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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (平成30年10月15日開催) 議事録

本稿は、平成30年10月15日の関税・外国為替等審議会 関税分科会の議事録です。

 

午後3時00分開会

森田分科会長 皆様、こんにちは。時間が参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様には、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

 まず、事務局の構成につきましては本年7月に人事異動がございました。内容につきましては、お手元の座席表をもって御紹介にかえたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、7月に就任されました中江関税局長より一言御挨拶いただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

中江関税局長 この7月に関税局長を拝命いたしました中江でございます。

 委員の皆様におかれましては、御多用のところ御出席を賜りまして誠にありがとうございます。

 また、日ごろから関税政策あるいは税関行政につきまして格別の御指導、御協力を賜りまして心より感謝を申し上げる次第でございます。

 私が以前、関税局で勤務したのは平成の初めのころです。ほぼ四半世紀、30年近くになるわけでございまして、我々を取り巻く環境というのはその間本当に大きく様変わりしたと実感しているところでございます。

 一例を御紹介すれば、訪日の外国人旅客の数は、そのころは年間約350万人でした。昨年はほぼ3,000万人、いまや4,000万人を目指そうとしているところです。また、日本は2002年にシンガポールとの間で初めて経済連携協定(EPA)を締結したわけですが、15本まで増え、いわゆるメガEPAと呼ばれます広域・多国間の経済連携でありますTPP11や日EU・EPAの発効も目前に迫っているところであります。

 このように日本経済・社会が大きく変わる中で、私ども関税局・税関に求められる役割もますます大きくなってきております。また、国民の期待も大きくなっているというふうに感じております。関税・税関行政の制度を御審議いただく本分科会の役割というのは極めて重要であるというふうに考えております。

 本日お集まりいただきました皆様よりぜひ貴重な御意見をいただきながら、様々な課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと思います。

 簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

森田分科会長 どうもありがとうございました。

 それでは、早速ですが、本日の議題に入らせていただきたいと思います。本日の議題は、お手元の議事日程のとおりでございます。

 まず初めに、山名審議官より御説明をお願いいたします。

山名審議官 山名でございます。

 それでは、税関を取り巻く変化への対応等について御説明いたします。資料1でございます。

 スライド右下のほうにページ番号は振っておりますけれども、1枚目、災害に対する税関の対応でございます。本年は特に夏場以降に大きな災害が断続的に発生しておりますけれども、関税局・税関では、災害による被害に対応するため、輸出入通関手続等について柔軟な対応を実施しております。

 具体的には、まず災害による期限の延長等ですが、これは去る7月の豪雨、台風21号、北海道の地震、いずれの災害につきましても財務大臣の告示により実施しております。また、救援物資関連の対応、税関手続の弾力的対応などを行っております。

 特に9月4日に発生した台風21号では、関西国際空港ターミナルの一部が浸水するなど大きな被害があったところですけれども、税関における対応として、大阪税関管轄の関西国際空港に到着予定であった貨物が代替空港への振替に伴い大阪税関管轄外の成田国際空港等へ到着した場合でも、昨年、平成29年10月施行の申告官署の自由化により大阪税関において輸入申告の受理が可能となっておりまして、これにより柔軟な対応を行ったところです。この点につきましては、事業者の皆さんからも申告官署の自由化の制度が災害への対応にも役立っているといった意見が実際に寄せられているところでございます。

 また、関西国際空港の代替として伊丹・神戸空港への国際線受入の決定が行われましたが、これに対して、神戸・大阪両税関は、職員、検査機器を準備し、国際線就航による旅客への対応が直ちに可能な体制を整備いたしました。この点につきましては、今月11日に国交省より関西国際空港の旅客施設が本格運用に復帰するということで、伊丹、神戸における国際線等の代替受入の終了について発表がございました。これによって実際の対応は行われませんでした。

 ただし、関空の貨物施設に関しては完全には復旧しておらず、今後も貨物の動向を見ていく必要がございます。

 ちなみに、本年9月の関空における貨物の総取扱量は前年同月比で約6割の減少があったところでございます。

 スライドの2枚目、訪日外国人旅行者等の増加の関係です。訪日外国人旅行客の増加は成長戦略の重要な柱の一つということで、2017年の旅客数は2,869万人と6年連続の増加でございます。9月19日発表の日本政府観光局のまとめでは、2018年上半期1月から6月の入国者数は1,589万人と対前年同期比214万人の増加、8月も258万人と8月として過去最高でしたけれども、大阪府北部の地震や平成30年7月豪雨の影響もあり、7月に続き伸び率はやや鈍化しておりまして、今後の推移が注目されるところでございます。

 スライドの3枚目、外国人旅行客の大半は航空機による旅客ですけれども、クルーズ船による外国人入国者数も近年伸びておりまして、2017年は寄港回数2,013回、クルーズ船による外国人入国者数252万人、ともに過去最高でございます。

 従来クルーズ船は、富裕層の乗客による長期間の船旅、本邦への入港が少ない、というのが特徴でしたけれども、近年、特に地方港を中心としたクルーズ船の入港隻数の増加には3つの環境変化が影響していると言われております。1つ目に、アジアを中心としたクルーズ需要に対応するための大型クルーズ船の寄港の増加、2つ目に、中国を起点とした九州・沖縄等への入港の増加、3つ目に、欧米人等による日本人気による日本発着クルーズの増加です。足元の2018年1月から6月について見ましても寄港回数、旅行客数ともに増加しており、今年前半も引き続き高い水準を維持しております。

 スライドの4枚目でございます。今後、我が国で開催される国際行事等ということで、来年には日本が議長国となるG20、それからアフリカ開発会議(TICAD)、ラグビー・ワールドカップといった多くの国際行事が日本各地で開催されることとなっております。また、国際行事ではありませんけれども、新天皇陛下の即位礼正殿の儀も10月22日に予定されているところでございます。さらに翌年の2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されるということでございます。多くの外国人が訪日するため、税関ではテロ対策に万全を期しつつ迅速な通関を行う必要がございます。

