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関税・外国為替等審議会
第38回外国為替等分科会議事録

平成30年6月22日(金)

財務省 国際局

於 中央合同庁舎第4号館 共用第1特別会議室


○小川分科会長 それでは、お時間になりましたので、ただいまより第38回外国為替等分科会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 本日の議事は2つあります。最初に、事務局から「今後の国際経済・金融の課題」について御報告をいただき、その後、質疑、自由討議の時間をおとりしたいと思います。続いて、事務局から「経常収支の構造変化」について御報告いただき、再び質疑、自由討議の時間をおとりしたいと思います。
 それでは、まず議題1、「今後の国際経済・金融の課題」に入りたいと思います。
 岡村次長、よろしくお願いいたします。

 

○岡村国際局次長 国際局次長の岡村でございます。
 この審議会の日程をセットした後で、局長の武内が急きょ出張に出なければならないことになりまして、ちょうど今日帰ってくるのですけれども間に合うかどうかという日程でございますので、私が代理で全体の御報告をさせていただきます。
 それで、「今後の国際経済・金融の課題」という題の資料をお手元にお届けしております。今回は、これまでの議論を御報告するという伝統的なスタイルのプレゼンというよりは、私どもがG20の議長をこれから準備していくというタイミングで、進行中の事柄で私どもが重要だと思っているイシューについて足元の議論などを御報告させていただき、私どもの問題意識をお示しした上で、先生方からインプットをいただいて、それをもとにG20の準備をさせていただければ大変幸いと思い、今回の資料を作らせていただきました。
 おめくりいただいて、3ページの「今後の国際経済・金融の課題」は目次です。4項目を今回示させていただきました。1つ目は質の高いインフラ、2つ目は債務の持続可能性・債務の透明性、3つ目は金融技術革新、4つ目は投資自由の原則と安全保障のバランスといったような「投資と安全保障」という題で、この各項目について御報告させていただければと思っております。
 おめくりいただきますと、この4つを今回設定させていただいた背景ですけれども、アルゼンチン議長下のG20でどんな議論をしているかという資料があると思います。世界経済とか、仕事の未来、インフラ投資とあり、この2番目の「仕事の未来」、3番目の「インフラ投資」というのが、アルゼンチン議長下のファイナンストラックのプライオリティです。フューチャー・オブ・ワークはここに書いてあるとおりわかりやすい話ですけれども、インフラについては割と狭めの問題意識で、infrastructure as an asset classとして民間投資を促進していくことに焦点を絞っているというのがアルゼンチン議長下での議論であります。そのほか、伝統的なイシューでありますが、国際金融アーキテクチャ、金融規制、国際課税、テロ資金対策といったような議題であります。ここで見ていただきたいのは、アルゼンチンの議長下で既にインフラとか、金融技術革新とか、債務の透明性といった話は議論中という点です。
 4つ目の柱として御提示した「投資と安全保障」については、アルゼンチン議長下のG20でやっていることではありませんけれども、この4つの項目は、国際的な場で議論が始まっている、あるいは活発に行われているもので、これから来年のG20に向けてどうしていくかが既に国際的に議論になっていることを総論的に申し上げて、それぞれの項目に移らせていただきたいと思います。
 6ページになりますが、まずインフラです。質の高いインフラ、いわゆる「質高インフラ」ですが、「質の高い」ということをどう意味づけるかですけれども、質高のコンセプトの整理につきましては、2016年になりますが、伊勢志摩サミットの時にG7で取りまとめを行っております。ここにもありますが、「伊勢志摩原則」ということで、例えばライフサイクル・コストから見た経済性、それから強じん性、社会・環境配慮、民間資金動員といったコアになるような考え方がございまして、これは我が国のインフラに関する途上国支援の基本になる考え方だと捉えております。
 次の7ページは、G7の伊勢志摩原則以降の展開でございまして、2つ例として挙げさせていただいています。1つは世銀での動き。世銀の調達についても、2016年7月に世銀が新しい調達の枠組みを導入しておりまして、これによって世銀の融資を受けた国は、そのプロジェクトの調達に当たって、Value for Moneyとかqualityといった要素、具体的には、ライフサイクル・コストですとか、安全性といったものを評価することが可能になっております。つまり、価格だけの勝負ではないということが調達原則として取り入れられました。世銀からその他の地域開発銀行、RDBsと言われているところに広がりつつあるというのが現状でございます。
 2つ目の例ですが、2016年9月の中国の杭州G20のサミットで、ここにコミュニケを書いておりますけれども、G7の伊勢志摩原則の主な要素、それから質の高いインフラ投資が大事だということについて、コミュニケに明記されております。こういう意味で、G7からG20へ、しかも中国の議長下でこのコンセプトを広げることに、とりあえずこの時点では成功しているというのが現状でございます。
 おめくりいただいて、8ページは、質の高いインフラの具体例でありまして、左上の画像はカンボジアのつばさ橋です。この橋はカンボジアのお札にその姿が載っているなど非常に評価の高い橋でありまして、その耐久性が評価されているほか、この橋ができたことでメコン川によって分けられていた国道1号線がつながって、地域経済の活性化に大きく寄与したということです。
 2つ目が右の画像ですけれども、イギリスの都市間高速鉄道です。日立が車両を納入しているのですけれども、軽量アルミ車体、省エネルギー技術を駆動システムに使っており、エネルギーの使用量が少ない環境にやさしい鉄道ということです。
 3つ目が下の画像ですが、ケニアのモンバサ港で、環境配慮型の港湾クレーンによりCO2の排出を大幅に削減したということです。
 あともう1つ、質高の要素として雇用があるのですけれども、建設現場で約1,700人の現地の方の雇用をして、地元の雇用創出とか、例えばクレーンの運営の方法が残るという意味で技術移転にも寄与しました。こういうものを質の高いインフラだという理念の話に加えて、具体例でコンセプトの普及を図っているというのが、今力を入れて行っていることでございます。
 それで、次の9ページ、10ページ、11ページの3枚は、今年の5月のアジア開発銀行の総会、それから6月のシャルルボワのG7サミット、それから日本では日経の「アジアの未来」での総理のスピーチといった機会に、特にG20の議長国になることも含め、今後のことも見据えた質高インフラの新展開を発信しておりますので、それについての資料です。
 「『質の高いインフラ投資』が有する高次の意義」と書いてありますけれども、要するに、このことはインフラの物理的な価値だけではなくて、質の高いインフラが整備されると、それが開放的であって万人が使用できるということによって、経済の歯車を能動的に動かしていくということです。右の図ですけれども、その国の経済が発展し、民間投資を促進し、雇用を創出し、能力構築や持続可能な借入れなどが自律的に回って、好影響を相互に及ぼしながら包摂的な成長ができ、持続していくという経済発展の自律的循環ができる。そういう高次元な重要な価値があるのではないかというコンセプトでございます。
 来年のG20に向けて、こうした自律的循環という質の高いインフラの価値をはっきりとさせるということが1点です。それとともに、G7で伊勢志摩原則と言っていたインフラ投資の原則の中身をアップグレードしていきたいと考えております。
 それに当たって、原則アップグレードということで左側の丸でありますけれども、特に4番目のガバナンスの部分でResponsible Financingとか開放性といった要素を前面に出して、この部分をアップグレードしていきたい。特にResponsible Financingというのは、次の項目、債務のところで詳しく御報告させていただきたいと思っております。
 次の10ページは、途上国にとって支援メニューの具体的なものを示しておくということで、春の機会に提示したものでございまして、上流、つまりプロジェクトの組成から下流のファイナンスまで、それから、全体の土台になるようなデータ整備なども含めて、包括的な支援のツールを用意したということです。
 個別の中身には今立ち入る余裕はございませんが、各ツール自体、それからこうしたメニューとして包括的に提示するということ、その両者が相まって、途上国による主体的な質の高いインフラ投資実施の助けになっていくと私どもは考えております。
 次の11ページですけれども、下流のファイナンス支援についての今回の目玉になるような日本のイニシアティブですが、右下に3年で約500億ドルと書いてあります。日本の官民が3年で約500億ドル規模の新しい支援ファシリティをJBICに創設したということでございます。
 売りは3点ありまして、右上に「外為特会」と書いてありますが、1点目は外為特会による補完的な原資の供給です。2点目は、真ん中のJBICのファシリティの名前のところに「QI-ESG」とありますが、ESGへの着目です。3点目は、アンタイドポーションがあるのですけれども、下の「質の高いインフラ・プロジェクト」というところにJBICから矢印があって、右側は邦銀等との協調融資で、金融手法では投資金融、左側はアンタイドローンですので、アンタイドポーションがファシリティの中にあるため支援先が日本にタイドされないということで、MDBsとの協調融資が進むことが3つ目の売りです。
 具体的には、このファシリティで地熱、風力発電といった再生可能エネルギー分野を中心として、地球環境保全の目的に貢献するインフラの整備を幅広く支援していこうということで、国際社会とも緊密に連携していきたいと思っております。以上が質の高いインフラ投資の取組です。
 次に、2つ目の柱の低所得国における債務の持続性・透明性の確保ということで、13ページでございます。ここに書いてあるのは、要するに、HIPCやMDRIという債務救済のイニシアティブで、低所得国の債務の水準は一旦大きく下がったのですが、足元で悪化しています。
 次の14ページの左側のグラフを見ていただくと分かるのですが、左の棒グラフは信号機と同様でありまして、下の方から緑、黄、赤、そしてグレーということで、緑はLow riskで、黄はModerate、赤がHighで、グレーはIn debt distress、破綻ということです。これを見ていただければ一目瞭然のように、一旦増えた緑の国の数が足元の2014年ぐらいから急に減って、緑が短くなって、グレーや赤の国が増えているということで、債務の状況が大変悪化しているという話でございます。
 戻っていただいて13ページですけれども、こうした債務状況の悪化の背景には、貸し手側、借り手側両方に要因、理由があると考えております。まず貸し手側についてですが、新興ドナー国とか民間の投資家が、かなり近視眼的な短いタイムスパンで、その国の発展はもちろん、その国の今の返済能力も度外視して、目先のリターンとか政治的な利益を追求して、いわゆる無責任な貸付け、irresponsible lendingを行っていることが大きな原因だと言われております。
 また、ソブリンについて言えば、新興ドナー国はパリクラブのメンバーでもございませんし、債務問題についての知見もないということで、例えばよく言われる例は、中国などは援助主体が各自ばらばらに貸付けを行って、相互の連携も、あるいは意思疎通も良くないので、中国の当局自体が自国の債権の全体像を把握していないことが問題だという指摘もされているところです。それが貸し手側の問題です。
 それから、借り手側についてですけれども、途上国自身にはやはり債務管理能力がありません。つまり、キャパシティ・ビルディングが先決になるのではないかという問題意識です。能力の無いところにきちんとやりなさいと言っても駄目で、併せて能力構築支援を行う必要があるだろうという話です。細かい字のところですけれども、モザンビークとかジンバブエなどで、既に債務破綻状態という状況でございます。
 債務の透明性の向上について、借り手側はもちろんですけれども、新興ドナー国や民間投資家を含む貸し手側の努力も必要だということは大きな論点になっております。併せて借り手側へは、透明性向上のための能力構築というのは、debtのレコーディングとか、モニタリングというような分野になろうかと思うのですけれども、財政や債務管理能力も高めることも喫緊の課題ということですが、政策形成能力についての支援も併せて行う必要があるという議論を行ってございます。
 15ページはパリクラブのそもそも論ですので、飛ばして16ページでございますけれども、これは3月のアルゼンチンG20の大臣会合のコミュニケ、それから4月のIMFCのコミュニケでして、足元の議論でございます。
 先ほど申し上げました借り手、貸し手双方が債務の持続可能性と債務の透明性向上に向けた取組を行うということで、両サイドがという文言が入っていますけれども、それから、新興ドナー国がパリクラブに参加して、債務問題について先進国と足並みをそろえていけるようにするといった取組を進めていくという議論が行われております。この背景には、先ほど質高の理念というところでも申し上げましたresponsible financingの思想が流れているところでございます。
