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税制メールマガジン 第83号 27/02/18

税制メールマガジン 第83号   平成27年2月18日

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◆目次
1 はじめに
2 法人税改革について(平成27年度税制改正)
3 国際課税を考える(1)  〜ピケティと国際課税〜
4 最近の税制改正等をめぐる動き
5 編集後記(『お知らせ』もあります!!)

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1  はじめに

  昨日(2月17日)、平成27年度税制改正関連法案が閣議決定され、国会へ提出されました。前号で税制改正の内容についてご紹介しましたが、今号でも法人税改革等の解説や、各改正項目の図表(リンクを付しています)についてお知らせしています。ご参照ください。

  ところで、税制改正法案へ盛り込まれる中身とは、当たり前ですが、税制改正論議を経て結論が得られた内容となります。逆に言うと、議論はされたものの結論を得るに至らず、引き続きの検討事項と認識されている内容も数多くあるわけです。

  例えば、政府税制調査会が昨年11月に公表したレポートには以下の記述があります。「社会・経済の構造変化を踏まえ、働き方の選択に対して中立的な税制を構築するに際しては、所得税・個人住民税において従来講じられてきた税制上の配慮のあり方を見直し、今後どのような世帯に税制上の配慮の重点をシフトしていくべきかについて検討を行う必要がある。」そして、年末の与党税制改正大綱では、「個人所得課税について、効果的・効率的に子育てを支援する観点、働き方の選択に対して中立的な税制を構築する観点を含め、社会・経済の構造変化に対応するための各種控除や税率構造の一体的な見直しを丁寧に検討する」とされました。

  与党税制改正大綱にはこんな記述もあります。「目下はデフレ脱却・経済再生に向けて税制を含めあらゆる政策資源を集中投入すべき状況にある」としつつ、「他方、税制は社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、不断の見直しを行わなければならない。」

  昨年末の経済財政諮問会議資料では、「歳入改革についての検討課題」として、「税制については、人口減少・少子高齢化の進展等、経済社会の構造変化が急速に進む中、既存税制の部分的な手直しにとどまらず、「公平・中立・簡素」の三原則の下、中長期的視点に立ち、税体系全般にわたる構造改革を検討する必要がある」との記述がなされています。

  いかがでしょうか。上記はほんの一例です。税制のありようを巡っては既に国会等でも多くの議論が始まっています。本メルマガでも可能な限り状況をお伝えしていきたいと考えています。
主税局総務課 主税企画官  泉 恒有  

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2  法人税改革について(平成27年度税制改正)

  平成27年度税制改正の目玉の1つは、成長志向に重点を置いた法人税改革です。その内容は第82号(12月配信)でお伝えしているとおりですが、今回は、法人税改革の狙いなどについてお伝えします。

  第一に、法人税改革というと税率引下げ幅にのみ関心が当たりがちですが、単に減税を行うものではありません。今回の改革は、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことにより、法人課税を広く負担を分かち合う構造へと改革していくものです。

  第二に、こうした改革を通じて、「稼ぐ力」のある企業の税負担を軽減することにより、企業が収益力を高めるインセンティブになることを目指します。企業収益は様々な要因で左右されるものであり、税制などの国の政策でコントロールできるものではありませんが、政府としては、コーポレートガバナンスの強化など、経営者の方々が攻めの経営判断を行っていくよう促す取組を進めています。今回の法人税改革も、そうした取組の一環をなすものです。

  第三に、なぜ企業の「稼ぐ力」を重視するのかと言えば、それが経済成長のエンジンとなるからです。デフレ脱却と経済再生のためには、企業が収益を拡大し、投資の拡大や賃上げに取り組み、それがさらに消費の増加にもつながるという「経済の好循環」を実現することが重要です。今回の法人税改革を通じて、企業が収益力を高めれば、継続的な賃上げが可能な体質になるものと考えられます。

  第四に、企業収益が拡大しても、内部留保として企業内に貯め込まれるばかりでは、「経済の好循環」は実現できません。このため、政労使会議の場において、経済界が賃上げに向けて最大限努力すること等について合意がなされています。今回の法人税改革では、そうした取組と歩調をあわせて、2年間の先行減税や所得拡大促進税制の拡充など、賃上げに動き出す企業への後押しとなる対応を盛り込んでいます。