 スライドの5枚目、覚醒剤密輸入の動向で、このように急増する訪日外国人旅客等への迅速な通関が求められる一方で、空港等での水際取締りを厳正に行うことが税関にとって大きな課題でございます。不正薬物の押収量の多くの割合を占める覚醒剤は、2017年の摘発件数が151件で前年比45%増と大幅に増加しており、特に航空機旅客の摘発件数が大きな伸びを示しておりまして、スーツケースの二重底への隠匿や携帯品への隠匿が主流となっております。また、大口事犯として洋上取引事犯の約475キロの摘発があり、また、商業貨物約351キロ及び国際郵便物約64キロについては、それぞれ1度の押収量として過去最高となる事犯を摘発しております。

 スライドの6枚目、金地金の関係でございます。覚醒剤等の不正薬物に加えまして、近年では金の密輸増加が水際取締りにおける喫緊の課題です。2017年の金地金の密輸入は、押収量6,236キロ、件数1,347件を記録しております。密輸形態別では、航空機旅客による密輸入が1,270件と全体の9割以上で、密輸仕出地別に見ると、韓国、香港、台湾の順に摘発件数が多く、上位3カ国・地域で全体の約9割となっております。こうした状況に対応するため、「ストップ金密輸」緊急対策を昨年取りまとめ、引き続き厳正な取締り、情報の収集・分析の強化や広報活動の充実を実施しているところでございます。2018年に入りまして、前年と比べ密輸押収量は減少傾向にございます。ただ、上半期の傾向であるため、気を緩めることなく厳正な取締り等を行っていく必要がございます。

 スライドの7枚目ですが、以上のように、迅速な通関と厳正な取締りの両立が税関の課題でございます。

 スライドの8枚目でございます。ご覧のように、税関職員数は年々増加し、平成30年度の定員は9,387人となっておりますけれども、入国者数や輸入申告件数といった税関業務量の増加の伸びにはなかなか追いついていない状況にございます。

 スライドの9枚目でございます。こうした状況に対応するため、現在、協議中の31年度予算編成におきましても、観光立国実現や水際取締り体制整備のために必要な税関職員の定員増を要求しているところでございます。加えて、社会悪物品の水際取締り強化と税関検査の円滑化の両立を図るための予算も要求しているところでございます。

 スライドの10枚目でございます。検査機器を活用した迅速通関の実現で、従来のエックス線検査装置等に加えまして、3次元エックス線検査装置や液体検査装置等、手荷物の開封や接触検査等をせずに隠匿物の有無を確認できる最先端技術を搭載した検査機器を積極的に導入しております。

 スライドの11枚目でございます。訪日外国人旅行者数のさらなる増加が見込まれる中、迅速な通関と厳正な取締りを両立させるためには、以上のような人的、物的基盤の強化に加えまして、情報の収集、分析、活用の強化が不可欠でございます。そのため、まずは選定担当職員が乗客予約記録を分析し、ハイリスク旅客を選定し、その後、検査担当職員はハイリスク旅客に対して厳重な検査を実施する一方、その他の旅客につきましては事前情報に基づき迅速に通関するなど、メリハリをつけて対応しているところでございます。

 なお、今後さらに増加する観光需要に対応するため、税関検査場電子申告ゲートを導入する予定となっており、来年3月にはLCC専用の成田第3ターミナルに実証実験機を導入する予定でございます。

 ちなみに、税関検査場電子申告ゲートの財源には、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備の分野で国際観光旅客税を充てることが観光立国推進閣僚会議により決定されているところでございます。電子的な携帯品申告情報及び旅券情報の提出を可能とすることで、より迅速な通関の確保を期待しているところでございます。

 以上、駆け足でございましたけれども、最近の税関をめぐる状況について御説明申し上げました。

 続きまして、最近の国際的な動きにつきまして高見審議官から御説明いたします。

高見審議官 高見でございます。

 それでは、私から最近の国際関係の諸課題、特に米国の通商政策の動きとそれへの対応及び我が国の経済連携協定の取組みについて御説明させていただきます。

 それでは、資料のページをおめくりいただければと思います。まず、米国の通商政策に係る主な動きを時系列でまとめさせていただきました。昨年1月のトランプ大統領就任以来、米国は多額の貿易赤字を問題視しておりまして、通商拡大法第232条に基づく鉄鋼、アルミへの調査を4月に開始、この調査の報告を受けまして、本年3月には追加関税措置を発動しております。また、本年5月には自動車への調査を開始しております。このような保護主義的な動きの中で我が国をはじめ各国は米国と様々な協議を行いまして、EUにつきましては米国との間で7月に自動車を除く工業製品の関税等の撤廃に向け取り組むことに合意しております。また、我が国は先月の首脳会談において日米物品貿易協定(TAG)の交渉開始に合意。また、メキシコ、カナダとの間で行われていましたNAFTAの再交渉については、USMCAという形で合意に至るなど、本年11月の米国中間選挙に向けて米国と各国との交渉が進展しております。

 一方、右側ですけれども、米中間では、232条ではなく、通商法第301条に基づき、本年7月より米国が追加関税措置を発動し、中国も対抗措置を発動するなど、互いに追加関税措置の応酬が行われております。

 こうした米国の通商政策からもう少し詳しく説明させていただきます。次のページをご覧ください。

 まず、アメリカの国別貿易赤字額の推移でございます。中国との貿易赤字額は、2001年のWTO加盟以降、ブッシュ政権、オバマ政権を通じて大幅に拡大しております。2001年には831億ドルだったものが昨年には3,756億ドルまで増加しております。また、EUとの貿易赤字につきましてはオバマ政権下で増加傾向にありまして、昨年は1,514億ドルとなっております。一方で、我が国との貿易赤字額は、1992年に中国やEUに対して相対的に大きかったものの、近年は増加傾向にはなく、600億ドルから700億ドル台の水準で推移しております。現在はメキシコとほぼ同じような水準となっております。

