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税制メールマガジン 第84号 27/07/29

税制メールマガジン 第84号   平成27年7月29日

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◆目次
1 はじめに
2 国際課税を考える(2)  〜租税条約ってどういうもの?〜
3 納税環境整備について
4 最近のトピック
5 新入省者紹介
6 編集後記

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1  はじめに

  今回から、新たにこの税制メールマガジンを担当することになりました。よろしくお願いします。

  新たに担当するに際し、この税制メールマガジンの原点を振り返ってみようと、平成16年3月31日の創刊号を読み返してみました。
  当時の担当者は、『少子・高齢化が進み、財政状況が厳しいなかで、これから、どのような社会の姿を描き、どのような「税制」にしていったらよいのでしょうか。私たちは、国民の皆さん一人ひとりに関わるこの問題について、できるだけ多くの方々と一緒に考えていきたいと思い、メールマガジンを配信させていただくこととしました。』と、配信の狙いを述べています。この趣旨は、創刊から10年以上を経過した今でも全く色あせるものではありません。私も、創刊の原点を忘れることなく、取り組んでいきたいと思います。

  話は変わりますが、先日ある方とお話をしていたときに、「政府の皆さんとは、審議会のようなフォーマルな場、または、全くのプライベートであるインフォーマルな場で接点を持つことはあるが、その中間のカジュアルな場みたいなものがもっと作れないものですかね」との指摘をいただいて、ハッとしました。
  この税制メールマガジンは、若手を含め現場の担当者が感じていること、考えていることを、良い意味で、肩の力を抜いて、「カジュアル」に配信していく場にできるのではないか、そんな気もしています。
  “税”というと、何か「負担させられるもの」という堅苦しい印象もお持ちになる方も多いと思いますが、制度というのはその時々の社会の情勢等を反映しているものです。今後も、所得税、法人税、消費税など、税を巡る様々な議論が出てくると思いますが、どのような社会の構造変化に注目して議論が行われているのか、といった点について、読者の皆様にカジュアルにお伝えし、少しでも「へえ〜」とか「そうなんだ」とか、余韻を残せるような中身にしていけたらいいな、と考えております。
  今後とも、この税制メールマガジンをよろしくお願いします。

主税局総務課 主税企画官  関 禎一郎  

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2  国際課税を考える(2)  〜租税条約ってどういうもの?〜

  国際課税は、国境をまたぐ経済活動に対する課税分野で、各国の税法と国家間の租税条約のコンビネーションで織りなされています。今回は、この租税条約について、簡単にご紹介したいと思います。

  租税条約は、2国間で課税権を調整し合う条約です。では、そもそも、どうして課税権の調整が必要なのでしょうか。国家は国民と領土を持っているのだから、その範囲内で課税権を行使すれば外国との調整は不要ではないか、と思われるかもしれません。けれど、経済活動は、国民や領土といった区切りをとっくに乗り越えてしまっているのです。日本人が、シリコンバレーに移住して会社を作り、インドの技術者と技術開発し、アメリカで特許を取り、中国で製品を作り、オランダを拠点にヨーロッパ市場に売る、といったことはもはや夢物語ではありません。経済のグローバル化というのはそういうことです。

  ところが、経済活動はグローバルに行われる一方で、税金を課すのはローカルな主体である国です。世界政府のような存在があれば、一旦グローバルに課税したうえで税収を各国に配分することもできたかもしれません(この視点からは、実は、地方税の論点に国際課税と共通するものを多く見出すことができます)が、現実には無理です(少なくとも、当面の間は)。他方、各国が思い思いに課税していくと、複数の国の課税が何重にも積み重なって課税が行き過ぎたり、逆にどの国も課税しない課税の空白が生まれたりするかもしれません。そこで、こういった凸凹を個別にならしていく必要があるのです。

  凸凹をならすというのは簡単ですが、実際には、各国が自国の法体系で決めている課税のあり方を部分的に変更することに他なりません。これには、通常、法律と同等以上の枠組みが必要です。そこで租税条約が結ばれるのです。租税条約は、二国間で、それぞれ何にどこまで課税するかを決めて、なるべく両国の課税が重ならないようにしつつ、もし重なった場合にどちらがどのくらい引っ込むか(課税権を譲るか)を決めます。また、基本ルールを決めても、個別の事例へルールを適用する際に争いがあるかもしれませんので、どうやって争いを解決するかという手続きも決めておきます。

