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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (平成29年10月3日開催) 議事録

本稿は、平成29年10月3日の関税・外国為替等審議会 関税分科会の議事録です。

 

午前10時00分開会

森田分科会長 おはようございます。時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様には御多用のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。

 風邪を引いたもので、お聞き苦しいところはお許しいただきたいと思います。

 それでは、事務局の構成につきましては、本年7月に人事異動がありましたところ、お手元の座席表をもって御紹介にかえたいと思います。

 続きまして、飯塚関税局長より一言御挨拶をお願いいたします。

飯塚関税局長 おはようございます。関税局長の飯塚でございます。どうぞよろしくお願いします。

 本日は、委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ朝早くから御出席賜りまして、誠にありがとうございます。また、平素から関税政策または税関行政につきまして格段の御理解と御協力を賜りまして、この場を借りて厚く御礼を申し上げたいと思います。

 本審議会では、次回以降、来年度の関税改正に向けて御審議をいただくことになりますが、本日は今後の審議の参考としていただくために、最近の税関行政をめぐる諸課題でございますとか、関税・税関をめぐる国際的な諸課題につきまして後ほど改めて担当から御説明させていただきますが、冒頭、私からも、簡単に、全体的・概括的なお話をさせていただきたいと思います。

 国内の税関行政についてでございますけれども、従前より関税局から御説明させていただいていると思いますが、私どもは3つのミッションを持っておると思っております。1つは、水際での厳格な取締りを通じた安全・安心な社会の実現ということ。それから2つ目は、適正かつ公平な関税・消費税等の徴収ということ。3つ目は、迅速な通関を通じた貿易円滑化の推進ということでございます。これらの3つのミッションを果たすために、私どもは各種施策に取り組んでいるところでございます。

 この3つの使命についてそれぞれ簡単に最近の課題を申し上げたいと思いますが、まず第1の使命でございます安全・安心な社会の実現という観点につきましては、当面の課題といたしまして、テロ対策がございます。御承知のように、2020年、東京オリンピック・パラリンピック大会がございますが、その前年の2019年にもラグビーワールドカップ大会がございます。それから、2019年はG20の議長国になりましたので、G20首脳会議をはじめとする各種閣僚会議が、その年、日本で開催されることになります。また、アフリカ関係のTICADという国際会議もその年にございますところ、2020年とその前年の2019年に向けてテロ対策に万全を期していく必要があると私どもは思っております。

 さらに、覚醒剤・麻薬でございますけれども、この密輸押収量も残念ながら増加傾向にあるということでございまして、これについても従前同様厳格に対応していく必要があるという状況でございます。

 それから、第2の使命でございます適正かつ公平な関税・消費税等の徴収に関して申し上げますと、昨今、恐らく消費税の脱税を目的としていると思いますけれども、金地金の密輸入が横行しているという状況でございます。場合によっては犯罪組織の資金源となっているおそれもあるわけでございます。こういった問題がございますので、現在、関係省庁とともに厳格な水際取締りを行っている状況でございます。

 それから、第3の使命でございます貿易円滑化の推進についてですけれども、28年度の関税改正の際に御審議をいただきました輸出入申告官署の自由化が来週8日から施行されるということでございます。関税局・税関におきましては、本制度の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。

 以上が国内の執行の面でございますけれども、次に、関税をめぐる国際的な状況についても少し申し上げたいと思います。

 先般、日EUのEPAについて大枠合意に至ったということでございますが、現在、さらに一歩進んだ段階でございます、言葉遣いを変えておりますが、大筋合意と我々は呼んでおりますけれども、この大筋合意に向けた議論を進めているところでございます。

 それから、いわゆるTPPでございますけれども、TPP12からアメリカが離脱したわけでございますけれども、その後のTPP11をどうするかという議論を今政府の中で行っており、また、その交渉も実際始まっているところでございます。さらに、ASEANを中心とするRCEPの交渉も政府と連携しながら今やっているというところでございます。

 以上申し上げましたようなさまざまな課題を私どもは抱えておるわけでございまして、この課題の解決に努めているというところでございますが、本日御出席いただきました委員の先生方におかれましては、何とぞ私どもの政策・施策について今後とも御理解と御支援を賜れば幸いでございます。

 以上でございます。本日は貴重なお時間を拝借しておりますが、何とぞ御審議を賜りますようお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

森田分科会長  どうもありがとうございました。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。

 本日の議題は、お手元の議事日程のとおりです。

 まず、「最近の関税政策・税関行政を巡る状況」につきまして、岸本審議官及び柴崎審議官より御説明をお願いいたします。

 それでは、岸本審議官、よろしくお願いいたします。

岸本審議官  それでは、「最近の関税政策・税関行政を巡る状況」を見ていただきたいと思います。

 目次でございますが、1ページ、本日の説明の流れというところで、税関行政、関税政策の2つを私が説明させていただきます。その後、柴崎から国際関係について説明申し上げます。

 2ページより、税関行政の説明となります。

 3ページでございます。税関の3つの使命を私どもは掲げて取り組んでいるところでございます。安全・安心な社会の実現、適正・公平な関税・消費税等の徴収、貿易円滑化の推進でございます。

 4ページですが、税関は全国を9つの管轄に分けて業務に取り組んでおりますけれども、その定員が9,178名でございます。関税局は、全国を統一的に運用するための調整を行っています。

 5ページの税関業務の現状についてでございます。業務が非常に増えているということですけれども、特に見ていただきたいのが上の真ん中のグラフ、航空小口急送貨物という赤いグラフがございます。10年前には970万件だったものが、足元では2,260万件と急速に増えております。すぐ上に輸入申告件数2,943万件とございますけれども、そのうちでも2,260万件と航空小口急送貨物が増えているということでございます。これは、国際的な通信販売の増加、電子商取引の増加といったことを背景といたしまして、小口の航空貨物を使う動きが非常に増えているということです。

 それから、左下にクルーズ船という青色のグラフがございます。観光客を誘致する動きが非常に大きい中で、西日本などを中心にクルーズ船の寄港が非常に増えておりまして、10年前には250隻余りだったものが、足元では1,400隻以上寄港するようになっているという状況でございます。

 次の6ページでございますが、さらに注目すべき動きとして一つグラフにしておりますけれども、訪日外国人旅客の増加ということでございます。2016年の訪日外国旅客数は2,404万人でございました。それを2020年に向けて4,000万人に、それから2030年には6,000万人を目指すというのが政府の方針でございます。台湾、韓国、中国、香港といったような国の方々がお見えになっています。

