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財政制度等審議会財政制度分科会
財政構造改革部会及び法制・公会計部会
合同会議
議事録

平成20年9月3日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 財政制度分科会 財政構造改革部会
及び法制・公会計部会合同会議 議事次第

平成20年9月3日(水)9:31〜11:40
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)


午前9時31分開会

〔 西室分科会長 〕皆さん、おはようございます。ただいまから財政制度等審議会財政制度分科会財政構造改革部会及び法制・公会計部会の合同会議を開催させていただきます。ご多用中のところ、ご出席賜りまして大変ありがとうございます。

事前にご連絡することできませんでしたけれども、伊吹大臣が8月に就任されておられますが、お時間をいただくことができましたので、最初は大臣とのフリーディスカッションということで、三、四十分使わせていただいて、まず大臣からの話をいただいてから、皆様方からのご質問を受けて、大臣からまとめの回答もいただくということにしたいと思います。

その後で、世界経済の現状と行方ということで、委員でもあられる河野さんからご説明をいただく、それから、最近の経済情勢、安心実現のための緊急総合対策基本方針2008と、それに平成21年度概算要求基準、国の財務書類、財政制度分科会の当面の運営方針及び今後の進め方、大変盛りだくさんな議題がございまして、資料もたくさん厚いものがございます。

まず、審議に先立ちまして、日本赤十字社副社長の大塚義治さんが新たに臨時委員となられましたので、ご紹介をさせていただきたいと思います。大塚さん、いらっしゃいますか。

〔 大塚委員 〕大塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〔 西室分科会長 〕よろしくお願いいたします。

それでは、伊吹財務大臣がお見えになりますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

[報道カメラ 入室]

〔 西室分科会長 〕もうすぐお見えになると思いますが、実は、本日の開催につきましても、本当に開催するのかというお問い合わせを何人かの方からいただいたとおりでございまして、本日はしっかりと開催をさせていただいて、いろいろなご説明その他もさせていただきます。それで、次回は、今の予定では26日の午後2時からということになっていますが、いろいろな情勢もございますので、事務局の方から再確認を事前にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

[伊吹財務大臣 入室]

〔 伊吹財務大臣 〕皆さん、おはようございます。

〔 西室分科会長 〕それでは、早速でございますけれども、ご挨拶をちょうだいできればと思います。よろしくお願いいたします。

〔 伊吹財務大臣 〕皆さん、おはようございます。財務大臣に就任いたしました伊吹でございますというご挨拶を申し上げるべきなのですが、あらゆる会合のご挨拶をこの言葉で始めなければならない事態になりまして、まことに申しわけなく思っておりますが、福田総理の突然の辞意表明がございました。しかし、行政あるいは政治というものは、国民の日々の営みのためにあるわけですから、一瞬たりとも遅滞は許されないわけでございまして、その意味では、きょうから始まる皆様方のご審議というものが、将来の国家・国民のために大変大切なものであると認識いたしております。日ごろの有益なご協議と、いただいております建議に感謝を申し上げて、これからの審議をまずどうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

大変な異常気象でございまして、今年の夏は随分暑い夏でありました。同時に集中豪雨が次々とありまして、貴重な人命が損なわれております。ちょうどこのことは私たちがエネルギーを使い過ぎているという、ある意味でのライフスタイルに対する自然の大きな警鐘であると思いますけれども、財政の問題と温暖化の問題は極めてよく似ておりまして、今に生きる者が矜持を忘れて安易に暮らすことによって、次の世代に大変な時代を先送りするということだろうと思います。財政においても、とかく経済の一環として論じられがちでございますけれども、実は財政というのは、国家財政について言えば、政府がやっているすべての施策を金銭で表示したものでありまして、極めて政治的なものでございます。したがって、今に生きる者が少なくとも今に生きている者の日々の暮らしを自分たちの負担、自分たちの財布の中から手当をせずに先送りするということは、結果的に次の世代が自分たちの納めた税金を先の世代の意思決定のための返済に充てねばならないという意思決定権を奪っているという、極めて世代間のモラルに反するものだと存じます。

したがって、ぜひ、私は、安定的な財源を求めて、世代間のモラルをしっかりと果たしていける日本国民、あるいは日本の財政であっていただきたいと願っております。

と申しましても、民主主義社会においての意思決定というのは、言うならば多数決でございますので、私は、47年前ですか、初めて大蔵省に職を得まして、25年前に政界に転じたわけなのですが、戻ってまいりまして、私は、25年ぶりに帰ってきたので、今浦島のようなものなのですけれども、2つの玉手箱を絶対にあけないということで財務大臣の職を果たしていきたい。したがって、職員の諸君もぜひ協力してもらいたいということを申し上げました。

1つは、政界から持って帰ってきた玉手箱でございます。政治の権力というのは、ご承知のとおり多数でございますので、これを得るために大変有益な知識や経験を得た場でありますけれども、時として、あるいは政党によってはと申し上げた方がいいかもわかりませんが、財源の裏づけのない支出を提示することによって多数を得るという嫌いがありますので、この玉手箱をあけると財務大臣はまず失格になるだろうということです。

同時に、今浦島である私がなぜ大蔵省という社会から、龍宮城ではなかったわけですが、政界に転身したかを考えますと、財政規律というものは人間の矜持をもって守らねばならないものであると思いますが、この財政規律というものと同時に、やはり経済の中で財政が動いているのだ、そして、国民の日々の暮らしのために財政があるのだという謙虚さを失うことがあっては、大切な、財務省が持っている基本的な矜持が必ずしも国民に受け入れられないだろう、この玉手箱もまた安易にあけることがあると、なぜ私が財務省を後にしたのかという意味が失われる。この2つの玉手箱をあけずに、2つの玉手箱の絶妙なバランスをとりながら、2歩進んで1歩退き、1歩退きながら2歩進む、10年たてば必ず恒久財源の下で少なくとも財政再建の道を歩めるという政治的なシナリオを念頭に置きながらやっていきたい、私はこんなふうに思っております。

したがって、我々のやります、この少なくとも人間が関与している部分は、自然科学のように絶対的な真理というのはございません。1+1は2、あるいはこれであるという絶対的な真理はないだけに、謙虚に、何が公平なのか、何が必要なのかということを考えながら、だれが総理になっても私はこのことは変わらないことだと思いますので、皆さん方のいろいろな分野のご経験を通じてのしっかりしたご提言をいただきたいと思いますし、事務局にも、自分たちの作文をつくって皆様方の提言とすることがあってはならないということを厳しく申してございますので、どうぞよろしくご審議をお願いいたしたいと思います。

ありがとうございました。

〔 西室分科会長 〕どうも大臣ありがとうございました。本日は両副大臣、それから、両大臣政務官お見えでいらっしゃいますので、ご紹介をさせていただきたいと思います。

それでは、まず、竹下副大臣、よろしくお願いいたします。

〔 竹下財務副大臣 〕財務副大臣を仰せつかっております竹下亘でございます。先ほど伊吹大臣のお話にありましたように、国民の所得が伸びていない中で物価が上がっておるという異常な状況。一方で、財政の状況は非常に厳しい中で、皆さん方に真摯なご議論をいただいて、それを大臣をしっかりお支えをしながら、財務行政の中に対応していきたい、こう思っております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

〔 西室分科会長 〕どうもありがとうございました。それでは、続いて平田副大臣、よろしくお願いいたします。

〔 平田財務副大臣 〕同じく副大臣を仰せつかりました平田耕一でございます。大変な行動を私たちはこれからしてまいりますが、その行動も必ず国家・国民のためになると信じてやってまいりたいと思います。きょうのご挨拶でおわかりになると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

〔 西室分科会長 〕続いて、三ツ矢大臣政務官、よろしくお願いします。

〔 三ツ矢大臣政務官 〕おはようございます。8月6日付で大臣政務官を仰せつかりました三ツ矢でございます。こういう状況でございますので、いつまでお世話になるかわかりませんが、先生方にはひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。日本を取り巻く状況というのは、国内で解決できると言いますか、手当をすべきものと、国際的にきちんと対応すべきもの、私どもちゃんと仕分けをして対応していくべきだと思っております。これから大臣の支えをしながら、一生懸命頑張っていきたいと思っております。ぜひよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

〔 西室分科会長 〕最後になりましたが、末松政務官、よろしくお願いします。

〔 末松大臣政務官 〕失礼いたします。兵庫県から選出させていただきました末松です。微力ですけれども、粉骨砕身努力をいたして参りたいと思います。長く地方議員をやっておりましたので、地方からこちらを見るという見方ばかりだったのですが、しっかりした国家観を持って頑張りたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

〔 西室分科会長 〕どうもありがとうございました。

以上で、報道はご退席お願いいたします。

[報道カメラ 退室]

〔 西室分科会長 〕それでは、大臣ご出席でございますので、この機会に皆様から何かご意見、ご質問等ございましたら、お願いをしたいと思います。一応、お時間は二、三十分ぐらいということでございます。せっかくの機会でございますので、どなたからでも結構でございますので、挙手をいただければありがたいと思います。

せっかくの機会でございますから、富田さん、ひとついかがですか。

〔 富田委員 〕ありがとうございます。大臣は、環境問題と財政のことについての類似、まさに私もそのとおりだと思うのですが、昔イギリスでは、石炭問題ということで、経済学者のウィリアム・スタンレー・ジェボンズという人が、石炭を掘り過ぎてしまって、後世代に残すものがない、そこで政治問題になりまして、そのときに始めたのが、財政の健全化の一層の推進と国債の償還なのです。だから、大臣おっしゃったことそのとおりなのですけれども、もう一歩進めることが重要かと存じます。

それは、先ほど大臣おっしゃられました、人間としての謙虚さというか、その問題ともかかわるのですけれども、昨今のばらまき的な話を聞いておりますと、朝三暮四が朝四暮三という、そういうことをやはりきっちりと説明していくのが、ステーツマンとしての、恐れ多いですけれども、大臣のお仕事だと私は思うのです。国民生活の観点ということを本当に考えた場合に、朝四暮三でいいのかどうか。あるいは朝四暮三というよりも、夕方の三がもっと小さくなる、つまり、今の経済、名目ではゼロ成長、皆さん金利が低いとおっしゃるけれども1.4%、税収と利払費はどちらが早く大きくなるかということを考えれば、朝四暮三的なことを国民のためだなどと考えておると、問題は大きい。

それからもう1点、大臣がおっしゃったことで、10年先にはきっちりとした道を歩めるとおっしゃったことは、私、意を強くしたわけでありますけれども、当座、2011年度にプライマリー収支の確実な黒字化を達成することが、まさに国民に対して謙虚な姿勢ではないかと私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。

