ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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和できるように努力をしていきたいと思っています。将来世代が希望を持てるよう 財政再建を進めることが必要財政の健全化や、それを進めるためのPRの仕方についても多くの意見があった。大学生からは、若者世代には、子育て、教育費、所得格差、年金などが心配・不安である。特に、財政赤字は今の時代に生きている人の経費を次の世代に残すことであり、若者世代にも大きな不安になっている。今回の10%への消費税増税だけでは財政赤字解消は困難と考えている、と財政の現状への危機感が示された。学識経験者からは、財政赤字や赤字公債は子や孫の代に負担だけを残す形になっており、できるだけ早く解消してもらいたい。若者世代の将来に対する不安が先行し、社会全体の希望が無くなっている、との意見が出された。公認会計士の男性は、財政という国全体のことになると、我がこととして考える家計と違って責任意識が薄れていく、と指摘し、トップに立つ方々の知恵により、個人が自律的に行動していけば全体最適化するような仕組みが作れないか、との提案があった。企業経営者からは、給料から天引きされた税金がどのように使われ、社会にどう還元されたかをわかるようにする必要性について指摘がなされた。また、NPO関係者からは、財務省のパンフレットについて、財政赤字が多額で、見ていて暗くなるような感じなので、もう少し若者が夢を持てるようなことを入れてはどうか、と提案があった。[うえの副大臣から]財政健全化については、プライマリーバランスを2020年度に均衡させるということでやってきましたが、幼児教育の無償化などに消費税の使い道を変えるということで、2020年度というのは難しくなると思います。来年6月くらいを目途にもう一度、財政再建の計画を作り直し、その議論の中で、しっかり財政再建をやるんだというメッセージを皆様にお伝えできるよう努力していきたいと思っています。今度、消費税率を10%に引き上げることを予定していますが、それだけで財政赤字がすべて解消する訳ではないので、負担をお願いすると同時に、経済成長もやって、できるだけ財政赤字を減らす努力をしていきたいと思います。中小企業がスムーズに世代交代や 積極的に投資できる税制が必要企業経営者からは、団塊世代の引退で多くの経営者の交代、事業の廃業という大きな問題を抱えており、雇用に影響する。事業承継税制を免除或いは軽減するように見直していただきたい、との要望があった。また、人手不足が深刻化し社会や経営構造も大きく変化する中、中小企業が生産性を向上させるために、IT化等の設備投資に踏み切れる税制の整備をお願いしたい、との要望があった。公認会計士の男性からは、現在の設備投資への税制は、中小企業の多くが赤字法人であるので、あまり効果がなく、制度がミスマッチではないか、との指摘があった。[うえの副大臣から]事業承継の問題は大きなテーマです。中小企業の経営者の皆様にアンケートを取ると、60歳代後半の経営者が最も多いのが現状です。この方々は10年経てば70歳代、20年経てば80歳代になります。このままでは築いてきた経営資源が散逸してしまうことになりかねないので、そうならないように税制と予算について、年末に向けて議論を始めています。名目GDP600兆円を目指すうえでも、中小企業の皆様を含めて生産性を上げることは非常に重6ファイナンス 2017.12

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