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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (平成27年10月27日開催) 議事録

 

関税・外国為替等審議会 関税分科会 議事録

本稿は、平成27年10月27日の関税・外国為替等審議会 関税分科会の議事録です。
午後3時30分開会

○森田分科会長

時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

委員の皆様方には、御多用のところ御出席をいただきまして誠にありがとうございます。

議事に入ります前に、委員の交代がございましたので、私から御紹介申し上げたいと思います。

竹詰仁委員が日本労働組合総連合会総合政策局経済政策局長から関東電力関連産業労働組合総連合事務局長に異動されたことに伴い御退任されまして、日本労働組合総連合会総合政策局経済政策局長に新たに就任されました春田雄一委員が任命されております。

また、藤井眞理子委員がラトビア大使に御就任されたことに伴いまして御退任されております。

続きまして、佐川関税局長より一言御挨拶をお願いいたします。

○佐川関税局長関税局長の佐川でございます。

委員の皆様方には、日頃より関税政策・税関行政に深い御理解と御協力を賜っており、この場をお借りしまして改めて御礼申し上げます。

前回の御説明にございましたような関税局・税関の課題、また、本日から御審議いただく関税関係の法令改正におきましても忌憚のない御議論を賜りまして、幅広い見地からその大きな方向性を示していただければ大変幸いと思います。何卒よろしくお願いいたします。

○森田分科会長どうもありがとうございました。

それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。本日の議題は、お手元にお配りしている議事のとおりでございます。本日は、TPP協定の大筋合意の概要及び平成28年度関税改正検討項目につきまして、事務局より御説明をいただきたいと思います。

前回の関税分科会におきましては、平成28年度関税改正の議論の前提といたしまして、現状をよく知っていただくために、事務局より、最近の税関行政を巡る諸問題や関税を巡る国際的諸問題につきまして御説明をいただきました。平成28年度関税改正に関しましては、今回と次回の関税分科会におきまして、各項目について御審議いただき、その次の関税分科会におきまして答申案を御議論いただくことを考えております。

それでは、TPP大筋合意の概要及び平成28年度関税改正検討項目につきまして、事務局より続けて御説明を受けたいと思います。御意見、御質問に関しましては後でまとめてお受けしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、御説明をお願いいたします。

○水野参事官(国際交渉担当)それでは、事務局より、早速ですが説明させていただきたいと思います。

関税局で国際交渉担当の参事官をしております水野でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、お手元にございます資料1に基づきまして御説明させていただきたいと思います。

まず、1ページ目でございます。「TPP協定交渉の経緯」ということで、交渉の経緯をまとめたページでございます。TPP協定交渉が、8カ国で開始されたのが2010年3月でございますので、大筋合意に至るまでに約5年半、また、日本が交渉に参加いたしましたのが2013年7月でございます。そこから数えても約2年余りを経て大筋合意に至ったという経緯でございます。

次に、2ページ目でございます。「TPP協定の意義」ということで、TPP協定の持つインパクトを表すデータを幾つか掲げてございます。TPP交渉参加国12カ国の人口を全部足し上げますと約8億人となり、世界全体の1割強を占めているということでございます。

また、下の円グラフをご覧いただきますと、TPP交渉に参加している国のGDPが世界のGDPに占める割合は36.3%で、約4割となってございます。TPP協定によりまして、今回新たに巨大な経済圏が生まれることとなるわけでございます。

また、右側の棒グラフをご覧いただきますと、TPP協定によりまして、FTAカバー率が我が国においては22.3%から37.2%と、14.9%ポイント上昇するということになります。政府の成長戦略といたしまして、2018年までにこのFTAのカバー率を70%にまで高めるということが目標となっておりますが、TPP協定はこれに不可欠なものということが言えようかと思います。

また、3番目の丸でございますが、TPP協定につきましては、物品関税のことが注目されるわけでございますが、それだけではなくて、サービス・投資の自由化を進め、さらには知的財産、電子商取引、国有企業といった幅広い分野で新しいルールを構築するというものになっているわけでございます。

次に、3ページ目でございます。これはTPP協定の様々な効果をまとめたものでございます。

まず、我が国関税につきましては、農産品の主要5品目を中心に関税撤廃の例外を幅広く確保したうえで、全体では高いレベルの自由化を行ったということでございます。この点については後程御説明をさせていただきたいと思います。

他方、11カ国の工業製品にかかる関税撤廃率は、全体平均で99.9%ということでほぼ100%ということになってございます。我が国の工業製品の輸出に大きなプラスの効果をもたらすということが期待されるわけでございます。

また、先ほど申しましたように、TPP協定は物品関税だけではございません。幅広い分野で新しいルールを構築するというものでございます。ここに掲げた例に見られるように、投資、貿易円滑化等々ございますが、この内の多くが、我が国企業が海外展開する際の後押しとなるルール、約束ということになっているわけでございます。

最後に、原産地規則については、複数の締約国で生産された材料及び生産行為を累積することが可能な規則、いわゆる完全累積制度が採用されるということになります。TPP原産品としての資格を得やすくなり、多様な生産ネットワークを生かしてTPP協定を活用することが可能となったということでございます。

次に、「TPP協定の概要」ということでございます。TPP協定は、繰り返しになりますが、非常に幅広い分野でルールを定めてございますので、前文に加えて以下の30章で構成されております。これを、各章を一言で表すとこういうことになるということでございます。

色々幅広くあるわけでございますが、このうち(5)をご覧いただくと、税関当局及び貿易円滑化という章がございます。税関手続の透明性の確保、通関手続の簡素化等について定めるという章でございますが、これにつきましてもう少し詳しく説明をさせていただきたいと思います。

5ページ目でございます。税関当局及び貿易円滑化に関する章でございますが、この囲みのところにありますように、税関手続について予見可能性、一貫性、透明性のある適用を確保するとともに、締約国間の協力の促進、国際基準への調和、通関等の手続の迅速化、行政上、司法上の審査の確保等について規定が設けられているわけでございます。

その下のところでございますが、このルールによりまして、例えば以下のようなメリットが考えられるということでございます。

1点目でございますが、迅速通関ということで、関税法の遵守を確保するために必要な期間内に引取りを許可ということですが、可能な限り貨物の到着から48時間以内に引取りを許可しましょうということが定められている訳でございます。

2点目、急送貨物、国際宅配便のような、少し高い料金を支払う替わりに、正確かつ早急に、あるいは決められた時間に届けてもらうというサービスでございます。急送貨物については、必要な税関書類の提出後6時間以内に引取りを許可するようにしましょうというルールが定められているわけでございます。

