ファイナンス 2018年1月号 Vol.53 No.10
26/60

このようなふれあいの場の運営を現場で担っている中国の機関の幹部や中国人学生を日本に招き、更にその活動の充実を図るべく、研修も行っている。「ふれあいの場は、中国の若者が気軽に日本にアクセスできるプラットフォーム。中国の若者に直接アクセスしたい日本の企業や大学などがあれば、中国の大学などにあるふれあいの場を是非ご活用いただきたい。」と堀事務局長は語る。4日本映画上映会映画は、普遍的な人々の姿を描き、国境を超え、人々の心を打つ。魅力ある映画の交流は両国の友好関係のさらなる醸成の一助となる。2016年、日本映画は「君の名は。」を始め、話題のヒット作が相次ぎ、42年ぶりに1億8千万人台を回復。興行収入は過去最高の2,355億円を記録。中国の映画市場は約7,500億円と日本の約3倍、スクリーン数で12倍の規模。中国では年間約64本という外国映画の商業上映の制限枠があり、その枠をハリウッドなどの外国映画が争う。日本映画の商業上映は2015年は2作品だったが、2016年には「君の名は。」を含め11作品。2016年9月、安倍総理と習近平国家主席の日中首脳会談では、「2017年の国交正常化45周年、更に2020年、22年の両国でのオリンピック開催を見据え、様々な分野で交流を拡充していく」ことで一致。こうした流れを踏まえ、2016年11月、官邸に設置された「映画産業の海外展開に関する検討会議」(議長:萩生田内閣官房副長官(当時))では映画を通じた国際交流の在り方について議論。また、2016年の東京国際映画祭では6本の中国映画、上海国際映画祭では50本、北京国際映画祭では22本の日本映画上映(映画祭は、有料でも商業上映ではないという位置付けのため制限枠外。)。更なる映画交流として、2017年12月1日から3日、中国における日本映画上映会(2017中国日本心新片展)を上海、昆明、深センで初めて開催(主催:国際交流基金、公益財団法人ユニジャパン、上海国際影視節有限公司)。これまで両国の国際映画祭にお互いの国の作品は出ていたが、今回は日本映画のみの上映会。映画祭と同様、外国映画の商業上映の枠外で、新作の日本映画10本(各都市で9作品)(吉田大八監督「美しい星」、白石晃士監督「不能犯」、小林正弘監督「海辺のリア」、富永昌経監督「南瓜とマヨネーズ」、熊沢尚人監督「心が叫びたがってるんだ。」、河瀬直美監督「光」など)。2016年1年間の商業上映数並みの上映ができた。現地を見ていないが、オープニング上映の三島由紀夫の異色のSF小説を現代に蘇らせた映画『美しい星』は、約1,300席が4分で即完とのこと。2018年公開予定のワールドプレミア上映の俳優・松坂桃李が初めてダークヒーローを演じる立証不可能犯罪のスリラー・エンターテインメントの映画『不能犯』は、半日で3都市完全完売とのこと。逆にこの3月には、東京、大阪、名古屋で、日本における中国映画上映会(電影=Dianying-2018)を開催予定。新作を中心に10本程度の中国映画が上映見込み。5松竹大歌舞伎北京公演このような地道な活動のほか、2017年3月、日中両国の国交正常化45周年の開幕を飾る事業として、北京天橋芸術中心・中劇場にて、松竹大歌舞伎が公演。歌舞伎を通じて日本文化の魅力を中国に紹介することにより、未来志向の関係構築の一助とするもの。オープニング上映「美しい星」の吉田大八監督と女優 橋本愛による1300人の観客とのQ&A21ファイナンス 2018.1SPOT

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る