ある農業者による経営規模の拡大を目的とした設備投資等への旺盛な資金需要へ引き続き対応することとし、前年同額の要求となっております。下から2つ目にございます国際協力銀行は、質の高いインフラ投資や先進技術を用いた事業の国際展開等の推進の観点から、807億円の増要求となっております。

次に、独立行政法人等でございます。日本高速道路保有・債務返済機構は、元年度当初計画に計上されていた高速道路整備等の加速のための財政融資の剥落及び当該財政投融資の活用による政府保証の減によって、1兆4,000億円の減となっております。

特殊会社等でございますが、上から2つ目にございます日本政策投資銀行が、エネルギー・交通インフラ、物流施設等の社会資本整備への対応強化等により1,200億円の増要求となっております。

なお、2年度要求におきましては、元年度計画では計上されてない物流生産性向上のための機関、農林漁業成長産業化支援機構及び産業革新投資機構の3機関から要求が出されておりますが、産業革新投資機構につきましては、これは事項要求ということでございます。一方、元年度計画では計上されておりました国立循環器病研究センター、地方公共団体金融機構及び新関西国際空港については2年度の要求は出されておりません。この結果、2年度の財政投融資計画要求機関は32機関となっております。

さらに次ページをおめくりください。こちらのほうは、令和2年度財政投融資計画(産業投資)の要求でございます。この中で、国際協力銀行においては、成長戦略フォローアップ等を踏まえ、日本企業の海外インフラ展開支援を通じた質の高いインフラ投資を促進する等の観点から465億円の増要求となっており、産業投資全体としても元年度当初計画額を上回る要求となっております。いわゆる官民ファンドの要求につきましては、A-FIVEから新たに要求が出されていることに加え、CJ機構、JOIN、JICTのいずれも前年度を上回る要求になっております。官民ファンドにつきましては、今後分科会で御議論いただく予定でございます。

次のページ以降でございますが、2年度要求における各機関ごとの内訳を原資ごとにお示ししたものでございます。こちらにつきましても、適宜御参照いただければと思います。

これらの要求につきまして、内容をしっかり精査し、真に必要な資金需要を見極め適切に措置してまいりたいと考えております。以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ただいま説明していただきました件に関しまして、御意見、御質問等御自由にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

高速道路保有機構の分が落ちた分、昨年度に比べてほぼ1兆4,000億円程度計画要求額が減っているという構造ですね。

どうぞ、江川さん。

〔江川委員〕ありがとうございます。今日は授業があって途中で退席させていただくので、一言、一般論ですけれども、コメントさせていただきます。

先だっての台風19号のときに水害に遭ったところの中に、ハザードマップで水害に遭うことが予想されていたエリアが結構入っていたという話の続きで、現在国がコンパクトシティで居住を促している地域の中にもそういうエリアが入っているという報道を読んで驚きました。現在、evidence-based policy makingを政府全体で推進していると思うんですけれども、そのときに関連する分野の分析、特にサイエンスやエンジニアリングに基づくもの――こちらの分科会でも需要の見通しなど経済的分析はよくお伺いするんですが、そういうエンジニアリング的に問題ないかというようなことはもう既にきちっと検証済みだろうということであえてお伺いすることもないんですけれども――当然それは大切なことだと思います。ぜひ財務省の方にも政府全体でそういうことをしっかり徹底していただければと思います。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

じゃ、川村委員お願いします。

〔川村委員〕ありがとうございます。

ちょっと細かい質問で、今風水害がこれだけ多い中、この政策金融公庫で見ると危機対応円滑化業務が昨年並みということで、危機対応認定も厳しくなっていますし、いろいろ過去、トラブルというか問題もあったので慎重というのはよく分かるんですけれども、災害がたくさん来るぞ、被害が多いぞ、危機になるぞとこちらから見通すというのはなかなか難しいとは思うんですが、参考まで教えていただきたいのが、直近は昨年の公庫の場合、計画額が990億円、次年度の要求額も990億円で横ばいということなんですけれども、ちょうど東日本大震災があったころ、あのころって大体どのぐらいの水準だったんですかね。というのは、嫌な予感じゃないですけれども、何か起こってそれが金融まで波及して、特に今回の風水害を見ていると、住宅のみならず相当中小企業の工場や倉庫もやられて、あるいはサプライチェーンがずたずたになったりして、回復しかけたと思うとまた追い打ちをかけられた。これが何回も続いたときに、結構まずい状態というのはやはり、危機として腹に入れておく必要もあるのかな。どうしても財政ですと出動についてはなかなか重たくなって迅速には難しいところもあるわけでありますので、嫌な話ですけれども気になるところ、ちょっと過去の水準はどんなもんかなと思ってお聞きできればと思ったところです。

〔池尾分科会長〕事務局からお願いできますか。

〔柴田計画官〕お答え申し上げます。

東日本大震災のときということで申し上げますと、平成23年度ですけれども、23年度は当初はそういう地震が起きると予測は当然できなかったわけですので、当初計画上は1,320億円ということでやっておりましたが、地震が発生したということで、財投としましては、1,320億円に対して財政融資で3兆円の補正をいたしました。ただ、実績としては、1兆1,000億円余りの実績ということになっております。それがありましたので、平成24年度は当初の計画から1兆6,000億円ほどの財政融資の計画を組んでいるというような形になっております。

〔川村委員〕ありがとうございました。何も起こらないことを願いたいと思っています。

〔池尾分科会長〕どうぞ。

〔渡部委員〕2点ございます。1つ目は感想というか質問というか。要求レベル全体を見て、特に産投を含めていわゆるインフラ、海外というのがイメージとして増えつつある。以前、全体の資金使途という分析がありましたけれども、そういうイメージが要求レベルですが、やっぱり強くなっているんだろうかというのが質問といいますか感想です。

2点目はテクニカルなんですけれども、私が不勉強なんですが、この資料の4ページの資料の機関別の中で、右側で「参考」の「自己資金等」の「自己資金」ってあるんですけれども、これは単年度ベースで自分の持っている自己資金はこれだけ使えますという意味なんでしょうか。それともいわゆる自己資本というイメージなんでしょうか。要するに、まだいっぱいキャッシュを持っているけれども今年度はこれしか使わないぞ、食料安定特別会計で言えば、実は500億円あって今年度は245億円、来年度は190億円だけ使うぞという意味なのか、いわゆる自己資本という意味でこの金額だということなんでしょうか。質問です。

〔湯下財政投融資総括課長〕2点目のほうでございますが、単年度で使える額で計算しております。自己資本ではございません。

〔渡部委員〕赤字で減っていっているっていうわけじゃないわけですね。

〔湯下財政投融資総括課長〕はい。

1点目前者のほうでございますが、基本的には変わりはないんですけれども、先ほども分科会長から御説明がありましたように、ちょっとこれまで公共事業の中に先ほどの道路機構の財政融資1兆4,000億円が入っていたわけですけれども、これが今現在要求の段階では出ておりませんので、その部分で考えますと公共事業の部分は減ってきていると。ただ、海外輸出を推進するという観点でございますと、国際協力銀行と国際協力機構、こちらのほうの分野は若干の増と。特に、国際協力銀行の産投のほうは大幅に増要求が出てきているところでございます。

〔渡部委員〕分かりました。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

高田委員。

〔高田委員〕すみません、どうもありがとうございます。

今回のこの計画のところは、もちろんさまざまなところの積み上げということの結果ということなんだろうと思うんですけれども、この数字を拝見させていただきますと、今課長様のほうから御説明ありましたように、財投改革があってから一番金額が少ないというような状況になっていると。この現実をどういうふうに考えるのかということでございまして、今後の方向性と申しましょうか、もちろん取りまとめた結果ということなのかもしれませんけれども、ややこうした構造的に減少が続いていくということなのか。それとも、一番これまで低くなって――トレンドを考えてまいりますとリーマン・ショックの前のときまでは低くなって、それからリーマン・ショックと東日本の災害があって増えて、そこから落ちているということだと思うんですけれども、それまでというのは比較的景気がよかった中での状況ということで、今回も比較的長い好景気が続いた中での状況ということなのか。それと、構造的に今後のこの動向というんでしょうか、これをある程度トレンドとしてはどういうふうにお考えでいらっしゃるのかということの概要をちょっと教えていただければと思った次第でございます。

〔池尾分科会長〕お願いします。

〔湯下財政投融資総括課長〕トレンドといたしましては、こういった危機対応のところが増えるときには、リーマン・ショックとか東日本のときは増えていますが、大体御覧いただくとほぼ横ばい程度で来ております。

ただ、ここ数年間足元のところは、特に道路につきまして長期の、当年度が1兆円、昨年度が1.5兆円ということなので、先々の借り換え需要分だけ毎年減るというところがありますので、そういった形でのトレンドを若干押し下げている部分というのはあるかと思います。

ただ、他方、幸いにして今はそういう危機的なことが起きておりませんので、ここ数年は運用残という形で出ております危機対応の部分等々につきましては、そうは言っても当年度で申し上げれば消費増税前後の影響ですとか、おそらく次年度についてもそういった景気の不透明なところに対応すべく、そういう意味では積んで要求をしてきている部分若干あろうかと思いますが、そういったものの複合的な要因で若干トレンドとしては今マイナスに要求の段階ではなっていると理解しております。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。前回もした議論の繰り返しになると思うんですけれども、財投のあるべき規模という話になるかと思うんですが、前回もありましたように、実務的にはほぼいいところまで来ているんじゃないかという望ましい規模ぐらいではないかということですが、もっとスリム化する余地が残っているのか、あるいは本来あるべき役割を果たしていないということがひょっとしたらあるのかと、そういうことは引き続き我々としては議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、本件に関しましては、このあたりで……。どうぞ。

