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税制メールマガジン 第99号 29/5/31

税制メールマガジン 第99号   平成29年5月31日

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◆目次
1 はじめに
2 国際課税を巡る最近の動き
3 若手コラム
4 新入省者紹介
5 編集後記

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1  はじめに

  「春が来て暖かくなった」と思っていましたら、あっという間に暑くなってまいりました。体がまだ慣れていないため注意が必要ですね。
  今号のメルマガは99号ということで、次号で100号となります。ご覧いただいている方々に改めて感謝申し上げます。また、これまでメルマガに対するご感想・ご意見をたくさん頂戴しています。「税制改正の狙いや税収・個人・法人税額に対する影響をグラフで表示して欲しい」、「ゆとりの家計のやりくり方法なんていう家庭版税務対策の冊子などの企画があると、なお面白い」、「今回素早いタイミングで情報が掲載されており、お客様へもすぐに税情報をお届けすることができました」など、全部は御紹介できませんが、貴重な御意見・ご感想を下さり、本当にありがとうございます。ご意見も踏まえ試行錯誤を続けてまいります。
  今号は、29年度税制改正でかつてないほど注目された国際課税改革に関する説明のほか、3人のフレッシュな新入生をご紹介します。

主税局総務課 企画官  梶野 友樹  

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2  国際課税を巡る最近の動き

(1)   国際課税を巡る経済・社会の構造的な変化
  今回は、平成29年度税制改正の主要項目の一つであった国際課税に関する制度の改革、具体的には、「外国子会社合算税制」の見直しの背景や概要をご紹介します。

  近年、人、モノ、カネ、そして情報の国境を越えるスピードが飛躍的に高まるとともに、その量が激増しています。例えば日本からの対外直接投資総残高は1996年の約30兆円から2014年には約140兆円と約5倍に増加しています。これと併せて、足もと、日本企業の海外拠点数は約7万拠点、海外に3か月以上在留する日本人数は約150万人と、それぞれ過去10年で約2倍に増加しています。
  こうした中、本質的にローカルな税制及び税務執行は大きなチャレンジに直面しています。例えば、同一の経済取引に対して複数の国から課税を受ける二重課税が調整されなければ、企業や個人の国境を超える経済活動に大きな支障をきたします。こうした問題に対して、先進各国はこれまで長らく、「OECD(経済協力開発機構)」の「租税委員会」に集い、「モデル租税条約」や「移転価格ガイドライン」といった国際課税に関するスタンダードを協働してつくり、決めたスタンダードを皆で実行することで対応してきました。

  他方、各国の国内税制の違いや隙間が、二重非課税−租税回避―の機会を広げていることへの問題意識が、近年高まっています。欧米の名だたるグローバル企業が、巧みな租税回避テクニックを駆使して合法的に納税を回避していた事実が明らかになった結果、巷では関連企業に対する不買運動が巻き起こり、そうした企業の経営陣は、議会で厳しい糾弾を受けました。しかし、租税回避自体は合法であることから、租税回避に関わる多国籍企業を糾弾するだけでは問題の根本的な解決には至りません。
  「租税回避を許す制度を各国が協調しながら変えていかなければ、税制そのものに対する納税者の信頼が失われかねない」、こんな危機感が原動力となって2013年夏に始まったのが、OECD租税委員会とG20が連携して取り組んだ「BEPSプロジェクト(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting(税源浸食と利益移転))」です。2年間にわたる精力的な議論の末、2015年秋に取りまとめられた「BEPSプロジェクト最終報告書」に盛り込まれた、租税回避に対抗するための「15の措置」は、G20首脳による明確な承認と支持を得ました。
  また、2016年6月末には、この内容を着実に実施に移すための枠組みが、京都で開催されたOECD租税委員会で承認されました。初夏の京都にはこれまでBEPSプロジェクトに参加してきたOECD加盟国及びG20のメンバーである中国、インド等の主要な新興国に加え、新たに多くの途上国が集い、ともに「BEPSプロジェクト」の「実施フェーズ」のスタートを切りました。現在「BEPSプロジェクト」の参加国は96か国にまで増加しています。

  「BEPSプロジェクト」の実施とほぼ機を一にして、国際的な租税回避や脱税の問題に対する注目を更に高める事件が起こりました。昨年4月及び5月に明らかにされた膨大な「パナマ文書」です。G20やG7等の国際会議、及び日本の国会でも、国際的な租税回避等の実態解明と、これへの効果的な対応が、改めて大きな課題として認識されるに至ったのです。

