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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (平成29年11月13日開催) 議事録

本稿は、平成29年11月13日の関税・外国為替等審議会 関税分科会の議事録です。

 

午前9時58分開会

森田分科会長  皆様、おはようございます。時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多用中のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。本日の議題はお手元の議事日程のとおりでございます。本日は、平成30年度関税改正検討項目につきまして事務局より説明を受けたいと思います。

 前回の関税分科会におきましては、平成30年度関税改正の議論の前提といたしまして、現状を知っていただくために、事務局より、最近の税関行政を巡る諸問題や関税を巡る国際的諸問題につきまして御説明を受けました。そして、委員の皆様から多くの貴重な御意見、御質問等をいただいたところでございます。平成30年度関税改正につきましては、今回の第2回と次回の第3回の関税分科会におきまして各項目について御審議をいただき、その次の第4回の関税分科会におきまして答申案を御議論いただきたいと考えております。

 それでは、平成30年度関税改正検討項目につきまして事務局より説明を受けたいと思います。御意見、御質問は後でまとめてお受けしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、関税課長、どうぞ。

泉関税課長  関税課長の泉でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、来年度関税改正の内容につきまして、特に税率に関する部分を中心に御説明したいと思います。今回の内容は大きく3つに分かれております。1つ目は関税暫定措置法上の暫定税率とそれに伴う諸措置について、2つ目は関税定率法上の基本税率について、そして3つ目は特恵税率など特恵関税制度に関する内容についてです。

 それでは、右肩に「資料1−1」とある「暫定税率の適用期限の延長等」について御説明いたします。

 まず、2ページをご覧ください。一番上のボックスにありますが、関税定率法に定められている基本税率というのは、中長期的な観点から、内外価格差や真に必要な保護水準を勘案して設定される税率となっております。一方で、関税暫定措置法上の暫定税率は、政策上の必要性等から、適用期限を定め、基本税率を暫定的に修正する税率となっております。したがって、その下のボックスですが、暫定税率はその必要性や税率水準を常に見直していくという趣旨から適用期間を1年間としておりまして、今回、来年3月31日に適用期限を迎える418品目について御審議をいただきたいと考えております。

 そこで、検討でございます。次の3ページをご覧ください。

 まず、1.の「検討に当たり考慮すべき要素」としては、記載にあるとおり、生産者及び消費者等の間の利益調整に及ぼす影響といった点、また、WTO交渉との関係や関係国との協議結果、すなわち、国際約束を履行していくこととの関係といった点などとの整理が必要となります。

 次に、2.の「適用期限」についてですが、暫定税率は、その時々の政策上の必要性や直近の国際市況に基づいて判断するという趣旨から、延長期間を従来から1年間としてきた経緯がございます。

 そして、3.の「基本税率化の必要性」ですが、暫定税率の取扱いを継続するに当たっては基本税率化に向けた検討も必要としております。すなわち、保護すべき国内生産者の状況等をどう捉えるかということでございます。例えば、長年にわたり暫定税率が継続しているような場合、国内生産者の状況等に鑑みて基本税率化を検討する余地があるのではないかといった点について、これまで分科会の委員からも御指摘をいただいているところでございます。

 こうした考え方に沿いまして、全品目につきまして物資所管省庁と議論を重ね、検討を行いました結果でございますが、一番下にありますとおり、418品目中386品目につきましては暫定税率の適用期限を1年延長してはいかがかと考えております。

 そこで、次のページをご覧ください。今回、延長の対象としなかったものを御説明いたします。まず、銅・鉛・亜鉛ですが、細かく品目数で数えますと26品目ございます。これらはスライド関税と呼ばれる仕組みの対象となっております。

 具体的には、右側の図ですが、横軸に価格、縦軸に関税額込みの価格としております。図の左下のゼロの点から45度線が延びておりまして、薄い水色になっている部分が、関税がかかることを示しております。「B」と書いてある点が無税点と呼ばれる価格です。Bより右側の部分をご覧ください。45度線だけになっておりまして、水色はありません。つまり、Bより右側の部分は、関税は無税となっております。一方、Bより左側の価格帯には水色がありまして、国内の精錬業者を保護すべく関税がかかることになっております。そして、AからBの部分については徐々に関税額が減っていって、Bになると関税が無税になるという仕組みでして、これをスライド関税と呼んでいるわけです。これまで国内の精錬業者を保護すべく、何度か無税点を引き上げる、すなわち、無税点を右側にずらしていく、水色の部分を延ばしていくという改正を行ってきております。直近では昭和56年に無税点の引き上げを行っております。

 次に、中央のボックスをご覧ください。no01.gif30年以上にわたって無税点価格が変更されていない、no02.gif現在の無税点価格の右側の部分について、平成11年以降、国際交渉によって協定税率が無税化されておりまして、要は、今後、無税点を右側に動かす余地はなくなっている、という一方で、no03.gif現在よりも無税点を左側に動かす可能性は、国内の精錬業者の状況を勘案すると、長期的に見当たらないという状況でございます。

 したがいまして、一番下のボックスですが、今後、中長期的に関税率の見直しを行う蓋然性が見当たらないため、暫定税率を廃止して基本税率化してはどうかと考えております。

 5ページでございます。これは御参考です。石油価格製品を製造するための揮発油など、代表的なものとしてはナフサがございますが、現状では暫定税率で無税となっておりまして、これについて基本税率化してはどうかという要望がございました。要望内容は上のボックスに示しておりますが、北米でシェール由来の化学製品プラントがこの秋に稼働開始などとなっておりまして、安価な石油化学製品が流入してくることを考えますと、今後、我が国の産業、石油化学製品メーカーの国際競争力の維持のためには、原料となるナフサへの課税を基本税率で無税としてはどうかというものです。また、高級アルコールの原料となるノルマルパラフィンについても、国産だけでは需要に対応できないため、同様に基本税率を無税にしてはどうかという要望が来ております。

 これについては、物資所管省庁とも議論を行ったところですが、もう少し我が国産業への影響を検証していく必要その他があろうということで、一番下のボックスですが、来年度改正では暫定税率の適用期限を延長する方向で取り扱ってはどうかと考えております。