 それから、債務の話の最後になりますけれども、17ページは別の話題でありますが、輸出信用の話でございます。輸出信用分野においても、同じように新興ドナー国を国際的なルールの枠組みに巻き込んでいくということが大事でありまして、もともとOECDの輸出信用アレンジメントにのっとって輸出信用の供与が行われるのが国際ルールですけれども、中国などの非OECD諸国は、輸出信用アレンジメントに当然縛られないわけです。それで、これよりも緩和された条件、つまり低金利で輸出信用を供与したり、それから公平な競争条件を確保されないといったことなので、こういうOECD非加盟国を規律する輸出信用のルールづくりのために、OECDの外に場を作る必要があるだろうということで、輸出信用に関するInternational Working Groupを作って、そのルール作りの議論を行っているところですけれども、なかなかルールにボランタリーに従うことも無いので、ここに入っていることに具体的なメリットを感じさせないと話としては進まないということで、そんなにはかばかしい進捗があるわけでもないというのが正直な状況でございます。これが輸出信用についての話です。
 次に、3つ目の金融技術革新の話に移らせていただきます。
 19ページの表は、足元の通貨の選択とか政策課題の状況の確認という意味で、前回の分科会で議論していただいたものです。前回の議論でもありましたように、日本企業にとってはアジアが主要なフィールドです。したがって、開かれた形でアジアの経済金融が発展していくことが日本の成長にとって重要な要素なので、右下の結論のところでありますが、今後もその目的に向けた取組を続けていくという基本スタンスには変わりはないということです。
 20ページがデジタル技術についてでありまして、金融技術革新は一体こうした現状に何をもたらすのかということで、AIとか、ビッグデータ分析とか、スマホの普及、分散型台帳技術の発展などといったものの組合せによって、現在進行形で起こっている金融セクターの変化の足元の状況を整理したつもりです。
 前回、決済についての議論はしていただいたので、次のページに説明があるのですがそれは後で見ていただくとして、左下にあります各項目を順番に見ていただきますと、金融インフラにつきましては、例えば中央銀行の決済システムとか、デジタル通貨の検証や実証実験などということで、変化をうまく活用していく上では官民の実験的な取組が有用だという視点が1つあるだろうと思います。それから、貿易金融の手続についても国境を越えた一元化の取組があります。また、金融機関のKnow Your Customerプロセスの合理化といった議論が出ているところです。
 次にビッグデータについてでございますけれども、一方で大きなポテンシャルがあるわけですが、他方で私企業が個人情報を独占的に保有することをどう捉えるかという問題がございます。特に中国では個人情報の管理が緩い一方で、ヨーロッパではGDPR、一般データ保護規則といいますが、その下で企業による個人情報の厳格管理が求められておりますので、それぞれの違いはありますが、イノベーションの過程で個人情報をどう取り扱っていくべきか、ハーモナイズをどう考えていくのかというのが現在進行形の議論であるということです。
 次の項目で、金融包摂ですけれども、新しい技術がいろんなハードルを引き下げるということで、決済だけではなくて融資など銀行サービスにも新しい主体が参入してくるということでありまして、銀行が今まで手を伸ばさなかった層にも金融サービスが行きわたるという金融包摂の話があります。これは重要なイシューです。
 他方で、デジタル技術についていけなくなる人々が金融サービスへのアクセスから疎外されてしまう、あるいは雇用の道が閉ざされるといったリスクもありまして、デジタル教育の必要性も高まっているという問題意識です。
 次の項目、金融の安定性ですが、金融機関以外の主体が金融サービスに参入するということは、金融監督当局にとっても新しい課題でありまして、業態ごとに規制するという意味を失います。そもそも業態という意味が薄れていくわけですので、業態横断的でそれぞれの金融機能に着目しながら、規制の枠組みを考えていく必要性が指摘されているところです。
 最後に、税制やマネロン規制ですけれども、明確な活動拠点を特定しにくいという側面が新しい課題を生んでいまして、こういった主体や活動にどう課税していくのかという課税の問題については、OECDで課税の原則について議論を行っておりますし、マネロンやテロ資金の対策の分野でも、FATFで仮想通貨の取扱いについて共通の原則の策定に向けての議論を行っているというのが現状でございます。
 各項目を見ていただいて、最後に20ページの右下の「政策の方向性」の最後、「政策全般について」ということでありますけれども、この先どうなるのかは分かりませんが、唯一確かではないかという点で言えば、変化の波がクロスボーダーで起こっていますので、こうした様々な事柄について状況を理解して活用していくためには、国際的な協調、協力が不可欠だということは間違いないということでまとめさせていただいております。
 21ページは決済の話で、前回扱いましたので飛ばさせていただきます。22ページでは、デジタル技術についての3月のアルゼンチンG20のコミュニケの記述を紹介させていただいております。この文言に具体的には立ち入りませんけれども、全体を一言で申し上げますと、印象論的な表現ですけれども、プラスとマイナスの両面をにらみながら、デジタル技術の発展がもたらし得るベネフィットを最大限に活用するために、国際的な協調や共通理解を深めていくということが議論の基本的なスタンスということだろうと思います。
 こうした正負両面をにらんで、ポテンシャル・ベネフィットの最大活用ということをアジアの文脈に即して考えますと、こうした技術が様々な障壁を引き下げる効果を持っているという意味で、経済や金融を統合する方向に使い得るという点が1点であります。既にリテールの送金、それから銀行間送金や貿易金融の分野でアジアの公的セクターが実験的な取組を始めておりますし、我が国としてもこうした流れに参画していきたいと考えてございます。
 最後の項目になります。「投資と安全保障」という点に入らせていただきます。
 安全保障目的の投資規制ということがテーマでありまして、まず我が国の外為法の枠組みについてご紹介しましたのが24ページです。1980年に外為法の大改正があり、対外取引が原則自由化されまして、管理や調整は必要最小限というのが基本的な考え方であるという点は、先生方にとっても御承知のとおりでございます。それで、必要最小限の管理・調整ということで、ここに掲げさせていただきましたのは3つあって、経済制裁、経済有事と並んで、マル2にございます安全保障目的の投資規制ということが、3つのうちの1つという整理です。
 25ページは具体的な規制の枠組みでございますけれども、中央に「届出対象業種」とありますが、一定の業種について事前の届出を義務付けました。それから、事前の届出を義務付けた上で、財務大臣と事業所管大臣による審査対象としているという立て付けでございます。
 審査の基準は、「国の安全」、「公の秩序」、「公衆の安全」、「我が国経済の円滑な運営」の4つでありまして、4つの基準に基づいて審査をした結果として、必要に応じて投資の変更・中止の勧告・命令を行うことができるということです。
 実際、年600件程度の申請がございますけれども、これまで変更・中止の勧告・命令を行ったのは1件だけでありまして、公の秩序の観点から、電源開発に対する株式取得の中止命令を出した例があるということです。
 それからもう1点、2にございます事後介入制度という昨年導入された制度です。先ほど4つの基準があると申し上げましたが、そのうちマル1の「国の安全」については、「国の安全」を損なうおそれがある場合には、無届出や虚偽の届出によって対内直接投資を行った外国投資家に対しまして、事後であっても株式売却などの措置命令を行うことができるという制度が、2017年10月に施行されました。
 26ページは、具体的な審査プロセスを図示したものでございまして、結局、上方の事前届出の審査の場合でも、それから下方の事後措置の場合でも、財務大臣、事業所管大臣によって問題ありとされた場合には、まさにこの外為審で意見聴取をさせていただいた後に、変更・中止や株式売却命令などの行政措置がとられる仕組みになってございます。
 次の27ページは、米国との比較です。左側に項目があるので、併せて見ていただければと思いますが、まずマル1の審査事由につきましては、日本では対外取引自由が原則で、先ほど来の「国の安全」「公の秩序」「公衆の安全」「我が国経済の円滑な運営」という事由で投資を審査しております。それに対してアメリカでは「国家安全保障」という言葉のもとで一括して規制を実施しております。
 それから、審査主体ですけれども、日本は財務大臣及び事業所管大臣で、アメリカはCFIUSという外国投資規制委員会です。このメンバーは財務省が委員長でありまして、司法省、国防総省、国務省などが入っています。
 規制の方式でございますけれども、日本は、事前届出制度に加えて一部についての事後介入ですが、アメリカは事後介入方式が基本です。国家安全保障上問題あるという場合に、投資の引揚げなどを命令するということです。ただし、事後が原則ではありますけれども、必要に応じて、当局が問題案件を把握次第、審査を開始することが事前にできる立て付けになってございます。「事前届出は任意」とここでは書いてありますが、問題ありと把握できれば、審査を開始することは可能です。
 規制の対象業種ですけれども、日本では明確な限定ありということですけれども、アメリカの場合はあらゆる業種が対象でありまして、米国のビジネスをコントロールし得るあらゆる合併や買収、取得が事後介入制度の対象ということで、業種も取引も非常に広範に網がかかるような制度になっております。
 次の28ページはアメリカの最近の動向です。案件が年々増加しているとか、禁止の実例とか、それから制度そのものの改正の議論といったものを挙げさせていただいておりまして、一言で言えば、規制強化の動きの真っただ中ということでございます。以上がinvestment securityです。
 大変駆け足になって恐縮ですが、最後にもう一度、29ページですけれども、冒頭と同じスライドで、目次として御紹介したものでございますが、各項目についての御報告をさせていただきましたので、これを振り返って我々なりの問題意識を整理させていただければと思います。
 1番目の「質の高いインフラ投資」についてですけれども、インフラ・ファイナンスについての需要と供給のギャップは膨大になっています。それが国際的には大きな課題というか、チャレンジだという認識のもとで、ライフサイクル・コストとかESG、それからガバナンスの項目の、特に利用の開放性とか、Responsible Financingといったことを申し上げましたけれども、そういったものに配慮した質高インフラを推進して、経済発展の自律的循環を実現していきたいと考えております。それが途上国の発展を支えるし、途上国と先進国のウィン・ウィンの1つの出口になるのではないかというのが私どもの問題意識でありまして、国際社会や日本の取組として、JBICのファイナンシング・ツールを御紹介いたしましたけれども、それで終わりという話ではなくて、今後とも主要な継続的課題になることは間違いないという意識でおります。
 次に、低所得国における債務の持続性や透明性といった2つ目の点ですが、新興国の経済成長に伴ってドナーの構成が変化して、従来の先進国中心の一元的な国際金融の枠組みの実効性は低下しております。そういう中で、債務の問題とか類似の輸出信用の問題について、やはり先進国と新興国が共通の原則に基づいて足並みをそろえた対応を確保していかなければならないという問題意識がございまして、そのために新興国をいかに巻き込んでいくかが直面する大きな課題だと思います。
 それから、金融技術革新につきましては、金融ビジネスについての障壁の引下げということで、オポチュニティはたくさんあります。つまり、経済や金融の統合を加速していくポテンシャルというのは大きいわけですけれども、うまくこれをオポチュニティとして活用していけば、経済や金融の統合において、日本及び日本の産業が優位なポジションに立つべきチャンスにもなるという認識が1つございます。それから、日本企業の主要なフィールドでありますアジアの経済金融がこれから開かれた形で発展していく上で、金融技術革新というのは大きなポテンシャルがあるわけですけれども、ポテンシャルと並んで様々なリスクがありますので、政府はポジティブ、ネガティブ両面からこれをどう理解して生かしていくことができるのか。それから、各国の政府、我が国として技術革新の果実というものを最大限に享受するために、具体的なアクションをどう考えたら良いだろうかというのが、大きな問題意識になると思います。
 それから、最後の投資と安全保障、投資の自由については、既に開かれた経済、金融市場における重要な要素でありまして、これまで投資の自由の範囲を拡大するというのがトレンドの方向でした。他方で、こうした先進国が、足元の動きとしては、安全保障上の理由から投資規制を強化する方向での動きが見られる現状にございます。今回、アメリカの事例を具体的に紹介させていただきましたけれども、ヨーロッパでも安全保障上の理由から規制強化の議論はなされております。こういう中で、投資自由の原則と安全保障のバランスが見直されるべきなのか、見直されるべきだとしてどういう方向性が考えられるのか。ここら辺も極めて難しいというか、深い問いでございます。
 大変駆け足でございますが、こういった問題意識をテーブルに載せさせていただきまして、先生方の御知見を賜れれば幸いだと思っております。ありがとうございました。

