ファイナンス 2018年1月号 Vol.53 No.10
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い計画を示すこととします。我が国のもう一つの大きな課題である生産性の向上を後押しするため、「生産性革命」を実現し、人工知能、ロボット、IoTなど、生産性を劇的に押し上げるイノベーションを実現していきます。人手不足に悩む中小・小規模事業者も含め、企業による設備や人材への投資を力強く促進いたします。あらゆる施策を総動員し、力強い賃金アップと投資を後押しすることで、デフレ脱却を確実なものとし、名目GDP600兆円の実現を目指します。これらを実現するため、政府は、昨年12月に「新しい経済政策パッケージ」をとりまとめました。「人づくり革命」と「生産性革命」を車の両輪として、少子高齢化という最大の壁に立ち向かってまいります。この「新しい経済政策パッケージ」を踏まえ、平成30年度予算におきまして、保育の受け皿拡大などの「人づくり革命」や地域中核企業による設備・人材投資等の促進などの「生産性革命」をはじめとする現下の重要課題に重点化しております。同時に、一般歳出の水準等の「目安」を達成し、公債の発行額を安倍内閣発足以来6年連続で減額するなど、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算としています。また、平成29年度補正予算におきましては、生産性革命・人づくり革命、災害復旧等・防災・減災事業、総合的なTPP等関連政策大綱実現に向けた施策など、2.7兆円の追加等を行っております。平成30年度税制改正においては、働き方の多様化を踏まえ、個人所得課税の見直しを行うとともに、デフレ脱却と経済再生に向け、賃上げ・生産性向上のための税制上の措置を講じ、さらに、中小企業の代替わりを促進する事業承継税制の拡充や観光促進のための税の創設等を行うこととしております。あわせて、国際課税制度の見直し、税務手続の電子化の推進やたばこ税の見直し等も行うこととしており、多岐にわたる課題に対応したものとなっております。国際関係に目を向けると、日米両国間に存在する強固な経済的な絆の深化に向けた取組として日米経済対話を昨年立ち上げ、ペンス副大統領との間で、4月に第1回、10月に第2回の対話を実施しました。「摩擦」という言葉に象徴された日米経済関係は遠い過去であり、今や「協力」の時代です。今後、日米はウィン・ウィンの経済関係を一層深めてまいります。また、日EU関係もさらに強固なものとなりました。4年以上に及ぶ粘り強い交渉の末、昨年12月8日には、日EU・EPA交渉の妥結をいたしました。本EPAは、日EUが自由貿易の牽引役として世界に範を示すに足る包括的で高いレベルの、バランスの取れた内容となっており、自由で公正なルールに基づく、二十一世紀の経済秩序のモデルとなるものです。我が国は、少子高齢化による人口動態の変化や、緊迫する北朝鮮情勢をはじめとした各種地政学的リスクなど、内外の困難な課題に直面しています。平成29年は、これを突破するための決意を固めた1年となりました。新しい年を迎えますが、安定した長期政権として、これまで築いてきた強固な軸は決してぶれることはなく、政策運営に取り組んでまいります。そして、各種改革を断固として実現することで、この国難とも言える諸課題を必ず克服してまいります。引き続き、強い経済と強い財政の実現に向けて、副大臣・政務官とともに全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

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