税制メールマガジン 第75号 25/03/27
税制メールマガジン 第75号 平成25年3月27日
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◆目次
1 巻頭言
2 税制をめぐる最近の動き
3 諸外国における税制について〜EUの税制を眺める視点〜
4 編集後記
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1 巻頭言
去る3月1日、政府は、平成25年度税制改正法案(「所得税法等の一部
を改正する法律案」)を国会に提出しました。主税局では、1月29日に
「税制改正の大綱」が決定されてから、突貫作業で法案の作成に当たって
きまして、例年よりも短い日数での国会提出にこぎつけることができまし
た。
その法案ですが、財務省ホームページにて掲載しておりますとおり、法
案だけで582ページ、新旧対照表も704ページ、冊子にすると厚さ約5.5
cmというぼう大なものとなっています。
こういうぼう大な法改正が毎年行われていることもあり、税法というと、
緻密で難解であるという印象が(財務省内でも!)あります。これは、経
済社会の仕組み自体が複雑化していく中で、避けられない面もあるかもし
れません。
税制がおおざっぱで、抜け穴が多かったり、逆に想定外の負担をもたら
したりすることは望ましいとは思えません。そうならないよう、租税法律
主義のもと、法律で適用範囲、要件などを明らかにするとともに、条文相
互の適用関係もはっきりさせることは、適正・公平な課税を実現するうえ
で必要なことだと思います。
その一方、税制が分かりにくいと思われ、みなさんに敬遠されることが
あっては大変です。税が社会共通の会費であるとすれば、自分がどういう
ルールの下でこれだけの会費を払うことになっているのか分かることこそ、
そのルール(=税制)、ひいては社会への信頼を強めることにつながるの
ではないでしょうか。
このメルマガも、緻密でぼう大な税法はさておき、税制をめぐる最新の
動きや、税制のエッセンスを分かりやすく皆様にお伝えできればという気
持ちでお届けしています。まだまだ改善すべきところが多々あると思いま
すので、みなさまからの貴重なご意見・ご感想をお待ちしております。
主税局広報担当主税企画官 小宮 敦史
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2 税制をめぐる最近の動き
(1)平成25年度税制改正法案
平成25年度の税制改正にかかる「所得税法等の一部を改正する法律案」
が3月1日に閣議決定され、国会に提出されました。
今回の税制改正法案においては、現下の経済情勢等を踏まえ、
・「成長と富の創出の好循環」の実現
・社会保障・税一体改革の着実な実施
・震災からの復興の支援等のための税制上の措置
等を講ずることとしています。
そこで、今回から、平成25年度税制改正の主な項目についてご紹介し
たいと思います。今回は、「成長と富の創出の好循環」の実現に向けた
税制措置です。
イ 生産等設備投資促進税制の創設
国内の生産等設備投資額を一定以上増加させた場合にその生産等設備
を構成する機械装置の取得価額の30%の特別償却又は3%の税額控除が
できる制度を創設します。
ロ 研究開発税制の拡充
総額型の控除上限額を法人税額の20%から30%に引き上げるとともに、
特別試験研究費の範囲に一定の共同研究等を追加します。
ハ 所得拡大促進税制の創設及び雇用促進税制の拡充
労働分配(給与等支給)を一定以上増加させた場合、その増加額の10
%の税額控除を可能とする所得拡大促進税制を創設するとともに、雇用
促進税制を拡充し、税額控除額を増加雇用者数一人当たり20万円から40
万円に引き上げます。
ニ 中小法人の交際費課税の特例の拡充
中小法人が支出する交際費のうち800万円以下の金額の全額を損金算入
可能とします。
ホ 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設
子・孫に対する教育資金の一括贈与に係る贈与税について、子・孫ごと
に1,500万円までを非課税とする措置を創設します。
上記のほか、環境関連投資促進税制の拡充、商業、サービス業及び農林
水産業を営む中小企業等の支援措置の創設等の措置を講ずることとしてい
ます。
下記URLから参考資料をご覧いただけます。
・パンフレット「平成25年度税制改正(案)のポイント」
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian13.htm
(2)社会保障・税番号制度関連法案について
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する
法律案」(番号法案)及び関係法律の整備等法案が3月1日に閣議決定さ
れ、国会に提出されました。
社会保障・税番号制度は、より公平な社会保障制度や税制の基盤である
とともに、情報化社会のインフラとして、国民の利便性の向上や行政の効
率化に資するものです。
税制上の措置としては、現行制度を前提として、納税申告書や法定調書
等に「番号」の記載を求める等の措置を講じることとしています。
番号制度の導入によって、法定調書等の名寄せや申告書との突合が、番
号を用いて、正確かつ効率的にできるようになり、所得把握の適正化が向
上するものと考えております。
下記URLから参考資料をご覧いただけます。
・内閣官房HP「社会保障・税番号制度」
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html
(3)消費税法施行令の改正
平成26年4月の消費税率の引上げに伴う住宅購入や雑誌購読などの適用
税率に関する経過措置の細目並びに消費税の特定新規設立法人の納税義務
の免除の特例について対象となる法人の細目を定めた消費税法施行令の一
部を改正する政令を3月13日に公布しました。
下記のURLから参考資料をご覧いただけます。
・消費税法施行令の一部を改正する政令
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2013/seirei/bappon.htm
(4)転嫁対策特別措置法案について
「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する
行為の是正等に関する特別措置法案」が3月22日に閣議決定され、国会に
提出されました。
この法案は、平成26年4月及び平成27年10月の消費税率の引上げに際
し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、消費税の転嫁を阻害
する行為を迅速かつ効果的に是正し、また、消費税の転嫁及び表示の方
