財務局は新発足以降30年を経過し,それぞれの地域社会において大蔵省の総合出先機関として定着しているところであるが,ここで財務局存在の基本的意義について考えてみよう。
財務局は大蔵本省の出先機関(地方支分部局)である。したがって,その任務は本省で企画,立案された施策をそれぞれの管轄区域で具体的な行政として実施することである。しかし単に本省で決定された意思を地域に伝達する役目だけを持つものではない。すなわち,各地域における所管行政についての情報をは握し,次の政策決定に役立てるべく本省へ報告する重要な任務も持っているのである。本省は政策の企画,立案や毎年度の予算編成をはじめ,全国的規模の金融機関・証券会社の指導監督等を担当し,一方財務局は予算執行状況の調査,地域経済情勢のは握,地域金融機関・地場証券会社の指導監督等,事案がそれぞれの管轄区域に限定されたものを担当するというように,本省と財務局とは車の両輪の役割を担っているといえる。
交通通信手段が高度に発達している現在においては,経済活動は広域化し地域の経済力は拡大している。また,地方財政のウエイトも逐年上昇している等地域社会の重要性はますます増大してきている。このような状況下で大蔵省の施策を迅速かつ的確に実施するとともに,地域経済情勢を的確には握して政策の企画,立案に資する情報収集を行うという機能を果たすところに財務局の存在意義がある。
財務局の事務は,普通財産管理処分等の事務を除いて大部分は直接国民に窓口を開いているものではない。例えば金融機関の指導監督についてみると,金融機関の業務・財産・経理の状況等経営全般について指導や検査を行うことによって間接的に預金者保護を図っているように,国民との関係からみると間接行政であるといえる。証券会社の指導監督を通じた投資者保護の確保,地方公共団体への資金運用部資金の貸付けや公園用地としての国有財産の貸付けを通じた住民福祉の実現等についても同様である。このような間接行政は,ややもすれば国民の意識から遊離した存在となりやすい危険性を有しているので,このようなことにならないよう十分な配意が必要であり,同時に,財務局の果たしている役割について一般国民に対する広報の必要性も生じてくる。
![]() |
| 一日財務局開催風景(昭和54年2月関東財務局) |
基本的に重要なことは,地域における財務局の位置づけを確固たるものにすることである。今後の財務局の在り方を考える場合には,行政機構の簡素合理化という国民的要請に対して,ただ職場に対する愛着や職場の防衛にのみ終始することなく,前述した財務局の基本的存在意義を常に念頭に置きつつ不断の検討と努力を続けていかなければならない。