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税制メールマガジン 第100号 29/6/27

税制メールマガジン 第100号   平成29年6月27日

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◆目次
1 主税局長からひとこと
2 “ワニの口”
3 政府税制調査会の最近の動き
4 税制メールマガジンの経緯
5 中堅コラム
6 編集後記

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1  主税局長からひとこと

  主税局長をしております星野です。昨年6月に主税局長に就任し、1年が過ぎようとしております。税制メールマガジンが100回を迎えることになる機会に、一言ご挨拶申し上げます。
  いつも、税制メールマガジンをご愛読いただきまして、誠にありがとうございます。

  社会保障や教育、警察や防衛など公的サービスは私たちの暮らしを支えていくうえで欠かせないものですが、こうしたサービスの費用を賄い、公的に実施するためには、皆さまから納めていただく税を財源とすることが求められます。みんなが互いに支えあい、共によりよい社会を作っていくため、必要な費用を広く公平に分かち合うことが求められるのです。まさに、税は「社会の会費」であると言えます。

  この会費を、社会の構成員である国民の皆さまに公平に分かち合っていただくためには、税制が社会や経済の変化に適切に対応したものでなければなりません。また、経済社会の活力を維持していく観点からも、税制を考えていく必要があります。

  少子・高齢化や経済のグローバル化がますます進行していく中で、税体系全般にわたるオーバーホールを進めていくことが課題になっています。こうした課題にこたえ、税制全般にわたって望ましい改革を進めていくために、皆さまからもいろいろとご意見をいただき、私共の考えていることもお伝えしながら、幅広い議論を続けていくことが必要です。

  「会費」だからこそ、フリーランチというおいしい話はないからこそ、みんなで議論することが必要だと思います。このメールマガジンを通じて、引き続き皆さまのご指導、ご協力をいただきますようよろしくお願い申し上げます。

              主税局長  星野 次彦  

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2  “ワニの口”

  「公平」・「中立」・「簡素」、これが古今東西、税制のあるべき規範ですが、もう一つ、これらの前に大前提としてあるのが、「十分性(財源調達機能)」です。
  税は、嫌なもの、憎まれもの、ですが、公共サービスを提供するための「必要悪」であり、できる限りその痛みを和らげながらも“社会の会費”として必要なだけ分担し、持ち寄らねばなりません。(これぞ“憎まれ口”ですが…。)

  私が主税局の若い課長補佐だった約20年前、国会への説明資料を編纂するに当たって、多くの図や表がある中で、歳出と歳入の推移が折れ線グラフで描かれたものを“ワニの口”と端的に呼び、それが俗称として今日に至っています(下記URL参照)。
   http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20170627.pdf

  ワニの口をどう持って行くか、それが税制の原点です。
  それを考える上で、2つの話をしたいと思います。

  1つは、ワニの喉もと、すなわちバブル期、特に昭和61年から平成2年までの4年間を見ると、税収はなんと18兆も増えましたが、歳出もなんと16兆も増えています。なぜあの時もっと上あご(歳出)を抑えておかなかったか、そうすればもっとワニの口の拡がりは小さくて済んだのではないか、と悔やまれるところです。
   実は、その時以来の税収増が、ここ数年起きています。これはリーマン・ショック後の落込みからのリバウンドとアベノミクスによるものですが、歳出は概ね横ばいに抑えています。(抑えていると言っても、リーマン・ショック時並みですが…。)
   税収増があるのだから歳出増もあっていい、という積極財政論も一部にありますが、私たちはワニの口が拡がった歴史の教訓に学ぶべきです。

  もう1つは、30年以上前、私が大学の経済学部生だったころには、「完全雇用財政余剰」という言葉がありました。これは理論というより、経済学用語に過ぎません。景気が悪い時の赤字は仕方がないとして、景気がよいときには財政は「余剰」=「おつり」=「黒字」があってしかるべきで、そのピークとも言うべき完全雇用状態のときに、いくらの財政余剰がある税・財政構造になっているか、というのが「完全雇用財政余剰」です。今、事実上の完全雇用になっているとの指摘が多い中で、「完全雇用財政余剰」とは、本来は、このワニの口が閉じている、というより、下あごが上あごの上にクロスして(突き抜けて)いなければならない、ということを示唆しているのです。

  ワニの口にまつわる、2つの“大きな小話”(過去の話と現在の話)をさせていただきました。

  日本の税制は、完全雇用財政余剰をもたらすには、小さすぎます。
   歳出は、今後四半世紀(約25年)も高齢者が増え続け、今後半世紀(約50年)も高齢化率(高齢者数/総人口)が上昇し続けると予想される中で、制度改革をしない限り、“逃げ水”のように肥大化していきます。
   だからこそ、『社会保障と税の一体改革』に取り組んでいる訳ですが、その地合いは向こう半世紀続きます。
   おぞましいことです。いったいどうすればいいのでしょうか。

