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第201回国会における麻生財務大臣の財政演説


令和2年6月8日

 

今般、新型コロナウイルス感染症に対応し必要な財政措置を講ずるため、令和二年度第二次補正予算を提出することといたしました。その御審議をお願いするに当たり、第二次補正予算の大要について御説明申し上げます。

 

(新型コロナウイルス感染症の現状等と令和二年度第二次補正予算の基本的な考え方)
新型コロナウイルス感染症は、内外経済に甚大な影響をもたらしております。今後とも、感染拡大の防止の取組を進めつつ、社会経済の活動レベルを引き上げていくことになりますが、完全な日常を取り戻すまでには時間を要することが想定されます。
こうした中、引き続き、困難な状況にある国民・事業者の方々をしっかりと支え、雇用と事業と生活を守り抜くとともに、次なる流行のおそれに万全の備えを固めていかなければなりません。このような考えに基づき、令和二年度第一次補正予算を強化するため、財政支出約七十三兆円、事業規模約百十七兆円の令和二年度第二次補正予算を編成いたしました。
主な対応策として、第一に、雇用調整助成金の拡充等と家賃支援給付金の創設により、人件費と家賃という固定費への支援を抜本的に強化します。第二に、実質無利子・無担保融資等の大幅拡充に加え、資本性資金の供給等を行い、企業等の資金繰り対応に万全を期します。第三に、地方自治体向けに、医療・介護等の交付金と臨時交付金を追加することにより、その取組を国として全力で支援します。第四に、今後の長期戦を見据え、状況の変化に応じた臨機応変な対応ができるよう、新型コロナウイルス感染症対策予備費を、更に積み増し、今後の対応に万全を期すこととします。

 

 

(令和二年度第二次補正予算(第二号、特第二号及び機第二号)の大要)
次に、令和二年度第二次補正予算の大要について申し述べます。
一般会計につきましては、総額で約三十一兆九千百億円の歳出追加を行うこととしております。その内容としては、新型コロナウイルス感染症対策経費として、「雇用調整助成金の拡充等」に係る経費に約四千五百億円、「資金繰り対応の強化」に係る経費に約十一兆六千四百億円、「家賃支援給付金の創設」に係る経費に約二兆二百億円、「医療提供体制等の強化」に係る経費に約二兆九千九百億円、「その他の支援」に係る経費に約四兆七千百億円、新型コロナウイルス感染症対策予備費を十兆円計上するとともに、国債整理基金特別会計への繰入として約千億円を計上しております。
その財源面につきましては、歳出において、議員歳費を約二十億円減額しております。また、歳入において、建設公債を約九兆三千億円、特例公債を約二十二兆六千百億円発行することとしています。
この結果、令和二年度一般会計第二次補正後予算の総額は、一般会計第一次補正後予算に対して歳入歳出ともに約三十一兆九千百億円増加し、約百六十兆二千六百億円となります。
また、特別会計予算等につきましても、所要の補正を行っております。
財政投融資計画につきましては、実質無利子・無担保融資等の大幅拡充に加え、資本性資金の供給等を行い、企業等の資金繰り対応に万全を期すため、約三十九兆四千三百億円を追加しております。

 

なお、新型コロナウイルス感染症対策予備費の十兆円の追加につきましては、まず、第二波、第三波が襲来し、事態が大幅に深刻化した場合には、少なくとも五兆円程度の予算が必要になると考えているところです。その内訳につきましては、ある程度の幅をもってみる必要はありますが、第一に、雇用調整助成金など、雇用維持や生活支援の観点から一兆円程度、第二に、持続化給付金や家賃支援給付金など、事業継続の観点から二兆円程度、第三に、地方自治体向けの医療・介護等の交付金など、医療提供体制等の強化の観点から二兆円程度が必要になるのではないかと考えております。
その上で、今後の長期戦の中では、事態がどのように進展するかにつきまして、予見し難いところが大きいと考えております。このため、どのような事態が起こったとしても、迅速かつ十分に対応できるよう、万全を期すため、更に五兆円程度の予備費を確保することとしたものであります。
この予備費の使用については、適時適切に国会に御報告いたします。

 

 

(むすび)
以上、令和二年度第二次補正予算の大要について御説明申し上げました。何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。