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Chapter2 消費課税


軽減税率制度の創設


(1) 軽減税率制度の概要

消費税率引上げに伴い、低所得者に配慮する観点から、

  • 平成29年4月1日より「酒類・外食を除く飲食料品」及び「週2回以上発行される新聞の定期購読料」を対象に消費税の軽減税率制度を導入します。
  • 輸入時に課される「酒類を除く飲食料品」の消費税についても軽減税率の対象となります。
  • 軽減税率対象品目の税率は8%とします(標準税率は10%)。
図:対象品目(酒類・外食を除く飲食料品)のイメージ
【一体商品の取扱い】○軽減税率の対象である食品が、他の商品と一体として販売される場合は、一体商品の販売価格(税抜き)が1万円以下のもので、その価額のうち食品に係る価額が2/3以上を占めている場合に限り、その全体が軽減税率の対象となります(一体商品全体の価格のみが提示されている場合に限ります)。

※色のついた部分が軽減税率対象品目です。

(参考)食品表示法に規定する食品とは、加工食品、生鮮食品、食品添加物をいいます。

(注1) 外食とは、飲食に用いられる設備(テーブル、椅子、カウンターなど)のある場所において、飲食料品を飲食させるサービスをいいます。
(注2) 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、幼稚園、小学校、中学校等で提供される一定の飲食料品・給食等が軽減税率の対象となります。
(注3) 複数の商品(次の➀~➂のうち異なる二以上の区分の商品)を同時に販売(一括譲渡)する場合に、その販売価格が合理的に区分されていない場合には、➀又は➁に係る資産の譲渡等の対価の額はそれぞれ次の計算式により計算した金額となります。

複数税率制度の下で適正な課税を確保する観点から、

  • 平成33年4月より適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)を導入します。
  • 平成29年4月から4年間は事業者の準備等の執行可能性に配慮し、簡素な方法
    (区分記載請求書等保存方式及び税額計算の特例)を導入します。
施行のスケジュール


(2)税額計算の方法


①区分記載請求書等保存方式 平成29年4月から平成33年3月まで

現行の請求書等保存方式を維持しつつ、区分経理に対応するための措置を講じます。

請求書等
「区分記載請求書」(イメージ)
  • 売り手が発行する請求書等の記載事項
    現行の記載すべき事項に、
    ➀軽減税率の対象品目である旨
    ➁税率ごとに区分して合計した対価の額(税込み)
    が追加されます。
  • 現行と同様、「請求書等」には、一定の記載事項を満たす領収書や納品書、小売事業者等が交付するレシートなど取引の事実を証する書類も含まれます。
  • 買い手は、区分記載請求書の保存が仕入税額控除の要件となります。
  • 免税事業者も、区分記載請求書を交付することができます。
  • 上記➀及び➁の記載がない請求書等については、買い手が事実に基づき追記できるものとします。
  • 現行と同様、
  • 売り手には区分記載請求書の交付及び写しの保存義務はありません。
  • 帳簿の保存も仕入税額控除の要件となります。
  • 支払対価の額が3万円未満の場合や区分記載請求書の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由があるときは、帳簿のみの保存により仕入税額控除をすることができます。
納付税額の計算方法
  • 現行と同様、適用税率ごとの取引総額に110分の10、108分の8を乗じて売上げ(仕入れ)に係る消費税額を計算する「割戻し計算」を維持します。
経過措置(売上税額の計算の特例、仕入税額の計算の特例)
  • 売上げを税率ごとに区分することが困難な事業者が、売上げの一定割合(注)を、軽減税率対象品目の売上げとして税額計算することができる特例を設けます。
表:経過措置の対象者と割合
  • 中小事業者(基準期間における課税売上高が5千万円以下)は、軽減税率制度の導入から4年間(平成29年4月から33年3月までの期間)、この特例を選択することができます。
  • 中小事業者以外の事業者(基準期間における課税売上高が5千万円超)も、軽減税率制度の導入から1年間(平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間)、同様の特例を選択することができます。
  • 仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者が、仕入れの一定割合(注)を、軽減税率対象品目の仕入れとして税額計算することができる特例を設けるほか、簡易課税制度の事後選択による適用等を可能とします。
(注) 売上げを管理できる卸売・小売事業者(簡易課税制度適用事業者を除きます)…売上総額に占める軽減税率対象品目に係る売上金額の割合
  • 仕入れの一定割合を、軽減税率対象品目の仕入れとして税額計算することができる特例は、軽減税率制度の導入から1年間(平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間)選択することができます。
  • 簡易課税制度の事後選択による適用等の特例は、それぞれ次のとおりです。
  • 中小事業者(基準期間における課税売上高が5千万円以下)は、軽減税率制度の導入から1年間(平成29年4月1日から平成30年3月31日までの日の属する課税期間)、簡易課税制度の事後選択をすることができます。
  • 中小事業者以外の事業者(基準期間における課税売上高が5千万円超)は、軽減税率制度の導入から1年間(平成29年4月1日から平成30年3月31日の属する課税期間の末日までの期間)、簡易課税制度に準じた方法による計算をすることができます。