〔 西室分科会長 〕まとめて後で。おやりになりますか。

〔 伊吹財務大臣 〕いやいや、大切なところのご質問だと思います。きょうはこれだけの方がいらっしゃいますから、いろいろなお話をすると、必ず、きょう話したことは、出た途端に活字になるか、テレビの画面に踊っていると思うのですけれども。日本の統治のシステムを考えますと、富田先生おっしゃったことは理論的に非常に正しいと思います。10年たったらというのは例えで申し上げたわけで、2歩進んで1歩退き、2歩進んで1歩退くと、10年たてば10歩必ず進めるんです。毎年2歩進んで1歩退き、2歩進んで1歩退くと、10年たてば10歩進めることは、これは計算上確かなことですね。

一方、ここで自分はこう思うということを私が申し上げたのは、人間のやっている、特に人文系の政策においては、その人の生きてきた人生の軌跡とか、その人の持っている価値観とか、その政党の政治理念によって、正義とか正しいということはいろいろ違うわけです。そして、最終的には、日本のシステムというのは、主権者という人が主権を持っているわけですから、ここで多数を占めないと問題の解決はできないのです。これが権力というものです。そういう統治のシステムを前提にして考えますと、今の定額減税などということは、必ずしも正しくないのではないか、本来、原材料価格の高騰を製品価格に転嫁できるところとできないところとの差から生じている不安が今の不況の源泉にあるわけですから、現在の不況というのは、完全に原材料価格を転嫁し終えれば、当然、名目賃金がそれだけ上がることによって調整されるべきものなのです。しかし、残念ながら、市場経済システムというのはそう簡単に動かないわけです。もうけたい人もいれば、いろいろな人間の営みの中で動いているわけですから。したがって、その間の不足している所得を保証してやるという考えが出てくることは、ある意味では理解はできるわけです。私は、そのことも理解できるけれども、それより大きな価値観を持っておりますけれども、そういう主張をする人たちの考えも理解はしなければならないだろうと。

そして、結果的に、今の各党の公約を見ますと、ここは審議会の場ですから、何党ということを言うのは適当ではありませんが、ある政党は、これだけのことをしますが、税制改正は実質的にはやらないという公約をもって闘っておられるわけです。別の政党は、税制改革の道筋をつけることを少なくとも決めてはいるのです、なかなか実行できないもどかしさがあるわけですが。その2つを前提に、次に、だれが権力を持って2歩進むプロセスを進めていくかを我々は考えなければいけない立場にあるのです。ですから、多分、今年の暮れには、少なくとも現政権が続いている限りは、これだけのことをやりますが、それに見合う安定財源をちょうだいしたいということを選挙の公約に掲げることになるだろうと思います。

一方、これだけのことをやりますが、財源は明示しないという公約があるわけです。そこでどちらが国民の支援を得るかというパワーゲームの垣根を乗り越えた後、恒久財源を具体化する税法を提出しなければならないと私は考えているわけです。この税法をいつの時点で提出するかは、有権者の心理を考える場合には極めて難しい判断を迫られるわけです。それから、税法を通しても、施行日をいつからにするかは、これは極めて難しい政治的判断を迫られる。つまり、総選挙はいつあるかわかりませんが、少なくとも再来年の7月にはまた参議院選挙があるわけです。そういう垣根を乗り越えながら、我々は、だらかんだなと言われる、富田先生から見るとまどろっこしいと思われるかもわからないプロセスを、わかりながら歩んでおるわけです。もし私の価値観どおりのことを申し上げて国民の支持を得られなければ、3歩進んだように見えながら、10年たって1歩も進めない状況をつくり出すことは政治としてはできないのです、少なくとも使命感を持っている政治としては。当面の選挙に勝つことだけを考えている政治であれば、ばらまきで済みます。あるいは当面の自分の評価だけ考えている政治家であれば、自分の価値観だけを表に出すことはできます。しかし、少なくとも1億何千万という日本国民の中の有権者を相手に、国家意思を順調に正しい方向へ持っていくためには、いろいろまだるっこく考えられることもあるだろうという我々の方の立場も少しご理解いただきたいという気持ちを持って、私は、政治をあずかっていなければ先生と同じことを言ったと思いますが、私の感想を申し上げておきたいと思います。

〔 西室分科会長 〕ありがとうございます。続けて、どなたでも結構でございますが。田近さん、いかがですか。

〔 田近委員 〕一橋の田近です。せっかくの機会なので。この間の夏の建議のときにも議論したのですけれども、そこでも指摘したのは、社会保障を中心に議論したのですけれども、そこでも一番重要な問題になっていたのは、世代間の負担の問題になってきたと思うのです。後期高齢者の医療制度はいろいろ問題があるとはいえ、とにかくつくったと。それで、それに対して、若い人の議論というのも片方で十分もっと耳を傾けるべきではないか。もちろん、負担というのもあって、それをどうするかというのがあるのでしょうけれども、今、大臣がおっしゃった2つのバランスは私もよくわかります。ただ、ここまで来た段階で、やはり現実から考えるとすると、もう少し視点を若い人の方にも置かないと、バランスがとれない。

それともう1つは、あと税制にも関係するのでしょうけれども、若い人にバランスをとるということと、あと、高齢者の間の助け合いというのかな、全部若い人にシフトするのではなくて、高齢者の中にもいろいろな方がいる。高齢者というか、ある世代より上の人たちの間の助け合いもするべきではないかということで、バランスはわかりますけれども、現実から言うと、私も富田さんの方に近いと言わざるを得ない。ただ、そういうことを言っていてもしようがないので、もう少し現実的に、だれが負担するのか、そして、高齢者の間の助け合いというのも前面に出すべきではないかというのは、このごろ私は思っています。

〔 西室分科会長 〕それでは、どうぞ。

〔 伊吹財務大臣 〕バランスという言葉を私が使ったとは思わないのですが、一種の、物事を処理していく手法というのですか、物事を実現していく手法のようなことを申し上げたわけで、今おっしゃっていることは私は全く異論ありません。今回の長寿医療制度も、もう少し若い方々のためにやったのだということを説明の中に明確にすべきではなかったかなと私は後で思います。私が47年前にここに入りましたときの給料が1万800円でございました。そして、そのときに、日本人の平均寿命が66歳ぐらいだったと思います。もちろん、介護保険はありませんでしたけれども、私の1万800円の給料から引かれた社会保険料は、私が66歳で死ぬという前提で確率計算で引かれていたのです。その後、営々として皆さんが努力をされて長寿国家になりましたから、その都度、保険料の改定はありました。今は80歳という前提で引かれているのかもわかりませんが、私が一生涯納めた保険料は、多分、私が80歳まで生きるとして、一生涯受益するであろう年金・医療・介護の総額の多分7分の1ぐらいだろうと思います。それを現役世代にかぶせているのだということを説明しなければなりませんから。

今おっしゃったことで一番大切なことは、税制改正をするといっても、これも若い世代にもかぶせることになるのです。ですから、一番若い世代にかぶせる比率が少ないのは、長寿世代も負担する消費税であるという価値観を私は持っておりますが、別の政党はやはり、もうけている法人からもっと取ればいいではないかという価値観もありますし、高額所得者から取ればいいという価値観もあります。それはお互いに、どちらが正しいというのではなくて、価値観の違いで、価値観の違いを埋めていくのは、選挙というか、多数決で埋めていかなければならないわけだと思います。

ですから、今おっしゃったことは私は全く異論はありません。それをやっていくためにこそ税制改正をしなければならないということだと思います。

〔 西室分科会長 〕あと多分お2人ぐらいだと思いますけれども。それではまず、遠くの方の宮本さん、どうぞ。

〔 宮本委員 〕関西大学の宮本でございます。先ほど大臣の方から、2つの玉手箱をあけないという、非常にいいお話を伺いまして、心強い思いをいたしたわけでございますが、先ほどからいろいろ出ていますように、財源の裏づけのないばらまきを続けるということは、将来負担が非常に増えるということと同時に、日本の国の危機につながっていくだろうと思っております。絶対そういうことはすべきではないと思っております。私、1つここでお願いと言いますか提案なのですけれども、例えば、今、先進国の中で非常に財政の優等生であると言われているカナダ、それから、社会保障の大国であると言われているスウェーデンが、つい20世紀末に財政破綻寸前にまで陥った。例えば、金利が10%を超えたとか、そのときに、カナダ、スウェーデンがどれだけ大変な努力をして歳出削減をしたかを、ぜひ、財務省、どこかの部会でもいいですけれども、きちんと調べて、これを例えば国民、さらに国会議員の先生方にきちんとした形で提示して、将来このままで日本が行きますと、これどころではない大変な状況に陥りますと。そのときには、日本は本当によほど思い切ったことをやらないと立ち直れませんよ、このままずるずる、財源のない、当てのないばらまきをやっていると、日本は、カナダとかスウェーデンがやった以上のことになりますということで、いわゆる研究チームと言いますか、そういうものをつくっていただいて報告書を出していただくとか、そういうことをやっていただいて、できるだけマスコミにも出すと同時に、国会議員の先生方にも、目先の人気とりだけのためにやっては大変なことになるよという意識を、国民共通で持つべきではないか。そのために、そういう研究チームといいますか、報告書をつくるチームをつくってもいいのではないかと思っておりますが、大臣、いかがでございますでしょうか。

〔 伊吹財務大臣 〕全くご提案に私は異議はございません。そのようなことはやってみたいと思います。それと同時に、やはり財政で今後やっていかなければならないことの中期的にやらねばならないことと、長期的に目指すべきものと、当面どうするかということです。やはりこれからは社会保障が大きな負担になってくることは確かなのですけれども、もちろん、個人によって差はございます。だけど、80歳の人と30歳の人に同じ仕事を頼めば、30歳の人の方が耐久力もあるし、すばしっこいわけです。ですから、長寿化が進んでいくということは、日本の1人当たりの労働生産性が落ちてくるということですから、日本全体の労働生産性は落ちてきます。成長が低下してくる。だから、それを補うために勤勉の価値、公に尽くす気持ちとか、あるいは設備の生産性を上げるための科学技術の振興とか、あるいは、今度その脆弱性が表に出てしまった、原材料を他国にこれだけ依存しているということになると、省エネの促進とか代替エネルギーとか、食糧需給とか、こういうことをかなり長期的な目標として財政の支出を考えなければなりません。中期的というか、やらねばならないことは、社会保障のバランスをとるための税制改正をぜひ実行しなければならない。

当面の、原材料価格が上がったのに製品価格に転嫁できないから、最終的に人間の価格である労賃をノミナルに上げることによって状況を、市場経済を通じてつくり上げていくという間の、少しフリクショナルなものをどうやっていくかということについては、これは企業経営でも同じだと思うのですけれども、やはり売り上げをもって設備投資をしたキャッシュフローを取り戻すのは一番理想なのです。しかし、そこへ行くまでの間は、例えば、税法以上の積立金があれば少し限度を超えている部分を取り崩すかと、これが埋蔵金と言われる議論だと思います。それから、社債や借入金でしばらく泳ぐかということもあるわけですが、これはある意味では限界に来ているので、できるだけそういう方向はとらない。その長期・中期・目先のことを考えながら、今、先生がご提案になっていた、かなり中長期的に各国がどうやったかということを勉強してみたいと思っております。

