ファイナンス 2018年1月号 Vol.53 No.10
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うちのノウハウが、日中の若者交流の一つのモデルになれればと願っており、現にオリンピック・パラリンピックのホストタウンとなる地方公共団体による国際交流事業に対するノウハウの提供が具体的に進んでいます。ご関心があれば是非ご連絡いただければありがたいです。留学生を受け入れたいというホストファミリーへの応募も大歓迎です。」と語る。同センターは、元中国大使の阿南所長はもとより、堀事務局長自身も元東京三菱銀行上海支店長。中国人スタッフを含め全員が中国語に堪能な専任のチームで、長年中国関係の実務に携わってきた豊富な人脈があり、何かあれば、堀事務局長らが全国に飛んでいく。中国の教育部はもとより、必要があれば、留学生の両親や派遣元の学校とも密にコンタクトを取る。例えば、中国の友好・姉妹都市提携先からの留学生を受け入れたいという地方公共団体からのニーズがあれば、そのような生徒をご紹介できる。留学生を受け入れると、中国の若者を通してその地域の人が相手を知ることも、逆にその地域を伝えることもでき、地域の人々との息の長い交流による地域活性化にも資する。さらに、中国の若者は日本以上にSNS好きなので、その地域についての発信による観光振興にもつながる。実際、日本政府観光局(JNTO)による中国から日本への修学旅行や学校視察などの教育旅行のプロモーションに登場し、日本での学校生活について生の声として自らの経験を語った研修生もいる。企業との関係では、本プログラムには、古くから資生堂、カシオ計算機、最近は三菱東京UFJ銀行からもご協力をいただいている。堀事務局長によると、「日本のことをよくわかっている中国の若者をというような企業があれば、ホームステイなどして日本人とともに高校生活を送る本プログラムの修了生はまさにうってつけ。高校生なので、気の長い話ですが、そのような企業の長い目での将来を見据えたニーズがあればお声掛けいただければと思います。研修の際に企業訪問を盛り込むことも可能です。」と語る。3ふれあいの場このように日本人と長期的に濃密な交流ができるのは毎年僅か30名程度。より広く多くの人にアプローチすることも必要。このため、比較的日本の情報に接する機会の少ない中国の地方都市の大学などに、青少年を主な対象とした「ふれあいの場」を開設。現在、北はハルビンから南は広州まで、13都市(ハルビン、長春、延辺、済南、西寧、南京、成都、重慶、杭州、長沙、南昌、昆明、広州。この他、西安、武漢、貴陽の3都市で準備中。)で、中国側が主催機関として、施設提供や日常の運営、企画を行い、日本側がコンテンツの提供と交流イベントの開催を支援。そこでは、雑誌、書籍、映像等で日本の最新情報に触れることができるほか、2015年度だけで約250件の様々な日中交流イベントを実施、約35,000人を動員。伝統文化的なものでは、和服の着付け講座、寿司などの日本料理教室、夏祭り、風呂敷体験、藍染め体験、餅つき大会、おりがみ教室を実施。新しい文化関連では、吉林省延辺では日本語を学ぶ学生向けの日本語カラオケ大会を毎年開催したり、大連や長春で、カリスマ美容師や人気女性誌の読者モデルによる「東京のリアルファッション&メイク」のイベントを開催。南京で開催した「君の名は」の新海誠監督展は、中国でも大人気を博した「君の名は」のブレイク前だったが、1週間で延べ2,000名ものファンが訪れた。日本語関係では、南昌で大学生による日本語スピーチコンテストや、杭州、済南、成都、西寧で、執事やお嬢様などの特徴的なキャラクター表現の学習やキャラクターになりきった会話練習をするといったアニメ・マンガの日本語講座を開催したこともある。ビジネス関係では、杭州や嘉興で、丸紅元中国総代表や、星野リゾートに就職した中国高校生長期招聘事業の2期生らが登壇し、国際的に通用する人材、日本企業が求める人材、日本での就職活動、日本企業での勤務実態等の日本の企業文化を紹介するセミナーを実施したり、済南で日本のビジネスマナー講座を開催している。ファイナンス 2018.120平和友好条約締結40周年を迎える日中の民間交流 ~中国人高校生のホームステイ留学から歌舞伎北京公演まで~SPOT

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