現在位置 : トップページ > 税制 > 出版物等 > 税制メールマガジン > 税制メールマガジン 第94号 28/11/18

税制メールマガジン 第94号 28/11/18

税制メールマガジン 第94号   平成28年11月18日

=================================

◆目次
1 はじめに
2 政府税制調査会の議論の取りまとめ
3 租税史料室の御案内
4 編集後記

=================================

1  はじめに

  政府税調では、「個人所得課税」と「国際課税」について非常に精力的で活発なご議論が行われてきましたが、今週14日に開催された第8回総会におきまして、(1)「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告」、(2)「『BEPSプロジェクト』の勧告を踏まえた国際課税のあり方に関する論点整理」が取りまとめられたほか、(3)「国税犯則調査手続の見直しについて」は、その報告書の内容に沿って、今後、見直しの検討を進めていくことについて、了承がなされました。今号はこの内容をお届けします。また、今号は、税に関する貴重な歴史的史料を収集・保存・公開していて、どなたでも気軽に税の歴史に触れていただくことができる国税庁の「租税史料室」(税務大学校和光校舎併設)をご紹介させていただきます。

主税局総務課 企画官  梶野 友樹  

=================================

2  政府税制調査会の議論の取りまとめ

  政府税調第8回総会が11月14日に開催され、9月以降の議論を踏まえ、
     (1) 個人所得課税について「経済社会の構造変化を踏まえた税制の
         あり方に関 する中間報告」(中間報告)、
     (2) 国際課税について「『BEPSプロジェクト』の勧告を踏まえ
         た国際課税のあり方に関する論点整理」(論点整理)、
が、それぞれ取りまとめられました。
  それぞれの取りまとめの概要は以下の通りです。

 【1】 個人所得課税について
  配偶者控除の見直しに当たっては、委員の皆様の間で、働き方の選択に対して中立的な税制を構築する観点から見直すことが適当であり、その際には税収中立を堅持する必要があるとの方向性で一致しました。
  また、担税力の減殺を調整する必要性や所得再分配機能回復の観点から高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいとの認識を共有しました。

  他方、具体的な制度の案については、委員の皆様の間に様々な意見がありました。このため、中間報告の中では、「一次レポート」の選択肢も示しながら整理を行った上で、政府税調として、「この問題は、家族のあり方や働き方に関する国民の価値観に深く関わる問題でもあることから、国民的議論が十分に尽くされることを望みたい」との意見が取りまとめられました。

  また、働き方の選択に対して中立的な仕組みの構築は、税制のみで達成できるものではなく、被用者保険制度や労働政策などの関連する制度・政策における取組も極めて重要であり、総合的な対応が必要との認識が委員の間で共有されました。

  特に、配偶者の収入が一定の収入(例えば103万円)以下であることを支給の要件とする企業の配偶者手当も、就業調整を生じさせる大きな要因となっているため、併せて抜本的な見直しを強く求めたいとしています。

  これらに加え、所得控除方式の見直しや、働き方の多様化等を踏まえた諸控除の見直し等については、社会保障制度における給付との関係や個人所得課税の負担構造のあるべき姿といった点にも留意しながら、引き続き丁寧に議論していく必要があるとしています。

 【2】 国際課税について
 (1) 今後の国際課税改革に当たっての基本的視点
  今後の国際課税改革に当たっての基本的視点について、以下のとおり議論が取りまとめられました。
  • 日本企業の健全な海外展開や国際競争力向上に貢献しつつ、租税回避を適切に防止できるよう制度を見直すことが必要である。
  • 日本が「BEPSプロジェクト」の合意事項の着実な実施に範を示し、租税回避防止に向けたグローバルな取組みをリードすることが必要である。
  • 国際課税を中心に税務当局職員の増員やスキルアップを含めた執行体制やモニタリング機能の増強を検討する必要がある。
(2) 個別の制度設計に当たっての留意点
 個別の制度に関する論点については、以下のとおり議論が取りまとめられました。
  • 平成29年度税制改正において見直す「外国子会社合算税制」について、租税回避リスクを外国子会社の外形(会社全体の税負担率や会社としての実態の有無)で判断する方法から、個々の活動内容(所得の性質等)を見て判断する方法に転換することが必要である。その際に、企業の事務負担に留意する必要がある。
  • 「タックス・プランニングの義務的開示制度」について、対象範囲や罰則の内容等について諸外国の制度も参照し、制度導入の可否を検討することが必要である。
 【3】 国税犯則調査手続について
  国税犯則調査手続については、「国税犯則調査手続の見直しに関する会合」及び第8回総会の中で、以下の論点に関し、委員及び有識者の皆様から様々な意見交換がなされました。
  • 情報処理の高度化等に対応するため、平成23年に刑事訴訟法に措置された電磁的記録の証拠収集手続を参考として整備すべきと考えられる事項
  • 関税に関する犯則調査手続を定める関税法とバランスをとる観点から見直しが必要と考えられる事項

