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平成19年度税制改正の要綱(1/5)

平成19年度税制改正の要綱

平成19年1月19日

閣議決定

現下の経済・財政状況等を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、我が国経済の成長基盤を整備する観点から減価償却制度の抜本的見直しを行うとともに、中小企業関係税制、国際課税、組織再編税制・信託税制、金融・証券税制、住宅・土地税制、納税環境整備等について所要の措置を講ずることとし、次のとおり税制改正を行うものとする。

減価償却制度

  • 償却可能限度額及び残存価額の廃止

    • (1)平成19年4月1日以後に取得をする減価償却資産については、償却可能限度額(取得価額の100分の95相当額)及び残存価額を廃止し、耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できることとする。

      定率法を採用する場合の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した数とし、特定事業年度以降は残存年数(耐用年数から経過年数を控除した年数)による均等償却に切り換えて1円まで償却できることとする。この特定事業年度とは、償却中のある事業年度における残存簿価について耐用年数経過時点に1円まで均等償却した場合の減価償却費が定率法により計算した減価償却費を上回ることとなった場合の当該事業年度とする。なお、特定事業年度の判定に資するよう、償却資産の耐用年数に応じた速算表を示すこととする。

    • (2)平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却可能限度額まで償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で1円まで均等償却ができることとする。

  • 法定耐用年数の見直し

    次の3設備について、法定耐用年数を短縮する。

    • (1)フラットパネルディスプレイ製造設備 5年(現行10年)

    • (2)フラットパネル用フィルム材料製造設備 5年(現行10年)

    • (3)半導体用フォトレジスト製造設備 5年(現行8年)

中小企業関係税制

  • 特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税の特例(いわゆるエンジェル税制)の適用期限を2年延長する。

  • (備考)特定中小会社に係る中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等における要件の緩和及び確認手続の合理化

    • 1エンジェル税制の対象となる中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に規定する特定新規中小企業者(以下「特定新規中小企業者」という。)について、設立後5年未満の企業の要件を緩和する。

    • 2地域再生法に規定する特定地域再生事業会社の従業員数の要件(現行 常時雇用者数20人以上)を10人以上に緩和する。

    • 3エンジェル税制の対象となる特定新規中小企業者に係る確認手続について、現行の投資を受けた都度確認を受ける方法のほか、毎年度事前に確認を受ける方法を追加する。

  • 特定同族会社の留保金課税制度について、適用対象から資本金の額又は出資金の額が1億円以下である会社を除外する。

  • 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度について、適用除外基準である基準所得金額を1,600万円(現行800万円)に引き上げる。

  • 中小企業等基盤強化税制について、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律(仮称)に規定する認定計画(仮称)に従って地域産業資源活用事業(仮称)を行う中小企業者で一定の基準に適合するものが取得等をする当該認定計画に定める機械装置を対象に加える。

  • 取引相場のない株式等に係る相続時精算課税制度の特例の創設

    推定相続人の一人が、平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間に取引相場のない株式等の贈与を受ける場合には、次の要件を満たすときに限り、60歳以上の親からの贈与について相続時精算課税制度の適用を選択することができることとするとともに、当該株式等の贈与については同制度の2,500万円の非課税枠を500万円上乗せし3,000万円とする。

    • (1)当該会社の発行済株式等の総額(相続税評価額ベース)が20億円未満であること。

    • (2)次のすべての要件をこの特例の選択に係る贈与税の申告期限から4年を経過する時において満たしていること。

      • 1当該受贈者が当該会社の発行済株式等の総数の50%超を所有し、かつ、議決権の50%超を有していること。

      • 2当該受贈者が当該会社の代表者として当該会社の経営に従事していること。

    • (3)その他所要の要件を満たすこと。

      また、上記(2)の要件を満たさない場合の修正申告等に関する規定、相続税の課税価格の計算の特例の適用除外に関する規定等を整備する。

  • 取引相場のない種類株式の相続税等の評価方法の明確化

    取引相場のない種類株式のうち、次のものについて、相続税等における評価方法を明確化する。

    • (1)配当優先の無議決権株式

    • (2)社債類似株式

    • (3)拒否権付株式

国際課税

  • 国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる移転価格税制)について、租税条約の相手国との相互協議に係る納税猶予制度を創設する。

