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第154回国会における塩川財務大臣の財政演説

平成十四年一月二十一日
  

 今般、先に策定されました緊急対応プログラムを受けて、平成十三年度補正予算(第二号及び特第二号)を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要について御説明いたします。
  

(最近の経済情勢と緊急対応プログラム)

 まず、最近の経済情勢と先に策定されました緊急対応プログラムについて申し述べます。

 政府は、「改革なくして成長なし」との基本的考え方の下、状況の変化に細心の注意を払いながら、各般の構造改革を積極的に推進することを経済財政運営の基本としており、昨年十月には、構造改革を進めていく上で先行して決定・実施すべき施策を盛り込んだ改革先行プログラムを策定し、これを受けて、雇用対策等に重点を置いた第一次補正予算を編成しました。

 その後、米国における同時多発テロ事件の発生を契機に世界経済が同時不況に陥るリスクが高まる中、我が国の景気は、生産、設備投資が減少し、個人消費が弱含むなど、一段と悪化しました。

 こうした経済環境の急激な変化に対応し、構造改革をより一層推進しつつ、デフレの進行とあいまって景気が加速度的に悪化することを回避するため、地域における基盤整備の要請も踏まえ、政府は、去る十二月、緊急対応プログラムを策定いたしました。

 同プログラムにおいては、構造改革に資する重点分野に注力して社会資本の整備を行うこととし、1都市機能の一層の高度化・国際化、2環境に配慮した活力ある地域社会の実現、3科学技術・教育・ITの推進による成長フロンティアの拡大、及び4少子・高齢化への対応、の四つの政策課題の下、民間投資の創出・就業機会の増大に資し、早期執行が可能で経済への即効性が高く、緊急に実施の必要のある事業を盛り込んでおります。
  

(平成十三年度補正予算(第二号及び特第二号)の大要)

 次に、今般提出いたしました平成十三年度補正予算(第二号及び特第二号)の大要について御説明いたします。

 今申し述べました緊急対応プログラムを実施するため、一般会計補正予算については、歳出面において、産業投資特別会計へ二兆五千億円を繰り入れるほか、一般会計施行分として千三百九十二億円を計上することとしております。
 歳入面においては、安易な国債増発によることなく、日本電信電話株式会社の株式の売払収入による国債整理基金の資金を活用するための国債整理基金特別会計からの受入金二兆五千億円のほか、一般会計施行分の財源として産業投資特別会計からの受入金千三百二十六億円等を計上し、合計二兆六千三百九十二億円を計上することとしております。
 これらの結果、平成十三年度一般会計第二次補正後予算の総額は、八十六兆三千五百二十六億円となります。

 また、産業投資特別会計補正予算については、社会資本整備勘定において、今申し述べたように一般会計から二兆五千億円を歳入として受け入れ、歳出として改革推進公共投資特別措置二兆五千億円を計上することとしております。その内訳は、1都市機能高度化等対策費六千二百七十八億円、2環境配慮型地域社会実現対策費六千五百五十八億円、3科学技術等対策費八千七百二十億円、4少子高齢化対策費三千四百四十四億円であります。

 以上の一般会計及び産業投資特別会計の予算補正に関連して、その他の特別会計予算についても所要の補正を行うこととしております。

 財政投融資計画については、この補正予算において、国営土地改良事業特別会計に対し、百十三億円を追加することとしております。

 なお、今回の補正予算を実施するため、別途「日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法等の一部を改正する法律案」を提出し、御審議をお願いすることとしております。

 以上、平成十三年度補正予算(第二号及び特第二号)の大要について御説明いたしました。
 今回の補正予算は、経済環境の急激な変化に対応し、構造改革を推進しつつ、高い経済効果が期待できる施策について緊急実施するために編成したものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。