3点目でございますが、輸入者、輸出者又は生産者の要請による書面での事前教示制度というルールが定められております。自分が輸入する物品が一体何処に分類されるのかといった点は相当技術的なところがあり、プロの人は良いのでしょうけれども、そうではない人にとってはかなり難しいということで、これについては事前にどこに分類されるのかを尋ねる制度がございます。これにつきましては、150日以内に回答をするようにというルールが今回のTPPの税関当局及び貿易円滑化といった章で定められているということでございます。

最後に、自動化ということで、輸出入手続を単一の窓口において電子的に完了することができるように努めましょうという規定が設けられているわけでございます。

続きまして、6ページ目に移らせていただきます。TPPにおける関税交渉の結果について若干御説明をさせていただきたいと思います。TPP交渉参加12カ国の関税撤廃率についての一覧表でございます。

まず、上の一番左のところでございますが、我が国でございます。品目数ベース、貿易額ベースとも、関税撤廃率は95%という水準になったところでございます。他方、その他米国以下11カ国の関税撤廃率をご覧いただきたいと思いますが、100%あるいは99%という我が国の撤廃率と比べて高い水準ということになってございます。

御参考でございますが、日本の直近のEPAでありますところの日豪EPAでの関税撤廃率は89%ということになっております。

続きまして、7ページ目でございます。「農林水産品の日本以外の国の関税撤廃等の状況」をご覧いただきたいと思います。日本以外の国と書いてございますが、一番下には参考として日本の農産品の関税撤廃率等も掲げているところでございます。

この表の一番右の非撤廃と書いてある欄でございますが、TPP交渉の中では関税を撤廃しない農林水産品、品目の割合となっている訳でございます。網掛けの上のところ、11カ国平均というところをご覧いただきますと、非撤廃の欄が1.5%と書いてございます。これは、日本以外の11カ国平均の農産品関税の撤廃率、非撤廃が1.5%ということであり、撤廃率は100から1.5を引いた98.5%ということになる訳でございます。

これに対しまして、参考欄に日本のデータが書いておりますが、日本の農林水産品の非撤廃率は19.0%ということでございますので、11カ国平均の数字と比較すると非撤廃率が高いところになっているということでございます。

次に、8ページ目でございます。これはTPPにおける我が国の農林水産物の我が国関税の取り扱いについての一覧表でございます。鉱工業品等も全部含んだところの全品目は9,018あるわけでございますが、このうち関税を残すラインは、一番上の欄でございます。443となってございます。これはそのすぐ下のうち農林水産物の欄をご覧いただければと思いますが、全品目、関税を残すライン443のうち農林水産物が443ということで、関税を残すラインは全て農林水産物となっている訳でございます。先程御説明した非撤廃率19.0%というのは、この443を農産品の総ライン数2,328で割った数ということになる訳でございます。

その下、関税を残すラインの大宗はいわゆる重要5品目、この表に掲げてある米、麦、甘味資源作物、乳製品、牛肉・豚肉ということになっている訳でございます。443品目のうち412品目がこれに該当するということでございます。

次に、9ページ目でございます。工業製品について若干御説明いたします。

相手国側の工業製品関税につきましては、相手国側のTPP11カ国全体というところの関税撤廃率、上から2番目でございますが、これをご覧いただきますと、撤廃率は品目数ベース、貿易額ベースでも99.9%となったところでございます。また、その上でございますが、協定発効と同時に関税が撤廃される即時撤廃率で見ますと、品目数ベースで86.9%、貿易額ベースでは76.6%ということになっている訳でございます。

他方、今度は「2.日本側」をご覧いただきますと、我が国の工業製品関税について見ますと、最終的には全工業製品の関税を撤廃するという品目数ベース、貿易額ベースとも100%ということになっている訳でございます。

資料1については以上でございまして、最後に、「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉の大筋合意を踏まえた総合的な政策対応に関する基本方針」という2枚の紙をご覧いただければと思います。この基本方針について若干御説明させていただきたいと思います。

大筋合意後の10月9日に設置されたTPP総合対策本部におきまして、ここに配られています「総合的な政策対応に関する基本方針」が決定されたところでございます。

この1ページ目の6段目、「今般の合意を踏まえ」というところがございますが、このTPPを真に我が国の経済再生、地方創生に直結するものとするため、協定の署名や国会承認に向けた調整と並行して、関連法案等も含めた総合的な政策面での対応を行っていくということが必要であるとして、その際、以下の3点を基本目標とするということでございます。1点目が、TPPの活用促進による新たな市場開拓等ということでございます。2点目が、TPPを契機としたイノベーションの促進・産業活性化ということ。3点目が、TPPの影響に関する国民の不安の払拭というこの3点を基本目標として掲げたというところでございます。

こうした基本方針を踏まえまして、今後、経済財政諮問会議による検討、あるいはその他各種会議との連携、さらに既に始めたところでございますが、国民への正確かつ丁寧な説明と情報提供等を通じて更に検討を進めて、年内にも、この2ページ目の下から2番目のパラのところ、以上を強力に推進するためとして、総合的なTPP関連政策大綱というものを策定するということとされている訳でございます。

ちょっと時間を超過して申し訳ございませんでしたが、私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○小宮関税課長続きまして、関税課長の小宮でございます。

私からは、資料2−1「暫定税率等の適用期限の到来について」、資料3−1「個別品目の関税率の見直し」、そして、資料4「HS条約の改正に伴う関税率表の改訂」の3つにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。

毎年、年度改正につきましては、各関係省庁から改正要望も受けておりまして、それも踏まえつつ検討を行ってきているところでございます。

まず資料2−1「暫定税率等の適用期限の到来について」からご覧いただきたいと思います。

基本税率が、長期的な観点から内外価格差や、真に必要な保護水準を勘案して設定されている税率であるのに対しまして、暫定税率は、政策上の必要性等から、適用期限を区切って基本税率を暫定的に修正する税率でございまして、その水準及び必要性について常に見直していくものとされているところでございます。こうした観点から、適用期間を1年間とし、毎年度の関税改正におきまして期限の延長を行ってきているところでございます。

現在設定されている品目は431ございますけれども、この適用期限が来年の3月31日に到来することになる訳でございまして、その取扱いについて検討をするものでございます。

2.の検討でございますけれども、幾つか検討をするに当たっての留意点がございます。

まず(1)延長の適否でございますけれども、これは生産者及び消費者等の間の利益調整に及ぼす影響についてでございます。関税率は、国内の生産者と、それから消費者、需要者との間の利益調整の側面がございます。そのため、この水準を変更しようとする場合には、当然それら両者に与える影響を十分考慮する必要がございます。

