ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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4摘発事例等(1)事例1:小遣い稼ぎ感覚の安易な犯行平成28年12月、名古屋税関は、韓国から中部国際空港に到着した女性5名に対する入国時の税関検査において、うち3名の下着内に隠匿されていた金地金約計30kgを発見・摘発した。知人関係にある本邦在住の女性グループにより、小遣い稼ぎ感覚で行われた安易な犯行であり、常習的に行われていたとの供述がある。調査の結果、消費税約1千万円を免れようとした同人らを告発。先日、名古屋地裁において5名に対して有罪判決が言い渡されている。下着内のポケットに金地金を隠匿(2)事例2:洋上取引平成29年5月、門司・長崎・東京・函館税関は、情報に基づき、関係機関と合同で関係者の動静を監視していたところ、漁船に関係者が乗船し長崎県壱岐市の港を出港後、東シナ海の公海上で船籍不明の船舶から金塊を受け取り、佐賀県唐津市の漁港に陸揚げ・密輸入しようとしたところを摘発し、関係者8名を逮捕した。摘発した金地金は、約206キロ(約9億3千万円相当)で、脱税額は7千4百万円にもおよぶ。各ボックス内に金地金を隠匿上記の事例以外にも、緊急対策において、いくつか事例を掲載しているので参照願いたいが、司法でも厳しい判断がなされているところである。緊急対策の処罰の強化において、税関として、関係機関と連携しつつ、悪質な事案について、告発することで厳しい刑事罰による処分を求めていくことに加え、一般の皆様に対しても、犯罪に手を染めることのないように広報も充実させていきたいと考えている。5最後にこれまで、本緊急対策の背景やその概要を紹介してきたが、税関では、金の密輸を阻止するために、緊急対策を確実に実施していく必要がある。4の摘発事例で示したように、税関で摘発した金の密輸事案では、組織的なものや小遣い稼ぎの感覚で行うようなものもあり、一般の方々にとって決して無関係というものではなくなっている。国民の皆様においては、金密輸の深刻な現状を改めて認識頂いた上で、税関検査の強化等の対策の必要性にご理解を頂くとともに、密輸情報の提供など、税関行政へのご協力をお願いしたい。(注)文中、意見に係る部分はすべて筆者の私見である。金地金密輸防止ポスターファイナンス 2017.1215「ストップ金密輸」緊急対策についてSPOT

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