 7ページですが、そういった中で税関としては、他の関連部局と協力してテロ対策に力を入れているところでございます。国際的にもテロ情勢は非常に悪化しているところでございます。観光立国を実現しながら、現下の厳しいテロ情勢に対応するために、出入国管理・税関における人的基盤の整備・強化、それから、物的基盤の整備・強化も引き続き推進するといったことでございます。

 下のほうにありますが、2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が予定されているということでございます。特に2019年は、このワールドカップのほかに、G20の議長国になります関係で各種G20の会議が開催されるほか、重要な行事がいろいろ予定されているということでございまして、あと1年3カ月たちますと2019年でございますので、そのための準備の期間は極めて短いと思っております。

 8ページですが、不正薬物の関係でございます。航空機旅客を通じた密輸、あるいは航空貨物を通じた密輸もございますけれども、ここで掲げておりますのは、「覚醒剤密輸入事犯における密輸手口の大口化」と題しまして、海上の貨物、あるいは洋上の取引といった事案も多く見られるようになってきているということを示したものでございます。件数にしましても、平均押収量にしましても増加傾向にあるということでございます。

 9ページの消費税の徴収に関してでございますが、金地金の密輸入事件が非常に増えているという資料でございます。平成26年の4月に消費税率が5%から8%に引き上げになりましたが、それと同じようなタイミングで平成26年以降急激に金の密輸入事件が増加しております。平成27事務年度の脱税額は約6億1,000万円、これは前事務年度の約2.6倍と過去最高になっております。足元でもさらに増加している傾向がございます。これに対して強力な措置を集中的に講じることによって、断固として制圧することが必要だと考えております。

 10ページでございますけれども、税の収納の状況についての資料でございます。28年度の税関における収納額は約7.9兆円で、国税及び印紙収入全体の約13.4%に相当するものでございます。

 11ページは輸入事後調査ということでございまして、水際だけではなくて事後的に会社を訪問して、税の納税状況について調査をするというものでございます。平成27事務年度においては4,302者に対して調査を行い、追徴税額が約146億円でございました。

 こういった課題に取り組むために、私どもは、12ページでございますが、平成30年度の定員・予算要求を行っておるところでございます。定員要求につきましては、左上のほうにございますけれども、純増で263人の増員を要求しております。足元の29年度の定員が9,178人でございますので、それに加えることの263人という要求でございます。これについては12月までにさらに議論が進められていくものでございます。30年度の予算要求でございますけれども、これも検査機器の充実などを含め、ご覧のような要求をしているところでございます。

 13ページは、税関における主要業務量と定員の推移について、私どもの定員要求に関する背景事情を示したグラフでございます。輸入申告件数が平成18年を100とした場合に足元で167.8、入国者数が157.5と急激に増えている中で、定員はなかなか伸びづらい状況にあることを示したものでございます。

 政府全体の中で定員の増加というのは極めて厳しい状況にあるわけでございます。その中で税関については比較的配慮をいただいているところでございますが、それにしても業務量の伸びに応じた定員の伸びはなかなか難しい状況がございます。

 14ページでございます。与えられた定員の中で、私どもとして効率的・効果的な検査、取締りを行っていくために、なるべくいろいろな機械を使っていきたいということでございます。一般的によく使用されているものを並べております。

 左上のほうにございますけれども、不正薬物・爆発物の探知装置、TDSと言われているものでございますが、極めて少量の薬物の微粒子を探知することができるような機械でございます。左下にありますのはパスポートリーダーということで、空港の税関においてパスポートを確認し、それを情報分析の活用につなげていくという機械でございます。

 15ページでございます。情報と申しましたが、検査機器の活用の背景には、私どもとして情報を幅広く活用して、それを分析し、本当にリスクの高い貨物や人に集中的に検査の資源を投入していくということが重要という考えがございます。航空機旅客、海上貨物、国際郵便物、航空貨物、それぞれの分野で情報の活用、事前入手に努めているところであります。

 16ページでございますけれども、情報機能の強化でございます。情報収集の強化、国内外の関係機関との連携の強化、分析の強化といった3つの分野それぞれにおいて力を尽くしているところでございます。

 17ページに一例といたしまして、乗客の予約記録、PNRと呼んでおりますけれども、これの活用について御説明いたします。PNRは、航空機のチケットを予約したときに、乗客は航空機のチケットの販売店にいろんな情報を登録するわけでございます。氏名、国籍、生年月日、性別、旅券番号その他といったようなものでございます。こういった情報について、税関では、情報センター内に設置した特別の部局において分析・活用を行っております。情報を集中的に処理するために1カ所に情報を集めるということは重要でございますし、また、こういったことは情報セキュリティ上も有効なことだと思っております。

 PNRに関しましては、平成23年度に入国PNR報告制度を導入いたしまして、平成27年からはこれを電子的にもらうことを可能にし、順次準備のできた航空会社からPNRの電子的な報告をいただいておりまして、相当程度のところがそのようにしてくださっています。平成29年からは出国PNR報告制度を導入いたしております。これを平成30年度中には入出国ともに電子的報告を原則化したいと思っているところでございます。

 18ページですけれども、これは先ほど申しました国外の関係機関との連携強化の一環でございますけれども、外国の税関当局と税関の相互支援のための協定を結んでおります。これによって情報交換をお互いに行うことができるようになるというものでございます。緑色のところが発行済または署名済の国または地域でございまして、33ございます。かなりのところが緑色に塗られてきていると思っております。直近では9月15日にブラジルとの間で相互支援協定を署名したところでございます。

 19ページです。これはAEO制度(認定事業者)という制度でございます。適正な税関手続と貨物管理を行う者として、あらかじめ税関が認定した事業者に対して簡素化・迅速化した税関手続を提供するという制度でございます。

 元来、国際的にはテロ対策を契機として生まれた制度でございますけれども、テロ対策に十分に取り組むためには貨物管理がしっかりしていないといけないという事情があるものですから、コンプライアンスの確保を通じた適正な課税も期待できるところでございます。あるいはこういった簡素化、迅速化措置を与えることによって、貿易円滑化にも資するというような面があろうかと思います。現在、636の企業がAEOとして認定されているところでございます。

 20ページですが、AEOになっている輸出入者、あるいは通関業者に対する規制緩和措置としまして、輸出入申告官署を自由化するという措置を講じております。同時に通関業の管轄区域制限も廃止されております。この自由化措置は平成29年10月施行でございますが、今月8日の日曜日から施行されるところでございます。こういったことが貿易円滑化にも資するものだと思っております。

