平成14年度税制改正の要綱(1/3)
平成14年度税制改正の要綱
| 平成14年1月17日 閣議決定 | |||||||
社会経済情勢の変化や厳しい財政状況を踏まえつつ、構造改革に資する等の観点から、連結納税制度を創設するとともに、中小企業関係税制及び金融・証券税制等につき所要の措置を講ずることとし、次のとおり税制改正を行うものとする。 | |||||||
一 | 連結納税制度 連結納税制度を創設することとし、次の措置を講ずる。 | ||||||
| 1 | 基本的な仕組み | ||||||
| (1) | 適用法人、適用方法 | ||||||
| 連結納税制度の適用法人は、内国法人である親会社(100%子会社に該当するものを除く。)と、その親会社に発行済株式の全部を直接又は間接に保有されるすべての内国法人(100%子会社)とする。 | |||||||
| 親会社は普通法人と協同組合等に、100%子会社は普通法人に限る。 | |||||||
| 連結納税制度の適用は選択制とし、連結納税制度を選択する場合には、原則として、連結納税制度を適用しようとする事業年度の6月前までに承認申請書を提出し、その事業年度の開始前に国税庁長官の承認を受けるものとする。また、一旦選択した場合には継続して適用するものとする。 | |||||||
| 親会社は、連結所得に対する法人税の申告及び納付を行う。 | |||||||
| 連結納税制度の適用を受けた100%子会社は、連帯納付責任を負うものとし、連結所得の個別帰属額等を記載した書類を税務署に提出する。 | |||||||
| 連結事業年度は、親会社の事業年度に合わせたものとする。 | |||||||
| (2) | 連結所得金額及び連結税額の計算 | ||||||
| 連結所得金額及び連結税額の計算の基本的な仕組み | |||||||
| イ | 連結所得金額及び連結税額は、連結グループ内の各法人の所得金額を基礎とし、所要の調整を加えた上で、連結グループを一体として計算する。 | ||||||
| ロ | その上で、連結税額を連結グループ内の各法人の個別所得金額又は個別欠損金額を基礎として計算される金額を基にして連結グループ内の各法人に配分する。 | ||||||
| 連結グループ内の法人間の取引 連結グループ内の法人間で、資産(固定資産、土地等、金銭債権、有価証券又は繰延資産(これらの資産のうち帳簿価額1,000万円未満のものを除く。)とする。)の移転を行ったことにより生ずる譲渡損益は、その資産の連結グループ外への移転等の時に、その移転を行った法人において計上する。 | |||||||
| 利益・損失の二重計上の防止 連結納税制度の適用を受けている100%子会社(以下「連結子会社」という。)の株式を譲渡する場合、連結納税制度の適用を取りやめる場合等には、その譲渡等の時において、その連結子会社の株式の帳簿価額の修正を行う。 | |||||||
| 連結欠損金額 | |||||||
| イ | 連結欠損金額は、5年間で繰越控除する。 | ||||||
| ロ | 連結納税制度の適用開始前に生じた欠損金額は、親会社の前5年以内に生じた欠損金額等一定のものに限り、連結納税制度の下で繰越控除する。 | ||||||
| ハ | 連結納税制度の適用を取りやめる場合、連結子会社が連結グループから離脱する場合等には、連結欠損金額の個別帰属額をその取りやめる親会社若しくは連結子会社又は離脱する連結子会社に引き継ぐ。 | ||||||
| 税率 連結所得に対する法人税の税率は、次のとおりとする。ただし、2年間の措置として、次の税率に2%を上乗せする。 | |||||||
| イ | 親会社が普通法人である場合の税率 30% | ||||||
| ロ | 親会社が中小法人である場合の軽減税率(年800万円以下の部分) 22% | ||||||
| ハ | 親会社が協同組合等である場合の軽減税率 23% | ||||||
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| (3) | 連結納税制度の適用開始又は連結グループへの加入、連結グループからの離脱 | ||||||
| 連結納税制度の適用を受ける法人又は連結グループに加入する法人について、その適用の開始又は加入の前後でみなし事業年度を設け、その前の期間については単体納税制度又は他の連結グループの連結納税制度の下で申告納付を行い、その後の期間については連結納税制度の下で申告納付を行う。 連結グループから離脱した法人は、その連結事業年度開始の日に離脱したものとみなし、5年間再加入を認めない。 | |||||||
| 連結納税制度の適用開始又は連結グループへの加入に際しては、適用開始法人又は加入法人の資産(固定資産、土地等、金銭債権、有価証券又は繰延資産(これらの資産のうちその含み損益が資本等の金額の2分の1又は1,000万円のいずれか少ない金額に満たないものを除く。)とする。)については、直前の事業年度において、時価評価により評価損益の計上を行う。 ただし、次に掲げる法人(加入の場合は、ニからトまでに掲げる法人)については、資産の時価評価による評価損益の計上を行わない。 | |||||||