 

○小川分科会長 岡村次長、ありがとうございました。
 それでは、ただいまから御報告いただいた内容を議論させていただきたいと思います。御質問、御意見のある方はよろしくお願いします。
 それでは、長谷川委員、お願いします。

 

○長谷川委員 丁寧な御説明ありがとうございました。説明の中の4つの柱の最初の質の高いインフラ政策に関連して、2つばかりお伺いしたいことがあります。
 まず、「質の高いインフラ投資」を推進するという目的は非常によく理解できますし、日本にとっても強みのある分野ですので、これを推進していくことは非常に重要なことだと思います。それで、例えばライフサイクル・コストだとか、ガバナンスだとか、ESGとか、その辺に配慮していろいろおっしゃっていました。明示的にはおっしゃっていませんでしたが、これに対応するというか、対極にあるのが中国の一帯一路に基づくインフラ投資。そこが当然のことながら念頭にあるのだろうと思います。
 お伺いしたいのは、質の高いインフラ投資を目指すという方針は、これまでも日本政府はずっと言い続けてきたわけですけれども、ここに来て政府が一帯一路に協力する姿勢を鮮明に出してきたということがあります。もちろんその際には、多分経済性だとか、透明性だとか、もろもろのことを考慮してということになるのだろうと思います。それによって一帯一路に関わる投資が全て良くなるのであればそれはそれでいいと思うのですが、先ほども御説明がありましたけれども、2016年に中国であったG20サミットでもその辺に配慮した共同声明を出したにもかかわらず、現実問題として見れば、ここ最近、特にスリランカの例とか、ジブチの例とか、いろんなところで、世界中でそのマイナス面が懸念されている状況にあります。
 そんな中で、私の目にはかなり前のめりに動いているなというふうに見えるのですが、一帯一路に協力する姿勢を示すとすれば、そこを改めていくということよりも、むしろそういう問題のある動きに勢いをつけることにはならないのかという懸念をどうしても感じるのですね。
 そうなった場合に、日本が目指している質の高いインフラというものを、アジアを含めた途上国の発展、その国にとっての発展にも資するものとして広げていかなきゃいけないというところにむしろ逆行することになりかねないのではないかとも考えるのですが、その辺をどう捉えているのかということをまず1点お伺いしたいと思います。
 もう1点ですけれども、関連して、JBICを通じた新しいファシリティは、補完的なものとして最大2分の1で外為特会を使うという話になっています。私が外為特会と聞いて想像するのは、しばしば霞が関埋蔵金とかいうような形で、何かがあれば外為特会のお金を使えばいいのではないかという議論が結構あります。部署は違うのかもしれませんけれども、財務省は、基本的に外為特会というのは、いざというときの為替介入に使うとか、そういう目的があるわけで、埋蔵金だといって使途を広げてはいけないということを言っていたように理解しています。
 この種の外為特会を使う枠組み自体は、リーマンショック後の円高のファシリティでもあったと思いますが、それを今度はインフラ投資にも使うということになると、明らかに用途がどんどん拡大していっているなという印象を受けます。そこにどう歯止めをかけていくのかとか、今まで言ってきたこととの整合性をどう捉えるのか、その辺についてお伺いできればと思います。

 