 それから、21ページですけれども、NACCSを巡る現状ということでございます。情報を活用して、それを有効に取締りにつなげていく、あるいは貿易円滑化をさらに進めるためには、電子手続を進めていくことが極めて重要だと思っております。

 中央にありますが、平成29年10月、これも同じ8日の日曜日でございますが、新しい第6次のNACCSの運用が開始される予定でございます。現在、その最後の調整を行っているところでございますけれども、これによってシステムの安定性、信頼性がさらに向上する、あるいは制度改正に的確に対応することができる、利用者利便性が向上する、総合物流プラットフォームとしての機能充実を行う、といったようなことを目指しております。

 以上、税関行政について申し述べました。

 22ページ以降、関税政策に関連するものをまとめております。

 続けて23ページ、関税率の種類と適用関係でございます。何度もご覧になっている図だとは存じますけれども、左上にありますように、関税定率法に定められた基本税率というのがございます。関税暫定措置法に暫定税率を定めて、暫定税率は毎年1年ごとに期限切れを迎えますので、それで1年ごとに審議をお願いしているわけでございますけれども、暫定税率が設定されている税率については暫定税率が優先するというものです。

 これとは別に、WTOで約束した協定税率というのがあり、仮に協定税率のほうが国内法で定めた税率よりも低い場合には、協定税率が優先するということでございます。

 さらに、国際的に約束した税率ということでは、一番右側にありますEPAの税率がございまして、これが昨今非常に重要になっているというものでございます。

 他方、左下のほうには一般特恵税率というのがあって、これは開発途上国を対象として、日本が一方的な措置として開発途上国に優遇された税率を提供するというものでございます。そういったものが合わさって適用される税率が全体として決まるというものでございます。

 そこで、24ページですが、冷凍牛肉に係る関税の緊急措置ということでございます。牛肉につきましては、協定税率、あるいは基本税率としては50%ということでございますが、暫定税率として38.5%の低い税率を毎年1年ごとに設定しております。ただ、輸入急増時にはこれを38.5%から50%に戻すという措置もあわせて毎年講じているところでございます。これは通常発動することはなかったわけでございますけれども、今般、8月1日から発動されました。4月、5月、6月の冷凍牛肉の輸入量が法定の基準数量を超過いたしましたので、法律上の措置といたしまして、自動的に8月1日からこの税率が50%に引き上げられたわけでございます。

 右下にグラフがございますけれども、アメリカ、カナダ、ニュージーランドなどEPAの無い国につきまして、この税率が38.5%から50%に引き上げられました。他方、EPAのある国につきましてはEPAの税率が適用されますので、例えばオーストラリアの牛肉は27.2%の税率が適用されております。この緊急措置は来年の3月まで適用されて、来年の4月からまたもとに戻るということでございます。

 次に、25ページでございます。一般特恵関税制度、先ほど申しました開発途上国を対象として低い税率を提供するという制度でございますが、開発途上国が一定の発展段階に達しますと、この制度から卒業してもらって通常の関税率を適用するということにしております。この卒業の要件を昨年見直しました。見直しの背景としては、特恵関税制度は10年ごとに見直しを行っている制度でございますけれども、前回の改正から5年を経過したということで、レビューを実施したものでございます。

 見直しの内容は、3年連続で高中所得国以上かつ輸出の世界シェアが1%以上に達したということを、新たに卒業要件として規定するということでございます。激変緩和措置を講じながら、平成31年度から最終的な卒業制度を実施いたします。これらの見直しを踏まえると、5カ国が新要件に該当するということで、平成30年度、平成31年度で合わせて7カ国の卒業が予定されているところでございます。

 一般特恵関税制度の見直しを踏まえまして、物資所管省庁とともに個別品目の基本税率の見直しについて現在検討しているところでございます。一般特恵関税制度の見直しを行いますと、特恵関税が適用されなくなって税率が上がるわけですが、他方において、我が国利用者の利便の観点から、低い税率のまま留め置くことがむしろ妥当だと判断される品目については、基本税率そのものを引き下げるということで対応することもあり得まして、どのようなものについてそのような対応をすることが妥当かということを検討しているところでございます。

 一番下のポツは、一般特恵関税制度の適用除外対象国となった国から、今度、迂回輸入が増加するおそれがあり、この特恵関税制度を適用するためには、原産地をきちんと確認することが一層重要になるということでございまして、そのための制度見直しを現在検討しているところでございます。

 それから、26ページは、中国産の高重合度ポリエチレンテレフタレートに対する暫定的な不当廉売関税の課税に関する資料でございます。不当廉売関税につきましては、関係業界の申請を受けて必要なものについて調査を行い、必要な措置を講じているところでございますが、この夏、中国産のPET、これはペットボトルの原料になるようなプラスチック製品でございますけれども、これについて暫定的な不当廉売関税を課すという決定をいたしました。9月2日から暫定的な不当廉売関税が課されております。これを年末まで引き続き調査を行いまして、年末に確定的な不当廉売関税の課税をすることが必要かどうかという判断をする必要がございます。

 27ページですけれども、これは大韓民国産及び中華人民共和国産の炭素鋼製突合せ溶接式継手という部品に対する不当廉売関税の課税に関する資料でございます。3月31日から関係省と合同で調査を行っているところでございます。今後、輸出国の企業などに対する実態調査によりまして客観的な証拠を収集して、調査結果を踏まえまして、不当廉売関税の課税の要否を政府として判断するということが求められるところでございます。

 それから、28ページですけれども、貿易統計の整備というのも私たちの非常に重要な仕事でございます。その内容はご覧のとおりでございますけれども、輸出入の差引額は2011年以降赤字が続いていたものの、2016年に6年ぶりに黒字に転化したという状況でございます。2017年上半期については輸出入額とも前年同期比で増加しているという状況でございます。

 29ページは、平成29年上半期の状況でございます。

 30ページですけれども、貿易統計につきましては、極めて重要な政策の判断材料でございます。今後ますます統計の重要性は高まっていくものと思っております。そこで、この際、貿易統計の在り方について、ワーキンググループを設けていろいろな検討をしていきたいと考えておるところでございます。

 検討事項としては、ホームページの利便性の向上ですとか、貿易統計確定後の取扱いがございます。貿易統計は一定の年限がたちますと数値を確定してしまうわけでございまして、確定してしまった後は遡って修正することはしないというのが今の慣行でございますが、それでいいかどうかといったことでございます。