 続いて、6ページに進んでください。ここから、暫定税率と一体的なものとして関税暫定措置法で適用期限が定められている制度について御説明いたします。

 まず、特別緊急関税制度でございます。これはSSG(Special Safeguard)と呼ばれるもので、上の図の一番右側に記してありますが、例えば一定の輸入基準数量を超えた場合、関税率を上乗せする制度でございます。次に、中央のボックスをご覧ください。この制度は、ウルグアイ・ラウンド合意の際、関税化された農産品について、輸入急増時の安全弁として関税化措置と一体としてセットされたものであり、関税として暫定税率が設定されておりますので、暫定税率と一体的に検討を行う必要があると考えております。したがいまして、一番下のボックスですが、暫定税率の延長に伴い、特別緊急関税制度の適用期限も延長してはどうかと考えております。

 続いて、7ページです。先ほどと同じく、ここも輸入急増時の安全弁として、牛肉や豚肉については固有の制度が設けられています。このページでは豚肉について記してあります。趣旨は同じでして、上のボックスにありますが、暫定税率によって協定税率より低い水準まで引き下げている税率を、輸入数量が一定の水準を超えた場合、自動的に税率を戻す、すなわち、引き上げるという措置でございます。中央のボックスに記しておりますが、この措置も、ウルグアイ・ラウンド合意の際、暫定税率を低く設定することとセットで設けられたものですので、一番下のオレンジ色のボックスですが、暫定税率を延長するのであれば、本措置についても適用期限を延長してはどうかと考えております。

 なお、本日の分科会では豚肉についてだけお諮りしております。もう1つの牛肉についてですが、本年8月にこの緊急措置を発動したところでございまして、現在、冷凍牛肉に対しては、暫定税率38.5%であったものが引き上げられて50%の税率が適用されております。この関係で、牛肉に関する暫定税率、品目数で言いますと6品目となるわけですが、この6品目の暫定税率の取扱い、そしてそれに伴う牛肉に係る緊急措置の取扱いについては、調整の上、次回の分科会でお諮りしたいと考えております。

 それでは、次に、資料2−1の「個別品目の関税率等の見直し」をご覧ください。一番上のボックスにありますとおり、関税定率法上の基本税率は、中長期的な観点から、内外価格差や真に必要な保護水準などを勘案して設定しておりますが、物資所管省庁の要望を踏まえて、必要に応じて見直しを行ってきております。また、基本税率の設定品目数ですが、9桁ベースで申し上げますと9,000品目以上ございまして、下の図に示しておりますが、最近でも幾つか基本税率の見直しを行ってきております。個々の物品ごとに税率を検討いたしますので、これからの御説明もややミクロな話となるところでございます。

 次のページをご覧ください。まず、小手、すなわち剣道用の小手の関税率でございます。右上のボックスですけれども、剣道防具一式、すなわち、面・胴・小手がセットで輸入される場合はスポーツ用品として関税が無税となるわけですが、小手だけ輸入すると、小手は国際的にはミトン状の手袋と認識されておりまして、6.5%の関税がかかる扱いとなっております。次に、左側の図を見ていただきたいのですが、防具一式が輸入される場合は、青の矢印で示しているとおり無税となる一方、小手だけ輸入される場合は、オレンジ色の矢印ですが、6.5%となっております。図の下に示しておりますが、国内には胴をつくる業者がおりまして、国産の胴は輸入の小手と組み合わせることになります。そうしますと、図の青色矢印のラインと比べてオレンジ色の矢印のラインに割高感が生じているので、オレンジ色の6.5%の関税を引き下げられないかという内容でございます。

 一方、輸入の小手が安く入ってきますと、国内の小手製造業者への影響が出るのではないかという懸念がございますが、右側のボックスにありますとおり、国産の小手は競技者用の高級品であって、輸入小手とは競合しない、すなわち、国内の小手製造業者の保護を勘案する必要性は薄いということでございます。そこで、左下のボックスを見ていただきたいのですが、小手に対しましては、現在、協定税率6.5%が適用されておりまして、これ自体は変えられませんので、右下のオレンジのボックスにありますとおり、基本税率を7.8%から無税にして、そちらを適用させるようにしてはどうかということでございます。

 次のページをご覧ください。ラミー糸の関税率の見直しでございます。図をご覧いただきたいのですが、ラミー糸は、植物の苧麻(ちょま)からつくられる糸でして、ラミー糸を輸入して、これを原料に日本では麻製品がつくられています。次に、右側のボックスですが、こうした中、最近この輸入ラミー糸の値段が高騰しておりまして、その結果、国内の麻製品の値段も上がっております。一方で、麻製品は他国からも国内に入ってくるわけでして、最近では競争が激化している状況にあります。そこで、輸入ラミー糸への関税をどうするか検討するに当たりまして、国内のラミー糸製造業者の状況ですが、右側のボックスにありますとおり、国内でつくられるラミー糸は高品質で特定用途向けでありまして、輸入のラミー糸とは競合しないということでございます。例えば、日本でつくられるラミー糸は、高級な寝具や靴の革を縫い合わせる糸などに用いられるということです。つまり、国内のラミー糸製造業者の保護を勘案する必要性は薄いということでありますので、右下のボックスにありますとおり、国内麻製品の国際競争力維持の観点からラミー糸への基本税率を無税にして、そちらを適用させることとしてはどうかと考えております。

 次のページへお進みください。ここから税細分の統合について御説明いたします。一番上のボックスですが、輸入される化粧品は、もちろんいろいろあるわけですけれども、品目区分の最後に「その他のもの」というのがありまして、さらにその細分として「油、脂、つまり植物油、動物脂、又はろうをもととした調製品」と「その他のもの」という区分がございます。例えばアロマオイルですとか、皮膚の手入れ用シート、または除毛剤といったものがこれらに該当するわけですが、輸入申告に当たっては、輸入者がどちらに製品が分類されるかを判別して申告し、税関でもそれを確認する必要がございまして、輸入者、税関の双方において事務負担が生じている状況でございます。

 そこで、中央左側の青いボックスをご覧いただきたいのですが、4.8%が適用されているものの輸入額は約3億円、4%が適用される輸入額は約215億円となっております。両者の規模を比べますと4.8%のボリュームは僅少でございますので、仮に4.8%の税率を4%に引き下げたとしても国内産業への影響はほとんど生じないのではないかということでございます。したがいまして、左下のオレンジ色のボックスですが、貿易円滑化の観点から化粧品の税細分を統合しまして、協定税率4.8%と4%のうち低いほうの4%に基本税率を設定して、これらを一本化して適用させてはどうかと考えております。

