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平成十三年十一月九日 | |
今般、先に決定されました改革先行プログラムを受けて、平成十三年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、当面の財政政策等の基本的考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大要について御説明いたします。 | |
(最近の経済情勢と改革先行プログラム等) | |
まず、最近の経済情勢と先に決定されました改革先行プログラムについて申し述べます。 | |
1 | 我が国経済を取り巻く国際経済情勢をみますと、これまで世界経済を牽引してきた米国経済が、IT関連産業の業況悪化を契機として昨年後半以降減速したこともあり、世界経済の成長には減速がみられます。 |
2 | こうした状況の中、政府としては、状況の変化に細心の注意を払いながらも、中長期的な視点に立ち、個人消費を始め民需主導の持続的な発展を図るため、各般の構造改革を積極的に推進することを経済財政運営の基本とすべきと考えております。このような観点から、十月二十六日に、構造改革を進めていく上で先行して決定・実施すべき施策を盛り込んだ改革先行プログラムを決定いたしました。 |
3 | 同プログラムにおいては、経済活性化を図るため、雇用創出にも資する規制改革等を強力に推進するとともに、証券市場・金融システムの構造改革の一環として、証券税制の見直し、不良債権処理の強化等の施策を講じることとしております。また、構造改革を進めていく過程で生じうる失業や企業倒産の増加等に対応するため、雇用及び中小企業等に係るセーフティーネットの一層の充実策を講じることとしております。さらに、これらと併せ、構造改革を加速するために特に緊急性の高い施策として、電子政府の実現、学校の情報化の推進、保育所待機児童ゼロ作戦等の推進、廃棄物処理施設の緊急整備、地域科学技術振興を通じた新産業等の創出及び都市再生等に資するPFIの推進を図ることとしております。 |
4 | このうち、証券税制に関しては、株式譲渡益課税について、平成十五年一月から、申告分離課税への一本化、税率の引下げ、損失繰越制度の導入等の措置を講じるとともに、緊急かつ異例の措置として、平成十四年末までに新たに購入した上場株式等について、その購入額が一千万円までの譲渡益を、一定の要件の下、非課税とする措置を講じるため、「租税特別措置法等の一部を改正する法律案」を国会に提出しております。 |
次に、米国における同時多発テロ事件に対する取組みについて申し述べます。 | |
(平成十三年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大要) | |
次に、今般提出いたしました平成十三年度補正予算(第一号、特第一号及び機第一号)の大要について御説明いたします。 | |
1 | まず、歳出面においては、改革先行プログラム関連として、雇用対策費五千五百一億円、中小企業等対策費二千五百十一億円及び緊急構造改革加速施策対策費千九百八十九億円の計一兆円を計上するとともに、緊急テロ等対策費四百九十九億円、牛海綿状脳症対策費二百六十五億円、災害対策費三千百三十九億円、地方交付税交付金二千五百九十八億円を計上することとしております。このほか、義務的経費の追加等特に緊要となったやむを得ない事項等について措置することとしております。これらの歳出の追加額の合計は二兆九千九百五十五億円となりますが、併せて、既定経費の節減等を行うこととしております。 |
2 | 他方、歳入面においては、租税について最近までの収入実績等を勘案して一兆千二十億円の減収を見込むとともに、前年度の決算上の剰余金四千五百八十九億円を計上し、さらに、その他収入の増加を見込んでおります。 |
3 | 以上の一般会計補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算についても所要の補正を行うこととしております。 |
4 | 財政投融資計画については、改革先行プログラムを実施するため、この補正予算において、日本政策投資銀行及び日本育英会に対し、総額六百十七億円を追加することとしております。 |
5 | 以上、平成十三年度補正予算の大要について御説明いたしました。 |