〔林田委員〕官民ファンドについては、次々回以降編成上の論点で取り上げられると思うんですけれども、この産業投資の要求を見ますと、JBICは別としてクールジャパン機構やA-FIVEなどの官民ファンド4機関の要求増が目立っているように思います。先日国会でも議論になりましたけれども、この4ファンドの要求が適正な規模なのか、それとも改善計画のつじつまを合わせるため過大な要求が出されていることはないのかと、そういった点もしっかり見ていっていただきたいなと思っています。こういうことを言うと、要求したものは全部使い切っちゃうというようなインセンティブが働いてしまうとこれも困るので、そのあたりの執行状況についてもしっかり点検していただきたいというお願いです。

あと、本日の議事とは直接関係ないのですけれども、先日2019年版の財政投融資の概要という冊子をいただきました。今回初めて作成されたということでして、財投の全体像を大変平易な内容で示しているというので、非常に分かりやすく読ませていただきました。事務局には引き続き分かりやすく有益な情報発信に努めていただけたらというお願いでございます。以上です。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、よろしいですね。じゃあ、本件に関しましてはこのあたりで終了させていただきます。

ここで藤川副大臣は他の公務がございますので、御退席になります。

(藤川財務副大臣 退席)

〔池尾分科会長〕それでは、続きまして令和2年度財政投融資計画の編成上の論点について、御審議をいただきます。

最初に、日本政策投資銀行に関してですので、日本政策投資銀行及び財務省の担当部局の方が入室されますので、ちょっとお待ちください。

((株)日本政策投資銀行 着席)

〔池尾分科会長〕それでは、日本政策投資銀行について、柴田計画官より要求の概要及び編成上の論点についての御説明をお願いいたします。

〔柴田計画官〕計画官の柴田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。資料2と右肩についている部分を御覧いただければと思います。

早速ですが、ページを進めていただきまして、目次を2枚ほど飛ばしていただきまして、3ページ、機関の概要等1というところから御覧いただければと思います。こちらにつきましては、組織の概要でございますので、御参照いただければと思います。説明は割愛させていただきます。

次の4ページ、政策投資銀行に関わります位置づけ、法律上どうなっているかということでございます。一番上にありますとおり、政投銀法第一条におきまして、完全民営化の実現に向けて経営の自主性を確保しつつ業務を進めていくということ、それから最後のほうにありますけれども、長期の事業資金を必要とする者に対する資金供給の円滑化、及び金融機能の高度化に寄与することを目的として設立されているということでございます。こうした目的を達成するために、その下にありますけれども、財政融資資金の運用が法律上認められていると。政府の株式保有義務の関係は下にございますけれども、危機対応業務及び特定投資業務をそれぞれ行っていくために、一定数以上の株式保有義務が政府に課されていると、こういった状況になっております。

続きまして、5ページでございますけれども、こちらはDBJのほうでつくっております第4次中期経営計画、今年度までの計画になりますけれども、こちらでエネルギー分野をはじめとするインフラの再構築・強化やイノベーション促進等に取り組んでいるということで、特にリスクマネーの供給等々に最近重点的に取り組まれているということでございます。

続きまして、2ページほどおめくりいただきまして7ページですけれども、要求の概要でございます。今回のDBJの要求につきましては、まず一番上、事業規模につきましては、2兆6,000億円ということで、今年度の計画とほぼ同規模の要求となっております。一方で、それの財源をどうするかということでございますけれども、まず、一番下を御覧いただきますと自己資金等がございます。こちらは後ほども申し上げますけれども、回収・返済差額というものが来年度減少する見込みだということもありましてこちらが若干大き目のマイナスが立っております。その結果、一定の事業規模を確保するために、要調達額のところが若干増えているという形になっておりまして、財政投融資と自己調達、2つございますけれども、自己調達におきまして社債の発行を今年度に比べて300億円ほど追加的に発行するという要求になっております。それ以外の部分を財政投融資ということで、財投全体で1,200億円の増要求、そのうち財政融資につきましては1,500億円の増要求という形で出てきているということでございます。

次の8ページになりますけれども、今の説明を文字に落としたものでございますけれども、DBJはインフラ再構築・強化等へのニーズに対応することに加えて、特に足元では災害等の緊急事態に備えたレジリエンス向上といったものに積極的に取り組む必要があるということで、今申し上げたような財政融資の4,500億円の要求が出ていると。2つ目の丸、こちら産投ですけれども、イノベーション促進等に向けた民間リスクマネー供給促進の呼び水とするためということで、特定投資業務の財源として1,000億円の要求が出されているということでございます。

このページの一番下、参考2でございますけれども、特定投資業務につきましては、令和2年度末が投資決定期限ということになっておりますので、その後の在り方をどうするかということにつきましては、現在事務局であります官房の政策金融課のほうで検討会を立ち上げて議論を進めているというところでございます。

続きまして、その次の9ページ目でございますが、論点といたしましては今回2つ提起をさせていただいております。まず1つ目が、先ほど申し上げた財政融資の規模につきまして。論点2が民間との更なる連携・協働についてということでございます。

10ページ目、1つ目の論点として財政融資の規模でございますが、先ほど申し上げましたとおり1,500億円のプラスの要求となっておりますが、これが喫緊の課題である国際競争力強化やレジリエンス向上のためにしっかり対応していくという観点から事業資金を確保するということ。それから調達コストの抑制やALM等を踏まえた資金調達構成の点から見て合理的かどうかといった論点があろうかと思っております。その際、自己調達の一層の増加に向けた努力が求められているという観点から、自己調達の規模がどうかということもあわせて見ていく必要があろうかということでございます。

今申し上げた論点に関する背景になる説明資料ということになりますけれども、11ページ以降でございます。まず、設備投資の状況でございますけれども、全体の設備投資につきましては、今増加基調で推移をしてきているということでございますが、その中で業種別に見るとどうかというのが右側の折れ線グラフでございます。こちらは、設備投資をキャッシュフローで割った比率で見ておりますけれども、この折れ線グラフを御覧いただきますと、上の2つの折れ線グラフが比較的比率が大きく出ております。これが何かといいますと、丸でくくっておりますけれども、電気・ガス等の事業と運輸関係の事業、物流等を含んでいるわけですけれども、こういったところになっております。ですので、足元で見ますと、こういった業態が設備投資の資金需要が強いと考えられるということでございます。

その次、12ページでは、そういったところにどういうところからお金が出るかということになりますけれども、左、国内銀行全体の棒グラフですけれども、貸出金総額は順調に伸びてきております。そのうち、先ほど申し上げた運輸関係あるいは電気・ガス関係の業態がどうかということですけれども、一番この棒グラフの下のほうの2つの層になりますけれども、割合としては両方合わせて8.6%ということでやや小さ目ではありますけれども、もともと全体の金額が大きいものでございますので、ここに投資されている金額自体は順調に伸びてきている、着実に伸びてきているということかなと思います。一方で、DBJのほうですけれども、こちらは全体が13兆円規模という貸出総額の中で、約半分近い44%程度が先ほど申し上げたような業態に融資、お金が回っているということでございまして、このあたりの業種の資金需要にDBJとしてもしっかり対応してきているという絵姿が見てとれると思いますし、今後もそれが期待されているということかと思っております。

一方で、資金調達のほうでございます。13ページでございます。DBJの株式会社化以降、自己調達の割合を引き上げていくという観点からさまざま取り組まれてきているわけですけれども、まず、左、フローベースで御覧いただきますと、2008年度が47%ぐらいであったものが足元では57%ということで10%ポイントほど上がってきている。それからストックで見ても18%程度だったものが今32%程度ということ増加してきているというところが見てとれるところでございます。

そうした自己調達の割合を引き上げていく中でのある意味課題ということになりますけれども、DBJのほうで足元、電気・ガスとか鉄道とかというエネルギー・インフラ関係の融資をしていく中で、比較的長期の資金需要に積極的に対応してきているということです。それにあわせて、調達のほうもあわせて平均年限の長期化に取り組まれてきているということでございます。14ページ左の真ん中の表を御覧いただきますと、DBJの社債発行におきまして、この表に記載のない2013年度までは10年債以下のものしか発行してなかったわけですけれども、2014年度以降はここに記載しておりますとおり、超長期のところも積極的に発行を始めているということで、2018年度、昨年度は最長で40年債の発行までなされているということです。その結果、左下にありますとおり、平均発行年限なども順調に伸びてきているということでございます。ただ、他方でやはりマーケットサイズとの関係もありますので、発行ロットには一定の限界もあるということでございまして、出ていくほうの伸びに対して調達のほうの伸びはそこにまだ十分追いつけていない状態もあるというようなことでございまして、DBJの中でのALM上の課題が今存在しているという状況だというふうに聞いております。