 次のページをご覧ください。同様の議論ですが、今度は繊維製品についてでございます。一番上のボックスですが、関税率表の第61類から63類までの繊維製品、ジャケットとかシャツ、ズボン等々いろいろあるわけですけれども、これらには、「ししゅうしたもの、レースを使用したもの及び模様編みの組織を有するもの」と「その他のもの」という税細分がございます。

 右下のオレンジ色のボックスを見ていただきたいのですが、これは、綿製品を例としたものです。ししゅうしたもの等々は、従来は高付加価値品であるとして、国内産業保護の観点から、「その他のもの」と比較しまして基本税率が高く設定されておりました。ここで言いますと16.8%で、下にある14%より高く設定されています。その後、国際交渉の中で、両方に同じ協定税率10.9%が適用されることとなったのですが、品目区分が異なるために分類に当たって作業が必要となりまして、輸入申告や税関での確認に際して事務負担が生ずるようになっているということでございます。

 同じ税率が適用されるのに品目区分を分けたままにしていた背景には、区分を分けておけば、貿易統計上、ししゅうしたもの等々の輸入量を把握できるようになりますので、仮に輸入量が急増したような場合には一般セーフガードを発動し得るといったことも背景にあったのではないかと考えております。

 しかしながら、現行の協定税率が設定されてから約20年が経過しておりまして、国内産業への影響を見ても現在の税率水準が定着している状況でありますので、貿易円滑化という観点から、左下のオレンジ色のボックスにありますとおり、税細分を統合した上で、協定税率の最も低い水準に合わせて基本税率を設定しまして、これらを一本化して適用させてはどうかと考えております。

 それでは、次に、資料3−1の「特恵関税制度に関する見直し」でございます。内容は大きく2つに分かれておりまして、1つは、昨年度改正で行った特恵関税制度の見直しを受けて個別品目の税率変更を検討してはどうかという内容、もう1つは、特恵税率適用の前提となる原産地確認を徹底するための制度的な手当てという内容でございます。

 次のページをご覧ください。上のボックスにありますとおり、特恵関税制度は開発途上国の産品に対して一般の税率より低い関税率、すなわち特恵税率を適用する制度でございます。下の青いボックスにお示ししておりますが、現在、特恵税率が適用される品目の輸入状況を見てみますと、いわゆる高中所得国の一部の国に適用が偏在している状況となっておりまして、昨年度改正において特恵税率の適用除外となる要件の見直しを行ったところでございます。

 次のページをご覧ください。具体的には、このページの赤で示した部分が昨年度改正で追加した内容でございます。一番上の左に「全面卒業」とございますが、従来、高所得国からの産品であれば特恵税率は適用しない、すなわち、特恵制度から全面卒業だったわけですが、昨年度改正で、高中所得国かつ云々という要件を追加いたしまして、そうした国からの産品も全面卒業させることにしたわけです。一番右を見ていただきたいのですが、この要件の施行は平成31年4月からとしておりまして、中国、タイ、メキシコ、マレーシア、ブラジルといった国からの産品が特恵税率の適用から外れる見込みとなっているわけでございます。そして、こうした全面卒業を平成31年4月からすぐにということではなくて、激変緩和という意味合いも込めまして、中央に記載している「部分卒業」という仕組みを講じてございます。これは、赤い部分は上と同じなのですが、品目について、図の中に輸入額が10億円超かつ云々とございますが、要は、ロットが大きい一部の品目については特恵税率の適用を来年度から、すなわち平成30年4月から除外することといたしております。なお、来年4月から農産品は9品目、鉱工業品は861品目が特恵税率の適用から外れる予定となっております。

 そうしますと、例えば鉱工業品ですが、多くの品目でこれまで特恵無税であったものが今後は有税となりますので、輸入の多くを中国に依存していたような場合、我が国産業への影響も少なからず生じます。他方、特恵税率の適用を除外するためにこそ昨年度改正を行ったわけでございますから、今般、関係省庁と議論、検討を行いまして、国内生産者の状況などを勘案しながら適用税率の調整を行ったところでございます。

 次のページをご覧ください。調整の結果、ここにございます6品目について特恵税率の適用除外に伴いまして関税率の見直しをしてはどうかと考えております。例えば、一番上のジスプロシウム鉄合金ですが、これは自動車用モーターなどに用いられるもので、来年4月から特恵税率の適用から外れ、このままいくと、現在無税の状況から協定税率である2.6%が適用されることになります。そこで関税率の見直しを講じてはどうかということでございます。こうしたものと、昨年度改正によってではなくて、既に特恵税率が適用除外となっているものも含めまして合わせて6品目の取扱いを検討してはどうかと考えております。

 次のページをご覧ください。ここから先ほど申し上げた6品目につきまして概略を御説明したいと思います。

 まず、左側のジスプロシウム鉄合金ですが、これは希土類鉱石、すなわちレアアースを電気分解して採取されるものでございまして、希土類磁石の原料となって、ハイブリッド自動車ですとか電気自動車のモーターなどに使用されるものでございます。輸入を中国に依存している一方、ジスプロシウム鉄合金の国内生産者はいない。すなわち、国内生産者の保護を勘案する必要性はない状況でございます。したがいまして、このままいきますと来年4月から特恵税率の無税が外れまして協定税率2.6%が適用されることになります。自動車モーターなどを製造する国内産業の国際競争力維持の観点から、一番下のオレンジ色のボックスにありますとおり、基本税率を無税化してはどうかと考えております。

 右側の水酸化アルミニウムも同様の構造です。自動車部品のほか、アルミニウムの精錬ですとか、ファインセラミックスの添加剤などに用いられるものでございますけれども、国内生産者は存在しておりませんので、基本税率を3.9%から無税にしてはどうかと考えております。

 次のページをご覧ください。まず、左側のPTBP、これは図にありますとおり、ポリカーボネート樹脂、すなわち高機能のプラスチックの原料となって、最終的には自動車部品ですとかコンパクトディスクなどの光学ドライブなどに用いられるものでございます。右側はオキシ塩化ジルコニウム、図にありますとおり、リチウム電池の製造にビーズミルという機械が用いられるのですけれども、そのビーズミルの内部に投入されるジルコニアビーズの原料となるものでございます。PTBP、オキシ塩化ジルコニウムのいずれについても国内生産者は存在していません。つまり、輸入される両品目につきまして国内生産者の保護を勘案する必要はない状況でございまして、逆にこれらを原料として用いる国内産業の国際競争力を維持する観点から、基本税率を無税としてはどうかと考えております。