 それから、貿易統計における私人の秘密にわたると認められる事項について、私人の秘密を侵さないような形で、そして全体として統計の信頼性を維持するという形でこの統計をまとめていくにはどうすればいいかといったようなことでございます。

 今後の予定でございますが、10月の中旬に第1回ワーキンググループを開催し、取りまとめを11月上旬に行い、本分科会の企画部会に報告していただきたいと思っているところでございます。

 以上、税関行政と関税政策について御説明いたしました。

森田分科会長  それでは、柴崎審議官、お願いいたします。

柴崎審議官  柴崎でございます。私からは、国際関係について御説明させていただきます。

 国際関係については大きく分けて2つ柱がございまして、1つが国際交渉関係、もう1つが国際協力ということになります。

 それでは、32ページをご覧ください。昨年12月に本分科会において決定いただきました答申の抜粋でございます。国際交渉に当たっての基本的考え方をお示しいただいたものでございます。中央から下のあたりでございますけれども、英国のEU離脱、米国のTPP離脱といった世界的な保護主義の懸念が高まりつつある今こそ、世界に自由で公正な経済圏をつくり上げることを目指していくべきであるという御答申をいただいたところでございます。

 次の33ページでございますけれども、本年1月の総理の施政方針演説でございます。自由貿易の旗手として、公正なルールに基づいた21世紀型の経済体制を構築し、自由で公正な経済圏を世界へと広げるという方針を示していただいております。

 続きまして、34ページでございます。本年7月のG20ハンブルク・サミットにおきまして採択されました首脳宣言からの抜粋でございますけれども、全ての不公正な貿易慣行を含む保護主義と引き続き闘うこと、また、ルールに基づく国際的貿易体制は極めて重要であるということが確認されたものでございます。

 今申し上げたような基本的な考え方のもとで、我が国としても経済連携協定、いわゆるEPAの交渉を進めてきているところでございます。

 35ページは、EPAの意義、また我が国の取組状況をまとめたものでございます。既に16の経済連携協定が発効・署名済みとなっておりまして、右のグラフでございますけれども、貿易額で見ると発効済み・署名済みEPAの相手国との貿易の割合が約40%になっております。

 大枠合意を含む交渉中EPAの相手国との貿易を含めますと、貿易総額に占める割合は85.5%まで来ているわけでございますけれども、今申し上げた数字は米国の15.7%を含む数字であるということには留意が必要だと考えております。

 次の36ページには、EPA交渉のさまざまな分野を紹介させていただいております。財務省といたしましては、外務省、経済産業省、農林水産省と連携しながら、全体の交渉に当たっているところでございます。一番上の段にございます物品市場アクセス、貿易救済といったものだけではなくて、税関・貿易円滑化、知的財産、原産地規則といった交渉につきましては、財務省として特に積極的に関与しているところでございます。

 続きまして、37ページは、非常に文字が多い資料で大変恐縮でございますけれども、財務省としまして交渉に臨む基本方針を示しているものでございます。一番上の段だけ御紹介させていただこうと思います。右のほうにオレンジで「関税政策」とございますが、いわゆる物品貿易につきましては、国際的な経済貿易の発展等に資する制度の構築、国内産業の保護を基本方針としているところでございます。

 左のほうの税関行政につきましては、私どもにとって重要な3つの分野を掲げさせていただいております。貿易円滑化・税関協力につきましては、我が国企業の貿易促進のため、相手国の貿易手続を改善するよう高いレベルの規定を目指す、また、密輸の情報収集のため税関間の協力関係を強化する、といった基本方針でございます。

 知的財産につきましては、我が国企業の知的財産の保護のため、相手国の税関の取締りを強化する高いレベルの規定を目指しているところでございます。

 原産地規則につきましては、輸出入者の利便性が高く、関税の適正な徴収に資する証明制度・確認手続を目指しております。税関の円滑な執行が可能な品目別規則とするというのも重要と考えているところでございます。

 今申し上げたような方針のもと、具体的にEPA交渉をいろいろ進めてきておりますけれども、ここではTPP、日EU・EPA、RCEPとそれらに関連する事項について紹介いたします。

 38ページはTPPをめぐる経緯をまとめたものでございます。TPPは2016年2月、ニュージーランドのオークランドで署名され、我が国におきましては、同年の12月に国会でTPP協定の承認案・TPP整備法案が可決成立し、今年の1月に国内手続の完了を寄託国のニュージーランドに通報したところでございます。一方、同じ1月に米国はニュージーランド及び各署名国へ離脱の通知を行ったわけでございます。その後、米国を除く11カ国によるいわゆるTPP11の早期発効に向けた議論が進められているところでございます。我が国はこの会合を主導しているところでございまして、11月のAPEC首脳会議の際にいい結果を出すことを目標として交渉を進めているところでございます。

 39ページは、この9月21日及び22日に東京で行われましたTPP11の高級事務レベル会合の結果の概要でございます。2の(3)のところに示しておりますけれども、我が国は、TPP11の早期発効こそが米国の早期復帰を求めていく上で最も有効であり、11月のAPEC首脳会議でいい結果を出せるよう、スピード感を持って取り組む必要があるということなどをこの場でも改めて主張したところでございます。(4)にございますように、次回会合を10月に再度日本で開催することになっております。

 続きまして、40ページは米国のトランプ政権の通商政策をめぐる動向を簡単に記したものでございます。ここにありますように、米国の新政権は、貿易赤字を解消するという観点から、TPPからの離脱、NAFTAの再交渉等を表明してきているところでございます。

 41ページには、この関連で日米経済対話の資料をつけさせていただいております。日米におきましては、本年2月、日米首脳会談がございまして、これを受けまして、麻生副総理とペンス副大統領のもとで日米経済対話が立ち上げられております。本年4月の第1回の対話におきまして、「貿易及び投資のルールと課題に関する共通戦略」、「経済及び構造政策分野での協力」、「分野別協力」、この3本柱で議論を進めていくことで一致しております。年内に第2回を開催する方向で調整中でございます。

 続きまして、資料の42ページでございます。北米自由貿易協定、いわゆるNAFTAについてまとめてございます。この再交渉は、我が国自体の交渉ではございませんが、北米には我が国企業が多く進出しておりまして、その結果が我が国経済に影響を与えるということが予想されるところでございまして、その交渉状況をフォローしているところでございます。本年8月に第1回再交渉会合が開催され、これまで3回交渉会合が実施されてきているところでございます。第2回、9月にメキシコで行われた際の共同声明におきましては、年内の交渉妥結を目指し交渉を加速するというコミットメントが確認されております。次回の第4回は10月11日から15日に米国で開催される予定でございます。