  第五に、今回の法人税改革は「稼ぐ力」の高い大企業を優遇し、中小企業に負担を強いるものではないかという声も聞かれますが、それは誤解です。平成27年度税制改正では、地域経済を支える中小企業への影響に配慮して、「欠損金繰越控除の控除限度の引下げ」や「法人事業税の外形標準課税の拡大」といった改革は、資本金1億円超の法人に限って行うこととしています。

  第六に、資本金1〜10億円の中堅企業への影響を懸念する声もありますが、今回見直しを行う「欠損金繰越控除」などの利用状況等を見ると、かなり大規模な企業に偏っているのが実態です。また、「法人事業税の外形標準課税の拡大」についても、「所得割の税率引下げ」とあわせて行うものであり、中堅企業全体で見ればむしろ負担減になると試算されています。さらに、個社ベースで見て負担増となる場合は、負担増分の一部を軽減する特例も設けることとしています。

  第七に、大企業のうち、赤字企業や過去の欠損金を抱える企業にとって、負担増となりうることは事実です。このため、「欠損金繰越控除の控除限度の引下げ」や「法人事業税の外形標準課税の拡大」については、激変緩和の観点から、段階的に実施していくこととしています。こうした企業も、早期に収益力を高め、欠損金を解消していけば、税率引下げのメリットを受けられることになります。

  最後に、法人税改革は、数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目標としており、今後とも、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」改革を継続していきます。あわせて、中小法人課税のあり方など、平成27年度税制改正では特段見直さなかった点についても、今後の検討課題になると考えています。
主税局税制第三課 審査室長 松本 圭介

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3  国際課税を考える(1)  〜ピケティと国際課税〜

  ピケティがブームです。今更、正面からピケティ論でもないので、少し視点を変えて、国際課税との関係をみてみましょう。

  なぜ、国際課税か。実は、今、ピケティほどではないにせよ、国際課税が世界的に盛り上がっています。もちろん、経済がグローバル化したからですが、納税における「格差」への目線が厳しくなったことも重要です。
  潮目が変わったのは2008年のリーマン・ショック。ウォールストリートを震源に世界経済危機へと発展しました。その結果、世界的に景気が低迷する中で、各国それぞれ、生活の安定や成長と国民負担のバランスに苦慮します。富の象徴が震源だっただけに、負担の公平感や税に対する信頼感を求める声が広がったのは当然でしょう。

  富裕層の脱税も次々と暴かれました。2008年、ドイツを代表する大企業ドイツ・ポストの社長がリヒテンシュタインの銀行口座を利用して約16億円(当時のレート)脱税したことが発覚。情報の出所が、元行員が約7億円で売却した口座情報で、多数の国の1,400人以上の情報も含まれていたこともあり波紋を呼びました。翌2009年には、スイスの大手銀行UBSが、米国人顧客の脱税を助けた疑いを受け、約700億円の支払いと250名の顧客情報の提供で米政府と和解。
  このように口座情報を取得して脱税を取り締まる機運が高まり、2009年のロンドン・サミットでG20首脳が「銀行秘密の時代は終わった」と宣言するに至るのです。

  一方で、世界的に活動する大企業が相応の税負担をしていないという不満は、国際課税ルールを見直す動きに発展しました。多国籍企業の中には、脱税まではしないものの、ギリギリ「適法」な方法を見つけて大胆に節税する企業もあります。法の抜け穴が利用され、各国の税法の違いが巧みに突かれるのです。このような行き過ぎた節税(租税回避)による不公平は正すべきとの認識が深まり、2012年のロスカボス・サミットで、G20首脳がBEPS(税源浸食と利益移転)防止の必要性として再確認するに至ります。

  そして、2013年にはOECD租税委員会(議長:浅川・財務省国際局長)が「BEPS行動計画」をまとめ、「OECD・G20 BEPSプロジェクト」を始動させます。これは、2015年末のとりまとめを目指して、国際課税のルールを経済の実情に合わせて全面的に見直す野心的な大作業です。

  このように、国外に資産を隠す富裕層による脱税と、国際的に活動する多国籍企業による租税回避への対応を国際課税の2本柱として、各国が急ピッチで対策を講じてきているのです。