 次のページですけれども、ADAH/TEAHです。これは、図にありますとおり、合成ゼオライトと呼ばれるものの原料となるものでして、合成ゼオライトは自動車の排ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するための触媒として用いられるものでございます。右側の図は亜麻糸です。これは、先ほど御説明したラミー糸と同様に麻製品の原料となるものでございます。左側のADAH/TEAHについては国内生産者は存在しておりません。したがって、先ほどからの説明と同様、合成ゼオライトの製造など国内産業の国際競争力を維持する観点から基本税率を無税としてはどうかと考えております。一方、亜麻糸については、国内に生産者が存在しています。ただし、国産の亜麻糸は、輸入の亜麻糸と異なりまして、高品質の付加価値品でありまして輸入亜麻糸と競合する関係にない状況です。したがいまして、国内の麻製品の製造業者の国際競争力維持の観点から輸入亜麻糸の基本税率を無税としてはどうかと考えております。

 最後に、ここから特恵適用貨物に対する事後確認手続の規定の整備について御説明いたします。このページは現状の御説明ですが、一番上にありますとおり、特恵税率の適用を受けるためには、輸入貨物の申告時に原産地証明書の提出が必要となっております。この図をご覧いただきたいのですけれども、左側が輸出国でして、輸出国の当局から原産地証明書が発給されますと、これが輸入国側の税関に提出されることによって原産地が確認され、特恵税率が適用される仕組みとなっております。一方、一番下のボックスですが、我が国税関による確認の結果、特恵適用国の原産品でないと判明する事例が生じている状況でございます。

 次のページをご覧ください。具体的な例でございますが、左側の事例1は、第三国で製造されたこんにゃく粉を特恵税率が適用されるA国へ運送いたしまして、A国の原産であるという虚偽の申請に基づいて取得した原産地証明書を使用して特恵税率の適用が申請されたケースでございます。右側の事例2も同様ですが、特恵適用国Bで製造されたベーカリー製品ですけれども、原産地規則上は認められない第三国の小麦グルテンを原料として使用していたにもかかわらず、B国で十分に審査されずに原産地証明書が発給されてしまって、特恵税率の適用が申請されたケースでございます。

 そこで次のページをごらんください。一番上のボックスですけれども、現状では、関税法に規定された一般的な税関職員の調査権限に基づきまして可能な範囲内で確認を実施しておりますが、具体的な手続規定が存在しないものですから、輸入者のほか特恵適用国、すなわち輸出国側の協力が得られない場合には適切な確認実施は困難という状況になっております。さらに、昨年度改正で特恵税率の適用除外要件を見直した関係で、今後、特恵適用の除外国が増加していくため、そうした国からの輸出品については、一旦、特恵適用国へ運送してから輸出するといった迂回輸出、我が国から見れば迂回輸入が増加する可能性があります。

 したがいまして、下のオレンジ色のボックスですが、まず特恵適用国の貨物に対する事後確認手続の規定を整備することとしたいと考えております。具体的には、下の図の赤色で示した部分でして、輸出国側への訪問調査や資料提供要請等の規定を整備したいと考えております。その上で、特恵税率の適用を否認する要件、例えば特恵適用国の原産品でないことが判明した場合ですとか、調査への協力要請が拒否された場合などを特恵適用否認要件として法令上明確化したいと考えております。

 資料の説明は以上となります。

 最後に、本日の次の議題として、「ストップ金密輸」緊急対策について調査課長から御説明いたしますが、緊急対策の内容の一つに罰則の強化が含まれております。罰則の強化は関税法等の改正が必要となるものでございまして、現在、関係部局と調整を行っているところであり、具体的な内容につきましては、次回の分科会でお諮りしたいと考えております。

 また、先日9日、ベトナムのダナンで開催されましたTPPの閣僚会合においてTPP11が大筋合意に至りまして、10日の閣僚会合においてその内容が確認され、閣僚声明が発出されました。報道でも御存じかと思いますが、知的財産や投資等の一部項目に凍結項目はございますが、貿易円滑化や原産地規則等についてはTPP12の合意内容がほぼそのまま維持されることとなったところでございます。

 つい先日のことでもありますので、その具体的な内容につきましては、整理の上、次回の分科会で御説明したいと考えております。TPP11の報告の際には、RCEPの交渉状況ですとか、日米経済の国際状況についてもあわせて御説明したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 私からの説明は以上です。

森田分科会長  どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら御発言をお願いしたいと思います。

浦田委員  1つ質問させていただきたいと思います。先ほどの特恵関税に関する御説明だったと思うのですけれども、国内の生産者がいないのに税率がかかっている品目については無税にする、これは非常に正しいやり方だと思うのですが、今回挙げていただいた品目以外で、国内の生産者がいないにもかかわらず基本税率が有税になっているものがもしあれば、今この場でというつもりはないのですが、そういうものがあるのであれば教えていただきたいと思います。

 もう1つ、言葉の問題ですけども、WTOなどでは、applied rates(実行税率)、それから譲許税率(concession rates)、これは基本税率とか協定税率という言葉とどう対応しているのかという点です。調べてくればよかったのですが、今言ったようなapplied ratesとconcession ratesとの関係を教えていただければありがたいです。これも今すぐというわけでもなくて、後でも結構ですので、よろしくお願いいたします。

泉関税課長  今、委員から御質問のございました、国内生産者がいないにもかかわらず、例えば基本税率等で有税になっている項目は何個あるのかというのは今直ちにはわからないのですけれども、今回、特恵関税の見直しによって個別品目の税率を調整することにつきまして6品目御説明いたしました。鉱工業品の原料となるようなものが多いのですけれども、かつては、若干ですが、国内生産者がいた品目もございます。しかしながら、価格競争の激化や最近の環境規制によるコスト増等によって、こういった原料について日本国内では生産することができないことになりまして、国内生産者が最近になって、いなくなった、もしくは、工場を海外に移して、日本国内では製造しないことになった状況にあるものもございます。