〔 西室分科会長 〕それでは、土居さんどうぞ。

〔 土居委員 〕僣越ながら、大臣に2つご質問させていただきたいと思います。慶應義塾大学の土居でございます。

先ほど大臣が環境問題と財政赤字の問題を例えられて、非常に私も同感だと思いました。ある放送局では、明日のエコではもう待てないとおっしゃっているわけですけれども、まさに明日の財政再建ではもう待てないという状況なのだろうと思います。2011年のプライマリ―バランスの黒字化の目標を、私としてはぜひ堅持していただきたいと思っておるわけですけれども、これについて、環境問題に対する国民の理解はだんだん深まりつつあるけれども、なかなか収支黒字化の目標に対する国民の理解の浸透度が、環境問題に比べれば弱いのではないかと思うわけでありまして、その意味で、大臣としてどのような政治的な説得を国民に働きかけるお心づもりがあるかということをお聞かせいただきたいと思います。

それからもう1つは、先ほど田近先生もお触れになりましたけれども、若い世代のことにもう少し目を向けていただきたいということでありますけれども、恐らく政治状況といたしましては、選挙区の中でも、高齢の有権者の方が投票率が高くて、若い人の投票率が低いということが作用しているのだろうと思うわけでありますけれども、しかし、これを抗しがたい政治的な現状だとして受け入れるにしては、あまりにも将来世代、ないしは若い世代の人たちのことを軽く見ているのではないかとも思うわけでありまして、若い世代の人たちの政治参加と言いましょうか、投票率の低い状況を、どのように財政問題に絡めてお考えになっておられるかということをお伺いしたいと思います。

〔 伊吹財務大臣 〕1番目の問題は、私が幹事長をやっておりましたときに、2011年のプライマリーバランスをどうするかについて、私なりの政治的なシナリオというか、工程表を、福田総理や、麻生さんもある程度それを知っていると思いますが、私なりに描いていたわけです。それは、先ほど申し上げたように、今度の国家意思の決定をする場、つまり、衆議院選挙で多数を持つということをしない限りは、もう1つの勢力は税制改正はしないという前提ですべてのマニフェストが組まれているわけですから、ここを乗り越えないといけないのです。ここを乗り越えるためにどういう歳出というよりも、私はむしろ税制改正の中身だと思うのですが、これをやっていくかと。当然、減税をすればそれは追加財政需要と同じことですから、それに見合う恒久財源を求めるということを打ち出して選挙をする、そして、選挙に勝てば恒久財源を求めるということを今度は具体化する、具体化するということは、税法を出すということです。税法を出すことによって、今度はその税法の中に施行日を入れるということです。富田先生や土居先生、アカデミックなお立場からすれば、例えば、すぐに施行日を来年4月1日にしたらいいではないか、それで選挙に負けることになると、3歩いいことを言ったけれども、10年たったら3歩しか進めていなかったということを、私は申し上げたいということなのです。

ですから、私は、その工程表どおり、だれが総理になり、その工程表を重視されるかどうかは別なのですが、その工程表どおり行けば、私は2011年のプライマリーバランスは実現できるという前提で工程表をつくっていたということなのです。詳細を申し上げますと、これは大問題になってしまうので、ここでお話はいたしません。

今、上げ潮だとか、財政重視派だとか、いろいろな議論がありますが、私はこれは全くマスコミがためにする対立点のおもしろ番組だと思うのです。先ほど、中期・長期ということを申し上げましたけれども、政治家である限り、あるいは皆さん方お1人お1人すべて有識者である限りは、長期的には日本経済や日本社会の将来を考えれば、全員上げ潮派でなければいけないのです、少なくとも。それは財政をどう使うかということは別です。成長率を上げていくという戦略をとらない人は、私はおかしいと思います。しかし、その成長率を上げることによって、自然増収がどんどん上がってきて、短期的に効果が出てくるということであれば、今こんな状態になっていないわけです。

だから、2011年は、例えば、教育の問題といえば、国家100年で、人間の質を変えて、人間の価値観を変えていくには少なくとも100年かかります。だから、長期的にはだれしも上げ潮派であるべきなのだけれども、2011年という、あと3年ぐらいの間に、上げ潮で夢のような世界が来るということはだれも考えないわけですから、制度的なことに手を入れなければならないことは、これは私は当然のことだと思っているわけです。ただし、それに手を入れていくためには、パワーゲームを勝ち抜かねばならないということなのです。そこのところを私は申し上げているということです。

2番目の話は、全くそのとおりで、我々は何もご年配の方々の味方をしているわけでもないし、投票率が高いからどうというわけでもありません。それは選挙を1度闘ってごらんになったらおわかりになることだと思いますが、やはりこれは大衆に働きかけなくてはいけないのです。だから、今回、公明党が言った定額減税というのは、ある意味では、効果があるかどうかは十分検証しなければならないです。しかし、少なくとも業界の対策ばかりにお金を出すよりも、有権者に対して向かい合うという意味では、私は2歩進むために1歩引いたと考える場合もあってもいいではないかという感じは持っているのです。最終的には、経営者の方は今日たくさんいらっしゃるけれども、生産性の増分をどの程度名目賃金に配分していただくかによって、例えば、100円のイカが120円になった、だけど、その結果、100円で買っていた牛肉を漁師さんが120円で買われれば、すべての問題はそれで終わってしまうわけですから。だから、賃金が上がっていないという現状をどうコンペンセートしていくのか。これを賃金でコンペンセートしていくのか、公的部門が出ていってコンペンセートするのか、私は公的部門が出ていかないことを願っていますけれども。だけど、ややそういう面があるのかなという気はしているのです。ただ、景気対策として効果があるかどうかは別です。

ですから、ぜひ、富田先生も、土居先生も、学生の諸君を相手に講義をしておられるわけですから、今私が申し上げたような有権者としてのパワーの一端を持っている人を相手にしておられる限り、先生方もまた必ず投票に行くことを話してくださらないと困ります。ここへ来て、一般論のようなお話をされずに、みんなが当事者としてその任に当たって、若い人たちもこのままでは将来大変だということを自覚して、投票に行ってもらうということです。

〔 西室分科会長 〕どうもありがとうございました。時間が相当過ぎました。

それでは、木さん、最後にひとつ。

〔 木委員 〕今のお話、各委員の方々のお話もお聞きし、また、大臣のご答弁もお聞きしながら、そういうご論議が、ここは財政審という場だからということかもしれませんが、もっと具体的に申し上げれば、私、午後、社会保障国民会議に出るのですが、そこできょう、「5つの安心」という論議だとお聞きしておりますが、安心実現内閣とかいろいろおっしゃられてきて、では、今、国民が今の日本の現状をどういうふうに認識をしておるのか。あまり各論に入り過ぎかもしれませんが、社会保障財源にかかわる2,200億円の問題、どういうふうに因果を分析なさっておられるのか。そういう意味では、財政規律ということも大切だとは思いますが、一方で、国民生活の視点で見ましたときに、起こっておることについて、5つの安心についてどういう財源措置をなさるのかということも明確ではございませんし、一方では、2,200億円また今年もやるのだというお話でございますが、入りと出のバランス論等も含めて、一方、国民生活の現状・現実みたいなものについて、財政は配慮いただけないのかと、そんなふうに感じられるところもあるのですが、いかがでございましょうか。

〔 伊吹財務大臣 〕これは会長、私が先ほど申し上げているとおりご理解いただければ、連合のおっしゃっていることを私は無下に否定しているつもりは全くありませんのでね。2歩進むためには1歩退くときがある、しかし、1歩退けば必ず2歩進ませてもらいたいということを申し上げているわけですから。よく今のことも拳々服膺して、私が財務大臣をやっておれば、予算編成、税制改正もきちんとやりたいと思います。

〔 西室分科会長 〕それでは、時間も大分過ぎましたので、この辺で大臣との対話会は終わりにさせていただきたいと思います。きょうは、経営者の方にもご発言いただかなければいけなかったかもしれませんけれども、失礼をいたしました。

それでは、大臣、どうもありがとうございました。

〔 伊吹財務大臣 〕どうも先生方、ありがとうございました。どうぞくれぐれもよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

[伊吹財務大臣 退室]

〔 西室分科会長 〕それでは、次に、丹呉主計局長から、主計局幹部の異動についてのご紹介、よろしくお願いいたします。

〔 丹呉主計局長 〕この7月に主計局長を拝命いたしました丹呉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

主計局の勤務は7年ぶりでございます。今、我々を取り巻く環境は大変厳しいかつ難しいという認識をしております。委員の皆様方におかれましては、引き続きご指導賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

それでは、主計局の人事異動について紹介させていただきます。座って説明させていただきます。お手元に「主計局人事異動一覧」という資料を配付させていただいております。今回の人事異動では、次長は異動はございませんでした。次長の真砂、香川、木下の3人は引き続き務めさせていただきます。次長3名の担当につきましては、2ページ目に担当の事務分担がございます。

それから、主計官以下でございますが、お手元にございますように異動がございました。ごらんいただければと思います。このうち当審議会を担当しておりました調査課長の中江が、公共事業担当の主計官に異動となりました。後任といたしまして、これまで財政分析係を担当して主計企画官を務めておりました大鹿が着任いたしました。大鹿は、引き続き財政分析係も担当いたしますが、今後、当審議会を担当しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

私からは以上でございます。

〔 西室分科会長 〕どうもありがとうございました。

それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。ご承知のとおりでございますけれども、現在、米国のサブプライムローン問題、あるいは世界的な原油・食糧価格の高騰、日本経済、世界経済、それぞれ不透明な状況になっているということでありますが、こうした中で、この秋に向かって財政問題を議論するに当たって、委員の皆様方の間で、日本経済あるいは世界経済の現状など、財政をめぐる状況についての認識を深めておく必要があるということで、勝手でございますが、本日は河野委員に、「世界経済の現状と行方」に関してのプレゼンテーションをお願いしたいと思っております。

なお、次回は日銀の西村副総裁にお見えいただいて、日本経済を中心にしてのお話を伺いたいということでございます。

それでは、河野さん、よろしくお願いします。時間は30分ぐらいで。

〔 河野委員 〕BNPパリバの河野でございます。

お手元、「世界経済の現状と行方」という横長の資料がありますので、こちらをもとにお話をさしあげたいと思います。本日は3つの点について話をしたいと思います。皆さんご存じのとおり、昨晩、原油が10ドル近く下がっておりまして、現在、1バレル105ドル前後まで下がっております。7月11日、一時147ドルまで上がっていたわけでありますが、この原油動向を見ることによって、ある程度、今後世界経済どうなるか、あるいは、原油高によって大きく各国の経済が苦しんでいたとすると、原油が大きく下がっていますから、早期の景気の回復があるのかということを、1点、まずお話ししたいと思います。

