平成13年度税制改正の要綱(1/3)
平成13年度税制改正の要綱
平成13年1月16日
閣議決定
最近の経済情勢等を踏まえ、企業組織再編成に係る税制を整備するほか、住宅投資及び中小企業の設備投資の促進を図るとともに、社会経済情勢の変化に対応する等の観点から所要の措置を講ずることとし、次のとおり税制改正を行うものとする。
一 企業組織再編成
商法改正による会社分割の制度の創設に伴い、分割・合併等の企業組織再編成に係る税制を次のとおり整備する。
| 1 | 法人における課税の取扱い | |||||
| (1 | ) 移転資産等の譲渡損益の取扱い 法人が、分割、合併、現物出資又は事後設立(以下「組織再編成」という。)によりその有する資産等を他に移転した場合において、当該組織再編成が下記 | |||||
| 適格組織再編成 | ||||||
| イ | 適格分割とは、次のいずれかに該当する分割とする。 ただし、分割に伴って分割承継法人の株式のみが交付され、かつ、分割型分割にあっては、分割法人の株主の持株数に応じて分割承継法人の株式が交付されるものに限る。 | |||||
| (イ | ) 分割法人と分割承継法人とが100分の100の持分関係である場合の分割 | |||||
| (ロ | ) 分割法人と分割承継法人とが100分の50超100分の100未満の持分関係である場合の分割で、次の要件に該当するもの | |||||
| (i | ) 分割法人の分割事業の主要な資産及び負債が分割承継法人に引き継がれていること。 | |||||
| (ii | ) 分割法人の分割事業の従業者の概ね100分の80以上が分割承継法人において引き続き業務に従事することが見込まれていること。 | |||||
| (iii | ) 分割法人の分割事業が分割承継法人において引き続き営まれることが見込まれていること。 | |||||
| (ハ | ) 共同事業を行うための分割で、次の要件に該当するもの | |||||
| (i | ) 分割により交付された分割承継法人の株式を継続して保有することが見込まれていること。 | |||||
| (ii | ) 上記(ロ) (i)から(iii)までの要件 ここで、共同事業とは、分割法人の分割事業と分割承継法人のいずれかの事業とが相互に関連性を有するものであることに加え、それぞれの事業の売上金額、従業者数若しくはこれらに準ずるものの比率が概ね5倍を超えないこと又は分割法人と分割承継法人の双方の役員が分割後に分割承継法人の経営に従事する常務クラス以上の役員となることとの要件に該当するものをいう。 | |||||
| ロ | 適格合併及び適格現物出資とは、上記の適格分割の要件に準ずる要件に該当する合併及び現物出資とする。 | |||||
| ハ | 適格事後設立とは、次の要件に該当する事後設立とする。 | |||||
| (イ | ) 資産等の譲渡が、子会社設立時に予定されており、子会社設立後6月以内に行われたこと。 | |||||
| (ロ | ) 資産等の譲渡の対価が子会社設立時の払込金銭の額と概ね同額であったこと。 | |||||
| (ハ | ) 持分割合が100分の100の子会社株式を資産等の譲渡時まで引き続き保有していたこと。 | |||||
| (ニ | ) 持分割合が100分の100未満となることが見込まれていないこと。 | |||||
| 移転資産等の譲渡損益の計上の繰延べ | ||||||
| イ | 適格分割型分割又は適格合併による資産等の移転は、帳簿価額による資産等の引継ぎとし、譲渡損益の発生はないものとする。 | |||||
| ロ | 適格分社型分割又は適格現物出資による資産等の移転は、帳簿価額による資産等の譲渡とし、譲渡損益の計上を繰り延べる。 なお、この措置を講ずることに伴い、特定の現物出資により取得した有価証券の圧縮記帳制度は廃止する。 | |||||
| ハ | 適格事後設立による資産等の移転は、時価による資産等の譲渡とし、譲渡益又は譲渡損相当額の子会社株式の帳簿価額の修正損又は修正益を計上するものとする。 この場合、子会社は、購入した資産等の帳簿価額を親会社の帳簿価額と同額に修正する。 | |||||
| ( | 注 | ) 適格分割又は適格合併に該当しない分割又は合併による資産等の移転は、時価による資産等の譲渡とし、譲渡益又は譲渡損は、分割型分割又は合併にあってはその前日の属する事業年度、分社型分割にあってはその日の属する事業年度の益金の額又は損金の額とする。 なお、この措置を講ずることに伴い、合併の場合の清算所得に対する法人税は廃止する。 | ||||
| (2 | ) 資本の部の金額の取扱い 適格分割型分割及び適格合併においては、利益積立金額の引継ぎを行う。また、分割型分割及び合併の場合には、いわゆるみなし事業年度を設ける。 なお、分社型分割、現物出資及び事後設立においては、利益積立金額は引き継がない。 | |||||
2 | 株主における課税の取扱い | |
| (1 | ) 株式の譲渡損益の取扱い 分割型分割又は合併により、分割法人等の株主が分割承継法人等の株式のみの交付を受けた場合には、旧株(分割法人又は被合併法人の株式)の譲渡損益の計上を繰り延べる。 | |
| (2 | ) みなし配当の取扱い 適格分割型分割又は適格合併に該当しない分割型分割又は合併により、分割法人等の株主が交付を受けた分割承継法人等の株式等の価額のうち、資本等の金額を超える部分を原資とする金額について、配当とみなす。 なお、資産の交付がない場合のみなし配当課税は廃止する。 | |
3 その他引当金等の取扱い
その他引当金等の取扱いについて、組織再編成の形態に応じて、別紙一のとおり所要の措置を講ずる。
4 租税回避の防止