 次のページをご覧ください。中国への貿易赤字が拡大する中、米国は、鉄鋼、鉄鋼製品をめぐる中国を中心とした過剰生産問題への対応という側面もありますけれども、232条に基づく追加関税措置に踏み切っておりますが、その前提となる鉄鋼、鉄鋼製品をめぐる状況でございます。上の2つの円グラフの左側になりますけれども、世界の粗鋼生産量のうち約50%を中国が占めています。また、右側の円グラフだと、米国の鉄鋼輸入額のうち約20%を中国が占めている状況であります。このほか、EU、カナダ、メキシコからの輸入額も大きくなっております。

 さらに、下の折れ線グラフでございますけれども、米国の粗鋼生産量は近年横ばいである一方、鉄鋼輸入量は増加傾向にあり、輸入品が国内産品に代替していると思われます。このほか中国の鉄鋼が他の国を経由してアメリカに輸出されているという指摘もございます。こうした状況は、アメリカの232条に基づく調査報告書においても、過剰な輸入がアメリカの鉄鋼産業の稼働率の低下、失業、赤字等につながっていると言及されているところであります。

 次をご覧ください。以上のような状況を踏まえまして、アメリカは本年3月より、安全保障上の脅威を理由に、EU、メキシコ、カナダ等の一部の国を除いて、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税の賦課を開始しております。また、6月からはEU、メキシコ、カナダに対しても新たに追加関税措置を発動しております。これに対して、右側ですが、各国は米国の措置をセーフガード措置とみなし、WTOセーフガード協定、メキシコ、カナダにつきましてはNAFTAに基づき、米国の措置と実質的に同価値の譲許、その他の義務の適用を停止、いわゆるリバランス措置の実施やWTOの紛争解決手続を開始したところであります。

 なお、我が国につきましては、5月にリバランス措置の権利を留保する旨WTOに通報しておりますが、現時点までに対抗措置、リバランス措置の発動はしておりません。

 次のページをご覧ください。鉄鋼、アルミへの追加関税措置に続き、米国は5月より自動車に対して232条に基づく調査を開始しております。下段には御参考までに、各国の自動車等にかかる関税率を記載しておりますけれども、我が国はいずれも無税となっている一方で、アメリカは自動車と部分品には2.5%、ピックアップトラックについては25%の関税を賦課しているところであります。

 次のページをご覧ください。これは御参考までですけれども、米国の自動車、自動車の部分品の国別輸入額をお示ししたものであります。いずれも日系メーカーあるいは欧州メーカーの工場があるメキシコやカナダからの輸入が多くなっております。

 次をご覧ください。日本から見て米国への自動車等の輸出額は大変大きな割合を占めておりまして、自動車については全輸出額の39%、自動車の部分品については全輸出額の25%が米国向けとなっております。

 次をご覧ください。こうした自動車への追加関税措置の可能性を踏まえ、EUは7月に開催された首脳会談において、自動車を除く工業製品の関税、非関税障壁、補助金をゼロにすることに向けて両国が取り組むことで合意しておりまして、現在、予備協議が行われている模様です。右側にこの合意の際の共同声明の概要をお示ししておりますが、(5)でございますけれども、一方の当事者が交渉を終了させない限り、アメリカとEUは本合意の精神に反する行動をとらないと明記されており、EU側はこれをもって、交渉中はどちらか一方が交渉をやめない限り自動車に対して追加関税が課されることはないと解釈しております。

 次のページをご覧ください。これはアメリカとEUの間の貿易構造をお示ししております。なお、GATT第24条では、自由貿易地域の条件として域内における実質上全ての貿易、substantially all the tradeと英語では書かれておりますが、これについて関税等の廃止が規定されております。貿易額の90%程度の関税撤廃が一つの目安と考えられておりますけれども、このグラフでご覧のとおり、自動車を除きますと、鉱工業品は全貿易額の85%となっておりまして、90%の目安には達していないことがおわかりになるかと思います。

 次のページをご覧ください。米国とカナダ、メキシコが昨年8月から行ってきたNAFTA再交渉につきましては、本年8月27日にまず米国とメキシコとの間で二国間の予備的な貿易合意に至り、9月30日には米国とカナダで合意し、米国、メキシコ、カナダ協定(USMCA)の合意に達した旨、共同声明が発表されたところであります。この時期に合意された背景としまして、アメリカとしては現在のメキシコ大統領の任期が切れる本年11月末までに新協定の署名を行いたいと考えており、米国議会への承認60日前の協定通知義務を考慮すると9月30日が合意の期限だったというものでございます。この際にUSTRが公表した新協定の条文案の内容のうち主なものを御説明させていただきます。

 まず、左側で、自動車の貿易につきましては、関税を撤廃する条件として、(1)北米内の調達比率を段階的に現状の62.5%から75%に引き上げる。(4)として、製造工程の40%を北米内の時給16ドル以上の工場で行う等といった規定を設けております。これらにつきましては、北米に自動車工場を持つ日系メーカー、日本の自動車産業に対しても大きな影響が及ぶと考えられます。

 さらに、右側になりますが、アメリカが232条による措置をとる場合、カナダ、メキシコから輸入する自動車は年間260万台まで措置の対象から除外する等の内容を含むサイドレターが発出されております。

 次のページをご覧ください。自動車以外の貿易につきまして、米国とメキシコは互いに農産物の関税率ゼロを維持することになっております。また、米国とカナダはお互いに乳製品等に対し関税割当を設定するという内容になっております。そのほか協定の期限を16年とし、発効6年以内にレビューを行った上で合意されれば、さらに16年の延長を可能とするといった規定を設けております。また、締約国が非市場経済国とのFTA交渉を開始し、当該FTAが発効する場合、場合によっては本協定を終了させるという規定が設けられている点が注目されているところであります。