続きまして、15ページでございます。資金調達に関するもう一つのポイントですけれども、先ほど要求の自己資金等のところで申し上げましたけれども、令和2年度以降回収・返済差額が減少していく見込みになっているということで、下のグラフを御覧いただきますと、2019年度から2020年度にかけて約2,500億円ほど減少する見込みになっております。その分自己資金が減少するということになりますので、喫緊の課題でありますインフラ関係等々の対応をしていくために、事業規模を維持していくためにはこうした減少分を賄っていかなければいけないということでございまして、調達のほうで財投を含めた形で全体として柔軟な資金調達を行っていく必要があるだろうということでございまして、こういった背景から冒頭申し上げたような来年度の財政融資の増要求がなされているというところでございます。

続きまして2つ目の論点、16ページでございますが、論点の2つ目、民間との更なる連携・協働についてということでございます。DBJにおきましては、超長期融資や投資・メザニンといったリスクマネー供給に積極的に取り組まれているということで特定投資業務などを通じてやっておられるわけですけれども、こうしたものが一定の成果を果たしてきているというふうに考えております。ただ一方で、オールジャパンとしてはまだリスクマネーの供給は諸外国に比べて限定的だというふうによく言われておりますので、こうしたリスクマネー供給におきまして、今後もDBJにおきましては民間等と連携して一層取り組んでいただくことが必要ではないだろうかと、そういった観点からの論点になっております。

次の17ページでございます。現在のDBJの取組状況でございますが、左下に円グラフがございます。ここではリスクマネーということで、エクイティ、メザニンなどに加えまして、融資におきましても10年を超えるような超長期の融資はリスクマネーというふうに定義をしてこのグラフをつくっておりますけれども、2010年度は44%程度だったものが2018年度は57%ということで、DBJの中でもこういったリスクマネーの供給というところにかなりの割合を傾けてきておられるということが分かるということでございます。

それから、民間との連携という観点から、右側でございますけれども、DBJと地域金融機関、いわゆる地銀等との共同でファンドをつくった数ということに関しましても着実にこれは増加してきていると。それから、右下にありますとおり、民間資金の呼び水効果ということで、特定投資業務でどのぐらいの効果があったかということに関しましては、DBJが1出せば大体民間が全体で4ぐらいついてきているというようなことでございますので、4倍程度の民間資金の誘発効果があるというふうに今のところ考えられるというところでございます。

最後に、全体としてリスクマネーの供給状況がどうなっているかということでございますけれども、18ページの左にあります3メガバンクの貸出状況という表を御覧いただきますと、こちらでは7年のところで分けておりますけれども、7年以下の貸出しのシェアが約8割ということで、7年を超えるものは大体2割ということになっております。さらに、7年を超えるその2割の中でも約8割が変動の貸付になっているということでございますので、そういう意味では長期・固定という部分ではDBJを含めた機関がこういった民間のところを補完しているという絵姿になっているんだろうと思っております。

それから、右側にありますプライベートエクイティの市場規模、あるいはベンチャー・キャピタル・ファンドの投資実績という表を見ても、日本は諸外国に比べてこの辺の資金供給がまだ十分ではないとよく言われておりますので、こういったことも踏まえながら、DBJにおきましては引き続き民間と一層連携・協働をしながらリスクマネーの供給というものに取り組んでいただくことが必要ではないかと考えられるところでございます。

私からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ただいま説明をいただいた件に関しまして、委員の方々から御意見、御質問をお願いしたいと思いますが、要求サイドの方々にもお越しいただいておりますので、直接御質問いただいても結構ですので、よろしくお願いいたします。

それでは、じゃ、渡部委員から。

〔渡部委員〕どなたがお答えになるのかちょっとよく分からないですけれども、質問というか考え方を確認したいんですが。

先ほど財政投融資のその規模の大きさ、どれぐらいが適切であるかという議論がありましたけれども、規模ではなくてやはり財政投融資、先ほどの長期インフラあるいは一定海外含めたリスクをとるという意味では、リスク量をどうはかって、財政投融資というのはリスク量をどうしていくんだというのがある意味では建設的ではないかと一般論として思います。

この政策投資銀行について申し上げれば、民間との連携・協働というのもあるんですけれども、やはり基本的には競合しているという面も否定できないところがあります。同時に、今後資金需要が見込まれる中で、自身による資金調達を工夫していかなければいけないという御説明もあったわけですが、いろいろなエネルギーを含めたインフラの整備等について、政策投資銀行さんが持っていらっしゃるのはやっぱりリスクをはかる能力を持っていらっしゃる。あるいはその特定投資というか、メザニン等の組成についてもやっぱりリスクをはかることができるということで、ほかの民間銀行、地銀さん等もついていけるということにあるとすれば、資金量というのは日本の中は、適切な言葉じゃないかもしれないですけれども、じゃぶじゃぶであることは事実。という意味では、よりリスクを計測するプロだということで、融資そのものよりも民間の融資に対して保証する、あるいは保険をかけるみたいな形での政策投資銀行さんのある意味でのプロフェッショナリティー、さらにスキルを磨いていくのはいかがか。特にインフラ、エネルギー含めたそういったものについてのこれまでの経験を含めて。そうするとよりいい意味での官民競合ではなくて、民間をサポートできると、よりはっきり出てくるのではないかなという考え方もあるのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

〔池尾分科会長〕じゃあ、お願いします。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕ありがとうございます。日本政策投資銀行の玉越と申します。

今ほどリスクをはかる能力があるという、ある意味過分のお言葉をいただきまして大変ありがとうございます。私ども過去旧開銀、旧公庫の時代から培いました、特に長期の融資でのリスクの計測、そしてそれをテークする能力というものはより一層磨いていきたいと思っておりますし、より深いリスクをどうとれるかというのが私どもの課題だと思っております。私ども、先ほど目的にもございましたけれども、完全民営化というのがある意味目的になっている機関でございますので、その上でもよりリスクというものをしっかりとっていくというところが必要なんだろうと理解をしてございます。

そうした中で、今ほど保証というお話をいただきました。私ども、当然保証の機能というのも有してございまして、そうした中で民間の金融機関さんから、あるいは取引先様から保証の期待というのも寄せられることがありまして、そちらに対応させていただいているというケースはもちろんであるんでございますけれども、ことインフラあるいは社会資本整備関連の長い資金、超長期の資金のところに関しましては、むしろ民間の金融機関さんがそちらを出してそこで私どもが保証するというのはなかなかちょっとケースとしては成り立ちづらいと申しますか、これは民間の金融機関さんが預金というのをベースにした貸出し、投資行動をされていらっしゃるというところもあろうかと思いますけれども、どうしてもそういったところの保証というものに対する期待が、特に期間が長くなればなるほど、残念ながら金額的に現状少ないというのが実情と理解をしてございます。

ただ、我々自身も当然ながら民間の金融機関さんとの協調というのが大事でございますし、私ども民間の金融機関さんとの適正な競争関係の確保というのが法律上もうたわれているところでございますので、より一層、民間の金融機関さんとの協調というところはしっかりと対応してまいりたいと思っております。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは、中里委員、お願いします。

〔中里委員〕どうも御説明ありがとうございました。

今、DBJさんは地銀さんなどと共同で地域に根差した融資、出資などをされていて、財政投融資について呼び水効果とかカウベル効果というのがあるんだということを教科書でよく説明しますけれども、それを立派に果たしてらして、それは大変意義深いことだと思います。

その上でなんですけれども、資金調達のことについて1つ伺いたいんです。説明資料ですと7ページのところに要求の概要が出ていますけれども、全体の構図からすると、回収・返済差額のところが減になっていて、そのために自己資金を充てる分が減っていて、それを財政投融資の要求増で全体の数字をある程度合わせるという形で今回の要求があるんだと思うんですけれども、この点についてなんです。

日本政策投資銀行法の中に「経営の自主性を確保しつつ」というふうにあると思うんですけれども、それと同時に、これからのことを考えると自立性、自分の足で立つ方の自立性ですね、それが大事なんだと思います。そういう観点からすると、自己調達で、要するに社債の調達をもう少し増やしていくことができないのか。現に今は発行環境からすると非常によい発行環境ですし、格付けも申し分ない格付けがついているわけなので、もう少しロットを増やしていくことができないでしょうか。急に増やすということはなかなか難しいと思うんですけれども、もしネックがあるとすればどこにあるんでしょうかということなんですね。

地方金融機構さんを見ていると、もう少し大きな額で調達をされていると思います。そういうことを考えると、地方金融機構さんは旧公営公庫ですし、DBJさんは旧開銀と旧北東公庫ですけれども、同じような形の歩みをされているので、そこのところを考えると、もう少し自己調達の余地があるのではないかなと思うんです。その点についてちょっと確認させていただきたい。以上でございます。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕ありがとうございます。

私どもは完全民営化というのを見据えて、当然自己調達の基盤を拡充していくというのは基本的な方向性でございます。したがいまして、それに沿いまして、13ページ目のところにございますけれども、社債あるいは民間借入れというところを毎年毎年できる限り増やしていくということで努力をしてまいっておりますし、今後ともこれを続けていくというのはまさにおっしゃるとおりだと私ども理解をしているところでございます。

一方で、実は規模感のところなんでございますけれども、13ページのストックのところを御覧いただきますと、実は社債の残高、私どもの機関債になりますけれども、2.2兆円という規模に達してございます。実は私ども、できるだけこの社債は増やしていきたいと思っておる一方で、民間の企業さんを含めました事業債の公募債のマーケットが、過去拝見しておりますと60兆円前後で大きく変わらないといいますか、そこ前後で動いていて、いろいろと金融ビッグバンというふうな話も言われながら、ここの公募債のマーケットのところが膨らんでいかないというところがございまして、そうした中で我々も毎年少しずつこういう形で社債の発行を増やさせていただいているんですけれども、証券会社ともいろいろお話をさせていただきながら年度年度の発行計画を立てさせていただいているんですが、やや正直この2.2兆円の規模となってきますと、これ以上増やすのがなかなかきつい状況になりつつあるのかなと。