 もう1つの御質問で、実行税率、譲許税率、基本税率でございますけれども、後ほど御趣旨を確認させて頂いた上で正確なところを御説明させていただきたいと思います。

三石委員  御説明、ありがとうございました。

 個別の品目でどうこうという形ではないのですが、高級品と通常の低価格品や普及品において市場が画定していいことを前提の議論で考えられていると思います。恐らく歴史的に見ると、今の課長の説明にもありましたとおり、かつては日本で高級品も通常品もつくっていたところ、それが、だんだん産業構造の変化により日本では高級品のみ残った形になっているのだと思います。貿易円滑化の観点からこうした施策を打つことはもちろん問題ないのですが、一方で、それにより高級品の生産者やマーケットが侵害されることのないように、関係省庁とも密に連絡をとり、日本の高級品は高級品でしっかりと残るような税施策もあわせて考えていただければと思います。

森田分科会長  それは御意見として承っておいてよろしいですね。

 ほかにいかがでしょうか。

相澤委員  豚肉に係る関税の緊急措置はさまざまな事情によって発動されることがあって、その中の一つに国内生産が十分ではないという場合があると思います。マーケットの競合するものが売られていないから、外国からの輸入が増えているようなこともあろうかと思います。この点について、豚肉について国内生産は供給が十分であるのか、それから、輸入豚肉と国内豚肉はどの程度競合しているのか教えていただければと思います。

泉関税課長  相澤先生からの御質問に直ちにお答えはできないのですけれども、豚肉のセーフガードの発動は、かつてもございますし、少し前でもございます。恐らくおっしゃっていることは、豚肉とは別に、スペシャルセーフガード等について、例えばバターとかについて、国内の生産量が天候等の影響で減ったために、政令を発動してセーフガードの発動をやめているものもある中で、豚肉はどうかということだと思います。国内の豚肉と輸入される豚肉の品種、競合について直ちには御説明申し上げられないのですけれども、直近の豚肉の輸入は安定的には推移している状況でございます。

相澤委員  質問の趣旨は、セーフガードというのは、業界だけではなくて、消費者に与える影響も多いということも一つ考えていただきたいということです。

工藤委員  同じく緊急措置の取扱いについてです。消費者側と業界保護、生産者保護もございますけれども、こういう特別措置だとかセーフガードの発動が、それ以後、どのように市場に影響を与えているのかという点についての指標なり、あるいは報告なり、そういったものがあるのかどうか教えてください。

 影響が無いのが一番良いのかもしれませんけれど、セーフガード発動によってどの程度影響があったかという検証といったものはなされているのかという点についての質問でございます。

泉関税課長  例えば、今回、牛肉についてセーフガードを発動しておりますが、これについて、なぜ発動に至ったのか、そして、現在セーフガードを発動していることによって、牛肉の輸入量、輸入価格についてどんな影響が生じているか、大口のところはアメリカからの輸入ですけれども、アメリカからの輸入量もしくはオーストラリアからの輸入量にどういう影響が生じているかにつきましては、今まさに現状分析を行っているところでございます。関係省庁である農水省とも調整を行いまして、その状況についても次回の分科会で御説明をしたいと考えております。

 過去にセーフガードを発動したことの分析について、我々のほうでは、物資所管省庁とともに、セーフガードを発動したことによる輸入量への影響については当然分析をしております。

宮島委員  暫定税率についてです。漫然と延長されている暫定税率があるのではないかというような意見を去年も申し上げました。そして、見ていただいて、銅や鉛、亜鉛に関しましては、ここのところ何年か似たような状況だったなというところを今回変えるというふうにしていただきまして、よかったかなと思います。

 延長されるものに関しては、それぞれ通商交渉などを見た感じ、理由があるというふうに思うので納得するのですけれども、今後も漫然と延長するということではなくて、しっかりと見てほしいと思います。特に、今回見送りになった石油化学製品の油などは、基本的には基本税率化する方向を持ちながら、延長しながらも今後の見通しを明確にしたり、検証のやり方についてちゃんと示しながら、そう遠くない時期に対処するような姿勢で取り組んでいただければと思います。

 そもそも暫定税率は、今も418あるのですが、たくさんあればあるほど、それぞれについては毎年の事務作業がとても大変になって、一つ一つへのチェックの力がどうしても減じてしまうと思います。ですから、理由が薄いものに関しては、むしろ手間を省くという意味でどんどん基本税率化していって、非常に判断が難しいものに関しては丁寧に見て、そこに手間をかけて議論していく形がいいのではないかと思うので、よろしくお願いいたします。

森田分科会長  御意見ですけれども、コメントはよろしいですか。

泉関税課長  まさにナフサについてはおっしゃった方向で検討を進めてまいりたいと思っております。

 あと、今回、暫定税率を延長しているものの中身でございますが、ほとんど農産品でございます。例えば、関税割当制度の対象品目となっておりまして、低税率の枠を設定する以上、輸入状況等を踏まえて、1年という短期間の間隔で常に検証を行う必要があると過去に分科会でも御指摘をいただいているものでございますとか、宮島委員もおっしゃったとおり、国際交渉の中で、多国間で認められた水準よりも税率を自主的に引き下げているということで、今後の国際交渉の展開を見ながら機動的な対応を要する、こういったものが大宗でございます。

 一方で、品目数が多いものですから、農産品だけでもありませんので、おっしゃったとおり、めりはりをつけながら検討していきたいと考えております。

伊藤委員  特恵関税に関してちょっとコメントさせていただきたいと思います。中国他が卒業ということ自体に特に異議はないのですが、特に中国からはかなりの鉱工業品を輸入している状況で、先ほど6品目を無税にするということがありました。それ以外は、多少なりとも関税が上がるとコストアップにつながる国内生産者がいたり、国内の消費者にとっても何らかの不利益が生じるのではないかと考えられます。今回、国内生産者がいない6品目を無税にするということで、それ自体、特に異議はないのですが、今後もやはり国内の製造業他にとってどの程度のコストアップになるのか、消費者にとっての不利益等々、厳密な分析は続けていく必要があると思います。業界から特に何か言われたからということではなくて、客観的な分析に基づいて税率自体を下げたほうがいいのかどうか検討が必要かと思います。

 ASEANに関しては自由貿易協定等での対応がある程度可能かもしれないのですが、中国との間での自由貿易協定はまだ時間がかかるのではないかと思いますので、引き続き個々の品目について詳細な検討をしていただきたいと思います。