また2つ目として、関税割当品目につきましては、これは一定の輸入数量を超える枠外の輸入に対して高い税率を適用する一方、国内生産者の保護に必要な水準として、枠内と枠外と分けまして、一定の輸入数量の枠内の輸入については、これは無税又は低税率の暫定税率を適用して、消費者等への安価な輸入品の供給も同時に確保する仕組みでございます。従いまして、暫定税率の延長を考える場合に、こうした関税割当制度の必要性も踏まえる必要がございます。

次にWTO交渉との関係でございます。ウルグアイ・ラウンド合意に基づきます関税割当品目及び国家貿易品目につきましては、一定の輸入数量に限って無税若しくは低税率での市場アクセス機会を提供しますということを国際的に約束しているということに留意する必要がございます。

また、関税と調整金を合わせた水準で、国際的にこれだけの国境水準を定めますということで、譲許している品目については、関税部分の水準を暫定税率によって設定をしております。従いまして、調整金とも併せて考える必要があるというものでございます。

また、これらの品目の暫定税率に関する事項はドーハ・ラウンド交渉の対象となっている訳でございますけれども、ドーハ・ラウンドは今なかなか進捗をしていないところでございます。このドーハ・ラウンドの交渉の状況もあわせて予断なく注視しながら、暫定税率の検討を行う必要があるというものでございます。

次に、関係国との協議結果に基づく税率の引下げ措置の履行に及ぼす影響について考える必要があるということでございます。ウルグアイ・ラウンドの合意をする際に、ウルグアイ・ラウンド全体ではなくて、特に関係が深い国との協議の結果、暫定税率として低い税率を適用した品目が幾つかございます。そうした協議の結果、現在の暫定税率が決められているところがございまして、それを仮に廃止をしたり修正をしようということになりますと、その約束をした関係国と改めて協議をする必要が生ずるものがあるということでございます。

次に、産業政策上の必要性、内外価格差についてでございますけれども、産業政策上の要請や内外価格差の状況に応じて暫定税率が設定されている品目については、当然ながら、その時々の情勢を踏まえた上で暫定税率の必要性について判断をする必要性があるというものでございます。

続きまして、基本税率化の適否としても幾つか留意点がございます。まず、長年にわたって暫定税率を設定いたしまして、これが定着をしているという場合には、これを基本税率化、すなわち暫定税率を廃止して同水準の基本税率を設定するということも考えられないことはない訳でございますけれども、その際、それまで長年暫定税率とされてきた経緯等を考慮する必要がございます。

例えば関税割当制度につきましては、無税又は低税率を適用する輸入数量を限定する国境措置でございますけれども、過去の本審議会におきましても、過度の輸入抑制効果や産業の合理化の阻害などの弊害が生じないように常に見直しを行って、一般の税率形態への移行の可能性も検討すべきものと位置づけられているところもございます。

このような経過を踏まえますと、この制度を維持する品目につきまして、この枠内税率等を基本税率とするということは適当ではなく、これまで暫定税率として設定をして、そして、それぞれの情勢に応じて、その暫定税率を修正するという扱いをしてきているところでございます。

(3)として、適用期限でございますけれども、これまで政策上の必要性や直近の市況等に基づきまして暫定税率の要否を判断するという趣旨から、延長期間は1年ということでやってきておりますけれども、この経緯というものも考慮する必要がございます。

以上申し上げましたこの考え方自体は従前から基本的に変わってございませんけれども、これに沿いまして、全品目について、関係省庁とも協議しつつ検討を行った結果、暫定税率の適用期限を延長することが適当ではないかと考えているところでございます。

改正の方向性としては、今申し上げたものでございます。

続きまして、4ページ、特別緊急関税等の取扱いでございます。

特別緊急関税制度につきましては、ウルグアイ・ラウンド合意に基づき関税化された農産品の輸入数量が一定水準を超えた場合、または課税価格が一定の水準を下回った場合に、それぞれ関税率の引上げを行うというものでございます。Special Safeguard、SSGと呼んでおりますこの制度につきましては、対象品目にかかる暫定税率の延長と同様に適用期間を1年間として、毎年度の改正におきましてその期限の延長の当否について検討して延長をしてきているところでございます。

検討でございますけれども、まず、このウルグアイ・ラウンド合意に基づき関税化された農産品の輸入急増時の安全弁として、関税化措置と一体として設けられているということでございますので、暫定税率については、例えば税率を低く、若しくは無税にするという合意をしたその代替措置としてSSGを設けますという関係になっている訳でございます。従いまして、暫定税率と一体として検討を行う必要があるというものでございます。

この合意の履行のために、暫定税率が引き続き必要ということは先程も申し上げましたけれども、この暫定税率と一体的な制度であるSSGにつきましても、適用期限の延長を行う必要があるという論理関係に立っているというものでございまして、改正の方向性としては、SSGについても適用期限を1年延長することが適当ではないかと思ってございます。

次は個別品目のセーフガードの話ですけれども、牛肉及び豚肉に係る関税の緊急措置の取扱いでございます。

牛肉及び豚肉に係る関税は、暫定税率によってWTO協定税率の50%よりさらに低い水準の38.5%まで、自主的に引き下げてございますが、これを輸入数量が一定水準を超えた場合に、協定税率の50%まで引き上げるというセーフガード措置でございます。これにつきましても、先程と同じように適用期間を1年として、毎年度の改正においてこの期限の延長の当否を検討しているところでございます。

検討でございますけれども、ウルグアイ・ラウンド合意の際に、関係国との協議の結果、合意したことによりまして、協定税率の50%よりも低い水準まで実行税率を引き下げるということを決めたという経緯がございます。また、実行税率を引き下げることと一体として、セーフガードを安全弁として設けているというものでございまして、この引き下げている38.5%という暫定税率と一体として検討する必要があるということでございます。従いまして、改正の方向性でございますけれども、牛肉、豚肉に係る関税の緊急措置について、適用期限をこれも1年延長することが適当ではないかというものでございます。

最後に、牛肉に係る特例措置の取り扱いでございます。

牛肉に係る関税の緊急措置の発動基準数量の算出基礎は、このウルグアイ・ラウンド合意時に関係国との協議の結果、原則として当該年度の前年度の輸入実績を使うことで合意したところでございます。それから暫く経ちBSEが生じまして、米国からの牛肉輸入の大幅な減少がございました。