 次のページをご覧ください。日米間におきましては、本年8月、9月に開催されました茂木大臣とライトハイザー通商代表の間のFFRでの議論を経まして、9月26日の日米首脳会談において日米物品貿易協定(TAG)について交渉を開始することが合意されました。この協定は、日米双方の利益となることを目指すものであり、両国が交渉を行うに当たっては、中ほどにございますが、日本としては農林水産品についてTPP等の過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であると、これまで繰り返し述べてきた立場をアメリカ側も尊重することが共同声明に明記されております。また、一番下にありますが、日米は、今後、信頼関係に基づき議論を行うこととし、交渉が行われている間、本合意の精神に反する行動をとらないことが確認され、交渉中は自動車に関する232条に基づく追加関税を課されることはないとの理解が首脳間及び閣僚間で確認されているところであります。さらに、その他関税関連の問題の早期解決に努めることも確認されておりまして、鉄鋼、アルミに関する追加関税問題についても早期の解決を行うこととしております。

 なお、日米の二国間交渉をスタートする際にも、我が国はTPP11の早期発効を目指すという立場に変わりはなく、その点も米国には明確にしているところであります。

 次のページをご覧ください。共同声明では、米国の自動車について市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであることを日本側が尊重する旨、明記されております。そこで、日米の貿易構造をご覧いただくと、自動車を除く鉱工業品と農産品を合計しても全貿易額の75%にすぎないことから、先ほど申し上げたWTOとの整合性を満たすためには自動車の関税についても議論が必要であると考えております。

 次のページをご覧ください。次は対中通商政策でございます。米国の対中通商政策に関して、米国の指摘と中国の反論について、双方から発表されている文書を抜粋したものでございます。以下、かいつまんで御紹介させていただきます。

 まず、米国は、中国に対する巨額の貿易赤字について、米国の雇用の妨げとなっていると問題視しております。一方、中国は、米中貿易は、米国から資本財、中間財を輸出し、中国からは消費財、最終財を輸出する構造となっている点で両者にとって有益な関係であり、また、サービス貿易については米国が大幅な黒字になっていると反論しております。また、製造業の強化に向けて中国政府が打ち出しております中国製造2025という計画がございますけれども、これは、アメリカは、外国企業やその技術、製品、サービスを制限したり、不利益を与えることで国内産業の振興を図っていると批判しております。その一方で中国は、この計画は中国企業、外国企業を問わず適用される開かれた政策であり、WTO協定とも整合的なものと主張しております。また、米国は、補助金についてもWTO協定で禁止されている補助金を国内産業に提供している可能性があり、WTO協定上の通報義務が果たされていないなどとして批判しております。このほか知的財産の分野では、アメリカは強制技術移転、不当なライセンス規制、買収による先端技術取得、サイバー攻撃による営業機密窃取等を挙げて批判しており、これらに対処するため、通商法第301条に基づく追加関税措置を発動しているところでございます。

 次のページをご覧ください。これも縷々追加関税措置発動の経緯をまとめておりますが、米中は7月6日から340億ドル相当の輸入品に対して25%の追加関税を発動しております。その後8月23日からは160億ドル相当の追加でありまして、さらに9月24日からアメリカは2,000億ドル相当の輸入品に10%、これに対して中国は600億ドル相当の輸入品に5〜10%の追加関税を発動したところであります。このような情勢を受けて、9月末に予定されていた米中の協議の開催が中止され、協議再開のめどが立っていないということでありまして、今後の米中間の動向が注目されるところであります。

 次のページをご覧ください。これは、これまでの追加関税措置の規模についてグラフでお示ししております。一番下のピンクのところが7月に発動された340億ドル相当分、2番目、その上のオレンジの部分が8月の160億ドル相当、3番目、その上の黄色の部分が9月に発動された2,000億ドル相当と600億ドル相当の部分で、アメリカはさらに2,670億ドル相当の輸入品への追加関税措置を発表しておりますけれども、中国から見て追加関税を課されていないものは440億ドルほどしかもう残っていないということで、中国もこれ以上の対抗はなかなか難しいという状況でございます。

 次のページをご覧ください。以上のように、米中の貿易摩擦が拡大していく一方で、WTOを現代化し、ルールに基づく多角的貿易体制の重要性を訴えていく動きが進んでおります。これは、これまでのG20、G7、そのほか日米首脳会談、あるいは日米欧の貿易大臣会合において、WTO改革の議論の促進等について協力していくことが表明されているところであります。

 次のページをご覧ください。このようにWTO改革への機運が高まる中で、例えば先月、EUからWTO改革に係る提案が公表され、また今月24、25日にカナダで閣僚会合が開催される予定となっております。WTO改革に関する論点としては、ご覧の3つの論点が主なものでございますけれども、協定履行監視機能の強化、紛争解決手続の改革、交渉機能の再活性化というものでございます。

 次のページをご覧ください。ここからは我が国の経済連携協定の取組みの御説明でございます。日EU経済連携協定につきましては、本年7月に署名いたしました。保護主義的な動きなどがある中で、日EUのEPAは、日EUが自由貿易の旗手として世界に範を示し続けるとの力強いメッセージを発するものでございます。この発効によりまして、世界のGDPの約3割、世界貿易の約4割を占める世界最大級の自由な先進経済圏が誕生します。日EU双方の経済界からも期待が寄せられているところ、早期発効を目指しているところでございます。

 次のページをご覧ください。市場アクセスについてまとめさせていただきました。EUへのアクセスにつきましては、EU側が約99%の関税を撤廃しております。工業製品では、乗用車の関税を8年目に撤廃するなど、100%の関税撤廃を実現しております。財務省の関係では、日本ワインの輸入規制の撤廃や焼酎の容器容量規制の緩和も実現しまして、日本産の酒類の輸出拡大に資する結果となっております。

 一方で、下側の日本市場へのアクセスにつきましては、日本側は約94%の関税撤廃を約束しております。米については除外、ソフト系チーズについては関税割当ということで、主要な農産品について関税の維持あるいは関税割当等を維持しながら高い自由化を達成しております。

