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財政制度等審議会 財政制度分科会
財政構造改革部会
〔議事要旨〕

1.日 時 平成21年5月18日(月)14:00〜16:00

2.場 所 財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

3.出席者

(部会長)
西室泰三

(委員)
井堀利宏、榧野信治、河野栄子、木剛、田近栄治、玉置和宏、富田俊基、吉川洋、石橋明佳、板垣信幸、岩崎慶市、大塚義治、奥田務、島田晴雄、土居丈焉A長島徹、三木繁光、宮本勝浩、保田博、五十畑隆、香西泰、河野龍太郎、田中豊蔵、俵孝太郎、水口弘一、渡辺恒雄 (計27名)

(敬称略)

(財務省)
末松大臣政務官、主計局長、真砂主計局次長、香川主計局次長、木下主計局次長、主計局総務課長 他

4.議 題

  • 有識者からのヒアリング

    • ― 中川 俊男日本医師会常任理事

      • :「医療崩壊から脱出するための緊急提言」

  • 農政改革について

  • 社会保障(補足説明)

5.議事内容

  • まず、「医療崩壊から脱出するための緊急提言」というテーマで、中川俊男日本医師会常任理事よりヒアリングを行った。中川理事の説明の要点は以下のとおり。

    • 診療報酬の引下げを直接的な要因として、平均在院日数の短縮化、患者負担割合の引き上げ、雇用・生活環境の悪化、新医師臨床研修制度の導入といった事態が起きており、また、これを間接的な要因として、全国の病院・病棟の閉鎖、診療科の休止が相次いでいる。社会保障費削減政策は撤回すべきである。
    • 75歳以上の方は疾病にかかるリスクが高く、長期療養が必要なので、高齢者に関しては保険原理が働きにくい状況がある。高齢者の医療費は全額公費負担とし、高齢者以外の一般は純粋保険制度とするべき。
    • 国民皆保険を守るための財源を確保する手段として、@消費税など新たな財源の検討、A国の支出の見直しの継続、B公的医療保険の見直し、が必要。
    • 国民の経済的困窮による受診抑制、重症化の懸念を解決するために、外来患者の一部負担割合を引き下げるべき。医療資源の大幅な不足・遍在による地域医療の崩壊に対しては、診療報酬の大幅引上げを以て対処すべき。
  • これに対する、各委員からの主な意見は以下の通り。

    • 皆保険制度は世界に誇るべき制度であり、維持していく必要。医療保険制度は患者と医師双方で支える必要がある。
    • 医療費の増加については、財源確保のほかに、医療コストの節減も必要ではないか。経費節減のため、レセプトのオンライン化や後発医薬品の利用拡大に積極的に取り組むべき。
    • 財源確保には消費税の引き上げが必要だと思うが、どう考えるか。
    • 少額医療費についての保険免責制を導入してはどうか。税でも保険料でも、医療コストは国民の誰かが負担することになるのだから、皆保険制度を守るためには、免責制を導入すべき。
    • 混合診療についても前向きな議論をすべき。所得格差が医療格差につながるのはおかしいという意見もあるが、自分の健康に対する投資が不当に制限されるのはおかしいのではないか。
    • 医療の再生には、ただ金を積めばよいということではなく、地域の病院と診療所の連携が必要。医師会には、地域医療システムを構築するためリーダーシップを発揮して欲しい。
    • 医療報酬の配分やあり方そのものを検討するに当たって、中医協のメンバーとしてリーダーシップを発揮して欲しい。
    • 患者自己負担割合の問題は所得水準に依存する話であり、一律の引き下げには反対である。保険制度では、限られたリソースの有効活用が大事であり、高所得者には高額医療費制度が有効に機能するのではないか。
    • レセプトのオンライン化について、医師会は強制化に反対と言うが、多額の国費が投入されている現実があり、医療機関にも相応の義務が発生するのはやむをえないのではないか。
    • 国民皆保険を守るための財源についての3つの提案があったが、これに加えて国庫負担の見直しを考えて欲しい。公的医療保険の見直しの背後には国が医療に対しどういう負担をするかという議論があるし、高齢者医療制度の提案をするのなら、若い人も含めて国庫負担のあり方を検討すべき。
    • 国民感情からすると、医師の給料は高いと思っている人がほとんどであり、不況下で民間の給与は下がるのに診療報酬を引き上げるのは、理解できない。診療報酬には多額の税金が入っているのに、人事院勧告を無視した形で決まる従来のやり方はおかしい。診療報酬の水準より配分の在り方を議論すべき。
    • アメリカでは専門医の方が家庭医より給与が高い。簡単な診療より難しい診療を行う者の給料が高いのは当然で、日本でも開業医より病院の専門医に厚く配分すべき。
    • 医療費、特に高齢者医療費が10年、20年先にどうなるかという推計を医師会は持っているか。
    • 混合診療を解禁することにより、患者側のメリットだけでなく、高額の医療費収入が入るという意味で医師側のメリットもあるのではないか。
  • (以上の意見に対し、中川理事より

