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「日本の再生と日インド戦略的グローバル・パートナーシップ」FICCIにおける麻生財務大臣スピーチ

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日本の再生と日インド戦略的グローバル・パートナーシップ

麻生太郎
副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融),
デフレ脱却・円高対策担当
平成25年5月4日/インド・デリー


シッダールタ・ビルラFICCI副会長,御列席の皆様,

本日は,お招きいただきありがとうございます。

 

まず最初に申し上げたいのは,インドは世界最大の民主主義国家であり,日本はアジアで最古の民主主義国家だ,ということです。

それは,インドと日本のいずれにも,議会という名の,さわがしい「蜂の巣」がある,ということです。

それはまた,ある日はプレスが大好きだと思っても,次の日には大嫌いだと思わされたりすることを意味しています。

インドの新聞は本当にかみつきますね。

私自身,日本の新聞には何度もかみつかれてきました。

インドの人々や,商業や,文化は,モンスーンに乗って広がっていきました。モンスーンはまた,アジアの東の最果て,すなわち日本にも多くのものをもたらしました。

インド海軍は上昇気流に乗っており,インド洋地域,さらには太平洋において,より大きな責任を担う覚悟を強くしています。

私は,日本の海上自衛隊を誇りに思っています。2001年以降海上自衛隊の艦船は常にインド洋地域のどこかで任務に当たっており,彼らもまたインド洋地域において,より大きな責任を担う覚悟を強くするようになりました。

また,インド洋の価値を誇張する必要はありません。ここは世界のエネルギーの80%が通過する場所です。

インドの方々は信心深い。私たち日本人もそうです。我々は輪廻転生の哲学を信じる数少ない民族です。

日本のどの仏教寺院に行っても,風神,雷神を見ることができます。いずれも,ヒンズー教の神々なのです。日本人は,そうとは気付かずに,あなた方の神々を,何世紀にも亘り崇めてきました。

ひとつ違いを述べるとすれば,あなた方はクリケットをしますが,我々は野球をするということでしょうか。しかし,そんなのはどうでもいいことです。

最大の違いは,おそらく,インドの方々は英語を話しますが,我々は普段は話さないし,話したとしても,あまり上手とは言えません。
私のように。

しかし,それさえも我々同士をよきパートナーとさせるのです。ともに仕事をするとき,あなた方の言語力で我々が助けられます。

これらすべては,我々に何を教えているのでしょう。

それはただ一つ。

我々は,共通の哲学,宗教的見解,関心及び価値で結ばれた,なるべくしてなったパートナーどうしだということです。

だからこそ,安倍晋三総理は,あなた方の「蜂の巣」であるインド国会において,「二つの海の交わり」について話したのです。

だからこそ,私は,外務大臣として,「自由と繁栄の弧」について話したのです。

その弧の中で,インドは,最高峰のひとつとしてとしてそびえ立っています。

財務省から同席している者は,今不安に思っているでしょう。

「ウチの大臣は一体何の話をしているんだ。日本の経済政策,金融政策,国債管理政策についてまったく話していないじゃないか」と,多くの者は気を揉んでいることでしょう。

しかし,話を止めるわけにはまいりません。なぜなら,インドの皆さんと一緒にいると,なぜか大局的な話をしやすくなるのです。

ご心配なく。これから,デリー・ムンバイ間産業大動脈構想などなど,いつものことについてもお話しします。

我々は,なるべくしてなったパートナーであり,今年は,ともに祝うことがたくさんあります。

インドの首相は,近々東京を訪問される予定です。

日本からも,安倍総理が然るべき時期にデリーを訪問することでしょう。

さらに重要なことがあります。天皇皇后両陛下がインドを御訪問なさる方向で調整がなされています。私にとって,これ以上誇りに感じることはありません。

同盟には二種類あります。条約上の関係としての同盟と,多くのことを同じように考える国同士という意味での同盟です。

インドと日本は条約上の同盟国ではありません。そうなる可能性も低いでしょう。しかし,我々は,すでに心と心を通わし,哲学で結ばれ,価値によって突き動かされる同盟国どうしではないでしょうか。

残りの時間で,私は3つのことについて話をします。

まず,今,アベノミクス,と呼ばれているものについて話します。

次に,産業における我々のつながりについてお話します。

そして三つ目,結びの前に,我々の戦略的関係の重要性について改めて述べます。

 