②適格請求書等保存方式 平成33年4月以降

請求書等
「適格請求書」(イメージ)
  • 売り手が発行する請求書等の記載事項
    区分記載請求書の記載すべき事項に、
    ➀登録番号
    ➁税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率
    ➂税率ごとに区分して合計した消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額)が追加されます。
  • 平成33年4月1日より、適格請求書発行事業者登録制度の登録(注)を受けた課税事業者(売り手)は、取引の相手方(課税事業者)から求められた場合の適格請求書等の交付及び写しの保存が義務付けられます(適格請求書発行事業者として登録を受けた課税事業者のみ適格請求書等を交付することができます)。
(注) 適格請求書発行事業者の登録については、平成31年4月1日からその申請を受け付けます。
  • 小売業、飲食業、タクシー業等の不特定多数の者に対して販売等を行う一定の事業を行う場合については、取引の相手方の氏名等を省略するなど適格請求書の記載事項を簡易なものとする適格簡易請求書を交付することができます。
  • 偽りの適格請求書等の発行については罰則が設けられます。
  • 買い手は、適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となります(免税事業者は適格請求書等を交付できないため、免税事業者からの仕入れは、仕入税額控除をすることはできません。ただし、適格請求書等保存方式の導入後一定期間は、免税事業者からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合(注)を控除することができます)。
(注) 平成33年4月から平成36年3月まで…仕入税額相当額の80%
平成36年4月から平成39年3月まで…仕入税額相当額の50%
  • 現行と同様、帳簿の保存も仕入税額控除の要件となります。
  • 適格請求書等の交付を受けることが困難な場合(自動販売機から購入する場合や中古品販売業者が消費者から仕入れる場合等で一定の場合)は、帳簿の保存により仕入税額控除をすることができます(適格請求書等の保存は不要です)。
  • 現行の支払対価の額が3万円未満の課税仕入れについて請求書等の保存を不要とする規定等は廃止されます(3万円未満の課税仕入れであっても、帳簿の保存により仕入税額控除が認められる場合を除き、適格請求書等の保存が必要となります)。
納付税額の計算方法

売上税額・仕入税額の計算は、適格請求書等に記載された消費税額を積み上げる「積上げ計算」と、適用税率ごとの取引総額に110分の10、108分の8を乗じて売上げ(仕入れ)に係る消費税額を計算する「割戻し計算」のいずれかの方法によることができます。

  • 売上税額を「積上げ計算」する場合には、仕入税額も「積上げ計算」によることとなります。
「積上げ計算」の例 ※仕入れの場合


(3)安定的な恒久財源の確保

軽減税率制度の導入に当たっては、財政健全化目標を堅持するとともに、「社会保障と税の一体改革」の原点に立って安定的な恒久財源を確保するため、平成28年度税制改正法において次に掲げる旨を規定しています。

平成28年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久財源を確保する。
財政健全化目標との関係や平成30年度の「経済・財政再生計画」の中間評価を踏まえつつ、消費税制度を含む税制の構造改革や社会保障制度改革等の歳入及び歳出の在り方について検討を加え、必要な措置を講ずる。


(4)軽減税率制度の円滑な導入・運用のための検証・取組み

軽減税率制度の円滑な導入・運用のため、平成28年度税制改正法において次に掲げる旨を規定しています。

軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう万全の準備を進めるため、政府に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、必要に応じて、軽減税率制度の円滑な導入・運用に資するための必要な措置を講ずる。
軽減税率制度の円滑な運用及び適正な課税の確保の観点から、中小・小規模事業者の経営の高度化を促進しつつ、軽減税率制度の導入後3年以内を目途に、適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入に係る事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性、軽減税率制度導入による簡易課税制度への影響、経過措置の適用状況などを検証し、必要と認められるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他必要な措置を講ずる。


その他の措置


外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充

外国人旅行者による旅行消費の経済効果を地方に波及させる観点から、平成28年5月より、

  • 免税販売の対象となる購入下限額を引き下げます(一般物品、消耗品それぞれの購入下限額を5千円以上に統一)。
表:免税販売の対象となる購入下限額 改正前/改正後
  • 免税店から運送事業者を利用して海外へ免税対象物品を直送する場合には、購入記録票の作成を省略するなど、免税手続きを簡素化します。
  • ショッピングセンター等が商店街等の組合員である場合には、商店街等の組合員でないショッピングセンター等の各店舗と商店街等の各店舗における免税手続きを「免税手続カウンター」でまとめてできるようにします。
参考地方税における車体課税の見直し
自動車取得税の廃止

自動車取得税について、消費税率10%への引上げ時である平成29年4月に廃止します。

自動車税及び軽自動車税における環境性能割の創設

自動車税及び軽自動車税において、自動車の環境性能に応じて税率が決定される環境性能割を、平成29年4月から導入します。環境性能割においては、税率適用基準として平成32年度燃費基準を用いるとともに、平成27年度燃費基準も一部用いることで、自動車の消費の喚起、自動車取得税の廃止と環境性能割の導入を通じた負担の軽減を図ります。

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