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税制メールマガジン 第73号 24/11/02

税制メールマガジン 第73号   平成24年11月2日

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◆目次
1 大久保財務副大臣からのご挨拶
2 税制をめぐる最近の動き
3 時々のトピックス
(1)「税制抜本改革」に関する今後の課題等
(2)国税庁「税を考える週間」について
4 諸外国における税制改革の潮流(2)
5 編集後記

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1 大久保財務副大臣からのご挨拶

 この度、城島財務大臣の下で、財務副大臣に就任致しました大久保勉で
す。主に税制、国際関係等を担当致しますので、どうぞ宜しくお願い申し
上げます。私は、議員になる前は、金融機関で資本市場や国際金融を相手
にしておりました。国内外の企業税財務と関係の深い仕事もしておりまし
たので、財務副大臣としてこのような仕事ができることは大変幸せに感じ
ております。

 30歳代の前半に米国の駐在員を経験しましたが、米国では個人で確定申
告をすることが義務付けされているため、自分の所得や税金に対する関心
が大変高いのに驚きました。例えば現地で人の採用をする時も、職務内容
や報酬等の雇用条件の中にタックスプランなどの税金の話が出てきました。
私は米国で転職して日本に帰国しましたが、日本でも確定申告をすること
が必要になりました。自分で確定申告をする場合、一年間の所得や各種の
控除のための書類を準備するなど時間的には大変負担になりますが、所得
税などの税制一般についてよく理解できるようになりました。また払った
税金がどのように使われているのか、政治に対する関心も一層高まりまし
た。

 参議院議員になってからは、ずっと財政金融委員会や党税制調査会に属
しております。租税の原則に「公平・透明・納得」が上げられます。納税
者の視点で、税を考え、税制改正を行うことを肝に銘じたいと思います。
更には、税の使い道を国民に分かり易い形で説明し、税金の無駄遣いや費
用対効果で問題のある予算は、厳に慎むべきです。国の予算編成は、主計
局の仕事ですが、税制の担当者も納税者が納得できるか目を光らせておく
べきだと考えます。

 人や企業の活動が国境を越えて活発に行われる時代になり、国際税務は
益々重要性を増しております。グローバル企業は、研究開発、生産、販売、
財務・管理等を様々な国において行いますが、税引き後利益の最大化のた
めに、各国の税制等を研究して最適化を図っております。これに対応して、
先進国のみならず新興国も、付加価値を生み出す優秀な人材と雇用や税収
をもたらす企業を繋ぎ止めるために、しのぎを削っております。日本の長
期的な成長と雇用の増大のために、国際競争力のある税制を作ることも私
たちの課題と認識しています。

 最後になりますが、インターネットを利用した国税電子申告・納税シス
テムであるe−Taxの利用件数が急拡大していることは注目に値します。
身近で簡素な確定申告を通じて、税金とその使い道に多くの国民が関心を
抱くことは成熟した民主主義国家にとり望ましいことだからです。

 皆様のご支援・ご指導をお願い申し上げます。

                     財務副大臣 大久保 勉

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2 税制をめぐる最近の動き

(1)税制抜本改革法について
 「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための
消費税法の一部を改正する等の法律」(いわゆる「税制抜本改革法」)が
8月10日に可決・成立し、8月22日に公布されました。

 法律の主な項目は下記のとおりです。
 ・ 消費税率の8%(国・地方)への引上げ(平成26年4月1日から)
 ・ 消費税率の10%(国・地方)への引上げ(平成27年10月1日から)
 ・ 税制に関する抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置
 ・ 消費税率の引上げに当たっての措置

 下記URLから参考資料をご覧いただけます。
 ・政府広報オンライン 特集「社会保障と税の一体改革」
  http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/201208/index.html
 ・財務省HP「社会保障と税の一体改革」
  http://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/index.htm


(2)税制調査会全体会合が下記のとおり開催されました。
 ○ 平成24年度 第1回(10月19日)
   会長・会長代行挨拶、各省等ヒアリング1(厚生労働省、内閣官房、
   内閣府、財務省、農林水産省、環境省)
 ○ 平成24年度 第2回(10月23日)
   各省等ヒアリング2(金融庁、外務省、総務省、文部科学省、経済
   産業省、国土交通省、復興庁)
 ○ 平成24年度 第3回(10月25日)
   地方団体との意見交換、4団体(日本経団連、日本商工会議所、連
   合、日本税理士会連合会)からのヒアリング
 ○ 平成24年度 第4回(10月31日)
   平成25年度税制改正に関する今後の進め方、租税特別措置等に係る
   政策評価の点検結果について
 
 下記URLから参考資料をご覧いただけます。
 ・税制調査会の審議内容、資料等
  http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/index.html
 ・各府省庁から提出された税制改正要望
  http://www.cao.go.jp/zei-cho/youbou/

