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税制メールマガジン 第85号 27/11/19

税制メールマガジン 第85号   平成27年11月19日

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◆目次
1 はじめに
2 「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」
  (平成27年11月、税制調査会)について(概略等の紹介)
3 最近の税制の動き(BEPSプロジェクトの動向について)
4 主税局若手コラムその1
5 最近のトピック(高校への出張訪問)
6 編集後記

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1  はじめに

  7月末以来、約4か月ぶりの発行となりました。時間がかかってしまい申し訳ありません。しばらく時間がかかってしまいましたが、その分、今回のメールマガジンでは、税制を巡る出来立てほやほやのトピックを2つ紹介させていただいています。

  一つは、政府税調で7月から精力的に議論を行ってきた「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」です。難しいタイトルの論点整理ですが、人口や家族、働き方など、いろいろな切り口から、日本の経済社会がどのように変わってきたのか、その変化に対して税制はどう対応していくべきか、といった点を論じたレポートになっています。
私が学生のころは、「サザエさん」モデルなどと言われていましたが、夫が外で働き、妻が家を守り、2人ぐらいの子どもを育てるといった、日本の世帯モデルはもはや過去のものとなっています。まさに「標準」的なるものがなくなり、「多様」化が進む時代にあって、税制をはじめとする社会制度はどうあるべきか、皆様にも読み応えのあるレポートになっているのではないかと思います。

  もう一つは、国際課税における「BEPS」プロジェクトの最終報告書。皆様も、新聞等でスターバックスやアマゾンといった多国籍企業の納税を巡る報道などを目にされた機会もおありになるのではないかと思いますが、「BEPS」プロジェクトは各国が協調して国際課税の課題に取り組む、という画期的なプロジェクトです。そのプロジェクトに我が国は積極的に取り組んでおり、このプロジェクトの意義、日本のプレゼンスの高さについては、麻生大臣もことあるごとに発信されているものです。
  これからの時期、主税局は年末にかけて来年度の税制改正作業に入っていきます。次回のメルマガでは、28年度税制改正の内容について、これまた出来立てほやほやの状態で皆様にお知らせできたら、と思っています。

主税局総務課 主税企画官  関 禎一郎  

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2  「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」
   (平成27年11月、税制調査会)について(概略等の紹介)

  先週13日、政府税制調査会において「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」が取りまとめられました。
  この論点整理は、本年6月に閣議決定された骨太方針2015に示された「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」に関する議論を整理するというミッションの下、7月から約4か月の間に14回という非常に精力的な議論を経て取りまとめられたものです。

  内閣府HPに報告書は掲載されておりますので、詳細はそちらをご覧頂ければと思いますが、(http://www.cao.go.jp/zei-cho/index.html)報告書の構成を簡単に御紹介しますと、
  ・ 第1部が、個人所得課税や資産課税の改革にあたっての基本的な考え方を整理した「今後の税制の検討にあたっての論点整理」となっており、
  ・ 第2部は、改革の方向性を考えるにあたっての前提となる「我が国経済社会の構造変化の実像について」整理したものとなっています。

  その具体的な内容については、順番が逆転しますが、次のようになっています。

  【第2部(議論の前提となる「実像」パーツ)】
 経済社会の構造変化については、
 (1) この四半世紀の間に、次のような大きな構造変化が生じたとの認識の整理が示されています。
  ・ 家族のセーフティネット機能、会社のセーフティネット機能が低下し、公的セーフティネットについても新たな課題が生じているなど、「生活基盤」が脆弱化するリスクが生まれている。
  ・ 生産年齢人口が減少するとともに、非正規雇用の増加により働き手の能力向上の機会が阻害されるなど、「成長基盤」が損なわれる恐れが生まれている。
 (2) また、対応策として、次の3つの視点から「成長基盤」と「生活基盤」を再構築することで若い世代に光を当てていこうといったことが掲げられています。もとより、こうした取組は、「税制改革だけでは限界があり、社会保障制度を含めた関連する諸制度における総合的かつ整合的な対応が必要である」とのメッセージも盛り込まれています。
  ・ 少なくとも夫婦で働けば子どもを産み育てられるような生活基盤を確保する。
  ・ 多様な人材が、自らのライフスタイルやニーズに応じて働くことができ、その努力が報われる社会環境を整備し、就労等を通じて社会とのつながりを回復できるようにする、
  ・ 年齢ではなく、経済力を踏まえた形で再分配機能を再構築する。

