本稿は、平成29年12月14日の関税・外国為替等審議会 関税分科会の議事録です。 |
午前9時57分開会 |
○森田分科会長 おはようございます。全員がおそろいになりましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。
委員の皆様方には、御多用中のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。本日の議題はお手元の議事次第のとおりでございますが、これまでの御審議の内容を踏まえ、平成30年度における関税率及び関税制度の改正等に係る答申案について御意見をいただきたいと存じます。
平成30年度における関税率及び関税制度の改正に関しましては、本年10月以降、本日も含めまして4回にわたり本分科会を開催いたしまして委員の皆様に御審議をいただいてきたところでございます。御審議いただいた内容を取りまとめたものが本日事務局より御説明いたします答申案でございます。
それでは、事務局より説明を受けたいと思います。その後、答申案について御意見などいただければ幸いです。お願いいたします。
○泉関税課長 おはようございます。関税課長の泉でございます。
それでは、答申案の説明をさせていただきたいと思います。
一番最初に「平成30年度関税改正に関する答申(案)の概要」とありまして、目次となってございます。が諸情勢、
が具体的な内容となっておりまして、ご覧のとおり暫定税率、個別品目の関税率の見直し、特恵関税制度、金の密輸入、そしてその他となっております。順次御説明いたします。
1ページ下に行っていただきまして、ここは諸情勢でございます。国際的状況、そして税関行政を取り巻く状況について答申案で言及しております。その内容をざっと要約いたしますと、このページに記載したとおりでございます。国際的状況につきましては、英国のEU離脱交渉、米国のTPP離脱等が生じる中で、我が国は自由で公正な経済圏をつくり上げる役割を今まで以上に果たしていくことが重要としております。そして、TPP11の大筋合意、日EU経済連携協定の交渉妥結に至る過程で我が国は重要な役割を果たしてきたわけですが、保護主義的な傾向の高まりが世界中で懸念される中で、我が国は引き続き主導的に交渉を行っていくことが極めて重要で、それがRCEPなど広域的な経済連携協定の推進につながることが期待されるとしております。
税関行政を取り巻く状況については、安心・安全な社会の実現の観点からは、オリンピック・パラリンピック等々がある中で観光立国を実現しつつ、テロ対策に万全を期す必要がございます。適正かつ公平な関税等の徴収の観点からは、昨今、社会問題化している金の密輸入に対する対応が特に急務でございます。貿易の円滑化の観点からは適正通関を確保しつつ手続を迅速に行うことが重要であり、また、申告官署の自由化の円滑な運用に努めることが重要としております。
次のページをご覧ください。これまで分科会で御審議いただいた内容につきまして項目ごとに結果を記しております。答申本体にも同じ内容が文章で記されております。
まず、(1)の暫定税率の適用期限の延長等ですが、暫定税率の対象品目392品目につきましてその適用期限を1年延長することが適当としております。銅・鉛・亜鉛の26品目については、暫定税率を廃止して基本税率化することが適当としております。
次に、(2)ですが、農産品の特別緊急関税制度、そして牛肉・豚肉に係る関税の緊急措置の適用期限についてでございます。これらについては暫定税率と一体のものとして設けられていることを踏まえまして、暫定税率と同様にその適用期限を1年延長することが適当としております。
なお、牛肉に係る関税の緊急措置については、本年、冷凍牛肉に対しまして21年ぶりに発動されたところでございまして、その効果等を検証するとともに円滑かつ安定的な輸入の実現を図る観点も踏まえまして、制度のあり方を引き続き検討することが適当としてございます。
次のページをご覧ください。個別品目の関税率等の見直しについてでございます。これまでも必要に応じて見直しを行ってきておりますが、30年度関税改正においては、ここにありますとおり、ラミー糸、剣道用の小手につきまして、国際競争力維持、消費者利益等の観点から基本税率を無税とすることが適当としております。そして、化粧品、繊維製品の一部につきましては、現状では申告手続の際に品目分類等のための資料が必要となって事務負担が発生していることから、貿易円滑化の観点から国内税細分を統合して税率を統一することが適当としてございます。
次のページをご覧ください。ここから特恵関税制度に関する見直しでございます。
まず、(1)ですが、29年度改正で特恵関税の適用実績が高中所得国の一部に偏在する状況を踏まえまして、特恵関税の基準、適用除外基準を見直したとしております。
次のページをご覧ください。具体的にはこのページの赤色で示した部分です。例えば特恵関税から全面卒業するというのが、従来であれば高所得国だけであったものを、それに加えまして赤色の高中所得国云々も卒業させるといった見直しでございます。
