平成22年度税制改正大綱の概要
平成22年度税制改正大綱の概要
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I.新政権の下、税制全般にわたる改革への取組みに当たっての基本的考え方(税制改革の視点)、新しい税制改正の仕組み、各主要課題の改革の方向性を以下のとおり定める。
税制改革の視点
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○ 納税者の立場に立って「公平・透明・納得」の三原則を常に基本とする
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○ 「支え合い」のために必要な費用を分かち合うという視点を大事にする
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○ 税制と社会保障制度の一体的な改革を推進する
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○ グローバル化に対応できる税制のあり方を考える
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○ 地域主権を確立するための税制を構築する
新しい税制改正の仕組み
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○ これまでの与党と政府の税制調査会の機能を一元化し、政府の責任の下で税制改正の議論を行うため、政治家から構成される「税制調査会」を政府に新しく設置するとともに、税制改正プロセスを透明化する。
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○ 税制における既得権益を一掃するため、国及び地方の政策税制措置について、「基本方針」(「ふるい」)に基づき、今後4年間で、ゼロベースからの見直しを行う。また、租税特別措置等の適用実態を明らかにし、その効果を検証できる仕組みとして、「租特透明化法(仮称)」の制定を目指すとともに、地方税法において、所要の措置を講ずる。
各主要課題の改革の方向性
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○ 納税環境整備
納税者権利憲章(仮称)の制定、国税不服審判所の改革、社会保障・税共通の番号制度導入、歳入庁の設置等について、税制調査会に設置するPT等において検討を行う。
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○ 個人所得課税
所得再分配機能を回復し、所得税の正常化に向け、税率構造の改革、所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当への転換等の改革を推進する。
個人住民税については、今後の所得税における控除整理も踏まえ、控除のあり方について検討を進める。
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○ 法人課税
租税特別措置の抜本的な見直し等により課税ベースが拡大した際には、成長戦略との整合性や企業の国際的な競争力の維持・向上、国際的な協調などを勘案しつつ、法人税率を見直していく。
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○ 国際課税
国際課税を巡る状況等を勘案しつつ、適切な課税・徴収を確保するとともに、企業活動活性化のために税務執行に係るルールを明確化・適正化すべく、必要な方策を検討する。また、租税条約について、ネットワークの迅速な拡充に努める。
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○ 資産課税
格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しについて平成23年度改正を目指す。
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○ 消費税
今後、社会保障制度の抜本改革の検討などと併せて、使途の明確化、逆進性対策、課税の一層の適正化も含め、検討する。
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○ 個別間接税
「グッド減税・バッド課税」の考え方に立ち、健康に配慮した税制や地球規模の課題に対応した税制の検討を進める。
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○ 市民公益税制(寄附税制など)
「新しい公共」の役割が重要性を増していることに鑑み、市民公益税制に係るPTを設置し、改革に向けた検討を進める。
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○ 地域主権の確立に向けた地方税財源のあり方
国と地方の役割分担を踏まえるとともに、地方が自由に使える財源を拡充するという観点から国・地方間の税財源の配分のあり方を見直す。地方消費税の充実など、偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系を構築する。
II.税制全般にわたる改革への取組みの第一歩として、平成22年度税制改正においては、次のとおり各般の税目にわたる所要の措置を一体として講じる。
個人所得課税
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○ 「所得控除から手当へ」等の観点から、子ども手当の創設とあいまって、年少扶養親族(〜15歳)に対する扶養控除(38万円)を廃止する。
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○ 高校の実質無償化に伴い、16〜18歳までの特定扶養親族に対する扶養控除の上乗せ部分(25万円)を廃止する。
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○ 個人住民税については、税体系上の整合性の観点等から、所得税と同様に、年少扶養親族(〜15歳)に対する扶養控除(33万円)及び16〜18歳までの特定扶養親族に対する扶養控除の上乗せ部分(12万円)を廃止する。
法人課税
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○ 100%グループ内の内国法人間で一定の資産の移転を行ったことにより生ずる譲渡損益の計上を繰り延べることとする等、資本に関係する取引等に係る税制の整備を行う。
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○ いわゆる「一人オーナー会社課税制度」(特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度)は廃止。なお、いわゆるオーナー給与に係る課税のあり方について、個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するための抜本的措置を平成23年度改正で講じる。
国際課税
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○ 国外に進出する企業の事業形態の変化等に対応し、租税回避行為を一層的確に防止する観点から、外国子会社合算税制を見直し、一定の資産性所得を新たに合算課税の対象としつつ、いわゆる「トリガー税率」を「20%以下」に引き下げる。
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○ 外国税務当局との情報交換に関し、租税条約や行政取極の締結により情報交換ネットワークを迅速に拡充するとともに、一層効率的かつ円滑に情報交換を実施していくため、外国への情報提供に係る規定を創設する。
資産課税
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○ 住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税措置について、所得制限(2,000万円)を付した上で、非課税限度額(現行500万円)を、平成22年は1,500万円、平成23年は1,000万円に引き上げる。
消費課税
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○ 現行の10年間の暫定税率は廃止する。その上で、原油価格等が安定的に推移していること、地球温暖化対策との関係に留意する必要があること等から、当分の間、現在の税率水準を維持する。
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○ ただし、平成20年度上半期のような原油価格の異常高騰時には本則税率を上回る部分の課税を停止できるような法的措置を講ずる。
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○ 地球温暖化対策のための税については、今回、当分の間として措置される税率の見直しも含め、平成23年度実施に向けた成案を得るべく、更に検討を進める。
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○ 自動車重量税については、グリーン化を行いながら、暫定税率による上乗せ分の国分の約2分の1に相当する規模の税負担の軽減を行う。
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○ たばこ税について、1本あたり3.5円(国・地方それぞれ1.75円)の税率引上げ(価格上昇は5円程度)を行う(平成22年10月1日から適用)。
市民公益税制(寄附税制など)
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○ 認定NPO法人制度について、認定手続と申請書類等の簡素化を行う。
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○ 所得税の寄附金控除の適用下限額を2千円(現行5千円)に引き下げる。
納税環境整備
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○ 脱税犯に係る懲役刑の上限を10年(現行5年)に引き上げる等、罰則(国税関係)を見直す。
租税特別措置の見直し等
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○ 国の政策税制措置(241項目)の3分の1にあたる82項目を見直しの対象とし、うち41項目について廃止又は縮減をする(廃止12、縮減29)。
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○ 地方の政策税制措置(286項目)についても3分の1にあたる90項目を見直しの対象とし、うち57項目について廃止又は縮減をする(廃止47、縮減10)。
租特透明化法(仮称)等
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○ 租税特別措置の適用実態を明らかにし、その効果を検証できる仕組みを構築するため、通常国会に「租特透明化法案(仮称)」を提出する。
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○ 地方税における税負担軽減措置等の適用の実態の透明化を図るとともに、適宜、適切な見直しを推進するため、適用実態を把握し、その結果を国会へ報告する。