 続きまして、資料の43ページでございます。日EU・EPAの大枠合意でございます。7月6日に大枠合意に達したところでございますけれども、2の交渉結果の中央のところにございますように、財務省の関連としましては、物品関連で酒類のヨーロッパへの輸出を促進させる観点から、EU側の非関税措置の撤廃等を獲得したところでございます。具体的には、左の下にございますけれども、「日本ワイン」の輸入規制、焼酎の容器容量規制の撤廃等を確保したところでございます。これだけではなく、右側で、「税関手続等に係る主な交渉結果」というところに書いてございますけれども、貿易円滑化につきましても、先進国間のEPAにふさわしい高いレベルの内容を確保するとともに、原産地規則につきましても、自己申告制度を採用することになったところでございます。一番下の3のところにございますように、EU側は2019年中の発効を目指しているということでございます。投資、電子商取引等論点は残っているわけですが、本年中に条文を固めるべく、日EU間の協議を引き続き進めているところでございます。

 44ページから47ページにかけましては、お酒関係の資料をつけてございますが、説明は省略させていただきまして、48ページをごらんください。

 48ページは英国のEU離脱、いわゆるBrexitについての経緯をまとめたものでございます。英国のEU離脱につきましても、先ほどのNAFTAと同様に、我が国企業への影響、また英国のEU離脱後の我が国との貿易ルール、さまざまな観点で私どもにとっても重要な交渉と考えておりまして、その状況を注視しているところでございます。内容については説明を省略させていただきます。

 資料の51ページをごらんください。東アジア地域包括的経済連携、いわゆるRCEP交渉の状況でございます。これは2013年の5月に第1回交渉が開始されて以来、これまで19回の交渉が行われてきているところでございます。ASEAN10カ国に日・中・韓、オーストラリア、ニュージーランド、インドの6カ国が参加するものでございまして、これが実現しますと、人口では約35億人、世界全体の約半分を占めますし、GDPでも約23兆ドル、世界全体の約3割、貿易総額では約10兆ドル、これも世界全体の約3割を占める広域な経済圏ができるというものでございます。本年9月のRCEP閣僚会合では、交渉を成功裏な妥結に近づけるよう2017年末までにRCEPの重要な成果を達成すべく、最大限努力するということで合意がなされたところでございます。本交渉に当たりましては、物品MA等の市場アクセスのみならず、税関手続を含みますルール分野につきましても、高いレベルを目指した交渉を現在行っているところでございます。今後は、この10月下旬に20回目の交渉会合が韓国で予定されておりまして、11月にはRCEPサミットがフィリピンで開催されることになってございます。

 次に、冒頭申し上げました大きな柱の2つ目の国際協力、関税技術協力について簡単にお話をしたいと思います。

 52ページでは、関税技術協力の全体像、実施形態を示しているところでございます。 我が国と経済的・地理的に結び付きの強い東南アジアを重点としつつ、各地域の特性に応じた支援を実施しているところでございます。具体的には、JICAやWCO等の国際機関と協力しながら、開発途上国の税関職員を短期間日本に受け入れる受入研修や、我が国税関職員を短期間派遣する専門家派遣を行っております。これに加えまして、留学生の受け入れ、長期専門家の派遣、通関システムの導入といった税関協力を行っております。

 53ページにはその実施実績をお示ししております。2016年度におきましては、ご覧のとおり、ASEAN諸国を中心としたアジア地域への支援が大半となってございます。このほか、アフリカ開発会議、TICADにおいて我が国として支援を行うことを表明しておりますアフリカ地域にも関税の技術協力を実施してきているところでございます。

 次の54ページから55ページにかけまして、日本の通関システムであるNACCS型システムの海外展開についてまとめております。54ページでは、その政策的背景として、日本再興戦略などにおきまして、日本の通関システムであるNACCSの活用支援をアジア諸国で進めていく方針を掲げているところでございまして、現在、ベトナム、ミャンマーに対してその導入を通じた税関の近代化の支援をしているところでございます。意義といたしましては、ASEAN地域における貿易円滑化の促進を図るとともに、日系企業のビジネス環境整備などが実現できることが挙げられるというものでございます。

 55ページでございます。NACCS海外支援の経緯・現状・展望ということで、ベトナム、ミャンマーへの支援を書かせていただいております。具体的には無償資金協力によりますNACCS型システムの導入に加えまして、技術協力を通じました通関手続制度の見直し、人材育成を合わせて包括的なパッケージによって支援を行っているところでございます。ベトナムでは2014年4月から、ミャンマーにおいては2016年11月からそれぞれ運用が開始されております。これに加えまして、先月、カンボジアからナショナル・シングル・ウィンドウの構築に対する支援の要請が正式にございました。今後、私どもとしてもカンボジア側の具体的な事情、ニーズを調査して、進めていくことにしているところでございます。

 最後に56ページでございます。世界税関機構、いわゆるWCOにつきまして簡単にご紹介をしているものでございます。世界182カ国・地域からなる税関関連の唯一の国際機関でございまして、1952年に設立され、日本は1964年に加入してございます。各国の制度の調和・統一及び国際協力の推進により、国際貿易の発展に貢献することを目的としたものでございます。事務局の本部はベルギー・ブリュッセルにあります。2009年から日本人の御厨邦雄氏が事務総局長を務めております。世界全体をカバーする国際機関のトップに日本人がついているというものは、このWCOと国際原子力機関、IAEAの2つのみと聞いております。その意味でも我が国にとって大変重要な機関であると考えているところでございます。

 説明が駆け足となりましたけれども、私からは以上でございます。

森田分科会長  ありがとうございました。

 ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等をいただきたいと存じます。

 なお、ただいま御説明いただきました資料につきましては、内容が大変広範囲にわたるところでございますので、御議論いただくに当たりましては、議題を(1)税関行政、(2)関税政策、(3)国際関係の3つの部分に分けまして御意見をいただければと思います。

 それでは、まず第1の議題といたしまして、岸本審議官から御説明いただきました国内関係業務に関し、21ページまでの主として税関行政に関する部分につきまして御意見をいただきたいと思います。どうぞ御意見のある方は挙手、御発言をお願いいたします。

 それでは阿部委員、続いて春田委員、お願いいたします。

阿部委員  ありがとうございます。金地金の件につきまして質問させていただきたいと思うのですけれども、厳格な対応をというお話がありまして、私もそのとおりだと思っております。

