ファイナンス 2018年1月号 Vol.53 No.10
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それぞれの空港関係者が自分の都合で仕事をしていて、旅客の待ち時間などどこ吹く風という印象を受けていました。入国審査官の椅子に制服の上着が掛けられていて、さも短時間中座を装っていることが目立つ空港がありました。最近は3つの空港とも見違えるように速くなりました。特に、マニラとハノイの新しいターミナルは別世界とも言ってよいくらいの速さです(マニラ、ハノイ市内への道路事情も劇的に改善しました)。経済の調子が良くなるのと空港の利便性が向上するのが同時に起こっています。これが経済の調子が良くなると、外国人ビジネスマンの来訪が増え、注文が現場に伝えられるようになるのか、逆に、空港関係者が良く働くようになると、外国からのビジネスが呼び込まれるようになるのかは興味深いテーマです*5。日本の空港をアジアの優良空港に比べてみると、日本人の出国、帰国に関しては一応の合格点と考えています。敢えて問題点をあげると、ゲートまでの距離が長いことと、外国の旅行者の入国、通関などに時間がかかっている光景を見かけることでしょうか。また個人的には数回の経験しかないのですが、例えばシンガポール⇒成田・羽田⇒米国と移動すると、日本の空港を途中通過点として用いる旅客の便宜はそもそも設計上考えていない印象があります。たまに欧米の空港へ行くと、検査などで待たされる時間の長さや、出入国審査の係員の高圧的態度に驚かされます。空港の設計も継ぎ足し継ぎ足しの連続のため、モノレールやバスを複数回乗り継ぐことすらあります。荷物を預けると追加料金を取られるばかりか、荷物の紛失や延着の話も耳にします。テロなどの脅威が現実のものであり、また不法移民の流入を水際で防ぐ必要性が増している点は斟酌しなければいけませんが、空港の印象はその国の第一印象であり、大きな影響力を持つものだけに残念な話です。各種の空港のサーベイでも、東アジアのいくつかの空港は近年欧米の主要空港より上位に位置づけされています。欧米からアジアの空港へ戻ってくると、その機能性の高さとスタッフの笑顔に癒されることがしばしばありました。*5)その意味で、インドシナ半島の小さな国の空港の利便性はいまいちのまま、もしくは旅客数が増えているためむしろ低下しているとも言えます。空港関係者が自分の都合で仕事をしていて、旅行者がいくら待たされても気にしていないように見受けられます。最近は大型の飛行機で、中国、韓国から多数の旅客が同じ時間帯に着くことがあり、その後に並んだ場合は相当の待ち時間と忍耐力が要求されます。アジアの某空港、本文の記述と直接の関係はありません31ファイナンス 2018.1ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)創設見聞録 国際機関を作るはなし 連 載|国際機関を作るはなし

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