○岡村次長 長谷川先生、大変ありがとうございました。両方とも大変鋭い質問だと思います。
 まず、最初の一帯一路の関係ですけれども、一帯一路への協力という軸で捉える、そして、日本政府の姿勢が前のめりに一帯一路に協力していくということになってくると、それは、質高インフラを推進することによって、途上国の発展のために、中国などによる無責任な貸付けに対する対抗軸を作っていくべきであり、中国のirresponsible lendingという途上国のためにならないのをdiscourageしていくべきだということに、逆行するのではないかという点については、おっしゃるとおりです。
 問題は、一帯一路への協力に前のめりであるのかどうかということなのだろうと思います。私どもが本日御説明させていただいた質高インフラ、それからJBICのファシリティも含めたファイナンスは、途上国に対して一帯一路の文脈で中国が提示しているようなファイナンスに頼る必要を減らし、結果として途上国の発展にも、それから世の中全体にとってもプラスになるようなインフラを整備していこう、ということです。
 したがって、中国の一帯一路のイニシアティブに協力することが出発点ではなくて、むしろ一帯一路が良いものであれば良いけれども、今の一帯一路は問題が多いものだから、それに協力することが前提にあるのではなくて、一帯一路が連結性を高めるために良いものになるように、そのコンセプトの中で形成されるインフラが質の高いものになるようにと、そちらの軸から対抗をする。そういう問題あるものの出番を小さくしていこうというイニシアティブだと御理解いただければありがたいと思います。
 それから、2点目の外為特会の用途の拡大ではないか、今まで言ってきたこととの整合性をどう考えるかというポイントについてですけれども、これまで、円高、それからM&Aを対象にしたようなJBICのファシリティで、それぞれ時限的に外為特会を財源として使うという立て付けで取り組んできておりまして、円高については期限が切れて失効しておりますし、それからM&Aなどを対象にする現行のファシリティというのはこの6月末で期限が切れまして、それは延長いたしません。したがって、7月1日から今回のファシリティがそれを置き換えるような形になっておりまして、そういう意味では追加的に外為特会の使途が拡大していくということではないというのが1点です。
 2点目として、外為特会は何にでも使えるとか、埋蔵金として例えば公共事業の財源にならないかという議論があったのは、先生御指摘の通りで、私どもも重々承知しておりますが、外為特会というのはおっしゃられたとおりで、為替相場の安定のために使うというのが目的規定としてございますので、為替相場の安定のためでないと使えません。
 今回のJBICのファシリティというのは、インフラで大量に市場でドル資金を調達することになったときに、インフラ資金のニーズが膨大なので、資金調達のやりようによってはマーケットが荒れるようなポテンシャルなリスクがあるということで、為替相場の安定に資するという目的にかなった形で外為特会の資金を原資として使えるとの考えに基づくものです。
 これはあくまでローンですので、JBICからプロジェクトに貸付けがなされて、結果的にはJBICが借り手として外為特会に返済します。こういう資金ですので、介入原資がそのまま使われて無くなってしまうというものではないという点があります。
 それからもう1点、補完的な原資協力で最大2分の1と書いてありますけれども、これが量的な意味では歯止めになっていると考えております。これまでやってきたことの整合性という意味では、政策目的がシフトしていくときに、外為特会を為替相場の安定という特会の目的にかなう限りにおいて、新しい政策目的のための一時的な財源として活用していくということで御理解いただければと思います。

 

○武内国際局長 遅れて参りまして、申し訳ございませんでした。フランスの出張から帰ってきたばかりでございます。フランスではパリクラブの会議に出ておりましたが、そこでもまさに日本は一帯一路についてどうするのか、今までよりもスタンスが変わっているのではないかという質問をいただいたのですけれども、私のほうからは、一帯一路に限らず、インフラに対する需要が高く、それに対するfinancing gapがあることも事実であり、それを埋めるために様々な工夫がなされなければいけない。一帯一路もそのコンテクストの中で捉えられるべきであってそういう意味でいけば、趣旨としては分かる、と答えました。
 そこから先は、これまでと最近とでニュアンスを微妙に変えているのですが、これまでは、一帯一路の趣旨は良いが、透明性やガバナンスは大丈夫なのか、そういったことについていろいろ指摘するという言い方をしていました。
 最近は順番を変えまして、良いものならば協力する用意はあるけど、ガバナンスはきちんとしてもらわなければいけないし、透明性も守らなければいけない。そういった点を個々のケースごとに見た上で、大丈夫ならば協力するのも1つの選択肢としてあるでしょうという言い方をしていまして、同じようなことを言っているのですけれども、少々力点を変えて言っているものですから、180度どころか、90度もスタンスを変えていないつもりではおります。
 加えて、インフラの中でも、日本にとって機微に触れるようなものについてはより慎重に考えますし、環境にやさしいものについては日本の技術が生かせましょうし、もう少し前向きに考えるということで、濃淡をつけながら今後も慎重に臨んでいきたいと思っているところです。

 

○小川分科会長 それでは、奥田委員、お願いします。

 

○奥田委員 フィンテックについてコメントさせていただきます。ここ数年間、私はカンボジアを研究しています。制度インフラが整っていないところではフィンテックの影響力はものすごく大きくて、日本のように制度が整っているところと違って、送金にしても、あるいは与信にしても急激にその重要性を増してきているのです。そういう意味では、financial inclusionに対してものすごく大きなインパクトがあるということは確かだと思うのです。
 ただ、その反面で、本来であれば、公的なネットワークがあった上で働くべき私的企業のネットワークが公的なネットワークを代替するというか、何も無いものだからそこのところを埋め合わせるような形で機能するようになっています。どういうことかというと、カンボジアでは例えば農村の公的なネットワークの中核となる農業協同組合が形だけで、実際に機能していない。そういう中でフィンテックが入ってきて個別の農家と直接に取引をしていくと、フィンテックの作ったプラットホームの上に乗らないと何もできないというふうになってしまうのですね。そうすると、financial inclusionには違いないのですけれども、企業の特殊なネットワークにincludeされることになって、私的なネットワークの上に乗らないと何もできないということになってしまいます。
 ですから、確かに制度が無いほどフィンテックの効果は大きいんですが、同時に最低限の公的なネットワークを作っておかないと、そこのところまで私的なものに代替されてしまう。ある意味ではfinancial inclusionが企業のセットメニューみたいになって、全部うちのプラットホームに乗っかっているところと取引してくれないと駄目ですよみたいな仕組みになってしまうんですね。
 逆に言うと、financial inclusionのためにはフィンテックはすごく役に立つのですけれども、一方で公的な最低限のネットワークを同時に浸透させるというか、提供していくということをしないと非常に片手落ちになってしまう。inclusionには違いないのですけれども、支配力を伴ったinclusionになってしまうのですね。それなりにそれは動くのですよ。実は動くからみんな乗るわけですけれども、そうするとある意味では企業による囲い込みが起こってしまって、将来、弊害が出てくる可能性があると思います。
 後先の問題ですから、後からやっても良いのかもしれません。ただ、そういう問題があるので、公的ネットワークへの支援というのは、歪んだfinancial inclusionを防ぐという意味で同時にやっていかなければいけないのかなと思っております。以上がコメントです。

 

○小川分科会長 何かありますか。今のはコメントということでよろしいですか。
 それでは、伊藤委員、お願いします。

 

○伊藤委員 御説明ありがとうございました。私のほうからは、最後の投資の規制に関してちょっとコメントをさせていただきたいと思います。
 資料でいくと27ページあたりですが、諸外国が規制を強化しているから、日本も強化しなければというロジックはあまり良くないと思うので、そこは慎重に考えるべきとは思うのですけれども、現在の規制のあり方とか有効性に関して再検討するということに関しては必要かと思いますし、賛成です。
 特にここでコメントさせていただきたいのは2点ですけれども、1つ目は、規制対象業種を日本は区切っている。今はどんどん技術が進歩していまして、我々が産業や企業のデータを分析していても、非常に産業分類は悩ましいものです。技術の分類と産業の分類というのもかなりは合わないというか、対応が難しいですし、さらにサービスというのはしっかりとした分類もなくて、ここで対象にしているようなざっくりとした産業分類がこういった規制として有効かというのは大いに疑問を持っています。
 そういう意味では、アメリカのようにあらゆるビジネスをコントロールというふうに書いたほうが規制としては有効かなと思います。なので、規制対象業種というところは再検討の余地は大いにあります。ただ、アメリカのように全てコントロールという書き方をした場合、重要になってくるのは事後の介入方式のところだと思います。事後の審査とか介入のときに、いかに客観的な証拠をしっかりと提示できるかというところが大事になってくるかと思います。
 日本の場合、事後の介入方式を昨年導入したということですけれども、実際今どれぐらいそういった介入や審査をしているのかというのがよく分からないのですけれども、日本は、例えばどの企業がどの国に何を輸出しているかとか、どの企業がどの国から何を輸入しているかというデータが無いというか、分析に使える状態ではありません。ほとんどそれは日本で分析されていないのです。
 また、ヨーロッパなんかではインボイスの情報を使って、どの企業とどの企業が取引をどれぐらいしているかという情報も最近研究にも使われるようになってきているのですが、日本の場合はそもそもインボイスのデータがありませんので、そういった企業の取引関係であったり、また、どういうものを作って、どういうところに売っているかという情報がほとんど分析できない状態でして、そういった統計整理も含めて、事後の審査、評価といったものをしっかりとできるような体制を整えていくというのは非常に大事であると思います。
 ですので、規制を強化したり、また技術の流出ですとか、安全保障に対して注意するということは非常に重要で賛成なのですけれども、単なる規制の強化ではなくて、いかに事後的に客観的な形で審査、評価、監督できるかというところをしっかり留意していく必要があると思います。コメントですが、以上です。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。何かよろしいですか。

 

