ファイナンス 2018年1月号 Vol.53 No.10
51/60

職員トップセミナー機会を減らす。3番目に、税関の職員が誇りをもって働けるような職場にするため勤務条件を改善する。「アルーシャ宣言」はこうしたことを箇条書きにしたものですが、アフガニスタンの財務大臣はこれこそ必要な施策だとして、多数の内外記者を集めて記者会見を開き、その場で、自分たちが汚職対策に本気であることを示したいとして、WCOの「アルーシャ宣言」に署名しました。それは政治的な決意を示すパフォーマンスとしては、すばらしいと感じた次第です。その後、大統領にお目にかかって、税関の現状についての感想を聞かれました。そこで昨年に出来たばかりの税関研修所を視察し、職員の質を高める努力に感心しましたと述べた後、ただ、研修を受けていた職員に聞いてみると、比較的高齢で、しかも同じポストで長年務めている例が多いようでしたが、そうなると弊害が出てくるかもしれないし、勤務条件の改善も必要でしょうと申し上げました。大統領は分かりました、職員ポストのローテーション制や組織の若返りのために早期退職の制度を入れましょうと仰って頂きました。また、税関をしっかりすることが、国づくりの基本ですとも言われて、嬉しく感じた次第です。(右)ガーニ・アフガニスタン大統領(イ)バングラデシュアフガニスタン出張後、パキスタン、インドと回ってバングラデシュに赴きました。昨年7月にバングラデシュにおいて日本のJICA関連の職員がテロの犠牲になる痛ましい事件が起きたことはご記憶に新しいかと思います。本来、途上国の税関は関税の徴収が中心業務ですが、こうした背景もあり、WCOもテロ対策への貢献のために「セキュリティ・プログラム」を立ち上げました。テロに使用されるおそれのある爆薬や武器が国境を越えて流入するのを防ぎ、また、紛争地域から流入するテロリストを、税関がその有する旅客名簿や情報を基に取り締まるといった措置をパッケージにしたものです。昨年、日本の財務省や外務省にお願いして、伊勢志摩サミットのプログラムに「WCOのセキュリティ・プログラムを使う」という一文を入れていただき、その後、補正予算で9億円程のご支援をいただきました。バングラデシュや東南アジアの国々を中心に税関の強化策を図ることとし、セキュリティ分野のプロジェクトを進めております。バングラデシュの財務大臣は、こうした支援をもちろん歓迎されますが、むしろ気をつかったのは、内務大臣に対してで、これは、決して警察の領域を侵すものではなく、税関が警察や入管と協力するためにやっているお話ですということを説明いたしました。こうした、いわば税関の多様な機能をトップ・セールスする、といったことを行っております。(左)ムヒト・バングラデシュ財務大臣(2)国際機関との連携(ア)国連国際機関とも上手に連携していくことが重要です。セキュリティの関係ではパン・ギムン前国連事務総長に、彼が2期目に再選された直後に会うファイナンス 2018.146連 載|セミナー

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る