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平成15年度における関税率等の改正についての答申(2002年12月13日)別記1・2

(別記1)国別・品目別特恵適用除外措置の適用基準



 国別・品目別特恵適用除外措置の適用基準は以下のとおりとする。

 

(1)

 特定の一般特恵対象品目について、一の特恵受益国(後発開発途上国を除く)からの輸入が、2年連続して、以下の基準をいずれも満たす場合、国別・品目別特恵適用除外の対象とする。

1

 当該品目について、当該受益国からの輸入額が我が国の総輸入額の50%を上回ること

2

 当該品目について、当該受益国からの輸入額が10億円を上回ること

 


(2)


 ただし、(1)の基準を満たす品目であっても、国内生産の有無その他の国内産業への影響に関する事情を勘案した上で、除外する必要性が認められないものについては、特恵適用除外を行わない。

 


(3)


 シーリング対象品目については、(1)の基準を満たす場合であっても、特恵適用除外を行わない。

 


(4)


 本措置により特恵適用除外となった品目について、(1)の基準が2年連続して満たされなかった場合、当該品目の特恵関税の適用を復活する。

 

 


(注


)(1)の基準の判定については、各年度において、前々年の輸入統計品目表の細分について、当該年度の前々年までの2暦年の統計による(例えば、平成15年度においては、平成13暦年の輸入統計品目表の細分について、平成12暦年及び13暦年の貿易統計により判定する)。(4)についても同様に判定する。



 本基準の適用による特恵適用除外を最初に実施する場合は、その施行までに相当な周知期間を設けるよう配意する。



 平成9年12月の関税率審議会答申において定められた国別・品目別適用除外及び国別適用除外の基準も、引き続き適用する。
   



(別記2)緊急特恵停止措置の運用基準


 関税暫定措置法(以下本基準において「法」という。)第8条の3第1項及び第2項に規定する、緊急特恵停止措置(エスケープ・クローズ)の運用基準は、以下のとおりとする。



 基本的方針

 



 緊急特恵停止措置の発動については、産業所管省の要請に応じて調査を行い、その上で発動の要否を判断する。

 



 一般特恵税率の適用による開発途上国からの輸入増加に対しては、法第8条の3第1項に規定する措置(一般特恵停止措置)により対処し、LDC(後発開発途上国)特恵税率の適用によるLDCからの輸入増加に対しては、法第8条の3第2項に規定する措置(LDC特恵停止措置)により対処する。一般特恵とLDC特恵の両者が相まって国内産業に影響を与えているような場合は、これらの措置を同時に発動することも認められる。
 ただし、開発途上国の中でもLDCに対しては一層の支援を要することに鑑み、LDC特恵停止措置の発動は特に必要な場合に限るよう配意する。

 



 緊急特恵停止措置は、セーフガードと同様、緊急的な関税引上げを内容とするものであるが、セーフガードは国際協定及び国内法に基づき、一般税率を超えて関税率を引き上げる措置であるのに対し、緊急特恵停止措置は、国内法に基づき、特恵税率を一般税率に戻すに止まる措置であること等の相違があることに留意する。



 調査に係る指針

 



 調査の開始
 産業所管省は、特恵対象物品について、

(1)

 直近の貿易統計等から、特恵受益国からの輸入が急増していると認められること

(2)

 国内の販売価格、生産状況、販売状況等から、当該物品又は直接競合する物品を生産する国内産業の損害又はそのおそれが見込まれること

(3)

 当該物品について、我が国の総輸入額に占める特恵受益国からの輸入シェアが十分に高い、又は高まりつつあること

 

 

等の状況に鑑み、特恵停止措置に係る調査が必要と判断した場合は、その判断の根拠となる資料を提供した上で、調査開始を財務省に要請する。要請を検討した結果、調査の開始が必要と認められる場合は、財務省は産業所管省と協力し、調査を開始する。

 調査の対象物品は、原則として輸入統計品目表上の細分(9桁分類)により指定するが、事例に応じ、当該物品の輸入が国内産業に与える影響を判断するためにより適当な方法がある場合は、それによる。

 



 調査開始の公表
 調査を開始した場合は、以下のような事項を財務省ホームページ等で公表する。
(1) 調査の開始
(2) 調査の対象物品及びその主な輸入国
(3) 下記3の意見・情報の提出方法

 



 調査の方法
 調査に際しては、入手可能な統計資料を分析するほか、対象物品又はそれと競合する物品の主要な生産者、輸入者、利用者及び消費者等(又はこれらの団体)に意見・情報の提供を求める。また、必要に応じて、これらの者・団体へのヒアリングを行う。

 



 調査の終了
 調査は、調査の開始を公表した後、原則として2か月以内、最長でも3か月以内に終了し、結論を出す。
 調査が終了した場合、以下のような事項を速やかに財務省ホームページ等で公表する。

(1)

 調査の結論及びその理由の概要

(2)

 緊急特恵停止措置を発動する場合、その対象物品・対象国

(3)

 緊急特恵停止措置を発動する場合、その施行時期及び発動期間の見込み



 発動に係る指針

 



 発動要件の判断基準

(1)

 輸入の増加
 一般特恵停止措置については、
1 一般特恵適用輸入の増加
2 一般特恵適用輸入の国内市場占拠率の増加
を併せて勘案する。
 LDC特恵停止措置については、
1 LDC特恵適用輸入の増加
2 LDC特恵適用輸入の国内市場占拠率の増加
を併せて勘案する。
 一般特恵輸入の増加とLDC特恵輸入の増加は区別して評価することを原則とするが、必要に応じ、両者を併せて、総合的にその増加を判断する。

(2)

 国内産業の損害
 以下のような事項を総合的に勘案する。
1 輸入品及び国産品の販売価格
2 国内産業の生産に関する状況

(3)

 特恵適用輸入と国内産業の損害との因果関係
 以下のような事項を総合的に勘案する。

 

1

 一般特恵適用輸入とLDC特恵適用輸入のそれぞれが国内産業に及ぼす影響(必要に応じ、両者相まって国内産業に及ぼす影響)

 

2

 特恵適用輸入以外の輸入の影響

 

3

 その他、国内産業の損害に影響を及ぼしうる要因

 

 


 以上の事項に関する調査の結果、その対象となる物品について、

(i)

 特恵適用輸入が増加していること

(ii)

 当該物品又は直接競合する物品を生産する国内産業に損害又はそのおそれが生じていること

(iii)

 (ii)の状況が、(i)の影響により生じていること

 

 

が認められた場合は、特恵停止措置を発動すべく、速やかに政令制定作業を進める。

 



 発動期間
 措置の発動期間は、原則として6か月以内とする。ただし、発動後の輸入動向、国内産業の状況等に鑑み、延長が必要と判断される場合は、当初の発動期間と合わせて、最長1年以内の範囲で延長できる。

 



 本審議会への報告
 調査及び措置の発動に係る状況は、調査開始後又は措置の発動後、最初に開催される本審議会において報告する。