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税制メールマガジン 第93号 28/11/4

税制メールマガジン 第93号   平成28年11月4日

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◆目次
1 はじめに
2 税制をめぐる最近の動き(政府税制調査会等)
3 主税局若手コラム
4 編集後記

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1  はじめに

  政府税調第5回総会が10月25日に開催され、11月2日には取りまとめに向けた起草会合(第6回総会)が開かれました。また、国税犯則調査関係は、法技術的な側面が強いことから税調での議論の素材を整理するため、租税法の専門家の先生方からなる「国税犯則調査手続の見直しに関する会合」が、月曜日の31日に開催されました。今号はこれらの状況をお届けします。勿論、若手コラムもあります。
  ところで、ちょうど120年前の1896年11月に、税務署と税務管理局が創設されました。それまでは国税事務は府県が取り扱ってきたとのことで、この創設により、税務行政は当時の大蔵省主税局のもとに一元化され、全国的に統一・公平な執行体制が整いました。創設当初は520の税務署があり、同一名の税務署が多数存在していたとのことです。(例えば、富岡という名前の税務署は4か所、本庄という名前は3か所。)ちなみに、その頃の主要な税は、地租と酒造税でした。
  一段と寒くなってきました。ご自愛下さいますようお願いします。

主税局総務課 企画官  梶野 友樹  

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2  税制をめぐる最近の動き(政府税制調査会等)

  前回のメルマガ第92号発行(10月14日発行)から、政府税調においては、以下の通り議論が進められました。

○10月25日:第5回総会
 <議題>
  • 個人所得課税について
  • 国税犯則調査における電磁的記録の証拠収集上の問題について
  • 国際課税について
○10月31日:第1回国税犯則調査手続の見直しに関する会合
 <議題>
  • 国税犯則調査手続について
○11月2日:第6回総会
 <議題>
  • 議論の取りまとめについて

  10月25日開催の第5回総会においては、個人所得課税と国際課税に関して3回目の議論が行われると同時に、国税犯則調査における電磁的記録の証拠収集上の問題について議論が行われました。個人所得課税については、就業調整を意識しなくて済む仕組みの構築をはじめとしたこれまでの論点と、残されたその他のテーマについて、事務方からの説明の後、委員の方々で議論が行われました。なお、国税犯則調査手続については、中里会長より、ICT化への対応を目的とした平成23年の刑事訴訟法改正や、同じく租税に関する犯則調査手続きを定める関税法とのバランスを取る観点から検討を進めたいという話があり、総会で議論する前に、何人かの委員で議論の素材を整理したいとの考えが示されました。
   これを受け、10月31日に、中里会長、岡村委員、増井委員の政府税調委員に加え、日本大学今村教授、日本税理士会連合会会長神津氏、慶應義塾大学笹倉教授、慶應義塾大学佐藤教授の4名の有識者をお招きし、第1回国税犯則調査手続の見直しに関する会合が開かれました。本会合では、事務方から、国税犯則調査手続きに関し見直しを行うべきと考えられる事項について説明があったのち、委員及び有識者の皆様から様々な意見交換がなされました。
   11月2日には、いわゆる起草会合という形で、第6回総会が開催され、個人所得課税や国際課税に関する議論の取りまとめをどのように行うのか議論がなされました。具体的には、配偶者控除の見直しに当たっては、働き方の選択に対して中立的な税制を構築する観点から見直す必要があるとの方向から、様々なご意見がございました。また、国際課税については、今後日本の国際課税制度改革を進めて行くうえで、「BEPSプロジェクト」最終報告書の基本的な考え方等を踏まえ、租税回避をより効果的に防止するという観点と、日本企業の海外展開支援や企業の事務負担への配慮という観点の2つのバランスを取るべきとの考え方をはじめ、様々なご意見がございました。

   政府税調については、次回も、第6回総会での議論に引き続き、起草会合の2回目を開催し、取りまとめに向けた議論が進められていくことと思います。また、10月下旬には、自民党、公明党の税制調査会も開かれ、今後年末に向けて税制改正等に向けた議論が本格化していくものと思われます。

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3  主税局若手コラム

  読者の皆様、こんにちは。主税局調査課でアジア・太平洋地域の税制の調査を担当しております、田中と申します。本コラムでは、これまで諸外国の興味深い税制の事例を紹介して参りましたが、今回は近年の経済発展が著しく、日本との関係も深まっている中国の税制を取り上げてみたいと思います。

  中国の税制の特徴についてですが、まず税収の構成が日本と大きく異なっています。日本では、所得課税(所得税、法人税)の税収割合が高い一方、中国では間接税が主要な税収であることが特徴です。中国の間接税としては、日本の消費税に当たる「増値税(ぞうちぜい)」などが存在しますが、それらが税収に占める割合は5割を超え、主要国と比べて高い割合を占めています(2013年において、日本の消費課税の割合は約30%)。一方、日本における主要な税目である所得税に当たる「個人所得税」は、税収の約6%を占めるのみとなっています(2013年。日本の個人所得課税の割合は約33%)。

