ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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海上保安庁等との共同調査・捜査を推進し、事件の全容解明を目指した徹底的な犯則調査を行い、悪質な事件は告発することにより、懲役刑などを含む刑事罰による厳正な処分を求めていくものである。また、金密輸に対し一層の経済的不利益を与えるとともに、抑止効果を高めるために、罰金上限額を引き上げるべく検討していくこととしている。更には、密輸事案が広域化・分業化していることが見受けられることから、税関を跨いだ密輸事案の調査を専門に行う部門を新たに編成することとしている。(3)情報収集及び分析の充実第三の柱は、金密輸を阻止するために、税関が入手している情報の分析力を強化し、同時に、関係機関との更なる連携強化に取り組むこととしている。密輸の経路が広範にわたっていることを受け、関係者等からの情報収集や国内外の関係取締機関(外国の税関当局、国税庁、警察、海上保安庁、入国管理局)との情報交換をさらに促進していくこととしている。なお、税関においては、従来から関係者や広く国民の皆様などからの密輸に関する情報収集として、密輸ダイヤル(0120-461-961(シロイ、クロイ))を活用しているところであり、皆様が密輸に関する情報に接した場合には、積極的に情報提供をお願いしたい。また、金の密輸による消費税脱税を根絶し、さらには密輸に関連すると見られる金塊強奪事件や現金強奪事件を防止するためには、税関における水際取締りだけではなく、密輸された金が容易に国内で売却、市場に流通されることのないようにすることも極めて重要である。金買取店においては、自らが密輸された金の換金に加担する結果とならないように、買い取る際に厳格に金の出所の確認を徹底するなどのコンプライアンス確保に向けた取組みが期待される。税関としては、密輸の実態把握に向け、輸出入申告を起点とした金の流通に着目し、商社等へのヒアリング等で情報収集を行いつつ、経済産業省とも連携を図ることとしている。なお、その他に、体制強化や広報の充実も行い、税関として、金密輸の撲滅を目指して、これらの対策に早急に取り組むこととしている。写真 門型金属探知機のイメージ参考2 金地金密輸事件の処分件数と脱税額の推移(平成24~28事務年度)脱税額処分件数(脱税額:万円)(処分件数:件)脱税額 処分件数事務年度(7月~6月)ベース087,36160,66823,6793,0892,6564672941778720,00040,00060,00080,000100,0000100200300400500H28H27H26H25H24過去最高を記録前年度比1.4倍前年度比1.6倍参考1 平成28事務年度における関税等脱税事件の品目別処分実績(件数ベース)金地金82%たばこ9%バッグ類4%金の密輸入によるものが全体の8割超(561件中467件)腕時計2%衣類1%化粧品1%その他1%14ファイナンス 2017.12SPOT

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