    • (1)納税の猶予

      移転価格税制による更正又は決定を受けた者が、租税条約の相手国との相互協議の申立てをした上で申請をしたときは、更正又は決定に係る国税(相互協議の対象となるものに限る。)及びその加算税の額の納税を猶予する。この猶予は、納期限及び申請の日のいずれか遅い日を始期とし、相互協議の合意に基づく更正があった日(合意に至らずに相互協議が終了した場合には、国税庁長官がその旨を通知した日)の翌日から1月を経過する日を終期とする期間について認める。納税の猶予をする場合には、猶予する金額に相当する担保を徴する。

    • (2)延滞税の免除

      納税の猶予をした国税に係る延滞税のうち猶予期間(申請の日が猶予した国税の納期限以前の日である場合には、申請の日から納期限までの期間を含む。)に対応する部分は、免除する。

  • (注)上記の改正は、平成19年4月1日以後に行われる申請について適用する。

  • 内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例等(いわゆる外国子会社合算税制)について、次の措置を講ずる。

    • (1)外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人等及び合算対象となる海外子会社の判定について、議決権(剰余金の配当等に関するものに限る。)の異なる株式又は請求権の異なる株式を発行している場合には、株式の数の割合、議決権の数の割合又は請求権に基づき分配される剰余金の配当等の金額の割合のいずれか多い割合で行う。

    • (2)外国子会社合算税制の適用除外を受けるために必要な書類等の保存がない限り、適用除外が認められないことを明確にする。

  • 非居住者等が支払を受ける振替地方債の利子について、次の措置を講ずる。

    • (1)非居住者又は外国法人が支払を受ける振替地方債の利子については、振替国債と同様に、非課税適用申告書の提出等を要件として、所得税又は法人税を課さないこととし、源泉徴収を免除する。

    • (2)振替国債の利子について非課税適用申告書を提出している場合には、一定の要件の下に振替地方債の利子について非課税適用申告書を提出しているものとみなす等、所要の特例措置を講ずる。

  • (注)上記の改正は、平成20年1月1日以後に支払われる振替地方債の利子について適用する。

  • 社会保険料の支払の取扱いに関する規定のある租税条約を実施するため、次の措置を講ずる。

    • (1)居住者が租税条約の相手国の社会保障制度の下で支払った保険料について、一定の金額を限度としてその年の所得税に係る総所得金額等から控除する。

    • (2)非居住者が我が国又は租税条約の相手国の社会保障制度の下で支払った保険料について、一定の金額を限度としてその年の所得税に係る給与所得の金額又は国内源泉所得の金額から除く。

  • 租税条約の相手国との相互協議の合意に対応する調整は、移転価格事案以外の事案に係るものについても、更正の請求によることとする。また、合意の影響がある翌年以降の事業年度についても、更正の請求によることとする。

  • (注)上記の改正は、平成19年4月1日以後に開始する事業年度の所得に係る更正の請求について適用する。

  • 外国法人が国内の恒久的施設を有しなくなった場合等のみなし事業年度に係る規定の整備を行う。

組織再編税制・信託税制等

  • 会社法における合併等対価の柔軟化に伴う税制措置

    • (1)組織再編税制において、適格合併、適格分割又は適格株式交換の適格性の要件及び被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の計上を繰り延べる要件のうち合併等の対価について、その範囲に、合併法人等の親法人(合併等の直前に合併法人等の発行済株式の全部を直接に保有し、かつ、当該合併等後にその発行済株式の全部を直接に継続して保有することが見込まれる法人をいう。)の株式のみが交付される場合の株式を加える。

    • (注)上記の改正は、平成19年5月1日以後に行われる合併等について適用する。

    • (2)合併等により株主に外国親法人の株式が交付された場合、非居住者又は外国法人株主(以下「非居住者等株主」という。)について、その合併等の時に旧株の譲渡益(我が国で課税の対象となる国内源泉所得に該当するものに限る。)に対して課税する。

