ファイナンス 2018年1月号 Vol.53 No.10
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学校がある。同校への留学生は、吹奏部員として野球部の甲子園出場の際にはアルプススタンドで演奏したという。日本からの留学生全体が減る中、高校生で留学できる生徒は限られている。まして、中国への留学となると、今の快適な日本の生活に慣れている日本の生徒は二の足を踏む。中国からの留学生がいれば、日本に居ながらにして、日常的な付き合いができるのだから、きっと日本の生徒にとっても得るところは大きい。なお、逆に、日本の高校生を1週間程度中国に派遣し、中国の同年代の人たちと交流するプログラムもあり、こちらは、2011年から例年、民間の「かめのり財団」との共催で実施されている。2016年は高校生12名と教員5名が瀋陽、長春、北京で交流。高校訪問で日本語授業に参加したり、ホームステイしたり、日中の大学生交流イベントに参加するなどした。参加した日本の高校生は、短期の滞在ながら、中国の高校生のモチベーションの高さや、日本語力、将来に対する積極性に驚くなど多くの刺激を得たという。最近、中国から訪日する人は多いが、高校生が1年間滞在して、日本の高校で高校生活を送る継続的に実施されてきた公的なプログラムは他に聞いたことがない。約1年間にわたって滞在することで、同じ釜の飯を食い、お互いを深く知る。帰国後もホストファミリーや友達、先生と交流が継続するような深い絆が生まれ、息の長い交流が続く。ホストファミリーの中には、例年、留学生を受け入れている方もいる。2017年、ついに、中国側より、多年にわたり高校生受入を行ったホストファミリーに対して感謝の意を表するため、ホストファミリーが北京、天津に招待され、修了生との再会を果たすことができた。ホストファミリーは、留学生の出身元高校訪問、修了生との夕食会の他、故宮博物館、万里の長城、中国雑技団鑑賞なども楽しんだ。また、本プログラムの修了生の4割近くが、東京大学、京都大学、慶応大学などの大学・大学院進学やSONYや日本たばこ産業、楽天、星野リゾートなどの企業へ就職のため再来日し、両国間の架け橋として活躍している。(2)地方公共団体等へのノウハウ提供このような中国の高校生の留学生の受け入れプログラムについて、日中交流センターの堀事務局長は、「中国との姉妹都市や東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンで若い人同士の交流を進めたい地方公共団体や、中国事業に関心のある企業などがあれば、累計400人近くを受け入れてきたうちのノウハウの提供ができます。受入れに係る実費を負担していただければ、(ア)中国教育部の推薦する高校生の紹介から、(イ)地元高校、ホストファミリーとのマッチング、(ウ)高校生の入国から、滞在中、出国までのケアなど入口から出口までのケアを一気通貫で提供できます。お弁当を食べながら女子トーク、広島市立舟入高校にて、中央が留学生の陳傲さん中国政府の招待でホストファミリーによる留学生の出身元高校訪問19ファイナンス 2018.1SPOT

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