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税制メールマガジン 第78号 25/06/26

税制メールマガジン 第78号   平成25年6月26日

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◆目次
1 巻頭言
2 税制をめぐる最近の動き
3 主税局員コラム
4 諸外国における税制について
5 編集後記

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1 巻頭言

 6月も下旬になりました。例年、この時期になると主税局界隈で話題に
なるのが税収です。それはなぜか。国の会計年度は4月1日から翌年3月
31日までの1年間ですが、税収については、3月決算の企業が、法人税や
消費税を納税する5月末までの税収をカウントする決まりになっています。
そして、その結果(=決算)が判明し、公表されるのが、7月上旬となっ
ているからです。

 財政は、税収の水準を抜きには語れません。予算編成に当たっても、税
収の多寡は、歳出や公債発行の水準に影響を与えます。予算に計上される
税収を適切に見積るのは、主税局の大切な仕事です。

 税収の見積りは、主税局総務課の8人の職員が税目ごとに担当していま
す。見積りに用いるデータは、マクロの経済統計だけではありません。た
とえば酒税の担当は酒類の消費動向を、自動車重量税の担当は新車販売動
向を、という形でそれぞれのデータを分析していますし、いちばん動きの
大きい法人税については、多くの企業のご協力をいただき、最新の動向を
ヒアリングさせていただいています。

 個々のデータを積み上げて税収の見積りをしていると、年間40兆円を
超える税収というのは、個々の納税者の方々が経済活動に応じて負担いた
だいている納税額の積み重ねであることが実感されます。税収統計からは、
景気が良くなれば企業の利益が増えて法人税が増えることや、減税をすれ
ば税収が減ることが分かりますが、その他特殊な要因による納付や還付で
税収が動くことも多々あります。
 
 また、税収の伸び方は、所得分配のあり方によっても変わります。たと
えば、景気回復の際に、給与が増えずに人件費が抑制され、企業の利益が
大幅に増える場合、法人税収が大きく増えることはあるでしょう。しかし、
そのように企業にかたよった所得分配が社会的に望ましいのかは考える余
地がありそうです。

 税収の分析にあたり、「税収弾性値」すなわち、経済が1%成長したとき
に税収が何%伸びるか、という概念を用いることがあります。近年では経
済成長率がゼロに近く、経済以外の事情による税収変動の効果が増幅され
てしまっており、慎重に分析する必要があります。

 経済成長による税収の増加は財政健全化に貢献しますが、過度に期待す
ることはできません。税収が、個々の納税者の負担の積み重ねであるとす
れば、経済の伸びよりも税収が伸び続けるということは、個々の納税者に
とってみれば、所得に比べて税負担が重くなり続けることになります。し
かし、歴史的に、我が国の税制は、所得税の税率構造をフラット化し、法
人税率を引き下げることにより、そうなりにくい形にしてきたのです。現
在の税制を前提とすると、長い目で見れば、税収の伸びは、おおむね経済
の伸びに見合ったものになると考えてよいのではないでしょうか。

 税制は、法令によって精緻に組み立てられており、ややもすれば無味乾
燥と思われることもあります。しかし、税収を分析していると、個々の納
税者の方々の動きが感じられます。これからも、納税者の思いを大切に、
貴重な税金を無駄にすることなく、公共のために役立てる財政の構築に向
けて努力しなければならないと思っています。

(参考)
 ・月々の税収の動きを、財務省ホームページで公表しています。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/index.htm


                           主税局広報担当主税企画官 
                                                        小宮 敦史

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2 税制をめぐる最近の動き

(1)政府税制調査会の開催
 6月24日に第1回の政府税制調査会が開催されました。第1回の会議
では、委員の互選により、中里実委員(東京大学大学院法学政治学研究科
教授)が会長に選任されるとともに、安倍内閣総理大臣より諮問が行われ
ました。
 今後、執行面から見た課題を中心とした公正・公平な課税の実現や6月
のG8サミットでも取り上げられた国際的な租税回避への対応策などにつ
いて、中長期的な視点に立った議論が行われる予定です。

 資料等については、政府税制調査会のホームページでご確認いただけま
す。
 ・政府税制調査会HP
http://www.cao.go.jp/zei-cho/index.html