 少し事実関係を教えていただきたいのですけれども、この問題については、実際、摘発されているのが氷山の一角という話もございます。金地金の輸入額と輸出額で差があるという話もあるのですけれども、そのあたり、実際の数字はどのくらいなのかということをお教えいただければと思います。その場合、密輸されたものがまた輸出されているのかというような懸念もあると思うのですが、お教えいただければ幸いです。

中澤調査課長  調査課長の中澤と申します。

 今の御質問の件でございますが、まさに財務省の貿易統計で金の輸出、輸入の数字を発表しているところでございます。ここでは2014年から2016年にかけての数字を御紹介できればと思いますが、輸出のほうにつきましては、金はトン単位でございますが、2014年が114トン、2015年が137トン、2016年が197トンとなっております。輸入のほうでございますけれども、2014年が16トン、2015年が9トン、2016年が5トンとなっているところでございます。

阿部委員  ありがとうございます。それに関連しまして、輸出の際に金地金についての消費税の還付は行われているという理解でよろしいでしょうか。もし行われているとすれば、その額などをお教えいただければ幸いです。

中澤調査課長  金の輸出につきましては、正規の手続で輸出されておりますので、還付を受けているという認識でございます。ただ、一方で、還付の額につきましては、金の還付額のみ取り出すということはどうもできないようでございまして、その数字は申し訳ございませんが不明でございます。

飯塚関税局長  1点だけ補足させていただきますと、輸入の際の消費税はボーダーで税関が徴収するということでございますけれども、輸出の場合の消費税の還付は他のもろもろの消費税の申告と一体となって、通常の年に1回の消費税の申告の中で税務署に対して行っております。したがって、その金の還付部分だけを取り上げてどうこうというのはなかなか難しい状況でございます。

 もう1点だけ申し上げますと、先ほど調査課長から輸出入のトン数の差を申し上げましたが、その差全部が密輸とは思っておりませんけれども、かなり密輸入が多いというのは明らかだろうと思っておりまして、先ほど先生のほうから氷山の一角というお話がありましたけれども、私どもも同じような認識でおります。

 今現在、非常に取締りを現場で強化しておりまして、日々金の密輸入が見つかっているという状況であり、今現在で去年よりもはるかに多い量が見つかっているという状況でございます。ただ、なかなか一網打尽にするというところまで行っておりませんので、私どもは今、人の面、それから機械・技術の面、情報の面、いろんな面で抜本的にやり方を変えないといけないと思っておりまして、その辺を、現在、企画立案中でございます。

森田分科会長  よろしいでしょうか。それでは、春田委員、どうぞ。

春田委員  いろいろ御説明ありがとうございました。13ページ目に「税関における主要業務量と定員の推移」ということでグラフも出ておりますけれども、私どもが感じるのは、働く者の立場からいいますと、これだけの輸入申告件数、先ほども話があったとおり、航空の小口の件数がネットの発達もありまして非常に伸びているという状況であり、それから、入国者数についても非常に伸びていまして、先ほどの話だと今は2,400万人、今後、2020年に4,000万人、2030年に6,000万人と増えていくことを予想しているということでございます。

 そのような中で、やはり税関業務に関わる方の定員が、増えてはいるものの、なかなか今後増やしていくのは難しい状況にあるのかなと思いますが、そういった意味での体制整備はきちんとしていく必要があるのではないのかと考えます。今、働き方改革、長時間労働の是正と言われている中で、税関業務に関わる方の過度な負担というのは是正していく必要があるのではないかと思っているところであります。

 体制の整備または検査機器の話がございましたけれども、こういった意味での効率化を図っていただきたいと思っています。要望も含めて意見ということでさせていただけければと思います。よろしくお願いします。

森田分科会長  ありがとうございました。これについて何か説明があればお願いします。

高見総務課長  総務課長をしております高見と申します。税関の予算、あるいは機構・定員を担当してございます。

 今、先生がまさに御指摘いただいたとおりでございます。その1つ前の12ページのところでございますけれども、先月取りまとめられました30年度の税関の定員・予算要求の中でも、定員要求につきましては430人の新規増員の要求をさせていただいております。

 この背景としましては、やはり訪日外国人旅行者の増加が、昨年の2,400万人を2020年までに4,000万人にするという政府の目標がございます。そのもとで我々税関として試算しましたところ、2017年から2020年までの4年間で入国者対応として約970人は最低必要になるだろうと試算しておりまして、そのもとで要求をさせていただいおります。これを4分割して2020年までに順次整備ということも考えられますけれども、やはり2020年より前にそこは体制を整備しなきゃいけないということもございますので、2018年につきましては302人と増やした形で増員を要求させていただいております。

 また、検査機器につきましても、12ページの下の予算要求の中で新たな高性能のエックス線の検査装置でありますとか、あるいは小型のエックス線装置を増やしていくこととしています。それ以外にも入国旅行者の手荷物検査に対応するための電子化ゲート、こういった新しい取組みも導入することを計画しているところでございます。そういった形で事務の効率化を図りながら、しっかり体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。御意見ありがとうございます。

森田分科会長  ほかにいかがでしょうか。大橋委員、続いてお願いします。

大橋委員  ありがとうございます。2点御質問させていただければと思うのですけれども、訪日観光客が非常に増えていく中で、外国船社のクルーズの寄港実績も増えてきているというところでございますけれども、安心・安全の観点から、クルーズ船を通じた密輸、あるいはそれに対する摘発の体制はどうなっているのかということが質問の1つです。

 あと、事前情報、PNRの話がありましたけれども、これは基本的には航空会社に対するものですけど、今後クルーズがかなり増えてくると、船に対してもこうしたものを検討する余地があるのかどうかということです。

 2点、御質問させていただければと思います。

秋田監視課長  監視課長の秋田でございます。

 まずクルーズ船につきましては、検査官の増員で対応していくということでございます。

 また、PNRにつきましては、航空会社の予約のシステムと船社のシステムは少し違うものですから、それと同じようなものというのはございませんが、例えばクルーズ関係の旅行会社などに対し、これにかわるようなものを求めていきたいと考えているところでございます。

岸本審議官  クルーズ船も旅客が来るという意味においては航空機と同じように見えるわけでございますが、クルーズ船では一時に極めて大勢の人が入国するという点において、量的な違いが質的な違いにつながると言えるほど甚だしいと思っております。