(2)   平成29年度税制改正における国際課税改革の位置づけ
  平成29年度税制改正における国際課税に関する制度改革は、こうした大きなコンテキスト、即ち、[1]加速度的に深化するグローバリゼーションによる国境を超える経済取引の急速な拡大、[2]国際協調を通じて生まれた「BEPSプロジェクト」の成果を各国が着実に実施すべきフェーズへの移行、そして、[3]パナマ文書等によって高まった国際的な租税回避や脱税に対する世論の意識の高まり、の中で、史上類を見ないほどの高い注目と精力的な議論を通じて行われました。具体的には、9月初旬から行われた「政府税制調査会」において、国際課税は、「配偶者控除の見直し」と並ぶ主要な項目として議論が行われ、11月には「論点整理」が取りまとめられました。これと並行して与党では、若手議員を中心に、国際課税を巡る歴史的な潮流や足もとの構造変化も踏まえた大所高所からの議論が行われ、これら二つの流れが、11月末からの年度改正の議論への大きなインプットとなりました。
  年度改正において、国際課税の改革、特に後述する「外国子会社合算税制の総合的な見直し」は、主要項目の一つと位置づけられ、税制改正プロセスの最後の最後まで活発な議論が行われました。併せて、「今後、関連の税制改正に取り組むに当たっては、グローバル経済の構造変化や日本経済の位置づけ等を踏まえた基本方針を明確にした上で、整合的・戦略的に検討することが必要」との問題意識のもとで、初めて「今後の国際課税のあり方についての基本的考え方」が与党により取りまとめられ、「平成29年度与党税制改正大綱」の補論として盛り込まれました。

(3)   外国子会社合算税制の総合的な見直し
  こうしたプロセスを経て実現した平成29年度税制改正における国際課税分野の最も大きな改正が「外国子会社合算税制」の総合的な見直しです。昭和53年に導入され、かつて「タックスヘイブン対策税制」との通称で呼ばれていた本制度は、外国子会社を利用した租税回避に対応するために、一定の条件に該当する外国子会社の利益を、日本の親会社の所得とみなして合算し、日本の税率で課税する制度です。「移転価格税制」と並んで国際的な租税回避に対応するための主要な制度であり、上述した「BEPSプロジェクト」においても15の勧告の一つ(行動3)として盛り込まれ、参加国による制度の導入や改善が求められている課題でもあります。
  今回の税制改正では、「外国子会社の経済実態に応じて課税する」との「BEPSプロジェクト」の基本的考え方を踏まえて、日本企業の海外展開を阻害することなく、より効果的に国際的な租税回避に対応できるよう総合的に見直しました。

  具体的には、合算の判断基準となる租税回避リスクを、外国子会社の税負担率が20%未満か否かを中心に把握する現行制度から、外国子会社の所得や事業の内容によって把握する仕組みに改めています。その際、利子、配当、使用料等の一定の金融所得や実質的活動のない事業から得る「受動的所得」は原則として親会社に合算される対象とし、経済活動の実体のある事業から得る「能動的所得」は、外国子会社の税負担率にかかわらず、合算対象外としています。平成30年4月1日以後に開始する外国子会社の事業年度から適用される改正事項のより詳細な内容については、財務省のウェブサイトに掲載されている「平成29年度税制改正パンフレット」のChapter 4に、図等も交えて説明をしておりますので、ご参照頂ければと思います。

※編集注:パンフレットでの説明は、以下のURLからご覧いただけます。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei17/04.htm#a01

  なお、制度改正を検討する過程では、見直し後の制度の「簡潔さ、明確さ」と「有効さ、公正さ」のバランスを如何に取るかについて、特に悩みました。即ち、制度執行に当たって納税者と執行当局双方に発生する事務コストを可能な限り緩和するとともに、課税要件をクリアなものとするには、制度は簡素かつ明確なものであることが求められます。
  しかし、制度を簡素で明確なものとすればするほど、どこかで「割り切り」をしなければなりません。その結果、租税回避とは関係の薄い所得や企業が合算の対象となる可能性が排除できなくなります。また、明確に規定した要件を掻い潜る新たな租税回避への対応が困難となるという問題も発生し、制度の有効性や公正性を損なうこととなってしまいます。