  【第1部(税目パーツ)】
  それぞれの税目ごとに、次のような基本的方向性が整理されています。
 (1) 個人所得課税について、
  ・ 「結婚して子どもを産み育てようとする若年層・低所得層に配慮する観点からの所得再分配機能の回復」を目指して、諸外国の制度等も参考にしながら、所得控除方式の見直しを検討していくべき
  ・ 「働き方の違いによって不利に扱われることのない中立性の確保」を目指して、家族構成などの人的な事情に応じた負担調整を行う「人的控除」の役割を高める方向で控除全体のあり方を検討していくべき
  ・ 「老後の生活に備えるための自助努力に対する支援」として、金融所得や企業年金・個人年金等に関連する税制上の諸制度について、働き方・ライフコースに影響されない公平な制度の構築を念頭に幅広く検討していくべき
 (2) 資産課税について、
  ・ 相続税に関して、25年度改正の影響を見極める必要があるが、相続税の有する資産再分配機能の適切な確保や、老後扶養の社会化の進展を踏まえた遺産の社会還元、といった観点から検討していくべき
  ・ 贈与税に関して、「老老相続」の増加を踏まえ、資産移転の時期の選択により中立的な制度の構築を目指して幅広く検討していくべき

  この中間的整理は、来年の中期答申の策定に向けて、論点を整理したものという位置づけであり、政府税制調査会において引き続き議論が進められていくこととなりますが、この論点整理の中にも記されているとおり、個人所得課税や資産課税等の改革は「家族のあり方や働き方など国民の価値観に深く関わるものであることから、幅広く丁寧な国民的議論」が必要となります。
  そうした中で、この論点整理は、我が国の経済社会は、この四半世紀の間にどう変化してきたのか、そうした変化に税制としてどのように対応すべきか、という根本的なテーマに政府税制調査会として一つの整理を試みた、非常に意欲的な中身になっています。

  このメルマガの読者の皆様も、ぜひこの論点整理をご一読いただき、我が国の個人所得課税、資産課税の将来像について考えてみていただければありがたいと思います。我々も、様々な機会にこの論点整理の内容の周知に努めていきたいと考えております。

       主税局総務課  関 禎一郎

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3  最近の税制の動き(BEPSプロジェクトの動向について)

  国際課税については、前々回、前回と2度にわたり、特集してきましたが、今回は、「BEPSプロジェクトの動向」について、ご紹介したいと思います。

  そもそもBEPS(税源浸食と利益移転:Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトとは、グローバル化が進展する中で、多国籍企業が国際的な税制の隙間や抜け穴を利用した過度の節税対策により、税負担を軽減している問題への対応として、2012年6月にOECD租税委員会(議長:浅川財務省総括審議官(現財務官))がスタートさせたプロジェクトのことです。

  2013年には、G20からの要請も受け、15の行動からなる「BEPS行動計画」が公表されました。その後、OECD非加盟国のG20メンバーも議論に参加しながら、各国の税制の調和を図りつつ、現行の国際課税ルールを経済活動の実態に即したものとし、公正な競争条件の下で各国企業が自由に経済活動を行える環境作りを目指し精力的な議論が行われてきました。日本としても、OECD租税委員会を始めとした国際会議の場で、積極的に議論を先導してきたところです。

  そして2014年9月には、本プロジェクトにおける7つの行動に関する第一弾報告書が公表され、今年9月には、全15の行動についての最終報告書が取りまとめられ、先月公表されました。その後、先月のG20財務大臣会合(リマ)・今月15、16日のG20サミット(アンタルヤ)において報告され、各国大臣・首脳から強い支持を得ました。

  本プロジェクトは、今後は「ポストBEPS」として、最終報告書の内容に基づいて、各国がそれぞれ必要な法整備や租税条約の改正作業を順次実施していく段階に入ることになります。OECD加盟国のみならず、途上国を含む関心のある国々の参加も期待されるこの「ポストBEPS」においても、引き続き日本の高いリーダーシップが求められます。