この輸入数量が大幅に下がったところから、回復をしていくことがセーフガードの対象となり得る輸入の急増ということになってしまった場合には、国内の例えば消費者等にしてみると、やや高い輸入価格の牛肉が輸入されることにもなってしまいかねないことと、BSE後の減少からの回復過程においてということでございますので、国内供給との関係においても、単純に輸入が急増して国内供給に悪影響を強く及ぼすというものではないということもございまして、生鮮・冷蔵または冷凍の牛肉につきまして、それぞれの発動基準数量の算出基礎を前年度の輸入実績又は平成14年度と平成15年度の輸入実績の平均値のいずれか大きいほうとしましょうという特例措置を講じてきているところでございまして、その後、毎年度の年度改正におきまして、この特例措置の取扱いをどうするかということを検討してきているところでございます。

そして、検討でございますけれども、まず本年度におきまして、冷蔵ではなくて冷凍牛肉につきましては、平成26年度の輸入実績が14年度、15年度の平均値を上回っておりますので、発動基準数量の算出基礎としては、平成26年度の輸入実績、すなわち前年度の輸入実績を用いられているところでございます。他方、生鮮・冷蔵につきましては、平成26年度の輸入実績は依然としてBSE発生前の平成14年度・平成15年度の平均値を下回っているということから、この特例措置に基づきまして、平成14年度・平成15年度平均値を基準数量の算出基礎としているという状況にございます。

全体として見ますと、牛肉全体の輸入としては、米国でのBSE発生前の水準に完全に回復したと断言できない状況が続いていると考えておりまして、仮に、この輸入の回復の途上で特例措置を廃止した場合は、この発生前の水準以下でも緊急措置を発動する可能性が生じることとなりまして、消費者等にやや過度な負担が生ずることにもなり兼ねないというおそれもあるところでございます。

従いまして、改正の方向性といたしましては、緊急措置の適用期限を延長する場合に、この特例措置もあわせて継続することが適当ではないかというものでございます。

以上が資料2−1でございます。

続きまして、資料3−1「個別品目の関税率の見直し」をご覧いただきたいと思います。

1つは、テレフタル酸ジメチルの関税率の見直しでございます。これは、ポリエステル製品の原料として使用されているものでございますけれども、我が国におきましては、個社が生産をこれまで行ってきているところですけれども、今後、平成27年度をもって生産を中止することになってございます。従いまして、来年の4月以降国内生産者が存在しなくなるという状況にある訳でございますけれども、他方、国内のポリエステル製品の製造企業につきましては、海外から原料を輸入する必要が今後ともあるということでございまして、経済産業省から、現行のテレフタル酸ジメチルの関税、実行税率は5.3%でございますけれども、これを無税化してほしいという要望が来ているところでございます。

検討でございますけれども、今後ともこのテレフタル酸ジメチルの国内における生産は再開される見込みはほとんどないということで、この品目につきましては、基本税率の無税化を図ってはどうかというものでございます。これが1点目でございます。

次に、バイオエタノールでございます。バイオエタノールにつきましては、エネルギー供給構造高度化法に基づきまして、バイオエタノールの利用目標が現在設定されているところでございます。ところが、国内での製造につきましては、採算の悪化等もございまして過年度において終了しているところでございまして、このエネルギー供給の構造の高度化を図っていくという観点からは、それなりに安価なバイオエタノールの輸入を拡大する必要があるという状況にございます。他方で、国内での生産は、現時点におきましては、主要な製造事業は終了してしまってはおりますけれども、2020年代の実用化を目指して、更に色々研究が進められている状況にあるということでございます。

検討でございますけれども、コストの低減等のために関税を無税とする一方で、今後の技術開発の進展によって国内生産が再開される可能性もあるという現状に鑑みて、これは暫定税率を無税とすることが適当ではないかと考えているところでございます。

3ページ目は、関税減税措置の対象の拡大でございます。昨年度、本審議会においても御議論をいただきました給食用脱脂粉乳に対する関税の減税措置でございますけれども、現行、小学校、中学校、幼稚園、保育所等の児童福祉法に基づく児童福祉施設等につきましては、給食に用いられる脱脂粉乳については関税の減税措置が講じられてございます。そのような中で、来年の4月から、現行の小学校、中学校に加えまして、いわゆる小中一貫教育を行う学校が義務教育学校として創設されてスタートするということになったわけでございまして、これまでの小学校、中学校等と同様の関税の減税措置の扱いができるように、対象の拡大を図るというものでございます。

5ページをご覧ください。特恵関税制度でございます。特恵関税制度につきましては、開発途上国の支援の観点から、途上国を原産地とする特定の輸入物品について、一般の税率よりも低い特恵税率を適用する制度でございまして、対象は144カ国・地域ございます。

他方で、開発途上国の産品であっても、国際競争力の高いものは国及び品目を政令で指定して、この特恵関税制度の適用の対象から除外するという措置も講じているところでございまして、その国別・品目別の除外措置の基準につきましては、過去3年の平均で輸入額が15億円超、かつ同一の物品の総輸入額に占める割合が50%超という基準を設けて運営をしているところでございます。そして、この基準を満たしたものにつきましては、特恵の適用の対象から3年間除外するという措置を講じているところでございます。

これを平成24年から平成26年までの3年間で当てはめたところ、中国産の農水産品6品目、それからアルゼンチン産の農水産品1品目、それから中国産の鉱工業品18品目が該当することになったということでございます。

7ページでございます。国そのものを特恵の対象から除外をします、いわゆる卒業でございますけれども、これについても該当する国が1つ出ましたという話でございます。具体的にはクックでございます。ニュージーランドの北東あたりにある島嶼国でございますけれども、これが平成25年から平成27年までの3年間で、世界銀行統計上の高所得国に該当することになった訳でございまして、特恵受益国から除外をしますというものでございます。

改正の方向性は今申し上げたとおりでございます。

続きまして資料4「HS条約の改正関係」でございます。

いわゆるHS条約と申しておりますけれども、正式にはInternational Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding Systemということで、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約というものでございます。これは全世界ベースで分類の基準を定めているものでございまして、最近では5年に1回改訂を行ってきているところでございます。また、この締約国は、我が国も含めて、自国の関税率表、統計品目表をこのHS品目表に適合させる義務を持っているところでございます。

2ページですけれども、昨年6月のWCO総会におきまして採択されました改正案が本年1月に締約国に受諾をされておりまして、2017年1月1日から適用しますということになってございます。

主な内容としましては、マル1からマル3に当たるものがあるわけでございまして、例えば新しく項や号を新設したり変更したりするもの、これは、他の国際的な取り決めの状況に応じて必要が生じたものがございます。

2つ目として、マル2でございますけれども、技術革新を反映した号の新設、具体的には、ハイブリッド自動車や電気自動車については新しく号を新設します。

さらには3つ目として、貿易額が少ないので項や号を統廃合しましょうというものでございまして、例えばタイプライター、これは項が立っておりますけれども、これを廃止して、他の項と統合しますというものでございます。