 次のページをご覧ください。TPP11につきましては、現在、日本、メキシコ、シンガポールが国内手続を終え、寄託国に通報しております。また、オーストラリア、ニュージーランドで議会の審議が始まるなど各国で手続が順調に進んでおります。もし11月中に6カ国が国内手続完了の通報を行えば、TPP11は来年1月中に発効することになります。また、日EU・EPAにつきましては、日本側は本年秋の臨時国会において協定を御審議いただくよう準備中でございます。EU側も早ければ年内に欧州議会の承認を得るように努力していると聞いております。したがって、日EU双方が年内に国内手続完了の通告をできれば、来年2月1日に発効することになります。

 次のページをご覧ください。イギリスのEU離脱につきましては、来年3月にイギリスは正式にEUから離脱することが決定しております。昨年6月から交渉が始まっております離脱協定案では既に移行期間について妥結しておりまして、離脱協定自体がイギリスとEU間で合意されれば、2020年末までは移行期間が設定されることになります。この移行期間中は日EU・EPAの関税率が英国からの産品にも適用されると考えております。ただし、現在の離脱交渉において両者が合意しない場合、移行期間が発生しないno deal Brexitとなる可能性があります。現在もEU首脳会合が行われる予定となっておりますが、予断を許さない状況でございます。

 また、我が国のBrexitへの対応については、Brexitの後を見越して、日英の首脳間で日EU・EPAの最終的な規定を踏まえ、日英間の新たな経済的パートナーシップの構築に速やかに取り組むと、日英経済関係の強化に向け緊密に連携していくことで一致しております。政府としては、進出企業の実態、イギリス及びEUにおける関連規制や制度の変更等に関する動きを踏まえて、関係省庁の所管業界へのBrexitの準備状況のヒアリング、あるいはきめ細かにフォローしているところであります。

 次のページをご覧ください。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)は、本年7月に東京で閣僚会合が行われまして、その際、安倍総理からスピーチで質の高いRCEPを早期に妥結することの決意が示されたところであります。また、本年8月のシンガポールにおける閣僚会合では、交渉参加国の間で本年末の成果パッケージを採択し、その達成により、本年中の実質的な妥結を目指すことで一致したところであり、早期の交渉妥結への動きが加速しているところであります。この週末にもシンガポールで閣僚会合が開催され、まだ確定ではありませんが、来月の首脳会議に向けさらに精力的に交渉を進めることが合意されたところであります。

 次のページをご覧ください。RCEPや日EU・EPAのようなメガEPA以外にも二国間のEPA交渉は、新しいもの、あるいは既存のEPAの見直しなどの作業も行っているところであります。例えば日トルコEPAにつきましては、首脳間で早期合意を目指すことが確認されているところであります。日EU・EPAの早期発効が見込まれていることから、トルコ側は日トルコEPAについても早期締結を求めております。2014年12月の交渉開始以来これまで計11回の交渉会合を実施し、直近では9月に東京において交渉会合を開催したところであります。早期の合意を目指し、両国で交渉を加速していく予定であります。

 長くなりましたけれども、私からの説明は以上でございます。

森田分科会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいま大変御丁寧な御説明をいただきましたけれども、それにかかわらず、関税・税関行政全般につきまして幅広く御質問、御意見をいただきたいと存じますので、どうぞ御意見のある方は挙手をお願いいたします。

阿部委員 ありがとうございます。金地金の密輸の件で1つ質問させていただければと思います。法改正をなされて取締りが厳しくなっているということで、大変結構なことだと思います。昨年も質問させていただいたのですが、金の輸入額と輸出額で大きな差があるというデータを御紹介いただいたと思いますが、その後どのような数字になっているか教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

福島調査課長 金の輸出入の額ではなく、輸出入量の話になりますが、去年で申し上げますと215トン程度が輸出でございまして、輸入が5トン程度でございました。輸出量が輸入量に比べ相当程度多くなっており、国内で生産している量と消費している量を勘案しましても、おおよそ150トンぐらいの金の出所がよくわからないという状況でございました。

 基本的には、金の輸出入量の統計を1年ベースでしっかりとって確認する必要があると思いますけれども、最近の傾向としましては、若干ではございますが、輸入量が増え、輸出量が減ってきたということが見て取れます。いずれにしましても、輸出入量に大きな変化があったという感じではございませんので、引き続き注視が必要だと考えております。

浦田委員 通商政策について3点短い質問です。

 まず最初に、資料の10ページのNAFTAの再交渉ですけれども、そこでサイドレターというのがあります。質問は、サイドレターの位置づけについてです。サイドレターの中には関税割当みたいな形で自動車の、アメリカから見れば輸入数量が決められているわけですけれども、それ自体、WTO違反のような気がするのです。サイドレターというのは、変な言い方をすれば、関係国が合意すれば何でもありというものですか、そういう意味でサイドレターの位置づけを教えていただければありがたいです。それが1点。

 2点目は、言葉の問題で、実質的な質問ではありません。TAGというのはFTAではないという新聞などの報道があったりするのですけれども、日米相互に特別な政策、優遇政策を設定するとすれば、これはFTA以外の何物でもないと思うのです。その点について、TAGはFTAではないというような意見があるのですけれども、教えていただけるとありがたいです。その意見の中には、もし投資とかサービスが入ればFTAだけれどもという何かよくわからない説明があったりするのです。TAGというのは、もしこれができれば、WTOに通報するときにはFTAとして通報するのではないかと私は思うのですが、教えていただければありがたいです。

 最後は、RCEPの交渉の中身にも関係するのでちょっと微妙な質問かもしれませんが、16カ国の中にはいろんな意見があるのはわかります。例えばルール、あるいは自由化でもいいのですが、ある程度のものができれば合意したほうがいいのではないかという考えを持っている国もある一方で、日本、オーストラリア、ニュージーランドなどは、これは正しいと思うのですけれども、ハイレベルの自由化、包括的な内容を含んだRCEPでなければいけないという対立があるように思うのです。その点に関して、教えていただける範囲で、どういう状況なのか。果たして今年中に本当に合意に至るのかどうか教えていただければありがたいです。