(2)番号関連法の成立について
 メルマガの第75号(3月配信)でご紹介した「行政手続における特定
の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(番号法案)及び
関係法律の整備等法案が5月24日の参議院本会議で可決・成立し、同月
31日に公布されました。
 再来年(平成27年)10月から番号の通知が始まり、平成28年以降、
税をはじめ、社会保障等の分野で順次利用が開始される予定です。

 下記URLから参考資料をご覧いただけます。
 ・内閣官房HP「社会保障・税番号制度」
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html

(3)転嫁対策特別措置法の成立について
 メルマガの第75号(3月配信)でご紹介した「消費税の円滑かつ適正
な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特
別措置法案」が、衆議院での修正を経て、6月5日の参議院本会議で可
決・成立し、同月12日に公布されました。
 平成26年4月及び平成27年10月の消費税率の引上げに際し、消費税の
円滑かつ適正な転嫁を確保するための特別の措置を講じるもので、平成
29年3月31日までの時限措置となっています。

 下記URLから参考資料をご覧いただけます。
 ・公正取引委員会HP
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/jun/tenkataisakuhouan.html

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3 主税局員コラム 〜社会保障・税一体改革広報活動の工夫 経済社会
構造の変化に合わせたきめ細やかな広報活動〜

 私はこの1年間、社会保障・税一体改革の広報に携わってまいりました。
この一体改革、何故実施する必要があるかというと、少子高齢化社会の到
来・高度経済成長期から成熟経済への移行など、「日本の経済社会構造の
変化」へ対応するためです。広報活動も同様に、日本の経済社会構造の変
化に対応する必要があり、一体改革広報においても、様々な工夫が検討さ
れ、実施されてまいりました。本稿では、日本の経済社会構造の変化と、
それに伴う一体改革広報活動の変化について簡単に紹介します。

 従来の日本社会(1960〜1990年代前後まで)は、国民の多くが、企業・
組合・家族・学校といった共同体(「団体」・「組織」)に所属していた
ため、組織や団体を通じた周知活動により、多くの国民に情報が伝わりま
した。また、国民の多くが新聞(活字媒体)、テレビ(映像媒体)といっ
た1対多数のマスメディアに恒常的に接続している時代であったため、新
聞やテレビを通じた広報が効果的でした。さらに、高度経済成長期までは
画一的・集団主義的な傾向が強く、生活様式やライフサイクルが均質化し
ており、伝えるべき施策も現在ほど複雑ではなく、上記のような広報活動
に馴染み易い状況でした。

 一方、近年は世帯規模の縮小(単身世帯化)、終身雇用の慣行の見直し
(非正規雇用者の増加)等を背景として、組織に属さない人々が増加する
とともに、インターネットやスマートフォンの普及、SNSやブログなど、
新たな情報媒体が登場し、特に若い世代において情報源の多様性が増して
きました。また、こうした「個人化」・「自由化」といった傾向が進むに
つれ、集団よりも自分を重視する価値観が次第に強まり、「選択の自由」
志向が強まるなど、価値観の多様化が進んできました。

 そのような社会の変化に対応するため、広報活動も工夫が必要です。主
な対応の一つは、広報媒体の多様化です。従来の新聞・テレビ等の主要マ
スメディアを活用した広報活動に加え、そのようなマスメディアへの接続
頻度の低い方々への対応が必要です。そのために、今回の一体改革広報で
は、全国各地での講演活動や、SNS等を活用した広報活動など、多様な
広報媒体の積極的な活用を行っています。

 もう一つは、説明内容の多様化です。誰に対しても同じ資料、同じ説明
を行うのではなく、国民の多様な特性に合った広報活動を行う必要があり
ます。例えば、(1)現在、社会保障給付を受けられている一定年齢以上
の層への説明と、(2)将来世代を中心とした「支える層」への説明は、
それぞれ興味関心を持つ分野が違うので、それを勘案した広報資料にする
ことが必要です。また、当然のことですが、説明を聞いていただく方々の
一体改革に関する興味関心や予備知識に合わせた説明内容を準備すること
も大切です。一体改革への興味関心が薄く、内容もあまりご存じない方に
は、背景事情から分かりやすく伝える資料を、税財政に関してすでに知識
をお持ちの方にはより深堀した考察を含めた資料を用意することなど、き
め細やかな対応が必要です。政府広報のページには、一体改革の背景情報
から、最新の会議資料まで、多様なニーズに対応した説明資料が用意され
ています。

 ・政府広報オンライン(特集 社会保障と税の一体改革)
http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/201208/index.html