全体といたしましては、現行の定率表の別表で規定されている7,254の基本税率のうち約450がこの対象となるということになります。また、暫定措置法の別表で規定されております431の暫定税率のうち30がこの対象となるということになる訳でございます。

改訂の考え方でございますけれども、基本的には現行の表の構造等を維持しつつ、あるものについては少し細かく分けて新たに表を規定する。若しくは、それをやっているとあまりに複雑になり過ぎてしまうような場合、ただし書き(2)で書いてございますけれども、国内産業保護の観点から、また、輸出入の動向等の把握についての観点から、問題がないと考えられるものについては、経済産業省等とも協議をしつつ、統廃合して整理をするというものでございます。

従いまして、やや技術的でございますけれども、このHSの改訂に沿いまして、定率法及び暫定法の表の分類の表記の仕方を若干変更しようというものでございます。

私からは以上でございます。

○米山知的財産調査室長 関税局知的財産調査室長の米山でございます。

それでは、事務局からの説明の最後といたしまして、私から、資料5−1に基づきまして、「関税等不服審査会に諮問する事項の追加等について」御説明させていただきます。

それでは、1ページ目をご覧ください。まず、現行制度の概要として、(1)税関長の処分に対する不服申立てでございますが、行政庁による行政処分や公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てにつきましては、一般法としての行政不服審査法の他、課税処分、その他大量集中的に行われ、かつ、当該処分に対する不服が概して要件事実の認定の当否にかかる処分につきましては、その特殊性を考慮して例外的に特別の規定を設けることが認められております。

この趣旨を踏まえまして、関税法におきましては、関税法などの規定による税関長の処分に対する不服申立てに関しまして、関税法の第8章に特別の規定を設けて、異議申立て、関税等不服審査会への諮問、審査請求と訴訟との関係などについて定めているところでございます。

次に、関税等不服審査会への諮問でございますが、関税法91条におきましては、財務大臣に対してされた審査請求のうち、下のマル1からマル3の3つの処分につきましては、審査請求があったときは財務大臣は関税等不服審査会に諮問しなければならないこととされております。具体的には、マル1関税の確定等の処分、マル2公安・風俗を害すべき物品又は児童ポルノに該当する旨の通知、マル3知的財産侵害物品の認定通知などでございます。

後程改めて御説明いたしますが、この3つの処分以外のその他の税関長の処分につきましては、現行制度では、関税等不服審査会に諮問することなく財務大臣の裁決が行われております。

次に、背景及び改正の必要性でございますが、平成26年の通常国会に、行政不服審査法の全面改正法案が提出され、不服申立て制度につきましては、公正性の向上、使いやすさの向上等の観点から見直しが行われたところでございます。この行政不服審査法改正の施行日は政令で定めることとされておりますが、現在行政不服審査法を所管する総務省から関係政令案についてパブリックコメントが行われておりまして、その政令案によりますと、施行日は平成28年4月1日が予定されております。

続きまして、(2)関税法等の改正の必要性でございますが、改正後の行政不服審査法におきましては、審査請求があったときは、その裁決の公正性の向上の観点から、一定の場合を除きまして改正行政不服審査法により新設される第三者機関である行政不服審査会に諮問しなければならないこととされております。

ここで一定の場合というのは、国家行政組織法8条に基づく機関の議を経て裁決を行う場合が含まれておりまして、今回お諮りしております関税等不服審査会はこの機関でございます。従いまして、関税法91条に掲げる税関長の処分にかかる審査請求があったときは、関税等不服審査会に諮問しなければならないこととなっておりますので、この一定の場合に該当し、行政不服審査会に諮問する必要はないことになります。

他方、関税法91条に掲げる処分以外のその他の税関長の処分にかかる審査請求につきましては、現在関税等不服審査会などに諮問することなく財務大臣の裁決が行われておりますが、今後、改正行政不服審査法施行後は、一定の場合に該当しない限り新たに行政不服審査会への諮問を要することとなります。

なお、この資料の※印の部分でございますが、税関長の処分のうち、内国消費税等に関する処分につきましては、国税不服審判所に対して審査請求が行われております。

続きまして、検討内容でございます。まず、考え方でございますが、これまで御説明したとおり、その他の税関長の処分に関する審査請求につきましては、改正行政不服審査法施行後、一定の場合に該当しない限り新たに行政不服審査会への諮問が必要となるところでございます。

ここで、その他の税関長の処分に対する審査請求があったときの関税等不服審査会に諮問しなければならないこととし、行政不服審査会への諮問を要しないこととすることが考えられるところでございます。

この点につきましては、3つございますが、1つ目といたしまして、改正行政不服審査法においては、原則として全ての審査請求について第三者機関への諮問を要することとされ、これまで第三者機関への諮問の対象となっていなかったその他の税関長の処分に関する審査請求についても第三者機関への諮問を要することになること。

続きまして、税関長が行った処分に対する審査請求を第三者機関が審議するためには、関税関係法令や税関手続に関する高い専門性が必要とされ、関税等不服審査会はそうした高い専門性を有していると考えられること。

従いまして、より適正な判断を得るためには、その他の税関長の処分にかかる審査請求についても、関税等不服審査会に諮問することが望ましいと考えること。

この3点を踏まえますと、その他の税関長の処分にかかる審査請求につきましても関税等不服審査会に諮問しなければならないこととし、行政不服審査会への諮問を要しないこととすることが適当であると考えられるところでございます。

なお、とん税法、特別とん税法に関しましては準用規定がございますので、既に関税等不服審査会への諮問対象となっております。他方、通関業法に関しましては、とん税法などと同様の準用規定はございませんが、これまで御説明した観点から、通関業法に基づく税関長の処分に対する審査請求につきましても、今後、関税等不服審査会への諮問対象とすることが適当であると考えるところでございます。

最後に、関税等不服審査会へ諮問を要さない場合について御説明いたします。

現在、関税法91条に掲げる税関長の処分に関する審査請求につきましては、例えば審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合や、審査請求をする資格がない者が審査請求をした場合、また審査請求の目的が消滅した場合など、審査請求が不適法であり却下する場合であっても、関税等不服審査会に諮問しなければならないこととされております。しかしながら、審査請求が不適法であり却下する場合には、重要性、専門性のある論点について審理する必要がないことから、このような場合まで関税等不服審査会への諮問を義務づける必要性は乏しく、関税等不服審査会への諮問を要しないとすることが考えられるところでございます。

