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デンマークとの新租税条約のポイント

1. 事業利得に対する課税

 事業利得については、企業が進出先国に支店等の恒久的施設を設けて事業活動を行っている場合に、その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ、進出先国において課税することができます。また、恒久的施設に帰属する利得は、本支店間の内部取引を網羅的に認識し、独立企業原則を厳格に適用して計算されます。

2. 投資所得に対する課税

 投資所得(配当、利子及び使用料)については、以下のとおり、源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が引き下げられ、又は課税が免除されます。

投資所得(配当、利子及び使用料)
現行条約 改正後
配当 10%(議決権保有割合25%以上・
保有期間12月以上)
15%(その他)
免税(日本法人支払配当、議決権保有割合10%以上・保有期間6月以上)
免税(デンマーク法人支払配当、資本割合10%以上・保有期間6月以上)
免税(年金基金受取)
15%(その他)
利子 10% 免税
使用料 10% 免税

 

3. 条約の特典の濫用防止

 条約の特典の濫用を防止するため、投資所得に対する免税は一定の要件を満たす適格者等である居住者に限って認められます。また、条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合及び第三国に存在する恒久的施設に帰属する一定の所得については、その条約の特典は認められません。

4. 相互協議手続及び仲裁制度

 条約の規定に従っていない課税は、両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決されます。また、両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には、第三者から構成される仲裁委員会の決定に従って解決されます。

5. 情報交換及び徴収共助

 国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため、両国間における租税に関する情報交換の対象となる租税及び事案が拡大されるとともに、両国間における租税債権の徴収に関する相互支援が導入されます。