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第171回国会における中川財務大臣の財政演説

平成21年1月5日

今般、先に決定されました「生活対策」及び「生活防衛のための緊急対策」を受けて、平成二十年度補正予算(第二号、特第二号及び機第二号)を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明いたします。

(最近の経済金融情勢と「生活対策」及び「生活防衛のための緊急対策」)

まず、最近の経済金融情勢と、「生活対策」及び「生活防衛のための緊急対策」について申し述べます。

現在、世界の金融資本市場は百年に一度とも言われる危機に陥っており、それに伴い世界的な景気後退が生じております。

この影響を受けて、我が国経済においても、輸出や生産が減少し消費も停滞しており、景気は悪化しております。

こうした経済金融情勢に対応し、政府は昨年十月に「生活対策」を、さらに十二月には「生活防衛のための緊急対策」を決定いたしました。

「生活対策」においては、第一に、生活者の暮らしの安心を確保してまいります。そのため、定額給付金による家計への緊急支援を行うとともに、「ふるさと雇用再生特別交付金」を創設し地域の雇用機会を創出するなど、雇用セーフティネットを強化します。また、出産・子育て支援を拡充するなど、国民の生活不安の解消を目指します。

第二に、金融・経済の安定強化を図ってまいります。そのため、自社株買い規制緩和などの株式市場安定化策を実施するとともに、セーフティネット貸付・緊急保証枠を三十兆円規模に拡大し、中小・小規模企業の資金繰り対策を講じます。併せて、世界最先端の研究開発を促進するなど、中長期的な観点からの成長力強化を図ります。

第三に、地域の活性化を進めてまいります。そのため、高速道路料金の大幅引下げを行うとともに、住宅投資・防災強化対策を講じます。また、地域活性化等に資するきめ細かなインフラ整備などを進めるため、「地域活性化・生活対策臨時交付金」を交付いたします。

「生活防衛のための緊急対策」においては、雇用問題及び企業の資金繰り確保を最重要課題として、「生活対策」と併せ、果断な対策を実施することとしております。

雇用問題への対応といたしましては、再就職支援対策として、「緊急雇用創出事業」を創設し、職を失った非正規労働者等を対象に、地方公共団体が雇用・就業機会を創出することができるよう支援いたします。また、住宅・生活支援として、貸付事業を実施するとともに、雇用促進住宅を活用することで、離職者等の住宅確保を図ります。

企業の資金繰り確保への対応といたしましては、まず、改正金融機能強化法に基づく国の資本参加枠を十二兆円に拡大し、金融機関の財務基盤の安定を確保することで、円滑な金融機能の発揮を図ります。また、銀行等保有株式取得機構の活用・強化のため、同機構の市中借入に係る政府保証枠を二十兆円とします。さらに、日本政策金融公庫の危機対応制度を活用してまいります。

以上に申し述べた対策と、八月にとりまとめた「安心実現のための緊急総合対策」をあわせて、財政面で十二兆円程度、金融面で六十三兆円程度、合計七十五兆円程度の措置を講じることになります。これら一連の対策に盛り込まれた各措置については、可能なものから早急に実行しているところであります。

(平成二十年度補正予算(第二号、特第二号及び機第二号)の大要)

次に、今般提出いたしました平成二十年度補正予算(第二号、特第二号及び機第二号)の大要について御説明いたします。

まず、歳出面においては、「生活対策」及び「生活防衛のための緊急対策」関連として、家計緊急支援対策費二兆三百九十五億円、生活安心確保等対策費五千百七十七億円、中小・小規模企業支援等対策費五千四十八億円、成長力強化対策費三百二十一億円、地域活性化対策費七千五百四十六億円、住宅投資・防災強化対策費二千三百九十三億円、地方公共団体支援対策費六千億円及び雇用対策費千六百億円の合計四兆八千四百八十億円を計上しております。

このほか、義務的経費の追加等を行うとともに、地方交付税の税収減見合の減額及びその補填を行い、併せて、既定経費の節減を行うこととしております。

他方、歳入面においては、租税について課税実績や企業収益の動向等を勘案して七兆千二百五十億円の減収を見込む一方、財政投融資特別会計から四兆千五百八十億円を受け入れるなどにより四兆四千八百五十八億円のその他収入の増加を見込んでおります。

以上によってなお不足する歳入について、やむを得ざる措置として七兆四千二百五十億円の公債の追加発行を行うこととしております。今回の措置により、平成二十年度の公債発行額は三十三兆千六百八十億円となり、公債依存度は三十七・三パーセントとなります。

これらの結果、平成二十年度一般会計第二次補正後予算の総額は、一般会計第一次補正後予算に対し歳入歳出とも四兆七千八百五十八億円増加し、八十八兆九千百十二億円となります。

以上の一般会計補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。

また、財政投融資計画については、本対策を実施するため、この補正予算において二兆四千六十八億円を追加することとしております。

なお、今回の補正予算にあわせて、「平成二十年度における財政運営のための財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案」、「地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案」及び「平成二十年度における地方道路整備臨時交付金の総額の限度額の特例に関する法律案」を提出しております。また、「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律案」も提出されることと承知しております。

以上、平成二十年度補正予算(第二号、特第二号及び機第二号)の大要について御説明いたしました。

国民生活と経済を守るためには、本補正予算及び関連法案の一刻も早い成立が必要であります。

何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。