○武内局長 ありがとうございます。先ほどの奥田委員の御指摘はなるほどと思いまして、いきなり物事が始まって民間が枠組みを提供したときに、民間のほうに依存し過ぎることに対し、民間の枠組みに事後に公的な部門がどこまで規制できるのかというのはすごく難しい問題になろうと思いますので、少し留意しなければいけないし、そういうことだからといって、公的部門からのアシスタンスを緩めてはいけないという御指摘はよくわかりました。ありがとうございます。
 それから、伊藤先生は、ざっくりした産業分類では無理があるのではないかというのはおっしゃるとおりで、他方で、現在の外為法の規制は、各省庁別にこの業種はこの省庁が見る、それはこの省庁が一番データが集まるからだということでやっているわけです。他方で御案内のように、まだ規制対象としていない業種においても、実は機微な情報を有している業種はあり得るわけで、それらをどう網羅するかというのは非常に大事かと思います。
 事後的な介入制度を入れることによってけん制効果になりますけれども、実際にどうそれを発動するのかということに当たっては、訴えられたときにきちんと争わなければいけませんから、データをきちんとそろえなければいけません。そこら辺は今後の改正作業の中で、何ができるのかというのはきちんと詰めていく必要があると思っております。御指摘ありがとうございました。

 

○小川分科会長 それでは、相澤委員、お願いします。

 

○相澤委員 現在の世界で、軍事を含む安全保障と貿易が関連付けられてきている点が、これまでとトレンドが違ってきているのではないかと思います。軍事を含む安全保障と貿易の自由化をどう考えるかということに十分留意する必要があります。
 それから、欧州にとっての安全保障と日本にとっての安全保障というのは、東シナ海問題とウクライナ問題が象徴的ですが、違う問題ですので、先進国の間でも難しい問題ではないかと思います。関連して、投資規制というのが、日本国の存立に関わる問題であるという点を申し上げたいと思います。
 それから、フィンテックにつきましては、技術発展が非常に激しいということと、プライベートセクターのリスクの社会的影響に留意する必要があります。コンピュータサイエンスで安全なものはありますかというのは、しょせん程度問題なので、決済がフィンテックに移るということになると、新たな安全の問題に直面すると思います。
 技術発展で、10年前に安全と言われた暗号は、今では安全とは言えません。その点も含めて、技術進展に合わせた柔軟なシステムを考えていかないと、仕組みができたときにはもう時代遅れですということになるおそれがありますから、その点を御留意いただければと思います。

 

○武内局長 相澤委員、ありがとうございます。日本の外為法の規制はどうなっているのかと諸外国から聞かれたとき、彼らの質問の背景には、委員がおっしゃられた軍事的な安保の観点からも大丈夫なのかということもありますので、そういう意味では、非常に込み入った時代に入ってきているなと私どもも実感しております。
 それから、フィンテックはイタチごっこです。その中で、公的部門がどれぐらい本当にexpertismを持ってできるのかというのは非常に私ども自身も懸念を持っている中で、アウトソースみたいなものをどういうところにしたら適当なのかということも含めて、これもまた解が無い御指摘ですけれども、肝に銘じたいと思ってございます。ありがとうございます。

 

○小川分科会長 亀坂委員、お願いします。

 

○亀坂委員 私の関心は、多分金融技術革新の活用とアジアの経済金融市場の発展というところが中心だと思うのですけれども、スライドで言うと20ページ、21ページに集中していますが、AIとかビッグデータ、AIによる株式市場の売買とか、あるいは株価の急落とか、分散型台帳技術の急速な発展とか、そういうのは非常に気になりますし、専門家としても質問を受けることもあるんですけれども、これは個人で勉強しても全然追いつかなくて、理系の方である程度こういった技術をお持ちの方に共同研究しないかと言われても、向こうは金融のことを全然分からなくて、こっちは向こうの技術のことをどう生かせるのか、どうプログラミングできるのかというのが分からなくて、個人で勉強しても非常に限界を感じております。その一方で、中国とかでは研究者の集団がどんどん新しい技術を開発したり、ビットコインのマイニングをしたりしているのが非常に気になっております。
 ですので、まずは日本でインフラ投資も重要でしょうけれども、こういった新しい技術についていく勉強会なり、民間金融機関の研究開発の後押しとか、政府を挙げて、国を挙げてこういった新しい技術をどんどん開発していくというような取組が必要なんじゃないかと常々感じております。ですから、政府として、日本が金融技術の大国で、しかもアジアでリードを続けるためには、政府の大きなバックアップが頂けたらいいのではないかなと最近感じております。
 ここに挙げていただいた個別のテーマについても気になることが多々ありまして、例えばですけれども、学生から去年から質問が多いのは圧倒的にビットコインなのですね。ビットコインは中国と日本で最も取引されているので、国際的に協調して課税をしなくてはいけないので、G20とかでもビットコインへの課税というものを中国も含めて話し合っていただいたりするということが重要なんじゃないかと思います。例えば日本で音頭をとっていたOECDのBEPSプロジェクトのような、日本がリードするような形での国際課税とか、そういったものを検討されないのかなと思ったりしています。
 あと、デジタル教育とか、あるいはフィンテックですけれども、もちろん海外のことも重要でしょうが、日本の成人年齢の引下げの18歳成人とかも気になっておりまして、大学で学生を教えていると、本当にビットコインの値段が上がり始めると学生は夢中になって、それですぐ投資をしたりして、あとは消費者教育、金融リテラシー教育も非常にOECDでも力を入れていると思うのですけれども、その一環として消費者教育というものを日本なりにオリジナルの観点も考えて取り入れるとか。
 あと、ビットコインは、最近、自分の学生だけかと思ったら、親とかも近所の御老人に聞いて、ビットコインはどうやって投資するのとか聞いてきたりして、海外の人もそうなのでしょうけど、日本の高齢者の金融教育とか、デジタル教育とか、あるいはビットコインとか、金融商品とか、新しいものが出てきたときの教育の強化といったものも是非御議論いただきたいと思っています。
 ただ、気になることがものすごくたくさんありますので、是非民間金融機関の取組とか、あとは学者も含めてでも良いのでしょうけれども、本当に政府全体で新しい金融技術とか、日本の金融機関が世界で、あるいはアジアでリード的な立場、フロントランナーであり続けるためには、是非政府の後押しが必要なのではないかなと感じております。

 

○武内局長 ありがとうございます。政府を挙げてのサイバー関係での支援については、安倍政権のもとでそれはそれとして進めていて、いろいろ委員会も立ち上げているのだと思います。ただ、そこで私どもの関係のものがどこまで織り込まれているかというのはきちんとフォローしていなかったので、フォローしていく必要があるかと思っています。
 ビットコインについては、これもどちらかというと金融庁のほうで今やっていますけれども、G20で議論をする時にも、日本はその一歩先を行っていて、交換業者を登録しなければいけない。そして、法律を改正して、交換業者がお客さんを募る時にはお客さんの本人確認等々をきちんとしなければいけないということをやっているわけです。
 それで、今のところ日本だけがそういうことをしているのですけれども、日本が一生懸命そういうことをしていても、ほかのところで買われた時には取り漏れてしまいます。その結果として、マネーロンダリングとか、テロ資金に使われてしまいます。そういう問題意識から、ほかの国もそういうことをするべきだと呼びかけているところです。そういうことが整えば、課税についてもきちんと情報交換しながらできると思うので、その先の問題意識として持っていなければいけないと思っています。
 それから、デジタル教育の話は、これも我々財務省のほうで租税教育を実施しているのと同じように、金融面でのリテラシーの教育については十分していかなければいけないと思っていますし、それは金融庁が常日頃からしていると思うので、今の御指摘も金融庁にお伝えしたいと思います。

 

○小川分科会長 私から1つだけコメントをさせていただきます。11ページのJBICの新しいファシリティの件ですが、少々気になっているのが、国際開発金融機関と協調してという部分も入っているということなんですが、できれば日本あるいはJBICがイニシアティブをとって、こういうものを進めていただきたいと思っています。国際開発金融機関が作ったものに乗ることは簡単だと思うんですが、それだとなかなか日本の色が出てこないと思いますので、JBICあるいは日本がイニシアティブをとっていただきたいと思っております。これはコメントです。
 それでは、お時間の関係もありますので、次の議題、「経常収支の構造変化」につきまして、緒方為替市場課長より御報告をお願いします。

 