恐縮ですが、1ページ戻っていただいて、そうした見直しによる結果、来年、平成30年4月から農水産品9品目、鉱工業品861品目が特恵税率の適用対象から除外されることになります。
その下は、29年度改正によるものではなくて、従来からの基準によって特恵税率の適用対象から除外される国、品目でございます。
そこで、(2)でございますが、こうした特恵関税適用除外措置に伴う個別品目の関税率の見直しでございます。我が国産業への影響、国内生産の状況等を踏まえまして、ジスプロシウム鉄合金など6品目を記しておりますが、これらの基本税率を無税とすることが適当としてございます。
次のページ、図表のさらにその次をめくっていただきまして、特恵関税の適用貨物に対する事後確認手続等の規定の整備でございます。先ほど申し上げました特恵関税制度の見直しにより、今後、特恵関税の適用除外国が増加することに伴いまして、特恵受益国を介した迂回輸入、例えば特恵を卒業した中国からラオスやカンボジアを迂回させるような事案が増加するおそれがあるということでございます。
そこで、税関による原産性の確認を一層確実に行うため、図の赤色の部分で示している事後確認手続の規定、そして、資料提供要請に対しまして協力が不十分な場合は特恵税率の適用を否認するなどの特恵否認要件の規定を整備することが適当としてございます。
次のページでございます。これは金の密輸入に対する罰則強化です。前回の分科会でも御説明いたしましたが、現在、輸入消費税の脱税を目的とした金の密輸入が多発しており、これをどう阻止するかが課題になっているということでございます。
現下の金の密輸入の発生状況を踏まえますと、現在の罰則は抑止効果を発揮できる十分な水準とは言い難い状況であり、金の密輸入に対する抑止効果を高め、密輸入者等を一層厳正に処分するため、無許可輸出入等の罪について罰金額を大幅に引き上げることが適当としてございます。
次のページをご覧ください。これは成年後見制度に係る通関業法上の欠格事由の見直しでございます。これはほかの法律との横並びで見直しを行う規定整備の一環でございます。上のオレンジ色のボックスにありますとおり、現在の通関業法においては、成年被後見人等には通関業の許可をしてはならないといった形で、成年被後見人等が名指しで欠格事由に掲げられているわけですけれども、これを見直しまして、例えば通関業の業務を適正に遂行する能力を有しない者には許可を与えないといった実質的な規定ぶりに改めることが適当としてございます。
次のページをご覧ください。子畜用の配合飼料規格の見直しでございます。子畜というのは哺乳期の牛・豚のことでございますが、脱脂粉乳が一般の食用として輸入される場合ではなくて、子畜用の配合飼料、餌として輸入される場合には関税が無税となる、その際、食用と餌用とを区別するために一定の添加物を加えることになっておりまして、関税定率法の施行規則で規格を定め、流用防止措置を講じているという仕組みでございます。これについて、上のボックスにありますとおり、薬剤耐性対策を推進する観点から、それまでの抗菌性飼料添加物に代えましてヨウ素酸カルシウムといった他の飼料添加物を添加するよう、配合飼料規格を変更することが適当としてございます。
本件につきましては、先日の分科会で、特定の用途に限って関税を減免する制度については、流用防止措置を講じるための追加的なコストを含めて、今後、費用対効果にも十分留意して検討を行っていく必要があろうという御指摘もいただいておりまして、研究してまいりたいと思っております。
次のページをご覧ください。紙巻たばこ等に係る入国旅客の携帯品免税枠の簡素化です。今後、入国旅客の一層の増加が見込まれることを踏まえまして、迅速通関を実現する観点から、左側に示した現行のマトリックスによる複雑な紙巻たばこに関する免税枠の区分を統合・簡素化して、シンプルに一つの枠で400本とし、オリンピックが終了する3年後には、諸外国と同等の水準である200本とすることが適当としてございます。
次のページをご覧ください。輸出入・港湾関連情報処理センター(NACCSセンター)のあり方の見直しです。この下の青いボックスに記しておりますが、NACCSセンターは平成20年に株式会社として民営化されたわけですけれども、民営化後10年以内に会社のあり方について検討を加えることになっております。そこで、民営化後の10年間について見ますと、青いボックスの「現状・評価」というところにも記してございますが、この間、経営陣は、NACCSの海上システム、航空システムの利用料金を全般的に引き下げつつ、本年10月の大規模なシステム更改を円滑に実施・稼働させるなど経営の効率化・透明化を進めてきております。一方、政府ですが、約半数の株式を売却しながら、例えば申告官署の自由化をはじめ、NACCSの利用を前提とした貿易円滑化、水際取締りに関する諸施策を講じてきている状況でございます。