この点につきましては、審査請求が不適法であり却下する場合は、改正される行政不服審査法の43条1項6号におきましても諮問を要さないこととされております。従いまして、審査請求が不適法であり却下する場合には、関税等不服審査会への諮問を要しないとすることが適当であると考えられるところでございます。

最後に、改正の方向性でございますが、関税法91条各号に掲げる処分以外の税関長の処分(内国消費税等を除く。)に係る審査請求につきましては、関税等不服審査会に諮問しなければならない事項に追加することが適当ではないか。また、審査請求が不適法であり却下する場合については、関税等不服審査会への諮問を要しないとすることが適当ではないか。これらの点につきまして、関税法及び通関業法の改正について御審議賜りたいと思います。

事務局からの説明は以上でございます。

○森田分科会長どうもありがとうございました。それでは、これまでの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見等をいただきたいと思いますので、御発言いただきたいと思います。

○櫻井委員最後の5−2のところですが、行政不服審査法関係のところについて意見を申し上げます。

関税法の場合、関税等不服審査会がありますので、法律を改正してこちらの第三者機関に諮問を移すということだと思いますが、これは第三者機関といっても、総務省にある行政不服審査会と、それから、関税に関する専門的な第三者機関と、いずれを選択するのがいいのかと考えた場合には、これは合理的に考えて、専門性のある審査会に諮問ができるようにするというのが本来の筋でありまして、特に理由づけとしては、これは国民のユーザーからすると、元々税関長の処分で当然財務省の中で対応してもらえるのかと思っていたら、突然、総務省に行ってしまうわけです。その第三者機関の問題もさることながら、事務局の対応というのも全く違うはずなので、そこのところが今回のこの改正はあり得べき改正で、是非やっていただきたいと考えているところです。

改正にあたり検討していただきたいのは、先ほどの資料ですと、基本的には関税等不服審査会に諮問するというお話ですが、諮問を要さない場合についてというのが3ページ目の(2)にございまして、これが却下の場合だけ除くとなっています。実は、改正行政不服審査法の43条になりますけれども、この中で審査会に諮問しなくてよろしい場合というのが、20年法案、前に廃案になった法案との関係で言うと大きな違いがあるのが4号で、これは審査請求人が行政不服審査会に諮問を希望しない旨の申し出をした場合には諮問をしなくてよろしいということで、実質上選択制になっています。

確かに本文の原則は、しなければならないという形になっているのですが、そこのところが提示された案の場合、むしろ手続が過重になってしまいます。通常の不服審査に加えて審査会の審査も加わるというところが20年法案に対する一番強い批判としてあり、それを受け入れる形で改正後の行政不服審査法の43条というのは4号が入っているという経緯があることから、改正法は本当は本文の書き方が少しおかしいと思っています。原則は原則、しかし、例外として4号を置いているということだとすると、関税関係についても、これも処分の重要性に応じて対応を考えるべきだということにはなると思いますが、御本人が希望しない場合にまで関税等不服審査会についての諮問を義務付けるというところについて、もう一つ理由付けが必要なのではないかと思いますので、そこについてぜひ御検討の上、もし必要があるのであれば、どういう観点からそういうことが言えるのかということについて御説明をいただく必要があるのかなと思っております。

以上です。

○米山知的財産調査室長櫻井先生、どうもありがとうございました。先程先生がおっしゃられた改正後の行政不服審査法の43条につきましては、資料5−2の7ページに条文をつけておりまして、私どもも一般法である行政不服審査法で除外されているものに関しまして、一つ一ついろいろ検討は加えているところでございます。先生御指摘の事項につきましても、まず1つ事実としては、今まで過去審査請求人が関税等不服審査会にかけなくていいという要請を出してきたことが全くなく、審査請求の審理手続中のやりとりでもそういうものはないということがあります。一方で、そういう事実も踏まえながらも、一方で国民救済の観点から、審査請求人本人が希望しない場合には、迅速に手続を進めることができる選択肢があってもいいのではないかという点も考慮する必要がございます。また一方で、税関行政の中でも重要な意義のある税についての処分等については、例外なく関税等不服審査会に諮問をすることとしている現状もございまして、今回の御提案は、特にこの専門性の観点から、専門性のある論点に入る必要のない6号のみを除外対象とし、4号を除外するという旨は御提案していないところでございます。引き続き先生の御意見も踏まえまして、何が一番最適かというのは検討させていただきたいと思っております。

○櫻井委員そうすると、現在の関税法ですと、91条で1号、2号、3号というのがあって、これは従前どおり諮問しなければならないというところで残すのはいいと思います。問題は、従来ここに掲げられていなかったその他の税関長の処分については、そもそも審査会自体にかけないという形になっていたわけですので、これについてもあわせて原則として義務なんだと言ってしまうと、そこは規制強化になってしまうので、そこに特段の説明が必要ではないかというのが質問の趣旨です。

○米山知的財産調査室長先生の趣旨はわかりましたので、それを踏まえて検討いたします。

○佐藤委員せっかく議論が出ましたので、今と同じ点について意見を申し上げます。

私自身が関税等不服審査会のメンバーで関税・知的財産分科会に属しております。そこでは、諮問された事項について専門的な議論を非常に熱心に行なっているという実態を存じておりますので、今日お出しになった御提案につきましては、この2の観点からも賛成したいと思います。

併せて質問が2つあります。1つは、今御議論になっていた諮問を要さない場合について、却下する場合と書いてあります。しかし、却下すべきかどうか自体、つまり、適法な不服申立てかどうか自体が問題になるケースというのも想定されるわけでありますが、これは諮問を要さないという形になっていますので、そういう場合は運用で諮問があることになろうかと理解をしておりますが、そういう理解でよいのかというのが1点。

それから、恐らく色々なところで一斉にこういう検討をしていると思いますが、8条機関に関して同様の改正が行われているというケースを御存じであれば教えていただけるとよろしいかと思います。

○米山知的財産調査室長ありがとうございます。

今回御質問いただいた、まず1つ目の関税等不服審査会に諮問すべき事項から義務を解除ということでございますので、先ほど御説明した専門性が不要な、例えば審査請求が適切な期間内になされたかどうかというのは、事務局がカレンダーの日数を数えますと分かることでございますので、不服審査会で御議論いただく必要はございませんが、例えば訴えに利益があるかどうかということに関しまして、一定の困難性があるときには諮問させていただくこともあるのかと思っております。

また、その他の審査会等の動向でございますが、私どももその他省庁の情報などもいろいろ聴取しているところでございますけれども、現状ではここまで具体的に法改正を御提案しているというところは聞いてございません。