      ただし、この取扱いは、非居住者等株主が、国内において行う事業に係る資産として、国内に有する恒久的施設において旧株を管理する場合には適用しない。この場合、非居住者等株主がその交付を受けた外国親法人の株式を国内において行う事業に係る資産として国内の恒久的施設において管理しなくなったときは、その時に外国親法人の株式を譲渡したものとして課税する。

    • (注)上記の改正は、平成19年5月1日以後に行われる合併等について適用する。

    • (3)国際的な租税回避を防止するため、次の措置を講ずる。

      • 1企業グループ内の法人間で行われる合併等のうち、軽課税国に所在する実体のない外国親法人の株式を対価とし、国内の合併法人等にも事業の実体が認められないものは、適格合併等に該当しないこととする。

      • 2適格合併等に該当しない合併等が行われる場合、交付される対価が軽課税国に所在する実体のない外国親法人の株式であるときは、その合併等の時に株主の旧株の譲渡益に対して課税する。

      • (注)上記1及び2の改正は、平成19年10月1日以後に行われる合併等について適用する。

      • 3内国法人が保有する外国子法人(外国子会社合算税制の適用対象となるものに限る。)の株式を軽課税国に所在する実体のない外国親法人(その内国法人の持分の80%以上を保有するものに限る。)又はその外国親法人に係る外国子法人に現物出資する場合には、その現物出資は適格現物出資に該当しないこととする。

      • (注)上記3の改正は、平成19年10月1日以後に行われる現物出資について適用する。

      • 4内国法人の株主が、組織再編成等により、軽課税国に所在する実体のない外国法人を通じてその内国法人の持分の80%以上を保有することとなった場合には、その外国法人に留保した所得を、その持分割合に応じて、その外国法人の株主である居住者及び内国法人の所得に合算して課税する(合算対象となる所得には、その外国法人に係る外国子法人のうち、軽課税国に所在する実体のないものに留保した所得も含める。)。

        対象となる内国法人は、組織再編成等の前に少数の株主グループによってその持分の80%以上を保有されていたものに限る。

        また、内国法人の株主が、組織再編成等により、その内国法人の資産・負債のほとんどすべてを取得した他の内国法人の持分の80%以上を保有することとなった場合も同様とする。

      • (注)上記4の改正は、平成19年10月1日以後に株主が外国法人を通じて内国法人の持分の80%以上を保有することとなる場合について適用する。

  • 信託税制

    • (1)新たな類型の信託等への対応

      • 1受益証券発行信託

        • 特定受益証券発行信託(受益証券発行信託のうち信託に係る未分配利益の額が信託の元本総額の1,000分の25相当額以下であること等の要件を満たすものをいう。)については、その受益者に対し、信託収益が分配された時に、所得税又は法人税を課税する。

        • 個人受益者が受ける収益の分配は配当所得として、その受益証券の譲渡による所得は株式等に係る譲渡所得等として、所得税を課税する。

        • 特定受益証券発行信託以外の受益証券発行信託については、その受託者に対し、信託財産に係る所得について、当該受託者の固有財産に係る所得とは区別して法人税を課税する。

        • 受益証券発行信託の受益証券を印紙税の課税対象に加える。

      • 2受益者等の存在しない信託

        • 受益者等の存在しない信託(遺言により設定された目的信託等をいう。)については、その受託者に対し、信託財産に係る所得について、当該受託者の固有財産に係る所得とは区別して法人税を課税する。この場合、信託の設定時に、受託者に対しその信託財産の価額に相当する金額について受贈益課税を行う。