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3 時々のトピックス

(1)「税制抜本改革」に関する今後の課題等
 先の通常国会で成立した税制抜本改革法では、今後検討すべきいくつか
の課題等が示されています。ここでは、この課題等を紹介します。

 イ.価格転嫁対策
  今般の消費税率の引上げに当たっては、段階的な引上げになることも
 踏まえ、円滑かつ適正な転嫁に支障が生ずることのないよう、事業者の
 実態を十分に把握し、より徹底した対策を講じていくこととされていま
 す。
  このため、10月26日に関係府省からなる「消費税の円滑かつ適正な転
 嫁等に関する対策推進本部」を開催し、以下のような取組を行っていく
 ことについて決定したところです。
  ・政府共通の相談窓口(消費税価格転嫁等総合相談センター(仮称))
   を設置するとともに、中小事業者向けの移動相談会等を実施するな
   ど、転嫁拒否等に関する相談体制を整備します。
  ・消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテル)等につ
   いて独占禁止法の適用除外制度を設けます。
  ・消費税の転嫁拒否等の行為を取り締まるとともに被害者の救済を図
   るため、独占禁止法・下請法の特例に係る立法措置を講じます。
  ・転嫁状況に関する監視・検査体制を強化するため、転嫁拒否等の調
   査・指導の実務を担当する転嫁対策調査官(仮称)を各省に配置し
   ます。
  ・違法行為を効果的に摘発するため、特別調査を平成25年度から実施
   します。平成26年度以降は、これまでを大幅に上回る規模の書面調
   査を実施します。さらに今回は大規模小売店等に対しても大規模な
   書面調査を実施します。
 下記URLから参考資料をご覧いただけます。
  ・消費税の円滑かつ適正な転嫁等に関する対策推進本部
   http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shouhizei/

 ロ.消費税の課税の適正化
  事業者免税点制度及び簡易課税制度については、中小事業者の事務負
 担に配慮する観点から、制度を維持することとされました。他方、制度
 を悪用した租税回避等に対しては、厳正に対処していく必要があるため、
 必要な制度の見直しを行うこととされています。
  具体的には、事業者免税点制度については、資本金1,000万円未満の
 新設法人のうち、5億円超の課税売上高を有する事業者が直接又は間接
 に支配する法人を設立した場合、当該設立された法人の設立当初2年間
 は、課税事業者とする措置が講じられました。
  簡易課税制度については、みなし仕入率に関する実態調査によると、
 業種によっては、みなし仕入率の水準が実際の仕入率を大幅に上回って
 いる状況にあることが確認されました。今後、更なる実態調査を行い、
 その結果も踏まえた上で、みなし仕入率の水準について必要な見直しを
 行うこととされています。

 ハ.低所得者の方々への配慮
  消費税率の引上げに伴う低所得者の方々への配慮については、税制抜
 本改革法で、「給付付き税額控除」と「複数税率」のそれぞれについて
  様々な角度から総合的に検討することとされており、それまでの間の暫
 定的・臨時的な措置として「簡素な給付措置」を消費税率8%の段階か
 ら実施することとされています。

 ニ.再分配機能の回復等
  所得税や相続税には、所得や資産を再分配する機能がありますが、こ
 の再分配機能が低下していることなどを踏まえて、所得税や相続税など
 必要な税制の見直しを検討し、平成24年度中に必要な法制上の措置を講
  ずることとされています。

(2)国税庁「税を考える週間」について
 「証拠は真実を語る。決定的な証拠は必ずあるはずだ。正直な納税者が
馬鹿を見ないよう、悪質な納税者の摘発に全力を挙げるように。」(新動
画番組「隠された脱税資金を追え!〜国税査察官の仕事II〜」より)

 11月11日から17日は「税を考える週間」です。

 財務省主税局が税制の企画・立案を担当する部局であるのに対し、国税
庁は、税制の執行機関として、適正かつ公平な課税・徴収の実現に向け、
様々な取組を行っています。この国税庁の取組について、国民の皆様に理
解を深めていただけるよう年を通じて様々な広報広聴施策を行っています
が、中でも「税を考える週間」に集中した取組を行うこととしています。
 今年の「税を考える週間」のテーマは、「税の役割と税務署の仕事」で
す。国民の皆様に、税の役割や国税の仕事について理解を深めていただく
ため、国税庁ホームページの取組紹介ページでテーマに即した情報を提供
するほか、全国の国税局・税務署で様々な広報広聴活動を行います。

 国税庁ホームページでは、確定申告などの税の手続に関する情報や国税
局・税務署が行っている仕事を紹介するため、動画番組『Web−TAX
−TV』を掲載しています。特に、「国税査察官の仕事」や「国税徴収官
の仕事」といった私たちの仕事をドラマ仕立てで紹介している番組も、非
常に多くの方にご覧いただいています。