  先月のG20財務大臣会合までの経緯及び本プロジェクトの概要については、今月号のファイナンスにて紹介されておりますので、是非、ご覧ください。

  財務省HP:http://www.mof.go.jp/public_relations/finance/index.htm


        主税局参事官室 内田映美

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4  主税局若手コラムその1

  読者のみなさま、こんにちは。主税局調査課2年目で、外国税制の調査を担当しております、小笠と申します。入省1年目はフランス税制の調査を、今年度はヨーロッパ諸国の税制調査を担当しております。
  前回号にて、関企画官より、若者が自由に発信する場としたいというお話を頂きましたので、まずは調査課若手を代表して、私から、最近の話題に関連して、興味の赴くままコラムを書かせて頂きたいと思います。

  やはり今年の重大ニュースといえば、「連日の日本人ノーベル賞受賞」。文系人間の私には到底理解が及ばないジャンルでしたが、購読者の皆さまも、そこはかとなく誇らしい思いを抱かれたことと思います。
  ご存知のように、ノーベル賞受賞者にはメダルと賞金(※2015年のノーベル賞の賞金は800万スウェーデン・クローネ(約1億1,200万))が授与されるわけですが、我が国の場合、ノーベル財団からノーベル賞として交付される金品は非課税です。
  かつて1949年に湯川秀樹博士がノーベル物理学賞を受賞した時に、こうした名誉ある賞の賞金等が課税されるのはどうなのだろうかという話になり、急遽、所得税の非課税措置が講じられたことに端を発するものです。

  さて、この賞金の額は2012年に1000万スウェーデン・クローネから引き下げられたままなのですが、これは、財団の基金の運用益により賞金が決められるためだそうで、財団の台所事情も甘くは無いようです。ただ、かつてはもっと深刻な状況にあり、その事情に、少なからず税が関係していたようです。

  今を遡ること110年余、ノーベル賞の授与は1901年から行われるようになりました。
  当時から、ノーベル財団は所得税などの税を課されていたのですが、それでも、授賞を開始した当初は、あまり税負担は重くなく、定められていた税率も10%でした。しかし、1915年に第一次世界大戦の煽りを受けて、「臨時防衛税」が導入されると、ノーベル財団の税負担は一気に倍増しました。その後も暫く高負担が続き、1923年には賞金の額がもっとも低い水準に達してしまいました(約11万スウェーデン・クローネ、現在の貨幣価値に換算すると約4,200万円と、現在の半分以下!)。
  こんなこともあり、賞金額が下がる一方で、ストックホルム市内における一番の高額納税者はノーベル財団だったようですが、これでは、いくらノーベルの残した巨額の遺産といえども、未来に渡って同様の賞を維持することは難しくなってしまいます。
  そこで、財団からは、スウェーデン議会に対して、財団への免税措置を導入するよう、要求が始まりました。
  この甲斐あってか、第二次世界大戦終結後の1946年には、ノーベル財団に課されていた所得税・地方所得税・資産税が免除となり、不動産所有に係る所得のみが課税の対象へと改正されました。この措置により、ノーベル財団の継続的な拡大が可能になったとされています。この後、ノーベル財団の投資先に関する規制が緩和されていき、現在の資金運営の姿になったということです。
  ノーベル賞の授賞式は、賞の創設者・アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日に開催されます。今年は、このような苦労話にも思いをはせながら、授賞式をご覧いただけると、もう少し近い世界のお話として感じることができるかもしれません。

  ちなみに、最初にお話しした、日本では、ノーベル賞の賞金等は非課税というお話。
  実は、ノーベル経済学賞の場合、賞金が、ノーベル財団ではなくスウェーデン国立銀行から支給されるため、税法上、課税の対象になるのかどうかという議論が残っています。経済学賞設立が1968年ですから、湯川博士の受賞当時には想定されていなかった論点なのです。
  経済学賞でも日本人が受賞し、いずれ、この議論にも終止符が打たれることを祈って止みません。

      主税局調査課  小笠 智樹

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5  最近のトピック(高校への出張訪問)