それで、実は民間の事業債でいきますと、大きな規模で発行されていらっしゃるのが東京電力さんのグループがあるんですが、あちらで2兆円ちょうどというところでございますので、それを超える規模感に来ているという中においては、もちろん来年度についても増やしていくという方向には変わりはないんですけれども、なかなか一気に増やすというのが現実にはちょっと難しいというのも現状でございます。今回につきましての自己調達のところ、社債のところ、この300億円というところにつきましても、証券会社ともいろいろ話をしながらこのあたりが当面ちょっと限界かなというところでこういう数字を置かせていただいているというのが実情でございます。

〔中里委員〕どうもありがとうございます。

〔池尾分科会長〕それでは、工藤委員、お願いします。

〔工藤委員〕御説明ありがとうございました。

資料について、それから論点1、論点2についてコメントさせていただきたいと思います。

資料につきまして、先ほど12ページのところで、計画官からもお話がありましたけれども、割合としては小さいのですが、民間金融機関もこのインフラ分野での貸出は伸ばしてきているところでございます。また、18ページのところでございますが、全般として民間金融機関、3メガバンクの融資の期間が短いというお話でございましたが、例えばこれをインフラ分野、運輸・交通などに絞れば多分もうちょっと長いものが民間金融機関からも出ているのではないかと思います。私自身がインフラ向けのプロジェクトファイナンスなどを担当しておりますけれども、インフラや運輸の分野全体で民間の調達が非常に難しいという状態ではないと、そういう印象は持っております。

ただ、政策投資銀行様がこの分野で果たしておられる役割というのは非常に大きいと思っております。こういったインフラの分野というのは(ファイナンスの期間が)非常に長期にわたるため、民間の銀行が健全性の規制や出資規制などによって出しにくいリスクマネーを政策投資銀行様に供給いただくことで案件が組成できるということはあると思っております。よって、単に大くくりの業種で捉えるだけではなく、より具体的に、民間資金だけでは対応が困難な領域にフォーカスした形で取り組んでいただければと思います。そういう意味では、インフラ・運輸という分野でなくても、お金の種類が民業補完的であれば積極的に出していただいて構わないと思っております。

2点目、民間との連携についてですが、ここは政策投資銀行様にも御尽力いただいており、民間の銀行に勤める人間としても感謝申し上げたいと思っております。例えば、政策投資銀行様では、地域金融機関との投融資のノウハウ共有を目的として、出向者の受け入れや共同ファンドなどに積極的に取り組んでおられると承知しています。先ほど、まさにリスクをはかる能力があるとおっしゃっておられた先生もいらっしゃいましたけれども、私もそのように感じております。政策投資銀行様のこうしたノウハウを共有いただきつつ、少しでもリスクマネー供給の拡大に貢献できるよう努力しているところでございます。

ただし、銀行としては、やはり預金を預かっている業務柄、各種の規制も存在しますし、リスクマネー供給という点では量を出すプレーヤーになることは難しいと思います。ですので、どのような主体に今後量を担わせていくのか、その中で政策金融や官民ファンドはどういう役割を果たすべきなのかという全体論とあわせて議論していくべきだと考えております。これを踏まえ、今後の日本のリスクマネー市場のあり方について、しっかりと絵姿を描いていく必要があると思っております。以上です。

〔池尾分科会長〕特にお答えいただくことはないと思うんで。

〔工藤委員〕ないです。

〔池尾分科会長〕じゃあ、順番にお願いします。高田委員のほうから先にお願いします。

〔高田委員〕御説明どうもありがとうございました。私は1点、ちょっとお聞きしたい点がございます。

御説明いただきました資料で14ページの資金調達のところなんですけれども、拝見しておりましても、昨年度のところも40年債というようなところも含めて長期化の流れにあるという御説明をいただいたわけなんでありますけれども、これの今後の方向性というんでしょうか、例えば18ページのところを拝見しておりましても、民間のところとのすみ分けといいましょうか、特にエネルギー・インフラ関係のところでのリスクマネーと長期資金というようなことを考えると、ある程度それに対応した長い資金をという考え方もあるだろうと思うんですが、この辺の方向というんでしょうか、お考えのところを少し確認させていただければという点でございます。以上でございます。

〔池尾分科会長〕いかがでしょうか。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕ありがとうございます。

私ども、まさに法律上の目的等にもございますが、長期の事業資金というところにしっかり対応していくという意味で、特にこれまでインフラの分野に力を入れてきたところでございますけれども、今後についても私どもが取り組む一つの重点分野というところにエネルギー・交通インフラといったところはなってこようかと思います。それに対応していくと、当然ながらできる限り長い資金を、長い社債を発行していきたいなとは思っております。ですから、今後の方向感といたしましても、こういった20年、25年、あるいは30年債といったようなところ、あとはちょっとこれどこまでマーケットで受け入れられるかというのは分からないんですけれども、例えば50年債とかそういったところにも取り組めないかということは考えてございます。

ただ、少し現状で申し上げれば、やはり長い債券を出すにしてもなかなかロット面のところでちょっと十分な金額が出せないというのが現状でございまして、このあたりをどういう形で投資家層を広げながら長い社債を出していけるかというところが大きな課題だと認識をしてございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、家森委員、お願いします。

〔家森委員〕ありがとうございます。

まず、民間との連携というのは今後もぜひ進めていただきたいと私も期待しております。その点から、この資料との関係で質問をさせていただきたいと思います。今世の中には、長期の資金でインフラ投資を行うという大きなニーズがあります。そのニーズに対して、なるべく早く対応できればと思うんですけれども、今回要望されている額よりももっとたくさんできないのは、DBJさんの能力、つまりハンズオン支援したりする能力が足りないからなのか、それとも資金調達の制約があるからできないのか、あるいは民間と連携する条件があるのに民間がついてきてくれないからできないのか、実はニーズがこのぐらいしか増えていっていないからなのか、どういう理由でこのぐらいの水準の要望となったと考えればいいかというのが1つ目です。

2つ目はリスクマネーについての今日の御説明のところで、例えば8年前と比べると、エクイティ的な資金がかなり増えたと、こういう成果があったとのことでした。つまり、資金供給の面では成果があったことになりますが、これが実体経済にどういう成果があったかという点、言い換えれば、DBJさんがこれをしなかったら――仮定の話になりますけれども――こんなふうにしかならなかったのが、DBJさんがやったからこんなによくなったぞということが、今日でなくても結構ですけれども、わかるとよいなと思います。

3つ目は、14ページのところですが、資金調達に関して、DBJにはALM上の課題が存在すると書いてあります。調達のほうはこの数年8.5年ぐらいで大体横ばいになっています。ここではアセットサイドのDBJさんの年限がどの程度かというのが分からないんですけれども、調達期間はもっと長くしないといかんのだけれども、今のところ制度的に8.5年ぐらいに、例えば超長期債があまり発行できないので、とまっているのか、8.5年ぐらいがちょうどよいころまで来ていて、これを維持するのが課題という意味なのでしょうか。この課題の意味を教えて下さい。以上でございます。

〔池尾分科会長〕ありがとうございます。

難しいでしょうけれども、手短にお願いします。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕まず、今回お願いさせていただいている財政投融資のこの規模のところについては、エネルギーあるいは鉄道という私どものお客様の声というものを一定踏まえて、これぐらいの一定の資金需要というものを来年度どういう形になるかというのを見込んだ上で対応させていただいているという次第でございます。もちろん事業者様としては、当然ながらこういったレジリエンス対応の災害への備えという投資というのはもちろんこれはもう挙げれば切りがないところでございますが、一方で工事を進めていかれるスピードというところもございますので、年度といたしましては、こういった金額感なのかなと思ってございます。

それから、リスクマネーの関連のお話に関しましては、これは私どもなりにできる限りのことをやらせていただいているというところでございますけれども、何分社員数1,000名というところもございまして、何でもかんでも取り上げることが可能というところではございません。その部分を地銀さんと連携することで、少しでもリスクマネーの案件を拾い上げていければなということで取組をさせていただいているという状況でございます。

それから、17ページのところですね、エクイティのところを増やして、おかげさまで何とか少しずつではございますけれども、増やすことができてきたというところでございますが、これがなかったらどうかというのはなかなか定量的に申し上げるのは大変難しいかなとは思うんですけれども……。

〔池尾分科会長〕ちょっと質問としては無理な質問。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕ただ、現実に幾つかこういったところでリスクマネーが出なければ、プロジェクト自体がなかなか進まなかったという事例は幾つかありまして、先ほどございました特定投資の検討会なんかでもそのような例を少し挙げさせていただいているという次第でございます。

〔池尾分科会長〕年限8.4年の件。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕ALMの、14ページ目でございますけれども、我々としてはこれは正直申し上げて、もう少し融資のほう、この超長期のインフラ対応ということを考えれば伸ばしていきたいと思ってございます。