 今年も「税を考える週間」に合わせ、新たな動画番組「隠された脱税資
金を追え!〜国税査察官の仕事II〜」を制作しました。悪質な脱税者を摘
発するために日夜努力している査察官の活躍をドラマ仕立てで紹介した番
組で、冒頭の言葉は、その番組の中で国税局の査察部長が発言するワンシ
ーンです。動画の収録には国税査察官も立会い、実際の現場の雰囲気に近
いものとなるようアドバイスを行うなど、力作ができ上がりましたのでご
覧いただければと思います。

 今後も、取組紹介ページなど、国税庁ホームページを活用して情報発信
をしていきますので、是非、ご覧ください。

 国税庁ホームページの取組紹介ページ
 「ご紹介します 税の役割と税務署の仕事」
  http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/week/index.htm

                国税庁 広報第二係長 本多 厚雄

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4 諸外国における税制改革の潮流(2)

 本年6月15日、民主・自民・公明の三党の実務者によって、社会保障・
税一体改革(税制抜本改革)の一環として最高税率の引上げなどの所得税
改革を検討することが合意されました。その後成立した税制抜本改革法で
も、その方向性が定められました。
 そこで、今回は、所得税制の仕組みについて、諸外国における歴史的な
税制改革の潮流も交えてご紹介したいと思います。

 皆様は、日本における所得税の最高税率が40%である、と聞いて何を思
い浮かべるでしょうか。もしかしたら、例えば年俸1億円の野球選手は、
稼いだお金の4割、4000万円を所得税として支払う、ということをイメー
ジされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、これは、二つ
の意味で正確ではありません。
 一つは、様々な控除の存在です。「控除」とは、単純に言えば所得税の
計算上、税率を掛ける前に差し引く金額のことです。これがあるため、収
入がそのまま課税の対象とはなりません。誰でも使える基礎控除や、配偶
者控除、扶養控除といった、個々の納税者の家庭事情に応じたきめ細かい
控除があります。これらを差し引いた金額に税率を掛けたものが、所得税
額になります。
 もう一つは、税率構造の累進性の存在です。所得税の税率は、5%・10
%・20%・23%・33%・40%の6種類ありますが、納税者の収入に対して、
いずれか一つの税率が適用されるわけではありません。40%の税率が課さ
れるのは、課税所得1,800万円を超える部分についてであり、それ以下の
部分については、課税所得195万円以下の部分には5%、195万円を超え330
万円以下の部分(すなわち330−195=135万円分)については10%といっ
たように、所得を区分し、低い区分から高い区分にかけて適用税率が高く
なる仕組みになっています。この仕組みを「超過累進課税」と言います。

 「控除」と「超過累進課税」があるため、冒頭の年棒1億円の野球選手
の納税額は、家族構成などで一定の前提を置くと、約3,300万円(個人住
民税を除く)、収入に対する割合は約33%となります。
 税率構造の累進性は、現在、諸外国の所得税制においても広く見られる
仕組みですが、歴史的には、必ずしも所得税創設当初から存在していたわ
けではありません。
 所得税は、1799年にイギリスにおいて、ナポレオン戦争の戦費調達のた
めに導入されたのが最初と言われていますが、税率は原則的に10%のみで
した(このような仕組みは、納税額が所得額に比例することから、比例税
とも呼ばれます)。また、ドイツ(プロイセン)においては、所得税につ
いて比例税とするか累進税とするかについて、政府と有産階級(当然有産
階級は比例税を主張しました)とが激しく対立した末、1848年の三月革命
直後の1851年に、階級別所得税という形で導入されました。この税は、一
定以上の収入を有する者を実に30もの階層に区分し、階層に応じて定額の
課税を行うものでしたが、納税額が所得の3%を超えることがないよう納
税額の上限が設定されており、事実上、比例税に近いものであったと考え
られます。
 その後、イギリス・ドイツともに制度改正がなされ、税率構造に所得に
応じた累進性が導入されました。日本の所得税は、明治20年に創設されま
したが、イギリスやドイツの所得税を参考にしたとも言われており、導入
当初から1%〜3%の5段階で課税する仕組みとされたのでした。ただし、
この当時の税率は、単純累進課税と言われ、所得に応じ5つの税率のいず
れか一つが課される仕組みでした。その後、大正2年の税制改正により、
現在の仕組みと同様に超過累進課税が採用され、税率構造も2.5%〜22%
の12段階と、より累進性が強化されたのでした。

                主税局調査課課長補佐 阿部 敦壽

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5 編集後記

 前号の配信(平成24年1月)からだいぶ時間が経ってしまい申し訳あり
ません。この間税制改革に関する様々な動きがありました。このメールマ
ガジンでは、税制の動きをできるだけ分かり易くお伝えできるよう努力し
ていきます。
 引き続き、税制メールマガジンをよろしくお願いします。
                             (南)

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