  さて、ピケティです。ピケティは、資産が格差を拡大させないよう、累進的なグローバル資産課税を提唱しています。これは、個々人が持つ資産を全世界的に把握し、資産総額に応じて課税したうえで、税収を関係国間で配分することが必要で、夢物語だとピケティも認めています。けれど、これに向けて前進するのは有益だとして、銀行口座情報を各国税務当局が自動的に交換する枠組みを推奨しています。国際課税の議論と同じ方向です。
  また、「21世紀の資本」にこそ言及されていませんが(原書の出版とBEPS行動計画の公表は同時期です)、BEPSプロジェクトも支持しています。世界的に資産を展開する多国籍企業が資産の無い個人より税負担が少ないことを認めるはずがないので、当然です。

  ただ、ピケティの主張と国際課税の潮流が完全にシンクロしているわけではありません。富裕層の脱税や多国籍企業の租税回避を許さないことと、資産を持つ者により多く税を負担してもらうこととは、少し次元が違いそうです。それでも、今やるべき第一歩に異論はありません。払うべき税金は格差なく払ってもらう、まずはそこから国際協調を始めようということです。

主税局参事官室 主税企画官 緒方 健太郎

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4  最近の税制改正等をめぐる動き

(1)「平成27年度税制改正の大綱」の閣議決定
  平成27年度の税制改正については、昨年12月に衆議院選挙が行われたことの影響などもあり、昨年12月30日に与党税制改正大綱が取りまとめられたことは既報のとおりです。
  その後、本年1月14日に平成27年度予算案とともに、政府として「平成27年度税制改正の大綱」を閣議決定いたしました。
URL :
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2015/20150114taikou.pdf
※「平成27年度予算案」 http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2015/seifuan27/index.htm

(2)「所得税法等の一部を改正する法律案」の閣議決定及び法案提出
  閣議決定された「平成27年度税制改正の大綱」を踏まえた、所得税法等の一部を改正する法律案については、2月17日に政府として閣議決定するとともに、国会に提出いたしました。
URL :
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/189diet/index.htm

  また、(1)及び(2)の内容をわかりやすくまとめたパンフレットを作成いたしましたので、是非、御一読ください。
URL :
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian15.htm

※  前号(82号)でお付けした税制改正の資料について、一部、計数を変更するものなどがありますので、改めて、最新版をお送りいたします。
URL :
・平成27年度  税制改正大綱の概要
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20150114.pdf
・成長志向に重点を置いた法人税改革
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20141230a.pdf
・資料(法人税改革)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20141230b.pdf
・資料(法人税改革以外)
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/mail_magazine/20141230c.pdf

(高澤)

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5  編集後記

  今号では、平成27年度税制改正の中の「デフレ脱却・経済再生」に向けた取組として最重要事項ともいえる法人税改革について、そのねらいなどを担当室長から解説いたしました。次号以降でも、制度改正のねらいなどについて読者の皆様からご質問いただいたものについては、適宜、取り上げていきたいと思っています。
  また、「国際課税を考える」では、今流行のピケティの主張も織り交ぜつつ、国際課税に係る取組の現状を、担当企画官から説明いたしました。平成27年度税制改正にも国際課税関係の措置がいくつか含まれていますが、経済がグローバル化する中にあって、ますます重要性は増している状況にあります。「国際課税を考える」は、次号以降の連載も予定しておりますので、皆様、お楽しみに。

  さて、消費税率引上げの時期は平成29年4月に延期されることとなりましたが、少子高齢化の進展、家族観の変化、非正規雇用労働者の増加など、経済・社会構造が大きく変化する中にあって、社会保障制度のあり方を現在の社会に適したものとするため、社会保障と税の一体改革は、来年度も着実に進めていく必要があります。読者の皆さんの生活にも密接に関連することですので、次回以降、その動向についても追っていきたいと思っています。

  最後に『お知らせ』です!!

  このたび、日本の税制の現状と課題を皆さんと意見交換・共有すべく、各種説明会、職場での研修、ゼミ等に、主税局職員が実際に伺って説明させていただくという取組を、新たに始めることとしました
  原則として10人以上の団体・グループを対象とさせていただきますが、日時や場所を含め、適宜ご相談に応じますので、お気軽に以下の連絡先までお問い合わせください。(※ なお、日程の都合上、お断りをすることがある旨、予めご了承下さい。)
メール:mailto:tax-houmon@mof.go.jp
(高澤)


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