  もちろん、国毎に大きく異なる税体系をゼロから個別に調整していては、さすがに収拾がつきません。そこで、各国がより体系だって効率的に租税条約交渉を行えるよう、租税条約の基本的な内容・方針をまとめたモデル租税条約が準備されています。現在、このようなモデルにはOECD租税委員会(浅川・財務省国際局長が議長を務めています)が作成したものと、国連が作成したものとがありますが、骨格は同じです。このモデル租税条約は、変化する国際環境に応じて随時改定されています。つまり、各国の租税条約担当者は、モデル租税条約の改定と、自国の租税条約の締結・改定の2段階で交渉することになります。

  租税条約交渉は、両国の税法体系がぶつかり合う部分を調整するものですから、とても技術的・専門的な内容になります。このため、条約の実質的な部分は両国の財務省間で協議されるのが一般的です。概ね半年に1度程度のペースで交互に条約チームが訪問し合い、毎回数日間集中的に協議し、合意に向けた交渉の道筋がついたところで外務省も交えて正式交渉に入ります。財務省間で実質的な協議を始めてから正式に署名するまで概ね1〜2年かかりますが、協議に何年も費やすこともあります。

  現在、日本は64か国と租税条約を持ち、世界中では3千を超える租税条約があります。この膨大な条約体系と、それぞれの国の国内法が国際課税の体系を作り上げているのです。これを、経済状況の変化に応じて、適切にメンテナンスしつつ、さらに発展させていくことは気が遠くなる作業です。しかし、これが国際課税の醍醐味とも言えるでしょう。

主税局参事官室 国際租税総合調整官 緒方 健太郎

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3  納税環境整備について

  所得税や法人税など多くの国税は申告納税制度を採用しています。納税者が自らの税額を申告し、納めていただくという制度です。したがって、納税者の方が申告・納税する環境を整備・改善することも重要であり、毎年の税制改正の中で行っています。今回はその中から2つの改正を紹介します。

  例年、2月16日から3月15日まで(今年は3月16日まで)は所得税の確定申告期間ですが、期間中は読者の皆様の中にも確定申告をされた方がいるのではないでしょうか。その確定申告の方法として、インターネットで行うe-Taxという方法があります。毎年、確定申告の時期になるとテレビなどでCMが放映されていることからご存知の方は多いと思います。そのCMを見て、実際にこのe-Taxを試そうとなさった方もいると思いますが、e-Taxで申告する場合には、電子証明書とそれを読み取るICカードリーダライタという機器が必要と知り、利用を断念された経験がある方もいるのではないかと思います。実際に、昨年の確定申告では、約2,100万件の申告があった中で、納税者の自宅などからe-Taxで申告された方は数%となっています。

  今回の税制改正では、このe-Taxを利用した申告を使い勝手のよいものとするよう見直しを行っています。具体的には、携帯電話を利用した音声通信認証により、あらかじめID・パスワードの発行を受け、このID・パスワードを使ってe-Taxで申告ができるようになります。総務省の調査によると携帯電話の世帯普及率は約95%(平成24年度末)であることからも、この改正により、多くの方は電子証明書などの特別な準備は必要なく、e-Taxで確定申告することができることになります(既に電子証明書やICカードリーダライタをお持ちの方は従来どおり利用可能です)。e-Taxでの申告は行政効率を上げるという観点からだけでなく、納税者の利便を向上するものでもあります。今回の改正は平成29年1月からとなりますが、e-Taxの利用が増えることを期待しています。

  次に法人や個人で事業を行っている方に関する制度の改正を紹介します。

  事業をしていると、取引先や顧客と交わす契約書や受け取る領収書が多く存在すると思います。現在の税法では、それらは原則として7年間保存する必要があります。最後の6年目・7年目(一部の書類については4年目以降)はマイクロフィルムでの保存も可能となっていますが、基本は、原本を(つまり紙で)保存していただくこととなっています。

  このような紙での保存が、民間の経営活動や業務運営の効率化の阻害要因となっているとの指摘もあり、民間の文書保存に係る負担の軽減を図るため、平成17年度の改正で、一定の要件の下でスキャナ保存(スキャナで契約書等を読み取り、作成された電子データを保存すること)が可能となりました。
   (参考)平成16年の段階では、ある経済団体は、経済界における税務書類の紙による保存コストは年間3,000億円と試算しています。

  しかし、平成17年度改正で導入して10年近くがたった現在でも、このスキャナ保存を行っている納税者は133件(平成26年6月末時点)と一向に普及が進んでいません。適正公平な課税を確保するという観点からは、契約書や領収書は重要な書類です。このため、原本の代わりに保存する電子データが改ざんされないように一定の要件を付けているのですが、この要件が厳しすぎたということも原因にあるかもしれません。そのこともあり、今回、改ざん防止を図りつつも大幅な要件の見直しを行ったところです。