  このあたりのバランスを少しでもとれるよう、制度改正の検討の過程では関係する省庁の同僚職員、国際税務の最前線で汗をかかれている実務家の方々、学術的な視点から研究をされている専門家の方々などから、様々な視点で数多くの貴重なインプットを頂きました。国際課税に関する制度の重要性や世間の注目が高まる中、制度導入以来、最も大がかりな見直しを実現できたのは、こうした皆さんとの共同作業のおかげと言えると思います。この場を借りて、制度改正に知恵と力を貸して下さったすべての関係者の皆さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。
  上述の通り、税制には様々なトレードオフが存在し、これを100%最適にバランスさせることは困難です。今後も、今般見直した外国子会社合算税制をはじめ、国際課税に関する諸制度を、経済・社会の変化に適応できるバランスのとれたものとするべく、随時アップデートしていく努力を続けて参りたいと思っています。

 主税局参事官補佐   池田 洋一郎  

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3  若手コラム

  皆様、はじめまして。本号のコラムを担当させていただくこととなりました、主税局総務課の太田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

  まずは私の担当業務の紹介から。皆様、「総務課」と聞くと、色々イメージがおありかと思いますが、当係の主要な業務は、政府の税制調査会(いわゆる「政府税調」)の運営全般に関することです(いわゆる「ロジ担当」で、遅ればせながらですが、最近は会議資料のペーパーレス化も行いました!)。
  この税制メールマガジンの中でも、多くの回でご紹介させていただいておりますので、皆様は既に御存知の方ばかりかと思いますが、本メールマガジンが次号で100号を迎えるということもあり、創刊から13年とまだまだ歴史的には及びませんが、歴史つながりということで、少し歴史の話も踏まえながら、改めて政府税調についてご紹介させてください(かなり無理やりですね(笑))。

  政府税調は内閣総理大臣の諮問機関で、中長期的・専門的な視点から、税制のあるべき姿について検討する審議会です。その歴史については、現在と同様の常設の機関になったのも昭和37年のことでして、前身を含めますと昭和21年にまで遡ります。(ちなみに、昭和37年の池田勇人総理からの諮問は「今後におけるわが国の社会、経済の進展に即応する基本的な租税制度のあり方」でしたが、経済社会と税制の密接な関係性というものについては、常に考え続けていかなければならないものであると、歴史から改めて認識させられました。)

  その昭和37年当時は、中山伊知郎会長(一橋大学名誉教授)のもと、所得税の負担の調整軽減などについて議論がなされていました。

  現在の会長は中里実東京大学大学院教授、会長代理は神野直彦東京大学名誉教授が務めていらっしゃり、任期については平成28年6月24日から平成31年6月23日までとなっています。また、委員・特別委員合わせて39名の方がいらっしゃりますが、その顔触れは、各界を代表する方ばかりで、誤解を恐れずに言えば、正に「オールスター」です。

  そのような方々の多様な知見に基づき、日本の税制についての議論が行われていますが、その模様についてはインターネットで生中継されており、会議終了後も2週間、内閣府のホームページで公開されています。
http://www.cao.go.jp/zei-cho/chukei/

  さて、今後、政府税調では、「納税実務等を巡る近年の環境変化への対応」について議論がなされていく見込みです。言葉としては少し堅い表現ですが、これは、今の時代に合った「納税者の利便性向上」「適正公平な課税の実現」をもう一度考えてみるという趣旨で、実は、国民全員に関係するといっても過言ではない壮大なテーマです。

  実際の税法改正については、当然、国会の審議を経るわけですが、昨年9月の政府税調第1回総会の場で安倍総理からもご発言があった「税こそ民主主義」という言葉のとおり、国民の皆様全員に、「オールスター」が議論する税制の「壮大なテーマ」について御関心をいただけますよう、ロジ担当者として、精一杯取り組んでまいりたいと思います。

         主税局総務課   太田 悠介  

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4  新入省者紹介

  今年の春に入省し、主税局に配属された職員を紹介します。

まずはOさんから。
  はじめまして。このたび、主税局調査課内国調査係に配属となりました。現在、私は日本社会の変化を調査・分析する業務の一端を担当しております。
  「税は社会を映し出す鏡」とはよく言ったもので、主税局に配属されてわずか1ヶ月弱ですが、その言葉の意味をひしひしと感じる毎日です。税は私たちの生活に密着するものです。したがって、社会の変化に合わせた税制を構築する必要があります。また、逆に、税制の変化によって社会の姿が変化する場合があるとも感じるようになりました。いずれにせよ、税制を考える大前提としては、過去、そして現在の社会の姿に関する正確な調査・分析が不可欠です。調査課に配属されそのような業務に携わることとなり、一係員ではありますが責任の重大さに身の引き締まる思いです。
  まだまだ慣れないことが多く諸先輩方にはご迷惑をおかけしてばかりですが、地道に、たくましく歩んで行きたいと思います。ここに、これから一つ一つの仕事に真摯かつ誠実に臨むことを誓います。