泉関税課長  ありがとうございます。来年30年4月から、例えば中国の鉱工業品については861品目が部分卒業の対象となって税率が変わる状況にございます。これは部分卒業でございまして、おっしゃるとおり、来年、全面卒業が見込まれますので、例えば、中国の特恵対象品目ですが、鉱工業品について全部で3,216品目ございます。今回、特恵適用から除外される品目はかなりの数あるわけですけれども、来年以降はさらに多くの品目が対象になります。そこで、これについては、来年度を中心に、かなり深度のある検討を続ける方向で今考えております。

佐藤委員  2つ教えてください。

 1つは、418品目中386品目が延長ということですが、そうすると32品目が延長されていないということで、次のページで26品目について御説明がありましたが、差の6品目はどうなっているのかという非常に単純な質問です。

 第2点は、やはり特恵関係で、6品目のうち2つほど、水酸化アルミニウムとPTBPはほかのものと違って、ブラジル、中国等に対する輸入額の割合が全てとか9割とかいう高さではありません。そうなると、基本税率を無税にすると、その2カ国以外のところにも影響が及ぼうかと思いますが、そのあたりはどのように分析していらっしゃるか教えていただきたいと思います。

泉関税課長  すみません。説明がわかりにくかったかもしれませんけれども、今回の分科会で暫定税率の延長をしないものは32品目ございまして、そのうちの26品目については基本税率化する銅・鉛・亜鉛、残りの6品目については牛肉に関するものでございます。これは次回の分科会でお諮りをしたいと考えております。

 次に、特恵税率の関係でございますが、おっしゃった水酸化アルミニウムは、ブラジル、そして中国で約5割という状況でございます。それ以外の国は、オーストラリアですとか韓国、インドネシアというところでございます。オーストラリア等についてはEPAがございまして、EPA税率の適用により無税となっております。したがいまして、EPAが無い中国、ブラジルへの対応の必要があろうと考えております。

 もう1つはPTBPでございますけれども、これは中国からの輸入量が約3割で、ほかはどこかといいますとシンガポール、そして韓国でございます。多いのはシンガポールからのものでございまして、シンガポールからの輸入につきましてもEPA税率により無税になってございます。そういったことからEPAが無い中国への対応の必要があろうかと考えております。

石毛委員  特恵についてですけれども、中国、タイ、メキシコ、マレーシア、ブラジル、そういう国を対象に特恵税率の見直しをしたということですが、これは、EUとかアメリカとかカナダとか、そういう国と同じような水準というか、相場観になってきているのかという質問です。

 2番目は、特恵の原産地についての迂回活動がかなりあるとして、こんにゃく、小麦グルテンと紹介がありましたけれども、具体的な国の名前を紹介するのが難しくなければ、参考までに教えてほしいと思います。

 それから、この制度ですけれども、特恵だけではなくて、FTAとかいう世界でも十分起こり得ると思うのですが、そういうようなところについてはどのような制度にしているものなのでしょうか。これは、日本側がこういうルールにしたからと一方的に決めて相手国あるいは関係者に施行していく、そういう形式をとるものなのでしょうか。

山岡原産地規則室長  原産地規則室長を拝命しております山岡でございます。

 石毛委員からの質問の2つ目と3つ目ですけれども、原産地の迂回で国名を挙げられないかということです。こんにゃく粉については、中国原産ですけれども、ラオスからと偽って輸入されたものです。3点目の御質問は、EPA等に同様の措置はないのかということですけれども、まさに事後確認、それから特恵適用しないときの条件については、EPAの際に対応する関税暫定措置法の規定がございますので、それで現在対応しているところでございます。これに対して特恵関税制度では法令上に具体的規定が存在していないので、今回それを導入することで措置をしたいということでございます。

 よろしくお願いします。

泉関税課長  特恵関税制度の見直しは昨年度改正で行ったものでございますけれども、特恵関税制度に関しましては、最近、諸外国でも制度改正があったところでございます。例えばEUでありますと、2014年から3年連続で高中所得国に該当した国については特恵対象から除外することで、特恵対象国がそれまで177あったのを85に減らす改正を行っております。カナダも、2015年から2年連続で高中所得国に該当した国及び2年連続で世界の総輸出額の1%以上のシェアを占める国といったものについて特恵対象から除外する改正をしてございます。こうした動向に方向性としては合っているのではないかと考えております。

古谷委員  暫定税率について、皆さん、幾つかその妥当性についての質問があったかと思います。示されたものに関して見直しは納得いくものだと思うのですけれども、見ていないものはわかりません。所管省庁の要望だとか事業者の要望等で見直しをされたということですが、例えば見直しされなかったものに関して要望があったのかなかったのか、要望があったけれども、実は見直しに至らなかったのか、恐らくそこら辺のプロセスが見えないためだと思います。全部細かく品目ごとに言う必要はありませんけれども、そこの前提となる情報を教えていただければよろしいのではないかと思います。今日でなくてもいいのですが、今後も含めてそのように検討をいただければと思います。

泉関税課長  暫定税率が張られているものについては適用期限が1年でございますので、そういう意味では、全ての品目について要望が来てございます。それについて、物資所管省庁と我々のほうで、延長すべきかどうかという検討を行います。例えば、今回延長しないものとしては銅・鉛・亜鉛を考えるべきではないかということであり、延長をやめて、むしろ暫定税率をやめて基本税率にしてはどうかという要望があったものが先ほど申し上げましたナフサとかでございます。

 結局、所管省庁から延長の要望が来て、延長すべきかどうか検討するということで、かなりの部分が延長しようということになったわけですけれども、その中身、それがどういう内容かといいますと、先ほど申し上げましたとおり、ほとんどが農産品でございます。ウルグアイ・ラウンド合意時に関税化されたので暫定税率を自主的に低く設定したとか、関税割当制度と一体のものになっていて暫定税率だけ動かすわけにはいきませんとかいった仕組みになっているということでございます。

 延長するものについての資料がやや薄いという御指摘をいただいたので、これからは工夫してまいりたいと思います。

藤岡委員  特恵適用貨物に関する事後確認手続等、ただいまのこんにゃく等の否認事例もございました。また、今後、特恵適用除外国が増加するということであり、ご提案は、極めて適切な措置だと思います。一般的な調査規定はあるわけでございますが、やはり明瞭性、透明性等の見地から、具体的に規定を設けることは極めて重要なことであり、適切な御提案だと思っております。