こうした状況を踏まえまして、上のオレンジ色のボックスですが、今後とも国の政策を確実かつ適切に実施していく観点から、国が関与しつつ、株式会社として民間活力を活かした経営を行うという現在のバランスある体制を維持することとした上で、引き続きNACCSセンターは政府とともにコスト削減、利便性向上の両面から、業務運営全般に係る検討を行っていくことを期待するとしております。
最後に、貿易統計のあり方の見直しでございます。下の青いボックスに記しておりますが、利用者目線に立った貿易統計のさらなる利便性向上のため、本年10月に関税分科会の企画部会の下に貿易統計の在り方に関するワーキンググループが設置されました。分科会の根本委員を座長として、大橋委員、古谷委員のほか外部有識者4名にも御参加をいただいて、報告書を取りまとめて、先月29日に開催された企画部会に報告し、了承をいただいたところです。
見直しの方向性を議論していただいた課題としては、下の点線で囲っておりますが、大きく3つございます。
1つ目は貿易統計の確定値公表後の数値の修正でございます。これは、貿易統計の確定値が公表された後に修正申告がなされた場合、本来なら貿易統計の数値が変わっていたはずではないかという実態があったことを踏まえまして、輸出入実態のより正確な反映のため、確定値の公表後に新たに(仮称)改訂確定値を公表するというものでございます。
2つ目は、利用者利便の向上のために貿易統計ホームページの構成の見直しを実施することでございます。
3つ目は、貿易統計における詳細情報の非公表化でございます。現在、貿易統計の公表の際に輸出入者の営業上の秘密が開示されることのないよう、輸出入者からの申請に基づきまして具体的な輸出入品目の数量及び金額を非公表とする処理が行われる場合がございます。この取扱いにつきまして、非公表化の基準を明文化するとともに、営業上の秘密を守りつつも統計の透明性をより高める処理方法への変更を行うというものです。
そして、ワーキンググループや先日の企画部会での御議論を受けまして、上のオレンジ色のボックスでございますが、ただいま申し上げた3つの検討課題につきまして可能な限り早期に必要な見直しを行うことが適当としつつ、コストや関連統計への影響、実施に際しての周知に十分留意することが必要としてございます。
平成30年度関税改正の答申案につきまして、事務局として説明させていただきました。私からは以上です。
○森田分科会長 ありがとうございました。
ただいま事務局より御説明がありました答申案につきまして、御意見などございましたら御発言をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○佐藤委員 スライド11ページ、考え方の罰則強化について、賛成意見を申し上げます。
4の上のオレンジ色のボックスにあります、無許可輸出入等の罪の罰金額を大幅に引き上げることが適当との答申案の内容に賛成です。
前回欠席いたしましたが、前回の金の密輸入に係る罰則強化というスライドでは、無許可輸入の罪の罰金上限を最大、貨物の価格の5倍まで引き上げるという考え方が示されておりました。この点につきましては、実体面、手続面の両面でやや懸念を持っておりました。以下、できるだけ手短に御説明をいたします。
実体面につきましては、罪刑の均衡という観点からの検討が必要であろうと考えました。現在、直接問題となっております金の密輸入につきましては、金の消費税率は金の価格の6.3%ですから、貨物価格の5倍が上限ということは、500割る6.3で79.4倍になります。具体的には、金1キロ500万円のときに1,000万円の消費税を免れようとした犯則行為が発見された場合の罰金上限額は7億9,250万円という金額になるわけでありまして、ほ脱額の約80倍もの罰金を科するという場合の罪刑の均衡については慎重な検討が必要だと考えておりました。
実体面の2つ目ですが、罪刑の均衡という点で、租税犯は、御承知のように、直接ほ脱罪を頂点とする体系を有しております。関税の直接ほ脱罪、関税法110条の罰金の上限はほ脱額の10倍です。これに対して間接ほ脱罪にすぎない無許可輸入の上限が、ある場合にはほ脱額の80倍にも上るという点はやはり不均衡であろうと考えました。個人的には、貨物価格までを上限とすることで十分だろうと考えます。
しかしながら、これについては、十分な上限を設定した上で、実際の適用は柔軟に裁量で行えばよいというお考えがあろうかと思いますが、それが手続面での問題点につながります。ここでの問題は、通告処分という形式で、あるいは手続でこの罰則が実際には実行されるということであります。御承知かと思いますが、関税法違反の罪の多くは通告処分により執行されております。これは、刑事裁判を行うことなく、罰金相当額等について税関長が納付を通告し、そして犯則行為者がその納付を自発的に行えば、それ以上告発し刑事手続を起こさない、こういう手続であります。貨物価格の5倍という点で参照された外為法にはこの手続はございません。したがって、以下で申し上げる問題はないわけです。