2点目は、アメリカの金融問題をお話ししたいと思います。

そして、時間があれば、ヨーロッパの話ができればと思います。アメリカと日本が景気が悪いというのは、皆さんよくご存じだと思うのですが、ヨーロッパもかなり足元でぐらついています。

まず1点目の原油でありますが、9ページ目を開いていただきたいと思います。後ほど中長期的に原油がどうなるかという話はいたしますが、そもそも、なぜ去年の後半から原油高が加速し始めたのか、一言で言いますと、アメリカの金融危機を回避するための積極的な金融緩和、これは昨年8月のクレジットバブルの崩壊以降、FRBが継続的に利下げをしたわけですが、これが新興国経済に波及し、新興国経済の過熱を助長することによって、彼らの旺盛な需要が、エネルギー・原材料高の加速を引き起こしたということであります。

経済学においては、本来、変動相場制を採用していれば、ほかの国の金融政策の効果を遮断できます。しかし、これはどこの国もそうなのですけれども、自国の通貨が上昇しますと、輸出セクターに悪影響が及ぶということで、多くの国は自国通貨の上昇を回避する政策を採ります。この9ページ目の右側のグラフには、いわゆるBRICsと言われる、ブラジル、ロシア、インド、中国の実質金利を書いておりますが、とりわけ2007年の後半以降、どこの国も実質金利が大きく下がっています。去年の後半にアメリカやヨーロッパ、あるいは日本の実質金利が下がったのは、アメリカでは、クレジットバブル崩壊で金融危機を避けるために積極的な金融緩和を行った、あるいは、その金融市場の混乱がヨーロッパなどに波及しましたので、ヨーロッパは利上げを中断したということで実質金利が下がっていたわけですが、去年の後半の段階で新興国はむしろ景気過熱が問題になっていたわけでありまして、実質金利を引き上げていかなければならなかったのに、彼らはそれを行わなかったのです。実質金利が下がることで、景気過熱を助長したということなのです。

なぜ実質金利低下を容認したのか。アメリカが利下げをしますと、アメリカと自国との間に大きな金利差が生まれてしまいます。そうすると、自国への資本流入が生じ通貨高を引き起こしてしまうことになります。それ故、昨年の後半に新興国で必要であった金融引き締めができなかった。その結果、実質金利が大きく下がり、新興国の景気過熱が助長され、彼らの旺盛な需要が、エネルギー・原材料に向かった結果、価格上昇が加速したのです。同時期に、日本の新興国向け輸出が急増したのも同様の理由です。中長期的なエネルギー・原材料高の原因は別にあるにしても、昨年の後半以降、アメリカの金融緩和が新興国に波及する形でエネルギー・原材料高が起こったということです。これは、今までなかった現象です。通常、一国の金融緩和は一国の経済を過熱させる形でその国の物価を上げるのですが、今回は、アメリカの金融緩和がほかの国々に波及する形で、アメリカにとっては輸入インフレという形で物価が上昇しました。これが昨年後半以降の世界的なエネルギー高の加速の背景であります。

それでは今後はどうなるか。11ページを見ていただきたいのですが、ここに簡単にまとめております。もし私が話した仮説が正しいとすると、エネルギー・原材料価格高が修正される条件として3つが挙げられます。1つは、グローバルインフレ、世界のエネルギー・原材料高の起点でありましたアメリカの金融政策に変化が生じるとこと。

そして2点目が、新興国がアメリカからの金融緩和効果の波及を遮断するような政策を行うかどうかということ。3点目が、原油高そのものが行き過ぎてしまって、新興国を始め世界経済が減速する。この3つのいずれかが起これば原油高が修正されるのですが、今考えると、6月末から7月初旬の段階で、このいずれについても変化が起こっております。

まず1つ目に、アメリカの金融政策なのですが、6月25日のFOMCで、もう金融緩和はできない、もし次にFRBが動くとするとそれは利下げではなく利上げであるということが、明確にされました。グローバルインフレの大もとであったアメリカの金融政策の動きが変わったのです。

2点目ですが、アメリカからの新興国への金融緩和効果の波及は、新興国が通貨の上昇をもたらす金融引き締めに転じれば、遮断することが可能だったわけでした。原油高によって多くの新興国の経常収支が赤字に転じ通貨が下がり始めたのです。その結果、通貨高をもはや恐れることなく金融引き締めが可能になった。むしろ通貨安によるインフレスパイラルを避けるために引き締めを本格化する国々が6月から7月にかけて増え始めたということであります。

3点目でありますが、4−6月のGDPは、日本ではマイナスになり、ヨーロッパでもマイナスになっております。減税効果で持ち直したアメリカ以外は、先進国、そして新興国いずれも、相当悪くなっています。行き過ぎた原油高が各国の景気を大きく変動させたのです。この3つの条件がちょうど6月から7月に起こり、振り返りますと、ちょうど7月11日が原油のピークだったなということだと思います。循環的な意味で、エネルギー・原材料価格の加速を引き起こしていた要因が剥落しておりますので、しばらくの間、世界経済は減速が続きますから、一旦は原油高はピークを打っただろうと考えていいのではないかと思います。

中長期的にはどうなるか。中長期の話を12ページでしたいと思います。中長期で見た場合なぜ原油高が2001、2002年に始まったのかということです。このグラフは実質ベースで見たものですが、原油の水準は、ドル建てで見て、1980年の水準を大きく超えているところまで上昇しています。ご存じの通り、2000年、2001年のあたり、原油価格は今の5分の1以下、20ドルだったわけです。これがなぜ今105ドルなのかですが、中長期的な理由としては、グローバリゼーションの進展があると思います。つまり、2000年代初頭に欧米の製造業セクターは、人件費が安いところに相当な生産拠点の移転を行いました。当時よく言われた議論が、インターネットのおかげで通信費がただになっている、そして、原油が1バレル20ドルでありますから、運送費はほぼただ同然。そういった状況で各国の製造業セクターが人件費の安いところに移転したわけであります。当然、人件費が安い国々は技術はそれほど高くないわけでエネルギー効率が悪い、つまり、1単位物をつくるにしても、エネルギー多消費型の産業が多いわけですから、そういった国々の世界経済に占めるウエートが増えてくると何が起こるか。結果として、中長期的なエネルギー・原材料高の上昇が始まったということであります。

食品価格も同じように上がっておりますが、新興国において生産拠点が増えたことで、その国々で中産階級がかなり増えて、西側と同じような食生活をするような人が増え、それがエネルギー・食品の価格の上昇につながっていると思います。

そうすると、今後どうなるか。エネルギー効率の悪い企業は、先進国であっても新興国であっても徐々に淘汰されていくことはあるのですが、多くの企業が人件費の安い、エネルギー効率の低い国で生産を行っておりますので、世界経済の回復が始まると、再びエネルギー・原材料にボトルネックが起こる、つまり比較的エネルギー・原材料高が起こりやすい状況になるのだろうと思います。振り返りますと、例えば、1970年代がある意味ではそういった状況だったわけですが、ちょっと似たような状況が起こるのかなと思います。

今から、景気が世界的に悪いという話をしますが、その前に、では、景気が悪いと財政を出す必要があるのかという話になってはいけないので、その前に一言。世界的に今起こっているのは、今お話ししましたように、エネルギー・原材料が相対的に上がっていることですが、これは我々が得意とする工業製品の相対価格が下がっていることを意味します。ということになりますと、ほかの条件が一定であれば、工業製品をつくっている国々の実質賃金は下がらざるを得ないということであります。このため実質賃金を高めるためには、生産性を高めていくという方法しかありませんから、財政措置によって一時的に失われた実質所得が復元されたとしても、それは持続的ではないということです。財政での補てんは適切な対応ではないということです。

次に、世界経済がどうなっているかということです。2ページ目に戻っていただきたいと思います。2ページ目の左のグラフを見ていただきたいのですが、これは日本のグラフですが、大体世界的に同じようなことが起こっています。一番上のダイヤモンドの線が日本の外需です。これを見ていただくと、2008年の1−3月までずっと拡大が続いておりました。皆さんよく覚えていらっしゃると思いますが、2006年の住宅バブル崩壊と、2007年のクレジット・バブル崩壊後、アメリカの景気が相当悪くなりました。アメリカの景気が悪くなると日本の輸出が減速するのではないかと思われたわけですが、新興国向けを中心に日本の外需は2008年1−3月まで拡大が続いていました。それは、新興国の景気の強さが引き起こしたわけですが、同時に引き起こしていたのが、先ほどお話した、昨年の後半からのエネルギー・原材料価格の急騰です。その結果、日本は、エネルギー・原材料を輸入しておりますから、資源国に対して所得移転が相対的に大きく起こっている、これが昨今の多くの日本の経済主体の非常に苦しい理由です。所得移転がどのくらいの規模で起こったかが、この同じグラフの三角でつないでいる部分です。グラフには交易利得と書いておりますが、これはマイナスの世界でありますから交易損失であります。つまり、資源国に所得移転が起こっている、これは私たちが資源国から一種の増税をされているようなものでありますが、この資源国への所得移転はGDP比で5%ぐらいまで拡大しているということであります。

新興国主導の世界経済の拡大は、確かに日本や多くの先進国から新興国向けに輸出の拡大を引き起こしたかもしれませんが、同時に新興国の旺盛な需要がエネルギー・原材料高を引き起こした結果、これほど大きな交易損失が発生してしまったということであります。ちょうどこの交易損失と外需を足し上げたものが真ん中の線でありますが、これを見ると、昨年末ぐらいから下向きになっているのです。新興国の強さによる輸出の拡大と、新興国の強さが引き起こしたエネルギー・原材料高の悪影響を足したものが、ちょうど去年の終わりからマイナスの世界になっている。日本政府も最近認めましたが、昨年の末あたりから景気後退になっている可能性があるという背景が、ここのグラフにもあらわれております。

ただ、ここからが問題なのですが、このグラフにもありますように、今、足もとで輸出の減速が起こっています。この減速の理由は、エネルギー・原材料で内需が悪化したということですが、内需悪化は多くの国で観察されます。そうすると当然、各国は輸入を減らす。ということは、それは、貿易相手国の輸出が減速することになりますので、エネルギー・原材料高が引き起こした内需低迷によって、輸出の減速に各国が悩み始めています。そうすると、少しフェーズが今までと変わっていまして、今まではエネルギー・原材料高によるマイナスの価格ショックによる内需の低迷だったわけですが、今からはむしろ各国の景気が悪い結果、原材料価格が下がっておりますから、早晩、マイナスの価格ショックの悪影響は収束し、いずれかの段階でプラスの価格のショックが生じます。一方で、輸出の減速が今始まっておりますので、輸出の減速が引き起こすマイナスの総需要ショックの悪影響が広がってきます。今後、日本の景気の行方は、マイナスの総需要ショックと、原油価格下落が引き起こしますプラスの価格ショックの綱引きということであります。