泉参事官(国際交渉担当) 第一参事官室の泉でございます。

 浦田先生からの御質問の1点目と2点目について御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料の10ページのNAFTA再交渉、USMCAの右側に記載されていますサイドレターの位置づけですけれども、これが法的拘束力を有するのかどうかというところは、すみません、これについてどうかというのは私自身もまだ確認はしておりません。1つ申し上げられますのは、サイドレターはUSTRのホームページに公表されている文書であるということです。先生から、例えば260万台云々というのは関税割当のような印象を受けるという御発言がありましたけれども、正確に申し上げますと、資料に書いてありますが、アメリカはメキシコ、カナダに対して通商拡大法232条の措置をし得るのであるというステータスになっているわけです。今でもですね。しかしながら、例えば260万台以下であれば232条による措置から除外する、260万台以下であれば、発動しないと言っているレターになっておりまして、協定上、関税割当のように、何万台を超えたら必ず関税率が上がるとか、そういうことが書いてあるわけではありません。

 そうしますと、そもそも232条の措置をアメリカが発動するということ自体については、正確に申し上げますと、引き続きWTO協定との整合性については論点となっております。安全保障例外に該当するという米側の主張がWTO協定違反であるのかどうかというのは論点でございます。だからこそ、サイドレターの(2)、下のほうに下線が引いてありますが、米国がとる232条措置が、NAFTAですとかUSMCA、WTO協定のいずれかに整合的でないと思われる場合は、メキシコ、カナダは対抗措置をWTO協定にのっとって講じ得るとなっております。新しいUSMCA協定で、例えば関税割当みたいに、この台数を超えたら必ずこういう税率になると協定上書いてあるということではないということに、先生の問題意識はわかりますけれども、ちょっとグレーな扱いになっている現状ではないかと思います。

 2つ目に、TAG協定がFTA協定ではないのかと。特にもしTAG協定が結ばれたら、WTOのほうにはFTAだと通報するのではないかとおっしゃられたのですけれども、事実関係を申し上げますと、これまで日本が各国と例えばEPAを結んできた場合にはWTOに通報しています。その際にどういう通報をしているかといいますと、これもFTAですけれども、フリー・トレード・エリアを設定するための地域貿易協定であるというふうに通報しています。どういうことかと申し上げますと、WTO協定の第1条には、最恵国待遇原則が規定されているのですけれども、GATT24条でフリー・トレード・エリアを実現した場合にはGATT1条の例外として認められる。つまり、最恵国待遇が原則ですけれども、24条の要件を満たせばフリー・トレード・エリアを例外として認めるとなっていますので、EPAを結んだときには、フリー・トレード・エリアを設定するための地域貿易協定であると通報しているわけです。ですから、おっしゃったようなフリー・トレード・アグリーメントであるというような通報をしているわけではないのが事実でございます。

 今回の日米物品貿易協定ですが、これは政府から何度も申し上げておりますとおり、まずは基本的に物品を対象に交渉を開始することとしております。その交渉の中身については、日米共同声明において日米物品協定であると書いておりますので、あくまでも物品を基本に交渉することになります。それに加えて、サービス分野も含めて早期に結果を生じ得るものについても含み得るとなっているのですが、あくまでも基本は物品という形になっておりますので、何らかの合意ができたものについては、先ほど申し上げましたとおり、フリー・トレード・エリアとして、GATT1条の例外が実現されているのであるというふうにWTOには通報する。こういう建て付けになっているということでございます。

 もし他に補足がありましたら。

浦上通商政策局米州課長(経済産業省) 泉参事官の御説明に若干補足をさせていただきます。

 最初の点、USMCAのサイドレターの件でございます。浦田先生の御指摘の点については、実際ホームページにも出ていますし、議会にも通報されていると思われるのですけれども、そこに出ている案文自体がまだまだ法的な精査を要するというようなコメントが付されていたりしており、実際、米国、カナダ、メキシコ間で一体何が合意されているのかということについてのファクトファインディングが、必ずしも正確かどうかがわかりません。

 それから、泉参事官からも色々御説明がありましたけれども、サイドレターは見る限りにおいては結構うまく書かれており、232条が本当に発動される事態を明らかに想定はしているのだけれども、発動するとは書いていないわけです。こうしたところを含めて精査は必要でございますけれども、WTOのいろいろな諸協定には、セーフガード協定の中に輸出自主規制やそれと同等なものをやってはいけないとかいろいろな規定がございます。第三国のやっておられることなので、直截にそのことを評価していくプロセスを回しているわけではございませんけれども、ファクチュアルな面でも、それから法的な面でも、よくよく精査がさらに必要なのではないかと考えております。

森田分科会長 今のは経産省の浦上課長さんでございますね。ありがとうございました。

 第3点目はいかがでしょうか。

米山経済連携室長 経済連携室長の米山と申します。

 浦田委員の御質問の第3点目、RCEP交渉の状況でございますが、御案内のとおり、現在まさに交渉進展中でございますので、大変申しわけございませんが、各国がどういうスタンスかというのはなかなかこういう場では申し上げられないところを前提としてお話しさせていただきますと、資料の23ページ、先ほど高見が御説明いたしましたRCEP交渉の交渉分野が右上の枠に書いてございます。やはり各国それぞれの交渉分野に関してそれぞれのスタンスを持って交渉しているところでございまして、先生がおっしゃったような立場をとっている部分もあれば、それとは違う部分もあるということでございます。

 いずれにいたしましても、右下の「最近の動き」の一番下に書いてございますとおり、本年中の実質的妥結を目指すことで交渉全体が今動いているような状況でございます。

長谷川委員 ちょっと今の話と関連してお伺いしたいのですけれども、日米物品貿易協定(TAG)に関してですが、やはりこれを読んでいてなかなかわかりにくいところがあります。12ページの2番目に日米共同声明が書いてあります。そこの2つ目、「日米物品貿易協定(TAG)について、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。」と書いてあって、ただ単純にTAGだけを考えればおっしゃっているとおりだろうと思いますが、この後段の部分をどう解釈すればいいのかというのが極めてわかりにくいかと思います。