繰越欠損金等を利用した租税回避の防止規定に加え、組織再編成に係る包括的な租税回避防止規定を設ける。
| 5 | 登録免許税・消費税・印紙税 | ||
| (1 | ) 登録免許税 | ||
| 商業登記 分割による株式会社等の設立又は増資の登記に係る登録免許税について、その資本の金額又は増加した資本の金額に係る税率を、1,000分の1.5(分割をする株式会社等の分割前の資本の金額から分割後の資本の金額を控除した金額を超える部分については、1,000分の7(最低税額3万円))とする等の措置を講ずる。 | |||
| 商業登記以外の登記等 株式会社等が分割により不動産の所有権等を取得した場合に、5年間の措置として、当該不動産の所有権の移転登記等に係る登録免許税の税率を合併による所有権の移転登記等に係るものと同水準(不動産の所有権の移転登記等1,000分の6(本則 1,000分の50)等)とする。 | |||
| (2 | ) 消費税 分割、現物出資、事後設立があった場合の消費税の納税義務の判定等に関し、その形態に応じて必要な措置を講ずるほか、分割承継法人が承継した資産につき対価の返還等や貸倒れが生じた場合の消費税額の控除その他の制度について、合併の場合に準じて所要の整備を行う。 | ||
| (3 | ) 印紙税 分割契約書及び分割計画書に係る印紙税の税率を一通につき4万円とする。 | ||
6 | その他 | |
| (1 | ) 法人が分割(分社型分割を除く。)をした場合には、分割承継法人は、その分割法人の分割前に納税義務が成立した国税について、連帯納付の責任を負うこととする。ただし、分割法人から承継した財産の価額を限度とする。 | |
| (2 | ) 分割法人の国税の裁決等に伴って税額等が異動する分割承継法人の国税等についての更正決定等を、その期間制限の特例の対象とする。 | |
| (3 | ) 組織再編成が行われた場合の質問検査権について所要の整備を行う。 | |
| (4 | ) 以上のほか、別紙二に掲げる各種の租税特別措置を含む組織再編成に係る税制の整備について所要の措置を講ずるとともに、必要な経過措置を講ずる。 | |
(注 | ) 上記の改正は、平成13年4月1日以後に行われる組織再編成について適用する。 |
(備考 | ) 連結納税制度について、引き続き、その導入に向けた検討を進める。 |
二 住宅税制
| 1 | 平成11年から2年半の間講じられている住宅ローン控除制度の終了(平成13年6月30日)に伴い、平成15年12月31日までの制度として新住宅ローン減税制度を創設する。この場合の控除率、住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除期間については、次のとおりとする。 | ||||||||||
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| なお、居住用家屋を平成16年中に居住の用に供する場合については、居住用家屋を平成13年後期中に居住の用に供する場合の現行の措置と同様の措置とする。 | |||||||||||
2 | 特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の適用期限を3年延長する。 | ||||||||||
3 | 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。 | ||||||||||
| (1 | ) 買換資産である家屋の床面積要件の上限を280 | ||||||||||
| (2 | ) 買換資産である耐火建築物に係る築後経過年数要件を25年以内(現行20年以内)に緩和する。
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4 | 住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。 | ||||||||||
| (1 | ) 非課税限度額を 550万円(現行 300万円)に引き上げる。 | ||||||||||
| (2 | ) 適用対象に次の贈与を加える。 | ||||||||||
| その者の所有する住宅について一定の増改築の費用に充てるために受ける金銭の贈与 | |||||||||||
| 住宅取得資金を贈与により取得した日前5年以内に居住していたその者又はその者の配偶者の所有する住宅を、当該贈与の日の属する年の翌年12月31日までに譲渡する場合等において、その者の住宅の取得又は新築の対価に充てるために受ける金銭の贈与 | |||||||||||
| (注 | ) 上記の改正は、平成13年1月1日以後に贈与により取得する金銭に係る贈与税について適用する。 | ||||||||||
5 | 住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。 | ||||||||||
三 中小企業投資促進税制等
| 1 | 中小企業投資促進税制について、中小企業者等が、平成14年3月31日までの間に一定の機械装置、器具備品、貨物自動車又は内航船舶を取得し、製造業、建設業等の用に供した場合には、取得価額の100分の30の特別償却又は取得価額の100分の7の特別税額控除の選択適用(一定の要件を満たすリース資産についても特別税額控除を適用)を認める。 |
2 | 中小企業技術基盤強化税制について、その適用期限を2年延長し、特別税額控除割合を、平成14年3月31日までの間に開始する事業年度(平成14年分)については 100分の10とし、平成14年4月1日以後に開始する事業年度(平成15年分)については100分の6とする。 |