残念ながら、経済モデルなどで試算しますと、なかなか原油価格下落によるプラスの価格ショックがすぐにはあらわれてきません。例えば、現在、電力会社の方々は、7月以前の原油高の影響でコストが高まった部分を年明け以降転嫁しようという動きが起こっておりますから、プラスの価格ショックがあらわれる前にマイナスの価格ショックの影響がしばらく広がります。一方で、輸出減速を起点とした生産の減少、ひいてはそれが引き起こす雇用、所得の減少、支出の減少というメカニズムが現在起こり始めております。

結論を言いますと、これらのマイナスのショックが完全に収束して日本経済が潜在成長経路に復帰するのは来年の半ば以降、来年7−9月ぐらいからになります。では深刻な落ち込みかと言われると、ほかの国々と違いまして、日本の場合、今回それほど大きな調整を必要とする過剰は発生しておりませんので、それほど深刻なものにはならないと言えると思います。日本の話をしましたが、大体各国直面している問題はほとんど同じでありますので、私ども各国のエコノミストが試算しましても、需要のマイナスのショックと価格のプラスショックの相殺が起こり、回復してくるのが、どうも来年の7−9月ぐらいという見方をしております。

次に、アメリカの金融市場の状況は深刻であり日本の景気の回復時期も遅れるのではないかと思われる方もいらっしゃると思いますので、少しアメリカの話をします。

23ページをお開きいただきたいと思います。時間が限られますので簡単にお話をさしあげたいのですが、アメリカの金融問題は、まだまだ続きますが、恐らく金融システムの崩壊のような状況はもう避けられたと見ていただいていいと思います。今からは、個別の金融機関の経営問題だと認識していただいていいかと思います。日本の90年代の動きと現在のアメリカをよく比べられて、日本と同じような状況になるのではないかと見られる方がいらっしゃいますが、日本とアメリカが一番大きく違うところは次のような点です。日本が金融機関に対して公的資金を入れるのに相当手間取った理由は、90年代それ以前、金融機関の破綻の経験がなかったので、金融機関の破綻が起こったときに、その損失をだれが負担するのか、預金者が負担するのか、債権者が負担するのか、預金保険でお金を出すのか、公的資金でお金を出すのかというルールが全く決まっていなかったので、なかなか公的資金を入れることができなかったわけですが、アメリカは基本的に破綻時の制度ができ上がっておりますので、システムが崩壊という問題にはもうならないのだろうと思います。

ただ1つ懸念されるのが、日本のバブル崩壊の経験から言いますと、循環的な回復はストック調整が終われば始まりますが、例えば、日本、93年の秋から景気回復は始まりましたが、景気回復のペースが相当鈍かったということがあります。それはなぜかというと、金融部門のリスクテイク機能が大きく損なわれたためですが、それについて、23ページ目のグラフで話をいたします。

アメリカの金融仲介がどこによってなされているかというグラフなのですが、3つの部門に分かれておりまして、一番下が預金取扱機関によって行われていますが、一番ウエートが小さい。今のアメリカの資金仲介は、圧倒的多数が「その他の金融仲介機関」という部門でなされています。「その他の金融仲介機関」とは何かといいますと、例えば、証券化商品、あるいはデリバティブ、プライベート・エクイティ・ファンド、そういったような金融技術を使った新しい分野での資金仲介でありまして、これを担っているのがインベストメントバンクと呼ばれるセクターなのですが、今回のクレジットバブル崩壊でインベストメントバンクは相当体力を失ってしまいました。過去十数年間、アメリカで高い成長が可能であった一番大きな理由は、技術革新が進んだことがありますが、イノベーションが可能になるためには成長分野にリスクマネーがスムーズに流れていくことが必要です。このリスクマネーをスムーズに流す機能を担っていたインベストメントバンクがかなりダメージを受けています。ですから、アメリカの潜在成長率、例えば2%台後半と見られているわけですが、これが低下している可能性がある、そうすると、来年7−9月からアメリカの景気も回復だという話をしましたが、回復はするのだけれども、金融部門がリスクマネーの供給をうまくできなくなっているため、潜在成長率が下がり、実際の成長率もそれほど高まらない可能性がある。次回のアメリカの景気の回復は思っているよりも相当緩やかになってしまう。そうすると、以前のように日本の景気回復が起こるときに海外の景気に頼ることはあまりできなくなる可能性があります。

最後にヨーロッパの話を簡単にしたいと思います。13ページにヨーロッパの関連のグラフが出ています。ここにありますのは、ヨーロッパのビッグ4、ドイツ、フランス、イタリア、スペインのPMI、言わば日銀短観のようなデータですが、急激に悪化が起こっています。4−6月のGDPは、ユーロ統合以来、初めてのマイナスの成長になったのですが、ユーロ圏の中でどこが一番景気が悪いかといいますと、図の4番目のスペインとか、あるいはこのスペインよりも規模の小さいアイルランドとか、そういった小さい国々で景気が相当悪くなっています。一体何が起こっているのか、次の14ページを見ていただくとわかります。

住宅バブルの崩壊が起こっています。アメリカの住宅バブルをはるかにしのぐ規模でスペインやアイルランドなどでバブルの生成とその崩壊が起こっています。アメリカでは住宅バブルでしたが、スペインやアイルランドでは、住宅だけでなくて商業不動産についてもバブルが起こっています。

この背景には、一言で言うと、10年前のユーロ通貨統合の弊害があらわれています。当時、多くの経済学者が指摘したとおりですが、経済水準、物価水準が全く違うような国に1つの通貨で対応していいのか、いわゆる最適通貨圏の問題があったわけですが、この弊害が出始めています。例えば、フランス、ドイツというコアの国々に比べると、スペインやアイルランドの国々は、物価水準、賃金水準は相当低いわけなので、経済が統合していく過程で、インフレ率が相当高まったのですが、ECBが経済規模が大きいドイツ、フランスにあわせて金融政策を行った結果、スペインやアイルランドにとっては相当緩和的な金融状況になった。それがかなりの期間続いたのです。2000年にITバブルの崩壊が起こったときに、ドイツ、フランスの景気が悪くなって、ヨーロッパの中央銀行はどんどん利下げをした。緩和的な金融環境のおかげでスペインやアイルランドはもともと景気は悪くなっていなかった。そこにどんどん金融緩和をした結果、例えば、16ページにありますように、スペインを見ると、典型的な3つの過剰が発生しているのです。図1を見ますと、住宅で相当多くの過剰投資が起こっています。図2を見ると、建設業界に相当就業者が増えておりまして過剰雇用が生じている。あるいは図3、図4に、保有していた不動産の価格がどんどん上がった結果、担保価値が増え借り入れを増やした家計部門、企業部門の過剰債務の発生が確認できます。

ただ問題は、スペインやアイルランドの景気が相当悪くてもすぐに利下げができない、ECBは15カ国の景気を見て金融政策を行っていますから、利下げは遅れ、もっと悪い状況になります。多くの方は、米国の金融問題を背景にドルがどんどん下がっていくという見方を持っていらっしゃるかもしれませんが、実はユーロが急激に下がり始めているのです。例えば、夏場に1ユーロ170円ぐらいだったのが、今、150円台まで下がっています。それには、ヨーロッパの急激な景気悪化だけでなく、周辺の国のバブル崩壊も影響しています。スペインやアイルランドの産業界では、相当景気が悪いのにユーロ全体の景気を見てしか金融政策をやってくれない、自分の国の景気にあわせて金融政策をやってくれないのであれば、ユーロから離脱すべきではないかという議論が起こり始めています。もちろん、政治的にそういった選択がされるとは思いませんが、そういった言説がマーケットで広がると、結局、ユーロ解体とかユーロ崩壊という見方が強まってきますので、つい最近までドルにかわる通貨ではないかということで、ユーロは相当買われていたわけですが、今、その調整が起こってきているということです。

ですから、冒頭話したとおりですが、アメリカ、日本が景気悪いのはもう皆さんご存じですが、恐らくもう少し時間がたつと、ヨーロッパってこんなに景気が悪かったのかということになっていくのではないかと思います。

ちょっと駆け足でありましたが、世界経済の現状と行方については以上であります。いかがでしょうか。

〔 西室分科会長 〕大変に急いでご説明いただいたのですけれども、どうもありがとうございました。

それでは、ご質問あるいはご意見をお持ちの方、どうぞご自由に。

どうでしょう、どなたか。

〔 井堀委員 〕2つなのですけれども、1つは、アメリカの大統領選挙のことなのですけれども、共和党と民主党は今、党大会、経済政策を決めていますけれども、これが来年の選挙の結果出てくるわけですが、選挙の結果、当然、政権が変わりますから、これがアメリカの経済政策の来年の結果を、市場の方は既に予想していると思うのですが、どちらになるかによってどの程度ショックが来年起こりそうなのかと。それが実際のアメリカの経済政策、あるいはアメリカのマクロ経済に何らかの大きなインパクトを与え得るものなのかどうか、1つお聞きしたいのですが。

もう1つ、新興国の経済状況を、もう少し中長期的な視点で、どの程度、悲観的なのか、楽観的なのかについて、もし何かあれば教えてください。

〔 西室分科会長 〕井堀さん、ありがとうございました。

それでは、どうぞ。

〔 河野委員 〕まず、2点目からお答えしたいと思います。中長期的に見てということなのですけれども、1つ心配なのが、仮に今の原油の水準、147ドルは行き過ぎであったかもしれませんが、70ドルから100ドルで定着した場合なのでも、新興国にはダメージが相当大きいかもしれません。冒頭お話ししましたように、多くの先進国の企業が新興国に生産拠点を移転した段階においては、100ドルなどになるとは到底思っていなかったわけです。20ドルぐらいとか30ドルだから、エネルギー効率が悪い国で生産しても大丈夫だろうと思っていたわけでありますが、これが下がっても今100ドルぐらいの状況であります。ということは、相当大きな供給ショックがエネルギー効率の悪い地域に対して訪れているということですから、ひょっとしたら今回の原油の状況が、新興国の潜在成長の屈折を引き起こす可能性があるのではないかと考えることもできます。

多くの新興国は原油、エネルギーに対して相当大きな補助金を提供しています。4−6月に原油価格が124ドルになったときに、先進各国は大きなダメージを受けましたけれども、新興国の中には補助金を受け、124ドルの実勢価格に直面した経済主体はほとんどいないのです。ということは、中長期的には、ピークからかなり下落した現在の価格水準でも大きなダメージを受ける可能性があります。アメリカを中心に先進国経済が低迷しても、新興国経済が高い成長をするから世界経済は大丈夫という見方がありますが、それが修正を迫られる可能性があるのではないかと思っています。

