ファイナンス 2018年1月号 Vol.53 No.10
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平均すると月3回くらい海外出張する生活を5年間続けていました。合計すると推定で150回くらい出張し、そのたびに東アジア各地の空港を利用したことになります。東アジアの空港の中で利便性が最も高いのは、自分の意見ではシンガポールのチャンギ空港です。シンガポールに住んでいて使用頻度が多く、利用の仕方も慣れている分、贔屓目に見ている可能性はあります。市内からタクシーで20分、航空会社のカウンターも十分に人がいて待たされることもなく、出入国審査もシンガポール国民や長く居住している者はパスポートと指紋だけで通過できます。自分が一番評価しているのは手荷物検査が搭乗ゲート毎にあることで、手荷物検査場へむやみな距離を歩かされたり、長蛇の列に並ばされたりがありませんし、ゲート前の手荷物検査に並んでさえいれば乗り遅れる心配がありません。テロ対策としての安心感もあります。人件費的には負担のはずですが、ここに費用をかけても、乗客の安全で素早い乗り換えを重視するのがシンガポールの知恵と見ています。ゲート周辺には無料WIFIが整備されています。飛行機が着いた際の荷物の出てくる速度も迅速です。飛行機を降りて、パスポートと指紋だけで入国審査を抜けているのに、ほとんど待たされることなく荷物が出てくるのにはいつも驚かされました。また5年間預けた荷物が紛失する、または、遅れるというトラブルは一度もありませんでした(一度だけ、スーツケースの鍵が破損したことがありました)。シンガポールへ赴任するまで荷物は可能な限り機内持ち込みにしていたのですが、シンガポール赴任後は荷物を預けるようになったくらいです。正直に言うと、機内への液体類の持ち込みがテロ対策として禁止になったことの方が大きな要因です。シンガポールでは日本では1000円台の焼酎の四合(720ML)瓶が5000円~7000円します。日本へ出張の際にはおみやげ用と寝酒用に2~3本仕入れることになりますが、航空会社の規則に従い機内に預けざるをえなかったということです(なお、羽田、成田の免税店444では、中身が同じはずの焼酎が2000円前後と都内より高い値がついているため利用しませんでした)。飛行機が遅れた時も、地上乗務員が多数駆け付けて、飴を配りながら、状況を説明しつつ、不満のある乗客にはそれを述べさせて上手にガスを抜いています。この点は空港というより航空会社(シンガポール航空)の対応なのでしょうが、空港当局の対応と航空会社の対応を併せ考えると、他のアジアの空港または航空会社と比べ一頭地抜きんでているものがあります。乗り継ぎの必要から多くの回数利用したのが、バンコク空港と香港空港でした。乗り継ぎの際には手荷物検査場が集中的に置かれているために、そこまで何百メートルも歩かされることになります。階は異なりますが同じところを往復しているため、シンガポールに慣れてしまうと「余分に歩かされた感」は否めません。10年位前は、インドネシアのジャカルタ空港、フィリピンのマニラ空港、ヴェトナムのハノイ空港においては、ありとあらゆる所で待たされた記憶があります。入国に際しては、まず飛行機の降機(タラップへのドアがなかなか開かない)、アライバル・ヴィザの取得、入国審査、荷物の受け取り、タクシーの手配など、出国に際しては、空港の建物への入構、航空会社のカウンター、空港利用料の支払い、出国審査、手荷物検査、飛行機への搭乗などなどです。こぼれ話(東南アジアの空港のどこが使いやすいか)シンガポール空港、迅速性、正確性、安全性などにおいてアジアの空港の中では抜きん出ているものがありますファイナンス 2018.130国際機関を作るはなし ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)創設見聞録 連 載|国際機関を作るはなし

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