ではアベノミクスですが,それは「3本の矢」に関するものです。

安倍総理は,若い頃,アーチェリーの選手でした。

私はアーチェリーの選手ではありませんでした。私はクレー射撃の選手で,1976年のモントリオール五輪で日本代表を務めました。

ですので,安倍総理が矢について話すとき,私はバズーカ砲だと呼んでいます。

とにかく,アベノミクスは,「3本の矢」,あるいは,バズーカ砲を放ちます。

大胆な金融政策,それが第一です。

機動的な財政政策,それが第二です。

より多くの民間投資活動を招く効果的な成長戦略,それが第三の矢,或いは,バズーカ砲です。

東京に来てください。

東京がどれだけ劇的に変わったかを見にきてください。

世界一高いタワーを見ることもできます。

昔からのビジネス街も今は買い物客であふれかえっています。

東京のスカイラインも随分変わりました。

来て,見て下さい。日本の人々がどう変わったかを。どことなく,より明るくなっているはずです。

来月は,日本ではボーナス月です。

多くの人がボーナスをもらい,そして出費も増やすでしょう。

私の記憶では,ここまで人々の気持ちを薄暗いものから明るく元気なものに変えることに成功した内閣はありません。

時には政権から離れてみるのも悪くはありません。私たち自由民主党は,3年間政権から離れていました。そして,真剣に考えました。

私たちは何がうまくいかなかったか,何故デフレを断つことができなかったのか,自問自答を繰り返しました。

そして,気がついたのです。

私たちは一挙に多くのことをしなければなりません。

これが私たちが今,取り組んでいることです。

 

まだまだ続きます。

ここで,私の2つ目のポイントである二国間の産業連携についてお話しします。

来月,我々は,日本の成長戦略パッケージを公表する予定です。

安倍総理は既に,”チャレンジ(挑戦)”,”オープン(海外展開)”,”イノベーション(創造)”という3つの言葉が,このパッケージのキーワードだと表明しています。

農産業は輸出産業に変わらなければなりません。

幹細胞技術のような医学の革新はもっとも前途有望な分野の一つです。

女性の社会進出ももっともっと奨励されなければなりません。

そしてインドは,日本の成長戦略において鍵を握る存在です。

インドは,日本と日本の産業にとって約束の地なのです。

私が外務大臣時代にデリーメトロプロジェクトで見たものを忘れることができません。

日本とインドの技術者との協力は非常にうまくいきました。

ちょっと考えてみて下さい。カレル・チャペックというチェコの作家が初めて「ロボット」という言葉を使ったのは1920年でした。

「ロボット」という言葉はチェコ語の「ロボタ」に由来します。皆さんは,「ロボタ」とはどういう意味だと思われますか?これは,単に,奴隷労働,という意味です。つまり,ロボットとは,もともと,奴隷を意味していました。

しかし,人々が働くのを嫌うのではなく愛する国では,ロボットは彼らの友人となっていきました。

だからこそ日本では,ロボットは超人的な存在ではなく,子供たちの友人なのです。

だからこそ日本では,ドラえもんという愛らしいアニメキャラクターが生まれ,今も愛され続けているのです。

インドの子供たちもドラえもんが大好きなのを,とても嬉しく思います。

本当に,日本人というのは仕事好きの集まりなのです。

私は,一生懸命働くことはより良く生きることであるという発想は,国境を越えるものだと思っています。

そしてインドにおいては,日本人とインドの人々の協力は,そのような発想を,インドの方々の思考に,より深く根付かせるものと信じています。

日本の援助実施機関であるJICAは,様々な分野の専門家を近くサウジアラビアに派遣する予定です

サウジアラビアは,物質的にも財政的にも豊かな国です。

サウジアラビアは,豊富な資源があるにもかかわらず,JICAの専門家を招きたいと言っています。

それくらい,彼らが日本の専門家を欲しがっていることを,我々は光栄に思います。

彼らの発想も同じだと思います。彼らは産業に関するノウハウを日本の専門家から得られるのです。

しかし,彼らは日本人と一緒に働くことを通じ,物理的なものよりも精神的なもの,職業倫理と結びついたものを得られることも知っているのです。

デリー・ムンバイ間産業大動脈構想や,原子力を含む電力技術に関するありうべき将来的な協力などの二国間共同プロジェクトの真の重要性はそこにあります。

一緒に働くことで,インド人も日本人と同じくらい仕事好きになっていくでしょう。

そして日本人にとっても,インド人と共に働くことで成長できれば,それほど光栄なことはありません。

これが,安倍総理が海外展開を通じてさらなる成長を呼び寄せると述べたメッセージの核心なのです。

私たちは皆様方の産業化に参加できることをとても嬉しく思っています。

これから始まるこれだけの規模の物語の一部になれることは,一生に一度あるかないかの経験でしょう。皆様方のエネルギーは,日本人が失ったやる気に,再度,火をつけることになるでしょう。

私たちがインドに売りたいものは車だけではありません。日本のいちごやメロン,先進医療サービスや技術も売り込みたいのです。

インドとならば,日本は必ずや共に成長していけるでしょう。いや,成長すべきですし,しなけらばなりません。

もう一度言います。私たちが海外展開はさらなる成長を呼び寄せると言う時には,私たちはインドが提供してくれる限りない可能性を思い浮かべているのです。

 