 ただ、ここの図にもございますとおり、現実に執行する税関当局からいたしますと、権限規定があっただけでは、最終的な政策目的が実現されるかということは必ずしも十分ではないわけでございます。例えば訪問調査を行う、あるいは資料提供要請を行うとしましても、税関における体制、ありていに言えば旅費、人員の確保等を含め、また研修等を含めて、適切な体制の整備を行っていく必要があると思います。

 また、輸出者が海外にいるという関係を念頭に置いて、さっき石毛委員の御質問にもあったかと思いますが、どうやって本制度を本当に担保するかという制度面の話でございます。ご提案の協力要請が拒否された場合について特恵を否認することができるといった規定は、国内にいる輸入者との関係における規定でございますので、実効性があるもので、具体的な提案として結構なものだと思います。しかし、いずれにいたしましても、一般的な意味で、当局として海外の関係当局との必要な連絡調整があれば、ぜひそれも行っていただきたいと思います。

森田分科会長  ありがとうございました。

 それでは、大体この件はよろしいでしょうか。

 他に御質問もないようでございますので、続きまして、「ストップ金密輸」緊急対策につきまして事務局から報告を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。

中澤調査課長  関税局調査課長の中澤と申します。

 本日は、先週7日に公表されました税関における金密輸対策、先ほど紹介がありました「ストップ金密輸」緊急対策につきまして、背景、また概要につきまして、10分ほどお時間をいただきましてお話しできればと思っております。

 まず、1枚目をおめくりいただきますと、ここに背景なりを書いているところでございます。前回、税関行政を巡る現状という報告がございましたが、その中でも、消費税率の引き上げ以降、金の密輸事件が急増しているという紹介がありました。ここの上のところに文字で書いてございますが、29年1−9月期におきまして税関の現場で既に976件、4.5トンの金密輸の摘発をしており、これは28年のペースを上回るような状況でございます。

 右下のほうをご覧いただきますと金密輸のスキーム図を掲げておりますので、まずそこからお話しできればと思います。ここでは、金が1キロ500万円を想定しております。5キロ、2,500万円の金を密輸することを想像していただければと思います。例えば香港で金を買うといたしますと、香港では金は非課税という取扱いになっておりますので、2,500万円で金5キロを買う一方、日本ではあまねく消費税が課されておりますので、金5キロの取引は2,500万円に200万円をのせた2,700万円になっております。仮に正規で日本に金を持ち込むことを考えた場合には、税関で200万円分消費税を納めてから日本に持って入ることとなりますので、輸入した人は2,500万円で買い、200万円の輸入消費税を払い、日本において2,700万円で売却するということで、何も損得はない状況でございます。仮にここで税関の目を逃れて密輸を企てることを考えた場合、消費税分200万円が懐に入ることになります。

 この図の右下となりますが、税関の調査によると、密輸した人は大抵、金買取店に金を持ち込み、これを現金に換え、再度これを国外に持ち出すという形になっているようでございます。金買取店は、買い取った金を、この後は国内の正規流通という形で別の者に売却をしていき、最終的には、商社などの輸出者がこれをまた国際市場に戻していく形となっております。このような形で現金がまた外に持ち出され、金も外に輸出し、また同じように金の密輸入が発生しており、金と現金がぐるぐる回っていく形でございます。

 ここで輸出者が200万円の利益を得ていると申し上げましたが、それを誰が負担しているかという点について、手数料を捨象して、簡単に考えてみたいと思います。先ほど申し上げたように、密輸者は200万円の利益を得ています。金買取店は、2,700万円で金を買い、売却の際には2,700万円で売っております。最終的に売る商社、輸出者である商社は2,700万円で金を買って、国際市場には2,500万円で売り、差額200万円が輸出免税となっているため、国庫は輸出免税分200万円マイナスになっているということでございますので、これを足し合わせて考えてみますと、密輸者200万円の利益というものは国庫もしくは納税者皆様の懐から負担されていると考えることができるのではないかというものでございます。

 また、先ほど29年に4.5トンの金を現場で摘発していますと紹介しましたが、これは氷山の一角ではないかと恐れているところでございます。前回、阿部先生から貿易統計の質問がございました。ここで簡単に紹介したいと思いますが、2016年の貿易統計を見ますと、金の輸出は197トン、輸入は5トン、この差192トンが輸出超過となっております。日本でほとんど金山がない中で、どのように金が輸出されているか考えてみると、ヒントとしては資源エネルギー庁が公表している統計があります。日本では、銅の精錬とかスクラップから金が96トン生産されています。一方で58トンの金を消費しておりますので、その差が約40トン弱ある。151トンの金が金買取店のようなところから恐らく大手商社等に流れているのではないかというのがこの数字から見えてくるところでございます。

 そうしますと、相当程度の金が密輸されているのではないかと恐れているところでして、ここにも書いてありますが、まさに氷山の一角ではないかというところでございます。

 この金密輸が急増している背景には、金そのものは小型で隠匿容易だということ、また非常に換金が容易だということでございます。また、報道の言葉を借りますと、密輸する者から罰則が軽く見られているおそれがあり、「密輸天国」という言葉で紹介されていたところでございます。

 1枚おめくりいただきまして、密輸の摘発事例をご覧いただければと思います。ここでは2つの例を掲載しております。左側は、洋上で206キロという大量の金塊を密輸しようとした事例でございます。右側は、ある意味、安易な小遣い稼ぎのような事例であり、飛行機の旅客として金を持ち込もうとした事例です。犯罪組織が絡んでいる密輸もございますし、一方で、右のように、安易な小遣い稼ぎという密輸もございまして、こういうものに対してどう対処していくのかというところが今回発表した金密輸対策でございます。

 1枚おめくりいただきまして、3ページ目をご覧いただければと思います。上に今回の対策の基本的な考え方を書いているところでございます。これは、前回分科会の中で局長の飯塚から、金密輸の取締りを抜本的に変えていく必要があるという話がありましたけれども、それを受ける中で3点ほど基本的な考え方を書いております。迅速で円滑な通関を行っていくと同時に広範で厳格な密輸取締りを行う、また、関係省庁と連携してやっていく、さらには緊急的かつ抜本的な対策として早急に実施していくということで、下に3本の柱を掲げております。