非常に上限の高い罰金額を実際に科することを具体的に考えてみますと、例えば個人の犯則行為者を見つけて調べたときに、「今回で四、五回目である。いつもこれぐらいの金をこれまで持ってきたのだ。」というような供述がとれたとすると、やはりそれは量刑に反映させることになります。そこで、いわゆる余罪を量刑に反映させることの可否の問題が生じるわけです。最高裁の判例は、余罪を実質的に処罰する趣旨で量刑資料に考慮するとは憲法違反であるとする一方、量刑の上で情状推知の資料としての余罪考慮は違法ではないという判例をつくっておりますが、この両者の区別は極めて微妙であり、近いところでは平成19年に一審が余罪の実質的処罰であるという理由でこれを破棄した東京高裁判決があり、平成24年にも同様の福岡高裁判決があるなど、非常に微妙な問題がございます。本職の刑事裁判官でも誤り得るこういう問題を税関職員に正確に行っていただくということは多大な御負担であろうと考えます。
また、これについては、手続面の第2点ですが、そういう処分が過大である場合には、法治国家である以上、その処分を争えばよいというお考えがあろうと思います。確かにそのとおりなのですが、昭和47年の最高裁判例は、通告処分は取消訴訟の対象とならないというように判断を示しております。したがって、犯則行為を自認しつつ罰金額のみを争うためには、必ず刑事裁判において有罪判決を受ける覚悟が必要であるという事情があります。
かつ、先ほどの東京高裁などの事案でもそうですが、刑事判決では詳細な事実認定と量刑理由が判示されますけれども、通告処分においてはそれと同等の詳細な理由が開示されるわけではありません。したがって、実際には争う手がかりに乏しいことになろうと思います。
この2点をあわせて考えますと、過大な罰金額を通告する処分について、実質的には法的救済手段は極めて乏しいということになります。
以上、るる申し上げましたように、貨物価格の5倍というような決め方をここですることにはかなり懸念を持つべき状態だと考えておりましたところ、本日の答申案では、「大幅に引き上げることが適当」という表現を使っておられ、これはまさにそのとおりであり、今後の当局の慎重な検討を期待したいと考えております。
長くなって、すみません。以上です。
○森田分科会長 御意見、ありがとうございました。この答申の本文につきましてはよろしいということでございますね。
特にコメントがございますか。
○泉関税課長 ありがとうございます。佐藤委員から御指摘がございましたが、答申案につきましては、大幅に引き上げるということにしてございます。
これについて、前回の関税分科会でも御説明させていただきましたが、貿易統計における金地金の輸出入の状況を見ますと、現在、税関で摘発している金の密輸事案は残念ながら、氷山の一角でしかないという状況でございます。これにつきまして、現行の罰則は、関税法の場合ですと一定額で上限500万円となっているわけですけれども、それを上限とするような法定刑では、例えば多くの金を密輸する者ほど相対的に罰金額が低くなるという不合理な状況が生じてございますので、一定額ではなくて、加重規定と申しまして、つまり、何らかの何倍といった形の規定ぶりを設ける必要があるのではないかと考えているところでございます。
したがいまして、具体的な罰金額をどういうふうに設定していくかにつきましては、佐藤委員の御指摘の趣旨も踏まえながら、金の密輸入に対する抑止効果を最大限発揮できる実効性のある水準にしていくことが重要であると考えておりまして、今後、法務省刑事局、そして内閣法制局とも相談しながら具体的な設定をしてまいりたいと考えております。
○森田分科会長 佐藤委員、よろしゅうございますか。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○森田分科会長 ほかに、これに関連してございますか。
○藤岡委員 ただいまの本日の答申案に私も賛成でございます。
佐藤委員から詳細な通告処分についてのご発言がございましたけれども、1点だけ補足いたしますと、通告処分、通告の内容を履行するかどうかというのは犯則者の自由でございます。犯則者が履行したときには確定判決と同じく同一事件について公訴を提起されないとの効力を有しますけれども、当然でございますが、履行するという義務はないわけでございますので、履行しなければ告発され、通常の刑事手続に移行し、訴追がなされた場合については裁判所の判断に委ねられるということでございます。もともと裁判過程を経て最終的に確定されるという可能性を内包した制度であるということで、現在、通告処分という制度が成り立っているということでございます。
したがいまして、当然でございますけれども、取消訴訟による手続において通告処分を取り消すことは予定されておりません。そういった形の裁判救済が予定されている制度ではなくて、通告処分の内容に不服な人については、先に述べたとおり、履行しないことによって訴追がなされれば、通常の刑事裁判手続において裁判所の判断を仰ぐことになるという制度でございますので、そういった中で関税法以外の法令でも通告処分という制度が現在法制上認められているということでございます。