続いて、Tくん。
  はじめまして。4月に財務省に入省し、主税局調査課にてフランス税制の調査を担当することとなりました。大学2年生の時ぶりに目の当たりにするフランス語や初めて経験する業務に悪戦苦闘しながら、多くのことを学ぶ毎日です。
  実際に仕事に取り組む中で、私は調査課に対し、アカデミックな職場であることはもちろん、ダイナミックな職場でもあるという印象を抱いています。税制に関する調査にとどまらず、その調査の結果をどうまとめ、活用していくのかという議論が絶えず繰り広げられ、日本の税制が動く現場にいる実感を日々強くしています。そのような調査課で1年目から仕事ができることを、大変嬉しく思います。
  現在(※)、私は今年の4月から5月に行われるフランス大統領選挙候補者の税制上の論点について調査するという課題に取り組んでいます。各候補の公約を読み込み、税制に関する資料を参照しているうちに、フランス税制について少しずつ理解が深まってきました。今後も一つ一つの業務を通してフランスという国への理解を深めていきたいと思っています。
  先輩方からのご指導をしっかりと自分のものにして、目の前の仕事に真摯に取り組み、日本の税制を支える戦力となれるよう精進していく所存です。よろしくお願いいたします。

最後に、Nくん。
  はじめまして。この度、主税局調査課にてドイツ税制の調査担当となりました。この係に配属されるかもしれないと覚悟していましたが、実際に仕事を始めてみると想像以上のプレッシャーを感じる毎日です。
  主税局といえば税の専門家たちが日本税制について地道に理論を組み立てているというイメージでしたが、いざ勤務してみると、イメージ以上に綿密な議論が行われおり日々驚いています。主税局の役割は国税の企画・立案なのですが、そのためには日本経済を分析し実態を調査して、海外の税制も参考にすることがあります。その調査を担うのが、私の配属された調査課です。各課の企画・立案をサポートする存在で、裏方のような存在とも言われますが、地道に調査することがより良い日本税制につながると考えております。
  日本に貢献できるよう、私の役割であるドイツ税制の調査に全力で取り組む所存です。

※編集注:本号発行時点(5/31)で、既に仏大統領選は終了しています。

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5  編集後記

  あっと言う間に春が終わり、このところ夏のような気候になってきました。
  今回の編集後記は渡部が担当いたします。昨年7月に主税局に着任し、もうすぐ1年が経過すると思うと、時間の早さに驚かされます。

  突然ですが、皆さんはTwitterやFacebookなどのSNSアカウントをお持ちでしょうか?本メールマガジンにご登録頂いているということは、少なくともインターネットを利用しメールのやり取りやWebサイトの閲覧などはしていることと思います。
  先日、プライベートで広報関係の勉強会に参加したのですが、その中で、「4,328万」「6,872万」という数字が紹介されていました。何の数字かわかりますか?…答えは、前者が新聞の発行部数、後者がSNSの利用者数です。これは、2016年末の数字のようですが、驚くことに新聞よりもSNSの方が多くなっています(私は驚きました!)。確かにここ10数年程度で、インターネットやスマートフォンの利用が拡大しました。今日では、皆さんの周りでもいわゆるガラケー利用者を探すのはなかなか難しいのではないでしょうか!?

  広報は、ある意味コミュニケーションそのものなのだと思います。スマートフォンやSNSの拡大が典型ですが、コミュニケーションツールが多様化すれば、それに合わせて色々な広報が考えられるのだと思います。もちろん、これまで私たち主税局広報担当が続けてきた本メールマガジンや訪問講座などの取組みを継続、発展させていくことも大切ですが、そうしたことと並行して、常に時代の動きに目を向けつつ新しいことも含めて色々と考えていくことが必要なのかなと思った週末でした。今回の編集後記に書いた内容だけでなく、今後の広報の参考にもなりますので、皆さんの色々なご意見をお聞かせいただけると嬉しいです。

  なお、次号の税制メールマガジンは記念すべき100号になります!普段よりパワーアップしたものを送りたいと思っておりますので、是非ご期待ください!

                   (渡部)


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