法の決定に係る共同行為並びに価格の表示について特別の措置を講じる
ため、所要の法整備を行うものです。
法案の概要は以下の通りです。
イ 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置
買いたたきなどの消費税の転嫁拒否等の行為を取り締まり、これらの行
為を迅速かつ効果的に是正・防止するために、特定事業者による、特定供
給事業者に対する、消費税の転嫁拒否等の行為を行ってはならないことと
されています。
これらの行為に対して、公正取引委員会、中小企業庁長官、主務大臣は、
検査、指導等を行っていくこととされています。
ロ 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置
事業者は取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示や取引の相手
方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる
旨の表示など、消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害するような表示を行っ
てはならないこととされています。
ハ 価格の表示に関する特別措置
事業者は消費税率の引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁のため
必要があるときは、現に表示する価格が税込価格であると誤認されないた
めの措置を講じているときに限り、税込価格を表示することを要しないこ
ととされています。
ただし、税込価格を表示しない事業者は、できるだけ速やかに、税込価
格を表示するよう努めなければならないとされています。
ニ 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置
消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のため、事業者等が行う転嫁カルテ
ル及び表示カルテルについて、消費税導入時と同様の独占禁止法の適用除
外制度を設けることとされています。
下記のURLから参考資料をご覧いただけます。
・公正取引委員会HP
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/25index.html
なお、政府における転嫁対策の検討状況につきましては下記URLをご
参照ください。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shouhizei/
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3 諸外国における税制について 〜EUの税制を眺める視点〜
入省して2年目となる本事務年度では、主にEU諸国(ヨーロッパ諸国)
について、税制を中心に調査を行ってきました。本稿では、これまでの1
年間を振り返る意味も込めて、EUの税制を眺める視点を、簡単にご紹介
いたします。
EUの税制を眺める視点(テーマ)は、大きく3つに分けられます。
まず、長期的なスパンで生じてきたテーマとして、政治経済の分野で統
合を目指してきた欧州における税制の統一化という視点があります。特に、
日本の消費税に相当する「付加価値税」の分野では、EC指令と呼ばれる
共通ルールにより、制度の統一化が進められ、現在までに全EU加盟国
(27ヶ国)がEC指令の下で付加価値税を実施しています。
なお、近年の目立った動きの1つとしては、IT技術の進展等を背景に、
インターネットを通じて他国からモノやサービスを購入する取引が増加す
る中、このような国境を越えた取引に対してどのように課税するか(誰が、
どの国に付加価値税を納めるのか)に関し、EC指令を見直す動きが生じ
ています。
さて、上記のような統一化の一方で、各国固有の税制・参考事例が存在
するという視点も忘れてはなりません。例えば、デンマークでは一昨年、
脂肪を含んだ肉や乳製品等に対して税金を課する「脂肪税」を導入しまし
た。脂肪税は国民の健康を増進し、平均寿命を伸ばすことを目的としてお
り、健康目的の新税として日本においても参考になるかも知れません(も
っとも、デンマークにおいては、より安価な食品を求めて隣国のスウェー
デンやドイツに消費が流出してしまった結果、昨年末をもって脂肪税を廃
止)。
そして最後に、近年の欧州債務危機に対応するため、各国が税制改革を
進めてきたという視点があります。
例えば、高い公的債務残高を抱えるGIIPS諸国(ギリシャ、アイル
ランド、イタリア、ポルトガル、スペイン)が、国債金利の上昇等を理由
に注目を浴び、財政再建を図るべく、昨年9月のスペインに見られるよう
な付加価値税の引上げの他、高額所得に対する「所得税付加税」、「富裕
税」と呼ばれる資産課税の実施など富裕層向けの課税強化措置を累次に打
ち出してきています。また、本年2月には、過去の金融危機に対して金融
セクターに公正な負担を求めるといった趣旨の下、株式等の金融取引に対
する課税として、新たに「金融取引税」の導入を図る提案(EC指令案)
が、加盟国の議論の場に提出されました。金融取引に対する影響や執行範
囲の問題等、依然として明らかになっていない部分も多いため、今後も加
盟国間で議論が行われる予定です。
以上、手短にではありますが、EUの税制を眺める視点をご紹介させて
頂きました。馴染みのない話題もあったかもしれませんが、税制改正を検
討する際には、日本国内にとどまらず、このように海外の動向・参考事例
等も視野に入れて情報収集することが必要になります。
その際には、より迅速かつ正確に情報の提供・分析ができるよう、今後
も精進してまいりたいと思います。
主税局調査課 仲山 徳音
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4 編集後記
2月に引き続き、メルマガを発行しました。補正予算が成立し、本予算
や税制改正法案の審議に移っています。さて、1月から復興支援施策の財
源に充てるため、復興特別所得税が課税されています。お気づきでしょう
か?この3月で東日本大震災から2年が経ちました。しかし、まだまだ復
興に向けてやらなければならないことはたくさん残っています。来年度の
予算や税制改正にも被災地の支援のための措置が多数盛り込まれています。
国会での審議ができるだけ円滑に進みこれらの措置が1日も早く実現でき
るよう我々もしっかり頑張っていきたいと思います。
今後も随時、情報をお届けしたいと思いますので、引き続き、税制メー
ルマガジンをよろしくお願いいたします。
(南)
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