ただ、繰り返しではあるんですけれども、長期の社債が残念ながらまだニーズが十分にないというところもございまして、今現状こういう8.4年という状況にとどまっておるんでございますけれども、できるだけこちらのところは伸ばしていくことでより一層インフラあるいは社会資本整備の資金に対応できるというようにはしてまいりたいと考えております。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

じゃあ、川村委員、お願いします。

〔川村委員〕お聞きしたいのは、回収と返済の差額のレベル感を今後どう見ていくかということなんです。というのは、この12ページを見ていますと、国内の銀行がこの5年間で15%ぐらい全体で貸出を増やしていますけれども、DBJはむしろ弱含みというかむしろ減らしていると。結果としてインフラ関係が金額自体は変わってないのでシェアが増えていると、よく見るとこういう図式になっているわけですね。ここから見ていると、それほど言われているほど民業圧迫というのは起こってないんだろうなという感じがする一方で、このDBJという略語が、かつて民間銀行だったIBJの役割を結構現在果たしているのかなと。ただ、それがだんだんインフラ投資銀行になってくのかなと。そうなると、他方で民営化という法律上の大きな今後の議論として前提としてある中で、どういうサイズ、どういう中身がいいんだろうかというのがおそらくDBJの中でもいろいろ議論されているんじゃないかと思うんです。

そういう中で、先ほどの差額の部分なんですけれども、2,500億円減ったからってこれでしばらくたつとまた戻ってきますよね。直近で8,000億円ぐらいですか、それが5,000億円台まで来ちゃうけれども、まだ7,000億円ぐらい戻っていくというときに、その過去と比べたときに全体の動きを見て、極端なことを言えば、もともとプラスだからいいじゃないかと。ただ、ALM上当然出入りがあるからそこの部分をどこかから補塡してこなきゃいけないというものがあるとしたならば、例えば現在のこの貸出しとか、中身としてインフラの長いものが増えていくという構成の変化という、それによってALMの変化を勘案したときにどのぐらいの回収差額がいいと考えておられるのか。それをちょっと教えていただけないかと思います。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕回収・返済差額について言うと、私ども先ほど申し上げたものとしても長期の融資対応のウエートが高いというところとか、それから一方で、融資だけではなくて私ども最近リスクマネーの供給というところに力を入れさせていただいていまして、この観点で申し上げると、ややどういうタイミングでエクイティ性の資金がうまくイグジットできるかというところの読みづらさというところも出ておりまして、この回収・返済差額につきましては、この2020年、21年、22年度と6,000億円程度に落ち込むというところでございますけれども、でき得れば7,000億円ぐらいから8,000億円ぐらいというところがある形であれば、きっちりとした健全性を確保した業務運営ができるのかなと私どもとしては考えております。

〔池尾分科会長〕ありがとうございます。

じゃあ、冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。

幾人もの委員からDBJはリスクの計測能力が非常に高いというお話がありました。それは言ってみれば金融業の収益を得るための根源としての情報生産能力が非常に高いということでおられるわけですが、そうすると現在の民間金融機関ももっともっと頑張ってほしいと思います。

お聞きしたい点があって、このリスク計測能力を融資とそれから出資といった分野に分けてなんですけれども、融資のほう、これはもう超低金利の中ですので、デフォルトリスクに対してどのように備え、また融資の金利について、スプレッドをどのように設定しているかということが一つと、もう一つは協調融資をなさる場合に、民間とのデフォルトリスクをどのように分担しておられるのかという点についてです。それから、出資のほうは要求が1,000億円です。そうすると、これまで御説明いただいたことで言うと、この新しい年度に民間の資金と合わせると4,000億円の規模のファンドができると。規模で言えば4,000億円、それはどういう領域についてお考えなのか。単に量だけなのか、どういう領域があるからこれぐらいの規模なんだとか、そういうどちらかといえばその中身からお聞きしたいというのが出資についての質問であります。あ、5倍か。5,000億円。非常に大きい規模ですね。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕まず、私ども融資のところの金利設定につきましては、これはもう民間金融機関様と同様でございますけれども、事業あるいは企業の格付けといったところを、これはきっちり私ども内部格付けでもって評価をさせていただいて、その格付けに見合うデフォルトリスクに該当する部分のコストというものを乗せるという形でスプレッドを当然いただくというのを基本にさせていただいてございますので、何かマーケットなり経済環境が特に急変すればこれだけでは難しくて、例えば資本のバッファーでカバーするのかという議論は出てくるかと思うんですけれども、そこまでの範囲でなければ、基本的には融資でいただくスプレッド、利ざやというところの中で、基本的にはデフォルトのリスクも賄わせていただけているというところかと思っております。

それで、民間金融機関さんとのリスクシェアのところについては、これは私どもと民間金融機関さんとで例えば同じシニアローンの階層という形で対応させていただくケースであれば、仮にデフォルトリスクが発生すれば、これは融資金額見合いでのリスクをこうむるという形にもなりますし、私どもが例えばメザニンの資金を入れる、あるいはそれに対して民間の金融機関さんがシニアローンを入れられる場合であれば、これは私どものほうから先に損失が発生すると、そういう構図になっておろうかと思います。

それから、投資のほうでございますけれども、産業投資を来年度1,000億円要求をさせていただいてございます。これは特定投資業務のほうの原資になる部分でございますけれども、特定投資業務につきましては法定の要件がございまして、企業の、あるいは我が国産業の競争力強化に資する事業か、あるいは地域の活性化に資する事業かというところでこの要件が定められておりまして、その要件に合うものに対してリスクマネーを供給していくということでございます。大体過去の事例でいきますと、件数的にはこの競争力強化という文脈の案件、それから地域活性化という文脈の案件、大体半々なんでございますけれども、金額的にはやはり競争力強化といいまして、例えば大企業さんが新分野に進出をされる、あるいは新しい事業に取り組まれるといったような、そちらのところがウエート的には大きなものになっているというのが実情でございます。

〔池尾分科会長〕林田委員、どうぞ。

〔林田委員〕手短に1点だけ。

14ページのグラフで平均調達年限が8.4年となっていると思うのですが、平均の運用年限というのがどれぐらいで、趨勢としてはどうなっているのかと。今後、それがさらに長期化していくということになると、そのミスマッチが大きくなっていくのか、それに対する解決策というのはどういうことを考えていらっしゃるのか、そのあたり、分かればで結構です。

〔池尾分科会長〕ちょっと、そうしたら先に江川委員、先ほどありましたように授業等の関係で退室されましたが、御質問があるということで御質問を残されていますので、それは先に湯下課長から御紹介いただきたいと思います。あわせて後でお答えいただくということで。

〔湯下財政投融資総括課長〕まず、コメントのほうでございます。イノベーションを喚起するにはリスクマネー供給ばかりでなくエコシステムづくりが極めて重要である。エコシステムづくりに今後とも注力していただきたいということでございます。

続きまして質問でございますが、起業を検討している人へのコンサル、ネットワークづくり、人材教育などエコシステムづくりでDBJが貢献できる点は多いかと思うが、現在どのような取組を行っておられますかという御質問でございます。

〔池尾分科会長〕まず、運用側のデュレーションというのか、そちらの話からお願いします。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕平均的な運用のところ、これは年によってぶれがあるんでございますけれども、直近で申し上げれば、7.4年というところになってございます。なお、ストックベースでは、運用5.6年に対して調達5.2年と運用サイドの方が長い状況でございます。これ、実は平均でならすとこういう絵姿なんですけれども、実態的には、社債による調達は長い年限と短い年限に偏っていて、かつ満期一括償還である一方、運用は元金均等償還が多いため、キャッシュフロー・ギャップの解消が中々難しいという課題がございます。

〔池尾分科会長〕じゃあ、続きましてイノベーションのエコシステムづくりに関連しての御質問にお答えいただけますか。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕イノベーションのエコシステムづくりというところにつきましては、私ども特定投資業務を通じまして、先ほど企業の競争力強化という一つの政策目的を説明させていただいたんですけれども、その中で例えばなんですが、宇宙の小型ロケット開発でありますとか、あるいは月面探査のプロジェクトなんかに取り組ませていただいてございます。実は、こういうケースにつきましては、さまざまな要素技術を持つ日本の企業さんの力を合わせて取り組んでいくということがポイントだと思っておりまして、まさにそういう企業さんを糾合する形でプロジェクトを進めていくということが大事だろうと思っておりまして、まさにそうしたものが一つのエコシステムということが言えるのかなと思ってございまして、こういう取組をできる限り増やしていくことで、より日本企業のイノベーションのところの強化というところに努めたいと考えております。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、大分時間が超過しておりますので、このあたりで質疑を終了したいと思いますので、本日まだ十分に議論できなかったということがありましたら、事務局経由で追加の質問を出していただくということで対応させていただきたいと思います。

それでは、政策投資銀行と担当部局の方の皆様には御退席をお願いします。

〔日本政策投資銀行玉越執行役員業務企画部長〕どうもありがとうございました。

((株)日本政策投資銀行 退席)

〔池尾分科会長〕かわりまして、日本政策金融公庫の方々に入室していただきます。

((株)日本政策金融公庫 着席)

〔池尾分科会長〕それでは、日本政策金融公庫につきまして、同じく柴田計画官より要求の概要及び編成上の論点について、御説明をお願いいたします。

〔柴田計画官〕よろしくお願いします。それでは、時間もちょっと押しておりますので、できるだけ手短に御説明申し上げたいと思います。

資料3を御覧いただきまして、まず目次等々何枚かめくっていただきまして、3ページでございます。3ページ、公庫の組織の概要を載せております。こちらの説明は省略させていただこうと思います。