同じように、日本は出ていったところが主にアジア地域だけだったわけですが、ヨーロッパやアメリカの企業は人件費が安ければあらゆるところに出ていってしまったので、アメリカやヨーロッパの企業も、エネルギー効率の低い生産拠点を抱え、ちょっとしばらく厳しいのかもしれない。そういった意味で、循環的には、景気回復が来年後半に起こると言いましたが、新興国を含めて世界経済の回復の度合いというのは、今まで想定していたよりも相当ペースが低くなる可能性があり得るということです。これが2つ目の質問に対する答えです。

1点目ですが、私はアメリカの政策はあまり詳しくないのですけれども、1つ言えるのは、民主党が行うとしても共和党が行うとしても、財政出動は間違いなく2009年に再び、新大統領の下で出てくるというのはあるかと思います。ただ、減税するにしても、だれを対象に減税が行われるのかというのは相違が出てきます。まず減税については、基本的にはどちらの党がやっても、景気をサポートすることになると思います。ただ、1つ心配なのは、ご存じのとおり、GSEなど今一番アメリカで問題になっている部分に対して公的資金を入れるという議論が具体化したときに、民主党と共和党のスタンスで若干温度差がありまして、仮に共和党が政権をとった場合、共和党は伝統的に政府の民間への介入を不適切と考えるためすんなりと公的資金が入るのか。これが滞ると、アメリカの金融システムは本当に大丈夫かという疑念が広がり株が大きく売り込まれる可能性はあるかもしれません。

〔 西室分科会長 〕ありがとうございます。それでは、ほかにどなたか。

よろしゅうございますか。それでは、大変短くはしょってご説明いただきましたけれども、大変大部の資料がございますので、またよくこれをお勉強いただければありがたいと思います。

どうも河野さん、ありがとうございました。

 

それでは続きまして、事務局からの報告に移りたいと思います。初めに、「最近の経済情勢について」と「安心実現のための緊急総合政策」についての説明をお願いしたいと思います。それで、ここはずっと説明を続けさせていただいて、最後のところでご質問にさせていただきたいと思います。

それでは、川北さん、よろしくお願いします。

〔 川北総括審議官 〕総括審議官の川北でございます。私から、資料2と資料3を続けてご説明させていただきます。

横長の資料2がございます。表題は「最近の経済情勢について」となっております。ただ、今、世界経済につきましては、河野委員から懇切なプレゼンございましたし、次回、日本経済についてのセッションが予定されていますので、私からは、現在の内閣府、政府の基本認識のところだけ確認的にご報告しておきたいと思います。

資料の1ページを見ていただきまして、真ん中辺に08/4−6月のGDPの数字が出ております。先ほど河野委員のお話にもございましたが、4−6の一次速報、8月13日に出たものでございますが、実質GDPが−0.6、年率で−2.4という数字でございました。内容を見ましても、内需が−0.6、あるいはこれまで成長を支えておりました外需が寄与で0でございました。名目GDPの方も−0.7ということでございます。

この数字を受けまして、日時は前後いたしますが、08年の見通しにつきまして、その右の欄でございますけれども、7月22日に内閣府から経済財政諮問会議に提出いたしました経済動向試算というのがございます。これは、1月の政府経済見通しに対しまして、内閣府で現時点で試算をしたものでございますが、実質GDPは前年比で1.3、名目GDPが0.3ということで、年末年始の見通しですと、2.0、2.1でございましたので、そこから下方に修正されているということでございます。この数字は後ほど主計局の方から財政収支バランスのご説明がありますが、そちらに若干関係してまいります。

2ページは足もとの景気につきましての総括判断でございます。ご案内のように、8月の月例経済報告では、基調判断で「景気はこのところ弱含んでいる」ということに対しまして、7月はまだ「足踏み状態」という表現がございましたが、そのように下方修正したということでございます。ちなみに、日銀は8月は「停滞している」という表現を使ってございます。

資料2は以上にいたしまして、資料3でございます。資料3−1、資料3−2とございます。資料3−2が、さきに政府・与党で決まりました安心実現のための緊急総合対策の本体でございます。大部でございますので、資料3−1に抜粋版をつくりましたので、こちらで概略ご説明させていただきます。

横長の資料3−1を開いていただきますと、この対策は、まず「第1章 基本的考え方」になっております。先ほど、大臣とのやりとりでも出てまいりましたので、基本的考え方の抜粋したところを読み上げる形で、この対策についての位置づけをご説明したいと思います。基本的考え方の中に対応方針、さらに基本的考え方とございまして、「世界的な経済環境変化の下であっても、改革を通じて経済成長を実現し、日本経済をより強固なものとするとの基本路線を継続する。新しい価格体系への移行を基本に置き、原油・原材料価格の上昇に苦しむ中小企業等については円滑な移行が可能となるようにするとともに、国民の生活・消費を支える観点から賃金の確保に向けた環境づくりに努める。そして、こうした対応のタイムラグも考慮し、緊急性や政策効果の高い施策の実施を検討する」「財政健全化路線の下、真に必要な対策に財源を集中するなど旧来型の経済対策とは一線を画する。できる限り新規国債発行額を抑制していくため、財政規律を堅持する」といったような基本的考え方になっております。

続けて、「財政健全化との両立に向けて」という章でございまして、ここでは、例えば2つ目のポツのように、「マクロ経済上の大幅な需給ギャップが生じていない中で、有効需要創出を主目的とした財政出動は行わない」という記述がございます。

対策の中身につきましては、そのページの下段にございますように、3つの目標と8つの柱という形で整理してございまして、この8つの柱の下にそれぞれの各施策を並べる形になっております。若干、口頭でご説明させていただきますと、まず、3つの目標の1つ目のところですが、原材料価格の高騰に追いつけない消費者や企業、そうした人たちの不安を解消するということで、「生活者の不安の解消」ということが掲げられてございます。これについての政策の柱は、例えば、賃金確保に向けた環境づくりですとか、高速道路料金の引下げとか、あるいは消費者庁の創設などの消費者対策、あるいは非正規雇用対策といった生活・雇用支援対策。あるいは、高齢者医療、医療体制、年金記録問題といった、医療・年金・介護のところ。あるいは出産・子育て・教育というところで、第1の目標に対しまして3つの柱が並んでございます。

2つ目のところでございますけれども、世界的な資源や食料の需給逼迫とか、地球温暖化の問題という構造問題に対処するということで、世界に先駆けて持続可能な社会をつくるというのが第2の目標になっておりまして、ここでは、低炭素社会の実現ということで、省エネ・新エネの技術導入とか、開発促進、あるいは住まい・防災では、省エネの長寿命住宅とか、学校の防災対策とか、あるいは食料自給率の向上の工程表をつくるといった強い農林水産業創出とか、そういった項目が並んでございます。

最後の3つ目の目標のところは、我が国企業が新体系への円滑に移行できる環境整備をするということで、特に中小・零細企業については、価格転嫁が困難な場合もあるということで、資金繰りに万全を期すということから、中小企業の活性化、向上という項目を掲げてございます。

2ページ、3ページ目が、今の項目でございますので、割愛させていただいて、最後のページに移らさせていただきます。最後、第3章「今後の進め方」となってございます。ここにございますように、政策の棚卸しや不要経費の一掃などによる財源捻出の状況なり、あるいは税制の抜本改革の検討・進展を踏まえて段階的に実行に移すということになっておりまして、21年度予算編成とも連結するのだということになっております。つまり、20年度の施策のみならず、21年度まで展望いたしまして全体の施策が並んでございます。

右側に、いわゆる対策の規模ということで、特にご関心がございました「安心実現のための緊急総合対策」に関して、予算の追加が必要なものでございますが、現時点でそれぞれの項目についてさしあげたところでございますけれども、国費で1.8兆円、事業費が約11兆円という形の別表が添付されています。

簡単でございますが、私からは以上でございます。

〔 西室分科会長 〕ありがとうございました。

それでは、続いて、6月に閣議決定されました「基本方針2008」などにつきまして、大鹿さんから説明よろしくお願いします。

〔 大鹿調査課長 〕主計局調査課長の大鹿でございます。私の方からは、いわゆる骨太の方針と、それから、先ほど少しお話が出ましたプライマリーバランスの収支見通しにつきましてご説明をさしあげたいと思います。

基本方針2008、時系列が逆になりますが、6月27日に閣議決定をいたしております。本編もお配りしておりますが、資料4でご説明をさしあげたいと思います。「経済財政改革の基本方針2008」ということで、サブタイトルに「開かれた国、全員参加の成長、環境との共生」と書かれております。

目次をごらんいただきますと大体の内容がおわかりになるかと思いますが、「第2章 成長力の強化」「第3章 低炭素社会の構築」「第4章 国民本位の行財政改革」「第5章 安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築」「第6章 平成21年度予算の基本的考え方」となっております。このうち財政に関する記述につきましては、第4章と第6章で述べられておりまして、次ページ以下にその要点を抜粋してございます。

1枚おめくりいただきたいと思いますが、「第4章 国民本位の行財政改革」におきまして、歳出・歳入一体改革の推進についての基本的な考え方が述べられております。下線部でございますけれども、まずは2011年度には、国・地方の基礎的財政収支を確実に黒字化させ、さらに、2010年代半ばにかけては、債務残高GDP比を安定的に引き下げるなど、これまで定められてきました中期的な財政健全化の目標を確実に達成することになっています。

その際のポイントとしまして、真に必要なニーズにこたえるための財源の重点配分を行いつつ、国、地方を通じて引き続き最大限の歳出削減を行っていく。また、重要課題実現のために必要不可欠となる政策経費につきましては、まずは、これまで以上にムダ・ゼロ、政策の棚卸し等を徹底して、一般会計、特別会計の歳出経費の削減を通じて対応する。

以上の取り組みを行ってなお対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りは行わないとされています。

3ページ目では、第4節としまして、税体系の抜本的な改革に向けての考え方が述べられています。消費税を含む税体系の抜本的な改革については、早期に実現を図るということでございまして、その際には、これまでの既往の閣議決定等、あるいは法律を踏まえることになっております。改革のポイントとしましては、生産性を向上し、成長力を強化する。2点目としまして、税制の持つ再分配機能を適切に果たすようにし、世代間・世代内の公平を確保する。3としまして、少子高齢化の下で社会保障を支える安定的な財源を確保する。それから、低炭素化促進の観点から税制全般を見直すということになっております。

次に、第6章について簡単にまとめてございますが、4ページでございます。「平成21年度予算の基本的考え方」としましては、これらを踏まえまして、「基本方針2006」で示した5年間の歳出改革の3年目に当たる平成21年度予算でありますが、これまで行ってきた歳出改革の努力を緩めることなく、引き続き最大限の歳出削減を行っていくことになっております。そのための対応としまして、(1)「メリハリの効いた予算編成」ということで、後ほどご説明申し上げます、改革努力を継続する厳しい概算要求基準を設定しまして、メリハリの効いた歳出の見直しを行う。また、重要課題実現のために、必要不可欠となる政策経費につきましては、先ほど申しましたとおり、ムダ・ゼロ、政策の棚卸し等を徹底し、一般会計、特別会計を通じて経費の削減を行っていくことが掲げられております。