ただいま泉課長が言われたとおりでございまして、一方で、今回の文案にもございますけれども、密輸入を通じて得られた利益が犯罪者の組織の資金源になっている可能性があり、悪質性が極めて高く、今回大幅な引き上げが適当であると述べられているわけでございます。仮にそれが一つの設例で、いろいろな情状を含めた例で具体的な判断というのはあり得ますけれども、例えば、物品の価格相当しか納付を求めないということであった場合に本当に犯罪の抑止効果があるかどうかについては相応の議論が必要であると思います。
いずれにいたしましても、法制上の問題については、今後、内閣法制局との審査も当然経るわけでございます。あるいは、具体的な法務省刑事局との立法の際の協議もございます。また、執行上、実務的には刑事訴追との関係で、検察当局との協議も行われるわけでございますので、本日の、大幅に引き上げることが適当であるという趣旨を踏まえながらどのようにやっていくか、今後検討していただければいいかと思っております。
○森田分科会長 ありがとうございました。
○相澤委員 佐藤委員の御指摘、御懸念はもっともであると思いますので、その点について十分御留意いただければと思います。
○森田分科会長 ありがとうございました。
この件は、それではよろしゅうございますか。
ほかの点について御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、他に御意見はないようでございますので、平成30年度における関税率及び関税制度の改正につきましては、本分科会として答申案どおり決定することといたします。
なお、関税・外国為替等審議会令第6条第8項及び関税・外国為替等審議会議事規則第7条第2項の規定によりまして、分科会に付託されました調査審議事項につきましては分科会の議決をもちまして審議会の議決とするということになっておりますので、これをもって関税・外国為替等審議会としての答申といたしたいと存じます。
それでは、間もなくうえの財務副大臣がお見えになりますので、しばらくお待ちください。
〔うえの財務副大臣入室・着席〕
○森田分科会長 うえの財務副大臣がお見えになりましたので、これから答申書を手交させていただきたいと思います。
平成29年4月11日に諮問のありました関税率及び関税制度につきましては、本審議会で意見を取りまとめましたので、答申書を提出させていただきます。よろしくお願いいたします。
〔答申書手交〕
○森田分科会長 それでは、うえの財務副大臣から御挨拶を頂戴したいと存じますので、よろしくお願いいたします。
○うえの財務副大臣 財務副大臣のうえのでございます。
森田分科会長はじめ委員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
ただいま平成30年度における関税率及び関税制度の改正につきまして答申をいただきました。委員の皆様におかれましては、改正の検討項目につきまして、これまで大変熱心な御審議をいただき、厚く御礼を申し上げたいと思います。
本日の答申では、暫定税率の適用期限の延長、特恵関税制度の見直しに伴う基本税率の無税化、金の密輸入に対する罰則強化等につきましての御提言をいただきました。私どもといたしましては、いただきました答申を十分に尊重し、平成30年度の関税改正作業を進めてまいりたいと考えております。
なお、金の密輸入に関しましては「ストップ金密輸」緊急対策を本年11月7日に発表したところでありますが、今後、御提言をいただきました罰則強化も含め、金の密輸に対する一層厳格な取締りを着実に行ってまいりたいと考えています。
最後になりますが、委員の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げたいと思いますし、今後とも関税政策あるいは税関行政について御指導を賜りますことをお願い申し上げまして、一言の御挨拶とさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○森田分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、プレスの方は御退席をお願いいたします。
うえの財務副大臣はここで退席になられます。本日はどうもありがとうございました。
〔うえの財務副大臣退席〕
○森田分科会長 財務大臣から諮問を頂戴いたしました関税率及び関税制度の改正につきまして、本日、本審議会におきまして答申を取りまとめることができましたのはひとえに委員の皆様方の御尽力のおかげでございます。政府におかれましても答申の内容を的確に平成30年度の関税改正に反映していただきますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、本日の議事を終了いたします。
これまで御審議いただきました委員の皆様方の御支援、御協力に感謝いたしますとともに重ねて御礼を申し上げたいと思います。
どうもありがとうございました。
午前10時31分閉会 |