  減りゆく勤労世代の稼ぎで増えゆく退職世代を支えるという単純な発想で、所得に負担を求める、所得税や法人税や保険料の負担率をどんどんずっと上げ続けることには自ずと限界があるでしょう。
   資力があって活発に消費活動する高齢者にも負担する側に回ってもらうことができ、また、国際競争力を1円たりとも削がない、という特徴を有する付加価値税(消費税)は、少子高齢化が進み、国際競争力の激化に直面する、今の日本のような社会・経済にふさわしい税だと思います。だからこその『一体改革』です。
   また、「所得=消費+貯蓄」ですから、消費課税と貯蓄課税(相続税や金融所得課税など)は、ある程度パラレルな(並行的な)動きをしないと、格差を拡大してしまうでしょう。

  以上、ちょっとだけ、税の過去をレビューし、現在を見つめ直し、将来を展望してみたつもりです。
   “十人十色”とも言われる税制論議です。政府税調などでは、所得税は「税収中立」なんかじゃだめだ、志が低いのではないか、というご指摘もいただいております。お読みいただいている皆様の間でも、幾多のご所見がおありのことと存じます。

  完全雇用財政余剰がなく、向こう半世紀にわたって少子高齢化が更に昂じていくわが国において、どうやって社会の会費を集めていくか、これは誰が政権を担っても、誰が悪い訳でもなく、避けて通ることのできない重苦しい日本の課題です。
   税制に携わる一公僕として、納税者/有権者/国民の皆様の声に耳を澄ませながら、怯まず、おごらず、謙虚に、ひたむきに、逃げることなくこの問題に取り組んでいきたいと念じております。

       主税局審議官   矢野 康治  

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3  政府税制調査会の最近の動き

  政府税調第10回総会が6月19日に開催されました。
   総会では、中里会長を含む8名の政府税調委員で、4月から5月にかけて実施した海外調査に関して、その結果の報告を行いました。

  今回の海外調査は、今後、政府税調として「納税実務等を巡る近年の環境変化への対応」を議論する際の参考とするために、諸外国の納税実務に関する諸制度とその運用状況を調査したものです。

  経済活動や決済手段の多様化・グローバル化の進展に伴い、税務行政の分野でも、電子申告を含めた納税者利便の向上や適正・公平な課税の実現に向けた取組をこれまで進めてきました。
   しかしながら、こうした環境の変化は、今後も更に進展することが見込まれます。このため、諸外国の取組も参考にしながら、ICTの活用などによる税務手続きの利便性向上や、適正公平な課税の実現による制度の信頼性向上などを図る観点から、中長期的な税務行政のあり方を考える必要がある、との認識が政府税調の委員の間で共有されました。
   こうした問題意識を受けて、エストニア・スウェーデン・韓国・アメリカ・カナダ・イギリス・フランスの計7か国を対象に調査を実施した次第です。

  調査を通じて、各国とも、経済社会の状況や、課税体系を踏まえつつ、様々な工夫をこらして、ICTの活用などを通じて納税者利便の向上などに取り組んでいることが分かりました。

  今後は、今回の海外調査で得た知見も参考にしながら、納税者利便と税制の信頼性の向上に向け、税務手続のICT化・簡素化の推進や、そのための基礎となる税務上の情報の流れやその処理のあり方について、幅広く、中長期的な観点から、議論を行っていく予定です。

  今回の海外調査報告の結果は、以下のURLから見ることができます。

   http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2017/29zen10kai.html

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4  税制メールマガジンの経緯

  この「税制メールマガジン」は、平成16年3月31日に創刊し、今号で100号となりました。
   このメルマガに登録していただいている方の人数は、創刊当時が1万人弱ということですが、現在は、お陰様で、当初の3倍以上の3万人を超える方々に登録いただいています。なお、同じ電子媒体である「税制ホームページ」(財務省ホームページ内に設置)へのアクセス数は、28年度は1100万件に達しています。中でも「29年度税制改正(パンフ)」は、財務省HP週間アクセスランキングで最近1位や2位となっています。あらためてご覧頂いている皆様に感謝申し上げます。

  メルマガの内容は、創刊時から、「税制をめぐる最近の動き」、「主税局の職員によるコラム」、「諸外国における税制」、「国際課税を巡る動き」などで、これまでの延べ記事数は350を超えます。13年間ということで、例えば、最初のころ巻頭言を執筆した企画官が今は審議官として記事を書くなど、書く側もそして読まれる方も歴史を感じさせるのではないかと思います。なお、創刊号では、政府税調での日本の経済社会のさまざまな実相についての議論、平成16年度税制改正関連法の成立、日米新租税条約の発効、消費税の総額表示義務化などが紹介されていました。