 さらに、空港ではそれなりの施設があって、旅客の方は動線をたどって出てこられて、そこで整然と税関に至るわけでございますが、クルーズ船では、ともすればターミナルが必ずしも十分に整備されていない港もございます。場合によっては本来なら貨物専用の埠頭にクルーズ船が入港するというようなこともございます。

 立派なターミナルをつくっていただきたいと常々思うわけでございますが、他方において、クルーズ船がいつも定期的に来るという確証がないと、地元の方は設備投資をして、そこをクルーズ船ターミナルにしようという決定をしかねるという問題があろうかと思います。

 そういった中で非常に苦心しているわけでございますけれども、入港のタイミングが早朝となった場合であっても、応援の職員も含めて税関の職員を派遣しなければならないとか、悩みは尽きないわけでございますけれども、そういった中で手探りながら現在の状況に対応しているという状況でございます。

森田分科会長  時間がございませんので、今手を挙げていらっしゃる3人ということで、簡潔にお願いいたします。古谷委員からどうぞ。

古谷委員  PNRに関しまして、幾つかのところで、取得したPNRの分析、活用について記述されていますが、取得に関しては、EUのデータ保護指令はかなり厳しく、EU域外に情報を持ち出すときには、例えば第三国が十分性のレベルがあるという認定が必要であり、日本は確か認定を受けられていないと思います。

 そこで、日本は欧州委員会と対話をしていくというところまでは承知しているのですが、その後、進捗があったのかということと、日本ではそれについてどのような対策を考えていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。

山崎参事官  PNRについて御質問をいただきました。国際交渉担当の参事官の山崎でございます。関税課長時代には大変お世話になりました。引き続き御指導よろしくお願い申し上げます。

 まずEUですが、個人情報の取扱いに関するということで、PNRの活用に非常に慎重な姿勢を示してきているところでございます。それで、これまでEUにつきましては、EUとカナダのPNR協定の妥当性について、欧州の司法裁判所でその取扱いが検討されてきたところでございます。

 今年の7月に裁判所の判断が出ましたが、その際に大きく5つ指摘がございまして、1つはセンシティブ・データをPNRから除外すべきであること、PNRの取扱いに係る制度に関して独立した監督機関による監視を保障すべきであること、それから、滞在中または出国後の旅客のPNRの使用に当たっては裁判所または独立した行政機関による事前審査に従うこと等々の勧告が出たところでございます。まずEUとしては、こういう判断が出ましたので、カナダ・EU間の協定の見直し作業をこれから進めていくということになるわけです。

 我が国としても、2019年にワールドカップがありますし、またG20のホスト国でもございます。2020年にはオリンピックがございますので、我々としてもなるべくこうした協定を早く結んで、PNRを入手できるようにしたいと考えているところでございます。EUは、これまでアメリカとオーストラリアとPNR協定を結んでいますので、我が国としては順位を先に上げてもらうよう、あるいは執行で何らかの工夫ができないかということを検討してまいりたいと考えてございます。

森田分科会長  宮島委員、どうぞ。

宮島委員  では、金の密輸に関して簡単に。以前、金に関しましては、譲渡益課税の課税逃れがあるというような視点から売買の際の調書が導入されたと思うのですけれども、そのときは大分売買がクリアになった、あるいは公正になったという印象を持っていたのですけれども、今これだけ密輸があるということは、今もどこからか持ってきて売るというところに、売りやすさというのはまだあるのだなと思いました。

 一部の記事にも、関税局長がこの密輸に関して厳正に取り締まるよう指示をされたというふうな記事があって、そこも強化していただくとともに、取締りだけでは完全にはいかないところが多分あると思うのですけれども、売買の部分ですとか、あるいは制度全体、ほかの部署もかかわるところでうまく工夫して対応できる部分もあるのではないかと思いますので、そのあたりも御検討いただきたいと思います。

森田分科会長  これは御意見ということでよろしゅうございますね。

 では、最後に藤岡委員、どうぞ。

藤岡委員  9ページの資料にございますとおり、金属探知機の活用等の執行面の努力も必要でございますが、あわせて必要な制度面の措置についても、これは従来からの経緯、法制面の検討、関係各省との調整と非常に難しい問題であろうかと思いますけれども、これだけ深刻で看過できない事態でございますのでぜひ柔軟な発想でご対応願います。

 例えば、かつて金地金の密輸については没収という手続があったり、あるいは独禁法については、課徴金といったような行政目的達成のための一定の金銭的不利益の賦課といった制度もございますので、いろいろな対応についてぜひ御検討いただきまして、現場第一線の執行面の努力とあわせて、制度面でどのような対応が可能であるか、ぜひ積極的に御検討いただきたいと思います。

飯塚関税局長  今、お二方から金の密輸入に関して御意見をいただきまして、ありがとうございました。先ほど抜本的なことをしないと一網打尽にできないということを申し上げまして、人とか技術、機材とか、あるいは情報の面でいろいろな抜本的な対策を企画立案中であるということを申し上げましたけれども、加えて申し上げれば、今いみじくもおっしゃっていただきましたように、制度面でどう対応するかということも検討中でございます。そういった中で出てきたアイデアについては、またこの審議会にお諮りして法改正に持っていくこともあり得ると思っておりますので、またよろしくお願いしたいと思います。

森田分科会長  ありがとうございました。

 それでは、続きまして第2番目の関税政策でございます。資料でいいますと22ページから30ページまでに該当いたしますけれども、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。ちょっと時間が押しておりますので簡潔にお願いします。では三石委員、どうぞ。

三石委員  貿易統計について1点だけ意見です。この説明を見ると、使用者が使いやすいような形で我々に便宜を図るという印象を受けたのですが、同時に、貿易統計というのは実は国の非常に大事なアセットであると同時にインフラでもあります。この後の国際協力の議論でNACCSの話も出るでしょうが、各国にいろいろ日本型のシステムを出していくときに、統計の仕組みや、統計システムそのものを日本型の大きなフレームワークとして輸出していくといった可能性などについても検討していただければありがたいと感じました。意見です。

森田分科会長  ありがとうございました。御意見ですが、よろしゅうございますね。

 では、藤岡委員、どうぞ。

藤岡委員  ただいまの御意見と同じ貿易統計の在り方に関する点でございます。30ページで示されている検討事項の視点は私も賛成でございます。あわせて特に、これは先ほどの説明にもございましたけれども、資料の5ページにもございましたが、2016年であれば、年間2,943万件のいわば課税申告書、納税申告書でもある輸入申告を処理していく大変膨大な作業でございます。