4ページ、事業規模等の推移になっておりますけれども、基本的に足元の事業規模に関しましてはリーマン・ショック以前ぐらいの規模に戻ってきているというような状況になっております。

それから、次の5ページ、国民事業の特徴ですけれども、一言で申し上げますと、小口無担保の融資が主体ということで、非常に平均融資残高も小さいと。それから無担保融資の割合も約9割程度になっているというのが大きな特徴として挙げられるかと思います。

それから、次の6ページ、中小企業の特徴でございますけれども、民間金融機関と比べての特徴としては、下に円グラフがありますけれども、貸出期間が比較的長めということで、5年超の長期固定金利の割合が3分の2ぐらいということでかなり高めになっているというのが大きな特徴かと思います。

続きまして、最近の重点政策分野でございますけれども、まず8ページ目は成長戦略等で取り組むこととされている閣議決定等の文書を参考までに載せております。

こうした分野に対する公庫の取組ということで、次の9ページ目からでございますが、まず、創業・新事業支援につきまして、主要な都市に創業支援センターやビジネスサポートプラザといったものを設置いたしまして、幅広くニーズを酌み上げるという取組を強化されているということで、右のグラフにありますとおり順調に融資実績も伸びてきていると。ここ3年ぐらいは2万8,000件先程度ということで、高水準で推移をしているということでございます。

続きまして、10ページが資本性ローンの実績ということで、こちらにつきましても制度導入以降、国民事業、中小事業ともに順調に伸びてきているという姿が見てとれるかと思っております。

続いて、11ページでございますが、こちらは平成元年以降に新規株式上場した企業のうちどれくらいの人たちが国民事業なり中小事業と付き合いがあったかということでございますが、左の円グラフにありますとおり、約3割の上場企業がその上場前の段階で国民事業なり中小事業とおつき合いがあったということになっておりますし、右側、各市場ごとに見ても、マザーズ、ジャスダック、それぞれ4分の1程度の付き合いがあったということでございます。

続きまして、2点目の事業承継でございますが、事業承継に関しましても民間金融機関や関連団体と連携しながら取組を強化しているということで、こちらに融資実績がございますけれども、ここ二、三年でかなり大きく伸びてきているという姿が見てとれるかと思います。

次の13ページですけれども、さらにこうした資金面の支援に加えまして、最近の取組として、例えば情報提供ですとか、あるいは経営者に対する意識喚起、あるいは右のほうに図がございますけれども、後継者不在の小規模事業者と創業希望者などを結ぶマッチング支援ということで、特にこちらに関しましては今年度から公庫に担当の部屋を設けて取組を強化していると聞いているところでございます。

それから、次の14ページが3点目、ソーシャルビジネス支援ということで、高齢者・障害者の介護・福祉や子育て支援などの地域の担い手に対する支援ということで、いわゆるNPOの方々などに対する支援ということでございますけれども、金融支援はもとよりそれだけではなく左にありますとおり、さまざまなネットワークづくり、ワンストップ支援をするためのネットワークづくりといったものに公庫としても積極的に参画をして取組の支援を強化しているということでございます。

以上が最近の主立った取組でございまして、続きましてセーフティネットに関してもおさらい的なものになりますけれども、16ページをお願いいたします。セーフティネットの融資実績ですけれども、リーマン・ショック後に大きく伸びたわけですけれども、その後比較的落ち着いてきたということでございます。30年度のところで大きく落ち込んでおりますけれども、こちらは30年度から一部のセーフティネット貸付の中で、基準金利からの金利の引下げの措置を一部終了したというようなことが影響があると聞いているところでございます。

それから、17ページが公庫と民間の関係ということでございまして、黒い折れ線が民間銀行の貸出残高の伸び率ということでプロットしておりますけれども、公庫のほうが赤と青ですけれども、特に中小事業の赤の折れ線を御覧いただきますと、黒い民間のところがへこむところでは赤が出ていき、逆は逆ということで、基本的に逆相関のような関係が見てとれるということで、公庫が民間の補完的な役割を果たしているという姿が見てとれるのではないかと考えるところでございます。

続きまして、18ページでございますが、最近の取組ということで、豪雨・地震への対応ですが、こちらには平成30年度の7月豪雨、あるいは北海道胆振東部地震に対して相談あるいは融資をした実績を載せさせていただいております。まだデータとしては取りまとめていないと聞いておりますけれども、今年度の災害に関しましても同様の取組をされているということかと思っております。

続きまして、民間との連携ということでございます。20ページをお願いいたします。最近こちらの取組が強化されているということで、特に平成30年度以降ということでございますけれども、左にありますが30年度の取組を御覧いただきますと、金額の大きな融資相談は協調融資を徹底するですとか、あるいは2つ目の丸にありますとおり、現場レベル、役員レベル、さまざまなレベルで民間金融機関との対話を促進して、顔の見える関係をつくっていると、こういったことに取り組まれている。右側にありますとおり、今年度以降もそのような取組を一層強化するような形で進めておられるということでございます。

続きまして、協調融資の実績でございます。21ページは金融機関別のデータとして載せておりますけれども、都銀、地銀、第二地銀、信金と分けておりますが、いずれのところを見ても基本的には増加傾向にございますし、特に30年度という一番右の青い棒グラフのところでかなり大きくが伸びているという絵姿が見てとれるかと思っております。

これを中小と国民で分けたものが次のページのグラフでございまして、左が国民、右が中小ということでございますけれども、国民事業に関しましても順調に協調融資の実績が伸びておりますが、特に中小企業のほうで30年度は大きく伸びておりまして、顕著にこの効果があらわれているということかと思っております。

その中小事業の中での協調融資の割合でございますが、次のページを御覧いただきますと、29年度と30年度を比較しておりますが、29年度は金額で言えば左側、3割弱ぐらいだったものが、30年度には8割程度まで一気に増えてきていると。右側の件数で見ても20%ぐらいだったものが55%ということでかなり大きく伸びているということが見てとれるかと思っております。

続きまして、24ページでございますけれども、貸付制度に関しましても適時見直しを行っているということでございまして、ここに書いてありますように、特利間の金利格差の維持ですとか、2つ目は、先ほどちらっと申し上げましたけれども、セーフティネット貸付につきまして、金利の深堀り措置を一部見直したというようなこと、それから最後に恩給担保貸付の縮減ということで、福祉医療機構の年金担保貸付の廃止が行われることに合わせて、同様の制度であります公庫の恩給担保貸付の一部につきましても同じように見直しを行うといったことがなされているということでございます。

こうした種々の民間との連携・協調といった取組を進めてきた結果として、資料にはお出ししておりませんけれども、本年7月の全銀協などの民間の5団体が公表された文書におきましても、足元では濃淡はあるものの民間金融機関と政策金融機関との望ましい関係構築に向けて前進しつつあるといったような記載がなされているといったところでございます。

最後に、こういった最近の取組状況も踏まえまして、令和2年度要求の概要ということでございますが、26ページでございます。今まで申し上げてきたようなさまざまな政策的な対応、創業支援ですとか事業承継支援等々、あるいはセーフティネット、こうしたことにしっかり引き続き対応していくという観点からの要求となっております。国民事業、中小事業ともに事業規模あるいは財投規模もこの数字を御覧いただきますと分かりますとおり、基本的には令和元年度、今年度の当初計画額とほぼ同水準の要求となっているところでございます。

最後、27ページでございますが、こうした公庫の役割としては、政策的な対応支援とともにセーフティネットの機能をしっかり発揮すると。その際、民業補完を旨としながら民間金融機関とも連携すべきということでございますけれども、最近の取組といたしましては、そういった方向で進められてきていると私どもとしても認識をしておりまして、最後の一番下の矢印でございますけれども、公庫においては経済社会情勢の変化を踏まえながら的確かつ柔軟に対応しつつ、こうした取組を継続・促進していく必要があるんじゃないかと考えているところでございます。

以下、参考資料をお付けしておりますので、説明は省略させていただきます。以上でございます。よろしくお願いします。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは、本件につきましての質疑に移りたいと思いますが、先ほど同様要求側の関係者の方々にもお越しいただいていますので、直接御質問いただいても結構です。それでは、いかがでしょうか。

川村委員。

〔川村委員〕大きく2つありまして、1つはセーフティネットのところ、先ほど総論のところでもちょっと問題提起というか申し上げたんですけれども、この16ページでしたか、ずっと減ってきていて。ただ、他方で2つの理由からちょっと気持ち悪い。というのは、約10年落ち着いて低水準で来ているが、このところ自然災害なんかも多い中で、先ほどの総論のところで要求額から見ると横ばいになっていて、他方で制度変更等でセーフティネットにもきっちり備えるんだということなんですけれども、それをもう少し具体的に数字を伴って教えていただけないかということが1点目です。