○緒方国際局為替市場課長 ありがとうございます。為替市場課長の緒方でございます。
 それでは、お手元に資料3と書かれています「経常収支の構造変化」に基づきまして、御説明させていただきたいと思います。
 きょう、このお話をさせていいただきます背景としましては、クロスボーダー取引に関するいろいろな諸課題を議論していくに当たって、その前提としてクロスボーダー取引の現状を押さえておくのは有益だろうということで、その観点から中長期的な視点でクロスボーダー取引の状況を眺めてみますと、どうも大きな構造変化があるようだということで、そのような大きな構造変化を我々として分析しましたので、「経常収支の構造変化」ということで、経常収支を中心にお話をさせていただければと思っております。
 経常収支を中心としますけれども、当然その裏には金融収支、特に直接投資等の投資活動も重要でございますので、そういった投資活動についても若干補足的にお話をさせていただければと考えております。
 冒頭、岡村次長のほうから、進行中の事柄で重要なものについて我々の問題意識をお話しして、先生方にインプットいただき今後の糧としたいと申し上げましたけれども、こちらの「経常収支の構造変化」につきましても、我々の分析を一旦御紹介させていただきますけれども、今後もこの分析を深めて政策判断のベースとしていきたいと思っておりますので、ぜひ皆様の御知見を頂きまして、より良い分析とさせていただければと考えております。よろしくお願いいたします。
 それでは、おめくりいただきまして、3ページでございます。経常収支の構造変化の全体像をこちらでお示ししております。グラフで書かれていますように、長い目で見て構造変化をビジュアルにプロットしておりますが、大きく3つの構造変化の柱を抽出してございます。
 1点目は、グラフの中の青で書かれているバーは、貿易収支でございます。貿易収支は御承知のように、80年代、90年代、貿易立国と盛んに言われていたころは、御覧いただきますように、経常収支のほとんどの部分を貿易黒字が稼いでいるという状況で、まさに貿易立国であったわけですけれども、これがだんだんと比重が変化してまいりまして、足元直近のところを御覧いただくと、貿易の青の部分は量が小さくなっているとともに、上へ行ったり下へ行ったり、赤字の部分が出てきたりといった形になっている。傾向的には黒字拡大が抑制されているような状況になっているのではないか。これが1つ目の構造変化の柱でございます。
 2つ目の柱、黄色い棒グラフのところは第一次所得収支でございます。この収支項目がずっと黒字を続けておるわけですけれども、黒字幅がどんどん拡大して安定化して、規模的にも貿易収支の変動を吸収できるぐらいの規模になってきています。現時点では経常収支のほとんどを第一次所得収支が説明しているという状況になっておりますので、これを貿易立国と対比すれば、現在は貿易立国というよりは投資立国になっているという状況でございます。これが2つ目の柱でございます。
 3つ目の構造変化としましては、赤字側、下側にプロットしておりますピンクの部分ですが、こちらはサービス収支でございまして、構造的に赤字が続いておりましたけれども、少しずつこの赤字幅が縮小してきております。そろそろ黒字転換も視野に入っているかという状況になっておりまして、こちらも大きな構造変化の3つ目の柱と考えてございます。
 このような3つの経常収支の構造変化について、これから個々の項目を細かく分析させていただきたいと思います。
 まず、青い部分の貿易収支のところですが、おめくりいただく前にもう一度全体のところ、青い部分のバーを御覧いただいて、2011年3月のところに大震災と書いてございますけれども、大震災の後に青いバーが下に行って赤字が何年か続いて、最近ようやく水面上に浮上して黒字に戻っているという構造になってございます。
 このような状況をしておりますので、多くの分析が、実は我々もかつて同じことを言っていたのですが、震災の影響があって、特に原発を止めた影響もありまして、エネルギー輸入が増大して、これが赤字要因になっているという分析が多うございます。この点、我々の問題意識としても、実際にそういうことが起きているのか。そうであれば、将来に向けてどういう貿易収支構造になっているのか、というのが大きな分析の視点でございます。
 この部分を御留意いただいて、おめくりいただきまして、貿易収支の分析でございますが、上の4ページ目が輸入、下の5ページ目が輸出でございますけれども、まず輸入側でございます。
 左上のパネル、図1のところで輸入金額の要因分解と出てございますが、これは何をしたかと申しますと、2010年の値を100として指数化しまして、前年からの変化分を3つの要因に分解してございます。輸入の数量の要因、輸入の価格の要因、為替の要因、この3つに分解をして、前年からの変化分をプロットしてございます。
 ここで御覧いただきますと、まず数量の部分、一番濃いオレンジ色でございますけれども、これはほとんどゼロの部分にへばりついて上下しているような状態で、実は数量変化というのは、前年からの変化分の全体から見ますとそれほど大きな要素を占めていない。一方で、もう少し薄いオレンジの部分は輸入価格の変動ですけれども、これは輸入価格が変わると上にも下にも大きく変動するという形になってございます。
 もう一つ大きな変動要因が為替でございます。御留意いただきたいのは、為替で変動していますのは、輸入量が変化してございませんので、実際同じ輸入量であったとしても、為替が動くと輸入金額が変わるという意味においての為替要因でございます。ですので、輸入金額に大きな影響を与えているのは、実は輸入数量の変化ではなくて、輸入価格と為替の価格要因であるということがこれで見て取れます。
 震災後原発が停止した影響、エネルギーの需要が高まったということで輸入が増え、それが貿易収支の赤字要因であったというのは、後から中期的に眺めてみると実は正しい説明ではなかったということになろうかと思います。
 それをもう少し正確に見たのが図2と図3でございます。輸入金額のうちの鉱物性燃料輸入の部分について同じように要因分解をしてみますと、鉱物性燃料の輸入についても、量の部分、濃いオレンジ色の部分につきましてはほとんど変化をしていない。大きくぶれている部分は輸入価格の変化、それから少し小さ目に為替の変化、これが鉱物性燃料輸入金額の変化を引っ張っているということで、実は大きく赤字に振れていったり、黒字に戻ったりしているのは、鉱物性燃料の価格の変動で振らされているということが見て取れると思います。
 これを数量変化で見てみたのが図3の折れ線で書かれているところですが、鉱物性燃料は、下で実額の変化をプロットしてございますけれども、鉱物性燃料といっても、構成は中身が原粗油だったり、天然ガスだったり、その構成は変化しておりますので、なかなか一体的に指数化するのは難しいのですけれども、あえて指数化してみますとこの折れ線グラフのようになるわけです。
 2011年から今に至ってみても、大きく見ればフラットで、どちらかというと数量指数が下がっているぐらいの状況になっているということで、エネルギー輸入が量として増えたので赤字になっているということではありません。数量変化より価格変化のほうが非常に大きな影響をもたらしているということが見て取れるかと思います。
 輸入のほうは、こういった形で輸入数量はなかなか変化をせずに、価格変化で影響を受けるということになっておりますが、輸出のほうはどうかといいますと、5ページでございますけれども、同じように要因分解をしてみますと、輸出のほうも実は数量の変化というのはそれほど大きくはない。輸入に比べますと数量変化は大きいですけれども、全体の変化の中に占める割合からすると、それほど大きくはない。やはり価格要因も大きいですし、特に為替の要因が大きくなってございます。
 輸入のところで申し上げましたけれども、為替の要因といいますのは、為替によって輸出量が増えたり減ったりするという意味ではございませんで、同じ数量であった場合に、為替が変化すると円建ての換算額が変化し、輸出額が変化するという意味において、大きく変化しているということでございます。ですので、円安になりますと、輸出企業の収益は上がる、収入が上がるということは輸出額が増えるということになりますけれども、数量的にはそんなに動いておりません。
 どうしてこういうことになっているのかということを我々なりに少し掘り下げてみますと、図5と図6にありますが、一つ顕著な構造変化としましては、海外の現地生産比率が非常に高まってきています。今までは日本で生産して輸出をしていたものが、海外の消費地に近いところで現地生産をするようになってきています。
 現地生産が進むと何が起きるかといいますと、これはイメージですけれども、3つ目の丸のところに書いてございますが、最初は日本で作っていたものが海外の生産に移りますと、輸出誘発が起きると考えています。
 これは何かといいますと、日本の生産拠点で使っていた部品等の入力部分が、海外で生産を始めてもいきなりそこでは調達ができないので、結局日本から部品を輸出していくことになります。そうすると、外に生産拠点が移ると輸出も誘発されて、それにつれて増加するフェーズがあろうかと思います。だんだんと現地生産が進化していきますと、部品やその他の入力について現地で調達できるようになると、日本からの輸出が減って、結果的に現地で全てが完結するようになります。今まで日本から輸出していたものが現地の生産に代わるという意味で、輸出代替と呼んでございます。
 この関係をビジュアルに示したのが図6です。これもイメージ的なものでございますけれども、海外現地法人、現地の製造業の売上高を赤でプロットして、日本からの名目輸出を青でプロットしてございます。リーマンショックの前、2008年の前は赤の線と青の線が大体同じように動いてございます。これは、海外現地の売上高が高まっていくにつれて日本からの輸出も増えていますので、輸出誘発が起きているのではないかと考えてございます。一方で、より足元になりますと、赤の線と青の線が大分乖離しておりますので、この部分については、今まで日本からの輸出で誘発されていたものが現地の生産に代替されていくということで、この両者が乖離しているといった変化が進んでいるのではないかと考えてございます。
 おめくりいただきまして、6ページ目でございますけれども、先ほど為替のところで、量は変わらないけれども円建ての換算時の金額は変わるという御説明をさせていただきましたけれども、足元で為替が変化することで輸出数量は動いていないのかを見たものでございます。
 左下の図を御覧いただきますと、緑色の線が実質実効為替レートでございますが、2010年代、実質実効レートベースでは円安方向に大きく変化をしております。一方で、青い線でプロットしていますのが、対世界の輸出数量指数になってございます。こちらのほうは2010年代にはほとんどフラットになってございます。そうしますと、為替レートが大分円安の方向に振れているのに、数量は全く動かないといった状態になってございます。
 そういうことが現実に起きているわけですが、どうしてそういうことになっているのかというのを少し考えてみたのが、本文のほうに書いてございます。1つは、先ほども御説明しましたけれども、本邦企業の生産拠点の海外移転が進む中で、現地調達率が上昇しております。一般的に申し上げると、よりグローバル・サプライチェーンの中に企業が組み込まれていきますと、なかなか一部の二国間の為替変動だけでそこの部分の輸出数量は変化しません。サプライチェーン全体の中のビジネスモデル全体の中で、グループ全体の適切な量がやりとりされるということで、なかなか一部分の為替には感応しなくなるということがあろうかと思います。これが1点目でございます。
 2点目ですけれども、これは外国の最終消費地に近いところで現地生産が起きていると申し上げましたが、最終消費地であるマーケットを見ると、一部の輸入部分、現地で見たところの輸入価格が動いたからといって、なかなか最終販売価格を自由に上下させられるような状況にありません。例えば日本の自動車メーカーがアメリカの市場で車を売ったときに、円安、円高になったからといってアメリカの販売価格が自由に上下できるわけではありません。やはりその市場で適切な価格が決まっていて、その中で企業が活動していますので、なかなか為替の変動によって輸出が増えるということにはなりません。
 3点目は、2つ目の丸のところで書いてございますけれども、セクターによっていろいろ違いますけれども、一部の製品につきましては国際競争力がそもそも低下してきております。国際競争力が失われて生産自体が減少してきていると、事後、為替が円安のほうに傾いたとしても、それでそのセクターが回復するわけではありません。
 より平たく申し上げれば、輸出の数量が価格の競争力というよりかは質的な競争力に依存して数量が上下しているのではないか。要するに、競争力があれば高くても売れますし、無ければ安くても売れないということが起きると、当然為替には反応せず、より大きな競争力に感応していくということが起きているのではないかと分析しております。