| イ | 親会社 | ||||||
| ロ | 株式移転に係る完全子会社 | ||||||
| ハ | 親会社に長期(5年超)保有されている100%子会社 | ||||||
| ニ | 親会社又は100%子会社により設立された100%子会社 | ||||||
| ホ | 適格合併に係る被合併法人が長期保有していた100%子会社でその適格合併により親会社の100%子会社となったもの等 | ||||||
| ヘ | 法令の規定に基づく株式の買取り等により親会社の100%子会社となったもの | ||||||
| ト | 株式交換に係る完全子会社(その完全子会社に長期保有されていた100%子会社を含む。)で一定の要件を満たすもの | ||||||
| 2 | 連結所得金額・連結税額の計算に係る諸制度の取扱い 受取配当については連結グループ内の連結子会社からの受取配当について負債利子を控除せずその全額を益金不算入とすることとし、減価償却費については連結グループ内の各法人の個別計算によることとする等、連結所得金額・連結税額の計算に係る諸制度については、連結グループを一体として要件の判定や計算等を行うことを基本としつつ、制度の趣旨や技術的な観点も踏まえて、措置を講ずる。 | ||||||
| 3 | 租税回避行為の防止 多様な租税回避行為に適切に対応するため、包括的な租税回避行為防止規定等を設ける。 | ||||||
| 4 | その他の整備 質問検査権、罰則等について所要の整備を行う。 | ||||||
| 5 | 適用関係 連結納税制度については、平成14年4月1日以後に開始し、かつ、平成15年3月31日以後に終了する事業年度から適用する。 また、連結納税制度の創設に伴い、承認に関する経過措置を講ずる。 | ||||||
| 6 | 連結納税制度の創設に伴う財源措置 連結納税制度の創設に伴う税収減に対応するため、以下の措置を講ずる。 | ||||||
| (1) | 連結納税制度の仕組みの中での措置 | ||||||
| 連結納税制度を選択した法人に対する付加税(いわゆる連結付加税)の導入 連結所得に対する法人税の税率に、2年間の措置として、付加的に2%を上乗せする。 | |||||||
| 連結子会社の連結前欠損金の持込み制限 連結納税制度の適用開始前に生じた欠損金額及び連結グループ加入前に生じた欠損金額について、親会社等のものを除き連結納税制度の下での繰越控除の対象外とする。 | |||||||
| 創設当初の加入子会社等の適用時期の特例(新規子会社等の加入制限) 連結納税制度の承認に関する経過措置の適用を受ける場合には、最初の連結事業年度中に連結グループに加入する法人及び連結納税制度の適用開始時の100%子会社のうち、一定のものについては、翌連結事業年度まで連結グループに加入できないものとする。 | |||||||
| (2) | 課税ベースの見直し | ||||||
| 受取配当の益金不算入制度について、特定利子に係る措置を廃止するとともに、特定株式等以外の株式等に係る受取配当の益金不算入割合を80%から50%に引き下げる。ただし、中小法人及び協同組合等に関する経過措置等を講ずる。 | |||||||
| 退職給与引当金制度を廃止し、その廃止前の退職給与引当金勘定の金額については4年間(中小法人及び協同組合等にあっては10年間)で取り崩す。 | |||||||
| 経過措置により存置されている旧特別修繕引当金制度を廃止し、その廃止前の旧特別修繕引当金勘定の金額については4年間で取り崩す。 | |||||||
| (3) | 財源措置の見直し 現下の厳しい財政事情に鑑み連結付加税は2年間の措置として導入することとしたことから、2年後において、連結納税制度の実施状況や財政状況等を踏まえ、改めて財源措置の見直しを行う。 (連結納税制度の詳細については、別紙のとおり。) | ||||||
二 | 中小企業関係税制 | ||||||
| 1 | 同族会社の留保金課税の軽減等 同族会社の留保金課税制度について、次の措置を講ずる。 | ||||||
| (1) | 中小企業者等に対する同族会社の特別税率の不適用措置について、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法の中小企業者に該当する法人で前事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額及び開発費の額の合計額の収入金額に対する割合が100分の3を超えるものを措置の対象に加えた上、その適用期限を2年延長する。 | ||||||
| (2) | 中小法人に係る課税留保金額に対する税額については、2年間の措置として、その5%に相当する金額を軽減する。 | ||||||
| 2 | 交際費等の損金不算入制度の定額控除限度額の引上げ 交際費等の損金不算入制度について、資本金1,000万円超5,000万円以下の法人に係る定額控除限度額を400万円(現行300万円)に引き上げる。 | ||||||
