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第190回国会における麻生財務大臣の財政演説

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平成28年1月22日

 

平成二十八年度予算の御審議に当たり、財政政策等の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明申し上げます。

(日本経済の現状と財政政策等の基本的な考え方)
安倍内閣における三年間の経済再生に向けた取組により、日本経済はデフレ不況から脱却しつつあります。企業の経常利益は過去最高となるとともに、雇用・所得環境も確実に改善しております。 
引き続き、民需主導の好循環を確固たるものにせねばなりません。「強い経済」の実現に向けて、これまでの経済政策を一層強化してまいります。 
また、少子高齢化の進展は、国民の安心を支える社会保障制度の基盤を不安定なものとしかねません。デフレ不況から脱却しつつある今こそ、少子高齢化という構造的課題に真正面から取り組んでまいります。
さらに、社会保障制度を持続可能なものとするためにも、財政の持続可能性を維持することが必要不可欠です。今後、二〇二〇年度の基礎的財政収支の黒字化目標の達成に向けて、昨年策定いたしました「経済・財政再生計画」に基づき、「デフレ脱却・経済再生」への取組と、改革工程表を十分踏まえた歳出・歳入改革を着実に推進してまいります。 

 

(平成二十八年度予算及び税制改正の大要)
続いて、平成二十八年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。
平成二十八年度予算は、一億総活躍社会の実現をはじめとした重要課題に取り組んでいくための予算です。また、「経済・財政再生計画」の初年度の予算として、その目安に沿って、一般歳出の伸びを対前年度で約四千七百億円に抑制しており、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算となっております。
基礎的財政収支対象経費は、約七十三兆千億円であり、これに国債費を加えた一般会計総額は、約九十六兆七千億円となっております。
一方、歳入につきましては、租税等の収入は、約五十七兆六千億円、その他収入は、約四兆七千億円を見込んでおります。また、公債金は、約三十四兆四千億円であり、前年度当初予算に対し、約二兆四千億円の減額を行っております。
次に、主要な経費について申し述べます。
社会保障関係費につきましては、持続可能な社会保障制度を確立していく観点から、その伸びを抑制するため、診療報酬の適正化、社会保障に係る改革工程表に沿った制度改革の着実な実行等に取り組むこととしております。また、一億総活躍社会の実現に向けて、安定財源を確保しつつ、「希望出生率一・八」、「介護離職ゼロ」に直結する、子育て支援や介護サービス等の拡充を図ることとしております。
文教及び科学振興費につきましては、教職員定数の効率化と必要な分野への充実を図るほか、大学改革、学校の老朽化対策等を推進します。また、科学技術基盤を充実するとともに、イノベーション創出に向けたシステム改革を推進することとしております。
地方財政につきましては、地方公共団体の税収増を反映して地方交付税交付金等を縮減しつつ、その一般財源の総額について適切に確保し、地方に最大限配慮しております。
防衛関係費につきましては、中期防衛力整備計画に基づき所要の施策を講じるとともに、沖縄の基地負担軽減等のための在日米軍再編事業を着実に推進することとしております。
公共事業関係費につきましては、国民の命と暮らしを守る防災・減災等の課題に対応するため、投資の重点化等を図りつつ、真に必要な社会資本整備等に取り組むこととしております。
経済協力費につきましては、伊勢志摩サミットを控え、平和構築やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ等の課題への対応に重点化しつつ、ODAは予算・事業量ともに必要な額を確保しております。
中小企業対策費につきましては、生産性向上のための革新的なものづくり等への支援を充実するほか、資金繰り対策等にも万全を期すこととしております。
エネルギー対策費につきましては、再生可能エネルギーの導入等に向けた支援を強化するほか、国内資源の開発や海外資源の権益確保等を推進することとしております。
農林水産関係予算につきましては、農林水産業の競争力強化等を図るため、輸出の促進や農業基盤整備の充実等に取り組むこととしております。
国家公務員の人件費につきましては、給与改定や給与制度の総合的見直し、定員純減等を的確に予算に反映しております。
東日本大震災からの復興につきましては、復興のステージに応じた課題に対応し、復興の加速化を進めるため、平成二十八年度東日本大震災復興特別会計の総額は、約三兆二千億円を見込んでおります。
平成二十八年度財政投融資計画につきましては、成長戦略の実行や地方創生の深化に向け、必要な資金需要に的確に対応し、総額約十三兆五千億円としております。
借換債等を含む国債発行総額につきましては、約百六十二兆二千億円と、依然として極めて高い水準にあり、財政規律を維持しつつ、市場との緊密な対話に基づき国債管理政策を適切に運営してまいります。
次に、平成二十八年度税制改正におきましては、経済の好循環を確立する観点から、法人税改革として、課税ベースを拡大しつつ、税率を引き下げることで、企業の収益力を高め、投資や賃金引上げに積極的に取り組むよう促してまいります。
また、社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会における国の信認を確保するため、経済財政運営に万全を期し、来年四月には、消費税率の一〇%への引上げを確実に実施いたします。その際、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として、軽減税率制度を導入いたします。
さらに、少子化対策の観点から、三世代同居に対応した住宅リフォームに係る所得税の税額控除を導入するほか、教育再生や地方創生の推進に係る対応を行います。
このほか、多国籍企業のグローバルな活動・納税実態把握のための報告制度の構築等を行うこととしております。

 

(むすび)
以上、財政政策等の基本的な考え方と、平成二十八年度予算及び税制改正の大要について御説明申し上げました。
経済再生と財政健全化の達成は容易な課題ではありませんが、この三年間で確実に成果を上げつつあります。我々の歩んできた方向は、決して間違いではなかったと確信しております。この歩みを確かなものとすべく、全力を傾注してまいります。
デフレ不況から脱却し、「強い経済」を実現するためには、本予算及び関連法律案の一刻も早い成立が必要であります。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただくとともに、財政政策等について、国民の皆様及び与野党の議員各位の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。 

 

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