  ある公益社団法人が昨年行ったアンケートによると、要件緩和により半数程度の方がスキャナ保存を検討すると回答する結果もあることから、今回の改正により、より多くの法人・事業者が利用されることを期待しています。

  今回ご紹介した2つの改正内容は以下の資料をご覧下さい。

e-Taxによる申告の簡素化
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20150728_a.pdf.pdf
スキャナ保存制度の見直し
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20150728_b.pdf.pdf

主税局税制第一課 前・企画官 山下 和博

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4  最近のトピック

  今月から政府税制調査会が再開されました。
  これは、先月30日に閣議決定された骨太の方針において、人口構造や家族、働き方などが大きく変わる中、経済社会の構造変化を踏まえた税制の構造的な見直しを、政府税制調査会を中心に実施するとされていることに沿ったものです。
  現在のところ、まずは、この四半世紀の間に、わが国を取り巻く経済社会の構造がどう変化してきたのか、基本的なファクトやデータの確認を行うとともに、税財政以外の幅広い分野における有識者からのヒアリングを行っている状況です。
  資料、議事録等については、随時掲載していきますので、適宜ご確認ください。

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/index.html

(高澤)

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5  新入省者紹介

  今年の春、主税局に仲間入りした社会人一年目の3人。研修なども終わり、既に、立派な戦力として活躍しつつある今日この頃ですが、折角の機会ですので、意気込みを書いてもらいました。

  まずはMくんから。
  はじめまして。この春から、主税局調査課で内国税制調査の担当として働き始めました。学生時代から租税法のゼミを受講するなど税制に興味があったので、税制に関わる仕事ができて嬉しく思います。私は現在、人口減少やグローバル化など、経済社会の様々な指標を用いた資料やデータのチェックや作成を通して、税体系のあるべき姿について調査しています。実際に業務に携わってみると、消費税などの議論が活発に交わされている職場に身を置く中で、日本を支えるインフラの一つである税制についての議論が身近に感じられるようになりました。日々先輩方から仕事を教わりつつ、税制についての認識を深め成長していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

  続いて、Yくん。
  はじめまして。これからフランス税制の調査を担当いたします。法令用語・税務用語が入り交じったフランス語の文章を読むことの難しさや、日本にはない制度の内容把握に戸惑いながらも、日々奮闘しております。現在は、先輩方から仕事を教わっている最中であり、試行錯誤を重ねつつ、一歩ずつ成長しているという喜びを感じております。未熟な私ではございますが、一刻も早くチームの一員として力になれるよう、精進を続けて参ります。よろしくお願いいたします。

  最後に、Mさんから。
  こんにちは。この度、主税局調査課ドイツ税制担当となりました。学生時代よりドイツに興味があったため、ドイツ税制に携わる機会を頂き、どのような世界が広がっているのかと楽しみにしています。同時に、先輩方の姿を見て、必死に学ばなければと痛感する日々です。現在はドイツ発信の税に関する文献を毎日チェックしつつ、ドイツ税制を基礎から学んだり、業務を通じて気づきを得たりしています。他国から学ぶこと、比較をすることはきっと非常に楽しく、また有意義なことだろうと考えています。日本の税制をより良いものとするためのお役に少しでも立てるよう、一つ一つの仕事に真摯に取り組んで参ります。


  日々の業務に取り組む中で、いずれは、税制に関するコラムを執筆できるくらいの知識を蓄えてくれると思いますので、3人の成長を温かく見守っていただけると幸いです。

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6  編集後記

  関東地方も漸く梅雨が明けたと思ったら、今度は急激な暑さ。皆様、如何お過ごしでしょうか?
  主税局も大型異動の季節を迎え、私の周りはほぼ全員がメンバーチェンジとなりましたので、心機一転、広報の新規企画にも取り組んでいきたいと思っています。

  さて、昨年冬から始めた訪問勉強会。企画して数カ月ですが、全国各地からお声掛け頂いて、税制改正の動きや現下の経済社会状況等、オーダーに応じた色々なテーマをお話ししています。「初めて聞く話ばかりだった」「また来年も来てほしい」と言って頂けることも多く、大変嬉しい限りです。
 一方、私たちにとっても、実は皆様から様々な御意見を伺う貴重な機会ですので、大変有意義な時間を過ごしています。

  この夏以降も、どんどん皆さんの集まりや学校の授業などに出張していきたいと思いますので、ご興味を持っていただけましたら、お気軽に、下記メールアドレスまでお問い合わせください。(日時、場所、内容など、適宜、ご相談に応じます。また、集まりの規模も10名程度以上でお受けします。)

メール:mailto:tax-houmon@mof.go.jp (高澤)


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