 例えば、つい先日アメリカのムニューシン財務長官が為替条項について要求していきたいと言いましたけれども、こういうものについては後段のところに含まれるのか。あるいは、そもそもTAGの話なのだから、こんな話は交渉の議題としてはそぐわないのか。その辺についてどのように整理されているのかお伺いできるでしょうか。

泉参事官(国際交渉担当) ありがとうございます。今の御指摘の点につきまして、まず最初に、資料の12ページ、確かにちょっと読みにくいのかもしれませんけれども、中身は明確でございまして、日米物品貿易協定については基本的に物品を対象にします。その上で、加えて「他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結論を生じ得るものについても、交渉を開始する。」となっておりまして、要は、物品については全てを対象にやります。その他の分野については、その物品の交渉と同じタイミングで結論の出るものについては対象に含まれ得る、こういうことでございます。

 したがいまして、世上言われているのは、日本のEPA、非常に包括的なFTAは、物品のみならず投資、サービス、ルール、規制、全て広く含むのですけれども、そういうEPA、包括的なFTAとはちょっと性格を異にすることは明確である。そういう意味から、TAGというのは、今まで日本政府が結んできたEPAであるとか包括的なFTAとは異なるものである、こういう説明がなされているというふうに理解をしております。

 それと、為替についてはここに入るのかということにつきましては、2017年2月の日米首脳会談でも合意されておりますけれども、財務大臣同士といいますか、関係当局間で緊密にコミュニケーションを取っていくというふうに整理がなされていると考えております。

清水委員 やはり今のことに関するのですが、経済学的に考えたときに、国際収支の中で財貿易だけ取り上げて、日本が黒字である、アメリカが赤字であると、そこだけで協定を結ぶこと自体は非常に奇異なことだと思っています。日本がこれまでEPAで包括的に目指してきたというのは、その国それぞれで、財貿易では赤字でも、サービス貿易で黒字、あるいは金融収支も含めた形でお金が回っているのだということから、包括的にこういったものは協議をしなければいけないということだと私は思っています。このTAGに関しては、私個人の感想としましては、日本が譲歩したような気持ちがどうしても拭い切れません。

 その上で、先ほど御質問にもありましたように、「他の重要な分野(サービスを含む)」というところが実はとても重要な意味を持っています。財貿易で日本が不利な立場に立たされないように、アメリカの黒字分野、日本がアメリカに対して赤字を持っている分野も含めた形でうまく交渉をしていくという意味なのかなと思っていたのですが、そうではないとすると非常に残念な話だと思っております。

 また、先ほどの為替条項に関しましても、この週末の日経にも書かれておりましたが、大臣の発言ですと、為替条項に関しては財務大臣同士の関係当局が話し合うものだというように書かれておりました。こういった事態に立って、そういう縦割りで、物品交渉は経産省、為替条項は深く関係しているのに、それは財務大臣とか、分けて交渉すべきものではもうなくなってきているのではないかというのが危惧されます。関係当局がそれぞれ対応するということで本当にいいのかというのが第1の質問です。

 それから、2つ目はRCEPです。これも浦田委員が御質問されていましたが、米中の貿易論争が非常に混迷を極めていた中で、中国がアメリカ以外の、特に日本に急接近してきているのもニュースや報道などで言われていることだと思います。RCEPの交渉を進めるに当たって、日本は米国との関係、中国との関係で今非常に難しい立場に立たされているのではないかと思います。これは質問ではありませんが、こういった局面において日本の目指すところは何なのか、もちろん自由貿易を守るということだと思うのですけれども、そのあたりを明確にした上で、重要な交渉に臨んでいただきたいと思います。

森田分科会長 前半の御質問についてお願いいたします。

泉参事官(国際交渉担当) 今、清水先生からの御指摘ですけれども、資料の12ページをご覧になって日米物品貿易協定交渉の開始というところで、御指摘はごもっともだと思います。ただ、必ずしも我々は物品だけやるのだと決めているわけではなくて、赤字のところをご覧いただきたいのですが、物品貿易協定について交渉を開始する。ここをまず合意しているわけです。その次ですけれども、「上記の協定の議論の完了の後に、他の貿易・投資の事項についても交渉を行う」と書いております。これは、日米間で議論をしている際に、まずは順番として物品を先にやりましょう。もちろんその他の分野についてもそれと同じタイミングで、早期に結論が出るものについては併せて議論を開始しましょうとなっております。物品だけやったらそれで終わりなのかというと、そういうことではございません。ですから、ここは明確になっておりますので、今回合意しているのは、まずは物品貿易協定について交渉を開始する。ここが決まっている。これから交渉するよということでありまして、今後も続くことが想定されるということです。これが1点目です。

 為替については、御指摘がありましたけれども、2017年2月に、繰り返しになりますけれども、日米首脳会談で、日米の財務大臣間で緊密なコミュニケーションをやっていくのだということが合意されておりますので、そういったスタンスで我々としてはいるという現状でございます。

股野北米局北米第二課長(外務省) 外務省北米第二課長の股野と申します。

 2点補足させていただきます。先ほど赤字の削減の観点から、貿易、物品だけで十分なのかといった御指摘だったかと思いますけれども、まさに共同声明が12ページに書いてございますように、あくまで赤字削減の重要性を強調したのはアメリカ側でございまして、貿易協定で赤字を下げること、削減することを主目的にしているわけではございません。ですので、我々は何を目的にしているかというと、あくまで日米間の安定的で互恵的な貿易・経済関係の重要性とございますように、関係を発展させるために何らかの協定を結びましょうということでございますので、この協定をもって赤字を削減することを狙いとしているわけではございません。それが1点。