                                        主税局総務課総務第一係長
                                                        竹内 雅彦

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4 諸外国における税制について 〜米国税制の動向について〜

 現在、米国では、税制改革の機運が高まっています。一昨年以来、包括
的かつ抜本的な税制改革を目指して、上院財政委員会・下院歳入委員会は
50回以上の公聴会を実施し、税制の幅広いテーマについて改革意見書を発
表しています。また、オバマ大統領は、2013年4月に予算教書を公表し、
増税(富裕層の税額控除の制限や遺産税引き上げ等)を含む予算案ととも
に、歳入中立の法人税改革案を議会へ提出しています。

 この問題意識の背景には、税制が歳入調達以外に経済政策の手段をなす
ようになり、経済生活の変化に伴って複雑化した税制が、企業活動や国民
の生活に悪影響を与えていることが挙げられます。更に、最近2つの出来
事により、税制改革への関心は一般の国民にまで広がっています。

 一つ目は、内国歳入庁スキャンダルです。米国財務省の外局で、日本の
国税庁に相当する内国歳入庁(IRS)が2011〜12年度の納税審査中、茶
会党等の保守系団体による免税措置申請に対し、厳格な審査基準を設け、
審査を不当に長引かせたという事件です。5月10日に問題が表面化して以
降、政治目的による行政権力の濫用に対して厳しい批判がなされています。
この中で、IRSの権力が肥大化した理由の一つとして、一般には理解不
能である税法がIRSに解釈と執行について多くの裁量を与えていること
が指摘されています。

 二つ目は、米アップル社の租税回避問題です。先日、上院行政監察小委
員会は、アップル社が複数の海外子会社を利用して数十億ドルの租税回避
を行ったとする報告書を公表しましたが、5月21日の公聴会でティム・
クック最高経営責任者(CEO)は、複雑な税法が税の抜け穴を作り出し
ていると証言しています。

 このように混迷を極める米国税制ですが、時代を遡ると、1986年、いわ
ゆるレーガン税制改革において、公正・簡素・経済成長の原則に基づく税
制を実現したことがあります。当時14段階(11〜50%)であった所得税
の税率構造をわずか2段階(15%、18%)にし、租税特別措置(加速度償
却等)の縮減により、課税ベースを拡大しました。

 しかしながら、議会資料によれば、1986年以降、15,000もの改正が行わ
れ、現在の納税者は、必要書類を整えて申告書を作成することに平均13時
間を費やしているとのことです(なお、税法を始めから最後まで声に出し
て読み上げることには、不眠不休で18日以上を要するとの試算が出ていま
す)。

 この状況に危機感を抱いた、上院財政委員会のマックス・ボーカス委員
長(民主党)、下院歳入委員会のデイブ・キャンプ委員長(共和党)は、
超党派によりTaxReform.GOVのウェブサイトを立ち上げ、1986年以来の抜
本的な税制改革を目指して、広く国民から意見を募集し始めました。実は、
この意見募集は、1985年、当時の下院歳入委員会・ロステンコウスキ委員
長(愛称ロスティ)が同じように国民に呼びかけた、「ロスティに手紙を
書こう」キャンペーンの現代版です。ロステンコウスキ氏は、ロビイスト
ではなく国民の声に直接耳を傾けることにより圧倒的な支持を得て、歴史
に残る税制改革を導きました。当時75,000通超の手紙と葉書が届いたとい
う記録がありますが、現代ではネットとツイッターで続々と意見が寄せら
れています。

 民主主義は、税制を複雑にも、簡素にもします。いずれにせよ、税制改
革は国民の意思なくしては実現できません。今後米国においてどのように
国民が決断をし、どのような税制改正が行われるのか、興味が尽きません。

 これからも米国税制の調査・分析を通して、我が国の税制のあるべき姿
を考えていきたいと思います。

                   主税局調査課外国調査第二係長
                            川副 麻莉

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5 編集後記

 今回御紹介したとおり、政府税制調査会の議論がスタートしました。中
里会長の下、税・財政や法律の専門家や実務家等の委員により、日本の中
長期的な税制の課題について、これから議論が進められることになります。
 さて、新聞等でも各府省の幹部人事が報じられています。霞が関の中央
省庁では、夏に大規模な人事異動が行われます。主税局も間もなく人事異
動が行われると思います。次回以降は新体制でお届けすることになるかも
しれませんが、引き続き税制メールマガジンをよろしくお願いいたします。

                              (南)

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