それからもう一つ、2点目は事業承継対応のところなんですが、私、公庫全体で民間機関との協調に全力を挙げろという指示が大変徹底しているのかなと、非常に成果を上げてきていいことだと思うんですが、ちょっと違和感を覚えるのは、例えば商工中金にしてもこの事業承継ってものすごく大事にしています。民間の金融機関も全部事業承継です、テレビのコマーシャルも事業承継、保険会社も事業承継、証券会社も事業承継と、相続と。要するに、相続と事業承継が一大ビジネスチャンスだ、って民間がわあっとなだれ込んでいる中に、どうも言っていること皆さん同じなんですよね。ここで、特に国民も中小もそうですけれども、公庫としての、公庫だから事業承継のこういうところのコアコンピタンスを持っているんだとか意味があるんだとかいうことを教えていただけないかなと思うんです。何か猫もしゃくしも事業承継みたいになっていて、ここに公的な金融機関がどういう形で出てくるのかというのは、それこそ民間協調の分野でもあると同時に、商売考えている民間にやらせときゃいいんじゃないかという部分もあるんじゃないかと思うんです。この点についてどう考えるか。この2点を教えていただければと思います。

〔池尾分科会長〕じゃあ、まずセーフティネット関係に関しては、どなたからお答えいただくのがいいですかね。

じゃあ、中小企業事業部門。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕中小企業事業の岡崎と申します。よろしくお願いいたします。

御指摘のセーフティネットの関連の貸付けにつきましては、こちらに書いてあるグラフのとおりでございまして、リーマン・ショックのときというのはまさに日本公庫は日本公庫として成立をした翌年こういうのが発生をしてございまして、これに対応するということで一気にこのセーフティネット貸付を実施したわけでございますが、以降それぞれの対策に応じて、その時々のメニューで、例えば東日本貸付、それから熊本貸付、西日本豪雨貸付という形の制度を御用意いただいて、我々はその場でお客様にきめ細かく関係機関と連携させていただきながら対応させていただいております。

〔池尾分科会長〕川村委員、それでよろしいですか。

〔川村委員〕そこは分かった。もうちょっと具体的に数字――これ件数だけですよね。件数、金額は出ているんですけれども、今後についてです。つまり過去のトレンドはここで出ているんですけれども、分かりやすく言うと、来年危機が起こったときどうするんですかという質問です。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕セーフティネット貸付につきましては、例えば中小事業であれば、昨年度4,000億円台で推移しており、今年度もちょっと減少してきてございますけれども、貸付規模は比較的潤沢に御用意いただいているところもございますので、そういうところを御利用させていただきながら、弾力的な対応をさせていただけるように考えてございます。

〔川村委員〕これ、マルホなんかも最終的には日本公庫がラストリゾートになっていますよね、信用保証制度なども。いざとなったときに、結局信用保証をしたときにめぐりめぐってほかの公的金融機関も含めて最終的には全部公庫が最悪の場合に面倒見るという形に制度的になっていたかと思うんですけれども。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕それは信用補完制度のほうでございますね。日本公庫の中小事業の信用保険部門というところが全国の信用保証協会さんが引き受けられた保証に対して再保険をかける仕組みがございまして、対応させていただいております。

〔川村委員〕ということは、保険業者が最終的に……。

〔池尾分科会長〕いや、再保険……。

〔川村委員〕再保険っていうのはこっちでしょう。

〔池尾分科会長〕自体を提供されているっていうことですよね。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕はい。そういうメニューを提供させていただいております。

〔川村委員〕だから、最終的には公庫ですよね。

〔池尾分科会長〕まあそうですね。

〔川村委員〕だから、僕が言いたいのは何かというと、いわゆる激甚的な危機があったときに、今完全に巡航速度で見ているけれども、いざというときの備えもちゃんとしておいたほうがいいのではないでしょうか、そこはどうでしょうかという質問の趣旨です。

〔池尾分科会長〕ある程度枠は既にとってあるということですね。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕来年度要求は1兆5,000億円を中小事業では要求をさせていただいておりますが、今年度の実績はおおむね1兆2,000億円ぐらいで推移をするかと思ってございますので、3,000億円ぐらいの余裕は今のところあるかなというふうに思います。そういったところでまずは緊急なものに対しては対応していくということを考えてございます。

〔川村委員〕ありがとうございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございます。事業承継については国民生活事業本部のほうですかね。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部田中事業企画部長〕かしこまりました。事業承継について御説明させていただきます。国民事業でございます。

国民事業におきましては、事業承継における課題をどう捉えているかということなんですけれども、いろいろな金融機関がそれぞれの目線で事業承継について取り組んでおられますが、国民事業においては2つ観点を持っておりまして、1つは安易に廃業に傾きがちな経営者の意識、それと後継者の確保が困難であると、こういう2つの課題をどういうふうに捉えて取り組んでいくかということを考えております。

1つ目の経営者の意識の部分につきましては、昨年でありますと事業承継税制の説明会の開催であるとか、あるいは資料の中にも書きましたが、事業承継の大切さを伝える動画を制作したり、あるいは事業承継に向けたワークブックを提供すると、こういった取組を資金提供以外にも行ってきているというところでございます。

もう一つ、事業承継の課題として捉えております承継先の確保支援という部分につきましてですけれども、これにつきましては、先ほど御説明の中でもありましたが、本部の中に室を立ち上げまして、東京を試行的にということではございますけれども、事業承継のマッチング支援ということの取組を開始しているところでございます。

〔池尾分科会長〕もう一つ差別化が……。

〔川村委員〕今民間の金融機関から聞いても同じような答えが多分返ってくるんじゃないかなと思うんですね。だから、公庫としてこうだというものがあったほうが、先ほどの民間とのデマケっていうんでしょうか、今もう犬も歩けば事業承継みたいな世の中で、特段公庫はこれができるんだとか、だからやってるんだというものがちょっと欲しいので、今のお話はそれはそれで非常に重要なことで、大事なことで結構だと思うんですけれども、正直満腹感が過ぎちゃっている。それをお願いということで質問を打ち切ります。

〔池尾分科会長〕この場でということではなくて、また事務局を通じてお答えいただく……。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部田中事業企画部長〕一つ補足をいたしますと、国民事業は創業を重点的に取り組んでいるというもう一つの柱がございます。これに関して、事業承継の部分と関連して、事業承継で廃業されていく方たちを創業につなげていくと、創業されたいと、創業希望者につなげていくと、こういう取組につきましても昨年ぐらいから始めまして、今年度重点的に取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。補足でございます。以上でございます。

〔池尾分科会長〕ある種のそういうシナジーみたいなことが公庫の場合は特に期待できるということですか。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部田中事業企画部長〕はい。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

じゃあ、改めまして、野村委員、お願いします。

〔野村委員〕御説明ありがとうございました。

1つは質問で、1つはコメントです。公庫が民間金融機関との連携というあるべき姿に向けて大きく前進しているということが、23ページの協調融資の実績からも見てとれます。わずか1年で金額ベースで28.1%から76.4%に大きな飛躍を遂げたのは一体どんな取組をされたのか、ぜひとも伺いたいところです。他の機関とノウハウを共有する、横展開することができたらということで伺いたいというのが1つです。

それから、もう一つコメントです。創業支援という取組が、資料でいうと9ページにあります。創業支援センターを全国15カ所、ビジネスサポートプラザを全国6カ所に置いているということですが、あるべき姿としては、少なくとも都道府県に1つぐらい創業支援センターがあってもいいと思います。もちろん全国に支店があるのは承知していますが、対象が中小企業、非常に小規模な事業所さんを対象とするならばなおのこと、創業支援という分かりやすい看板を掲げることが必要だと思います。創業希望者が推計で73万人ほどいるとしたら、あそこに行けば創業の支援を受けられるという分かりやすい看板を掲げての支援センターが全国にあるといいのではないかと思います。以上です。

〔池尾分科会長〕じゃあ、お願いします。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕それでは、1点目の御質問について、中小事業から御回答させていただきます。

中小事業では確かに30年度から劇的に変わっているところはございますが、一番大きいところは、やはりお客様の理解を得た上で、金融機関様と直接協調融資についての話をさせていただけるところかと思います。この取組を徹底したというのが一番大きいかと思います。

今まではどちらかというとお客様だけを通じて、お客様にお願いをして、金融機関様とこの融資についてはどうしましょうという調整をお客様との接点で対応させていただいたんですが、さらに今回は協調融資ということのお願いをお客様にもしますし、さらにそれを金融機関様に確認させていただくという取組を徹底をいたしてございまして、その結果、金融機関様との関係もできますし、お客様との3者で合意をして、きちっとその協調体制がつくれたということが一番大きいかと思います。以上でございます。

〔池尾分科会長〕2番目はコメントでしたが、もっと増やす方向で取り組まれているのか、やっぱりいろいろな資源制約からこれぐらいしか無理なのかというあたりはいかがでしょうか。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部田中事業企画部長〕国民事業でございます。貴重な、大切な御意見をいただきましてありがとうございます。

今お話がございましたとおり、人員的な部分とか組織的な部分もありますので、ちょっと制約はありますけれども、そういった貴重な御意見をいただいたことを踏まえて検討してきたいと思います。

ちなみに、これはセンター、それからビジネスサポートプラザということで15拠点、6拠点やっていますけれども、先生もおっしゃっていただいたように、全国に支店があって、各地域に行きますと各地域の支店がそういった創業支援の拠点として機能しているという実態としての部分がございますので、そういったところにも力を入れてきちっと創業のサポートができるように努力をしていきたいと考えております。ありがとうございます。