  その結果、「国税犯則調査手続の見直しに関する会合」で整理された報告書である、「国税犯則調査手続の見直しについて」の内容に沿って、今後、見直しの検討が進められることになりました。

  報告書の主な内容は、以下のとおりです。
  • 電磁的記録の証拠収集手続に関しては、具体的には、ネットワークで接続している外部のサーバに保存された電子データを、国税犯則調査において強制的に取得するための規定などの整備が必要、としました。
  • 関税法とバランスを取る観点からは、具体的には、許可状に基づき、強制調査の手続を夜間でも開始することが出来るようにするための規定の見直しなどが必要、としました。

  今回取りまとめられた個人所得課税や国際課税の論点については、引き続き政府税調において議論が続けられ、今後も節目、節目で情報発信がなされていくものと思われます。
  また、今後、自民党、公明党の税制調査会の場で、平成29年度税制改正についての議論が行われていくものと思われます。

=================================

3  租税史料室の御案内

   税務大学校和光校舎に併設されている租税史料室は、税に関する貴重な歴史的史料を収集・保存し、公開している専門施設です。
    所蔵史料は、常設展示と期間限定の特別展示により公開しており、どなたでも気軽に税の歴史に触れていただくことができます。
    常設展示と特別展示の概要は次のとおりです。

  【1】 常設展示
   国税の歴史について、江戸時代の酒造鑑札、明治から大正時代の間税職員の制服、大正時代の所得申告書にあった「税務署への希望欄」に寄せられた意見など、時代を追って紹介しています。

  【2】 特別展示
  平成28年10月から平成29年9月まで「史料室収蔵品展〜税の蔵出し史料展〜」と題して、皆様から寄贈いただいた史料を中心に、これまであまり展示する機会がなかった史料を選んで展示しています。以下展示内容の一部を紹介します。

  (1) 給所子免相帳(嘉永5(1852)年)
  江戸時代の資料として、嘉永5(1852)年の松代藩の「給所子免相帳(きゅうしょねめんあいちょう)」があります。これは、藩主から俸禄として土地を与えられた藩士について、藩士の名前、知行高、支配地の村名、年貢高などを記載した帳簿です。展示しているのは、幕末の思想家・兵法家として有名な佐久間象山(修理)の部分です。
  (2) 煙草税則一覧表(明治8(1875)年)
   専売になる以前のたばこ税に関する史料として、最初の煙草税則や小売営業免許鑑札、帯型の煙草印紙等があります。煙草税は明治9(1876)年に施行され、明治29(1896)年の葉たばこ専売制により廃止されるまで存在した税金です。
  (3) 売薬請売許可之証(明治16(1883)年)
   営業免許鑑札や売薬印紙を貼付した薬など、明治10(1877)年から大正15(1926)年まで課税された売薬税に関する史料です。
  (4) 大日本○特長者鑑など(明治26(1893)年)
   明治と昭和の長者番付を展示しています。「○持」とは、お金持ちのことですが、時代により、選定方法は変化しています。
  (5) 下足札の入場券(昭和48(1973)年)
   昭和13(1938)年に導入された入場税について、戦前の映画館等の入場券の半券や五代目桂文枝が小文枝時代に独演会で使用した下足札を模した珍しい入場券を展示しています。

  ほかにも、明治期の洋酒の定価表や雪害に関する史料等を展示しています。見学は無料で自由に見学していただくことができます。また、希望により、音声ガイドを聞きながら、又は研究調査員による解説を受けながら見学していただくこともできます。是非御利用ください。

=================================

4  編集後記

  今号では政府税制調査会の議論の取りまとめと租税史料室の御案内についてお送りいたしました。いかがでしたでしょうか。
  今号でご紹介させていただきました税制調査会で取りまとめた個人所得課税等の論点や租税史料室に展示されている税に関する歴史的史料に触れることが、皆様にとって税制について考えるきっかけとなれば本望です。
  今後とも皆様にご興味を持っていただけるような情報を配信できるよう努めていきたいと思いますので、ご愛読のほどよろしくお願いいたします。

                   (山本)


=================================

当メールマガジンについてのご意見、ご感想はこちらへお願いします。
mailto:mg_tax@mof.go.jp

=================================

税制メールマガジンのバックナンバーはこちらからご覧いただけます。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/index.htm

=================================

財務省メールマガジンの配信中止・登録内容の変更は、こちらでお願い
します。

配信中止
 → http://www.mof.go.jp/e-service/unsubscribe1.htm

登録内容の変更
 → http://www.mof.go.jp/e-service/modify1.htm