  先日、高校生の皆さんと一緒に税のあり方について考えたいということで、岐阜県飛騨地方にある県立益田清風高校を訪問してきました。
  これまでも、大学生の皆さんを対象として、主税局では、日本の税財政の現状や今後の税のあり方等についての講義を行ってきていたのですが(毎年、延べ数十校)、高校の授業で時間を頂くのは、初めての経験です。

  実際に授業の場に行くと、自分の高校時代とは大違い。しっかりと着席して、2時間の講義中もざわつくこともなく集中して授業に臨んでくれました。聞けば、高校生の皆さんは、この授業や税務署長の授業を踏まえ、来年には、自分たちで中身をまとめて、市内の中学生向けの出張授業に訪問するのだとか。時間をかけて、税について考える機会を持っていただけるというのは、本当にありがたい限りです。

  さて、授業に臨むに当たり一番悩んだのは、普段、税制と関わりの薄い高校生の皆さんに、どうすれば、我がこととして捉えてもらえるのか、興味を持ってもらえるのかということです。法人税改革の話題等はさて置き、消費税に的を絞った方が良いのだろうかとか、現代の税制だけではなく、租庸調とか、近代西洋の窓税やひげ税といった話も盛り込んだ方が興味を持ってもらえるのではないか等、普段とは全く違う視点から、税について考える機会になりました。
  同じように、例えば「公平」という言葉1つも、経済学の用語では「垂直的公平」「水平的公平」という言葉で表されるわけですが、高校生の直感に届くような言い方ではどうなるのか等々。
  いずれも、広報担当として普段から考えるべき「どうすれば、より伝わるのか」ということを考え直す良い機会となりました。

  高校生の皆さんからも、
  ・ 税金を納める場合に公平であることは重要だが、お金持ちとそうでない人にとっては、公平にも違いがあることを再認識した。そこで、平等ではないようにみえても、消費税、所得税、相続税など、全体として公平になるように税金が集められているということなのだと感じた。
  ・ 今までは税金を支払う立場としてしか意識していなかったが、支払った税金が学校や病院等で使われ、自分たちにもメリットがあることに改めて気づかされた。
  ・ 就職するに当たり、税制を知らなかったので不安だったが、今回の講話は役に立つ話で、不安も少しは解消し、勉強になった。
等、非常に嬉しい感想をたくさんいただきました。

  これからの社会を担う若者たちと、今後とも、是非一緒に、日本の税財政や社会構造の変化といったテーマについて話をすることができればと思っております。資料の中身や授業の進め方については、高校生のみなさんの生の声も貰いながら、少しずつブラッシュアップしていこうと思っています。

  ※ 益田清風高校HPhttp://school.gifu-net.ed.jp/mseifu-hs/gakka/business/img/katudouhoukoku/h27.10zaimusyou.pdf

なお、これからもどんどん皆さんの集まりや、大学・高校・中学などの授業に出張していきたいと思いますので、ご興味を持っていただけましたら、お気軽に、下記メールアドレスまでお問い合わせください。(日時、場所、内容など、適宜、ご相談に応じます。また、集まりの規模も10名程度以上でお受けします。)

  アドレス:mailto:tax-houmon@mof.go.jp 

      主税局調査課  高澤 航

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6  編集後記

  7月に開始した政府税制調査会の議論も、本文にも記載のある通り、先週ようやく、中間的整理の取りまとめとなりました。
  限られた時間の中で委員の方々に有意義な議論を頂くため、経済社会を分析した資料や、各税目の歴史や国際比較をした資料など、夏休み(そして、シルバーウイークも?)返上で資料作成に勤しんでいた担当係も、ほっと一息といきたいところですが、一方で、毎年度の税制改正の動きもそろそろ本格化の時期を迎えています。
  例年、11月から12月上中旬に与党内で集中的に議論が行われて与党税制改正大綱が取りまとめられ、その後、政府としての税制改正大綱を決定し、翌年の常会に税制改正法案を提出することが通例となっています。
  これから本格化する税制改正の動きにもしっかりとついていき、適宜、読者のみなさまにも、来年度税制改正の方向性をお伝えしていきたいと思っております。

                (高澤)


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