〔池尾分科会長〕それでは、高田委員、お願いします。

〔高田委員〕どうもありがとうございます。

ちょっとお聞きしたかったのが、この創業・新事業支援というところなんですけれども、これ自体非常に意義があることで、今日本経済全体をとりましても非常に重要な論点だと思うんですが、いただきました資料の中で御説明いただいたところの中で、右側の絵なんですけれども、創業前及び創業後1年以内の企業への融資実績ということ、これは件数なんですが、ここ三、四年というんでしょうか、伸びがとまってやや下がっているような見え方をしているんですけれども、これは確かにその前半部分のところでさまざまなサポートをしておられるということなんですが、やっぱりかなり飽和状態になって天井感が出てきていることなのか、それとも例えば次の10ページ目のところにありますように、資本性のローンの融資実績は伸びておりますので、こういう資本性でありますとか、場合によっては金額面のところではある程度大きくなっているというふうに理解させていただいたらいいのか、その辺のところをちょっとお聞きしたい。

それともう一つ、先ほどちょうど事業承継について皆様方の特色がどうだというお話があったんですけれども、同様にいたしまして、この創業・新事業支援のところ、他の金融機関と比べての皆様方の特殊性ですとか、もちろん最初のところに全般的なところの特殊もしくは特色というのはあったんですけれども、特にこの創業・新事業支援のところに関しての特性、メリットといいましょうか、民間との違いというんでしょうか、この辺のところ、もしコメントがございましたらいただければと思った次第でございます。以上です。

〔池尾分科会長〕それでは、お願いします。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部田中事業企画部長〕国民事業でございます。

今、先生から御指摘いただきましたとおり、9ページにございますとおり、件数的に2万8,000件で最近横ばいになっていると、こういう御指摘をいただいたところでございます。ここの部分について、正確な横ばいになっている理由がこれだというところは把握していないというのが実態でございますけれども、ここ数年この資料の中でも御説明をさせていただいたとおり、民間金融機関との連携を強化してきておりまして、国民事業においては多くは民間金融機関との連携は創業部分での連携が多くなっております。したがいまして、こういう中で民間金融機関との目線合わせができるようになり、民間金融機関も創業に対して積極的になっている部分があるのかなと考えております。

それから、続けてよろしいでしょうか。

〔池尾分科会長〕はい。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部田中事業企画部長〕続けて、創業あるいは新事業の部分についての特徴的なところというところで、特色というようなお話がございましたけれども、国民事業の部分は小規模事業者を対象にしております。9ページで申しますと、御案内のとおりになってしまうんですが、左側にピラミッド型があって、裾野の広い創業支援ということでお書きさせていただいていますけれども、まさに身の丈創業、小口の700万円から1,000万円ぐらいの創業の支援というのが国民事業が得意とする部分でございます。ここの部分につきましては、小口企業のもともとの特色である情報の非対称性であるとかそういったところがございますので、なかなか民間がコストを払ってご支援をいただける分野ではないというところがございますので、ここの部分について国民事業が創業を積極的に行ってきていると考えております。以上でございます。

〔池尾分科会長〕前半の部分ですが、民間金融機関との目線がそろってきたというところまでは伺ったんですが、その結果今後増えていくだろうという話なのか、やっぱりこのぐらいで横ばいで続くという話なのか、そのあたりはいかがということが御質問だったような気がするんですが。

〔日本政策金融公庫国民生活事業本部田中事業企画部長〕その点でございますけれども、正直申し上げますと、そこがここから伸びていくかどうかということははっきりと申し上げられる状況ではございませんが、今も力を入れ始めていますが、これからは創業前から創業時に御支援をしていくということはもちろんなんですけれども、創業のために御融資した先、ここをきちっと成長軌道に乗せていくために、創業後のフォローアップというものをきちっとしていくと。ここのところでセミナーと交流会を開催したり等をして、経営課題を共有して、経営課題があるんであれば外部の専門家に取り次いでいくというような形をして事業の継続性を高めていくと、こういうようなところにも力を入れていきたいと、そのように考えております。以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございます。

じゃあ、冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。

先ほど野村委員が御質問されたんで私の質問が大分減ったのですが、それはそれでいいんですが、同じく23ページですけれども、これ中小企業事業ですね。これの融資全体に対して30年度はもう4分の3が協調融資だという図なわけです。細かいことを言うと、灰色の部分の背の高さが4ページにあるデータとちょっと食い違うので、それは後でまた事務局経由で教えてもらえればいいのですけれども、それは別にして、これ4分の3もあるんですが、中身はどうなっているか。先ほどは3者合意によるものと言われましたけれども、例えば国民の場合ですと、先ほど創業支援に関わる部分で民間金融機関との協調は増えてきたと。協調というか共同のものが増えてきたというお話だったが、これどういうものでこうなっているのか。これから先の中小企業事業の規模全体を大きく左右する中身になっているわけですけれども、それはそういう理解でいいのかどうかということ。それからロスが出た場合、要するにデフォルトが生じたときのそのロスのシェアはどういうふうに御契約なさっているかということ。

それから協調融資は公庫と1つの金融機関なのか、あるいは複数の金融機関なのかですね。もっと知りたいことは、民間金融機関のイニシアチブで持ってきたのか、公庫のイニシアチブなのかですね。そこをお話しいただければと思います。簡潔にいただければ結構ですので。

〔池尾分科会長〕お願いします。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕中小事業でございます。

まず、こちらにはちょっとお出ししておりませんが、例えば一定の金額1億円以上の申し込み案件につきましてはもう94%の協調融資割合になってございまして、ほとんど大口のところが民間との連携融資となっているかと思ってございます。

それから、今後のオペレーションにつきましても引き続き民間金融機関様としっかりと連携をしながら融資に取り組んでいきたいと思いますので、今後の対応については変更はないとお考えをいただければと思っております。ただ、震災対応みたいなものにつきましては、本当に迅速な対応を求められる部分もございますので、そこは金融機関様の了解のもとでその対応に取り組んでいきたいと思ってございます。

〔池尾分科会長〕損失はプロラタなんでしょうか。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕すみません、こちらでデータとしてとっておりませんので、現場の声を聞く限りは融資割合は半々で御対応させていただいていることが多い状況と聞いてございます。

また、協調の場合のデフォルトにつきましては、当然公庫も金融機関様と同じデフォルトをこうむったということになるわけでございますので、それ以降通常の回収手続を行うということになります。

〔池尾分科会長〕それでは時間がもうあれなんで、工藤委員、手短にお願いいたします。

〔工藤委員〕すみません、手短に。

1点お願いと1点質問でございます。1つは、先ほど協調融資が進んでいるというお話がございましたが、引き続きこれはぜひお願いしたいと思っております。

16ページにセーフティネット関連融資の残高が出ておりますけれども、これらの制度は、基本的にはリーマン・ショックや震災といった本当に機動的な融資が求められるケースで有用に役割を果たしております。一方で、既に企業のデフォルト率が過去最低水準となる中でも、制度が改正されるまでなかなか残高が落ち切らず、民間で対応可能な領域と重なってしまうという状態が起きておりました。そういったことの改善に向けて協調融資を増やしていただいておりますが、ぜひ民間との連携を今後ともよろしくお願いいたします。

2点目は御質問でございまして、今後の協調の方向性ということで新規事業や事業承継の話が出ていたのですが、もう一つ再生支援も今後の協調分野としてはあると思っております。日本政策金融公庫様には、各地域で細やかに対応頂いているところですが、地域に意味のある企業をいかに残していくかという視点は非常に大切です。この部分についてもぜひ民間との連携もお願いしたいと思っており、もしその点についてコメントがございましたらお願いいたします。

〔池尾分科会長〕お願いします。

〔日本政策金融公庫中小企業事業本部岡崎事業企画部長〕御指摘ありがとうございます。再生分野につきましては、特に中小事業のほうで金額の大きい比較的大きな規模の会社様が多いものですから、しかも地域にとって重要なお客様が多いということもございまして、常日ごろからまさにここの分野については民間金融機関様と密に連携をさせていただいてございます。

昨年には銀行さんと一緒になって取り組めるシンジケートローンというのもメニューとして御用意いただいておりますので、こういったものを活用しながら一層の再生分野に取り組んでまいりたいと思います。

〔工藤委員〕ありがとうございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、このあたりで質疑を終了したいというふうに思います。

それでは、日本政策金融公庫及び担当部局の皆様には御退席をお願いいたします。

((株)日本政策金融公庫 退席)

〔池尾分科会長〕それで、本日各委員より頂戴いたしました御意見等につきましては、今後の財投計画の策定にぜひ活用していただくよう、よろしくお願いいたします。

〔柴田計画官〕本日委員の皆様から本当にたくさんの貴重な御意見をいただいたと思っておりますので、こうした御意見を踏まえまして編成をしっかり進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。

〔池尾分科会長〕それでは、当初の予定より大幅に時間の延長を認めていただきまして、まことにありがとうございました。本日の議事はここまでといたします。

毎回申し上げておりますが、議論をいただいた内容のほかに追加の御意見とか御質問等がございましたら、事務局にお寄せいただければと思います。

また、本日の議事内容につきましては、この後事務局より記者レクを行います。

議事録につきましては、各委員の皆様の御了解をいただいた後、財務省のホームページに掲載いたします。

次回ですが、次回は11月6日水曜日14時から地方公共団体等についての御審議を行う予定としております。

本日は御多忙中のところ御参集いただき、熱心に御議論いただきましてまことにありがとうございました。これにて散会とさせていただきます。

15時23分閉会