  また、日本人からすればより驚くべき特徴が中国税制には存在します。それは、中国には「税法」が極めて少ないということです。日本では、憲法において「租税法律主義」が定められているため、新たに租税を課し、又は現行の租税を変更する場合には、法律が国会で議決されることが必要となります。一方、中国では、租税に関する法令は必ずしも日本の国会に当たる「全人代」で議決される必要はなく、「国務院」(日本の内閣に相当)の発出する「条例」(日本の政令に相当)のみで税を課すことができるのです。実際に、現在の中国の租税に関する法令のうち全人代で議決されたものは「個人所得税法」など一部しかなく、先ほど紹介した「増値税」も国務院の条例を根拠に課税されています。

  そんな中国ですが、近年には大きな税制改革が実施されています。それは「営改増」改革と呼ばれる、間接税に関する大規模な改革です。中国には、先述した「増値税」が存在しますが、かつてこの税の課税対象は日本の消費税とは大きく異なっていました。「増値税」は、大まかに言って「物品の販売」のみに課される税であり、「サービスの提供」については、「営業税」という異なる税目が課されていたのです。しかし、付加価値税である「増値税」に対して、「営業税」は取引高税であったため仕入税額控除ができず、増値税と営業税の二重課税が発生するといった問題が指摘されてきました。そのため、これまで「営業税」が課されていたサービスの提供などについても、「増値税」の課税対象に転換するために実施されたのが、「営改増」改革です。本改革は、2012年より上海で一部の業種について試行的に実施され、その後対象業種・実施地域の拡大が行われてきました。そして、本年3月には「営改増」の全面展開に関する通知が国務院より発表され、5月より全業種について全面実施されました。これにより、大きく分けて「物品の販売」と「サービスの提供」で異なる税目が課されていた中国の間接税が、一つの制度に統一されたことになります。「営改増」の全面展開は「あらゆる業種の税負担を確実に軽減し、増税はしない」との方針の下で実施され、2016年度中の減税効果は、その他の料金免除などの措置と併せ、5,000億元超にのぼると見込まれています。

  中国は歴史的・地理的にも日本と関係の深い国ではありますが、「税の決め方」がこれだけ日本とは異なり、ある意味日本の常識が通じない?国とも言えます。「近くて、遠い」中国税制ですが、そのような国についても正確な調査・分析ができるよう、今後とも精進してまいりたいと思います。

      主税局調査課  田中 佑典  

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4  編集後記

  今回は、中国税制についての若手コラム、最近の政府税調等の動きについてお送りいたしました。いかがでしたでしょうか。今回の編集後記は渡部が担当いたします。

  ついこの前まで夏休みの思い出話をしていたと思ったら、気付けば11月に入っていました。最近では、テレビを付ければ来週に迫った米大統領選の話題が目につきます。昨年の今頃は、必ずしも多くの人々が本当に正式な候補者になるとは思っていなかったドナルド・トランプ氏が共和党の候補者になり、当初本命中の本命であったヒラリー・クリントン氏が民主党候補者選でバーニー・サンダース氏と最後まで接戦を繰り広げました。一般的に、米国の大統領選挙は、人種や宗教等の違い、それを背景とした考え方や価値観の違いを色濃く反映するものと言われています。各々のグループである種個々人の考え方等がはっきりとしていると言えるのではないかと思います。今回の大統領選挙に際して行われた米国のある研究機関の調査によっても、こうした傾向は認められるようです。個人的には、多様なバックボーンの人々が共存する米国社会においては、様々な考え方や価値観を尊重する土壌があるのかなと感じます。
  いずれにせよ、こうしたニュースを見聞きするたびに思うのが、個々人が何等かの明確な考え方や価値観を持った上で、選挙等を通じて政治に積極的に参加している欧米諸国の姿勢です。日本においても、先の参議院議員選挙から選挙権の年齢が引き下げられました。総務省や文科省においても主権者教育が叫ばれる中で、今後は、若い世代も含めて個々人が自らの考えを持つことの重要性がより高まっているのではないかと思います。
  微力ながら、日本の税制についての広報の一端を担っている私としても、どうしたら日本の税制・財政について色々な方々に関心を持ってもらえるかを日々考えています。例えば、昨年11月に、政府税調では「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」を取りまとめ、この四半世紀の間の日本の経済社会構造の変化を把握するとともに、税制の見直しの方向性を示しました。本年9月からは、こうした議論の上に立ちつつ検討を更に深めていくために、政府税調での議論が再開されています。こうした日本の現状と今後の方向性について、色々な方に“自分事”として考えていただく「きっかけづくり」を、もっともっとしていかなければいけないなと、米大統領選挙の報道を通じて再認識した今日この頃です。今後もHPや講演等を通じて、主税局広報係としても、日本の税制についてしっかりと広報活動していきたいと考えていますが、皆さまにおかれましても是非良いアイデアなどあれば、ご意見頂けると幸いです。
(ご意見、ご感想はこちら!:mg_tax@mof.go.jp

  すっかり天気が冬の様相を呈してきました。10月下旬から突然寒くなったからか体調を崩されている方をよく見かけます。今後ますます寒くなると思われますが、皆さまもお身体ご自愛ください。…私は少々風邪気味です。

                   (渡部)


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