| |
| |
| |
少子高齢化の進展や経済のグローバル化といった内外の急速な経済社会状況の変化の中、国民が将来にわたり安心して暮らせる社会を築くため、私は、以下に申し述べる諸課題に着実かつ的確に取り組み、構造改革の努力の成果をあげてまいる所存であります。 | |
| |
第一の課題は、財政構造改革であります。 | |
1 | 平成十五年度予算については、歳出全体にわたり徹底した見直しを行うため、まず、概算要求段階において要望可能額を大幅に緩和するとともに、活力ある社会・経済の実現に向け、重点的・効率的配分を行うこととしました。また、高齢化の進行による負担増など歳出の増加が見込まれる中、予算執行調査の結果等を活用した経費の節減やコストの見直しなどを図り、一般歳出及び一般会計歳出全体について実質的に平成十四年度を下回る水準といたしました。 |
2 | 我が国の財政事情は、平成十五年度末の公債残高が四百五十兆円程度に達する見込みであるなど、過去に例を見ない厳しい状況にあります。今後の中長期的な財政運営に当たっては、先般閣議決定された「改革と展望」で示された「二○一○年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化を目指す」との目標達成に向けて努力してまいります。 |
| |
第二の課題は、税制改革であります。 | |
1 | 従来の制度を大幅に見直し、個人の資産のより一層の活用と企業の新分野への取組みの支援を念頭におき、平成十五年度税制改正において、現下の経済・財政状況を踏まえ、所要の措置を講ずることといたします。 |
2 | 具体的には、我が国産業の競争力強化のための研究開発・設備投資減税の集中・重点化、次世代への資産移転の円滑化に資する相続税・贈与税の一体化及び税率の引下げ、「貯蓄から投資へ」の改革に資する金融・証券税制の軽減・簡素化、土地の有効利用の促進に資する登録免許税の軽減、人的控除の簡素化等の観点からの配偶者特別控除の上乗せ部分の廃止、消費税に対する信頼性・透明性を向上させるための免税点制度等の改革、酒税及びたばこ税の見直しその他の所要の措置を一体として講ずることといたします。なお、このうち相続税・贈与税の一体化においては、一般の贈与について二千五百万円まで、住宅取得に充てる場合には三千五百万円までを非課税枠とするなどの措置を講ずることとしています。以上の措置の実施により、平成十五年度においては、国・地方合わせ一兆八千億円程度の減税となり、多年度においては税収中立となります。 |
3 | 今後も、少子・高齢化と税制のあり方、国・地方のあり方と税制等、様々な検討課題について更に議論を進めてまいります。 |
| |
第三の課題は、世界経済の安定と発展への貢献であります。 | |
1 | 我が国は、国際機関やG7、アジア諸国等と協力しつつ、国際金融システムの強化や開発途上国の経済社会の発展等の課題に取り組んでまいります。また、アジアにおける通貨・金融の安定化に向けても、一層の貢献を行ってまいります。 |
2 | また、WTO新ラウンド交渉に積極的に取り組むとともに、自由貿易協定等の経済連携も積極的に推進してまいります。具体的には、既にメキシコとの間で正式な協定締結交渉を開始しており、韓国、ASEAN等との間でも検討を進めております。 |
| |
次に、今国会に提出しております平成十五年度予算の大要について御説明いたします。 | |
1 | まず、歳出面については、一般歳出の規模は四十七兆五千九百二十二億円、一般会計全体の予算規模は八十一兆七千八百九十一億円となっております。 |
2 | 次に、歳入面について申し述べます。 |
3 | 財政投融資計画については、行財政改革の趣旨を踏まえ、全体規模を縮減しつつ、構造改革に資する分野に重点を置き対象事業を見直すとともに、現下の経済金融情勢を踏まえ、企業再生・中小企業金融等真に政策的に必要と考えられる資金需要には的確に対応することといたしました。この結果、平成十五年度財政投融資計画の規模は、二十三兆四千百十五億円となり、前年度当初計画に対し十二・六パーセントの減少となっております。 |
4 | 次に、主要な経費について申し述べます。 |
5 | 国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分の在り方についての三位一体の改革については、芽出しとしての措置を平成十五年度予算に反映させたところであります。 |
| |
以上、平成十五年度予算の大要について御説明いたしました。本予算の編成にあたっては、公債依存度が四十四・六パーセントとなるなど財政事情が過去に例を見ない厳しい状況になっている中、活力ある経済社会を構築するために思い切った予算の重点化を行うとともに、無駄を徹底して排除し、持続可能な財政構造に向けて、歳出の構造改革を推進することとしております。 |