次に5ページ目でございますが、7月22日の経済財政諮問会議におきまして、民間議員の提出資料という形ではございますが、今後の国・地方のプライマリーバランスの収支見通しが示されております。この収支見通しにつきましては、例年、予算編成後の1月と前年度の決算とを踏まえまして、翌年度のシーリングを議論するこの7月に再計算された試算値が出ております。今年の7月につきましては、そこに書いてありますように、−14.3兆円というのが「骨太2006」で定められた最大限の歳出削減を行うケースでありますが、これを行った場合におきましても、また、経済が成長シナリオに乗って成長率が高まっていった場合でありましても、この太線の方の上でございますけれども、2011年度にはGDP比で0.7%の赤字、実額ベースで3.9兆円程度の赤字が発生する見込みになっております。

1月の時点では、細い線で示されておりますが、この一番いいケースでGDP比−0.1兆円、実額で−0.7兆円でございましたので、若干悪化しているわけでございますが、その要因としましては、1つは、2007年度の決算におきまして、国税・地方税とも税収の減があったということでございます。それからもう1点は、経済成長の見通しが、そこに書いておりますが、今年1月では成長ケースで2007年度0.8%、2008年度今年度2.1%から2011年度にかけまして3.3%まで成長率が上昇するという見通しが立てられておりましたが、この7月の改定では、先ほど総括審議官から話がありましたけれども、今年度で0.3%に下方修正され、今後成長軌道に乗ったとしても3.0%ぐらいであろうということで、この成長率の見通しの下方改定に伴う税収の減ということで、プライマリー収支が悪化するという形になっております。

以上でございます。

〔 西室分科会長 〕ありがとうございます。

それでは、続いて、平成21年度概算要求基準について、説明よろしくお願いします。迫田さん。

〔 迫田総務課長 〕総務課長の迫田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元に資料5があるかと思いますので、お手元に出していただきたいと思います。ただいま大鹿からご説明をいたしました「基本方針2008」を踏まえながらつくりました、資料5「平成21年度概算要求基準のポイント」でございます。7月29日に閣議了解したもののポイントでございますが、1ページ目の一番上、基本的考え方がございまして、○が2つ並んでおりますけれども、最初の○にありますように、「平成21年度予算においては、財政健全化と重要課題への対応の両立を図る」というのが1つのポイントでございます。2番目の○にありますように、「このため、「基本方針2008」を踏まえ、引き続き、歳出全般にわたる徹底した見直し、歳出の抑制と真に必要なニーズにこたえるための財源の思い切った重点配分、また、国債発行額についても極力抑制」といった基本的考え方に基づいて基準をつくっておりますが、この資料の3ページ目に、とりあえず図式化したものがありますので、おめくりいただきまして3ページ目をお出しいただきたいと思います。

横長の図になっておりますけれども、これが平成21年度の一般歳出の概算要求基準の考え方でございまして、基本的な枠組みを申し上げますと、一番左側に大きな固まりとして年金・医療等の経費がございます。21兆円を超える額でございます。これにつきましては、自然増が8,700億円見込まれますので、制度施策の見直しによって2,200億円の削減、あるいは合理化で6,500億円程度の増でございます。ただし、社会保障に関連いたしまして、税制上の措置でございますが、仮に新たな安定財源が確保された場合には、その取扱いについては必要に応じ予算編成過程で検討ということになっているわけでございます。基本は8,700億円の自然増に対して、2,200億円の削減・合理化という枠組みになってございます。

中ほどに目を転じていただきまして、公共事業関係費と幾つかのくくりで並んでいるところがございますけれども、公共事業関係費、ちょうど真ん中ほどにある固まりでございますが、これは基本は対前年度▲3%ということでございます。やや色がついているところがございます、これは後ほど申し上げますけれども、基本はまず、20年度と同じように対前年度3%、また、その右側の方を順次見ていただきまして、その他経費の中でも、科学技術振興費、これは前年度予算額と同額、防衛関係費が▲1%、国立大学・私立学校は▲1%でございまして、それから、それ以外の経費は▲3%でございました。これは従来の考え方を引き継いで設定しているものでございます。また、義務的経費、人件費につきましては、いろいろな特殊要因等ございますけれども、それを除きますと前年度予算と同額でございますが、いずれにしても、制度改革、あるいは総人件費改革といったものでの削減・合理化を図っていくということでございます。

もう1度、目を中ほどに転じていただきまして、黒く塗ってある部分があると思いますが、ここにご注目をいただきたいと思います。「重要課題推進枠3,300億円程度」というものが矢印の上の方にあると思いますけれども、これが今回の重要課題への対応という1つの重要なポイントについての対応の仕組みでございます。これにつきましては、ここに書いてあります「成長力の強化」であるとか、「低炭素社会の構築」であるとか、「安心できる社会保障」あるいは「質の高い国民生活の構築」といったようなものの重点課題のうちで、緊急性、あるいは政策効果が特に高い事業に対して重点配分をする、この重点配分をするために3,300億円程度の重要課題推進枠を新設したということでございます。

そのために、従来の削減に加えまして、その下の方の黒く塗ってあるところをごらんいただきたいのですけれども、政策の棚卸し等を通じまして、公共事業関係費、及びその他経費について▲2%相当分の財源を捻出するということでございます。もう一度言いますと、公共事業関係費、あるいはその他経費につきまして、従来の削減に加えたもので財源を捻出して、重要課題推進枠の財源を捻出し、それで思い切った重点配分を図りたいという枠組みでございます。

それから、公共事業関係費及びその他経費につきましては、25%増の要望額ということでございまして、引き続き重点化すべき施策の要望が十分に行えるようにという対応をとっているところでございます。

これらの結果を総合いたしますと、対前年度で5,600億円の増というのが一般歳出の概算要求基準の枠組みでございます。

なお、高齢者医療の円滑な運営対策、あるいは基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げ等々につきましては、予算編成過程において検討という取扱いになっています。

また、これ以外の経費ということでこの資料で言いますと、1枚お戻りいただきまして2ページ目でございますけれども、2ページ目の上の方に、3番として「各経費の重点化・効率化等」があろうかと思いますが、これの上から2番目の○にありますように、庁費等の一般行政経費も厳しく抑制。その次に独立行政法人、これも運営費交付金等を抑制する。それから、公益法人向け支出、これも徹底して見直す。地方向け国庫補助負担金については前年度を下回る内容。特別会計についても、一般会計と同様にきちっと対応するということが書かれているわけでございます。また、最後の○にありますように、道路特定財源制度は平成20年の税制抜本改革時に廃止し、平成21年度から一般財源化ということでございますが、これに伴う経費の取扱いについては予算編成過程において検討の取扱いになっているということでございます。

こうしたルールに基づきまして、先週、各省から要求・要望が出されておりますので、今週からその査定作業に入っているということでございます。

以上でございます。

〔 西室分科会長 〕ありがとうございました。

それでは、続いて、国の財務書類についての説明、森さんからよろしくお願いします。

〔 森公会計室長 〕公会計室長の森でございます。資料6−1「平成18年度 国の財務書類のポイント」をごらんいただきたいと思います。国の財務書類につきましては、予算で分かれています一般会計・特別会計を統合しまして、あと企業会計ベースで公表しておるものでございまして、今年で4回目でございます。

1枚めくっていただきまして右側が18年度の国の貸借対照表B/Sでございます。資産合計703.9兆円となっております。出資金につきまして会計基準を見直していただいた結果、この資産の部につきましては、道路とか河川とかそういう公共財産等を除きましてはほぼ時価的な評価になっております。資産の部、大体4分の3が金融資産でございまして、2段目の有価証券、大宗は外貨証券でございますが、これが要するに円安等によりまして約7兆円程度増えておる。あと貸付金につきましては財融で持っているものでございますが、財投改革によりまして28.8兆円持っておる。右側の負債の部でございますが、郵貯からの預託金58.3兆円となりまして、対前年比で見ますと27.8兆円減少しております。

また、年金の積立金につきましては、減少はしておりますが、他方、市場運用ということで膨らんでおりまして、運用寄託金につきましては96.6兆円という形になっております。また、実物資産は、有形固定資産、無形固定資産でございますが、大宗が公共用財産でございまして、これが138.5兆円になっています。

なお、負債の部につきまして、公債の額につきましては、財融等で持っています国債を引きましたネットの公債額でございますが、651.5兆円ということで、対前年比で27.8兆円増えております。

ということでございまして、各特別会計等では余剰等ございますが、国全体で合わせてみますと資産・負債の差額につきましては△277.3兆円ということで、会計基準等の変更の影響を加味いたしますと、対前年で3兆円程度悪化しているという姿でございます。

めくっていただきますと、次が「国の行政コスト」、フローの話でございます。フローにつきましては、予算でいいますと、重複計上等もございますので、総計ベースですと約532兆円程度になりますが、企業会計で見ますと重複等もとりまして、業務費用につきましては平成18年度122.2兆円という形でございます。内訳につきましては、経費の性格別に整理してございますが、人件費が5.9兆円、これは別に職員の給与が増えたわけではございませんで、いわゆる簡易生命表の改訂等によります引当損が生じまして、対前年から約5,000億円程度増えているという姿でございます。

あと事務費は4.3兆円でございまして、大宗が個人、団体等に対するところの移転所得でございまして、大きなものとしましては、個人に対する移転所得は年金・政管健保給付費等47.1兆円、あと補助金等、これは若干委託費等で事業の部分もございますが27.7兆円。これにつきましては、平成18年度におきまして三位一体改革ございますので、約3.4兆円の減が行われた。あと、地方に対する移転ということで地方交付税交付金。あと、発生時期でございますので、減価償却費が4.7兆円、利払費8.8兆円を計上しております。

ということでございまして、税収等、国の財源が107.4兆円となっておりますので、企業の当期純損失という形で考えますと、18年度におきましては約14.8兆円の赤字になっております。国の財務書類につきましては、今、18年度のものを公表させていただいていますが、その公表の早期化が行われていますので、現在システム化を進めますとともに、平成20年度からになりますが、よりセグメント的な情報につきましても出していきたいと考えております。

以上でございます。

〔 西室分科会長 〕ありがとうございました。

それでは、ずっと続けて説明いただいたわけですけれども、これまでの説明に関しまして、ご質問、ご意見ございましたらいただきたいと思います。

〔 宮本委員 〕よろしいですか。

〔 西室分科会長 〕はい、どうぞ、宮本さん。

〔 宮本委員 〕ご説明いただいたのは川北さんでしたか、「最近の経済情勢について」というところで、1ページ目で、8年度の見通し、7月の経済動向試算で実質GDPが1.3に下がり、名目で0.3に下がるということなのですけれども、こういうふうに下がった場合、税収ではどの程度下がるとお考えでしょうか。数字があればお聞かせいただきたいと思います。