○古谷委員「TPPの大筋合意の概要」の説明の8ページで、農林水産物443が関税を残すラインについてのところで、農林水産物に関して影響が大きいと思いますので、その影響について、お聞きしたいと思います。

まず、農産物の問題について、日本では食料自給率の向上を別の政策として掲げていると思います。一見矛盾した政策が2つ走るような感じがありますけれども、これについて、例えば食料自給率の向上についての何らかの手当てというのを考えられているのか。財務省の管轄ではないと思いますが、もしお答えできるようであればお願いをしたいと思います。

また、よく消費者側で問題にするのは、食の安全や安心の基準について日本はかなり厳しいので、そこが確保されるのかどうかというところをお聞きしたいと思います。

その関連で、国民の不安などに対して丁寧に説明していくとおっしゃいましたが、どういうようなスケジュールで、どういう団体といいますか、関係者に説明をしていくかについてお聞きしたい。

そして、その説明の中で、説明すれば足りる部分と、例えば国内産業の競争力の面では説明では実は足りなくて、そういった業界との一緒になった取組みというのも必要だと思いますけれども、そこまでわかるようであれば教えていただければと思います。

○牛草国際経済課長(農林水産省)農林水産省でございます。まず、今日は概括の資料ということでしたので、農林水産品の状況もライン数だけの御説明になっています。牛から豚からいろいろな品目がございますけれども、農林水産省のホームページに主要な品目、それから、ライン・バイ・ラインでの交渉結果、全て今公表してございますので、後で御参照していただければと思います。

自給率向上という非常に大きなお話をいただきました。農業政策の基本となっている食料・農業・農村基本法においても、自給率の向上を旨として農業政策をやっていくということが書いてございます。その基本法に基づきまして、ほぼ5年に1度食料・農業・農村基本計画というのを策定しておりまして、現在の計画でも食料自給率45%を目指すと。ここ数年は毎年40%をちょっと切ったような数字ですけれども、いろいろな政策をやっております。自給率自体は最終的に消費者の方が、国産、海外もの、どっちを選ぶかということなので、消費者の方に選んでいただけるような、おいしい魅力ある農産物をつくっていけるような体制にしようという趣旨でございます。

一方で、TPPで国境措置、いろいろな関税が撤廃されたりとか、あるいは削減ということに相なりましたけれども、その中でどうやって農業を魅力ある産業に、消費者の方にとっても魅力ある作物をつくっていけるようにできるのかというのは、まさに我々政府全体としても直面している課題でございます。大筋合意になった後、総理の御発言あるいは農林水産大臣の発言、それを踏まえまして、今政府全体での対策本部というのができまして、その中で今後の農業政策を考えていくということになってございます。

食の安全については、内閣官房からルール分野の概要という資料が配られているかと思います。その17ページに衛生植物検疫(SPS)措置というものについての概要が書いてございます。これはWTOでもSPS協定というのがございまして、今回のTPPの交渉では、WTO協定をベースに透明性のための手続が強化されたところです。

この17ページの真ん中のSPSの最後のパラグラフに書いてございますけれども、科学的な原則に基づいて、加盟国に食品の安全を確保するために必要な措置をとる権利を認めるWTOのSPS協定を踏まえた規定となっていて、日本の制度変更が必要となる規定は設けておらず、日本の食品の安全が脅かされるようなことはないという交渉結果になっております。

○吉田企画官(内閣官房)内閣官房TPP対策本部の吉田でございます。

御質問いただいた国民への説明のスケジュールとかについてでございますが、まだ具体的な計画表が出ている訳ではございませんが、既に1020日に全国民、一般の人も対象にしました説明会を1回開きまして、そこを皮切りに国民の皆さんへの説明を始めているところでございます。御指摘のとおり、非常に細かい分野にわたって関係している部分もございます。そういう意味では、各業界の皆さんには各関係省庁から分野別の説明会というものも計画され、既に実行されつつございます。私どもも地方にも出て、さらに説明会を開催することで今準備中でございます。

また、幾ら開催いたしましても、なかなか全ての国民の皆さんに御参加いただける訳にいきませんので、そういう意味では、我がTPP対策本部のホームページに説明した際の映像とか、そういうところへのリンクを張ったりしまして、関心のある方が自ら求めて見られるような、そういう形で情報提供に努めてまいりたいと考えております。

○松下委員同じくTPPについてでございますけれども、経済界、産業界といたしましては、この度のTPPの大筋合意まで結びつけられた政府の御関係の皆様方の御努力に対して敬意と感謝を申し上げたいと思います。

この後、当然このTPP協定が発効することによって影響を受ける国内の産業分野もある訳でございますが、その場合に、保護のためにお金を使うのではなく、強くするためにお金を使うという政策を是非やっていただきたいと思います。

それから、これは質問でございますが、今後、各国においてこの協定の署名あるいは国会承認というものが行われていく訳でございますが、その中で、国会承認にこぎつけるのが難しい国というのが予想されるかと思います。その辺りを今後の予定も含めてお教えいただければと思います。

○吉田企画官(内閣官房)お答えいたします。なかなか他の国の様子を私どもの立場から申し上げるのは難しいところでございます。そういう意味でどの国ということは申し上げられませんが、御承知のとおり、TPPの発効規定のところで、全ての国が必ずしも集まらなくても、こういう状況になったら発効させましょうという規定が置かれております。皆、第1番の規定、12カ国が全て国内手続を経て揃ってスタートするというところに向けて各国鋭意努力しているという状況にございます。答えになっておりませんが、そういう状況でございます。

○佐藤経済連携課首席事務官(外務省)外務省でございます。

恐らく、アメリカなどが念頭にあられるのかなと思います。それこそヒラリー国務長官が、私が知っている限りという条件のもとにおいては、賛成できないという形で発言されているという話も聞こえてきております。それぞれ国内事情はございますけれども、オバマ大統領自身が、自分のレガシーとしてやるべく意欲を持っていると理解しておりますので、前向きに進んでいくのではないかというふうには理解をしております。

○佐藤委員TPPがこのままうまく発効したとしますと、関税の撤廃がこれだけあるということですが、単純にどれぐらいの関税の減収規模を見込んでいらっしゃるんでしょうか。教えていただければ幸いです。

○小宮関税課長まだどのぐらい減収するのかという数字は持ち合わせてはおりませんが、TPP締約国からの輸入に伴う関税の収入は現状では3,000億前後あったかと記憶しております。もちろん、全ての関税が撤廃ではないものですから、それからどのぐらい減るのかということになろうかと思いますけれども、何分にもTPPは関税以外の部分も含めて、そういう意味ではダイナミックなものでございますので、最終的な関税がどのぐらい減りそうかということについては、内閣官房でいろいろな分野の影響も含めて今後試算がされていくと承知しておりまして、現状どのぐらい減りそうかということについては、数字をまだ持ち合わせていないというところでございます。