さて,ここで3つ目のポイント,私たちの戦略的連携を見てみましょう。

同盟,とインドの文脈で言うと,大変驚く方もいるかもしれません。それはわかっています。

私たちは,米国と同じ意味でインドを同盟国と呼ぼうというわけではありません。

しかし,ほとんどそうなのです。

そして既に,インドは日本にとって,心と心で繋がり,哲学で結びつき,共通の価値によって動かされる盟友なのです。

アジアにおける2つの活力ある民主主義国家として,私たちは様々な面で同じような見通しを立てています。

どちらも修正主義者ではありません。程遠いです。

日本もインドも,国際秩序は,確立された法と規則に立脚して,初めて機能することを知っています。

日本とインドはどちらも海洋民主主義国家です。

西太平洋で起こることはインドの利益に影響します。

インド洋地域で起こることは,日本の利益に影響します。

もっとも重要なのは,私たちは共に,移動の自由の良き管理人でなければならないことをわかっている,ということです。

海,空,宇宙空間,サイバー空間において,インドと日本は共に,移動の自由に意を用いています。

これが,日本とインドが,近年共有するに至った認識です。

既に,私たちは長い道のりを歩んできました。

日本人もアメリカ人も,3か国間の「トラック1」協議を行うたびに,インド側の視点から多くを学んできました。

日本にとって,インドのような国はそう多くはありません。

インドとは,勿論,既に経済連携協定(EPA)を結んでいます。

しかし,共通の価値観や物の見方を共有する緊密なパートナーだからこそ,私たちは今や両国の外務省と防衛省の間で次官級「2+2」協議も開催しています。

「2+2」協議が,今後,インド国民,日本国民,そして他の関係国に対しても,より大きな影響力を与えるようなものとなることを願っています。

サイバー空間における私たちの共通利益を守るために,私たちは二国間で協議する場を設けました。

また,テロのない世界を実現するために,私たちはテロに関する二国間協議も立ち上げました。

多岐にわたる海洋に関する問題に関し,インドと日本が正式な対話を開始したことを嬉しく思います。第1回会合は,本年1月に行われました。

これらの会議では,将来の協力分野について話し合われています。

インドの港湾設備には,さらなる投資が必要です。

インドの海運産業については,総じて,日本と協力できる余地が多く存在します。

この分野で,私は,政府と民間企業双方を巻き込んだ横断的なサポートを,日本から呼び込みたいと思います。

さらに,海上保安当局間やインド海軍・海上自衛隊間の協力強化の余地はまだまだあります。

その意味では,昨年,日本とインドが初めて二国間訓練を行ったことを非常に嬉しく思います。

我々はこれをより定期的に行わなければなりません。

双方の海上保安当局,インド海軍と海上自衛隊の関係が深まれば深まるほど,海洋全体がより大きな恩恵を受けることになります。

なぜでしょうか?それは,我々はどちらも発展し,成熟した民主主義国家であるからです。

海賊と戦い,自然災害に対処し,そして,2つの海が交わるところで安定の源となるために,我々の共同海上能力を向上させるほかはありません。

 

しかし,現実には,日本の側ですべきことが多くあります。

まず,世界的なプレーヤーとしてのインドの役割と存在を完全に受け止めるために,我々の心象地図を拡大させる必要があります。

アンダマン・ニコバル諸島は良い例です。

この諸島について耳にしたことがある日本の若者はわずかしかいないのは残念なことです。

本当は,このアンダマン・ニコバル諸島より戦略的に重要な場所はさほど多くはありません。

これらの諸島があるからこそ,インドは東南アジアと不可分一体となっているわけです。

より多くの日本人,特に「制服組」は,こうした事実についてより多くを知らなければなりません。

インド洋地域は,将来,確実に,その戦略的重要性を更に増していくでしょう。

日本人は自己の中にある心象地図を広げることによって,現実に追いついていかなければなりません。何と言っても,日本は,ジブチに初の自衛隊の海外基地を設けたのですから。

それでこそ私たちは,海上安全保障協力と相互運用性を高め,横須賀からポートブレア,ジブチまで広がる海上自衛隊とインド海軍のきずなを強めていくことができるのです。

さらに,従来のやり方で,なかなか変わらないものがあります。

私は防衛装備品・技術の輸出に対する自己規制を思い浮かべています。

それがなければ,インドと日本は,はるかに多くの先進技術を,はるかに低コストで開発し共有することができたでしょう。

私はさらに,自らが課したもう一つの規制を思い浮かべています。それは集団的自衛権のことです。

集団的自衛権はどの国も有する権利です。しかし,私の国は,その権利を有しながらも行使することができないとの立場を維持してきました。

集団的自衛権への制約がなければ,日本は国際社会の平和と秩序を守るために,より多くのことを,より意義ある形でできたはずです。

これらが私たち政府が取り組んでいる問題の一部です。

アジアにおける最大の海洋民主主義国家として,地域における安全保障の真の提供者となるために,これらはインドと日本双方にとり重要な問題です。

結びに,もう一度,なぜアベノミクスを実施しているのかを振り返らせて下さい。

それは,収縮していく日本は,皆に悪影響を与え,成長していく日本だけが,自国に,地域に,ひいては世界にとって良い影響を及ぼし得ると信じているからです。

安倍総理がインドの国会演説で述べた言葉を以て,スピーチを終えたいと思います。

「強いインドは日本の利益であり,強い日本はインドの利益である。」

御清聴ありがとうございました

 

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