 もう1点は、もともと日米は立場の差がございまして、日本はあくまでTPP12にアメリカが帰ってくるべきだという立場、アメリカは二国間協定がやりたいという立場の中で、相互の溝を埋めるにはどうしたらいいのかといって始まったのがこの協議でございます。その結果、まさに二国間で合意されたことはここに書いてあることが全てでございまして、物品から始めましょう。それから、サービス等の中でその物品の交渉が終わるまでの間に何か合意が得られるものがあれば、それも議論しましょうというのが1つ。その議論が終わった後に、他の貿易や投資の事項で何か取り込めるものがあれば議論していきましょう、交渉していきましょうというのが全てでございます。日本は30章ある非常に包括的な協定はTPPでやることがいいという立場でしたので、それはあくまで立場としてまだ引き続き思っておりますので、そのいわば妥協点として出てきたのがこの合意で、これが全てというのが現状でございます。

村上委員 日米の物品貿易協定はいろいろ議論があるのはよくわかりますし、今話があった物品の議論が完了した後にやるものというのは一体どういう位置づけになるのか。TPPに戻ってくる道筋をその辺で開こうと深謀遠慮があるのかなとも思っています。

 もう1つは質問ですが、11ページに「制度事項等」というのがあります。先ほど関税割当かどうかという議論がありましたけれども、「制度事項等」の下から2つ目に非市場経済国とのFTAとあります。これは非市場経済国とFTA交渉を開始する場合は3カ月前までに通知する。それが発効したら、6カ月の通知をもって当該協定を終了させていいという内容です。これは結構影響が大きいのではないかと思います。先ほど日本の中国とのつき合い方という話が出ましたけれども、RCEPとか日中韓とか、そういうところにどういう影響を及ぼすのかなと若干心配しております。これについて何か御見解があれば教えていただきたいということが質問でございます。

 ついでに感想ですけれども、中国とアメリカの紛争がかなり長く続くのではないかと予想されます。トランプ政権が1期で終わるか2期まで続くかわかりませんけれども、アメリカの中で政権が変わってもトランプ政権が志向していることと同じような要素は残り得る可能性があり、米中のそういう状況はかなり長期的に続く恐れがある。そうすると、そういう状況の中で日本の通商政策を本当にどうするのかというのをよく考えないといけないのではないか。これは感想でございますけれども、そういう印象を持っております。

泉参事官(国際交渉担当) ありがとうございます。村上先生の御指摘のとおり、USMCAにはちょっとユニークな規定が入っております。これについてどうかということですけれども、先月行われたFFRの交渉の場ではこういった話はなかったものですから、我々としては現在こういった話を例えばアメリカとの間でやっているということでは全くないですし、今後どういうふうになるのかは留意していく必要があると思っているところです。

佐藤委員 手短に。資料1の議論が少ないので、11ページについてお伺いさせてください。PNRの報告を受けて適切な情報に基づく検査をされるということで、大変適切なことと思いますが、他方で、PNRを入手することが大前提になっています。他方で、航空会社からの悉皆的なPNRの報告は航空会社の所在する国・地域等の個人情報保護法制との関係で一定の問題があるということも聞いておりますので、質問です。およそ2,600万人の航空旅客で入国される方について、PNRがとれているのはどれぐらいの割合なのか。それを100%に近づけることが望ましいと思いますから、100%に近づけていくための御努力、動きという点についてはどのようになさっているのかという2点をお伺いできればと思います。

泉参事官(国際交渉担当) ありがとうございます。

 我々の航空旅客の間でPNRが入手できている割合というのは、今手元に数字がないので、また後ほどと思います。

 今御指摘があったのは、例えばEUを念頭に御発言があったのだと思います。現状ではEUからの便については、我々はPNRをEUの保護法制の関係で入手できていない状況です。これについては、我々は今もEUに対してはPNRの入手が可能になるように交渉の開始を強く申し出ています。

 他方、それは引き続きやりつつもなかなか進んでいないのは、昨年、欧州の司法裁判所で、EUが例えばカナダやアメリカと既に協定を結んでいるのですけれども、それは見直しをすべしという判決が出ているものですから、EUとしては例えばカナダとの協定の見直しを優先せざるを得ない状況になっておりまして、我々はその順番を待っている現状であります。

 一方で、例えば2020年にオリンピック・パラリンピックがございますし、ただ待っているだけではどうしようもないものですから、我々としては引き続きEUに対して交渉を申し込みつつも、個別の欧州各国に対して、例えば税関協力という枠組みで情報交換の協力強化をできないかということを今個別に交渉を積極的にやっている状況でございます。

秋田監視課長 監視課長の秋田でございます。

 PNRの入手状況でございますが、現在、旅客便ベースで96%程度となっており、その残りの分がEU関係の旅客ということになります。

森田分科会長 それでは、ほぼ予定された時間が来ておりますけれども、よろしゅうございますか。

 それでは、最後に事務局より連絡事項がございますので、高橋関税課長より御説明をお願いいたします。

高橋関税課長 関税課長の高橋でございます。

 本分科会における議事録の取扱いにつきましては、当審議会議事規則第5条の規定により、原則公開とされております。本日御発言いただきました委員の方には、議事録案がまとまりました段階で御発言部分を事務局から送付させていただきます。送付後1週間程度の間に御意見などがない場合には、恐縮ですが、御了解いただいたものとさせていただきたいと存じます。

 議事録の取扱いにつきましては、今後とも今申し上げました扱いで進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 引き続きこの分科会の終了後、当会場におきまして特殊関税部会を開催いたしますので、特殊関税部会の委員の皆様方におかれましては、そのままお待ちいただくか、席を外される場合は16時25分をめどにお戻りいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 以上をもちまして本日の関税分科会を終了いたしたいと存じます。

 次回の関税分科会の開催につきましては11月上旬を予定しております。詳細につきましては、事務局と調整の上、別途御連絡を差し上げることにいたします。

 本日は御多用のところ御出席賜りまして、誠にありがとうございました。

 それでは、これで終了いたします。

午後4時13分閉会

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