| 3 | 取引相場のない株式等についての相続税の課税価格の減額措置 個人が相続又は遺贈により取得した取引相場のない株式等のうち当該会社の発行済株式等の総数の3分の1以下に相当する部分については、次の要件を満たす場合に限り、当該相当する部分の価額のうち3億円を限度として、相続税の課税上、その課税価格を10%減額する措置を講ずる。 | ||||||
| 当該会社の発行済株式等の総額(相続税評価額ベース)が10億円未満であること。 | |||||||
| 被相続人等が当該会社の発行済株式等の総数の50%以上を有しており、相続人が引き続き有し、かつ、役員として当該会社の経営に従事していたこと。 | |||||||
なお、この特例を選択した場合には、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例等の適用を停止する。
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| 4 | その他 | ||||||
| (1) | 中小企業投資促進税制について、機械装置の取得価額の最低限度を160万円(現行230万円)に、リース費用総額の最低限度を210万円(現行300万円)にそれぞれ引き下げた上、その適用期限を2年延長する。 | ||||||
| (2) | 中小企業技術基盤強化税制について、平成15年3月31日までの間に開始する事業年度(平成15年分)の特別税額控除割合を引き続き100分の10とする。 | ||||||
| (3) | 欠損金の繰戻し還付の不適用措置について、中小企業者の設立後5年間に生じた欠損金額及び中小企業経営革新支援法の承認経営革新計画に従って経営革新のための事業を行う中小企業者の欠損金額に係る適用除外措置の適用期限を2年延長する。 | ||||||
三 | 金融・証券税制 | ||||||
| 1 | 障害者等に対する少額貯蓄非課税制度への改組 | ||||||
| (1) | 老人等の少額貯蓄非課税制度(老人等の郵便貯金の利子所得の非課税制度、老人等の少額預金の利子所得等の非課税制度及び老人等の少額公債の利子の非課税制度をいう。)は、同制度の適用対象者とされている身体障害者手帳の交付を受けている者、遺族基礎年金受給者である被保険者の妻、寡婦年金受給者等(以下「障害者等」という。)に対する少額貯蓄非課税制度に改組する。
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| (2) | 平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間の老人等の少額貯蓄非課税制度の適用については、 | ||||||
| 2 | 特定口座内の上場株式等の譲渡に係る所得計算及び申告不要の特例の創設 | ||||||
| (1) | 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、証券会社に一定の要件を満たす特定口座(一の証券会社につき一口座に限る。)を設定し、当該特定口座を通じて取得等をした上場株式等で当該特定口座において管理されているもの(以下「特定口座内上場株式等」という。)を譲渡した場合において、当該特定口座外に当該特定口座内上場株式等と同一銘柄の上場株式等を有しているときは、これらの同一銘柄の上場株式等は、それぞれその銘柄が異なるものとして、これらの同一銘柄の上場株式等の譲渡に係る譲渡所得等の金額の計算等を行うこととする。 | ||||||
| (2) | 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が選択をした特定口座において、特定口座内上場株式等の譲渡をした場合には、証券会社は、その譲渡代金の支払の際、一定の方法により計算をした差益について、15%の税率による所得税を徴収し、これを翌月10日までに納付するものとする。 この場合において、その年分の株式等の譲渡に係る譲渡所得等につき確定申告をするときは、当該特定口座内上場株式等の譲渡に係る譲渡所得等の金額を除外して確定申告を行うことができることとする。 | ||||||
| (3) | 証券会社は、その年の特定口座内上場株式等に係る年間譲渡損益その他一 定の事項を記載した報告書(年間取引報告書(仮称))を作成し、これを、翌年1月31日までに、特定口座内上場株式等の譲渡の対価の支払調書の提出に代えて当該証券会社の所在地の所轄税務署長に提出するとともに、当該特定口座を有する居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者に交付するものとする。 | ||||||
| (4) | その他所要の措置を講ずる。
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| 3 | 新株予約権制度の施行に伴う税制上の整備 商法の一部改正による新株予約権制度の施行に伴い、次の措置を講ずる。 | ||||||