 個別の品目はセクターごと、各社ごとに違いますけれども、個別に見てみましたのが右下の図9でございます。各品目の国内生産を見ていくと、ずっとフラットになっているものもありますし、生産が下がってきてしまっているものもあり、恐らく競争力が下がっているものが見て取れます。生産が下がっている、競争力が失われてしまったかもしれないものについては、為替が安くなろうが輸出が増えるようなことはないだろうということで、こういった競争力によって代替されていくことで、為替感応度が低くなっているということもあるだろうという、この3点が恐らく背景にあるのではないかと分析してございます。
 以上が貿易収支の状況でございまして、まとめますと、輸入は輸入数量がそんなに大きくぶれない中で、価格によって大きく振らされます。輸出については、海外現地生産が進展する等によって、なかなか輸出が拡大しにくい状態になっているということで、貿易収支全体で見ますと、貿易黒字がそんなに急激に伸びていくという状況にはなくて、輸入価格、特にエネルギー価格によって赤字になったり黒字になったりということを続けることになるのではないかと考えてございます。
 では、経常収支全体で貿易収支が稼げなくなった部分がどうなっているのかというと、次の7ページ目のところでございますが、第一次所得収支は、貿易収支の黒字を置き換える形で黒字構造がより安定化して、貿易収支の変動を吸"収できる規模が定着しております。
 規模感をまず御覧いただきますと、第一次所得収支は直近で大体20兆円ほどございまして、過去の貿易赤字の最大の部分が10兆円程度でございますので、非常に大きくぶれて赤字になったとしても、その2倍程度を第一次所得収支が足元で稼ぎ出しているという規模感になってございます。
 第一次所得収支の構造的なところを御覧いただきますと、左下の図10でございますけれども、青い部分が証券投資、オレンジの部分が直接投資になってございます。90年代、2000年代ぐらいを御覧いただきますと、第一次所得収支の多くは証券投資が稼いでいるという状態でございましたが、足元に向けてどんどんオレンジの部分が増えてございまして、現時点では直接投資収益が半分ぐらいを占めるという状態になっています。
 これは何が起きているかと我々なりに解釈をしますと、先ほどの貿易、輸出のところで申し上げましたグローバル・サプライチェーンの中でのビジネスモデルの変化に従って、現地生産がどんどん増えていく。そうすると、日本企業グループの現地生産により、海外子会社が現地で稼ぐようになります。
 日本で日本企業が輸出している代わりに海外子会社が現地生産をして売上げを伸ばして稼ぐと、その収益は直接投資収益ということで日本の親会社に記録されることになっていますので、先ほどの貿易収支の構造変化と表裏をなしたところで直接投資収益が動いているのではないかと考えてございます。
 この点を製造業の収益構造の変化ということで分析してみたものが図11でございますが、国際収支統計と法人企業統計を使って、製造業の収益がどこから来ているのかというのを、ざっくり貿易による収益と直投で稼いでいる部分、第一次所得収支で得ている部分をプロットしたものですけれども、以前は青い部分、貿易による収益が多くを占めていました。
 ところが、近年になってきますと、青い部分はそれほど増えずに、オレンジ色の部分、第一次所得収支の部分が増えてきているということで、製造業というセクターで見ても、やはり貿易立国というか、貿易で稼ぐ構造から、投資で稼ぐ、海外子会社が稼いで、所得収支のほうに上がってくる構造になっているということが確認できるかと思います。
 それから、おめくりいただきまして8ページ目ですけれども、3つ目の柱、サービス収支でございます。サービス収支は赤字幅を縮小して、黒字転換も視野に入ってきていると申し上げましたが、この動きをけん引しているものが2つございます。
 左下の図13を御覧いただきますと、伸びてきている部分、サービス収支全体は黒の折れ線になってございますけれども、黒の折れ線がだんだんゼロに近づいて、黒字に近づいてきています。これをけん引していますのは、1つ目は黄色の部分の旅行収支でございます。旅行収支が大きく改善して今は黒字になってございますけれども、これがサービス収支全体を底上げしています。もう1つは上のほう、緑の斜線で書いてございます知的財産等使用料、こちらのネットの受取が増えていますので、これもサービス収支の黒字化に大きく貢献しています。
 旅行収支のほうは赤の折れ線でプロットしてございますが、これが訪日外客数でございます。足元で大体2,800万、3,000万人弱ぐらいの訪日外客数がございまして、これに伴って旅行収支が大きく増えています。
 それから、知財のほうですけれども、図14を御覧いただきますと、特に産業財産権使用料のネット受取が大きく増加しておりまして、これがサービス収支の赤字幅縮小に大きく貢献しています。こちらも全体ではないかもしれませんが、先ほどのビジネスモデルの変化に連動している部分があると考えております。
 どういうことかといいますと、海外子会社が海外で生産をしますと、そのときの生産ノウハウとか特許とかというものは、実は日本の親会社が保有し続けていることが多いのです。そうしますと、生産拠点が海外に移りますけれども、所得として戻ってくることに加えて、産業財産権使用料という形でも所得が日本に戻ってきており、それがサービス収支に貢献していると考えてございます。
 以上、経常収支の構造変化をざっと3本柱で御覧いただきましたけれども、このような経済収支の構造変化の裏側には当然金融収支がございまして、中でも直投や証券投資といったものがございますので、そちらのほうについても簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 まず9ページでございますが、こちらはストックの投資残高でございます。今まで御紹介しました経常収支は御承知のようにフローの数字でございますけれども、9ページのほうは、その結果として海外にどれだけ資産がたまってきているかというものを見たものでございます。
 青い線が対外資産、赤い線が対外負債、外から日本に投資をしてきているというもので、ネットの部分が黒い棒グラフになってございますが、高い数字で安定しているというものでございます。
 どのくらい高いかということを御覧いただくために、10ページを御覧いただきますと、国際比較をしてございますが、日本は圧倒的な対外純資産国でございまして、27年連続して世界最大の純資産国になっているということでございます。
 もう1つ特徴的なのは3つ目の丸、グラフで言いますと青い線ですが、米国は90年代前半以降継続して債務国で、圧倒的な対外純負債残高を拡大しております。日本とアメリカが両極にございます。
 その中で対外純資産を積み上げているトップ5が日本、ドイツ、中国、香港、ノルウェーということになっていますが、ここで若干御注目いただきたいのは、2006年から2016年までの間は中国がネットで2位でございました。これが2017年にドイツに抜かれて3位に転落しているわけですけれども、棒グラフで御覧いただいても、ドイツが順調に上に向かっているのに比べて、中国が若干下に向かっています。
 これは何が起きているのかというのを我々なりに見てみますと、2017年はいろいろなことが起きましたけれども、1つは中国で資本流出の規制が非常に強化された年でありました。特に、先ほど一帯一路が話題になっていましたけれども、中国は資本流出を懸念する中で、彼らは通達等の規制を出しまして、資本流出、対外投資を奨励するものと、制限するものと、禁止するものに分離して通達を出してございます。
 奨励するもののトップバッターは当然一帯一路でございまして、一帯一路関係の投資であればどうぞ出てくださいと。それから、制限するものの主なものを挙げますと、ホテルとか娯楽とかといったものですけれども、そういったものは是々非々でしましょうと。それから賭博とか軍事関係が起因するようなものについては禁止で、これは絶対してはいけないというように、資本流出を個々に中身を見て絞るということを強化したのが2017年で、これが一定程度流出面では効いているのではないかと思います。
 他方で、中国に対する資本流入のところは、御承知のようにボンドコネクトですとか、ストックコネクトですとか、どんどん資本が入ってくるほうについては開放を進めていますので、資本は順調に中国に入ってきております。ということで、入るほうは順調で、出るほうを規制しているので、純資産の増加ペースに急ブレーキがかかったと考えてございます。その結果として、純資産残高は長年2位を保っていたのがドイツに抜かれて3位になったということでございます。
 それから、11ページ以降は、このような貿易とか投資の関係について現代的に少し捉え直してみました。より端的に言いますと、トランプ政権が貿易赤字削減ということで、そこに非常に強いフォーカスを置いてきていますので、頭の体操として、貿易赤字だけに着目するのがどれだけバランスを失した議論になるのかを示そうとして、いろいろ工夫してみているものでございます。
 11ページの図は非常に簡略化したものでございますけれども、直近10年間の貿易赤字のオレンジの部分と、直接投資の濃い青の部分、それから証券投資、ポートフォリオ・インベストメントの薄い青の部分をプロットしたものでございます。日本と中国を比べてみますと、日本はアメリカから見た貿易赤字が少しありますけれども、これと同じぐらい直接投資、証券投資でアメリカに資金を戻しています。黄色の点が真ん中につけてありますけれども、これが貿易バランスと直投証券投資をネットアウトした部分でございますが、直近10年間を見ますと、貿易で日本に資金が流出しているのと同等のものがアメリカに投資の形で還流しています。
 一方で中国を御覧いただきますと、オレンジが巨大であるということに加えて、投資で戻っている部分が相対的に少なくなっていますので、黄色の点が非常に左側のほうに寄っているということで、ネットで見ても中国のほうに資金が大きく流出しているということでございます。
 これをもう少し細かく見たのが12ページからの図でございますが、まず直接投資と貿易の関係を見てみますと、アメリカが貿易赤字になっている最大の4か国、日本とドイツとメキシコと中国を並べたものですけれども、この4か国の中で日本だけが顕著に貿易赤字と同じぐらいの規模の直接投資をアメリカに対してしています。
 なので、貿易赤字と直接投資をネットにしますと、折れ線グラフのところですが、それほどひどいアメリカからの資金流出にはなっていません。ドイツも多少相殺されているわけですけれども、日本ほどではございませんし、メキシコとか中国に至っては、貿易赤字に比べると投資は非常に少ない形になっていることが見て取れるかと思います。
 13ページは、今度は直接投資について、双方向性がどのくらい起きているのか。トランプ政権は、reciprocalということを貿易の文脈で言っていますけれども、直接投資の規模は、この4か国で見ますと、アメリカに対する直接投資は日本が圧倒的に最大になっています。
 一方で、アメリカから来ている投資はどのくらいあるかといいますと、日本はほかの4か国に比べるとそれなりに来てはいますけれども、日本からアメリカに行っている直接投資に比べると非常に小さいということです。アメリカに投資している、行くほうは最大ですけれども、来るほうは相対的にとても小さいということで、双方向のバランスが崩れた状態になっています。
 最後に14ページ、証券投資を御覧いただきますと、日本と中国が非常に大きく出ております。証券投資は、先ほど申しそびれましたけれども、御留意いただきたいのは、今までの直接投資は、隔年で出ていましたのはフローの直接投資ですけれども、証券投資のほうはそのストックで見てございます。
 どうしてそういうことをしているかといいますと、証券投資は、足元の金融市場動向等々によってフローの部分が結構大きくぶれます。しかも、貿易収支との関係で見ている投資というのは、やはり長期的、安定的にどれだけ投資が行われているかが重要だろうということで、証券投資のほうはより安定的、長期的なものを抽出するということで、ストックで見てございます。
 日本は、ストックの投資は非常に増加していますし、安定的に高位で推移しています。中国も同じぐらいあるといえばあるのですけれども、貿易赤字が日本の今や5倍ぐらいの額になっていますので、それに比べると相対的には非常に小さい形になっています。ほかの国に至っては、証券投資の規模は非常に小さいということです。
 全体として見ますと、貿易だけで見ると全然見えなかったものが、投資も合わせてみると大きく違う世界が見えてきます。特にアメリカが貿易赤字を積んでいるほかの国と比べると、日本は非常に多くのものを投資の形で戻しているという構造が見て取れるかと考えております。
 少々長くなってしまいましたが、私からは以上でございます。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、お時間も限られていますので、御質問、御意見のある方はまずまとめてお受けして、それでお答えをいただきたいと思いますが、御質問、御意見がある方はよろしくお願いいたします。それでは、相澤委員、お願いします。