        • 受益者等の存在しない信託を設定した場合には、委託者においては信託財産の価額に相当する金額による譲渡があったものとする。

        • 受益者等の存在しない信託に受益者等が存することとなった場合には、当該受益者等の受益権の取得による受贈益について、所得税又は法人税を課税しない。

        • 受益者等の存在しない信託が終了した場合には、残余財産を取得した帰属権利者に対して所得税又は法人税を課税する。

        • 受益者等の存在しない信託を利用した相続税又は贈与税の租税回避に対しては、次の措置を講ずる。

          • (イ)信託により受託者に適用される法人税率と相続等により適用される相続税率等の差を利用した租税回避については、受託者に相続税等を課税(法人税等は控除)する。

          • (ロ)受益者等が特定した時に、当該受益者等が委託者の孫等である場合には、当該受益者等に贈与税を課税する。

        • 公益信託については、現行と同様の取扱いを維持する。

      • 3受益者連続型信託等

        • 受益者連続型信託等については、設定時において受益者等に対して、委託者から受益権を遺贈等により取得したものとみなして相続税等を課税する。

        • 次の受益者等以降の者に対しては、その直前の受益者等から遺贈等により受益権を取得したものと、その直前の受益者等は受益権を遺贈等したものと、それぞれみなして相続税等を課税する。

    • (2)信託を利用した租税回避への対応その他の信託課税の適正化措置

      • 1法人が委託者となる信託のうち、次に掲げるものについては、その受託者に対し、信託財産に係る所得について、当該受託者の固有財産に係る所得とは区別して法人税を課税する。

        • 重要な事業の信託で、受益権の過半を委託者の株主に交付することが見込まれるもの(信託財産の種類がおおむね同一である場合等を除く。)

        • 長期(信託期間20年超)の自己信託等(主たる信託財産が耐用年数20年超の減価償却資産である場合等を除く。)

        • 損益分配の操作が可能である自己信託等

      • 2信託損失に係る所得税の取扱い

        受益者段階課税(発生時課税)される信託の個人受益者等の当該信託に係る不動産所得の損失は、生じなかったものとみなし、損益通算等を制限する。

      • 3信託損失に係る法人税の取扱い

        受益者段階課税(発生時課税)される信託の法人受益者等の信託損失のうち信託金額を超える部分の金額は、損金の額に算入しない。また、損失補てん契約等により信託期間終了までの間の累積損益が明らかに欠損とならない場合には、信託損失の全額を損金の額に算入しない。

      • 4合同運用信託

        合同運用信託の範囲を適正化する。

    • (3)その他

      • 1投資信託等の併合において、受益者が新たな信託の受益権以外の資産の交付を受けていない場合には、旧信託の受益権の譲渡損益の計上を繰り延べる。

      • 2その他所要の整備を行う。

    (信託税制の詳細については、別紙のとおり。)

  • リース取引関連税制

    ファイナンス・リース取引(資産の賃貸借で、賃貸借期間中の契約解除が禁止されており、かつ、賃借人が当該資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担する等の要件を満たすものをいう。)のうち、リース期間の終了時にリース資産の所有権が賃借人に無償で移転するもの等以外のもの(以下「所有権移転外ファイナンス・リース取引」という。)について、次の措置を講ずる。

    • (1)所有権移転外ファイナンス・リース取引は、売買取引とみなす。

    • (2)所有権移転外ファイナンス・リース取引の賃借人のリース資産の償却方法は、リース期間定額法(リース期間を償却期間とする定額法をいう。)とする。なお、賃借人が賃借料として経理した場合においてもこれを償却費として取り扱う。

    • (3)所有権移転外ファイナンス・リース取引の賃貸人について、リース料総額から原価を控除した金額(以下「リース利益額」という。)のうち、受取利息と認められる部分の金額(リース利益額の100分の20相当額)を利息法により収益計上し、それ以外の部分の金額をリース期間にわたって均等額により収益計上することができることとする。

    • (注)上記(1)から(3)までの改正は、平成20年4月1日以後に締結する所有権移転外ファイナンス・リース契約について適用する。

    • (4)平成20年3月31日以前に締結したリース契約に係る所有権移転外ファイナンス・リース取引の賃貸資産について、同年4月1日以後に終了する事業年度からリース期間定額法により償却できることとする。

    • (5)リース税額控除制度を廃止する等、所要の規定の整備を行う。

  • 棚卸資産の評価

    • (1)低価法を適用する場合における評価額を事業年度末における価額(現行 再調達原価)とする。

    • (2)トレーディング目的の棚卸資産の場合には、時価により評価することとする。


[続きがあります]