| (1) | 特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等の特例制度(ストック・オプション税制)について、次の改正を行う。 | ||||||
| 適用対象者の範囲に、新株予約権の付与決議のあった株式会社が発行済株式(議決権のあるものに限る。)又は出資の総数の100分の50を超える数の株式(議決権のあるものに限るものとし、出資を含む。)を直接又は間接に保有する関係にある法人の取締役又は使用人である個人(当該付与決議のあった株式会社の大口株主及びその特別関係者を除く。)等を加える。 | |||||||
| その年における新株予約権の行使に係る権利行使価額の限度額を1,200万円(現行1,000万円)に引き上げる。 | |||||||
| 新株予約権の付与決議に基づき当該株式会社と当該取締役等との間に締結された契約の要件として、当該新株予約権の行使をすることができる期間が当該付与決議の日から10年以内とされていること及び当該新株予約権の譲渡をすることができないこととされていること等を定める。 | |||||||
| (2) | 個人又は法人に対して有利発行の特別決議に基づき新株予約権の付与(無償によるものに限る。)をした株式会社は、当該個人又は法人からの当該新株予約権の行使(ストック・オプション税制の適用を受けるものを除く。)があった場合には、当該個人又は法人の各人別に、その者の氏名又は名称及び住所、新株予約権を行使した日、新株予約権の行使に係る株式の種類及び数量並びに当該行使に係る権利行使価額その他の事項を記載した調書を、その新株予約権の行使をした日の属する年の翌年1月31日までに、当該株式会社の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととする。 | ||||||
| (3) | その他上記(2)の調書に関する質問検査権等を定める。
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| 4 | その他 | ||||||
| (1) | 銀行業・証券業・保険業を営む外国法人(合算課税制度上の特定外国子会社等、国内取引相手の過少資本税制上の国外支配株主等に該当する一定の者等を除く。)、外国の中央銀行又は国際機関が、一括清算法の対象者である国内の指定金融機関又は日本銀行との間で、一括登録国債、外国の国債・政府機関債・地方債、国際機関債、外国のこれらの債券の発行体の保証債又は外国の一定の金融機関債を用いて行う一定の要件(取引期間6か月以内等)を満たす債券の買戻又は売戻条件付売買取引で、平成14年4月1日から平成16年3月31日までの間に開始する取引により支払を受ける貸付金の利子について、本人確認手続等所要の規定を整備した上、所得税を課さないこととし、源泉徴収を免除する。 | ||||||
| (2) | 上場会社等の自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の特例の適用期限を3年延長する。 | ||||||
| (3) | 長期所有上場特定株式等を譲渡した場合の100万円特別控除の適用対象となる上場特定株式等の範囲に、証券取引所に上場されている未公開株式等投資法人(その有する資産を内国法人の未公開株式等に対する投資として運用する一定の投資法人をいう。)の投資口を加える。 | ||||||
| (4) | 償還差益に対する分離課税等の特例制度について、原則として、割引の方法により発行される公社債(以下「割引債」という。)のすべてにつき、発行時の源泉徴収の対象とする整備を行うとともに、短期社債等の振替に関する法律に規定する短期社債等については、その保有・償還が法人に限定されるもの等一定のものに限り、発行時の源泉徴収を行わないこととする。 | ||||||
| (5) | 特定株式投資信託の要件に関し、証券取引所に新たに上場される株価指数連動上場投資信託に対応するための所要の整備を行う。 | ||||||
| (6) | 外国株価指数に連動する特定株式投資信託の収益の分配に係る配当等については、配当控除及び受取配当の益金不算入を適用しない。 | ||||||
| (7) | 特定株式投資信託の受益証券と特定株式投資信託の信託財産に属する株式との交換をした場合の当該特定株式投資信託の受益証券の譲渡による課税の特例を廃止する。 | ||||||
| (8) | 非居住者又は外国法人の一括登録国債の利子非課税制度について、国外で多数向けに募集された外国投資信託で証券投資信託に類するもの(国内で募集されたものを除く。)が支払を受ける一括登録国債の利子を、一定の要件の下に、非課税の対象とする。 | ||||||
| (9) | 自己株式の処分に伴って生ずる譲渡益・譲渡損に相当する金額については、資本積立金額の増加・減少金額とする。 | ||||||