  現在も、政府税制調査会や与党税制調査会のとりまとめ時をはじめ、なるべく最新の情報を速報的にお届けし、かつ、税制HPで発信する情報よりも分かりやすく口語を混ぜながらご紹介させていただいているつもりです。また、若手コラムなどでは、主税局内の様子や仕事、あるいは税に限らないトピックなど、役所の固さをなるべくやわらげた記事も載せています。

  そして、前回の巻頭言でご紹介させていただいたように、様々なご意見をいただいており、心から御礼申し上げます。これからも、皆様の御意見も参考にさせていただきながら、より多くの方に読んでいただけるよう努めます。

主税局総務課  企画官   梶野 友樹

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5  中堅コラム

  主税局総務課税制企画室長の藤山です。(このメルマガが出ることには既に異動してしまっていると思います。。。)
   この3月で財務省勤務が20年となり、5月に同期とともに我々の採用を担当して頂いた先輩方を囲み、お酒を酌み交わしながら、久々にお話をさせて頂く機会がありました。就職活動中のことや、働き始めたころのことを思い出し、また初心に戻って頑張らなければならないなと思ったところです。

  20年前、財務省(当時は大蔵省)に入省して最初に配属されたのは関税局でした。関税は輸入品に課される税で、足元では総税収の2%弱ですが、100年前は15%程度と、酒税や地租(土地に課された税)と並んで基幹税の役割を果たしていました。現在は所得税、法人税、そして消費税で税収の8割程度を占めていますが、徴税インフラの整わなかった時代に比較的容易に課税対象を把握できたことから、関税が重要な税源になっていたのだと思います。

  途上国においては今でも関税は重要な財源です。10年ほど前、在ベトナム大使館に出向したのですが、ベトナムもそうでした。少し話は変わりますが、私が滞在したころのベトナムは、経済発展と国際化が進む中で税制改革にも取り組んでいました。その一例が所得税改革です。内容のご紹介は省きますが、それまでの「高所得者に対する所得税」から「所得税」への名称変更にその思想が表れているのではないかと思います。

  ベトナムではありませんが、税制は社会生活に密接に関係するものであり、だからこそ、その時々の経済社会の状況に対応していかなければならないのだと思います。
   この4、5年の税制改正を振り返ると、デフレからの脱却という大きな政策目的の下、いかに賃上げを実現するか、いかに消費を喚起するか、いかに設備投資や研究開発投資を増加させるかなど、足元の経済状況の抱える課題に取り組んできました。
   こうした経済政策的な対応に加え、社会経済の構造的な変化への対応も重要な課題となっています。社会保障の充実・安定の実現を目指す社会保障・税の一体改革の下での消費税率引上げのほか、企業の収益力や生産性の改善努力を後押しするために課税ベースを広げつつ税率を引き下げる法人税の構造改革を行ってきました。
   また、直近の平成29年度税制改正においても、働きたい人が就業調整を意識せずに済む仕組み作りをしていく観点からの所得税改革(配偶者控除の見直し)、税制が商品開発や販売数量に影響を与えている現状を改めるための酒税改革(ビール系飲料の税率格差の解消、ビールの定義の見直し)、日本企業の健全な海外展開を支えつつ租税回避に効果的に対応していくための国際課税の見直しなどに取り組んでいます。
   また政府税制調査会においては、経済活動や働き方の多様化、ICT化やグローバル化の進展を踏まえ、いかに納税者利便の向上を図っていくかという観点から議論がはじまったところです。

  今回、寄稿の機会を頂いて改めて思ったのは、社会や経済は刻々と変わっていくものであり、こうした変化にアンテナを高くしていかなければならないのだなということです。そして、繰り返しになりますが、税制は社会生活に影響を及ぼすものですので、皆さまにも関心を持っていただけるよう、このメルマガなどを通じて情報発信していければと思います。

 主税局総務課 前税制企画室長  藤山 智博

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6  編集後記

  今号は、税制メルマガ第100号を記念して、普段よりもフレッシュ感は少ないかもしれませんが、盛り沢山の内容になりました。主税局職員の業務にまつわる率直な思いを垣間見ることができ、編集する側にとっても非常に参考になりました。

  改めて13年前のメルマガ創刊当初と比較すると、電子メールを含むインターネット環境は本当に大きく変化し、何より、Web上で定期的に情報を手に入れるための選択肢が格段に広がったのではないでしょうか。

  しかしながら、そのような中でも、「税制に関する情報を、楽しく、分かりやすく伝える」という、この税制メルマガの意義は、当時といささかも変わっていないと私は思っています。

  次回101号以降も、内容を充実させていきたいと考えていますので、引き続きご購読のほど、どうぞよろしくお願いします。

                   (大西)


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