○宮島委員TPPに関しましては、私たちもメディアとしていろいろな形で取材や発信を行いましたので、そこで思ったことと、1つ質問をしたいと思います。

本当にTPPは私たちも一つ一つの関税のことをこんなに端から丁寧に見たことは初めてなぐらい一つ一つの関税を見て、そして、世の中の関税に対する関心も広がったのではないかと思います。最初は5項目のことだけでしたけれども、その後どんどん世論でも色々な意見が出たと思っておりまして、私たちが世論調査などを通じて、国民の認識が変わったかなと思ったのは、TPPの議論の最初のうちは、割とステレオタイプに、TPPに参加すると製造業は助かります、農業は困ります、皆さんはどう思いますかという、それでどうですかというような見方が多かったのですけれども、TPPの決着のあたりでいろいろな方に聞いたり、あるいは世論調査などを見ますと、農業に対する期待がすごく高まっている。しかも、これが単に農業が困るんだという受け止めではなくて、まさにここで農業に変わって欲しいという一般の人の意見がすごく聞かれるようになったと思います。ですから、関税が撤廃されることが単に困ったことということではなく、国民もそういう捉え方ではないので、まさにこれを奇貨として農業を強くするというような政策を是非お願いしたいと思います。

それに加えて、関税というのは本当に大事なものだということを改めて感じました。一つ一つは、特に今日も提示があります暫定税率みたいにそれぞれの経緯の中で決まったいろいろな難しいものもあるので、すぐに変えるのは難しい、簡単には動かせないものだとは思いますが、一方で、時代とか政策に従った不断の見直しが改めて必要なんだと思いました。

というのは、別のところでも、例えば税制の租特なんかを見ていましても、これは時代と違うのではないかという項目を目にすることがありますが、関税の中にも、もしかしたらそういうのがあるのではないか。今回のところ、政策が変わって関税が変わりますというような若干受け身的なものが多いかなと思いますけれども、逆に関税の立場から見て、これは政策としておかしいのではないか、ここの差は違うのではないかというような発信も、それぞれの政策に対して発信するということも非常に期待しております。そういった意味で、逆に関税のスタンスから他の省庁あるいは政策当局にいろいろな問いかけをするようなことが普段どのぐらいおありになるかどうかというのをお伺いしたいと思います。

○小宮関税課長まず、全体の観点から一言申し上げますと、例えば今回TPPがありましたけれども、これまでもEPAは多数個別に結んでおります。そのような個別のEPAで例えば関税の削減スケジュール等を決めた場合は、国内法令を変えなくても、税率の部分については協定で定めた税率が低い場合はそれを適用するという関税の法制度になっております。従いまして、そういう機会も踏まえて、実際に実行される税率体系は日々実はどんどん変わっていっているというのが1点ございます。

それから、そういう中で、例えば国内法令で決めている基本税率、暫定税率についてでございますけれども、年度改正として要望を聞いて、それも踏まえつつ検討を行うという側面もございますけれども、それだけでなく、各関係省庁とまさに常日頃から関税というメルクマールを通じて政策について協議を行っておりますので、今後とも、そういう意味では完全に受け身というよりは、大きな経済政策の観点から関税の分野で何をすべきかという意識は常に持ち続けて取り組んでいきたいと思っております。

○宮島委員ありがとうございます。本当に何となくそこの状況が変わらない状態で続いていくものというのがあるのかどうかというのが心配だったのですけれども、そうやって不断の見直しをされているということで、是非今後ともよろしくお願いします。

○清水委員TPPの大筋合意につきまして、特に「環太平洋パートナーシップの大筋合意を踏まえた基本方針」という2枚紙を見させていただきますと、1枚目の下部に「TPPにチャンスを見出し、世界に挑戦し、グローバルな市場を切り拓き、新たな価値を創出する企業、それから国内に投資や人々を呼び込む」等々書かれており、その最後に「そのための所要の措置を講ずる」と書かれております。しかし、一つも具体的なことがないということで、その辺においてはこういった多方面における新たなチャレンジに向けて、実際に他省庁との連携も含めて具体的にどういうことを始めようとしているのか、何か進んでいるようなことがあるか。あるいはどういったタイムスパンで色々な施策を講じていくのか、ということに関して、現時点で決まっていることがあればお伺いしたいというのが第1点です。

それから、第2点としまして、TPPの加盟国を見ますと、恐らく製造業などの中では一番重要なタイ、インドネシア、中国が入っていないわけですが、日米でTPPの大筋合意がなされたということから、韓国が参加の意図があるということや、RCEP、あるいは日中韓FTAが進む、EUの交渉が進む、というニュース報道がいろいろなされております。現時点において何かその面において新たな動き、あるいは新たに何か感じさせるものがおありになるかどうかということについてお伺いしたいと思います。

○吉田企画官(内閣官房)まず第1点目の基本方針に基づきます具体的な対応、残念ながら、まさにこういう方針でいこうというところを決めて、今も各省連絡を取合いながら、これから具体化していこうというところでございます。御承知のとおり、具体化されているのは、総理をヘッドとします対策本部をつくって、そこで各閣僚メンバーと議論しているという状況にございます。具体的な内容についてはもうしばらくお待ちいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤経済連携課首席事務官(外務省)タイ、インドネシア、中国と入っていないという御指摘だったかと思います。御指摘のとおりでございまして、もちろん、これは向こうから公式な要請がございましたら、それを踏まえて、TPPの高い水準を満たすかどうかという判断を加盟国の間でしていくということになろうかとは思います。ただ、現時点でまだそこまではいっておりませんので、今後の検討という形になると思います。

あと、日中韓、RCEP、何か変化がございますかということで、我々としては、当然TPPが成立すれば、中国、他の国も、当然競争上若干不利益が生じる可能性がございますので、これらの交渉についても前向きなインパクトがあるかなと期待しておりますが、何分まだ10月に大筋合意したばかりでございますので、そこまで明確に今この時点で何か申し上げるということはございません。

○森田分科会長他にいかがでしょうか。時間も残り少なくなってまいりましたが、よろしいですか。

それでは、他に御質問がございませんようですので、以上をもちまして、本日の関税分科会を終了いたします。

なお、次回の関税分科会の詳細につきましては、事務局において調整の上、別途御連絡を申し上げたいと思います。

それでは、本日は御多用中のところ御出席をいただきまして誠にありがとうございました。これで終了します。

午後4時54分閉会

財務省の政策