以上です。

〔 西室分科会長 〕はい。それでは、どうぞ。

〔 川北総括審議官 〕実際の予算におきます税収、あるいは毎年毎年入ってきます税収は、必ずしもこの数字とリンクして見通しておりませんで、今年の税収動向については、各月各月入ってきます税収を積み上げていって判断していくということでございます。今年の年度に入りましてから、まださほど月がたっておりませんので、まだ今年の税収について確たることは申し上げにくいと思います。ただ、07年の決算の数字が税収悪く出ましたので、したがいまして、なかなか厳しい状況ではあると思っております。

〔 西室分科会長 〕よろしいですか。それでは、ほかにどなたか。田中さんどうぞ。

〔 田中(弥)委員 〕「基本方針2008」について質問させていただきたいのですけれども、1点は、「進路と戦略」とこの「基本方針」と、それから、先ほどご説明のあった「安心実現のための緊急総合対策」これの関係を少し説明していただけたらと思います。その上で、この基本方針に関して、PDCAの強化ということなのですが、これは予算だけではなくて、各重要な政策があったと理解していますので、これらについての総括評価はどういうタイミングで行われるのかについてお伺いしたいのですが。この2点です。

〔 西室分科会長 〕これはどなたから。

〔 大鹿調査課長 〕大鹿でございます。まず、基本方針、それから「進路と戦略」等の性格というご質問でございますけれども、「進路と戦略」につきましては、ご案内の方いらっしゃるかと思いますが、毎年1月に予算編成を終えた後に国会に提出しているものでございまして、いわば中期的な観点からの経済社会に関するあり方の方向性を示したものだと理解しております。これに対しまして、基本方針につきましては、毎年6月に、これも経済財政諮問会議の議論を経て閣議決定に至っておりますが、これはどちらかというと短期的な観点、今後の経済財政運営のあり方の指針を示しているものでございまして、私ども、それを踏まえて翌年度の概算要求基準づくりに入っていくということでございます。

それから、先ほどの安心のための総合対策は、かつて緊急経済対策とか総合経済対策と言われておりましたが、年度途中で経済状況等踏まえまして、緊急に実施すべき、また前倒し的に実施すべき経済政策を取りまとめたものでございまして、通常、補正予算の裏づけを伴って実施されるものでございます。

それから、PDCAサイクルにつきましては、詳しいことは存じ上げておりませんが、基本的には、各省庁で政策評価にここ数年来取り組んでおります。これは必ずしも予算に限らず、各省庁ミッションを帯びておりますので、そのミッションの実現のために、最も効率的な形でそれを達成するために、PDCAサイクルを踏まえて検証し見直していくという、政策の実施の1つの手法だと思っております。これについては、各省庁で政策評価の審議会が設置されているかと思います。そこでご評価をいただきながら、改善を図っていくのが実情であると認識しております。

〔 西室分科会長 〕よろしいですか。ほかにどなたか。では、島田さん。

〔 島田委員 〕緊急総合対策なのですが、たくさんありますけれども、1つに絞りますけれども、インプット価格が上昇して、中長期的に労働力が減っていく状況の中で、一番重要なのは生産性向上だと思うのです。生産性向上を見たときに最も日本経済で重要なのは、広い意味での第三次産業なのです。建設も含めてしまいますけれども、農林水産、建設、サービス、流通というところは、4,000万人ぐらい抱えていますから。これを吸収してくれているのはありがたいのだけれども、中長期的にはこれはうんと労働力が減りますから、そういう中期的展望を持ちながら考えると、そこら辺のところは一番重要なポイントだと思うのですけれども。資料3−1も、3−2の方も、そこに該当するのは「業種別生産性向上プログラムの推進」という1行だけなのです。ちょっと時間がないので一言でいいのですけれども、これは、どのぐらいそういう趣旨で本格的なのか。

ちょっと私言いますと、この分野の生産性向上で一番重要なのは競争の促進なのです。規制、徹底的に改革して競争を促進して情報を透明化することなのです。補助金を出すことではないのです。そこら辺どのぐらい力が入っているのかなというのをちょっと伺いたい。言いにくいでしょうけれども、一言でいいです。

〔 西室分科会長 〕川北さんから。

〔 川北総括審議官 〕先ほど3つの目標でまとめられていると申し上げましたが、基本的には、新しい価格体系の下にどう移行していくかということで、持続可能な社会のために変革を加速していくという、若干長期的な対策と、円滑な移行をするための当面の対策ということになっております。この中でも、成長力強化ということで、「骨太2008」でも経済成長戦略というのをつくりましたので、それを進めていこうとなってございます。

〔 島田委員 〕ちょっと一言。私も多少その勉強していますけれども、総花的にぞろぞろっと書いていて、本当にやるのかという感じではない。つまり、本当にやるためには、徹底的に競争を自由化しなければいけないのです。情報を透明化して、すぐれた生産者が残るようにしなければいけない。そんなことやれば失業者が出るだろうというのだけれども、中期的には労働力減りますから。そういうのを本格的に腰を据えないと。つまり、いろいろなことを今おっしゃいましたけれども、全部集約して突き詰めていくと、最後のよりどころは生産性向上しかないはずなのです。昔のオイルショックのときもそうでした。石油価格が10倍に上がったときに、生産性向上と労使の分配でもって乗り切っているわけです。今回、環境技術のほかに徹底的な生産性向上が必要なのだけれども。それは、日本経済の構造を見るとターシャリーセクターなのです。製造業とかそういうところではないのです。そこに本気で踏み込まなければいけないのだけれども、何かほとんど書き切れていないなという感じです。何か本気なのかなと思いますけれども、すみません。

〔 西室分科会長 〕島田さんのご心配もよくわかります。それでは、北城さんどうぞ。

〔 北城委員 〕これはお願いなのですけれども、財政再建の必要性は我々はよく理解しているつもりなのですが、しかし、一般国民にわかりやすい財政再建の姿を見せるような、例えば、現状で年収200万円の世帯とか400万円の世帯では、税負担と社会福祉とこのぐらい負担しているけれども、しかし、財政再建はしないで赤字を増やしていくと、例えば、30年後の子供たちは、200万円の世帯だったらこのぐらい税負担しなければいけない、400万円の世帯はこのぐらい税負担しなければいけない。どうも我々の子供とか孫の世代に大きな負担を残すべきではないという総論はわかるのですが、どのくらい大きな負担になるのか。これはあるモデルでいいと思うのですが、財政再建しないモデルで税体系も変えなければ、将来の子供たちはこんなに収入のうち負担が増えるのだとか、何かわかりやすいのを出していただかないと、どうも全体の予算額とかでは国民の側に危機感がわかないのだと思うのです。アメリカの住宅バブルが崩壊して、今問題になっていますけれども、やはりおかしなことは長く続かない、財政もいずれ破綻しかねないという危機感がわかないだけに、国民にわかりやすい資料をつくっていただけないかというお願いです。

〔 西室分科会長 〕どうぞ、主計局長から。

〔 丹呉主計局長 〕財政再建を進めるに当たって、今おっしゃいますように、当然、一般の方々に十分ご理解いただかなければいけないというのはご指摘のとおりでございます。先ほど、宮本委員から、カナダとかスウェーデンの例をもっとわかりやすくという話ございました。大臣からもございましたけれども、医療の問題でも、やはりPRが非常に足りないという点がございました。私どもも、実は、官房で、民間の方に来ていただいて、財務省のPRの仕方や何かについてもいろいろ意見をいただいております。今、北城委員からもお話いただきましたので、そこは我々としても引き続き努力をしたいと思いますし、また、いろいろご意見をいただければと思います。

〔 西室分科会長 〕ありがとうございます。

いずれにしても、最後のこの審議会の建議をまとめる過程においても、今の島田先生、北城さんのお2人のお話を中身に入れて、それで考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、もう時間でございますので、最後に1枚だけ、「財政制度分科会の当面の運営方針及び今後の進め方」について、1枚の紙、資料7がございます。この1番の「基本スタンス」と「当面の運営方針」というのは、例年とほとんど変わっておりません。2007が2008になっただけでございます。

今後の進め方でございますけれども、先ほども若干申し上げましたけれども、現在、日本経済、世界経済が不透明になってきている。私としても、これまでの各分野の予算編成上の諸課題に加えて、もっと基礎的な検討をやっておく必要があるだろうということで、経済情勢を初めとして、財政を取り巻く状況についても十分調査審議をする必要があるだろうと認識をいたしております。

それから、そのほかに一般会計だけではなくて、特別会計、それから、独法、公益法人、それを含めての幅広い観点からの議論を行う必要もあるだろうということで、政治情勢の方も不透明だというのもございますけれども、最初の段階では、皆様を初めとする有識者からのヒアリングを積極的に行ってはどうかということで、今後のスケジュールを立てていきたいと思っております。

この財政制度分科会の当面の運動方針、それから今後の進め方について、ご意見ございましたら承っておきたいと思います。それから、できれば早めに起草委員も指名をさせていただきたいと思いますので、それについてのご意見ございましたら、事務局でも私の方でも結構でございますから、お出しいただければありがたいと思います。

それから、先ほど、最初の方でも申し上げましたように、以降の日程等について非常に不透明な部分もございますので、まず26日やるかどうかも含めまして、恐縮でございますが、ご一任いただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、運営方針はこんなところでよろしゅうございますか。

次回は、26日は、西村日銀副総裁のプレゼンをお願いしたいということであります。

それからあと、今の原油・食糧価格その他の世界的な高騰、こういう中でどういう財政健全化をやっていくかについて、あるいは経済運営について、事務局においてできる限りの調査をして、広範囲に調べ、そして、部会に報告していただくようにお願いしたいと思いますので、事務局、よろしくお願いします。

それから、先ほど申し上げました部分でございますけれども、特別会計の剰余金、あるいは積立金を活用すべきだという意見が非常に大きく出ております。財審においても、この問題についてきちんと議論をしておく必要があるだろうということで、最初の部分において、いわゆる俗称埋蔵金問題についてもきちんした論議をすべく、事務局、資料の方をよろしくお願いしたいと思います。

以上で、本日の議題は終了させていただきます。本日の内容につきましては、この後で記者会見をしてご紹介をさせていただきたいと思いますので、恐縮ですが、私にお任せいただきたいと思います。それから、会議の個々の発言につきましては、刺激的な部分も結構ございますので、個別での報道関係へのお話は、できればお気をつけていただければありがたいと思います。

それでは、次回の日程その他調整の上、事務局から改めてご連絡させていただきます。

本日はこれで閉会させていただきます。どうも大変ありがとうございました。

午前11時40分閉会
 

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