 

○相澤委員 産業構造が変わって、投資収益が大きくなってきているということですが、投資保護協定の重要性がまだまだ日本では認識されていないのではないかと思います。そして、知的財産も投資財産として各国で十分に保護されるように御努力いただきたいと思います。

 

○小川分科会長 では、伊藤委員、お願いします。

 

○伊藤委員 アメリカの経常収支のお話で少しコメントさせていただきたいのですけれども、この収支を詳しく分析されているということで、この資料自体は非常に有用で参考になったのですが、収支も大事なのですけど、経済活動を考えた場合に、フローの輸出と輸入の大きさ、規模というのも結構重要かと思います。
 例えば、日本とアメリカの貿易やサービスの統計を見たりしますと、日本の貿易の輸出輸入の金額というのは、世界の貿易額の中のシェアで見るとだんだん小さくなってきていて、世界貿易の中に占める日本のプレゼンスは下がってきているという状況です。
 アメリカに関しては、もともとアメリカはサービスが強いわけですが、よりサービス貿易でプレゼンスを高めていて、フローの金額という観点から見ると、アメリカは依然として特にサービスを中心に世界の貿易の一つのハブでございます。
 それに対して、日本のほうがだんだんハブから周辺に移ってきてしまっているという状況で、見方を変えると、個人的には日本のほうが危機的な状況にあって、アメリカは製造業で少々赤字が増えていても、サービスの黒字は増えています。それに対して日本は、サービス赤字は縮小しているというお話がありましたけれども、やはり産業構造の転換という意味で、まだまだ製造業に頼っていたり、サービスの国際競争力が弱いという状況だというところが、私としては問題意識として持っています。
 アメリカが日本の貿易黒字を減らせとか言ってきた場合も、やはり日本から見ると、アメリカのモノの貿易赤字という問題よりは、アメリカはサービスで非常に強いということと、日本の産業構造がまだサービス業への競争力の向上のところに行っていないところに問題意識があるということを考えておくべきかなと思っています。
 以上です。

 

○小川分科会長 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、まとめてお願いいたします。

 

○武内局長 ありがとうございます。今回、外為審を御議論いただく、お諮りする案件についていろいろ案があったのですけれども、私からぜひ経常収支の構造変化について御説明したらどうかと申し上げた背景にはやはりアメリカがありまして、アメリカのロジックは、貿易赤字が問題であり、日本は円安に誘導して、それで貿易で稼いでいてけしからんというような背景があったものですから、今御説明したように、そもそも、為替が多少上に行こうと下に行こうと、輸出入数量は変わっていないですよねということです。
 2つ目には、経常収支黒字を考えたときに、貿易の黒字の割合が非常に下がっていて、第一次所得の黒字が増えています。第一次所得の黒字が増えているのはなぜかといえば、もともと昔、日本が貿易で黒字を出し過ぎているから海外に展開しろと言われて、それで言うことを聞いて海外に展開して、海外に工場を作ったのが今、所得収支の形で戻ってきているのです。
 では、バイラテラルな経常収支を直そうとするときに、貿易の場合には、物を売るのを控えたり、たくさん買うようにしたりすれば良いではないかとトランプは言っているわけですけれども、所得収支について言えば、実際に現地に工場を作って、そこからの上がりが、配当の形であれ何の形であれあるわけですから、そう簡単に増減できないわけですし、それを増減させることは、まさに出た先の国にとっての痛みにもなるわけですね。そういったところを説明するためにも、まず頭の整理をしようということでさせていただいています。
 それから、後半のところで、金の流れとして見たときも、貿易収支で赤だとしても、direct investmentやportfolio investmentで大分金を還流させているから、それほどアメリカから金を吸い上げているわけではないことを説明するための資料を外為審の場でお示ししました。
 なぜお示ししたかというと、ほかにもこういう材料があるじゃないか、ああいう材料があるじゃないかというアイデアをいただければ大変助かると思いますので、そういったことも含めて今回これをテーマにさせていただきました。
 今、伊藤委員のほうから御指摘があって、日本の世界貿易に占める割合は減ってきているのではないのか、日本の経済のプレゼンスを示しているのではないかという御指摘がありましたけれども、ある意味そういうところもあるのですが、他方で、要するに日本国内で作って売ってもうけるというものから、海外でも作って売ってもうけるというふうにギアチェンジといいますか、少しそういう意味ではあり方が変わってきているというところがあると思っています。
 そのことがいみじくも示されているのが7ページの図の11でございまして、製造業の収益構造の変化を見たときに、もはや貿易による収益よりも第一次所得収支による収益のほうが大きくなっているわけですね。ですから、製造業自身が、さきほどもありましたが、薄型テレビやデジカメといった非常に落ち込んでしまった製造業の分野もありますけれども、製造業全体で見たときには海外展開してもうける形になっていますので、貿易額で見たときに限らない、もう少しスパンを広げて見たときに、もう少々違った姿が見えるのかなと思っています。
 他方で、サービス収支の重要性、知的財産の保護の重要性も含めて、これはまさにこれからの日本の飯の種となるわけでありますし、最後のほうで御説明しましたけれども、大分増えてきているわけでございますので、この辺をきちんとこれからも伸ばしていくということが非常に重要であって、そのために必要な保護や何かはしなければいけないのかなと思っているところでございます。以上、感想でございます。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 時間の関係もありますので、本日はこれで議事を終了させていただきたいと思います。
 なお、今回の議事録の作成は私に御一任いただければと思います。その際、発言部分を事前に御覧になりたい委員の方におかれましては、会合終了後にその旨を事務局に御連絡いただくということにいたしまして、御連絡いただきました委員の方には議事録を案の段階で事務局より送付したいと考えております。その後、1週間程度の間に御意見が無い場合には御了解いただいたものとして理解させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

(異議なし)

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 次回の分科会につきましては、事務局と相談の上、御連絡させていただきたいと思います。
 以上で終わりたいと思います。
 本日は、長時間にわたり御出席いただきまして、ありがとうございました。

 

午後5時27分閉会