    • レセプトのオンライン化について、医師会はIT化自体には反対しないが、地方には年配の医師も多く、小規模な診療所に対しても完全義務化し、期限を守れない場合にペナルティーを科すような導入の仕方には反対である。
    • 免責制について、軽度の医療の負担割合が極端に大きくなってしまい、皆保険制度の意義が問われることになる。
    • 混合診療について、最先端の有効な医療、新薬についてはまず速やかに保険診療の対象にすべき。全面解禁すると、安全性、有効性が確保できない民間療法も解禁されるので反対である。
    • 地域医療の崩壊が金だけで再生できないのは確かだが、金が無ければダメなのも実態である。
    • 国保、協会けんぽ等の保険制度からは国庫負担を排除し、若年世帯で助け合う仕組みにすべき。ただし、この提案は、あくまで財源の話として出しているのであって、制度として国庫負担全廃を提案しているわけではない。
    • 医師のあるべき給与水準というのは神学論争。開業医の年収が法外に高いとは言えない。診療報酬の配分の見直しという姑息な手段では問題は解決しない。給与が高いのは一部の医師に過ぎないので、イメージではなくデータを根拠に話して欲しい。
    • 将来の医療費について、10年程度の見通しの推計は行うべきだが、20年先の推計が妥当かということは疑問である。
    • 贅沢な部分は患者負担にすることには反対ではないが、現行の制度でも、認可までの期間を早めれば、混合診療に関わる問題は解決可能である。混合診療を導入しても、高度な医療ができる医師は限られており、保険で認められているレベルそのものが上がる訳ではない。むしろ普遍的な医療のレベルは下がってしまうのではないか。
  • 次に、事務方より「農政改革」に関する説明が行われた。それに対する、各委員からの主な意見は以下のとおり。

    • 農地のかなりの部分が耕作されていないということだが、改善方法はどのようなものか。
    • 担い手そのものが減っていることについて、企業の参入は、担い手の比率増減という点でどのような影響があるのか。
    • 保護貿易にならない一方で、財政依存もしないという方向を維持するために農政改革は必要だが、WTOの動向をにらんで如何なる議論が進められているのか。
    • 国際的に見て、日本は農業生産者に対する助成金が最も高いという指摘がある。ある国では畜産業者への助成金を廃止したところ心疾患の患者が半減したという報道もあり、助成金のあり方は国民の健康にも影響するという視点もある。
    • 今回の補正予算では農業関係が全体で1兆円を超えているが、来年度以降の農政改革を先取りし、当初予算を前倒しているという理解で良いのか。来年度以降も一兆円ずつ続けて支出があるのか。
    • 今回の農政改革の方向については、仮に農産物の価格が激減した際の影響を考えると、主業農家をターゲットとすべきではないか。
    • 食料自給率について、どのように位置付けるか。各国に比べて低いのではないか。基本計画では45%の目標を掲げているが、50%にすべきという総理演説もあり、50%というのを一つの方向付けと考えてはどうか。
    • 新エネルギーを生み出すという部分があったが、遊休地の活用等で行うのか。
  • 最後に、事務方より社会保障に関する補足説明が行われた。これに関する質疑は特に行われなかった。

(以 上)

 

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