ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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コラム 経済トレンド42大臣官房総合政策課 藤村 敏朗/佐藤 麻紀子シニア世帯の消費と所得の現状本稿では、シニア世帯(世帯主の年齢が60歳以上の世帯)の消費と所得の現状について検証を行い、定年65歳延長について考察した。シニア世帯の増加・シニア世帯は増加しており、足元では総世帯の半分以上を占めるまでに拡大(図表1)。・シニア世帯の1世帯当たり消費支出をみると、他の世代よりも水準は低い(図表2)が、世帯数の増加により、シニア消費の国内消費全体に対する重要性は増している(図表3)。図表1 年齢階級別世帯数の推移 (総世帯)(%)(年)01020304050607080901002002030405060708091011121314151670歳以上60代60歳未満図表2 60歳以上と60歳未満の世帯の 消費支出の推移(総世帯)2223242526272829302002030405060708091011121314151660歳未満60歳以上(万円)(年)図表3 世帯年齢階級別家計 最終消費支出の推移(総世帯)2025303540455005010015020025030020020304050607080910111213141570歳以上60代60歳未満60歳以上割合(右軸)(%)(兆円)(年)注1)家計最終消費支出額(除く持ち家の帰属家賃)を家計調査の年齢階級別消費支出規模で按分。シニア消費の特徴・シニア消費の特徴を把握するため、年齢階級別にみると、まず、支出額の水準(世帯人員数で調整)は20代から50代にかけて支出額の増加がみられる中、シニア世帯は、勤労者世帯であっても50代よりも支出額が少なくなっている(図表4)。・次に、品目構成をみると、若年世帯に比べて、教育、交通・通信への支出が相対的に少ない一方、食料(魚介類、野菜・海藻等)やその他の消費支出(交際費等)、保健医療の比率が高くなっている(図表5)。図表4 年齢階級別消費支出(世帯一人当たり、二人以上世帯)注2)世帯当たり消費支出を世帯人員の平方根で除した。数値は2016年平均。図表5、図表6-2も同様。(万円)048121620シニア無職世帯シニア勤労者世帯50代40代30代~20代食料住居光熱・水道家具・家事用品被服及び履物保健医療交通・通信教育教養娯楽その他の消費支出図表5 60歳以上と60歳未満の消費品目構成比の違い(世帯一人当たり、二人以上世帯)▲15▲10▲5051015住居教養娯楽家具・家事用品光熱・水道保健医療その他の消費支出食料交通・通信(%ポイント)シニア消費が多いシニア消費が少ない注3)二人以上世帯のうち世帯主が60歳以上の世帯における消費支出構成比から、60歳未満の世帯における消費支出構成比を引いて作成。教育被服及び履物38ファイナンス 2017.12連 載|経済トレンド

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