 特にそういった申告者、あるいは納税者との関係で重要な点は、1点目は既に関税法第102条、関税法施行令第88条第2項にあり、ここにも書いてある私人の秘密、取引の秘密に関する事柄を扱っている点に対して十分留意することが重要だと思います。

 2点目として、そういった意味では、やはり貿易の円滑化、行政手続の簡素化・効率化といった視点は非常に重要だと思いますので、これらの利便性の向上の御検討に当たりましては、そのような点についてもぜひ御配慮していただきたいと思っております。

森田分科会長  他にいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、続きまして、柴崎審議官から御説明いただきました31ページ以降の国際関係に関する部分につきまして御意見をいただきたいと思います。

 長谷川委員、どうぞ。

長谷川委員  申し訳ありません。これは国際関係ではなく、先ほどの関税政策と関連するところなのですが、1カ所だけお伺いしたいのですが。

森田分科会長  はい。では簡潔に。

長谷川委員  先ほどの話にあった中国産の高重合度ポリエチレンテレフタレートに対する不当廉売関税の話についてですけれども、これについてわかれば教えていただきたいと思います。この中で不当廉売関税を課税することが決まったという話があって、その下の注釈のところに、中国の国内価格ではなくて第三国価格を使用しているという記述があります。

 これは去年かなり話題になったと思うのですが、WTOの市場経済国として中国を扱うのか、非市場経済国として扱うのかというものに関する部分であり、これは多分非市場経済国として扱っていくことだと思います。昨年の話の中では、中国の取扱いはケース・バイ・ケースで判断するものの、こういう話が出てきた場合は、中国はWTOへの提訴も含めてかなり強く抗議するだろうという見方がありましたが、現状、こういう措置をとっている中で中国の反応がどうなのか、あるいは、似たようなことは多分アメリカとかEUもやっているのでしょうが、その辺の中国との関係はどうなっているのか、わかれば教えていただきたいと思います。

泉関税課長  関税課長の泉でございます。

 委員御指摘の点につきまして、高重合度ポリエチレンテレフタレート、いわゆるPETに関しては中国政府から、御指摘のあった第三国価格の採用について遺憾であるというステートメントをまずいただいている状況でございます。次に、米国ですとかEUが同じように、中国産品へのアンチダンピング関税の課税に際して第三国価格を採用した案件につきましては、中国は、例えばEUについてはWTOへの提訴を行っておりまして、審理が進んでおり、また、米国についても今二国間で協議が進んでいるという状況でございます。

森田分科会長  よろしゅうございますか。

 それでは、戻りまして、31ページ以降の国際関係についていかがでございましょうか。では、三石委員。

三石委員  48ページ以降に英国のEU離脱問題の話が出ています。これはすぐに回答が出るものではないということは十分に存じておりますので、将来的な示唆というか、物の考え方として、広域なEUからイギリスが離脱して、その後、新たにどういう通商関係や関税の仕組みをつくるかという点は、日本の将来に対しても非常に多くの示唆を与えてくれると思います。その辺は、現在まだ交渉中だとは思いますが、幾つかのヒントが今後もいろいろ出てくると思いますので、うまく皆さん方で検討していただいて、必要に応じて審議会にもフィードバックしていただくことをお願いしたいと思います。

山崎参事官  まずBrexitについてですけれども、当然イギリスがEUから離脱をするということは、関税のコンテクストでいえば新しい国ができるようなもので、WTOではEUとして譲許表をつくっているので、イギリスがEUから離脱した場合、新しくWTO上の譲許表をつくらなければならないということになってまいります。

 さらに、その上で、譲許表をつくる際に、どのような関税率にするかなんですけれども、恐らく今EUが使っているものと同じような税率を使わないと、EUとイギリスはそれぞれ税率が異なりますので、それぞれを経由する場合、例えばイギリスを経由してEUに行くような場合に、関税が別途賦課されるようなことにもなってまいります。

 そのため、イギリスとしてはそういったことのないように、極力貿易が円滑に進むように、この前、提言が出ましたが、EUと同じような制度をつくって、提言では「ミラー」と言っていましたけれども、それで極力イギリス経由のEU仕向地の取引についても、極力手続が生じないような形で取引ができるようにしたいという意向を持っているようでございます。

 ただ、いずれにしろ、それをするためにはWTOで譲許表をつくり、かつEUとイギリス間で新たな合意を結ぶ必要も出てくると思いますし、また今回、日本では日EUのEPAは大枠合意を迎えましたが、EUだけがEPAを持っているような状態があるとまた不整合が生じてまいりますので、その辺をどう調整するかという非常に難しい問題が出てまいります。いずれにしろ、御指摘も踏まえてよくフォローいたしますし、また状況を報告申し上げたいと思っております。

森田分科会長  よろしいでしょうか。ほかにいかがでございますか。

 特に御質問がございませんようでしたら、最後になりますけれども、関税政策、税関行政全体について御意見をお持ちの方は発表していただきたいと思います。

 これも無いようですが、よろしいでしょうか。そうすると、予定よりも少し早くなっておりますけれども、次に、関税・外国為替等審議会関税分科会の今後の開催日程につきまして、関税課長より御説明をお願いいたします。

泉関税課長  資料をごらんになっていただきますと、今後の開催予定といたしまして、次回の第2回は11月の上中旬、第3回は11月の下旬、第4回は12月の中旬を予定しております。第2回、第3回では平成30年度の関税改正の検討項目について御審議をいただいて、実際の改正につなげていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

森田分科会長  これについてはよろしゅうございますね。

 それでは、最後になりますけれども、事務局から連絡事項がございますので、これも関税課長からお願いいたします。

泉関税課長  本分科会におきます議事録の取扱いにつきましては、当審議会の議事規則第5条の規定によりまして、原則公開とされております。本日御発言いただきました委員の方には、議事録案がまとまりました段階で御発言部分を事務局から送付させていただきますのでご確認いただければと思います。

 送付後、例えば1週間程度の間に御意見等々がない場合には、恐縮ですが、御了解いただいたものとさせていただきたいと存じます。議事録の取扱いにつきましては今後ともこうした取扱いで進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

森田分科会長  以上の点もよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして本日の関税分科会を終了いたしたいと存じます。

 次回の関税分科会の開催につきましては、今ございましたように11月上中旬を予定しております。詳細につきましては、事務局と調整の上、別途御連絡をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日は御多用のところ御出席賜りまして、誠にありがとうございました。

午前11時17分閉会

財務省の政策