 1つが検査の強化でございます。検査の強化を通じまして摘発を増加させ、もしくは、日本に密輸したくないと思わせるところがこの検査の強化でございます。2本目の柱としては処罰の強化で、摘発した者に対しては徹底して厳しい処罰をし、これにより、また密輸がされないようにしていく必要があるというものです。第3の柱が情報収集・分析の充実で、これは第1の柱、第2の柱を支えるようなインフラを強化していくところかと思っております。

 1枚おめくりいただきまして、対策の中身を紹介できればと思います。4ページ目の右側に門型金属探知機の写真を掲げております。現在、出国する際にはあまねくこの門型金属探知機をセキュリティの観点から通っているところでございますが、一方で入国のところでこういうものを設置できればと考え、(2)に書いているところでございます。人の流れを止めずに身辺検査を行う中で、このような機器の活用があるのではないかと考えております。また、(3)のキャッシュ・クーリエ対策というのは、先ほど申し上げました現金の持ち出しにも厳しく取締りをしていく必要があるのではないかという観点からの対策です。

 1枚おめくりいただきまして、5ページ目をご覧いただければと思います。5ページ目の右に税関の監視艇の写真がございます。先ほど洋上取引の例を紹介いたしましたが、洋上での金密輸が十分考えられる中で、航空機旅客のみならず、洋上についても例えば税関監視艇をしっかり投入していくと同時に、海上保安庁としっかり連携して対処していく必要があるのではないかと、(6)で紹介しているところでございます。

 1枚おめくりいただきまして、処罰の強化でございます。ここで(2)の告発の増加というところをご覧いただきますと、警察、検察、海上保安庁といった関係機関としっかり連携をして、身柄拘束を含め、徹底的な共同調査・捜査を推進して、告発を図っていく必要があることを示しております。また、先ほど金密輸が急増している背景に密輸天国もしくは罰則が軽いと見られているという話を申し上げましたけれども、(3)で書いてありますように、罰則の強化といった視点も必要ではないかと対策の中で明記しているところでございます。

 1枚おめくりいただきまして、3点目の情報収集・分析の充実のところでございます。(1)をご覧いただきますと関係省庁が書いてございますが、海外の税関でありますとか、国税庁、警察、海保、入国管理局としっかり連携をしていきながら、それぞれの得意分野を生かしながら金密輸に対処していくとしております。

 最後、3点目でございます。金買取店の周りでいろいろ犯罪が起きている現状がございます。密輸された金が安易に国内で売却されることがないようにすることが極めて重要と、ここでも明記しているところでございますが、何よりも金地金流通業に携わる業界について、コンプライアンス確保に向けた自主的な取組みを強く期待すると同時に、税関としても輸出入申告を起点とした金地金の流通に着目し、商社ヒアリングなどを通じた調査を進めていくことができればというところでございます。その際には経済産業省としっかり連携を図っていくと明記しているところでございます。

 あと、最後のページでございますが、運び屋は非居住者が多いということで、非居住者を含めて広報をしっかりやっていくこととしております。また、(2)の体制の強化でございますが、タスクフォースを関税局内に設置し、総合的に税関と連絡調整をしていくこととしております。緊急対策はこういった内容になっているところでございます。

 以上でございます。

森田分科会長  ありがとうございました。

 それでは、これまでの事務局の報告につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ御発言ください。

阿部委員  ありがとうございます。御説明、大変よくわかりました。きょう御紹介いただいたような対策で、ぜひ密輸を根絶していただきたいと思います。

 前回もちょっとお話があったと思うのですが、最近クルーズ船での訪日客が多いというお話があって、それへの対応がなかなか現場では難しいというお話もありました。そのあたりについても、もし具体的な方策等ありましたら御紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。

秋田監視課長  監視課長の秋田でございます。

 クルーズ船につきましては、確かに一度に四、五千人のお客様が下船されるものですから、できるだけ短時間に検査をしないといけない状況でございます。そこで、エックス線ですとか金属探知機を用いて、できるだけお客様の流れを止めない形で厳格に検査していくことで対応しているところでございます。

古谷委員  8枚目のスライドのコンプライアンスの確保についてお聞きしたいと思います。「業界にコンプライアンス確保に向けた自主的な取組みを強く期待」とあるのですけども、実態上、コンプライアンスのレベルはどういう感じなのかお聞きしたいのと、期待しても、それが実効性を伴わなければいけないわけですから、実効性を伴うためにどういう取組みが今考えられて、あるいは、しているのか、教えていただければと思います。

中澤調査課長  御質問ありがとうございます。

 まず、実態のところでございます。金買取店自身は、設立、退出を含め自由になっております。その中で流通協会がございまして、この流通協会に加盟しているようなところにつきましては、例えば金を買い取る際に、ちゃんと輸入した金なのかどうか確認を求めるという取組みをやっていると聞いておるところでございます。

 一方、この流通協会に全部入っているかと申しますと、入っていない金買取店がたくさんあると資源エネルギー庁のほうから聞いておりまして、まず流通協会の取組みを広げていくところが考えられるのではないかと思います。

 2点目、実効性を高めていく点でございます。今、金買取店の周りにつきましては、前回の分科会で、宮島委員から、支払い調書の提出についてご発言がございました。居住者が金を売却した際には支払い調書の提出をするといった税の側面がございます。もう1点といたしましては、犯罪収益移転防止法という視点でございますが、200万円を超える貴金属の買い取りの際には犯罪収益移転防止法の手続が課されています。本人確認義務でございますとか、疑わしいと思った際には、それを行政庁である経済産業大臣に提出するところがございますので、経済産業省としっかり連携を図っていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

 先ほど少し紹介いたしましたけれども、商社等のヒアリング、まさに輸出の部分は税関が得意の部分でございます。正規の輸入の部分も税関がしっかり見ることができる部分でございますので、そういうものを我々がしっかり見つつ、経済産業省に対していろいろ働きかけていく取組みが実効性をもたらすことになるのではないかと考えているところでございます。

森田分科会長  他に御質問等ございませんでしょうか。

 無いようですので、少々早いのですが、以上をもちまして本日の関税分科会は終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

 なお、次回の関税分科会の詳細につきましては、事務局と調整の上、また別途御連絡を申し上げたいと思います。

 それでは、本日は御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございました。

午前11時10分閉会

財務省の政策